JP2012111879A - 樹脂組成物及び多層成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 透明性に優れ、さらに延伸しても透明性を損なわないリグラインド層を有するポリプロピレン系多層成形体、および該多層成形体を達成するために接着層に用いる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、グラフト変性ポリオレフィン(C)、および不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を含有することを特徴とする樹脂組成物、及び、該樹脂組成物からなる層を含むことを特徴とする多層成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む、リグラインドに好適な樹脂組成物に関する。また本発明は、該樹脂組成物からなる層を含む、リグラインドに好適かつ透明性の高い多層成形体に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと略記することがある)は、優れたガスバリア性を有しており、食品や医薬品等、品質の保持が重要視される内容物を包装する材料として用いられている。また近年では、その優れたガソリンバリア性を生かして、燃料タンクにも広く用いられるようになっている。さらに、ポリオレフィン系樹脂等の防湿性、機械的特性に優れる熱可塑性樹脂とEVOHとの多層成形体は、EVOHの弱点をカバーできるので好適に用いられている。しかしながら、このような多層成形体をシート、フィルム等の形状で製造する場合は製品のクズ、端部又は不良品が、ボトル等の形状で製造する場合はバリが、カップ等の形状で製造する場合は打ち抜きクズ等が、廃材として必然的に発生し、その再利用がコスト、省資源および環境適性の見地から必要とされている。
これらの廃材をリグラインドとして有効に再利用するために、ポリオレフィン系樹脂を主体とする樹脂層にリグラインドを混合して利用する方法(特許文献1参照)、熱可塑性ポリオレフィン層とEVOH層との間にリグラインド組成物層を介在させる方法(特許文献2参照)等が提案されている。例えば一般的な自動車用ガソリンタンクの層構成としては、<外層側>(リグラインド+高密度ポリエチレン)層/接着層/バリア層/接着層/(リグラインド+高密度ポリエチレン)層<内層側>といった構成や、<外層側>高密度ポリエチレン層/リグラインド組成物層/接着層/バリア層/接着層/高密度ポリエチレン層<内層側>といった構成等が例示される。
ここでリグラインド層には、ポリオレフィン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、接着性樹脂からなる3成分混合物が用いられているが、一般にポリオレフィンとエチレン・ビニルアルコール共重合体とは相溶性が悪いため、多層製品の外観不良や衝撃強度等の機械強度の低下を招いていた。特に外観不良の点では、多層成形体を延伸した場合にリグラインドを含む層の透明性が低下することが問題であった。これは、リグラインドを含む層を延伸した場合、該リグラインド層の樹脂組成物を構成する樹脂間の界面がミクロに剥離するため、層内でボイドやクレーズ、クラック等を生じているためと考えられる。
このようなポリオレフィンとEVOHを含むリグラインド組成物に関しては従来から種々の提案がなされている。例えば、特許文献3では、ホウ素含有熱可塑性樹脂を用いることにより、耐衝撃性、ガスバリア性、外観が改良された多層構造体が開示されている。しかしながら、当該技術では、スジ発生や膜面ムラの発生といった観点での外観不良の改良はなされているが、透明性については何ら改良されていない。また、特許文献4では、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることにより、成形物の変色等を改良する技術が開示されているが、当該技術についても、積層体の透明性を改良するには至っていない。
以上の通り、従来は、EVOH層を有する多層成形体から発生するリグラインドを良好に使用することを試みても、該リグラインド物を使用して得られる多層成形体は十分な透明性が得られなかった。このため、シート、フィルム等のクズ、端部、不良品や、ボトル成形時のバリ、カップ成形時の打ち抜きクズ等を有効に再利用することが出来なかった。特に、ポリオレフィン層としてポリエチレン系樹脂を用いた多層成形体に比べて、ポリプ
ロピレン系樹脂を用いた多層成形体において、上記問題の解決は遥かに困難であった。
特開昭51−95478号公報 特開昭59−101338号公報 国際公開第05/105437号パンフレット 特開2009−97010号公報
かかる状況に鑑み、本発明の目的は、透明性に優れ、さらに延伸しても透明性を損なわないリグラインド層を有する多層成形体、および該多層成形体を達成するために接着層に用いる樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討し、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、及びグラフト変性ポリオレフィンに、更に特定のポリエステル系熱可塑性エラストマーを含有する組成物とすることにより、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[11]を要旨とする。
[1] ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、グラフト変性ポリオレフィン(C)、および不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を含有することを特徴とする樹脂組成物。
[2] [1]において、ポリプロピレン(A)70〜99.5重量%、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)0.3〜10重量%、グラフト変性ポリオレフィン(C)0.01〜15重量%、および変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)0.1〜5重量%の配合比率である樹脂組成物。
[3] [1]または[2]において、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを5〜90重量%含有する樹脂組成物。
[4] [1]〜[3]の何れかにおいて、多層成形体の粉砕品を含むことを特徴とする樹脂組成物。
[5] [1]〜[3]の何れかにおいて、多層成形体の粉砕品を含む原料を溶融混練して得られることを特徴とする樹脂組成物。
[6] ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、グラフト変性ポリオレフィン(C)、および不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を含有する樹脂組成物からなる層を含むことを特徴とする多層成形体。
[7] [6]において、ポリプロピレン(A)70〜99.5重量%、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)0.3〜10重量%、グラフト変性ポリオレフィン(C)0.01〜15重量%、および変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)0.1〜5重量%の配合比率である多層成形体。
[8] [6]または[7]において、前記樹脂組成物からなる層を接着層として有する多層成形体。
[9] [6]〜[8]の何れかにおいて、多層成形体を構成する樹脂組成物が、多層成形体の粉砕品を含む原料を溶融混練して得られたものである多層成形体。
[10] [6]〜[9]の何れかにおいて、前記樹脂組成物からなる層の少なくとも何れか一方の面にポリオレフィン樹脂層及び/またはエチレン−ビニルアルコール共重合体層を有する多層成形体。
[11] [6]〜[10]の何れかに記載の多層成形体を1軸または2軸延伸してなる延伸成形体。
本発明によれば、透明性に優れ、さらに延伸しても透明性を損なわないリグラインド層を有する多層成形体、および該多層成形体を達成するために接着層に用いる樹脂組成物が提供される。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、以下の成分(A)〜(D)を含有してなるものである。
成分(A):ポリプロピレン
成分(B):エチレン−ビニルアルコール共重合体
成分(C):グラフト変性ポリオレフィン
成分(D):不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー
