JP2012122357A - 蒸気タービン、発電所および蒸気タービンの運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蒸気タービン1は、単流方式の高中圧タービン2及び中圧タービン4と、高中圧タービン2の途中で一部の蒸気を中圧タービン4に導く蒸気通路6とを備える。高中圧タービン2は、蒸気入口側の高圧部2A及び蒸気出口側の中圧部2Bを有する。蒸気通路6は、高中圧タービン2の高圧部2Aと中圧部2Bとの間の位置から、高圧部2Aを通過した蒸気の一部を中圧タービン4に導くようになっている。
【選択図】図1
Description
なお、単流方式(シングルフロー)とは、蒸気タービン内を蒸気が一方向に流れる方式であり、複流方式(ダブルフロー)とは、蒸気タービンの中央から蒸気が流入して左右に分流する方式である。
ところが、特許文献2に記載の単流方式の中圧タービンの出口における蒸気圧力(すなわち低圧タービンの入口圧力)を従来の蒸気タービンと同程度に設計すると、蒸気の大容量化によって、中圧タービンの出口における蒸気の体積流量が大きくなるから、中圧タービンに作用する蒸気による曲げ力は増大する。また、中圧タービンの出口における蒸気の体積流量が大きくなると、その分だけ翼高さを高くする必要があり、中圧タービンの動翼及びロータに作用する遠心力が増大する。このため、中圧タービンに作用する遠心力及び蒸気による曲げ力の増大によって、中圧タービンの強度を十分に確保することが難しくなる。
もちろん、中圧タービンの出口における蒸気圧力を上げれば、蒸気の体積流量の増加を抑えることができるが、低圧タービンの入口圧力が上昇してしまい、低圧タービンでより大きく蒸気圧力を落とす必要が生じ、低圧タービンの軸方向長さ(段数)が大きくなってしまう。このため、中圧タービンの出口における蒸気圧力を上げることにも限界がある。
図6は、単流方式の高圧タービンと複流方式の中圧タービンとを組み合わせた蒸気タービンを示す図である。同図に示すように、蒸気タービン100は、単流方式の高圧タービン102と複流方式の中圧タービン104とを有する。原子炉(不図示)で発生した蒸気は、高圧タービン102で仕事をした後、中圧タービン104でさらに仕事をして、低圧タービン(不図示)へと流れるようになっている。
蒸気タービン100では、高圧タービン102が単流方式であり、高圧タービン102の入口で蒸気を分流しないので、高圧タービン102の入口における翼高さを極端に低くする必要がない。このため、境界層におけるロスに起因するタービン性能の低下はほとんど起こらない。
また、中圧タービン104は複流方式であり、中圧タービン104に流入した蒸気は分流されるので、中圧タービン104の出口における蒸気の体積流量はそれほど多くならない。このため、中圧タービン104のロータに作用する遠心力及び蒸気の曲げ力の増大に起因する中圧タービン104の強度の問題はほとんど起こらない。
ここで、高中圧タービンは単流方式であるから、高中圧タービンの蒸気入口側(高圧部)で蒸気は分流されない。よって、蒸気の大容量化を上回る蒸気の高圧化がなされても、高中圧タービンの蒸気入口側(高圧部)の翼高さを極端に低くする必要がない。このため、境界層におけるロスに起因するタービン性能の低下を抑制できる。
また、高中圧タービン及び中圧タービンは単流方式であるが、高中圧タービンの高圧部に流入した蒸気の一部は、途中で分流されて中圧タービンを流れるので、高中圧タービンの中圧部および中圧タービンの出口における蒸気の体積流量は抑えられる。よって、高中圧タービン及び中圧タービンに作用する遠心力及び蒸気の曲げ力を抑制できる。
しかも、高中圧タービンの高圧部を通過した蒸気のうち中圧タービンに導かれないものは、外部に一旦排気されるのではなく、そのまま中圧部を流れるから、高中圧タービンの高圧部に独自の排気エリアを設ける必要がなく、その分だけロータ全体の軸方向長さは短くなる。また、蒸気通路を介して中圧タービンに導かれるのは蒸気の一部であり、蒸気通路はそれほど大径にする必要はないから、中圧タービンの入口への蒸気通路の接続箇所は比較的コンパクトであり、その分だけロータ全体の軸方向長さは短くなる。
