JP2012112016A - 溶銑の脱りん方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶銑鍋での脱りん処理において、スラグフォーミングによる操業阻害が無く効率よく脱りん処理する方法を提供する。
【解決手段】溶銑鍋に収容された、[Si]0.10〜0.25質量%含有溶銑に、脱りん剤としてCaO源を供給するとともに、溶銑トンあたり0.28〜0.36Nm3/min/tの気体酸素を上吹きランスから溶銑表面へ吹き付けて、スラグ塩基度(CaO質量%/SiO2質量%)が2.5〜6.5になるように調整して脱りん処理する際に、CaO源のうち20質量%以上を、粒径1mm以下であってCaOを80質量%以上含有する粉体CaO源として、気体酸素の供給速度FO2:(Nm3/min/t)と粉体CaO源に含まれるCaO供給速度RPB:(kg/min/t)の比FO2/RPBを0.4〜1.4の範囲に制御しつつ、上吹きランスを通じて供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は溶銑鍋において、溶銑に脱りん処理を高能率かつ高効率で施す方法に関する。
溶銑の脱珪、脱りん処理としては、例えば特許文献1に転炉型脱りん炉を用いて高速で酸素を吹き込み、短時間で脱珪、脱りん処理を同時に行なう方法が示されている。しかしこの方法では溶銑鍋やトーピードカー等フリーボードの小さい溶銑保持容器ではスラグフォーミングにより操業が困難となる。
溶銑鍋やトーピードカーでの溶銑の脱珪、脱りん処理としては、例えば特許文献2に、脱りん処理前[Si]≦0.10質量%に脱珪した溶銑に、上吹きランスを通じた精錬剤の添加速度A(kg/min)と気体酸素の添加速度B(Nm/min)の比が0.3≦A/B≦1.0を満足するように精錬剤と気体酸素を吹き付けることで、従来よりも脱りん効率を向上させる処理方法が示されている。しかし、脱りん処理前の十分な脱珪が必要であり、処理前[Si]≦0.10質量%にする脱珪は脱珪と脱燐を総合した処理時間の延長や耐火物への負荷増大に繋がる。さらにCaOの滓化を妨げることもあるため、脱りん処理効率の低下や処理時間の延長につながる問題がある。
また、特許文献2に記載された発明では、スラグフォーミング防止に関しては酸素供給速度を0.7Nm/min/t以下と説明しているのみで、脱りん処理時間の短縮や所定の処理時間内で脱りん処理効率を高める工夫については説明が無い。脱りん処理前Si≦0.1%とする脱珪処理に注力しているためと解される。
特開2003−105419号公報 特開2003−328023号公報
そこで本発明は、溶銑鍋での高能率かつ高効率脱りん処理において、スラグフォーミングによる操業阻害が無く従来よりも効率よく脱りん処理する方法を提案することを目的とする。
本発明は、[Si]=0.10〜0.25質量%、[P]=0.050〜0.120質量%、[C]=3.5〜4.5質量%を含有する溶銑における脱りん率を85%以上、望ましくは90%以上とする。このとき、処理後溶銑中[P]は0.015%以下となる。
溶銑予備処理としては、一般に溶銑の脱珪、脱燐、脱硫が適宜実施されている。このうち、溶銑の脱珪処理は、溶銑の脱りん処理を高能率・高効率化する観点から実施内容が検討されている。
溶銑Siは、溶銑脱燐時に溶融スラグを生成させるために必要であるが、そのSi%が高過ぎるとスラグの塩基度を高めるためのCaOを多く必要とし、スラグ生成量が多くなってしまう。その結果、CaOコストが嵩むほか、鍋脱燐の場合には鍋内にスラグが収まりきらなくなってしまうので、溶銑処理トン数を低下させなければならない事態が生じ、生産性の低下を招く。したがって、溶銑Si%の上限は0.25質量%とすることが適当である。
一方、溶銑Si%が低過ぎるとスラグを生成させにくくなり、脱燐が進みにくくなってしまう。また、Si%が0.10質量%未満の状態では、溶銑の脱珪処理時に溶銑中のCやFeが酸化され易くなるので、脱珪処理に過大な手間を要することになる。したがって、溶銑Si%の下限は0.10質量%とするのが適当である。
溶銑脱りん処理において、その処理を高能率かつ高効率で行うためには、酸素供給速度やCaO供給速度を高めなければならないが、それらの速度は脱りん反応を進めるための所要時間およびスラグフォーミング許容限界によって制限される。脱りん反応を進めるための所要時間は、主として酸素およびCaOの供給速度ならびに生成スラグと溶銑との反応速度によって定まる。