(1)ポリプロピレン(A)
本発明の樹脂組成物を構成するポリプロピレン(A)とは、プロピレンを原料モノマーの1成分として重合されたものであれば限定されないが、プロピレンを主成分とする重合体(プロピレン系樹脂)であることが好ましい。本発明において「主成分とする」とは、対象とする成分を原料モノマーの50モル%以上の組成で含有するものを言う。
ポリプロピレン(A)を構成する原料モノマーは、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは75モル%、特に好ましくは85モル%以上がプロピレンである。ポリプロピレン(A)を構成する原料モノマーが前記下限値以上であれば、本発明の樹脂組成物の透明性と耐熱性のバランスに優れるので好ましい。なお、原料モノマー中のプロピレン含率の上限は100%である。また、ポリプロピレン(A)には、後述する変性ポリオレフィン(C)は含まないものとする。
本発明において、ポリプロピレン(A)は上記に該当するものであれば特に限定されず、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル1−ペンテン共重合体、プロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとその他ビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。ここで、α−オレフィンは限定されないが、通常、炭素数4〜20、好ましくは4〜10の二重結合を有する炭化水素であり、「他のビニルモノマー」も限定されないが、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン、スチレン誘導体等が挙げられる。また、本発明におけるポリプロピレン(A)は、これらの樹脂を2種以上併用してもよい。なお、前記の各共重合体としては、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体等の何れであってもよい。
これらの中でも、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、これらのブレンド物が好ましく、ホモポリプロピレンがより好ましい。
本発明において、ポリプロピレン(A)の立体規則性には限定は無く、プロピレン連鎖
がアイソタクティック、シンジオタクティック、アタクティック、ステレオブロック等の何れでもよい。また、重合に用いる触媒も公知のものを適宜採用することができる。
本発明において、ポリプロピレン(A)のメルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、230℃、荷重2.16kgの条件で、通常0.5〜50g/10分、好ましくは1〜20g/10分、より好ましくは2〜7g/10分である。ポリプロピレン(A)のMFRが前記下限値よりも小さい場合には、本発明の樹脂組成物を製造する際の負荷が大きくなり過ぎる場合があり、また前記上限値よりも大きい場合には、得られる多層成形体の寸法安定性や機械的強度が低下する傾向にある。
(2)エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)
本発明の樹脂組成物を構成するエチレン−ビニルアルコール共重合体(B)(以下、エチレン−ビニルアルコール共重合体をEVOHという場合がある)は、少なくともエチレン単位とビニルアルコール単位(原料モノマー時にはその前駆体を含む。以下、同様。)がこれらの二重結合の連鎖によって形成された高分子構造をもつものであれば限定されないが、通常は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化して得られるものが一般的である。当該方法で得られたEVOHである場合、前記の前駆体とは酢酸ビニルを意味する。また、エチレン単位及びビニルアルコール単位以外の共重合成分を有していてもよく、例えばプロピレンや、前記のポリプロピレン(A)において例示したα−オレフィン及び他のビニルモノマーから適宜選択して用いることができる。エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)として好ましくは、実質的にエチレン単位とビニルアルコール単位(その前駆体を含む。)とのみからなる共重合体である。なお、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)には、後述する変性ポリオレフィン(C)は含まないものとする。
本発明において、EVOHのエチレン含量は限定されないが、通常10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%である。エチレン含量が前記下限値未満の場合、本発明の樹脂組成物の溶融成形性が悪化する場合があり、一方、エチレン含量が前記上限値を超える場合には、十分なガスバリア性が得られないことがある。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)をエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化によって得る場合、酢酸ビニル成分の鹸化度は限定されないが、通常95モル%以上である。鹸化度が前記下限値未満の場合はガスバリア性、耐湿性および熱安定性が不十分となる傾向にある。なお、鹸化度の上限は100%である。
本発明において、EVOHのメルトフローレート(MFR)(JIS K7210)は限定されないが、210℃、荷重2.16kgの条件で、通常0.5〜100g/10分、好ましくは1〜20g/10分である。EVOHのMFRが前記下限値未満の場合は、得られる樹脂組成物の成形性が低下して外観が悪化しやすい傾向にあり、一方、EVOHのMFRが前記上限値を超える場合は、得られる多層成形体のガスバリア性が不十分となる傾向がある。
(3)グラフト変性ポリオレフィン(C)
本発明の樹脂組成物を構成するグラフト変性ポリオレフィン(C)とは、ポリオレフィン樹脂をグラフト変性した樹脂である。
[1]ポリオレフィン樹脂
グラフト変性に用いるポリオレフィン樹脂は限定されず、エチレン、プロピレン、その他のα−オレフィンの何れかを1成分とする重合体であればよいが、中でも、これらの何れかの成分を主成分とする重合体(それぞれ、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、α−オレフィン系樹脂という)であることが好ましい。
グラフト変性に用いるポリオレフィン樹脂は、具体的には、例えば、低・中・高密度ポ
リエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、EVOH、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル1−ペンテン共重合体、プロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとその他ビニルモノマーとの共重合体等のプロピレン系樹脂;及び、1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等の1−ブテン系樹脂等のα−オレフィン系樹脂等が挙げられる。なお、前記の各共重合体としては、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体等の何れであってもよい。
これらの中でも、プロピレン系樹脂が好ましく、特に、プロピレン単独重合体やプロピレン−エチレン共重合体が好ましい。
これらのポリオレフィン樹脂は、1種類を用いても2種類以上を併用することもできる。
[2]グラフト変性するための化合物
ポリオレフィン樹脂をグラフト変性するための化合物は限定されないが、通常、不飽和カルボン酸またはその誘導体や、エチレン性不飽和シラン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のグラフトされる不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和カルボン酸、及び、これらの酸無水物、または、これらの酸のエステル等が例示される。更には、酸ハロゲン化物、アミド、イミドなどの誘導体であってもよい。これらの誘導体としては、酸無水物が好ましい。これらの中では、特にマレイン酸又はその無水物が好適である。
エチレン性不飽和シラン化合物は、具体的には下記一般式(I)で示される。
R1・SiR23−n (I)
