JP6992547B2 - 接着性樹脂組成物、及びこれを用いた複合接着体 - Google Patents

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Description

本発明は、接着性樹脂組成物、及びこれを用いた複合接着体とその製造方法に関する。
耐薬品性、耐熱性、消音性、制振動性、電気絶縁性、表面保護、作業環境性、生産性等の各種機能の付加或いは向上や、各種部品の軽量化を目的として、銅、鋼、ステンレス、アルミニウム等の金属やポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ系樹脂等の樹脂からなる部材の表面に樹脂層を設けた複合材料が各種用途で用いられている。
このような複合材料の用途としては、例えば建築部材、内外装建材、電動工具、医療機器、自転車、自動車、電気自動車、鉄道車両や農業車両等の車両部品、船舶部品、燃料電池セパレータや太陽電池モジュール等の電池部品、パソコンやカメラ、携帯電話やスマートフォン等の情報機器端末、家電製品、プリント配線板等の電子部品、各種包装材料、暖房機器、雑貨などが挙げられる。これらの複合材料の用途はさらに拡大し、その使用量が増加する傾向にある。かかる背景の下、上述の金属又は樹脂からなる部材の表面とその上に形成される樹脂層との接着性の向上が求められている。
従来、接着性樹脂として、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが知られており、例えば、特許文献1には、ポリアミド樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の熱可塑性樹脂層と、これらとの熱融着性、特に高温雰囲気下での熱融着性に優れる接着性重合体組成物層を含む積層体の接着性重合体組成物として、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率が58~73質量%である飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーを、ラジカル発生剤の存在下、不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性処理して得られる、変性ポリエステル系エラストマーを用いることが提案されている。また、特許文献2には、金属に対して熱可塑性エラストマーを一体化した複合成形品において、熱可塑性エラストマーの対金属接着性を更に向上させるために、ポリエステル系熱可塑性エラストマーをα,β-エチレン性不飽和カルボン酸でグラフト変性してなる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いることが提案されている。
特開2004-001252号公報 特表2011-074398号公報
しかしながら、上記特許文献1では、ある特定の樹脂の表面での23℃または60℃という比較的低温下での接着強度の向上は確認されているが、高温下での接着強度の向上については確認できておらず、使用するポリエステル系熱可塑性エラストマーによっては、十分な接着強度が得られない場合があった。また、特許文献2には、特定の金属表面に対する接着強度の向上は示されているが、他の金属や樹脂表面との接着性については言及されていない。
また、特許文献1と特許文献2に記載のポリエステル系熱可塑性エラストマ-では、基材の表面にこのポリエステル系熱可塑性エラストマーを含む接着性樹脂組成物を押出成形して複合材料とする際に、接着性樹脂組成物が均一に基材表面に広がらず、接着性樹脂層を成形し得ないことがあるという問題があった。また、基材の材質によって、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)やポリカーボネート樹脂からなる基材の表面に接着性樹脂組成物を押出成形する際に、接着性樹脂組成物が均一に表面に広がらず、形成された接着性樹脂層はすぐに剥離してしまう、という問題もあった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アルミニウムや銅などの金属基材に対しても、また、ポリカーボネート樹脂やポリ塩化ビニル樹脂等の樹脂基材に対しても優れた接着性を示す接着性樹脂組成物と、この接着性樹脂組成物を用いた複合接着体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーとエチレン・α-オレフィン共重合体を配合することによって、金属表面との接着性のみならず樹脂表面における接着性も向上させることができ、且つ押出成形による基材表面への接着性樹脂層形成も効率よく行うことができ、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[10]に存する。
[1] 下記(A)成分と下記(B)成分とを少なくとも含有し、該(A)成分および(B)成分のうちの一方又は双方が、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体によりグラフト変性されており、融点が180℃以下で、且つメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg、JIS K7210準拠)が0.1~19g/10分である接着性樹脂組成物。
(A)成分:ポリエステル系熱可塑性エラストマー
(B)成分:エチレン・α-オレフィン共重合体
[2] 前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーが飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーである、[1]に記載の接着性樹脂組成物。
[3] 前記飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーがポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含む、[2]に記載の接着性樹脂組成物。
[4] 前記飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマー中のポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有量が10~80質量%である、[3]に記載の接着性樹脂組成物。
[5] 前記接着性樹脂組成物のグラフト量が0.01~10質量%である、[1]~[4]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
