JP2012111879A - 樹脂組成物及び多層成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、グラフト変性ポリオレフィン(C)、および不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を含有することを特徴とする樹脂組成物、及び、該樹脂組成物からなる層を含むことを特徴とする多層成形体。
【選択図】 なし
Description
ロピレン系樹脂を用いた多層成形体において、上記問題の解決は遥かに困難であった。
[1] ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、グラフト変性ポリオレフィン(C)、および不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を含有することを特徴とする樹脂組成物。
[3] [1]または[2]において、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを5〜90重量%含有する樹脂組成物。
[4] [1]〜[3]の何れかにおいて、多層成形体の粉砕品を含むことを特徴とする樹脂組成物。
[5] [1]〜[3]の何れかにおいて、多層成形体の粉砕品を含む原料を溶融混練して得られることを特徴とする樹脂組成物。
[7] [6]において、ポリプロピレン(A)70〜99.5重量%、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)0.3〜10重量%、グラフト変性ポリオレフィン(C)0.01〜15重量%、および変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)0.1〜5重量%の配合比率である多層成形体。
[8] [6]または[7]において、前記樹脂組成物からなる層を接着層として有する多層成形体。
[9] [6]〜[8]の何れかにおいて、多層成形体を構成する樹脂組成物が、多層成形体の粉砕品を含む原料を溶融混練して得られたものである多層成形体。
[10] [6]〜[9]の何れかにおいて、前記樹脂組成物からなる層の少なくとも何れか一方の面にポリオレフィン樹脂層及び/またはエチレン−ビニルアルコール共重合体層を有する多層成形体。
[11] [6]〜[10]の何れかに記載の多層成形体を1軸または2軸延伸してなる延伸成形体。
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、以下の成分(A)〜(D)を含有してなるものである。
成分(A):ポリプロピレン
成分(B):エチレン−ビニルアルコール共重合体
成分(C):グラフト変性ポリオレフィン
成分(D):不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー
本発明の樹脂組成物を構成するポリプロピレン(A)とは、プロピレンを原料モノマーの1成分として重合されたものであれば限定されないが、プロピレンを主成分とする重合体(プロピレン系樹脂)であることが好ましい。本発明において「主成分とする」とは、対象とする成分を原料モノマーの50モル%以上の組成で含有するものを言う。
ポリプロピレン(A)を構成する原料モノマーは、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは75モル%、特に好ましくは85モル%以上がプロピレンである。ポリプロピレン(A)を構成する原料モノマーが前記下限値以上であれば、本発明の樹脂組成物の透明性と耐熱性のバランスに優れるので好ましい。なお、原料モノマー中のプロピレン含率の上限は100%である。また、ポリプロピレン(A)には、後述する変性ポリオレフィン(C)は含まないものとする。
本発明において、ポリプロピレン(A)の立体規則性には限定は無く、プロピレン連鎖
がアイソタクティック、シンジオタクティック、アタクティック、ステレオブロック等の何れでもよい。また、重合に用いる触媒も公知のものを適宜採用することができる。
本発明の樹脂組成物を構成するエチレン−ビニルアルコール共重合体(B)(以下、エチレン−ビニルアルコール共重合体をEVOHという場合がある)は、少なくともエチレン単位とビニルアルコール単位(原料モノマー時にはその前駆体を含む。以下、同様。)がこれらの二重結合の連鎖によって形成された高分子構造をもつものであれば限定されないが、通常は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化して得られるものが一般的である。当該方法で得られたEVOHである場合、前記の前駆体とは酢酸ビニルを意味する。また、エチレン単位及びビニルアルコール単位以外の共重合成分を有していてもよく、例えばプロピレンや、前記のポリプロピレン(A)において例示したα−オレフィン及び他のビニルモノマーから適宜選択して用いることができる。エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)として好ましくは、実質的にエチレン単位とビニルアルコール単位(その前駆体を含む。)とのみからなる共重合体である。なお、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)には、後述する変性ポリオレフィン(C)は含まないものとする。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)をエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化によって得る場合、酢酸ビニル成分の鹸化度は限定されないが、通常95モル%以上である。鹸化度が前記下限値未満の場合はガスバリア性、耐湿性および熱安定性が不十分となる傾向にある。なお、鹸化度の上限は100%である。
本発明の樹脂組成物を構成するグラフト変性ポリオレフィン(C)とは、ポリオレフィン樹脂をグラフト変性した樹脂である。
[1]ポリオレフィン樹脂
グラフト変性に用いるポリオレフィン樹脂は限定されず、エチレン、プロピレン、その他のα−オレフィンの何れかを1成分とする重合体であればよいが、中でも、これらの何れかの成分を主成分とする重合体(それぞれ、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、α−オレフィン系樹脂という)であることが好ましい。
リエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、EVOH、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル1−ペンテン共重合体、プロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとその他ビニルモノマーとの共重合体等のプロピレン系樹脂;及び、1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等の1−ブテン系樹脂等のα−オレフィン系樹脂等が挙げられる。なお、前記の各共重合体としては、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体等の何れであってもよい。
これらの中でも、プロピレン系樹脂が好ましく、特に、プロピレン単独重合体やプロピレン−エチレン共重合体が好ましい。
これらのポリオレフィン樹脂は、1種類を用いても2種類以上を併用することもできる。
ポリオレフィン樹脂をグラフト変性するための化合物は限定されないが、通常、不飽和カルボン酸またはその誘導体や、エチレン性不飽和シラン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
R1・SiR2nY3−n (I)
式(I)中、R1はエチレン性不飽和炭化水素基又はハイドロカーボンオキシ基、R2は炭化水素基、Yは加水分解可能な有機基を表し、nは0〜2の整数である。
ここで、R1としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基等が、R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、デシル基、フェニル基等が、Yとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基等が、それぞれ挙げられる。
グラフト変性ポリオレフィン(C)を得るためのグラフト変性は如何なる方法を用いてもよく、熱のみの反応でも得ることができるが、反応の際にラジカルを発生させる有機過酸化物等をラジカル発生剤として添加してもよい。また、反応させる手法としては、溶媒中で反応させる溶液変性法や溶媒を使用しない溶融変性法等が挙げられるが、懸濁分散反応法などその他の方法を用いてもよい。
本発明の樹脂組成物を構成する変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)とは、不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られるものである。
本発明で使用するポリエステル系熱可塑性エラストマーは、飽和ポリエステル系熱可塑
性エラストマーであっても不飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーであってもよいが、飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、中でも、ハードセグメントとして芳香族ポリエステルを含有し、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールや脂肪族ポリエステルを含有するものが好ましく、特に、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを使用したポリエステルポリエーテルブロック共重合体が好ましい。
(i)炭素原子数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールよりなるジオール成分と、
(ii)芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びこれらのアルキルエステルから選ばれるカルボン酸成分と、
(iii)ポリアルキレンエーテルグリコールと
を原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものが挙げられる。
ジカルボン酸のアルキルエステルとしては、上記のジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等のアルキルエステルが使用される。中でも、ジメチルテレフタレート及び2,6−ジメチルナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
これらのカルボン酸成分は、1種を単独で用いても良く、或いは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
以上、好ましくは500以上、更に好ましくは600以上で、通常6,000以下、好ま
しくは4,000以下、更に好ましくは3,000以下のものが使用される。ポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量が前記下限値未満の場合は、得られるポリエステルポリエーテルブロック共重合体のブロック性が不足し、前記上限値を超える場合は、成分(D)内での相分離が起き易く、得られる本発明の樹脂組成物の物性が低下する傾向がある。なお、ここで、数平均分子量とはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたものを言う。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用すればよい。
これらのポリアルキレンエーテルグリコールは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
以外に3官能のアルコールやトリカルボン酸及び/又はそのエステルの1種又は2種以上を少量共重合させてもよく、更に、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸やそのジアルキルエステルをも共重合成分として導入しても良い。
本発明に使用するポリエステル系熱可塑性エラストマーのMFR(JIS K7210準拠、230℃、荷重2.16kg)は、通常1〜100g/10分、好ましくは3〜80g/10分、さらに好ましくは、5〜60g/10分の範囲のものが好適である。