式(I)中、R1はエチレン性不飽和炭化水素基又はハイドロカーボンオキシ基、R2は炭化水素基、Yは加水分解可能な有機基を表し、nは0〜2の整数である。
ここで、R1としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基等が、R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、デシル基、フェニル基等が、Yとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基等が、それぞれ挙げられる。
このようなエチレン性不飽和シラン化合物の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、臭気等の観点から、ビニルトリメトキシシランが好適に用いられる。
[3]グラフト変性
グラフト変性ポリオレフィン(C)を得るためのグラフト変性は如何なる方法を用いてもよく、熱のみの反応でも得ることができるが、反応の際にラジカルを発生させる有機過酸化物等をラジカル発生剤として添加してもよい。また、反応させる手法としては、溶媒中で反応させる溶液変性法や溶媒を使用しない溶融変性法等が挙げられるが、懸濁分散反応法などその他の方法を用いてもよい。
溶融変性法としては、ポリオレフィン樹脂とグラフト変性するための化合物、及び必要により後述するラジカル発生剤を予め混合した上で混練機中で溶融混練させ反応させる方法や、混練機中で溶融したポリオレフィン樹脂に、溶剤等に溶解したラジカル発生剤とグラフト変性するための化合物の混合物を装入口から添加して反応させる方法等を用いることができる。混合には通常、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、溶融混練には通常、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等が使用できる。
溶液変性法としては、ポリオレフィン樹脂を有機溶剤等に溶解して、これにラジカル発生剤とグラフト変性するための化合物を添加してグラフト共重合させる方法が使用できる。有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル基置換芳香族炭化水素やハロゲン化炭化水素を使用することが出来る。
ポリオレフィン樹脂とグラフト変性するための化合物との配合割合は限定されないが、グラフト変性ポリオレフィン(C)100重量部に対し、グラフト変性するための化合物を通常0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の割合で配合することが望ましい。
ラジカル発生剤は限定されないが、具体的には、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエ−ト)ヘキシン−3、ラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエ−ト、tert−ブチルペルイソブチレ−ト、tert−ブチルペルピバレ−ト、及びクミルペルピバレ−ト等の有機ペルオキシドや有機ペルエステル、あるいは、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレ−ト等のアゾ化合物等を使用することが出来る。
これらのラジカル発生剤は、ポリオレフィン樹脂の種類、グラフト変性するための化合物の種類および反応条件に応じて適宜選択することができ、2種以上を併用してもよい。ラジカル発生剤の配合量は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.01〜3重量部である。
本発明において、グラフト変性ポリオレフィン(C)のメルトフローレート(MFR)は限定されないが、好ましくは0.01g/10分以上、より好ましくは0.05g/分以上、さらに好ましくは0.1g/10分以上であり、好ましくは1000g/10分以下である。これらのグラフト変性ポリオレフィンは、単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。ここで、グラフト変性ポリオレフィン(C)のMFRは、グラフト変性に用いるポリオレフィン樹脂がエチレン系樹脂またはα−オレフィン系樹脂の場合は190℃、荷重2.16kgでの値を意味し、プロピレン系樹脂の場合は180℃、荷重2.16kgでの値を意味する。
(4)変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)
本発明の樹脂組成物を構成する変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)とは、不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られるものである。
[1]ポリエステル系熱可塑性エラストマー
本発明で使用するポリエステル系熱可塑性エラストマーは、飽和ポリエステル系熱可塑
性エラストマーであっても不飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーであってもよいが、飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、中でも、ハードセグメントとして芳香族ポリエステルを含有し、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールや脂肪族ポリエステルを含有するものが好ましく、特に、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを使用したポリエステルポリエーテルブロック共重合体が好ましい。
ポリエステルポリエーテルブロック共重合体中のポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は限定されないが、通常5重量%以上、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上であり、また、通常90重量%以下、好ましくは85重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。ポリエステルポリエーテルブロック共重合体中のポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量が前記上限値を超える場合は、本発明の樹脂組成物から得られる成形体の透明性が劣ることがあり、一方、この含有量が前記下限値未満の場合は、柔軟性や弾力性が低下し、耐衝撃性が不十分となることがある。なお、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体中のポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を使用し、その水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。
本発明に好適なポリエステルポリエーテルブロック共重合体としては、
(i)炭素原子数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールよりなるジオール成分と、
(ii)芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びこれらのアルキルエステルから選ばれるカルボン酸成分と、
(iii)ポリアルキレンエーテルグリコールと
を原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものが挙げられる。
(i)の炭素原子数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールとしては、ポリエステルの原料、特にポリエステル系熱可塑性エラストマーの原料として一般に用いられるものが使用できる。その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらの中では、1,4−ブタンジオール又はエチレングリコールが好ましく、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。これらのジオール成分は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