[6] 前記成分(A)及び前記成分(B)の合計100質量部に対して、該成分(A)を10~90質量部、該成分(B)を90~10質量部含む、[1]~[5]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
[7] メルトフローレート(230℃、荷重2.16kg、JIS K7210準拠)が0.1~12g/10分である、[1]~[6]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
[8] 基材と、該基材の少なくとも一つの表面に設けられた、[1]~[7]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物を含有する接着性樹脂層とを備える、複合接着体。
[9] 前記基材の前記表面の材質が、アルミニウム、ポリ塩化ビニル樹脂、又はポリカーボネート樹脂である、[8]に記載の複合接着体。
[10] 基材の少なくとも一つの表面に、[1]~[7]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物を押出成形して複合接着体を得る、複合接着体の製造方法。
本発明の接着性樹脂組成物によれば、アルミニウムなどの各種金属基材、ポリ塩化ビニル樹脂やポリカーボネート樹脂などの各種樹脂基材との接着強度が高く、これらの各種基材との接着性を十分に維持可能であり、高い耐久性を有する接着性樹脂層及び複合接着体を提供することができる。また、本発明の接着性樹脂組成物は、融点が比較的低く、低温条件下での接着強度が高く、且つメルトフローレートも比較的低いため、押出成形あるいは共押出成形により複合接着体を製造する際の加工成形性の向上が期待される。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明の実施態様の例(代表例)であり、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。また、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
[接着性樹脂組成物]
本発明の接着性樹脂組成物は、下記(A)成分と下記(B)成分とを少なくとも含有し、該(A)成分および(B)成分のうちの一方又は双方が、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体によりグラフト変性されており、融点が180℃以下で、且つメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg、JIS K7210準拠)が0.1~19g/10分であることを特徴とする。
(A)成分:ポリエステル系熱可塑性エラストマー
(B)成分:エチレン・α-オレフィン共重合体
本発明の接着性樹脂組成物は、アルミニウム等の金属、塩化ビニル樹脂やポリカーボネート樹脂等の樹脂など各種の材料よりなる基材との接着強度、特に低温での接着強度が高く、且つメルトフローレートも低いため、押出成形或いは共押出成形により複合接着体を製造する際の加工成形性の向上を図ることができる。
その理由としては、低めの温度領域からでも発現する接着機構や各種基材への濡れ性の向上ということが推測される。
<成分(A)>
成分(A)のポリエステル系熱可塑性エラストマーは、特にこれをα,β-エチレン性不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体でグラフト変性することで、本発明の接着性樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂やポリカーボネート樹脂などの樹脂、アルミニウム等の金属表面等の被着面に対する接着性を向上させる接着性向上剤として機能する。
本発明で使用する成分(A)のポリエステル系熱可塑性エラストマーは、飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーであることが好ましく、特にポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとして芳香族ポリエステルを含有し、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールや脂肪族ポリエステルを含有するものが好ましく、特に、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを使用したポリエステルポリエーテルブロック共重合体が好ましい。
ポリエステルポリエーテルブロック共重合体中のポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、また、通常90質量%以下、好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。ポリエステルポリエーテルブロック共重合体中のポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量が多過ぎる場合は、本発明の接着性樹脂組成物により形成される接着性樹脂層に十分な硬度が発現されず、機械強度が劣ることがあり、逆にこの含有量が少な過ぎる場合は、エラストマー性が低下し、柔軟性や耐衝撃性が不十分となることがある。ポリエステルポリエーテルブロック共重合体中のポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を使用し、その水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。
本発明に好適なポリエステルポリエーテルブロック共重合体としては、
(i)炭素原子数2~12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールよりなるジオール成分と、
(ii)芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びこれらのアルキルエステルから選ばれるカルボン酸成分と、
(iii)ポリアルキレンエーテルグリコールと
を原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものが挙げられる。
