以下、本発明の詳細を説明する。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、バインダー樹脂と、複数の導電性粒子と、25℃で固形であるアミン化合物とを含む。上記導電性粒子は、導電部を有する。上記導電性粒子は、導電部の外表面部分に、はんだを有する。上記はんだは、導電部に含まれ、導電部の一部又は全部である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、接続されるべき電極間に、導電性粒子におけるはんだを効率的に配置することができ、かつ、はんだの濡れ性を良好にすることができる。本発明では、上記の構成が備えられているので、電極間を電気的に接続した場合に、導電性粒子におけるはんだが、上下の対向した電極間に位置しやすく、導電性粒子におけるはんだを電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、本発明では、電極幅が広いと、導電性粒子におけるはんだが電極上により一層効率的に配置される。
さらに、本発明では、導電材料に含まれるアミン化合物は25℃で固形であるので、導電材料が加熱されていないときには、バインダー樹脂と上記アミン化合物との反応を抑制することができ、導電材料の粘度の上昇を抑制することができる。実装等のために導電材料が加熱されると、上記アミン化合物は溶融して、はんだの濡れ性を向上させることができる。
例えば、25℃で液状であるアミン化合物を導電材料中に配合すると、導電材料が加熱されていないときでも、導電材料中のバインダー樹脂と上記25℃で液状であるアミン化合物との反応が進行して、導電材料の粘度が上昇する。結果として、スクリーン印刷等により導電材料を配置する際に、導電材料を均一に配置することが困難となる。導電材料に含まれるアミン化合物が25℃で固形であると、バインダー樹脂とアミン化合物との接触を最小限にすることができ、導電材料の粘度の上昇をより一層抑制することができる。
本発明では、電極幅及び電極間幅が狭い電極に対応するために、導電性粒子の粒子径を小さくしても、はんだの濡れ性を良好に保つことができる。従来の導電材料では、電極幅又は電極間幅が狭い場合に、電極上に導電性粒子におけるはんだを寄せ集め難い傾向がある。本発明では、電極幅又は電極間幅が狭くても、電極上に導電性粒子におけるはんだを十分に寄せ集めることができる。
上記のような効果を得るために、上記導電材料が25℃で固形であるアミン化合物を含むことは大きく寄与する。
また、本発明では、導電性粒子におけるはんだの一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくすることができる。本発明では、対向する電極間に位置していないはんだを、対向する電極間に効率的に移動させることができる。したがって、電極間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
さらに、本発明では、電極間の位置ずれを防ぐことができる。本発明では、導電材料を上面に配置した第1の接続対象部材に、第2の接続対象部材を重ね合わせた際に、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とのアライメントがずれた状態でも、そのずれを補正して、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とを接続させることができる(セルフアライメント効果)。
電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料は、25℃で液状であることが好ましく、導電ペーストであることが好ましい。
電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは10Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは800Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定可能である。
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましく、上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料は、導電ペーストであることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
以下、上記導電材料に含まれる各成分を説明する。
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、接続対象部材の電極間を電気的に接続する。上記導電性粒子は、導電部の外表面部分にはんだを有する。上記導電性粒子は、はんだ粒子であってもよい。上記はんだ粒子は、はんだを導電部の外表面部分に有する。上記はんだ粒子は、中心部分及び導電部の外表面部分のいずれもがはんだにより形成されている。上記はんだ粒子は、上記はんだ粒子の中心部分及び導電部の外表面部分のいずれもがはんだである粒子である。上記導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電部とを有していてもよい。この場合に、上記導電性粒子は、導電部の外表面部分に、はんだを有する。
なお、上記はんだ粒子を用いた場合と比べて、はんだにより形成されていない基材粒子と基材粒子の表面上に配置されたはんだ部とを備える導電性粒子を用いた場合には、電極上に導電性粒子が集まり難くなる。また、はんだにより形成されていない基材粒子と基材粒子の表面上に配置されたはんだ部とを備える導電性粒子では、導電性粒子同士のはんだ接合性が低いために、電極上に移動した導電性粒子が電極外に移動しやすくなる傾向があり、電極間の位置ずれの抑制効果も低くなる傾向がある。したがって、上記導電性粒子は、はんだにより形成されたはんだ粒子であることが好ましい。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記導電性粒子の外表面(はんだの外表面)に、カルボキシル基又はアミノ基が存在することが好ましく、カルボキシル基が存在することが好ましく、アミノ基が存在することが好ましい。上記導電性粒子の外表面(はんだの外表面)に、Si−O結合、エーテル結合、エステル結合又は下記式(X)で表される基を介して、カルボキシル基又はアミノ基を含む基が共有結合していることが好ましい。カルボキシル基又はアミノ基を含む基は、カルボキシル基とアミノ基との双方を含んでいてもよい。なお、下記式(X)において、右端部及び左端部は結合部位を表す。
はんだの表面に水酸基が存在する。この水酸基とカルボキシル基を含む基とを共有結合させることにより、他の配位結合(キレート配位)等にて結合させる場合よりも強い結合を形成できるため、電極間の接続抵抗を低くし、かつボイドの発生を抑えることが可能な導電性粒子が得られる。
上記導電性粒子では、はんだの表面と、カルボキシル基を含む基との結合形態に、配位結合が含まれていなくてもよく、キレート配位による結合が含まれていなくてもよい。
上記導電性粒子は、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基又はアミノ基とを有する化合物(以下、化合物Xと記載することがある)を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記水酸基と反応可能な官能基を反応させることにより得られることが好ましい。上記の好ましい方法により得られた導電性粒子は、接続構造体における接続抵抗を効果的に低くすることができ、ボイドの発生を効果的に抑制することができる。上記反応では、共有結合を形成させる。はんだの表面の水酸基と上記化合物Xにおける上記水酸基と反応可能な官能基とを反応させることで、はんだの表面にカルボキシル基又はアミノ基を含む基が共有結合している導電性粒子を容易に得ることができる。また、はんだの表面の水酸基と上記化合物Xにおける上記水酸基と反応可能な官能基とを反応させることで、はんだの表面にエーテル結合又はエステル結合を介してカルボキシル基又はアミノ基を含む基が共有結合している導電性粒子を得ることもできる。上記はんだの表面の水酸基に上記水酸基と反応可能な官能基を反応させることで、はんだの表面に、上記化合物Xを共有結合の形態で化学結合させることができる。
上記水酸基と反応可能な官能基としては、水酸基、カルボキシル基、エステル基及びカルボニル基等が挙げられる。水酸基又はカルボキシル基が好ましい。上記水酸基と反応可能な官能基は、水酸基であってもよく、カルボキシル基であってもよい。
水酸基と反応可能な官能基を有する化合物としては、レブリン酸、グルタル酸、グリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、5−ケトヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−アミノ酪酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトイソブチル酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−フェニルイソブチル酸、4−フェニル酪酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9−ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、デカン二酸及びドデカン二酸等が挙げられる。グルタル酸又はグリコール酸が好ましい。上記水酸基と反応可能な官能基を有する化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記水酸基と反応可能な官能基を有する化合物は、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物であることが好ましい。
上記化合物Xは、フラックス作用を有することが好ましく、上記化合物Xは、はんだの表面に結合した状態でフラックス作用を有することが好ましい。フラックス作用を有する化合物は、はんだの表面の酸化膜及び電極の表面の酸化膜を除去可能である。カルボキシル基はフラックス作用を有する。
フラックス作用を有する化合物としては、レブリン酸、グルタル酸、グリコール酸、コハク酸、5−ケトヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−アミノ酪酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトイソブチル酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−フェニルイソブチル酸及び4−フェニル酪酸等が挙げられる。グルタル酸又はグリコール酸が好ましい。上記フラックス作用を有する化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記化合物Xにおける上記水酸基と反応可能な官能基が、水酸基又はカルボキシル基であることが好ましい。上記化合物Xにおける上記水酸基と反応可能な官能基は、水酸基であってもよく、カルボキシル基であってもよい。上記水酸基と反応可能な官能基がカルボキシル基である場合には、上記化合物Xは、カルボキシル基を少なくとも2個有することが好ましい。カルボキシル基を少なくとも2個有する化合物の一部のカルボキシル基を、はんだの表面の水酸基に反応させることで、はんだの表面にカルボキシル基を含む基が共有結合している導電性粒子が得られる。