(ii)のジカルボン酸としては、ポリエステルの原料、特にポリエステル系熱可塑性エラストマーの原料として一般的に用いられているものが使用できる。芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。これらの中では、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、特にテレフタル酸が好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸のアルキルエステルとしては、上記のジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等のアルキルエステルが使用される。中でも、ジメチルテレフタレート及び2,6−ジメチルナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
これらのカルボン酸成分は、1種を単独で用いても良く、或いは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(iii)のポリアルキレンエーテルグリコールとしては、数平均分子量が、通常400
以上、好ましくは500以上、更に好ましくは600以上で、通常6,000以下、好ま
しくは4,000以下、更に好ましくは3,000以下のものが使用される。ポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量が前記下限値未満の場合は、得られるポリエステルポリエーテルブロック共重合体のブロック性が不足し、前記上限値を超える場合は、成分(D)内での相分離が起き易く、得られる本発明の樹脂組成物の物性が低下する傾向がある。なお、ここで、数平均分子量とはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたものを言う。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用すればよい。
上記のポリアルキレンエーテルグリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール等が挙げられる。
これらのポリアルキレンエーテルグリコールは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
なお、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体には、上記(i)〜(iii)の成分
以外に3官能のアルコールやトリカルボン酸及び/又はそのエステルの1種又は2種以上を少量共重合させてもよく、更に、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸やそのジアルキルエステルをも共重合成分として導入しても良い。
本発明に使用するポリエステル系熱可塑性エラストマーのMFR(JIS K7210準拠、230℃、荷重2.16kg)は、通常1〜100g/10分、好ましくは3〜80g/10分、さらに好ましくは、5〜60g/10分の範囲のものが好適である。
なお、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、1種を単独で用いても、複数種の混合物であってもよい。
このような本発明に好適なポリエステルポリエーテルブロック共重合体よりなるポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては市販品を用いることもでき、例えば、三菱化学株式会社製「プリマロイ」、東洋紡績株式会社製「ペルプレン」、東レ・デュポン株式会社製「ハイトレル」等が挙げられる。
[2]不飽和カルボン酸またはその誘導体
不飽和カルボン酸としては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸はその無水物が好ましく、例えば、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和カルボン酸;コハク酸2−オクテン−1−イル無水物、コハク酸2−ドデセン−1−イル無水物、コハク酸2−オクタデセン−1−イル無水物、マレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、endo−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物が挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸は、変性すべきポリエステル系熱可塑性エラストマーや変性条件に応じて適宜選択することができ、1種を単独で用いる場合に限らず、2種以上を併用しても良い。また、不飽和カルボン酸成分は有機溶剤などに溶解して使用することもできる。
[3]グラフト変性
変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を得るためのグラフト変性は如何なる方法を用いてもよく、熱のみの反応でも得ることができるが、反応の際にラジカルを発生させる有機過酸化物等をラジカル発生剤として添加してもよい。また、反応させる手法としては、溶媒中で反応させる溶液変性法や溶媒を使用しない溶融変性法等が挙げられるが、懸濁分散反応法などその他の方法を用いてもよい。中でも溶融変性法が好ましい。
溶融変性法としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマーと不飽和カルボン酸またはその誘導体、及び必要により後述するラジカル発生剤を予め混合した上で混練機中で溶融混練させ反応させる方法や、混練機中で溶融したポリエステル系熱可塑性エラストマーに、溶剤等に溶解したラジカル発生剤と不飽和カルボン酸またはその誘導体の混合物を装入口から添加して反応させる方法等を用いることができる。混合には通常、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、溶融混練には通常、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等が使用できる。
溶融混練は、樹脂が熱劣化しないように、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上で、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、更に好ましくは250℃以下の範囲で行う。
不飽和カルボン酸またはその誘導体の配合量は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー100重量部に対し、通常0.01重量部以上、好ましくは0.05重量部以上、更に好ましくは0.1重量部以上、通常30重量部以下、好ましくは5重量部以下、更に好ましくは1重量部以下である。不飽和カルボン酸またはその誘導体の配合量が少な過ぎる場合は、十分な変性が行えず官能基が少なすぎるためにEVOH樹脂との相溶性の向上が期待できず成形体の延伸時の透明性が低下する傾向にあり、配合量が多過ぎる場合は、グラフト反応しなかった化合物が残留することにより多層成形体からブリードアウトする場合がある。
ラジカル発生剤は限定されないが、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルへキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルオキシ)ヘキサン、3,5,5−トリメチルへキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化カリウム、過酸化水素などの有機及び無機の過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジハライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、アゾジ−t−ブタン等のアゾ化合物;ジクミル等の炭素ラジカル発生剤などが挙げられる。
上記のラジカル発生剤は、グラフト変性反応に供するポリエステル系熱可塑性エラストマーの種類、不飽和カルボン酸またはその誘導体の種類及び変性条件に応じて適宜選択することができ、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。なお、ラジカル発生剤は有機溶剤などに溶解して使用することもできる。
ラジカル発生剤の配合量は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー100重量部に対し、通常0.001重量部以上、好ましくは0.005重量部以上、更に好ましくは0.01重量部以上で、通常3重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、更に好ましくは0.