酸素供給速度を高めること自体は容易であるが、過剰な酸素供給速度増加は、CaOの供給速度や滓化速度とのバランスがとれていないと、処理時間の短縮には繋がらないばかりか、スラグフォーミングが激しくなって、脱りん処理を中断しなければならない危険性が高くなる。また、CaOの供給速度は、供給されたCaOの滓化(溶融スラグ化)によって規制される。この滓化速度は、CaOが供給されるスラグの塩基度に影響されるが、適切な範囲の塩基度であれば、CaOを粉状で酸素ガスと共に溶銑に吹き付ける事によって向上させることができる。
このような条件では、処理後スラグ塩基度(CaO質量%/SiO質量%)は2.5〜6.5程度が適当である。
本発明は高能率での脱りん処理を目的とするため、塩基度は高い方が良い。また、スラグフォーミングを抑制するためにも、塩基度が高い方が良い。したがって、処理後のスラグ塩基度を2.5以上とする。但し、処理後スラグ塩基度を高くすると、添加したCaO源の溶融滓化が進行し難くなるし、生成したスラグの流動性も低下する。したがって、供給するCaO源のうち、少なくとも一部を粒径1.0mm以下の粉状とし、供給するCaO源に含まれるCaO質量のうちで、上吹きランスを通じて供給される上吹き酸素が溶銑と反応している場所に供給されるCaO質量の比率が20%以上になるように調整して、CaOの溶融滓化を促進し、脱燐効率を高める。
但し、それでも処理後スラグ塩基度が高くなり過ぎるとCaOの滓化率低下やスラグの流動性低下が許容限度を超えてしまい、却って脱燐進行が遅くなってしまうので、本発明における処理後スラグの塩基度は6.5以下が適当である。
また、本発明は高能率での脱りん処理を目的とするため、酸素供給速度も高くする必要がある。本発明では溶銑鍋を用いて脱りん処理するところ、一般に酸素量はフリーボード高さや処理時間に応じ定められている。また、処理時間は酸素供給速度を高くするほど短くできるという関係があり、処理時間が短い方が熱ロスが少ない上に操業の自由度が高まるので好ましい。しかし、一般に酸素供給速度が高くなると、スラグフォーミングが激しくなる。したがって、溶銑鍋を用いた溶銑脱りん処理を高能率化するためには、スラグフォーミングの抑制という課題を解決しなければならない。
近年、溶銑鍋を用いた溶銑脱りん処理にも高能率化が求められるようになり、脱りん処理時間(上吹きランスから溶銑へ向けての酸素吹付け時間)を25分以下にする必要が生じてきた。この処理時間短縮の要請に応えるためには、前述した溶銑を対象として、該溶銑トンあたり0.28Nm/min以上の気体酸素を浴面に吹き付けることが必要と、従来実績から把握できている。
但し、一般に酸素供給速度が高くなるとスラグフォーミングが激しくなる上に、処理時間が短くなると脱燐も難しくなるので、必要以上に酸素供給速度を高める意義は無い。本発明においては、酸素供給速度は溶銑トンあたり0.36Nm/min以下で十分である。
本発明は、以上の基本的条件を前提として溶銑脱りん処理を行う。但し、それらの条件を満たすだけではスラグのフォーミングが激しい場合が多く発生するので、安定して脱りん処理時間25分以下を達成することができない。スラグフォーミングが激しくなると溶銑鍋からスラグがあふれてしまう、いわゆるスロッピング現象が発生するので、酸素供給速度を低くしてスラグが鎮静するのを待たなくてはならなくなるためである。
そこで、所定の処理条件下で、スラグフォーミングが激しかった場合と激しくなかった場合につき、その違いが生じる原因を調査して、粉状でのCaO供給比率とスラグフォーミング高さとの関係を把握した上で気体酸素の供給速度FO2:(Nm/min/t)と該粉体CaO源に含まれるCaO供給速度RPB:(kg/min/t)の比(FO2/RPB)がスラグフォーミングと脱燐能力に及ぼす影響を解明し、次の本発明を完成するに至った。