(i)の炭素原子数2~12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールとしては、ポリエステルの原料、特にポリエステル系熱可塑性エラストマーの原料として一般に用いられるものが使用できる。その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらの中では、1,4-ブタンジオール又はエチレングリコールが好ましく、特に1,4-ブタンジオールが好ましい。これらのジオール成分は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
(ii)の芳香族ジカルボン酸としては、ポリエステルの原料、特にポリエステル系熱可塑性エラストマーの原料として一般的に用いられているものが使用できる。その具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。これらの中では、テレフタル酸又は2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましく、特にテレフタル酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとしては、上記の芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等のアルキルエステルが使用される。中でも、ジメチルテレフタレート及び2,6-ジメチルナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
本発明において、成分(A)のポリエステル系熱可塑性エラストマーのJIS-D硬度(JIS K6253に従い、デュロメータ タイプDによる硬度)は、通常10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは20以上で、通常80以下、好ましくは70以下、更に好ましくは60以下である。JIS-D硬度が低過ぎる場合は、本発明の接着性樹脂組成物で形成される接着性樹脂層の機械強度が劣る傾向となり、高過ぎる場合は、柔軟性、耐衝撃性が劣ることがある。
また、成分(A)のポリエステル系熱可塑性エラストマーの融点は180℃以下であることが好ましく、より好ましくは170℃以下である。融点が低くなるにつれ、ポリ塩化ビニル樹脂に対する接着成形性が向上する傾向があるので、好ましい。また、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの融点が180℃を超えると、ポリ塩化ビニル樹脂の分解が懸念されるため、好ましくない。ただし、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの融点は成形性の観点から、100℃以上、特に120℃以上であることが好ましい。
ここで、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの融点は、示差走査熱量計による融解ピーク温度として測定される値である。
また、成分(A)のポリエステル系熱可塑性エラストマーのメルトフローレート(MFR、230℃、荷重2.16kg、JIS K7210準拠)は、0.1~19g/10分であるが、好ましくは1~17g/10分であり、より好ましくは3~16g/10分である。MFRが0.1g/10分以上であると成形性の面で有利であり、一方、19g/10分以下であればハンドリングの面で扱いやすく、好ましい。
このような本発明に好適なポリエステルポリエーテルブロック共重合体よりなるポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては市販品を用いることもでき、例えば、三菱ケミカル株式会社製「プリマロイ」、東洋紡績株式会社製「ペルプレン」、東レ・デュポン株式会社製「ハイトレル」等が挙げられる。
成分(A)のポリエステル系熱可塑性エラストマーは、1種のみを用いてもよく、ポリエステル系熱可塑性エラストマー組成や物性等の異なるものの2種以上を併用してもよい。
<成分(B)>
成分(B)のエチレン・α-オレフィン共重合体は、本発明の接着性樹脂組成物において、柔軟性に寄与する成分である。
成分(B)のエチレン・α-オレフィン共重合体としては特に限定されないが、エチレンに基づく単量体単位の含有量が60~90質量%、α-オレフィンに基づく単量体単位の含有量が10~40質量%(但し、エチレンに基づく単量体単位の含有量とα-オレフィンに基づく単量体単位の含有量との合計を100質量%とする。)のものが好ましい。エチレンに基づく単量体単位の含有量が上記下限以上でα-オレフィンに基づく単量体単位の含有量が上記上限以下であると、本発明の接着性樹脂組成物の微分散性が向上され、好ましい。また、α-オレフィンに基づく単量体単位の含有量が上記下限以上で、エチレンに基づく単量体単位の含有量が上記上限以下であると、材料強度低下が抑制でき、好ましい。
エチレン・α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンとしては炭素数3~10のα-オレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、2-メチルプロピレン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等を例示することができる。エチレン・α-オレフィン共重合体は、これらのα-オレフィンの1種のみに基づく単量体単位を含むものであってもよく、2種以上に基づく単量体単位を含むものであってもよい。
エチレン・α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンとしては、上記のα-オレフィンのうち、1-オクテン、1-ブテンが機械物性の観点から好ましく、特に1-オクテンが弾性の観点から好ましい。
なお、成分(B)のエチレン・α-オレフィン共重合体は、本発明の効果を損なうことのない範囲でエチレンに基づく単量体単位とα-オレフィンに基づく単量体単位に加えて、非共役ジエンに基づく単量体単位等の他の単量体に基づく単量体単位の1種又は2種以上を有していてもよい。該非共役ジエンとしては、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンのような鎖状非共役ジエン;シクロへキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネンのような環状非共役ジエン等が挙げられるが、これらの中でも好ましくは、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。
成分(B)のエチレン・α-オレフィン共重合体が非共役ジエン等の他の単量体に基づく単位を有する場合、その含有量は成分(B)全体に対して、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