上記導電性粒子の製造方法は、例えば、導電性粒子を用いて、該導電性粒子、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物、触媒及び溶媒を混合する工程を備える。上記導電性粒子の製造方法では、上記混合工程により、はんだの表面に、カルボキシル基を含む基が共有結合している導電性粒子を容易に得ることができる。
また、上記導電性粒子の製造方法では、導電性粒子を用いて、該導電性粒子、上記水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物、上記触媒及び上記溶媒を混合し、加熱することが好ましい。混合及び加熱工程により、はんだの表面に、カルボキシル基を含む基が共有結合している導電性粒子をより一層容易に得ることができる。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン及びキシレン等が挙げられる。上記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、トルエンであることがより好ましい。上記溶媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記触媒としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及び10−カンファースルホン酸等が挙げられる。上記触媒は、p−トルエンスルホン酸であることが好ましい。上記触媒は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記混合時に加熱することが好ましい。加熱温度は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下である。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記導電性粒子は、イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネート化合物を反応させる工程を経て得られることが好ましい。上記反応では、共有結合を形成させる。はんだの表面の水酸基と上記イソシアネート化合物とを反応させることで、はんだの表面に、イソシアネート基に由来する基の窒素原子が共有結合している導電性粒子を容易に得ることができる。上記はんだの表面の水酸基に上記イソシアネート化合物を反応させることで、はんだの表面に、イソシアネート基に由来する基を共有結合の形態で化学結合させることができる。
また、イソシアネート基に由来する基には、シランカップリング剤を容易に反応させることができる。上記導電性粒子を容易に得ることができるので、上記カルボキシル基を含む基が、カルボキシル基を有するシランカップリング剤を用いた反応により導入されていることが好ましい。また、上記導電性粒子を容易に得ることができるので、上記カルボキシル基を含む基が、シランカップリング剤を用いた反応の後に、シランカップリング剤に由来する基にカルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物を反応させることで導入されていることが好ましい。上記導電性粒子は、上記イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネート化合物を反応させた後、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物を反応させることにより得られることが好ましい。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物が、カルボキシル基を複数有することが好ましい。
上記イソシアネート化合物としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。これら以外のイソシアネート化合物を用いてもよい。この化合物をはんだの表面に反応させた後、残イソシアネート基と、その残イソシアネート基と反応性を有し、かつカルボキシル基を有する化合物を反応させることで、はんだの表面に上記式(X)で表される基を介して、カルボキシル基を導入することができる。
上記イソシアネート化合物としては、不飽和二重結合を有し、かつイソシアネート基を有する化合物を用いてもよい。例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート及び2−イソシアナトエチルメタクリレートが挙げられる。この化合物のイソシアネート基をはんだの表面に反応させた後、残存している不飽和二重結合に対し反応性を有する官能基を有し、かつカルボキシル基を有する化合物を反応させることで、はんだの表面に上記式(X)で表される基を介して、カルボキシル基を導入することができる。
上記シランカップリング剤としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越シリコーン社製「KBE−9007」)、及び3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(MOMENTIVE社製「Y−5187」)等が挙げられる。上記シランカップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物としては、レブリン酸、グルタル酸、グリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、5−ケトヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−アミノ酪酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトイソブチル酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−フェニルイソブチル酸、4−フェニル酪酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9−ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、デカン二酸及びドデカン二酸等が挙げられる。グルタル酸、アジピン酸又はグリコール酸が好ましい。上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネート化合物を反応させた後、カルボキシル基を複数有する化合物の一部のカルボキシル基を、はんだの表面の水酸基と反応させることで、カルボキシル基を含む基を残存させることができる。
上記導電性粒子の製造方法では、導電性粒子を用いて、かつ、イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネート化合物を反応させた後、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物を反応させて、はんだの表面に、上記式(X)で表される基を介して、カルボキシル基を含む基が結合している導電性粒子を得る。上記導電性粒子の製造方法では、上記の工程により、はんだの表面に、カルボキシル基を含む基が導入された導電性粒子を容易に得ることができる。
上記導電性粒子の具体的な製造方法としては、以下の方法が挙げられる。有機溶媒に導電性粒子を分散させ、イソシアネート基を有するシランカップリング剤を添加する。その後、導電性粒子のはんだの表面の水酸基とイソシアネート基との反応触媒を用い、はんだの表面にシランカップリング剤を共有結合させる。次に、シランカップリング剤のケイ素原子に結合しているアルコキシ基を加水分解することで、水酸基を生成させる。生成した水酸基に、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物のカルボキシル基を反応させる。
また、上記導電性粒子の具体的な製造方法としては、以下の方法が挙げられる。有機溶媒に導電性粒子を分散させ、イソシアネート基と不飽和二重結合を有する化合物を添加する。その後、導電性粒子のはんだの表面の水酸基とイソシアネート基との反応触媒を用い、共有結合を形成させる。その後、導入された不飽和二重結合に対して、不飽和二重結合、及びカルボキシル基を有する化合物を反応させる。
導電性粒子のはんだの表面の水酸基とイソシアネート基との反応触媒としては、錫系触媒(ジブチル錫ジラウレート等)、アミン系触媒(トリエチレンジアミン等)、カルボキシレート触媒(ナフテン酸鉛、酢酸カリウム等)、及びトリアルキルホスフィン触媒(トリエチルホスフィン等)等が挙げられる。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。下記式(1)で表される化合物は、フラックス作用を有する。また、下記式(1)で表される化合物は、はんだの表面に導入された状態でフラックス作用を有する。
上記式(1)中、Xは、水酸基と反応可能な官能基を表し、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。該有機基は、炭素原子と水素原子と酸素原子とを含んでいてもよい。該有機基は炭素数1〜5の2価の炭化水素基であってもよい。該有機基の主鎖は2価の炭化水素基であることが好ましい。該有機基では、2価の炭化水素基にカルボキシル基や水酸基が結合していてもよい。上記式(1)で表される化合物には、例えばクエン酸が含まれる。
上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は、下記式(1A)又は下記式(1B)で表される化合物であることが好ましい。上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は、下記式(1A)で表される化合物であることが好ましく、下記式(1B)で表される化合物であることがより好ましい。
上記式(1A)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(1A)中のRは上記式(1)中のRと同様である。
上記式(1B)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(1B)中のRは上記式(1)中のRと同様である。
はんだの表面に、下記式(2A)又は下記式(2B)で表される基が結合していることが好ましい。はんだの表面に、下記式(2A)で表される基が結合していることが好ましく、下記式(2B)で表される基が結合していることがより好ましい。なお、下記式(2A)及び下記式(2B)において、左端部は結合部位を表す。
上記式(2A)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(2A)中のRは上記式(1)中のRと同様である。