2重量部以下、特に好ましくは0.1重量部以下である。ラジカル発生剤の配合量がポリエステル系熱可塑性エラストマーに対して少な過ぎる場合は変性が十分に起こらない傾向にあり、多過ぎる場合はポリエステル系熱可塑性エラストマーの変性時の低分子量化(粘度低下)が大きく、材料強度が低下する傾向にある。
一般にグラフト変性反応においては、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに不飽和カルボン酸が付加するグラフト重合反応が主として起こるが、分解反応も起こり、分解により、得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、分子量が低下して溶融粘度が低くなる。ラジカル発生剤の使用量が多過ぎると、グラフト重合反応も起こり易いが、同時にこのような溶融粘度低下につながる分解反応も起こり易くなる。
上述の如く、ラジカル発生剤存在下での不飽和カルボン酸によるポリエステル系熱可塑性エラストマーの変性処理では、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに不飽和カルボン酸またはその誘導体が付加するグラフト重合反応の他、分解反応や、その他の反応として、エステル交換反応なども起こるものと考えられる。
本発明における変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)の変性率(グラフト量)は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.03重量%以上、更に好ましくは0.05重量%以上であり、通常10重量%以下、好ましくは7重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。グラフト量が少な過ぎる場合は、官能基が少なすぎるためにEVOH樹脂との相溶性の向上が期待できず成形体の延伸時の透明性が悪くなる傾向にあり、多過ぎる場合は、変性の過程における分子劣化のため材料強度が低下する傾向にある。
ここで変性率(グラフト量)は、H−NMR測定により得られるスペクトルから、下記式に従って求めることができる。なお、H−NMR測定に使用する機器としては、日本電子社製GSX−400を用いることができる。
グラフト量(重量%)=100×(C÷3×98)/{(A×148÷4)+(B×72÷4)+(C÷3×98)}
(但し、式中のAは7.8〜8.4ppmの積分値、Bは1.2〜2.2ppmの積分値、Cは2.4〜2.9ppmの積分値である。)
本発明における変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(C)のMFR(JIS K7210準拠、230℃、荷重2.16kg)は、通常1〜100g/10分、好ましくは3〜80g/10分、さらに好ましくは、5〜60g/10分の範囲のものが好適である。
なお、変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、1種を単独で用いても、複数種の混合物であってもよい。
このような本発明における変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)としては市販品を用いることもでき、三菱化学株式会社製「プリマロイ」が挙げられる。
(5)その他の成分
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、上述の成分(A)〜(D)以外に添加剤や樹脂等(以下、その他の成分という場合がある)を配合することができる。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用しても良い。
添加剤としては、具体的には、耐熱安定剤、耐候安定剤(酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)、難燃剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、充填剤(無機および/または有機フィラー等)、加工助剤、可塑剤、結晶核剤、衝撃改良剤、相溶化剤、触媒残渣の中和剤、カーボンブラック、着色剤(顔料、染料など)等が挙げられる。これら添加剤を用いる場合のその含有量は限定されないが、樹脂組成物に対して、通常0.
01重量%以上、好ましくは0.2重量%以上であり、また、通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下であることが望ましい。なおこれらの添加剤は、本発明の樹脂組成物をマスターバッチとして用いる場合には、前記した含有量の2〜50倍、好ましくは3〜30倍の濃度で含有させることもできる。
その他の成分として用いる樹脂としては、具体的には、例えば、本発明における成分(C)の原料として用いることができる無変性のポリオレフィンや、本発明における成分(D)の原料として用いることができる無変性のポリエステル系熱可塑性エラストマーのほか、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、及びポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂等を挙げることができる。
(6)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、変性ポリオレフィン(C)、および不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を含有する。
一般に、多層成形体を延伸した場合、リグラインドを含む層の透明性が低下する問題が発生する。これは、リグラインドを含む層は通常、樹脂組成物で構成されているため、多層成形体を延伸した場合、該リグラインド層の樹脂組成物を構成する樹脂間の界面がミクロに剥離するため、層内でボイドやクレーズ、クラック等を生じているためと考えられる。
ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)に変性ポリオレフィン(C)を加えることでポリプロピレンとEVOHの界面接着力が高まるために延伸後の透明性は若干改良されるが、これだけでは不十分である。これは、EVOHの延伸性がポリプロピレンのそれに比べて悪いため、リグラインド層を延伸したときにEVOHが延伸されずポリプロピレンとの界面が剥離してボイドが発生することが原因と考えられる。
これを更に改良するために新たな成分を検討する場合、樹脂の相溶性の観点から考えれば、該成分(A)、(B)および(C)と分子構造の近いポリオレフィン系の樹脂から選択して検討することが通常である。しかし、本発明では、該成分(A)、(B)および(C)とは異なる樹脂であるポリエステル系の樹脂として成分(D)という特定の樹脂を用いることによって、意外にも多層成形体の延伸後の透明性が大幅に改良されたものである。この効果の発現機構としては、成分(D)を添加することによって、成分(B)すなわちEVOHに成分(D)が入り込むことでEVOHの延伸性が改良され、ポリプロピレンとともにEVOHも延伸することが可能となったものと考えられる。この結果、延伸時のボイドやクレーズ、クラック等の発生を抑制することが出来、透明性低下が抑制できるものである。
樹脂組成物中の上記各原料の含有量は、ポリプロピレン(A)70〜99.5重量%、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)0.3〜10重量%、グラフト変性ポリオレフィン(C)0.01〜15重量%、および変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)0.1〜5重量%の配合比率であることが好ましい。ここで、(A)〜(D)各成分の配合割合は、(A)〜(D)の合計重量を100重量%とした場合の割合である(以下、同様)。
樹脂組成物中のポリプロピレン(A)の含有量は、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上であり、通常99.5重量%以下、好まし