なお、エチレン・α-オレフィン共重合体中のエチレンに基づく単量体単位やα-オレフィンに基づく単量体単位、その他の単量体に基づく単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。
材料強度と金属との接着力の観点から、成分(B)のエチレン・α-オレフィン共重合体の密度(株式会社東洋精機製作所 自動比重計D-H100による)は0.850~0.930g/cmで引張強度(ASTM D-412による)は1~100MPaで、JIS-D硬度(デュロメータ タイプDによる)は10~70の範囲であることが好ましい。
成分(B)のエチレン・α-オレフィン共重合体は、1種を単独で用いても良く、α-オレフィンの種類や単量体組成、物性等の異なるものの2種以上を併用しても良い。
<成分(A)と成分(B)の含有割合>
本発明の接着性樹脂組成物は、上記成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して、成分(A)を10~90質量部、成分(B)を90~10質量部含むことが好ましい。成分(A)の含有量が上記下限以上で成分(B)の含有量が上記上限以下であると各種基材に対する接着性、柔軟性の観点で有利であり、好ましい。一方、成分(A)の含有量が上記上限以下で成分(B)の含有量が上記下限以上であると材料強度の観点で有利であり、好ましい。これらの観点から、各成分の含有量は成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して、より好ましくは成分(A)を50~90質量部、成分(B)を10~50質量部、更に好ましくは成分(A)を55~85質量部、成分(B)を15~45質量部、特に好ましくは成分(A)を60~80質量部、成分(B)を20~40質量部である。
<グラフト変性>
成分(A)及び/又は成分(B)をグラフト変性するα,β-エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和カルボン酸が挙げられる。α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の誘導体としては、コハク酸2-オクテン-1-イル無水物、コハク酸2-ドデセン-1-イル無水物、コハク酸2-オクタデセン-1-イル無水物、マレイン酸無水物、2,3-ジメチルマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、1-ブテン-3,4-ジカルボン酸無水物、1-シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、exo-3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、endo-ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物が挙げられる。
これらのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(以下、「α,β-エチレン性不飽和カルボン酸類」と称す場合がある。)は、変性すべき成分(A)及び/又は成分(B)や変性条件に応じて適宜選択することができ、1種を単独で用いる場合に限らず、2種以上を併用しても良い。
これらのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸類は、有機溶剤などに溶解して使用することもできる。
本発明の接着性樹脂組成物は、成分(A)と成分(B)の混合物にα,β-エチレン性不飽和カルボン酸類を添加して、好ましくはラジカル発生剤の存在下にα,β-エチレン性不飽和カルボン酸類を成分(A)及び/又は成分(B)にグラフト重合させることで得ることができる。
ここで使用されるラジカル発生剤としては、例えば、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルオキシ)ヘキサン、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化カリウム、過酸化水素などの有機及び無機の過酸化物;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)ジハライド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、アゾジ-t-ブタン等のアゾ化合物;ジクミル等の炭素ラジカル発生剤などが挙げられる。
上記のラジカル発生剤は、変性反応に供する成分(A)及び/又は成分(B)の種類、変性剤としてのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸類の種類及び変性条件に応じて適宜選択することができ、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
ラジカル発生剤は有機溶剤などに溶解して使用することもできる。
本発明の接着性樹脂組成物を得る際に行う変性反応としては、溶融混練反応法、溶液反応法、懸濁分散反応法など公知の種々の反応方法を使用することができるが、通常は溶融混練反応法が好ましい。
溶融混練反応法よる場合は、前記の各成分を所定の配合比にて均一に混合した後に溶融混練すれば良い。混合には、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、溶融混練には、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸などの多軸混練押出機などが使用される。
溶融混練は、樹脂が熱劣化しないように、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上で、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、更に好ましくは250℃以下の範囲で行う。
変性剤としてのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸類の配合量は、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対し、通常0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、通常30質量部以下、好ましくは5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。α,β-エチレン性不飽和カルボン酸類の配合量が少な過ぎる場合は、十分な変性が行えず、多過ぎる場合は、配合量に応じた変性率が得られず不経済である。
