JP2012121860A - 新規テトラヒドロピラニル化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
最近では、電子写真装置の高速化あるいは装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の高速応答性ならびに安定性がより一層重要な課題となっている。高温高湿条件など、様々な環境下で感光体を使用することを想定した場合、電荷輸送層中の低分子電荷輸送材料が結晶化または相分離し、結果としてクラックを生じ、画像欠陥の原因となることが予想される。そのため、電荷輸送層にクラックが起こりにくい、すなわち他の組成物との相溶性がよく、電荷輸送材料そのものが結晶化しにくい感光体が必要とされるようになってきた。電荷輸送材料としては、トリフェニルアミン構造を有する化合物が知られているが、これらの材料は結晶化しやすく、感光体にクラックが起こりやすい。
しかし、特許文献1に記載されているテトラヒドロピラニル化合物は、テトラヒドロピラニル基が酸素原子を介して直接N−フェニル環に結合しているので、電荷輸送特性が落ちる。また、オキシプロピル基を介した場合、電荷輸送材料が低粘性化し、高温高湿時に表面に遊離しやすく、感光体表面が低抵抗化し、結果として画像流れしやすくなるという問題があった。
従って、これらの技術では、有機電子写真感光体に求められる電気的な特性、耐クラック性をも含めた総合的な耐久性を十二分に満足するには至っていない。
即ち、本発明は以下の通りである。
(2)前記(1)記載のテトラヒドロピラニル化合物からなることを特徴とする電荷輸送材料。
本発明は、下記一般式(1)で表されるテトラヒドロピラニル化合物に関する。
(1)テトラヒドロピラニル基はシクロへキシル基の2位が酸素原子に置換された構造であり、立体的にかさ高いために、電荷輸送材料の結晶化を抑制することが出来る。
(2)また、エーテル結合を持つので、ポリカーボネート等の結着樹脂との相溶性が高くなる。
(3)本発明における新規テトラヒドロピラニル化合物は、テトラヒドロピラニル基が、オキシメチレン基を介して電荷輸送性のN−フェニル環に結合することにより、電気特性の低下および電荷輸送材料の低粘性化を抑えることができ、上記の効果が発生する。ここで、エーテル結合部の酸素原子が電荷輸送性のN−フェニル環に直接結合すると、電荷輸送材料のドナー性が低下し、電気特性が低下する。一方、オキシプロピル基を介すると電気特性の低下は抑制できるが、電荷輸送材料が低粘性化するため、高温高湿環境において表面に遊離しやすく、表面が低抵抗化し、結果として画像流れが発生する。
従って、本発明のテトラヒドロピラニル化合物は、有機電子写真感光体、有機発光素子、有機TFT、有機太陽電池等の有機電荷輸送材料を用いた有機半導体デバイスに使用される電荷輸送材料として有用である。
下記反応式に示すように電荷輸送性化合物を原料とし、これを従来知られている方法(例えばビルスマイヤー反応)を用いてホルミル化し、アルデヒド化合物を合成することができる。特許第3943522号記載のホルミル化等が挙げられる。
すなわち、上記の具体的なホルミル化の方法としては、塩化亜鉛/オキシ塩化リン/ジメチルホルムアルデヒドを用いた方法が有効であるが、本発明のテトラヒドロピラニル化合物の中間体であるアルデヒド化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。
下記反応式に示すようにアルデヒド化合物を製造中間体とし、これを従来知られている還元方法を用いてメチロール化合物を合成することができる。
下記反応式に示すようにメチロール化合物を製造中間体とし、これをジヒドロ−2H−ピランとを反応させて、テトラヒドロピラニル化合物を合成することができる。
下記反応式に示すようにアミン化合物と[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を有するハロゲン化合物を製造中間体とし、これを従来知られている合成方法を用いてテトラヒドロピラニル化合物を合成することができる。尚、以下の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を有するハロゲン化合物において、[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の結合位置はハロゲンに対してメタ位またはパラ位である。
合成例1(例示テトラヒドロピラニル化合物III−1の製造原料として用いたメチロール化合物の合成)
図1に、実施例1で得られたテトラヒドロピラニル化合物の赤外吸収スペクトル図(液膜法)を示す。
合成例3(例示テトラヒドロピラニル化合物中間体の合成(1))
図2に、実施例2で得られたテトラヒドロピラニル化合物の赤外吸収スペクトル図(液膜法)を示す。
合成例5(例示テトラヒドロピラニル化合物中間体の合成(2))
図3に、実施例3で得られたテトラヒドロピラニル化合物の赤外吸収スペクトル図(液膜法)を示す。
合成例7(例示テトラヒドロピラニル化合物I−2の合成)
図4に、実施例4で得られたテトラヒドロピラニル化合物の赤外吸収スペクトル図(液膜法)を示す。