これに対し、上記蒸気タービンでは、上述のとおり、高中圧タービンの高圧部に独自の排気エリアを設ける必要がないことに加えて、中圧タービンの入口への蒸気通路の接続箇所は比較的コンパクトである。このため、ロータ全体の軸方向長さは短くなり、軸振動はあまり問題にならないから、高中圧タービン及び中圧タービンを同一車室に収納することができ、結果的に、軸受及びグランドの数を少なくできる。したがって、軸受による摩擦損失や、グランドからの蒸気漏れを抑制できる。
ここで、高中圧タービンは単流方式であるから、高中圧タービンの蒸気入口側(高圧部)で蒸気は分流されない。よって、蒸気の大容量化を上回る蒸気の高圧化がなされても、高中圧タービンの蒸気入口側(高圧部)の翼高さを極端に低くする必要がない。このため、境界層におけるロスに起因するタービン性能の低下を抑制できる。
また、高中圧タービン及び中圧タービンは単流方式であるが、高中圧タービンの高圧部に流入した蒸気の一部は、途中で分流されて中圧タービンを流れるので、高中圧タービンの中圧部および中圧タービンの出口における蒸気の体積流量は抑えられる。よって、高中圧タービン及び中圧タービンに作用する遠心力及び蒸気の曲げ力を抑制できる。
しかも、高中圧タービンの高圧部を通過した蒸気のうち中圧タービンに導かれないものは、外部に一旦排気されるのではなく、そのまま中圧部を流れるから、高中圧タービンの高圧部に独自の排気エリアを設ける必要がなく、その分だけロータ全体の軸方向長さは短くなる。
ここで、高中圧タービンは単流方式であるから、高中圧タービンの蒸気入口側(高圧部)で蒸気は分流されない。よって、蒸気の大容量化を上回る蒸気の高圧化がなされても、高中圧タービンの蒸気入口側(高圧部)の翼高さを極端に低くする必要がない。このため、境界層におけるロスに起因するタービン性能の低下を抑制できる。
また、高中圧タービン及び中圧タービンは単流方式であるが、高中圧タービンの高圧部に流入した蒸気の一部は、途中で分流されて中圧タービンを流れるので、高中圧タービンの中圧部および中圧タービンの出口における蒸気の体積流量は抑えられる。よって、高中圧タービン及び中圧タービンに作用する遠心力及び蒸気の曲げ力を抑制できる。
しかも、高中圧タービンの高圧部を通過した蒸気のうち中圧タービンに導かれないものは、外部に一旦排気されるのではなく、そのまま中圧部を流れるから、高中圧タービンの高圧部に独自の排気エリアを設ける必要がなく、その分だけロータ全体の軸方向長さは短くなる。また、蒸気通路により中圧タービンに導かれるのは蒸気の一部であり、蒸気通路はそれほど大径にする必要はないから、中圧タービンの入口への蒸気通路の接続箇所は比較的コンパクトであり、その分だけロータ全体の軸方向長さは短くなる。
なお、以下で説明する蒸気タービンは、蒸気の体積流量が大きい原子力発電プラントに特に好適に用いることができるが、火力発電プラントを含む他のプラントに本発明に係る蒸気タービンを適用してもよいことはいうまでもない。
以下、原子力発電プラントに用いられる第1実施形態の蒸気タービンについて説明する。図1は第1実施形態の蒸気タービンを示す図である。同図に示すように、蒸気タービン1は、単流方式の高中圧タービン2と、単流方式の中圧タービン4と、高中圧タービン2と中圧タービン4との間に設けられる蒸気通路6とにより構成される。
なお、本実施形態において、高中圧タービン2と中圧タービン4とを同一車室に収納できるのは、後述するように、図6に示した蒸気タービン100に比べてロータ全体の軸方向長さが短くなり、軸振動が起こりにくいからである。