上記式(2B)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(2B)中のRは上記式(1)中のRと同様である。
はんだの表面の濡れ性を高める観点からは、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物の分子量は、好ましくは10000以下、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下である。
上記分子量は、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物が重合体ではない場合、及び上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電性粒子は、導電性粒子本体と、上記導電性粒子本体の表面上に配置されたアニオンポリマーとを有することが好ましい。上記導電性粒子は、導電性粒子本体をアニオンポリマー又はアニオンポリマーとなる化合物で表面処理することにより得られることが好ましい。上記導電性粒子は、アニオンポリマー又はアニオンポリマーとなる化合物による表面処理物であることが好ましい。上記アニオンポリマー及び上記アニオンポリマーとなる化合物はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記アニオンポリマーは、酸性基を有するポリマーである。
導電性粒子本体をアニオンポリマーで表面処理する方法としては、アニオンポリマーとして、例えば(メタ)アクリル酸を共重合した(メタ)アクリルポリマー、ジカルボン酸とジオールとから合成されかつ両末端にカルボキシル基を有するポリエステルポリマー、ジカルボン酸の分子間脱水縮合反応により得られかつ両末端にカルボキシル基を有するポリマー、ジカルボン酸とジアミンとから合成されかつ両末端にカルボキシル基を有するポリエステルポリマー、並びにカルボキシル基を有する変性ポバール(日本合成化学社製「ゴーセネックスT」)等を用いて、アニオンポリマーのカルボキシル基と、導電性粒子本体の表面の水酸基とを反応させる方法等が挙げられる。
上記アニオンポリマーのアニオン部分としては、上記カルボキシル基が挙げられ、それ以外には、トシル基(p−H3CC6H4S(=O)2−)、スルホン酸イオン基(−SO3 −)、及びリン酸イオン基(−PO4 −)等が挙げられる。
また、表面処理の他の方法としては、導電性粒子本体の表面の水酸基と反応する官能基を有し、さらに、付加、縮合反応により重合可能な官能基を有する化合物を用いて、この化合物を導電性粒子本体の表面上にてポリマー化する方法が挙げられる。導電性粒子本体の表面の水酸基と反応する官能基としては、カルボキシル基、及びイソシアネート基等が挙げられ、付加、縮合反応により重合する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
上記アニオンポリマーの重量平均分子量は、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上であり、好ましくは10000以下、より好ましくは8000以下である。上記重量平均分子量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子の表面に十分な量の電荷、及びフラックス性を導入することができる。これにより、導電接続時に導電性粒子の凝集性を効果的に高めることができ、かつ、接続対象部材の接続時に、電極の表面の酸化膜を効果的に除去することができる。
上記重量平均分子量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子本体の表面上にアニオンポリマーを配置することが容易であり、導電接続時に導電性粒子の凝集性を効果的に高めることができ、電極上に導電性粒子をより一層効率的に配置することができる。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
導電性粒子本体をアニオンポリマーとなる化合物で表面処理することにより得られたポリマーの重量平均分子量は、導電性粒子中のはんだを溶解し、ポリマーの分解を起こさない希塩酸等により、導電性粒子を除去した後、残存しているポリマーの重量平均分子量を測定することで求めることができる。
アニオンポリマーの導電性粒子の表面における導入量に関しては、導電性粒子1gあたりの酸価が、好ましくは1mgKOH以上、より好ましくは2mgKOH以上であり、好ましくは10mgKOH以下、より好ましくは6mgKOH以下である。
上記酸価は、以下のようにして測定可能である。
導電性粒子1gを、アセトン36gに添加し、超音波にて1分間分散させる。その後、指示薬として、フェノールフタレインを用い、0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液にて滴定する。
次に、図面を参照しつつ、導電性粒子の具体例を説明する。
図4は、導電材料に使用可能な導電性粒子の第1の例を示す断面図である。
図4に示す導電性粒子21は、はんだ粒子である。導電性粒子21は、全体がはんだにより形成されている。導電性粒子21は、基材粒子をコアに有さず、コアシェル粒子ではない。導電性粒子21は、中心部分及び導電部の外表面部分のいずれもがはんだにより形成されている。
図5は、導電材料に使用可能な導電性粒子の第2の例を示す断面図である。
図5に示す導電性粒子31は、基材粒子32と、基材粒子32の表面上に配置された導電部33とを備える。導電部33は、基材粒子32の表面を被覆している。導電性粒子31は、基材粒子32の表面が導電部33により被覆された被覆粒子である。
導電部33は、第2の導電部33Aと、はんだ部33B(第1の導電部)とを有する。導電性粒子31は、基材粒子32と、はんだ部33Bとの間に、第2の導電部33Aを備える。従って、導電性粒子31は、基材粒子32と、基材粒子32の表面上に配置された第2の導電部33Aと、第2の導電部33Aの外表面上に配置されたはんだ部33Bとを備える。
図6は、導電材料に使用可能な導電性粒子の第3の例を示す断面図である。
上記のように、導電性粒子31における導電部33は2層構造を有する。図6に示す導電性粒子41は、単層の導電部として、はんだ部42を有する。導電性粒子41は、基材粒子32と、基材粒子32の表面上に配置されたはんだ部42とを備える。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記基材粒子は、銅粒子であってもよい。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有していてもよく、コアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよく、上記シェルが無機シェルであってもよい。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、及びポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン系共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン系共重合体等としては、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体及びジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記樹脂粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及び無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びグリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、及びプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、及びステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;エチレン、プロピレン、イソプレン、及びブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、及びクロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、並びに、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、及びビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
「(メタ)アクリレート」の用語は、アクリレートとメタクリレートとを示す。「(メタ)アクリル」の用語は、アクリルとメタクリルとを示す。「(メタ)アクリロイル」の用語は、アクリロイルとメタクリロイルとを示す。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は、金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記有機コアを形成するための材料としては、上述した樹脂粒子を形成するための樹脂等が挙げられる。
上記無機シェルを形成するための材料としては、上述した基材粒子を形成するための無機物等が挙げられる。上記無機シェルを形成するための材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼結させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記コアの粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下、最も好ましくは15μm以下である。上記コアの粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られ、基材粒子を導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。例えば、上記コアの粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ基材粒子の表面に導電部を形成する際、凝集した導電性粒子が形成され難くなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記コアの粒子径は、上記コアが真球状である場合には直径を意味し、上記コアが真球状以外の形状である場合には、最大径を意味する。また、コアの粒子径は、コアを任意の粒子径測定装置により測定した平均粒子径を意味する。例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析等の原理を用いた粒度分布測定機が利用できる。