溶銑鍋に収容された、[Si]を0.10質量%以上0.25質量%以下含有する溶銑に、脱りん剤としてCaO源を供給するとともに、該溶銑トンあたり0.28Nm/min/t以上0.36Nm/min/t以下の気体酸素を上吹きランスから該溶銑表面へ吹き付けて、処理後スラグ塩基度(CaO質量%/SiO質量%)が2.5以上6.5以下になるように調整して溶銑を脱りん処理する際に、前記脱りん剤として供給するCaO源のうち、CaOを質量比率で20%以上を、粒径1mm以下であってCaOを80質量%以上含有する粉体CaO源として、前記気体酸素の供給速度FO2(単位:Nm/min/t)と該粉体CaO源に含まれるCaO供給速度RPB(単位:kg/min/t)の比(FO2/RPB)を下記(1)式の範囲に制御しつつ、前記気体酸素が吹き付けられている溶銑浴面と同一の範囲内に該粉体CaO源を上吹きランスを通じて供給することを特徴とする溶銑脱りん処理中のスラグフォーミング抑制方法。
0.4≦FO2/RPB≦1.4・・・・・(1)
本発明によれば、比FO2/RPBを0.4〜1.4の間に制御することにより、スラグフォーミングによる操業阻害無く、送酸速度を高位に保ったまま効率良く脱珪、脱りん処理できる。
粉状でのCaO供給比率とスラグフォーミング高さとの関係を示すグラフである。 気体酸素投入速度FO2と上吹きCaO吹き込み速度RPBとの関係を示すグラフである。 O2が0.28〜0.36Nm/min/tの範囲とした処理における、比FO2/RPBと脱りん率との関係を示すグラフである。
本発明では、溶銑鍋に入れた溶銑にCaO源を添加し、必要に応じて酸化鉄源をさらに添加して、浸漬ランス等からガスを吹き込んで溶銑と溶銑上にあるスラグ、添加CaO源および酸化鉄源とを撹拌混合しつつ、溶銑上方に設置した上吹きランスから酸素ガスおよび粉状CaO源を溶銑に吹き付けて、脱りん処理を進める。
対象とする溶銑は、基本的には高炉から出銑された溶銑に適宜脱珪処理を施したものであるが、本発明に係る脱りん処理の前に他の脱珪、脱燐、脱硫処理が施されていても、溶銑中の含有成分がC:3.5〜4.5%、Si:0.10〜0.25%、P:0.05〜0.120%の範囲であれば、本発明の実施対象として差し支えない。
処理後の溶銑成分は、C:3.5〜4.3%、Si≦0.02%、P≦0.015%の範囲で、脱りん率が85%以上とする。
脱りん処理は、溶銑中への撹拌ガスの吹き込み開始後、上吹きランスから酸素ガスの吹き付けを開始し、その酸素ガスの吹き付け開始とほぼ同時に(具体的には1分間以内に)粉状CaO源の吹き付けを開始して始める。その後、撹拌ガスの吹込みを継続しつつ、上吹きガスからの酸素ガスの吹き付けを継続し、その吹付け時間が25分間以内で脱りん処理を終了する。
上吹き酸素の流量は、対象溶銑の質量(トン)当たり0.28〜0.36Nm/minとする必要があり、それに対応して撹拌ガスの流量を、対象溶銑の質量(トン)当たり0.10〜0.30Nm/minとすることが望ましい。上吹き酸素は、工業用純酸素を用いれば良いが、酸素濃度が80%以上の気体により供給してもよい。
処理後スラグの塩基度(CaO質量%/SiO質量%)は、2.5〜6.5になるように、CaO源を添加する。CaO源には、CaOが質量で80%以上のものを、粒径30mm以下の塊状または粒径1mm以下の粉状で用いる。このCaO源には、CaOが92質量%以上の生石灰が代表的であるが、ほかに石灰石や転炉スラグなどのCaOを40質量%以上含むCaO源を生石灰と混ぜて、混合物としてのCaO質量濃度が80%以上あればよい。
CaO源の添加方法は次のとおりである。すなわち、塊状CaO源は溶銑の上方から溶銑に適宜投入し、粉状CaO源は上吹きランスからの酸素ガスが溶銑と直接反応している高温領域に吹き付ける。
ここで、この溶銑浴面の高温領域に吹き付ける粉状CaO源は、当該粉状CaO源中のCaO質量が塊状CaO源中のCaO質量と粉状CaO源中のCaO質量との合計に対し20%以上の比率になるように調整して吹き付ける。粉状CaO源のキャリアーガスは、上吹きランスから溶銑に吹き付ける酸素ガスであっても良いし、別のルートから窒素ガス等を用いてその高温領域に吹き付けることにしても良い。粒径1.0mm以下の粉状CaO源を酸素とともに溶銑に吹き付けると、溶銑の脱燐が促進されることは特許文献1や特許文献2によって公知である。その粉状CaOで供給するCaOの質量比率を20%以上にすると、本発明においても脱燐成績(脱りん率)が向上する。
本発明では、さらに、その脱燐成績の向上に加えて、粉状CaOの利用によりスラグフォーミングを抑制できる可能性に着目し、そのフォーミング抑制効果を安定して享受できる条件を解明して、開示する。