なお、中圧タービン4の出口における蒸気の圧力は、特に限定されないが、高中圧タービン2の出口(中圧部2Bの出口)における蒸気の圧力と同等に設定してもよい。高中圧タービン2と中圧タービン4から流出した蒸気を、一度合流させてから低圧タービンへと流入させ、又は合流させなくとも同一仕様の低圧タービンへ流入させることができるからである。
なお、蒸気通路6は、高中圧タービン2及び中圧タービン4を収納する高中圧車室の内部のみに形成されてもよいし、一部が高中圧車室の外部に形成されていてもよい。蒸気通路6が高中圧車室の内部のみに形成されておれば、補機も含めたタービン全体のコンパクト化を図ることができる。また、蒸気流路6の一部が高中圧車室の外部に形成されておれば、後述する湿分分離機構や加熱機構の付加が容易となる。
そして、高中圧タービン2の蒸気入口から導入された蒸気は、高圧部2Aにおいて膨張した後、そのまま中圧部2Bを流れる蒸気(第1蒸気)と中圧タービン4に導かれる蒸気(第2蒸気)に分流される。この後、第1蒸気は、高中圧タービン2の中圧部2Aで膨張し、低圧タービン(不図示)に導かれる。一方、第2蒸気は、中圧タービン4において膨張し、低圧タービン(不図示)に導かれる。
ここで、高中圧タービン2は単流方式であるから、高中圧タービン2の蒸気入口側(高圧部2A)で蒸気は分流されない。よって、蒸気の大容量化を上回る蒸気の高圧化がなされても、高中圧タービン2の蒸気入口側(高圧部2A)の翼高さを極端に低くする必要がない。このため、境界層におけるロスに起因するタービン性能の低下を抑制できる。
また、高中圧タービン2及び中圧タービン4は単流方式であるが、高中圧タービン2の高圧部2Aに流入した蒸気の一部は、途中で分流されて中圧タービン4を流れる(言い換えると、高中圧タービン2の中圧部2B及び中圧タービン4が擬似的な複流方式を実現する)ので、高中圧タービン2の中圧部2Bと中圧タービン4との出口における蒸気の体積流量は抑えられる。よって、高中圧タービン2及び中圧タービン4に作用する遠心力及び蒸気の曲げ力の増大を抑制できる。
しかも、高中圧タービン2の高圧部2Aを通過した蒸気のうち中圧タービン4に導かれないものは、外部に一旦排気されるのではなく、そのまま中圧部2Bを流れるから、図6に示した高圧タービン102の排気エリアAに相当するものを設ける必要がない。すなわち、図1に示すように、蒸気タービン1における排気エリアは、高中圧タービン2の中圧部2Bの出口部分(図1中、Cで示した箇所)と中圧タービン4の出口部分(図1中、Dで示した箇所)だけであり、高中圧タービン2の高圧部2Aに対して独自の排気エリアを設ける必要がない。
また、蒸気通路6により分流されるのは蒸気の一部であり、蒸気通路6は、図6に示した再熱ライン106に比べて小径にできるから、中圧タービン4の入口への蒸気通路6の接続箇所(図1中、Eで示した箇所)はそれほどスペースが必要でない。よって、蒸気タービン1は、蒸気タービン100に比べてロータ全体の軸方向長さが短くなるから、軸振動があまり問題にならず、高中圧タービン2と中圧タービン4とを同一車室(高中圧車室)に収納できる。これにより、高中圧車室のロータ貫通部分に設けられる軸受8及びグランド10の数を最小限(2個ずつ)にして、軸受8による摩擦損失や、グランド10からの蒸気漏れを抑制できる。
図2は第2実施形態の蒸気タービンを示す図である。図3は、図2に示す蒸気タービンを備える原子力発電プラントの構成例を示す図である。
なお、図2に示した蒸気タービン20は、蒸気通路6に湿分分離加熱器22を設けた点を除けば、第1実施形態の蒸気タービン1と共通する。したがって、ここでは、第1実施形態の蒸気タービン1と共通する部分については、図1と同一の符号を付してその説明を省略する。
このように、湿分分離加熱器22によって、高中圧タービン2の途中で分流された蒸気の湿分を除去し、さらに蒸気を加熱することで、蒸気に含まれる水滴に起因する中圧タービン4のエロージョンや性能低下を防止するとともに、蒸気タービン20のサイクル熱効率を向上させることができる。