なお、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、1種を単独で用いても、複数種の混合物であってもよい。
不飽和カルボン酸としては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸はその無水物が好ましく、例えば、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和カルボン酸;コハク酸2−オクテン−1−イル無水物、コハク酸2−ドデセン−1−イル無水物、コハク酸2−オクタデセン−1−イル無水物、マレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、endo−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物が挙げられる。
変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を得るためのグラフト変性は如何なる方法を用いてもよく、熱のみの反応でも得ることができるが、反応の際にラジカルを発生させる有機過酸化物等をラジカル発生剤として添加してもよい。また、反応させる手法としては、溶媒中で反応させる溶液変性法や溶媒を使用しない溶融変性法等が挙げられるが、懸濁分散反応法などその他の方法を用いてもよい。中でも溶融変性法が好ましい。
2重量部以下、特に好ましくは0.1重量部以下である。ラジカル発生剤の配合量がポリエステル系熱可塑性エラストマーに対して少な過ぎる場合は変性が十分に起こらない傾向にあり、多過ぎる場合はポリエステル系熱可塑性エラストマーの変性時の低分子量化(粘度低下)が大きく、材料強度が低下する傾向にある。
上述の如く、ラジカル発生剤存在下での不飽和カルボン酸によるポリエステル系熱可塑性エラストマーの変性処理では、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに不飽和カルボン酸またはその誘導体が付加するグラフト重合反応の他、分解反応や、その他の反応として、エステル交換反応なども起こるものと考えられる。
ここで変性率(グラフト量)は、H1−NMR測定により得られるスペクトルから、下記式に従って求めることができる。なお、H1−NMR測定に使用する機器としては、日本電子社製GSX−400を用いることができる。
(但し、式中のAは7.8〜8.4ppmの積分値、Bは1.2〜2.2ppmの積分値、Cは2.4〜2.9ppmの積分値である。)
なお、変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、1種を単独で用いても、複数種の混合物であってもよい。
このような本発明における変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)としては市販品を用いることもでき、三菱化学株式会社製「プリマロイ」が挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、上述の成分(A)〜(D)以外に添加剤や樹脂等(以下、その他の成分という場合がある)を配合することができる。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用しても良い。
01重量%以上、好ましくは0.2重量%以上であり、また、通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下であることが望ましい。なおこれらの添加剤は、本発明の樹脂組成物をマスターバッチとして用いる場合には、前記した含有量の2〜50倍、好ましくは3〜30倍の濃度で含有させることもできる。
本発明の樹脂組成物は、ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、変性ポリオレフィン(C)、および不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を含有する。
ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)に変性ポリオレフィン(C)を加えることでポリプロピレンとEVOHの界面接着力が高まるために延伸後の透明性は若干改良されるが、これだけでは不十分である。これは、EVOHの延伸性がポリプロピレンのそれに比べて悪いため、リグラインド層を延伸したときにEVOHが延伸されずポリプロピレンとの界面が剥離してボイドが発生することが原因と考えられる。
くは99.3重量%以下、より好ましくは99.0重量%以下である。ポリプロピレン(A)の含有量が前記範囲であることによって、本発明の樹脂組成物をポリプロピレン樹脂と同様な成形条件で使用することができる。ポリプロピレン(A)の含有量が前記下限値未満の場合には、リグラインド層の透明性が低下するおそれがある。一方、ポリプロピレン(A)の含有量が前記上限値を超える場合には、接着性樹脂としての効果が低下する傾向にあり、さらに成分(B)、(C)及び(D)を含有することによる効果が低減する傾向にある。
本発明の樹脂組成物は、透明性が高いことが望ましい。透明性はヘーズ及び全光線透過率で評価され、具体的には、JIS K7136に従って測定した200μm厚みシートのヘーズが50%以下であることが好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下が更に好ましい。
上記の通り、本発明の樹脂組成物は、透明性が良好であり、かつ、種々の樹脂との接着性が良好であるので、後述する通り、多層成形体を構成する樹脂として好適である。
混合の方法については、原料成分が均一に分散すれば特に制限は無い。すなわち、上述の各原料成分等を同時に又は任意の順序で混合することにより、各成分が均一に分布した組成物を得ることができる。
より均一な混合・分散のためには、所定量の上記原料成分を、溶融混合することが好ましく、例えば、本発明の樹脂組成物の各原料成分等を任意の順序で混合してから加熱したり、全原料成分等を順次溶融させながら混合しても良いし、各原料成分等の混合物をペレット化したり目的成形品を製造する際の成形時に溶融混合してもよい。