図1には、前記したように、処理前成分がC:3.5〜4.5%、Si:0.10〜0.25%、P:0.05〜0.120%の溶銑75tを溶銑鍋に入れて、上吹きランスの先端から酸素ガスを0.28〜0.36Nm/min/tの範囲で溶銑に吹き付け、その酸素吹き付け期間中に粒径1.0mm以下の粉状生石灰を、気体酸素の供給速度FO2:(Nm/min/t)と該生石灰に含まれるCaO供給速度RPB:(kg/min/t)の比(FO2/RPB)を0.4〜1.4の範囲に制御しつつ、上吹き酸素が溶銑と反応している部分に上吹き酸素とともに供給して、処理後スラグの塩基度を2.5〜6.5とした場合の、粉状でのCaO供給比率とスラグフォーミング高さとの関係を調査した結果を示す。
この調査における溶銑鍋内のフリーボード(溶銑浴面から溶銑鍋の内壁上端までの高さ)は、1.5mであり、スラグフォーミング高さが1.5mを超え、大規模なスロッピングが生じた処理は「スロッピング大」として「記号:×」で示した。また、スラグフォーミング高さが1.0m以上1.5m以下の場合には「スロッピング中」として「記号:▲」で示し、スラグフォーミング高さが1.0m未満の場合には「スロッピング小」として「記号:○」で示した。
粉状CaO比率を20質量%以上にするとスラグフォーミング高さを1.5m未満に抑制することができ、その比率をさらに高めることによってフォーミング高さを一層低く抑制することができることが確認できた。さらに、このスラグフォーミング抑制効果は、特に粉体CaO比率が20〜50質量%の範囲では、その比率が高いほど顕著に現われることも分かった。
但し、粉体CaO比率が20質量%以上であってもスラグフォーミング高さのバラツキは大きく、粉体CaO比率以外にもスラグフォーミングを抑制する要件があると考えられた。
そこで、粉体CaO比率が20〜50質量%の範囲で、スラグフォーミングによる操業阻害を安定して防止できる要件をさらに調査した。
粉体CaO比率を高くするとスラグフォーミングが抑制されることから、粉体CaOの供給方法がスラグフォーミングの抑制と深く関わっていることが予測できたので、効率よく脱りん処理を行う目的も併せて、気体酸素源投入速度FO2(Nm/min)と上吹きCaO吹き込み速度RPB(kg/min)との比(FO2/RPB)に注目した。
前記した溶銑に脱りん処理を施すにあたり、脱りん剤として供給するCaO源のうち、粒径1mm以下であってCaOを80質量%以上含有する粉体をCaO源として質量比率で20〜50%を、前記気体酸素が吹き付けられている溶銑浴面と同一の範囲内に該粉体CaO源を上吹きランスを通じて供給した。
この調査における粉体CaO供給比率以外の脱りん処理条件は、上吹きランスの先端からの酸素ガス流量を0.18〜0.44Nm/min/tの範囲に拡げていることと、FO2/RPBを、0.3〜4.0に拡げていること以外は、前記した粉体CaO供給比率とスラグフォーミング高さとの関係を調査した条件に同じである。
調査結果を、図2に示す。
この図において、FO2が本発明において用いる0.28Nm/min/tより少ない場合には、処理中にスラグが鍋から溢れ出てしまうような激しいスラグフォーミング(×印)は発生しなかった。これは酸素供給速度が低いことによってCOガス等の発生量が低下し、脱りん処理が穏やかに進行するようになったためである。しかし、前述したように、FO2が0.28Nm/min/tより少なくては、本発明で目的とする25分間以下の脱りん処理時間を達成することができない。
O2が0.28Nm/min/t以上になると、激しいスロッピングが発生することがあるほか、スラグフォーミング高さが1.0を超えて1.5mに迫るような場合(▲印)が多くなり、安心して脱りん処理を続けることができなくなってしまう比率が高まる。
しかし、FO2/RPBを1.4以下とした場合には、FO2の値に関係なくスラグフォーミング高さは1.0m以下(○印)であった。
O2が同一の場合、RPBを高くするとスラグフォーミング高さが低下するが、その理由は粉状で供給されるCaOが溶銑浴面で全て溶融滓化する訳でなく、その一部がスラグ層内にCaO粉のまま懸濁してフォーミングスラグを形成している気泡の破泡効果を発揮するためと解する。前述比FO2/RPBが1.4より大きい場合は、気体酸素源+固体酸素源供給速度に対して上吹きCaO吹き込み速度が小さすぎるため、COガスの発生に伴う気泡生成速度に対して上吹きCaOによる気泡消滅速度が追いつかないためにスラグフォーミングが発生すると考えることができる。これにより処理中の送酸速度を高めることができず処理時間短縮ができない。