あるいは、デミスター44は、図5に示すシェブロン型のものに替えて、ワイヤーメッシュ型のものを用いてもよい。ワイヤーメッシュ型のデミスター44では、サイクル蒸気がデミスター44に衝突する際、湿分がワイヤーの表面に水滴として付着して、重力により落下することで、サイクル蒸気中の湿分が分離される。
この場合、例えば、蒸気通路6が高中圧車室の内部のみに形成されている場合は、シェブロン型のデミスターやワイヤーメッシュ型などの湿分分離機構を高中圧車室内部の蒸気通路6に組み込むことができる。また、蒸気流路6の一部が高中圧車室の外部に形成されておれば、シェブロン型やワイヤーメッシュ型などの構成を有する湿分分離器をタービンの近傍に設置することができる。
2 高中圧タービン
2A 高圧部
2B 中圧部
4 中圧タービン
6 蒸気通路
8 軸受
10 グランド
12 ダミー
20 蒸気タービン
22 湿分分離加熱器
30 原子力発電プラント
32 低圧タービン
34 湿分分離加熱器
36 復水器
40 胴体
42 加熱器チューブ
44 デミスター
46 整流多孔板
50 サイクル蒸気入口
52 サイクル蒸気出口
54 加熱蒸気入口
56 加熱蒸気出口
58 ドレン排出口
60,62 枠
64 曲板
66 補修板
68 溝
100 蒸気タービン
102 高圧タービン
104 中圧タービン
106 再熱ライン
108 軸受
110 グランド
Claims (8)
- 蒸気入口から導入された蒸気が、高圧部及び該高圧部の後流側の中圧部を経て蒸気出口へと流れる単流方式の高中圧タービンと、
単流方式の中圧タービンと、
前記高中圧タービンの前記高圧部と前記中圧部との間の位置を前記中圧タービンの入口に連通する蒸気通路とを備え、
前記高中圧タービンの前記高圧部を通過した蒸気の一部が、前記蒸気通路を介して前記中圧タービンに導かれることを特徴とする蒸気タービン。 - 前記高中圧タービンと前記中圧タービンとが同一車室に収納されたことを特徴とする請求項1に記載の蒸気タービン。
- 前記蒸気通路に設けられ、該蒸気通路を流れる蒸気の湿分を分離する湿分分離機構をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気タービン。
- 前記蒸気通路に設けられ、該蒸気通路を流れる蒸気を加熱する加熱機構をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の蒸気タービン。
- 前記高中圧タービンの前記中圧部を流れる蒸気の流量と、前記中圧タービンを流れる蒸気の流量とが略等しいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸気タービン。
- 前記高中圧タービンと前記中圧タービンとは同一軸に配置されており、
前記高中圧タービンにおける蒸気流れの方向と、前記中圧タービンにおける蒸気流れの方向とは互いに逆方向であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸気タービン。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の蒸気タービンを備える発電所。
- 蒸気入口と蒸気出口との間に、高圧部及び該高圧部の後流側の中圧部が設けられた単流方式の高中圧タービンと、単流方式の中圧タービンとを有する蒸気タービンの運転方法であって、
前記高中圧タービンの蒸気入口から導入される蒸気を前記高圧部において膨張させるステップと、
前記高中圧タービンの前記高圧部を通過した蒸気を、第1蒸気と第2蒸気に分流するステップと、
前記第1蒸気を前記高中圧タービンの前記中圧部で膨張させるとともに、前記第2蒸気を前記中圧タービンに導いて該中圧タービンで膨張させるステップとを備えることを特徴とする蒸気タービンの運転方法。
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