また、ラジカル発生剤の配合量は、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対し、通常0.001質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上で、通常3質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.2質量部以下、特に好ましくは0.1質量部以下である。ラジカル発生剤の配合量が少な過ぎる場合は、変性が十分に起こらず、多過ぎる場合は、成分(A)及び/又は成分(B)の変性時の低分子量化(粘度低下)が大きく、材料強度が著しく低下してしまう。即ち、この変性反応においては、成分(A)及び/又は成分(B)にα,β-エチレン性不飽和カルボン酸類が付加するグラフト重合反応が主として起こるが、分解反応も起こり、分解により、得られる変性物は、分子量が低下して溶融粘度が低くなる。ラジカル発生剤の使用量が多過ぎると、グラフト重合反応も起こり易いが、同時にこのような溶融粘度低下につながる分解反応も起こり易くなるため、好ましくない。
上述の如く、ラジカル発生剤存在下でのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸類による成分(A)及び/又は成分(B)の変性処理では、成分(A)及び/又は成分(B)にα,β-エチレン性不飽和カルボン酸類が付加するグラフト重合反応の他、分解反応や、その他の反応として、エステル交換反応なども起こるものと考えられる。このため、得られる反応生成物は、一般的には、成分(A)及び/又は成分(B)の変性物と共に未反応原料や反応副生物をも含む組成物である。反応生成物中の変性された成分(A)及び/又は成分(B)の含有率は、通常10質量%以上、好ましくは30質量%以上であるが、反応生成物は変性された成分(A)と変性された成分(B)のみであっても良い。
この反応生成物は、接着性樹脂組成物として、後述の如く、そのまま接着性樹脂層の成形に供することができる。
なお、本発明の接着性樹脂組成物は、上記の通り、成分(A)と成分(B)の混合物をα,β-エチレン性不飽和カルボン酸類でグラフト変性処理する他、同様にグラフト処理された成分(A)と未変性の成分(B)を混合することにより製造することもできる。また、グラフト変性処理された成分(B)と未変性の成分(A)を混合することにより製造することもできるし、グラフト変性処理された成分(A)とグラフト変性処理された成分(B)を混合することにより製造することもできる。
ただし、製造が容易であり、また、均一に変性処理された接着性樹脂組成物を得ることができることから、成分(A)と成分(B)の混合物に対して上記の通りグラフト変性処理することが好ましい。
<その他の添加剤等>
本発明の接着性樹脂組成物は、本発明の効果を著しく妨げない範囲において、上述した成分(A)及び(B)の他に、当業界で公知の各種添加剤やその他の樹脂成分等を含有していてもよい。これらの各種添加剤や他の樹脂成分は、1種のみを単独で用いることもでき、また、2種以上を任意の比率で適宜組み合わせて用いることもできる。
添加剤としては、具体的には、プロセス油、加工助剤、可塑剤、結晶核剤、衝撃改良剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤、相溶化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤(酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等)、カーボンブラック、着色剤(顔料、染料等)等が挙げられる。これら添加剤を用いる場合のその含有量は限定されないが、接着性樹脂層の総量に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下であることが望ましい。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤に大別されるが、非ハロゲン系難燃剤が好ましく、具体的には、金属水酸化物、リン系難燃剤、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)難燃剤及び無機系化合物(硼酸塩、モリブデン化合物)難燃剤等が挙げられる。熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
充填剤は、有機充填剤と無機充填剤に大別される。有機充填剤としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等
が挙げられる。また、無機充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
他の樹脂成分としては、具体的には、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、及びポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂等を挙げることができる。
<接着性樹脂組成物の製造方法>
本発明の接着性樹脂組成物は、従来公知の方法で製造することができる。例えば上述した成分(A)のポリエステル系熱可塑性エラストマーと、成分(B)のエチレン・α-オレフィン共重合体、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸及びラジカル開始剤と、必要に応じて配合される上記添加剤等とを溶融混練することで、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの変性と共に接着性樹脂組成物の調製を行うことで、本発明の接着性樹脂組成物を製造することができる。このとき、必要に応じて若干量の溶媒を添加してもよい。
各成分の溶融混練の際には、例えば、ヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー等を用いて行うことができる。そして、接着性樹脂組成物は、上述した各成分の溶融混練物として、そのまま用いることができる。このとき、必要に応じて造粒したり、樹脂塊を粉砕する等して、マスターバッチとして用いることもできる。
<接着性樹脂組成物の物性>
(融点)