上記シェルの厚みは、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。上記シェルの厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られ、基材粒子を導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。上記シェルの厚みは、基材粒子1個あたりの平均厚みである。ゾルゲル法の制御によって、上記シェルの厚みが制御可能である。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子は銅粒子であることが好ましい。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上である。上記基材粒子の粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、より一層好ましくは40μm以下、さらに好ましくは20μm以下、さらに一層好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下である。上記基材粒子の粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性をより一層高めることができ、導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。上記基材粒子の粒子径が上記上限以下であると、導電性粒子が十分に圧縮されやすく、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができ、さらに電極間の間隔をより小さくすることができる。
上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
上記基材粒子の粒子径は、2μm以上、5μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の粒子径が2μm以上、5μm以下の範囲内であると、電極間の間隔をより小さくすることができ、かつ導電層の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子を得ることができる。
上記基材粒子の表面上に導電部を形成する方法、並びに上記基材粒子の表面上又は上記第2の導電部の表面上にはんだ部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部及び上記はんだ部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法が好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
上記基材粒子の融点は、上記導電部及び上記はんだ部の融点よりも高いことが好ましい。上記基材粒子の融点は、好ましくは160℃を超え、より好ましくは300℃を超え、さらに好ましくは400℃を超え、特に好ましくは450℃を超える。なお、上記基材粒子の融点は、400℃未満であってもよい。上記基材粒子の融点は、160℃以下であってもよい。上記基材粒子の軟化点は260℃以上であることが好ましい。上記基材粒子の軟化点は260℃未満であってもよい。
上記導電性粒子は、単層のはんだ部を有していてもよい。上記導電性粒子は、複数の層の導電部(はんだ部,第2の導電部)を有していてもよい。すなわち、上記導電性粒子では、導電部を2層以上積層してもよい。上記導電部が2層以上の場合、上記導電性粒子は、導電部の外表面部分にはんだを有することが好ましい。
上記はんだは、融点が450℃以下である金属(低融点金属)であることが好ましい。上記はんだ部は、融点が450℃以下である金属層(低融点金属層)であることが好ましい。上記低融点金属層は、低融点金属を含む層である。上記導電性粒子におけるはんだは、融点が450℃以下である金属粒子(低融点金属粒子)であることが好ましい。上記低融点金属粒子は、低融点金属を含む粒子である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は、好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。また、上記導電性粒子におけるはんだは錫を含むことが好ましい。上記はんだ部に含まれる金属100重量%中及び上記導電性粒子におけるはんだに含まれる金属100重量%中、錫の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記導電性粒子におけるはんだに含まれる錫の含有量が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との導通信頼性がより一層高くなる。
なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
上記はんだを導電部の外表面部分に有する導電性粒子を用いることで、はんだが溶融して電極に接合し、はんだが電極間を導通させる。例えば、はんだと電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、はんだを導電部の外表面部分に有する導電性粒子の使用により、はんだと電極との接合強度が高くなる結果、はんだと電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性が効果的に高くなる。
上記はんだ部及び上記はんだ粒子を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
上記はんだ(はんだ部)を構成する材料は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだの組成としては、例えば亜鉛、金、銀、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウム等を含む金属組成が挙げられる。低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだは、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ、又は錫とビスマスとを含むはんだであることが好ましい。
上記はんだと電極との接合強度をより一層高めるために、上記導電性粒子におけるはんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。また、はんだと電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記導電性粒子におけるはんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだ部又は導電性粒子におけるはんだと電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、上記導電性粒子におけるはんだ100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記第2の導電部の融点は、上記はんだ部の融点よりも高いことが好ましい。上記第2の導電部の融点は、好ましくは160℃を超え、より好ましくは300℃を超え、さらに好ましくは400℃を超え、さらに一層好ましくは450℃を超え、特に好ましくは500℃を超え、最も好ましくは600℃を超える。上記はんだ部は融点が低いために導電接続時に溶融する。上記第2の導電部は導電接続時に溶融しないことが好ましい。上記導電性粒子は、はんだを溶融させて用いられることが好ましく、上記はんだ部を溶融させて用いられることが好ましく、上記はんだ部を溶融させてかつ上記第2の導電部を溶融させずに用いられることが好ましい。上記第2の導電部の融点が上記はんだ部の融点よりも高いことによって、導電接続時に、上記第2の導電部を溶融させずに、上記はんだ部のみを溶融させることができる。
上記はんだ部の融点と上記第2の導電部の融点との差の絶対値は、0℃を超え、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは30℃以上、特に好ましくは50℃以上、最も好ましくは100℃以上である。
上記第2の導電部は、金属を含むことが好ましい。上記第2の導電部を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第2の導電部は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることがさらに好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することがさらに好ましい。これらの好ましい導電部を有する導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電部の表面には、はんだ部をより一層容易に形成できる。
上記はんだ部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。はんだ部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下である。上記導電性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置することができ、電極間に導電性粒子におけるはんだを多く配置することが容易であり、導通信頼性がより一層高くなる。
上記導電性粒子の平均粒子径は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、例えば、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電性粒子の粒子径の変動係数は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。上記粒子径の変動係数が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置することができる。但し、上記導電性粒子の粒子径の変動係数は、5%未満であってもよい。
上記変動係数(CV値)は下記式で表される。
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:導電性粒子の粒子径の標準偏差
Dn:導電性粒子の粒子径の平均値
上記導電性粒子の形状は特に限定されない。上記導電性粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状等の球形状以外の形状であってもよい。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置することができ、電極間に導電性粒子におけるはんだを多く配置することが容易であり、導通信頼性がより一層高くなる。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の含有量は多い方が好ましい。
(バインダー樹脂)
上記バインダー樹脂は、特に限定されない。上記バインダー樹脂としては、公知の絶縁性の樹脂を用いることができる。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料及び上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分又は熱硬化性成分を含むことが好ましい。上記導電材料及び上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分を含んでいてもよく、熱硬化性成分を含んでいてもよい。上記導電材料及び上記バインダー樹脂は、熱硬化性成分を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、加熱により硬化可能な熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含むことが好ましい。