合成例8(例示テトラヒドロピラニル化合物I−5の合成)
図5に、実施例5で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(液膜法)を示す。
合成例9(例示テトラヒドロピラニル化合物I−7の合成)
図6に、実施例6で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(液膜法)を示す。
[実施例7](応用例1)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層を形成した(感光体(1))。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末(タイベークCR−EL:石原産業製): 400部
メラミン樹脂(スーパーベッカミンG821-60:大日本インキ製): 65部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401-50:大日本インキ製): 120部
2−ブタノン: 400部
下記構造のフルオレノン系ビスアゾ顔料: 12部
2−ブタノン: 200部
シクロヘキサノン: 400部
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ:帝人化成製): 10部
例示テトラヒドロピラニル化合物III−1: 10部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例7における例示テトラヒドロピラニル化合物III−1を、例示テトラヒドロピラニル化合物II−1に変えた以外は、実施例7と同様にして感光体(2)を作製した。
[実施例9](応用例3)
実施例7における例示テトラヒドロピラニル化合物III−1を、例示テトラヒドロピラニル化合物I−2に変えた以外は、実施例7と同様にして感光体(3)を作製した。
※画像評価基準 : ○:異常なし、×:画像流れ発生、実用化できない
結果を表1に示す。
実施例10(応用例4)
アルミ板上に下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、0.3μmの下引き層、0.3μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成して感光体(10)を作製した。
◎下引き層用塗工液
ポリアミド樹脂(CM−8000:東レ社製): 2部
メタノール: 49部
ブタノール: 49部
下記構造式のビスアゾ顔料: 2.5部
シクロヘキサノン: 200部
メチルエチルケトン: 80部
◎電荷輸送層用塗工液
ビスフェノールZポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成社製): 10部
電荷輸送性化合物(例示テトラヒドロピラニル化合物III−1): 10部
テトラヒドロフラン: 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液
(KF−50−100CS、信越化学工業社製): 0.2部
実施例10における例示テトラヒドロピラニル化合物III−1を、例示テトラヒドロピラニル化合物II−1に変えた以外は、実施例10と同様にして感光体(11)を作製した。
実施例12(応用例6)
実施例10における例示テトラヒドロピラニル化合物III−1を、例示テトラヒドロピラニル化合物I−2に変えた以外は、実施例10と同様にして感光体(12)を作製した。
上記感光体(10)〜(18)の表面10mm×10mmに指脂を付着させ、45℃/43%RHの暗所環境下に1週間放置させてのち顕微鏡にてソルベントクラックの有無を観察した。
※クラック評価 :
○:発生なし、△:5本未満の発生、×:5本以上(ほぼ全面クラック)の発生
結果を表2に示す。
また、テトラヒドロピラニル基を有さない化合物(I)、(II)を用いた感光体(13)、(14)では、ほぼ全面にクラックが見られたのに対し、本発明のテトラヒドロピラニル化合物を用いた感光体(10)〜(12)はクラックが発生しなかった。
Claims (2)
- [(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を有する、下記一般式(1)で表されるテトラヒドロピラニル化合物。
- 請求項1記載のテトラヒドロピラニル化合物からなることを特徴とする電荷輸送材料。
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JPH10195131A (ja) * | 1996-12-24 | 1998-07-28 | Thomson Csf | 光重合性正孔注入ポリマー及び表示におけるその使用 |
JP2006084711A (ja) * | 2004-09-15 | 2006-03-30 | Fuji Xerox Co Ltd | 電子写真感光体用添加物、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ |
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