本発明の接着性樹脂組成物の融点は180℃以下であるが、好ましくは140~180℃、より好ましくは150~170℃である。接着性樹脂組成物の融点が上記下限以上であれば、ハンドリング性や成形加工性等の観点から、好ましい。一方、接着性樹脂組成物の融点が上記上限以下であれば、樹脂基材の劣化抑制の観点から、好ましい。
(メルトフローレート)
本発明の接着性樹脂組成物のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重2.16kg、JIS K7210準拠)は、0.1~19g/10分であり、ハンドリング性や成形加工性等の観点から、好ましくは0.1~12g/10分、より好ましくは1.0~11g/10分である。
(JIS-D硬度)
本発明の接着性樹脂組成物のJIS-D硬度は10~80、特に20~60であることが好ましい。JIS-D硬度が上記下限以上であると材料強度がある程度保たれ、好ましい。一方、JIS-D硬度が上記上限以下であると柔軟性をある程度付与でき、好ましい。
(グラフト量)
本発明の接着性樹脂組成物のグラフト量は0.01~10質量%、特に0.05~5質量%であることが好ましい。接着性樹脂組成物のグラフト量が上記下限以上であれば、各種基材との接着性に優れ、好ましい。一方、接着性樹脂組成物のグラフト量が上記上限以下であれば、材料強度が高く好ましい。
ここで、接着性樹脂組成物の変性率(グラフト量)は、プロトン-核磁気共鳴スペクトル法(H-NMR)測定により得られるスペクトルから、下記の式に従って求めることができる。H-NMR測定に使用する機器としては、例えば日本電子社製「GSX-400」を用いることができる。
Figure 0006992547000001
(但し、式中のAは7.8~8.4ppmの積分値、Bは1.2~2.2ppmの積分値、Cは2.4~2.9ppmの積分値である。)
なお、接着性樹脂組成物の融点、メルトフローレート、JIS-D硬度、グラフト量は、後述の実施例の項に記載の方法で測定される。
[複合接着体]
本発明の複合接着体は、基材と、この基材の少なくとも一つの表面に設けられた本発明の接着性樹脂組成物を含有する接着性樹脂層とを備えるものである。
本発明の複合接着体は、基材の一つの表面にのみ本発明の接着性樹脂組成物による接着性樹脂層を有するものであってもよく、例えば板状ないしシート状の基材の場合は両方の表面に接着性樹脂層を有するものであってもよい。また、基材が、板状ないしシート状以外の形状の場合は、その一つの面或いは一部にのみ本発明の接着性樹脂組成物による接着性樹脂層を有していてもよく、2以上、或いは全表面に本発明の接着性樹脂組成物による接着性樹脂層を有していてもよい。
<基材>
本発明の複合接着体の基材は、金属基材であってもよく、樹脂基材であってもよい。
金属基材としては、クロム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、錫、銅、鉄、ニッケルなどの金属から選ばれた少なくとも1種の金属又はこれらの2種以上の合金で構成されるものが挙げられ、具体的には、熱圧延鋼板、冷延鋼板、ブリキ板、チンフリースチール板、ステンレス鋼板、アルミニウム鋼板などの各種の鋼板(シート)、或いは、亜鉛メッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板などの各種のメッキ鋼板(シート)などが挙げられる。
前記金属基材として、より具体的には、鋼板(冷間圧延軟鋼板/ブライト仕上げ/SPCC-S8)、純アルミニウム板(A1050P)、耐食アルミニウム板(ビール/ジュース缶用、A5052P)、ステンレス鋼板(Fe/Cr/Ni合金、SUS304)、純銅板(C1100P)、トタン板(亜鉛メッキ鋼板、SGCC)、ブリキ板(錫メッキ鋼板/0.5mm厚、SPTE)、クロムメッキ板(SPCC-S8にクロムメッキしたもの)、ニッケルメッキ板(SPCC-S8にニッケルメッキしたもの)などを例示することができる。これらの金属基材のうち、特に、本発明の接着性樹脂組成物による接着性、成形性が有効に発揮されることから、純アルミニウム、耐食アルミニウム板等のアルミニウム系の基材が好ましい。
本発明において、前記金属基材は、通常表面を脱脂、洗浄処理した後本発明の接着性樹脂組成物による接着性樹脂層の形成に供されるが、更にその表面をシランカップリング剤で表面処理したものを使用してもよい。
樹脂基材としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂や、オレフィン系、スチレン系、アクリル系等のエラストマーの1種又は2種以上で構成されるものが挙げられる。
これらのうち、特に、本発明の接着性樹脂組成物による接着性、成形性(押出成形性、共押出成形性)が有効に発揮されることから、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂よりなる基材が好ましい。
なお、本発明に係る基材の形状には特に制限はなく、板状(シート状を含む)、立方体、直方体、容器形状、その他、曲線形状等の異形形状であっても良い。
また、これらの基材表面に、本発明の接着性樹脂組成物により形成される接着性樹脂層の厚さには特に制限はなく、複合接着体の用途、要求特性に応じて適宜決定されるが、通常3~5000μm、特に5~3000μmである。接着性樹脂層の厚さが薄過ぎると接着ムラが生じる可能性があり、厚過ぎると成形性の観点から好ましくない。
<複合接着体の製造方法>
本発明の複合接着体の製造方法には特に制限はなく、例えば、本発明の接着性樹脂組成物を、熱溶融状態で上述の基材に接触させて熱融着させる方法で、効率的かつ経済的に本発明の複合接着体を製造することができる。
この場合、Tダイラミネート成形法、インサート射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法、インジェクションプレス成形法などの成形法を採用することができる。
熱融着に際しては、予め接着性樹脂組成物をシート状等に成形し、成形シートを基材に積層して熱プレスする方法等を採用しても良く、また、成形工程で金属基材への熱融着をも行っても良い。例えば、接着性樹脂組成物を押出機から溶融押出し、予熱され走行している基材へ押し付けて接着性樹脂層を形成する方法が挙げられる。また、所望の形状に成形された金属基材を金型内に装着し、これにスクリュータイプの射出成形機により接着性樹脂組成物を溶融射出し、複合接着体とする方法も採用し得る。
また、基材が樹脂基材である場合、基材を構成する樹脂組成物と本発明の接着性樹脂組成物とを共押出成形することにより本発明の複合接着体を製造することもできる。