一方、本発明の目的は溶銑鍋における溶銑脱りん処理の高能率化であるから、溶銑脱りん処理中のスラグフォーミングを抑制できるだけでなく、脱燐能力も高くなくてはならない。
この観点から、前記した調査のうちで、FO2が0.28〜0.36Nm/min/tの範囲とした処理における、FO2/RPBと脱りん処理結果との関係を調査した。
その結果を、図3に示す。
この結果、FO2/RPBが0.4未満では脱りん能が劣り、所定の脱燐目標(脱りん率85%以上)を安定して達成することができないと分かった。
前述比FO2/RPBが0.4より小さい場合は、気体酸素源供給速度に対して上吹きCaO吹き込み速度が大きすぎるため、火点及び火点付近のスラグを冷却しすぎ、CaOの滓化不良を招き、その結果脱りん不良が発生すると考えられる。この点で、FO2/RPBが0.7以上なら、脱りん率90%以上が達成できるので好ましい。
一方、スラグフォーミングに問題の無いFO2/RPBが0.4〜1.4の範囲、およびスラグフォーミングに問題のあるFO2/RPBが1.4を超える範囲では、脱りん能が十分に高く、所定の脱燐目標(脱りん率85%以上)を安定して達成することができる。
なお、FO2/RPBが1.8の例では脱りん能がやや劣っていたが、これはスロッピングが激しかったためにスラグの脱燐能力が少し低下したためと考える。
今回発明した溶銑予備処理方法の実施例を示す。
精錬炉として溶銑鍋を使用し、処理前C:4.3〜4.5質量%、Si:0.10〜0.25質量%、Mn:0.25〜0.40質量%、P:0.08〜0.09質量%の溶銑75トンを吹錬した。溶銑の攪拌には浸漬ランスを使用し、不活性ガスを吹き込んだ。
上吹きランスからの酸素上吹きをFO2=0.29Nm/min/tと設定することで、処理時間25分以下を問題なく達成できている。CaO源は上吹きランスより気酸火点へ吹き付けた。その際に気体酸素源(FO2)と粉体吹込量(RPB)の比が、FO2/RPB=0.4〜1.4となる様に処理を実施した。
表1に気体酸素源(FO2)[Nm/min]と上吹きの粉体吹き込み量(RPB)[kg/min]の比FO2/RPBを示す。
Figure 2012112016
発明例1〜3は、FO2/RPBが0.7〜1.2で、いずれもスラグフォーミング高さは1.0m以下で問題無く、かつ、脱りん率も90%以上と好ましい結果であった。
比較例1〜3はFO2/RPB=0.1〜0.3の例であり、スラグフォーミングは抑制されていたが、滓化不良により脱りん率が本発明よりも低位で、目標未達であった。
比較例4〜6はFO2/RPB=1.6〜1.8で、スラグフォーミングが大きく、安定操業は困難な状態であった。今回実施例よりも、送酸速度を落とす必要がある。
これらの実施例に基づく知見から、FO2/RPB=0.4〜1.4の範囲内にあればスラグフォーミング無く従来よりも効率よく脱珪、脱りん処理することが可能である。

Claims (1)

  1. 溶銑鍋に収容された、[Si]を0.10質量%以上0.25質量%以下含有する溶銑に、
    脱りん剤としてCaO源を供給するとともに、該溶銑トンあたり0.28Nm/min/t以上0.36Nm/min/t以下の気体酸素を上吹きランスから該溶銑表面へ吹き付けて、
    処理後スラグ塩基度(CaO質量%/SiO質量%)が2.5以上6.5以下になるように調整して溶銑を脱りん処理する際に、
    前記脱りん剤として供給するCaO源のうち、CaOを質量比率で20%以上を、粒径1mm以下であってCaOを80質量%以上含有する粉体CaO源として、
    前記気体酸素の供給速度FO2(単位:Nm/min/t)と該粉体CaO源に含まれるCaO供給速度RPB(単位:kg/min/t)の比(FO2/RPB)を下記(1)式の範囲に制御しつつ、
    前記気体酸素が吹き付けられている溶銑浴面と同一の範囲内に該粉体CaO源を上吹きランスを通じて供給すること
    を特徴とする溶銑脱りん処理中のスラグフォーミング抑制方法。
    0.4≦FO2/RPB≦1.4・・・・・(1)
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