(熱硬化性成分:熱硬化性化合物)
上記熱硬化性化合物は、加熱により硬化可能な化合物である。上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。導電材料の硬化性及び粘度をより一層良好にし、接続信頼性をより一層高める観点から、エポキシ化合物又はエピスルフィド化合物が好ましい。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記熱硬化性化合物は、ポリエーテル骨格を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
上記ポリエーテル骨格を有する熱硬化性化合物としては、炭素数3〜12のアルキル鎖の両末端にグリシジルエーテル基を有する化合物、並びに炭素数2〜4のポリエーテル骨格を有し、該ポリエーテル骨格2〜10個が連続して結合した構造単位を有するポリエーテル型エポキシ化合物等が挙げられる。
導電材料の硬化物の耐熱性をより一層高める観点、並びに導電材料の硬化物の誘電率をより一層低くする観点からは、上記熱硬化性化合物は、トリアジン骨格を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
上記トリアジン骨格を有する熱硬化性化合物としてはトリアジントリグリシジルエーテル等が挙げられ、日産化学工業社製TEPICシリーズ(TEPIC−G、TEPIC−S、TEPIC−SS、TEPIC−HP、TEPIC−L、TEPIC−PAS、TEPIC−VL、TEPIC−UC)等が挙げられる。
上記エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物が挙げられる。レゾルシノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、及びベンゾフェノン型エポキシ化合物等の結晶性エポキシ化合物が好ましい。常温(23℃)で固体であり、かつ溶融温度がはんだの融点以下であるエポキシ化合物が好ましい。溶融温度は、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下であり、好ましくは40℃以上である。上記の好ましいエポキシ化合物を用いることで、接続対象部材を貼り合わせた段階では、粘度が高く、搬送等の衝撃により加速度が付与された際に、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材との位置ずれを抑制することができる。さらに、上記の好ましいエポキシ化合物を用いることで、硬化時の熱により、導電材料の粘度を大きく低下させることができ、はんだの凝集を効率よく進行させることができる。
電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記熱硬化性化合物は、25℃で液状である熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記25℃で液状である熱硬化性化合物としては、エピスルフィド化合物等が挙げられる。
上記導電材料100重量%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。上記熱硬化性化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子におけるはんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑制し、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。耐衝撃性をより一層高める観点からは、上記熱硬化性化合物の含有量は多い方が好ましい。
(熱硬化性成分:熱硬化剤)
上記熱硬化剤は、上記熱硬化性化合物を熱硬化させる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤、チオール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、熱カチオン硬化剤及び熱ラジカル発生剤等がある。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
導電材料を低温でより一層速やかに硬化可能とする観点からは、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、チオール硬化剤、又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、上記熱硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときの保存安定性を高める観点からは、上記熱硬化剤は、潜在性の硬化剤であることが好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性チオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤は、特に限定されない。上記イミダゾール硬化剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記チオール硬化剤は、特に限定されない。上記チオール硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤は、特に限定されない。上記アミン硬化剤は、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤は、特に限定されない。上記熱ラジカル発生剤としては、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。上記熱硬化剤の反応開始温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子におけるはんだが電極上により一層効率的に配置される。上記熱硬化剤の反応開始温度は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記熱硬化剤の反応開始温度は、上記導電性粒子におけるはんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことがさらに好ましい。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、DSCでの発熱ピークの立ち上がり開始の温度を意味する。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、さらに好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、熱硬化性化合物を十分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
(アミン化合物)
本発明に係る導電材料は、アミン化合物を含む。上記アミン化合物は、25℃で固形である。
上記アミン化合物は、硬化剤とは別の配合物である。上記アミン化合物の役割は硬化剤の役割とは異なる。上記アミン化合物は、はんだの濡れ性を向上させるために配合している。硬化剤は、上記熱硬化性化合物を硬化させるために配合される。
はんだの濡れ性をより一層良好にする観点からは、上記アミン化合物は、脂肪族鎖状アミンであることが好ましい。電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点、及びはんだの濡れ性をより一層良好にする観点からは、上記アミン化合物は、アミノ基を1つのみ有する化合物であることが好ましい。電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点、及びはんだの濡れ性をより一層良好にする観点からは、上記アミン化合物は、1級アミンであることが好ましい。
はんだの濡れ性をより一層良好にする観点からは、上記アミン化合物は、上記導電性粒子の表面に付着していることが好ましい。はんだの濡れ性をより一層良好にする観点からは、上記導電性粒子の全表面積100%中、上記導電性粒子の表面の上記アミン化合物が付着している面積は、好ましくは0.01%以上、より好ましくは1%以上であり、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
上記アミン化合物は、上記導電性粒子の表面に付着していなくてもよい。上記アミン化合物は、上記導電性粒子における導電部に結合していなくてもよい。上記アミン化合物は、上記導電材料中に、上記導電性粒子と離れて含まれていてもよい。
電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点、及びはんだの濡れ性をより一層良好にする観点からは、上記アミン化合物は、100℃で液状であることが好ましい。
上記アミン化合物の融点は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、好ましくは導電性粒子におけるはんだの融点以下、より好ましくは導電性粒子におけるはんだの融点−20℃以下、さらに好ましくは導電性粒子におけるはんだの融点−30℃以下である。上記アミン化合物の融点が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料の粘度の上昇をより一層抑制することができ、はんだの濡れ性をより一層良好にすることができる。
導電材料の粘度の上昇をより一層抑制する観点、及びはんだの濡れ性をより一層良好にする観点からは、上記アミン化合物の25℃での平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下である。
上記アミン化合物の25℃での平均粒子径は、数平均粒子径を示す。上記アミン化合物の平均粒子径は、例えば、任意のアミン化合物50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求めることができる。
電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点、及びはんだの濡れ性をより一層良好にする観点からは、上記導電性粒子100重量部に対して、上記アミン化合物の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.1重量部以下である。
(フラックス)
上記導電材料は、フラックスを含むことが好ましい。フラックスの使用により、電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置することができる。上記フラックスは特に限定されない。フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。