このような方法のうち、特に、成分(A)〜(D)を含有するリグラインド品を原料として使用することができることが本発明の特徴の一つである。ここで、リグラインド品とは、多層シート、多層フィルム等の多層成形体の製品のクズ、端部又は不良品や、多層ボトルのバリ、多層カップ成形時に発生した打ち抜きクズ等を意味する。本発明の樹脂組成物は、このようなリグラインド品を原料として用いた場合であっても、良好な透明性および接着性を有することができる。
また、成分(A)〜(C)がそれぞれの層を構成する多層成形体を原料として、成分(D)を加えて溶融混練して該樹脂組成物を得ることもできる。
また、本発明を構成する全ての成分を有していないリグラインド品を原料とする場合は、足りない成分のみを原料として補えばよい。
本発明の樹脂組成物から得られる成形品には限定は無く、種々の押出成形品や射出成形品とすることができる。また、本発明の樹脂組成物を単独で使用して成形品とすることもできるが、本発明の樹脂組成物は、後述する種々の熱可塑性樹脂との接着力に優れ、かつ透明性が良好であるので、該熱可塑性樹脂との多層成形体および該多層成形体を延伸して得られる延伸成形体(延伸フィルム)として利用するとより効果的である。
次に、本発明多層成形体について説明する。本発明の多層成形体は、上述した本発明の樹脂組成物からなる接着層(以下、樹脂組成物層という場合がある)を含む2層または3層以上に積層された積層体であり、具体的には、積層シート、積層フィルム、積層ボトル等が挙げられる。
また、多層成形体における樹脂組成物層を構成する樹脂は、前記の通り、リグラインド品を原料とした場合であっても、得られる多層成形体は良好な透明性および接着性を有する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体層を構成する樹脂としては、具体的には、本発明における成分(B)に相当する樹脂が挙げられる。
本発明の多層成形体における層を構成するその他の樹脂としては、前記した本発明の樹脂組成物におけるその他の成分として挙げた樹脂等を用いることができる。
また、各層を構成する樹脂フィルム同士に熱をかけてラミネートすることで積層することも可能である。
本発明の延伸フィルムを製造する方法としては、従来より公知の種々の方法を採用することができる。延伸方向は、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよく、また逐次延伸で製造しても、同時延伸で製造してもよい。
例えば、前記方法で得られた未延伸の多層成形体を冷却固化後、各成形品をインライン、またはアウトラインで60〜160℃の延伸温度まで再加熱し、テンター、プラグおよび圧縮空気等を用い一軸方向、あるいは二軸方向に少なくとも面積比で1.5倍以上延伸を行い、一軸または二軸延伸成形したフィルム、カップ、ボトル等の成形体を得る方法が挙げられる。
食品包装用や工業製品包装用のフィルムの場合、無延伸の積層体の総厚みは、通常30〜400μmであり、さらには40〜300μmであることが好ましく、特には50〜200μmであることが好ましい。また、無延伸の積層体を構成する接着性樹脂層の厚みは、通常1〜100μmであり、さらには2〜80μmであることが好ましく、特には3〜50μmであることが好ましい。
また、該用途に用いる延伸成形体(延伸フィルム)の総厚みは、通常5〜400μmであり、さらには10〜300μmであることが好ましく、特には20〜200μmであることが好ましい。また、延伸フィルムを構成する接着性樹脂層の厚みは、通常0.1〜50μmであり、さらには0.3〜30μmであることが好ましく、特には0.5〜20μmであることが好ましい。
<成分(A):ポリプロピレン>
(a−1):ホモポリプロピレン、MFR:3.0g/10分(230℃、2.16kg荷重)。
(a−2):ホモポリプロピレン、MFR:5.0g/10分(230℃、2.16kg荷重)。
(b−1):日本合成化学工業株式会社製「ソアノールDC3203FB」、エチレン
含量32モル%、MFR:3.2g/10分(210℃、2.16kg荷重)、鹸化度99.5モル%。
(b−2):日本合成化学工業株式会社製「ソアノールET3803B」、エチレン含量38モル%、MFR:3.2g/10分(210℃、2.16kg荷重)、鹸化度99.6モル%。
<成分(C):変性ポリオレフィン>
(c−1):三菱化学株式会社製 無水マレイン酸変性ポリプロピレン、MFR:500g/10分(180℃、2.16kg荷重)、グラフト量:2.8重量%。
(d−1)の製造
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとするポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有量が60重量%のポリエステル系熱可塑性エラストマー(MFR(230℃、荷重2.16kg)25g/10分)100重量部に対し、無水マレイン酸(和光純薬工業社製試薬特級)0.5重量部、およびラジカル発生剤としてm−トルオイルパーオキサイド/ベンゾイルパーオキサイド混合物(日油株式会社製「ナイパーBMT−K40」)0.05重量部を混合し、これを株式会社池貝製「PCM−45型混練機」(径44mm、温度190〜220℃)中で溶融混練した後、ペレタイザーを通してペレット化することにより変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(d−1)を製造した。d−1のグラフト量は0.3重量%であった。
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとするポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有量が77重量%のポリエステル系熱可塑性エラストマー(MFR(230℃、荷重2.16kg)25g/10分)100重量部に対し、無水マレイン酸(和光純薬工業社製試薬特級)0.5重量部、およびラジカル発生剤としてm−トルオイルパーオキサイド/ベンゾイルパーオキサイド混合物(日油株式会社製「ナイパーBMT−K40」)0.05重量部を混合し、これを株式会社池貝製「PCM−45型混練機」(径44mm、温度190〜220℃)中で溶融混練した後、ペレタイザーを通してペレット化することにより変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(d−2)を製造した。d−2のグラフト量は0.3重量%であった。