くは99.3重量%以下、より好ましくは99.0重量%以下である。ポリプロピレン(A)の含有量が前記範囲であることによって、本発明の樹脂組成物をポリプロピレン樹脂と同様な成形条件で使用することができる。ポリプロピレン(A)の含有量が前記下限値未満の場合には、リグラインド層の透明性が低下するおそれがある。一方、ポリプロピレン(A)の含有量が前記上限値を超える場合には、接着性樹脂としての効果が低下する傾向にあり、さらに成分(B)、(C)及び(D)を含有することによる効果が低減する傾向にある。
樹脂組成物中のエチレン−ビニルアルコール共重合体(B)の含有量は、通常0.3重量%以上、好ましくは0.4重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上であり、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは6重量%以下である。エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)の含有量が前記下限値未満の場合には、本発明の樹脂組成物をリグラインド層に用いた際に、EVOH層との親和性が低下する傾向にある。一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)の含有量が前記上限値を超える場合には、本発明の樹脂組成物をリグラインド層に用いた際に透明性が低下するおそれがある。
樹脂組成物中の、変性ポリオレフィン(C)の含有量は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.02重量%以上、より好ましくは0.03重量%以上であり、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。変性ポリオレフィン(C)の含有量が前記下限値未満の場合には、本発明の樹脂組成物をリグラインド層に用いた際に透明性が低下するおそれがある。一方、変性ポリオレフィン(C)の含有量が前記上限値を超える場合には、結果的に本発明の樹脂組成物の耐衝撃性が悪化する傾向にある。
樹脂組成物中の、変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上であり、通常5重量%以下、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)の含有量が前記下限値未満の場合には、本発明の樹脂組成物をリグラインド層に用いた多層成形体を延伸したときの透明性が不十分になるおそれがある。一方、変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)の含有量が前記上限値を超える場合にも、リグラインド層の透明性が低下するおそれがある。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)と変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)の割合は限定されないが、成分(B)100重量部に対して成分(D)が5重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましい。成分(Bに対する成分(D)の割合が前記範囲であれば、本発明の樹脂組成物をリグラインド層として有する多層積層体を延伸した際に、成分(B)の延伸性が良好であるため、延伸成形体の透明性が向上する傾向にある。なお、成分(B)100重量部に対する成分(D)の上限は、通常200重量部以下である。
本発明の樹脂組成物のMFRは特に限定されないが、成形性の点から、230℃、荷重2.16kgの条件で、通常0.01〜30g/10分、さらには0.1〜10g/10分のものが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、透明性が高いことが望ましい。透明性はヘーズ及び全光線透過率で評価され、具体的には、JIS K7136に従って測定した200μm厚みシートのヘーズが50%以下であることが好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下が更に好ましい。
上記の通り、本発明の樹脂組成物は、透明性が良好であり、かつ、種々の樹脂との接着性が良好であるので、後述する通り、多層成形体を構成する樹脂として好適である。
本発明の樹脂組成物は、上述の各成分を所定の割合で混合することにより得ることができる。
混合の方法については、原料成分が均一に分散すれば特に制限は無い。すなわち、上述の各原料成分等を同時に又は任意の順序で混合することにより、各成分が均一に分布した組成物を得ることができる。
より均一な混合・分散のためには、所定量の上記原料成分を、溶融混合することが好ましく、例えば、本発明の樹脂組成物の各原料成分等を任意の順序で混合してから加熱したり、全原料成分等を順次溶融させながら混合しても良いし、各原料成分等の混合物をペレット化したり目的成形品を製造する際の成形時に溶融混合してもよい。
本発明の樹脂組成物は、種々公知の手法、例えばタンブラーブレンダー、Vブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等を用いて混合し、混合後、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等で溶融混練し、造粒あるいは粉砕する手法により調製することができる。溶融混練時の温度は、各原料成分の少なくとも一つが溶融状態となる温度であればよいが、通常は用いる全成分が溶融する温度が選択され、一般には150〜300℃の範囲で行う。
本発明の樹脂組成物は、前記の成分(A)〜(D)を含有していれば、これを独立した原料として用いなくともよい。すなわち、既にこれら成分のうち2以上の成分を含有する樹脂組成物や、成形品となったもの等を原料とすることができる。例えば、予めポリプロピレン(A)とグラフト変性ポリオレフィン(C)とが一つの樹脂組成物となったものを使用する場合等が挙げられる。
このような方法のうち、特に、成分(A)〜(D)を含有するリグラインド品を原料として使用することができることが本発明の特徴の一つである。ここで、リグラインド品とは、多層シート、多層フィルム等の多層成形体の製品のクズ、端部又は不良品や、多層ボトルのバリ、多層カップ成形時に発生した打ち抜きクズ等を意味する。本発明の樹脂組成物は、このようなリグラインド品を原料として用いた場合であっても、良好な透明性および接着性を有することができる。
中でも、本発明の樹脂組成物を得るための原料として、多層成形体を粉砕した粉砕品を好適に使用することができる。例えば、成分(A)〜(D)がそれぞれの層を構成する多層成形体を原料として溶融混練することによって本発明の樹脂組成物を得ることができる。
また、成分(A)〜(C)がそれぞれの層を構成する多層成形体を原料として、成分(D)を加えて溶融混練して該樹脂組成物を得ることもできる。
また、本発明を構成する全ての成分を有していないリグラインド品を原料とする場合は、足りない成分のみを原料として補えばよい。
(7)成形品
本発明の樹脂組成物から得られる成形品には限定は無く、種々の押出成形品や射出成形品とすることができる。また、本発明の樹脂組成物を単独で使用して成形品とすることもできるが、本発明の樹脂組成物は、後述する種々の熱可塑性樹脂との接着力に優れ、かつ透明性が良好であるので、該熱可塑性樹脂との多層成形体および該多層成形体を延伸して得られる延伸成形体(延伸フィルム)として利用するとより効果的である。
<多層成形体>
次に、本発明多層成形体について説明する。本発明の多層成形体は、上述した本発明の樹脂組成物からなる接着層(以下、樹脂組成物層という場合がある)を含む2層または3層以上に積層された積層体であり、具体的には、積層シート、積層フィルム、積層ボトル等が挙げられる。
本発明の多層成形体は、本発明の樹脂組成物からなる層と他の層とからなる。他の層を構成する材料は限定されないが、具体的には、オレフィン系ポリマー層や、エチレン−ビニルアルコール共重合体層、ポリアミド樹脂層などが好適に用いられる。本発明の樹脂組成物は、透明性が良好であり、かつ、種々の樹脂との接着性が良好であるので、これらの樹脂層と積層体とした場合であっても、良好な透明性を維持することができる。
また、多層成形体における樹脂組成物層を構成する樹脂は、前記の通り、リグラインド品を原料とした場合であっても、得られる多層成形体は良好な透明性および接着性を有する。