上記フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びグルタル酸等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸又は松脂であることが好ましい。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸であってもよく、松脂であってもよい。カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂の使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。フラックスは、ロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記フラックスの融点(活性温度)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、より一層好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下、さらに一層好ましくは140℃以下である。上記フラックスの融点が、上記下限以上及び上記上限以下であると、フラックス効果がより一層効果的に発揮され、電極上に導電性粒子におけるはんだがより一層効率的に配置される。上記フラックスの融点(活性温度)は80℃以上、190℃以下であることが好ましい。上記フラックスの融点(活性温度)は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
フラックスの融点(活性温度)が80℃以上、190℃以下である上記フラックスとしては、コハク酸(融点186℃)、グルタル酸(融点96℃)、アジピン酸(融点152℃)、ピメリン酸(融点104℃)、スベリン酸(融点142℃)等のジカルボン酸、安息香酸(融点122℃)、リンゴ酸(融点130℃)等が挙げられる。
また、上記フラックスの沸点は、200℃以下であることが好ましい。
電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記導電性粒子におけるはんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことがさらに好ましい。
電極上に導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記熱硬化剤の反応開始温度よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことがさらに好ましい。
上記フラックスは、導電材料中に分散されていてもよく、導電性粒子の表面上に付着していてもよい。
フラックスの融点が、はんだの融点より高いことにより、電極部分にはんだを効率的に凝集させることができる。これは、接合時に熱を付与した場合、接続対象部材上に形成された電極と、電極周辺の接続対象部材の部分とを比較すると、電極部分の熱伝導率が電極周辺の接続対象部材部分の熱伝導率よりも高いことにより、電極部分の昇温が速いことに起因する。導電性粒子におけるはんだの融点を超えた段階では、導電性粒子におけるはんだは溶解するが、表面に形成された酸化被膜は、フラックスの融点(活性温度)に達していないので、除去されない。この状態で、電極部分の温度が先に、フラックスの融点(活性温度)に達するため、優先的に電極上に来た導電性粒子におけるはんだの表面の酸化被膜が除去されることや、活性化したフラックスにより導電性粒子におけるはんだの表面の電荷が中和されることにより、はんだが電極の表面上に濡れ拡がることができる。これにより、電極上に効率的にはんだを凝集させることができる。
上記導電材料100重量%中、上記フラックスの含有量は、好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記導電材料は、フラックスを含んでいなくてもよい。フラックスの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ及び電極の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、さらに、はんだ及び電極の表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
(絶縁性粒子)
導電材料の硬化物により接続される接続対象部材間の間隔を高精度に制御する観点、及び導電性粒子におけるはんだにより接続される接続対象部材間の間隔を高精度に制御する観点からは、上記導電材料は、絶縁性粒子を含むことが好ましい。上記導電材料において、上記絶縁性粒子は、導電性粒子の表面に付着していなくてもよい。上記導電材料中で、上記絶縁性粒子は上記導電性粒子と離れて存在することが好ましい。
上記絶縁性粒子の平均粒子径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは25μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。上記絶縁性粒子の平均粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料の硬化物により接続される接続対象部材間の間隔、及び導電性粒子におけるはんだにより接続される接続対象部材間の間隔がより一層適度になる。
上記絶縁性粒子の材料としては、絶縁性の樹脂、及び絶縁性の無機物等が挙げられる。上記絶縁性の樹脂としては、基材粒子として用いることが可能な樹脂粒子を形成するための樹脂として挙げた上記樹脂等が挙げられる。上記絶縁性の無機物としては、基材粒子として用いることが可能な無機粒子を形成するための無機物として挙げた上記無機物等が挙げられる。
上記絶縁性粒子の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン化合物、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン化合物としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
上記絶縁性粒子の材料である絶縁性無機物の具体例としては、シリカ及び有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記導電材料100重量%中、上記絶縁性粒子の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。上記導電材料は、絶縁性粒子を含んでいなくてもよい。絶縁性粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料の硬化物により接続される接続対象部材間の間隔、及び導電性粒子におけるはんだにより接続される接続対象部材間の間隔がより一層適度になる。
上記導電材料は、必要に応じて、例えば、カップリング剤、遮光剤、反応性希釈剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
(接続構造体及び接続構造体の製造方法)
本発明に係る接続構造体は、少なくとも1つの第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、少なくとも1つの第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と、上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部の材料が、上述した導電材料である。上記接続部が、上述した導電材料の硬化物である。上記接続部が、上述した導電材料により形成されている。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は、上述した導電材料を用いて、少なくとも1つの第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、上記導電材料を配置する工程を備える。上記接続構造体の製造方法は、上記導電材料の上記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、少なくとも1つの第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、上記第1の電極と上記第2の電極とが対向するように配置する工程を備える。上記接続構造体の製造方法は、上記導電性粒子におけるはんだの融点以上に上記導電材料を加熱することで、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、上記導電材料により形成し、かつ、上記第1の電極と上記第2の電極とを、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程を備える。好ましくは、上記熱硬化性成分(熱硬化性化合物)の硬化温度以上に上記導電材料を加熱する。
本発明に係る接続構造体及び上記接続構造体の製造方法では、特定の導電材料を用いているので、複数の導電性粒子におけるはんだが第1の電極と第2の電極との間に集まりやすく、はんだを電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、はんだの一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくすることができる。従って、第1の電極と第2の電極との間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
また、複数の導電性粒子におけるはんだを電極上に効率的に配置し、かつ電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくするためには、上記導電材料は、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いることが好ましい。
電極間でのはんだ部の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。電極の表面上のはんだ濡れ面積(電極の露出した面積100%中のはんだが接している面積)は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であり、好ましくは100%以下である。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記接続部を形成する工程において、加圧を行わず、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量が加わることが好ましい。上記接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記接続部を形成する工程において、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量の力を超える加圧圧力は加わらないことが好ましい。これらの場合には、複数のはんだ部において、はんだ量の均一性をより一層高めることができる。さらに、はんだ部の厚みをより一層効果的に厚くすることができ、複数の導電性粒子におけるはんだが電極間に多く集まりやすくなり、複数の導電性粒子におけるはんだを電極(ライン)上により一層効率的に配置することができる。また、複数の導電性粒子におけるはんだの一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置される導電性粒子におけるはんだの量をより一層少なくすることができる。従って、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続をより一層防ぐことができ、絶縁信頼性をより一層高めることができる。