(a−1)92.500重量部、(a−2)2.425重量部、(b−1)5.000重量部、(c−1)0.075重量部、(d−1)0.500重量部を混合し、株式会社池貝製「PCM−45型混練機」(径44mm、温度190〜220℃)中で溶融混練し、ペレタイザーを通してペレット化することにより樹脂組成物ペレットを得た。
<フィルム成形>
得られたペレットを用いて、以下に示す装置を使用してフィルムを作成した。
使用機械:GSIクレオス社製単層Tダイ成形機
スクリュー: 50mmφ、フルフライト
押出し温度: 220℃
フィルム厚み: 200μm
得られた単層フィルムを延伸温度80℃、延伸速度10m/分で縦方向に4倍に延伸して一軸延伸フィルムを得た。また、延伸温度80℃、延伸速度10m/分で縦方向に4倍、横方向に2倍に同時二軸延伸して二軸延伸フィルムを得た。
<ヘーズ>
延伸前のフィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムを用いて、試料片を流動パラフィンにより両面をガラスで密着させ、JIS K7136により測定した。結果を表−1に示す。
(d−1)を1.0部使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
[実施例3]
(d−1)を(d−2)0.5部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
(b−1)を(b−2)に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
[実施例5]
(b−1)100重量部と(d−1)を10重量部を短軸押出機で混練してEVOH組成物を得た。(b−1)5重量部と(d−1)0.5重量部のかわりに上記EVOH組成物5.5重量部を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。最終組成割合は実施例1と同じである。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
(d−1)を使用しなかった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
[比較例2]
(d−1)を使用しなかった以外は実施例4と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例4と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
(d−1)のかわりに(d−3)を0.5重量部使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
該実施例における樹脂組成物は、多層成形体の粉砕品(リグラインド品)のモデルであ
り、また、該実施例におけるフィルムは多層成形体を構成する1層のモデルであるが、この結果から、リグラインド品を用いても透明性が良好であること、延伸してなる多層成形体においても透明性が良好であることが確認される。
Claims (11)
- ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、グラフト変性ポリオレフィン(C)、および不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を含有することを特徴とする樹脂組成物。
- ポリプロピレン(A)70〜99.5重量%、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)0.3〜10重量%、グラフト変性ポリオレフィン(C)0.01〜15重量%、および変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)0.1〜5重量%の配合比率である請求項1に記載の樹脂組成物。
- ポリエステル系熱可塑性エラストマーが、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを5〜90重量%含有する請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 多層成形体の粉砕品を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の樹脂組成物。
- 多層成形体の粉砕品を含む原料を溶融混練して得られることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の樹脂組成物。
- ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、グラフト変性ポリオレフィン(C)、および不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を含有する樹脂組成物からなる層を含むことを特徴とする多層成形体。
- ポリプロピレン(A)70〜99.5重量%、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)0.3〜10重量%、グラフト変性ポリオレフィン(C)0.01〜15重量%、および変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)0.1〜5重量%の配合比率である請求項6に記載の多層成形体。
- 前記樹脂組成物からなる層を接着層として有することを特徴とする請求項6または7に記載の多層成形体。
- 多層成形体を構成する樹脂組成物が、多層成形体の粉砕品を含む原料を溶融混練して得られたものであることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の多層成形体。
- 前記樹脂組成物からなる層の少なくとも何れか一方の面にポリオレフィン樹脂層及び/またはエチレン−ビニルアルコール共重合体層を有する請求項6〜9の何れかに記載の多層成形体。
- 請求項6〜10の何れかに記載の多層成形体を1軸または2軸延伸してなる延伸成形体。
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