成形条件については特に制限はないが、基材がアルミニウム等の金属基材の場合は、成形温度130~200℃、熱プレスする際の圧力5~20MPaであることが好ましい。また、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂基材の場合は、成形温度130~180℃、熱プレスする際の圧力5~20MPaであることが好ましい。
<用途>
本発明の複合接着体の用途としては、建築部材、内外装建材、電動工具、医療機器、自転車、自動車、電気自動車、鉄道車両や農業車両等の車両部品、船舶部品、燃料電池セパレータや太陽電池モジュール等の電池部品、パソコンやカメラ、携帯電話やスマートフォン等の情報機器端末、家電製品、プリント配線板等の電子部品、各種包装材料、暖房機器、雑貨などが挙げられ、これらの用途において、本発明の接着性樹脂組成物を用いて形成された接着性樹脂層により、基材に対して、耐薬品性、耐熱性、消音性、制振動性、電気絶縁性、表面保護、作業環境性、生産性等の各種機能が付加ないしは向上される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[原材料]
以下の実施例及び比較例において、接着性樹脂組成物の製造に用いた原材料は以下の通りである。
成分(A):ポリエステル系熱可塑性エラストマー
A-1:ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量1800のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとする、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、該共重合体中のポリテトラメチレンエーテルグリコールセグメントの含有量が71質量%の飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマー
曲げ弾性率:30MPa
密度:1.07g/cm
融点:165.7℃
JIS-D硬度:26
MFR:16g/10分(温度230℃、荷重2.16kg)
A-2:ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとする、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、該共重合体中のポリテトラメチレンエーテルグリコールセグメントの含有量が65質量%の飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマー
曲げ弾性率:35.5MPa
密度:1.09g/cm
融点:185.0℃
JIS-D硬度:34
MFR:26g/10分(温度230℃、荷重2.16kg)
成分(B):エチレン・α-オレフィン共重合体
B-1:エチレンに基づく単量体単位の含有量が80質量%、1-オクテンに基づく単量体単位の含有量が20質量%(但し、エチレンに基づく単量体単位の含有量と1-オクテンに基づく単量体単位の含有量との合計を100質量%とする。)のエチレン・1-オクテン共重合体
密度:0.902g/cm
引張強度:24.8MPa
JIS-D硬度:42
B-2:エチレン・1-オクテン共重合体
密度:0.868g/cm
引張強度:9.8MPa
JIS-D硬度:23
B-3:エチレン・1-オクテン共重合体
密度:0.880g/cm
引張強度:11.8MPa
JIS-D硬度:24
α,β-エチレン性不飽和カルボン酸類:和光純薬工業株式会社製「無水マレイン酸(試薬特級)」
ラジカル発生剤:日本油脂株式会社製「ナイパーBMT-K40」(m-トルオイルパーオキサイド/ベンゾイルパーオキサイド混合物)
酸化防止剤:SONGWON社製「SONGNOX1010」
[測定・評価方法]
実施例及び比較例で得られた接着性樹脂組成物及び複合接着体の測定・評価方法は以下の通りである。
(1)メルトフローレート(MFR)
接着性樹脂組成物のペレットについて、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgの条件でMFRを測定した。
(2)グラフト量
接着性樹脂組成物のペレットをプレス成形(230℃)により、厚さ30~40μmのフィルム状に成形したサンプルを使用し、FT-IR装置(JASCO FT/IR610、日本分光株式会社製)にて、前述の方法で赤外吸収スペクトル法によるグラフト量を算出した。なお、標準試料中のポリエステルセグメントのモル分率は0.15、Astは0.144であった。
(3)融点
示差走査熱量計(DCS)を用いて融解ピーク温度を測定した。
(4)JIS-D硬度
JIS-K6253に従って、デュロメータ タイプDにより測定した。
(5)熱融着性(剥離強度)
得られた複合接着体より、幅15mmの短冊状に試験片を切り出し(アルミニウム板使用の複合接着体は接着性樹脂層部分のみを切り出した。)、23℃の雰囲気下、速度50mm/分にてT-ピール剥離試験(アルミニウム板使用の複合接着体は90°ピール剥離試験)を行って剥離強度を測定した。
[実施例1]
<接着性樹脂組成物の製造>
成分(A)として(A-1)の飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマー70質量部、成分(B)として(B-1)エチレン・α-オレフィン共重合体30質量部に対し、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸類0.5質量部、ラジカル発生剤0.13質量部、酸化防止剤0.1質量部を混合し、これを2軸押出機「TEX30α-52.5BW」(D=30mmφ、L/D=52.5、株式会社日本製鋼所製)を用い、温度180~210℃、スクリュー回転数200rpm、押出量25kg/hで溶融混練し、ペレタイザーを通してペレット化することにより接着性樹脂組成物を製造した。
この接着性樹脂組成物のグラフト量は0.2質量%であった。また、得られた接着性樹脂組成物のJIS-D硬度は31であり、MFR(230℃、荷重2.16kg)は10.8g/10分、融点は167℃であった。
<複合接着体の成形>
a)接着性樹脂組成物のプレス成形
得られた接着性樹脂組成物を、平板プレス成形機により、厚み1.0mm、横200mm、縦200mmの大きさのシートを、160~200℃、予熱5分間、加圧100kgf/cmで3分間の成形条件で成形して、プレス成形板とし、横50mm、縦100mmにカットした。
b)複合接着体の成形