オレフィン系ポリマー層を構成する樹脂としては、具体的には、本発明における成分(C)の原料として用いることができる無変性のポリオレフィンや、成分(C)に相当する樹脂等が挙げられる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体層を構成する樹脂としては、具体的には、本発明における成分(B)に相当する樹脂が挙げられる。
ポリアミド樹脂層を構成する樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/11、MXDナイロン、アモルファスナイロン、テレフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体などが好ましく用いられる。中でも融点、剛性などが優れるナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66が好ましい。
本発明の多層成形体における層を構成するその他の樹脂としては、前記した本発明の樹脂組成物におけるその他の成分として挙げた樹脂等を用いることができる。
本発明の多層成形体を製造する方法としては、従来より公知の種々の方法を採用することができる。例えば、押出機で溶融させた、個々の溶融樹脂を多層ダイスに供給し、ダイスの中で積層する共押出し手法によるインフレーションフィルム、T−ダイフィルム、シート、パイプや、溶融した個々の樹脂を同一金型内にタイムラグを付けインジェクションする、共インジェクション成形などが挙げられる。
また、各層を構成する樹脂フィルム同士に熱をかけてラミネートすることで積層することも可能である。
本発明の多層成形体は、特に延伸した場合に、透明性および接着性が良好であるという特性を有する。
本発明の延伸フィルムを製造する方法としては、従来より公知の種々の方法を採用することができる。延伸方向は、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよく、また逐次延伸で製造しても、同時延伸で製造してもよい。
例えば、前記方法で得られた未延伸の多層成形体を冷却固化後、各成形品をインライン、またはアウトラインで60〜160℃の延伸温度まで再加熱し、テンター、プラグおよび圧縮空気等を用い一軸方向、あるいは二軸方向に少なくとも面積比で1.5倍以上延伸を行い、一軸または二軸延伸成形したフィルム、カップ、ボトル等の成形体を得る方法が挙げられる。
インフレーションフィルムの場合、インフレーション同時二軸延伸法、Tダイフィルムの場合テンター同時二軸延伸法、ロールおよびテンターによる逐次二軸延伸法等、カップの場合、金型内で圧縮空気等のみによる圧空成形、プラグと圧縮空気を併用するSPPF成形等、ボトルの場合、積層パイプを縦に延伸後、金型内で圧縮空気等で横に延伸するパイプ延伸法、インジェクション成形により試験管状の有底パリソンを成形し、有底パリソンを金型内でロッドにより縦方向に延伸後、圧縮空気等により横方向に延伸する有底パリソン延伸法等が一般的に用いられる。
本発明の多層成形体を延伸して得る場合、上記の通り延伸した後には、熱固定を行ってもよいし、熱固定をせずに製品としてもよい。熱固定を行わない場合は、その後に多層成形体を加熱することによって応力が開放され、収縮する性質をもつためシュリンクフィルムとして用いることができる。
本発明の多層成形体の各層の厚みは限定されず、層構成、用途、最終製品の形状、要求される物性等により任意に設定することができる。
食品包装用や工業製品包装用のフィルムの場合、無延伸の積層体の総厚みは、通常30〜400μmであり、さらには40〜300μmであることが好ましく、特には50〜200μmであることが好ましい。また、無延伸の積層体を構成する接着性樹脂層の厚みは、通常1〜100μmであり、さらには2〜80μmであることが好ましく、特には3〜50μmであることが好ましい。
また、該用途に用いる延伸成形体(延伸フィルム)の総厚みは、通常5〜400μmであり、さらには10〜300μmであることが好ましく、特には20〜200μmであることが好ましい。また、延伸フィルムを構成する接着性樹脂層の厚みは、通常0.1〜50μmであり、さらには0.3〜30μmであることが好ましく、特には0.5〜20μmであることが好ましい。
食品用や衛生品用、一般工業製品用のボトル形状の場合、無延伸または延伸された積層体の総厚みは、通常0.1〜7mmであり、さらには0.15〜6mmであることが好ましく、特には0.2〜5mmであることが好ましい。また、無延伸または延伸された積層体を構成する接着性樹脂層の厚みは、通常3〜300μmであり、さらには4〜200μmであることが好ましく、特には5〜100μmであることが好ましい。
本発明の多層成形体は、透明性が高いことが特徴である。具体的には、多層成形体を流動パラフィンにより両面をガラスで密着させ、JIS K7136により測定したヘーズは、無延伸の場合、50%以下が好ましく、45%以下が特に好ましく、40%以下が最も好ましい。また同条件において、延伸成形体の場合、70%以下が好ましく、60%以下が特に好ましく、50%以下が最も好ましい。
本発明に係る樹脂組成物は、ポリアミド樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体に対して優れた接着強度特性を示す。このため、本発明に係る多層成形体は優れた接着強度特性を示し、更に強度、耐熱性およびガスバリアー性に優れる。従って、本発明に係る多層成形体は、ガソリンタンク、食用油のボトルやハム等の畜肉包装フィルムなどの一般食品包装用材料、意匠包装やラベル等に好適に使用することができる。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例では、以下の原料を用いた。
<成分(A):ポリプロピレン>
(a−1):ホモポリプロピレン、MFR:3.0g/10分(230℃、2.16kg荷重)。
(a−2):ホモポリプロピレン、MFR:5.0g/10分(230℃、2.16kg荷重)。
<成分(B):エチレン−ビニルアルコール共重合体>
(b−1):日本合成化学工業株式会社製「ソアノールDC3203FB」、エチレン
含量32モル%、MFR:3.2g/10分(210℃、2.16kg荷重)、鹸化度99.5モル%。
(b−2):日本合成化学工業株式会社製「ソアノールET3803B」、エチレン含量38モル%、MFR:3.2g/10分(210℃、2.16kg荷重)、鹸化度99.6モル%。
<成分(C):変性ポリオレフィン>
(c−1):三菱化学株式会社製 無水マレイン酸変性ポリプロピレン、MFR:500g/10分(180℃、2.16kg荷重)、グラフト量:2.8重量%。
<成分(D):変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー>
(d−1)の製造
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとするポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有量が60重量%のポリエステル系熱可塑性エラストマー(MFR(230℃、荷重2.16kg)25g/10分)100重量部に対し、無水マレイン酸(和光純薬工業社製試薬特級)0.5重量部、およびラジカル発生剤としてm−トルオイルパーオキサイド/ベンゾイルパーオキサイド混合物(日油株式会社製「ナイパーBMT−K40」)0.05重量部を混合し、これを株式会社池貝製「PCM−45型混練機」(径44mm、温度190〜220℃)中で溶融混練した後、ペレタイザーを通してペレット化することにより変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(d−1)を製造した。d−1のグラフト量は0.3重量%であった。
(d−2)の製造
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとするポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有量が77重量%のポリエステル系熱可塑性エラストマー(MFR(230℃、荷重2.16kg)25g/10分)100重量部に対し、無水マレイン酸(和光純薬工業社製試薬特級)0.5重量部、およびラジカル発生剤としてm−トルオイルパーオキサイド/ベンゾイルパーオキサイド混合物(日油株式会社製「ナイパーBMT−K40」)0.05重量部を混合し、これを株式会社池貝製「PCM−45型混練機」(径44mm、温度190〜220℃)中で溶融混練した後、ペレタイザーを通してペレット化することにより変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(d−2)を製造した。d−2のグラフト量は0.3重量%であった。