また、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いれば、導電ペーストの塗布量によって、接続部及びはんだ部の厚みを調整することが容易になる。一方で、導電フィルムでは、接続部の厚みを変更したり、調整したりするためには、異なる厚みの導電フィルムを用意したり、所定の厚みの導電フィルムを用意したりしなければならないという問題がある。また、導電フィルムでは、導電ペーストと比べて、はんだの溶融温度で、導電フィルムの溶融粘度を十分に下げることができず、はんだの凝集が阻害されやすい傾向がある。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて得られる接続構造体を模式的に示す断面図である。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、上述した導電材料により形成されている。本実施形態では、上記導電材料は、導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。本実施形態では、導電材料は、導電性粒子として、はんだ粒子を含む。本実施形態では、バインダー樹脂は、熱硬化性化合物と、熱硬化剤とを含む。上記熱硬化性化合物と上記熱硬化剤とを、熱硬化性成分と呼ぶ。
接続部4は、複数のはんだ粒子が集まり互いに接合したはんだ部4Aと、熱硬化性成分が熱硬化された硬化物部4Bとを有する。
第1の接続対象部材2は表面(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。第2の接続対象部材3は表面(下面)に、複数の第2の電極3aを有する。第1の電極2aと第2の電極3aとが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。なお、接続部4において、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだは存在しない。はんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ部4Aと離れたはんだは存在しない。なお、少量であれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)に、はんだが存在していてもよい。
図1に示すように、接続構造体1では、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に、複数のはんだ粒子が集まり、複数のはんだ粒子が溶融した後、はんだ粒子の溶融物が電極の表面を濡れ拡がった後に固化して、はんだ部4Aが形成されている。このため、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接続面積が大きくなる。すなわち、はんだ粒子を用いることにより、導電部の外表面部分がニッケル、金又は銅等の金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接触面積が大きくなる。このため、接続構造体1における導通信頼性及び接続信頼性が高くなる。
なお、図1に示す接続構造体1では、はんだ部4Aの全てが、第1,第2の電極2a,3a間の対向している領域に位置している。図3に示す変形例の接続構造体1Xは、接続部4Xのみが、図1に示す接続構造体1と異なる。接続部4Xは、はんだ部4XAと硬化物部4XBとを有する。接続構造体1Xのように、はんだ部4XAの多くが、第1,第2の電極2a,3aの対向している領域に位置しており、はんだ部4XAの一部が第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出していてもよい。第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出しているはんだ部4XAは、はんだ部4XAの一部であり、はんだ部4XAから離れたはんだではない。なお、本実施形態では、はんだ部から離れたはんだの量を少なくすることができるが、はんだ部から離れたはんだが硬化物部中に存在していてもよい。
はんだ粒子の使用量を少なくすれば、接続構造体1を得ることが容易になる。はんだ粒子の使用量を多くすれば、接続構造体1Xを得ることが容易になる。
接続構造体1,1Xでは、第1の電極2aと接続部4,4Xと第2の電極3aとの積層方向に第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分をみたときに、第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、接続部4,4X中のはんだ部4A,4XAが配置されていることが好ましい。上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の60%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることがより好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の70%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることがさらに好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の80%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが特に好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の90%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが最も好ましい。上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の60%以上が配置されていることが好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の70%以上が配置されていることがより好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の90%以上が配置されていることがさらに好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の95%以上が配置されていることが特に好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の99%以上が配置されていることが最も好ましい。上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
次に、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて、接続構造体1を製造する方法の一例を説明する。
先ず、第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、図2(a)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上に、熱硬化性成分11Bと、複数のはんだ粒子11Aとを含む導電材料11を配置する(第1の工程)。用いた導電材料11は、熱硬化性成分11Bとして、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含む。
第1の接続対象部材2の第1の電極2aが設けられた表面上に、導電材料11を配置する。導電材料11の配置の後に、はんだ粒子11Aは、第1の電極2a(ライン)上と、第1の電極2aが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。
導電材料11の配置方法としては、特に限定されないが、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
また、第2の電極3aを表面(下面)に有する第2の接続対象部材3を用意する。次に、図2(b)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上の導電材料11において、導電材料11の第1の接続対象部材2側とは反対側の表面上に、第2の接続対象部材3を配置する(第2の工程)。導電材料11の表面上に、第2の電極3a側から、第2の接続対象部材3を配置する。このとき、第1の電極2aと第2の電極3aとを対向させる。
次に、はんだ粒子11Aの融点以上に導電材料11を加熱する(第3の工程)。好ましくは、熱硬化性成分11B(熱硬化性化合物)の硬化温度以上に導電材料11を加熱する。この加熱時には、電極が形成されていない領域に存在していたはんだ粒子11Aは、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まる(自己凝集効果)。導電フィルムではなく、導電ペーストを用いた場合には、はんだ粒子11Aが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に効果的に集まる。また、はんだ粒子11Aは溶融し、互いに接合する。また、熱硬化性成分11Bは熱硬化する。この結果、図2(c)に示すように、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4を、導電材料11により形成する。導電材料11により接続部4が形成され、複数のはんだ粒子11Aが接合することによってはんだ部4Aが形成され、熱硬化性成分11Bが熱硬化することによって硬化物部4Bが形成される。はんだ粒子11Aが十分に移動すれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの移動が開始してから、第1の電極2aと第2の電極3aとの間にはんだ粒子11Aの移動が完了するまでに、温度を一定に保持しなくてもよい。
本実施形態では、上記第2の工程及び上記第3の工程において、加圧を行わない方が好ましい。この場合には、導電材料11には、第2の接続対象部材3の重量が加わる。このため、接続部4の形成時に、はんだ粒子11Aが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に効果的に集まる。なお、上記第2の工程及び上記第3の工程の内の少なくとも一方において、加圧を行えば、はんだ粒子11Aが第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まろうとする作用が阻害される傾向が高くなる。