接着性樹脂組成物のプレス成形板を、市販のアルミニウム板(厚み2mm、横50mm、縦100mm)、市販のポリカーボネート樹脂(PC)板(厚み2mm、横50mm、縦100mm)、エラストマー板(厚み1mm、横50mm、縦100mm)及び市販のポリ塩化ビニル(PVC)樹脂板(厚み1mm、横50mm、縦100mm)に張り合わせて平板プレス成形機により、130℃又は160℃、予熱5分間、加圧70~100kgf/cmで3分間の成形条件)で成形して複合接着体とした。成形温度については、アルミニウム板とPVC板を用いた場合は、130℃のものと、160℃のものとでそれぞれ成形した。PC板を用いた場合は、160℃で成形した。エラストマー板を用いた場合は、130℃で成形した。
なお、エラストマー板としては、エクソンモービル社製オレフィン系エラストマー「ビスタマックス3020FL」を用いて、上記のa)プレス成形におけると同様に成形したプレス成形板を用いた。
成形温度130℃の複合接着体と成形温度160℃の複合接着体のそれぞれについて、熱融着性(剥離強度)を測定し、結果を表1に示した。
[実施例2]
接着性樹脂組成物の製造において、成分(B)として(B-2)エチレン・α-オレフィン共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を製造した。この接着性樹脂組成物のグラフト量は0.2質量%、JIS-D硬度は25、MFR(230℃、荷重2.16kg)は9.8g/10分、融点は168℃であった。
この接着性樹脂組成物を用いて実施例1と同様に複合接着体を成形し、同様に熱融着性(剥離強度)を測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
接着性樹脂組成物の製造において、成分(B)として(B-3)エチレン・α-オレフィン共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を製造した。この接着性樹脂組成物のグラフト量は0.2質量%、JIS-D硬度は25、MFR(230℃、荷重2.16kg)は17.4g/10分、融点は167℃であった。
この接着性樹脂組成物を用いて実施例1と同様に複合接着体を成形し、同様に熱融着性(剥離強度)を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
接着性樹脂組成物の製造において、成分(A)として、(A-2)飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いたこと以外は実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を製造した。この接着性樹脂組成物のグラフト量は0.2質量%、JIS-D硬度は40、MFR(230℃、荷重2.16kg)は12.1g/10分、融点は185℃であった。
この接着性樹脂組成物を用いて実施例1と同様に複合接着体を成形し、同様に熱融着性(剥離強度)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006992547000002
表1より、本発明の接着性樹脂組成物を用いることにより、熱融着性(剥離強度)が高く、基材と接着性樹脂層との接着性に優れた複合接着体を製造することができることが分かる。
これに対して、比較例1の接着性樹脂組成物は、融点が高く、十分な接着強度が得られない。

Claims (9)

  1. 下記(A)成分、と下記(B)成分とからなるか、又はこれらと添加剤とからなる接着性樹脂組成物であって、
    該(A)成分および(B)成分のうちの一方又は双方が、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体によりグラフト変性されており、
    該(A)成分が、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体でグラフト変性されており、
    前記成分(A)及び前記成分(B)の合計100質量部に対して、該成分(A)を10~90質量部、該成分(B)を90~10質量部含み、
    接着性樹脂組成物における添加剤の含有量が10質量%以下であり、
    融点が180℃以下で、且つメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg、JIS K7210準拠)が0.1~19g/10分である接着性樹脂組成物。
    (A)成分:ポリエステル系熱可塑性エラストマー
    (B)成分:エチレン・α-オレフィン共重合体
  2. 前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーが飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーである、請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
  3. 前記飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマーがポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含む、請求項2に記載の接着性樹脂組成物。
  4. 前記飽和ポリエステル系熱可塑性エラストマー中のポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有量が10~80質量%である、請求項3に記載の接着性樹脂組成物。
  5. 前記接着性樹脂組成物のグラフト量が0.01~10質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
  6. メルトフローレート(230℃、荷重2.16kg、JIS K7210準拠)が0.1~12g/10分である、請求項1~のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
  7. 基材と、該基材の少なくとも一つの表面に設けられた、請求項1~のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物を含有する接着性樹脂層とを備える、複合接着体。
  8. 前記基材の前記表面の材質が、アルミニウム、ポリ塩化ビニル樹脂、又はポリカーボネート樹脂である、請求項に記載の複合接着体。
  9. 基材の少なくとも一つの表面に、請求項1~のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物を押出成形して複合接着体を得る、複合接着体の製造方法。
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