(d−3)比較例用: 無変性のポリエステル系熱可塑性エラストマー(ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとするポリエステルポリエーテルブロック共重合体。ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有量60重量%。MFR(230℃、荷重2.16kg)25g/10分)
[実施例1]
(a−1)92.500重量部、(a−2)2.425重量部、(b−1)5.000重量部、(c−1)0.075重量部、(d−1)0.500重量部を混合し、株式会社池貝製「PCM−45型混練機」(径44mm、温度190〜220℃)中で溶融混練し、ペレタイザーを通してペレット化することにより樹脂組成物ペレットを得た。
<フィルム成形>
得られたペレットを用いて、以下に示す装置を使用してフィルムを作成した。
使用機械:GSIクレオス社製単層Tダイ成形機
スクリュー: 50mmφ、フルフライト
押出し温度: 220℃
フィルム厚み: 200μm
<延伸>
得られた単層フィルムを延伸温度80℃、延伸速度10m/分で縦方向に4倍に延伸して一軸延伸フィルムを得た。また、延伸温度80℃、延伸速度10m/分で縦方向に4倍、横方向に2倍に同時二軸延伸して二軸延伸フィルムを得た。
<ヘーズ>
延伸前のフィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムを用いて、試料片を流動パラフィンにより両面をガラスで密着させ、JIS K7136により測定した。結果を表−1に示す。
[実施例2]
(d−1)を1.0部使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
[実施例3]
(d−1)を(d−2)0.5部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
[実施例4]
(b−1)を(b−2)に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
[実施例5]
(b−1)100重量部と(d−1)を10重量部を短軸押出機で混練してEVOH組成物を得た。(b−1)5重量部と(d−1)0.5重量部のかわりに上記EVOH組成物5.5重量部を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。最終組成割合は実施例1と同じである。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
[比較例1]
(d−1)を使用しなかった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
[比較例2]
(d−1)を使用しなかった以外は実施例4と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例4と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
[比較例3]
(d−1)のかわりに(d−3)を0.5重量部使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した延伸前および延伸後のフィルムのヘーズを表−1に示す。
Figure 2012111879
表−1から明らかなように、ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、及びグラフト変性ポリオレフィン(C)を含有する樹脂組成物を成形して得られたフィルム(比較例1、比較例2)に対して、さらに変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を配合した実施例1〜4の樹脂組成物を成形して得られたフィルムは、延伸前だけでなく一軸延伸後および二軸延伸後のフィルムにおいて透明性が改善されていた。また、無変性のポリエステル系熱可塑性エラストマーを配合した比較例3と比較しても透明性が改善されていた。実施例5のようにあらかじめエチレン−ビニルアルコール共重合体(B)と変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を混練したEVOH組成物を用いても実施例1と同様の透明性改良効果が得られた。
該実施例における樹脂組成物は、多層成形体の粉砕品(リグラインド品)のモデルであ
り、また、該実施例におけるフィルムは多層成形体を構成する1層のモデルであるが、この結果から、リグラインド品を用いても透明性が良好であること、延伸してなる多層成形体においても透明性が良好であることが確認される。

Claims (11)

  1. ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、グラフト変性ポリオレフィン(C)、および不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. ポリプロピレン(A)70〜99.5重量%、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)0.3〜10重量%、グラフト変性ポリオレフィン(C)0.01〜15重量%、および変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)0.1〜5重量%の配合比率である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. ポリエステル系熱可塑性エラストマーが、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを5〜90重量%含有する請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 多層成形体の粉砕品を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の樹脂組成物。
  5. 多層成形体の粉砕品を含む原料を溶融混練して得られることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の樹脂組成物。
  6. ポリプロピレン(A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)、グラフト変性ポリオレフィン(C)、および不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーをグラフト変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)を含有する樹脂組成物からなる層を含むことを特徴とする多層成形体。
  7. ポリプロピレン(A)70〜99.5重量%、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)0.3〜10重量%、グラフト変性ポリオレフィン(C)0.01〜15重量%、および変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(D)0.1〜5重量%の配合比率である請求項6に記載の多層成形体。
  8. 前記樹脂組成物からなる層を接着層として有することを特徴とする請求項6または7に記載の多層成形体。
  9. 多層成形体を構成する樹脂組成物が、多層成形体の粉砕品を含む原料を溶融混練して得られたものであることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の多層成形体。
  10. 前記樹脂組成物からなる層の少なくとも何れか一方の面にポリオレフィン樹脂層及び/またはエチレン−ビニルアルコール共重合体層を有する請求項6〜9の何れかに記載の多層成形体。
  11. 請求項6〜10の何れかに記載の多層成形体を1軸または2軸延伸してなる延伸成形体。


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