また、本実施形態では、加圧を行っていないため、導電材料を塗布した第1の接続対象部材に、第2の接続対象部材を重ね合わせた際に、第1の電極と第2の電極とのアライメントがずれた状態でも、そのずれを補正して、第1の電極と第2の電極とを接続させることができる(セルフアライメント効果)。これは、第1の電極と第2の電極との間に自己凝集している溶融したはんだが、第1の電極と第2の電極との間のはんだと導電材料のその他の成分とが接する面積が最小となる方がエネルギー的に安定になるため、その最小の面積となる接続構造であるアライメントのあった接続構造にする力が働くためである。この際、導電材料が硬化していないこと、及び、その温度、時間にて、導電材料の導電性粒子以外の成分の粘度が十分低いことが望ましい。
このようにして、図1に示す接続構造体1が得られる。なお、上記第2の工程と上記第3の工程とは連続して行われてもよい。また、上記第2の工程を行った後に、得られる第1の接続対象部材2と導電材料11と第2の接続対象部材3との積層体を、加熱部に移動させて、上記第3の工程を行ってもよい。上記加熱を行うために、加熱部材上に上記積層体を配置してもよく、加熱された空間内に上記積層体を配置してもよい。
上記第3の工程における上記加熱温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上であり、好ましくは450℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。
上記第3の工程における加熱方法としては、はんだの融点以上及び熱硬化性化合物の硬化温度以上に、接続構造体全体を、リフロー炉を用いて又はオーブンを用いて加熱する方法や、接続構造体の接続部のみを局所的に加熱する方法が挙げられる。
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1,第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材の内の少なくとも一方が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。上記第2の接続対象部材が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板は、柔軟性が高く、比較的軽量であるという性質を有する。このような接続対象部材の接続に導電フィルムを用いた場合には、はんだが電極上に集まりにくい傾向がある。これに対して、導電ペーストを用いることで、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いたとしても、はんだを電極上に効率的に集めることで、電極間の導通信頼性を十分に高めることができる。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いる場合に、半導体チップ等の他の接続対象部材を用いた場合と比べて、加圧を行わないことによる電極間の導通信頼性の向上効果がより一層効果的に得られる。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
熱硬化性化合物1:レゾルシノール型エポキシ化合物、共栄社化学社製「エポライトTDC−LC」、エポキシ当量120g/eq
熱硬化性化合物2:エポキシ化合物、ADEKA社製「EP−3300」、エポキシ当量160g/eq
潜在性エポキシ熱硬化剤1:T&K TOKA社製「フジキュア7000」
潜在性エポキシ熱硬化剤2:旭化成イーマテリアルズ社製「HXA−3922HP」
フラックス:
グルタル酸25重量部、及びグルタル酸モノメチル25重量部を3つ口フラスコに入れ、窒素フロー下にて、80℃で溶解させた。その後、ベンジルアミン57重量部を添加し、80℃で減圧下(4Torr以下)2時間反応させることにより、25℃で固体である、フラックスを得た。
絶縁性粒子:平均粒子径30μm、CV値5%、軟化点330℃、積水化学工業社製、ジビニルベンゼン架橋粒子
はんだ粒子の作製方法:
SnBiはんだ粒子(千住金属社製「L20−10020」、平均粒子径(メディアン径)10μm)200gを、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBE−430」)40gで処理した後、3つ口フラスコに入れ、ベンジルアミン30gとアセトン70gとを3つ口フラスコに秤量した。次に、エポキシ基の反応触媒であるブチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.3gを添加し、80℃で反応させることで、表面処理されたはんだ粒子を作製した。
得られたはんだ粒子では、CV値は20%であった。得られたはんだ粒子の融点は、139℃であった。
(はんだ粒子のCV値)
CV値を、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA−920」)にて、測定した。
アミン化合物1:ステアリルアミン、日油社製「ニッサンアミンAB」、25℃で固形、融点:53℃
アミン化合物2:セチルアミン、日油社製「ニッサンアミンPB」、25℃で固形、融点:47℃
アミン化合物3:硬化牛脂アルキルアミン、日油社製「ニッサンアミンABT」、25℃で固形、融点:43℃
アミン化合物4:ベヘニルアミン、日油社製「ニッサンアミンVB−S」、25℃で固形、融点:65℃
アミン化合物5:ベンジルアミン、ナカライテスク社製「ベンジルアミン」、25℃で液状、融点:10℃
(はんだ粒子及びアミン化合物の融点)
はんだ粒子及びアミン化合物の融点を、柴田科学社製「M−560」を用いて測定した。
(実施例1−4及び比較例1,2)
(1)導電材料の作製
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合して、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。
(2)接続構造体の作製
L/Sが45μm/45μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を上面に有し、さらにその周辺に複数の銅箔ランドが形成された長尺のキャリアテープを用意した。また、電極のL/Sが45μm/45μmを下面に有する半導体素子を用意した。上記長尺のキャリアテープの上面に、上記導電ペーストを銅電極パターン上で厚さ100μmとなるように、塗工し、導電ペースト層を形成した。次に、上記半導体素子をマウンターにて実装した。さらに、はんだペースト(千住金属工業社製「M705−GRN360−K2V」)を上記複数の銅箔ランドに塗布後、1005サイズのチップ抵抗部品を上記銅箔ランドの塗布膜上にマウンターにて実装した。その後、リフロー炉にて、半導体素子およびチップ抵抗部品を電極に接続した接続構造体を得た。
(評価)
(1)粘度(η25)
作製した導電材料の25℃での粘度(η25)を、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定した。
(2)粘度比(η2/η1)
作製直後の導電材料を25℃及び湿度50%で24時間保管したときの25℃での粘度(η1)を測定した。また、作製直後の導電材料を25℃及び湿度50%で48時間保管したときの導電材料の25℃での粘度(η2)を測定した。上記粘度は、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定した。粘度の測定値から、粘度比(η2/η1)を算出した。
(3)はんだの濡れ性
作製した導電材料を用いて、はんだの濡れ性を評価した。はんだの濡れ性は、以下のようにして評価した。はんだの濡れ性を下記の基準で判定した。
はんだの濡れ性の評価方法:
金電極8mm2上に2mmφのマスクではんだペーストを2mg塗布し、170℃、10分間ホットプレートで加熱した。その後、画像解析にて金電極に対するはんだの濡れ面積(金電極の表面におけるはんだが接触している面積)の割合を算出した。
[はんだの濡れ性の判定基準]
○:金電極に対するはんだの濡れ面積の割合が70%以上
△:金電極に対するはんだの濡れ面積の割合が40%以上、70%未満
×:金電極に対するはんだの濡れ面積の割合が40%未満
(4)はんだ部の厚み
得られた接続構造体を断面観察することにより、上下の電極間に位置しているはんだ部の厚みを評価した。
(5)電極上のはんだの配置精度1
得られた接続構造体において、第1の電極とはんだ部と第2の電極との積層方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、第1の電極と第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の、はんだ部が配置されている面積の割合Xを評価した。電極上のはんだの配置精度1を下記の基準で判定した。
[電極上のはんだの配置精度1の判定基準]
○○:割合Xが70%以上
○:割合Xが60%以上、70%未満
△:割合Xが50%以上、60%未満
×:割合Xが50%未満
(6)電極上のはんだの配置精度2
得られた接続構造体において、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向と直交する方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、接続部中のはんだ部100%中、第1の電極と第2の電極との対向し合う部分に配置されている接続部中のはんだ部の割合Yを評価した。電極上のはんだの配置精度2を下記の基準で判定した。
[電極上のはんだの配置精度2の判定基準]
○○:割合Yが99%以上
○:割合Yが90%以上、99%未満
△:割合Yが70%以上、90%未満
×:割合Yが70%未満
(7)上下の電極間の導通信頼性
得られた接続構造体(n=15個)において、上下の電極間の1接続箇所あたりの接続抵抗をそれぞれ、4端子法により、測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通信頼性を下記の基準で判定した。但し、n=15個中一つでも上下の電極間が導通していない場合には、「×」と判定した。
[導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が50mΩ以下
○:接続抵抗の平均値が50mΩを超え、70mΩ以下
△:接続抵抗の平均値が70mΩを超え、100mΩ以下
×:接続抵抗の平均値が100mΩを超える、又は接続不良が生じている
(8)横方向に隣接する電極間の絶縁信頼性
得られた接続構造体(n=15個)において、85℃、湿度85%の雰囲気中に100時間放置後、横方向に隣接する電極間に、15Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定した。絶縁信頼性を下記の基準で判定した。但し、n=15個中一つでも横方向に隣接する電極間が導通している場合には、「×」と判定した。
[絶縁信頼性の判定基準]
○○○:接続抵抗の平均値が1014Ω以上
○○:接続抵抗の平均値が108Ω以上、1014Ω未満
○:接続抵抗の平均値が106Ω以上、108Ω未満
△:接続抵抗の平均値が105Ω以上、106Ω未満
×:接続抵抗の平均値が105Ω未満
結果を下記の表1に示す。