JP4403771B2 - 樹脂成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア性が高く、耐衝撃強度に優れ、各種成形法で容易に製造できる多層積層体にて形成される延伸されたフィルム又はシート状の樹脂成形体、パイプ状の樹脂成形体、チューブ状の樹脂成形体およびボトル状の樹脂成形体に関する。
一般にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(以下、「EVOH樹脂」と記す)は優れた酸素非透過性および機械的強度などを有する成形加工が容易な熱可塑性樹脂であり、延伸または未延伸フィルム、延伸または未延伸シート、ボトル等の容器用材料、紡織繊維、パイプ、チューブ等の多くの用途に使用されている。しかし、EVOH樹脂は柔軟性が乏しく、特に耐衝撃性が劣る。これらの問題点を解決するため、例えばポリオレフィンをEVOH樹脂に添加して成型品の伸縮性および可撓性を向上させる試みがなされている(例えば、特許文献1〜2参照)。しかしながら、本発明者らの検討によると、この様な組成物はEVOH樹脂とポリオレフィンとの相溶性が充分でないため、物性、外観が再現性良く発現せず、成形性も悪い上に、ガスバリア性もEVOH樹脂に比較して大きく低下しており、満足すべきものでないことが判明した。
一方、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは柔軟性を有するため、加硫ゴム代替材料として広い用途への展開がなされており、成形加工も容易であり、低温、高温特性に優れているが、酸素非透過性などのガスバリヤー性は不十分である。
特開平05−098084号公報 特開2000−219792号公報
本発明は、前述の従来技術に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、EVOH樹脂とポリエステル系熱可塑性エラストマーの両者の欠点を補いあって、高いガスバリア性を有し、適度な柔軟性と耐衝撃性を有し、且つ強靱で、各種成形方法で容易に製造でき、層間剥離のない延伸されたフィルム、延伸されたシート、パイプ、チューブ及びボトル状の樹脂成形体を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、特定の変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーとEVOH樹脂を含有する組成物から成るA層と、当該A層の片面または両面に積層され、ポリオレフィン用接着樹脂を含有する組成物から成るB層とから成る多層積層体にて形成される樹脂成形体により上記課題が達成できることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明の第1の要旨は、不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーを変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物(1)から成るA層と、当該A層の片面または両面に積層され、ポリオレフィン用接着樹脂を含有する樹脂組成物(2)から成るB層とから成る多層積層体にて形成されていることを特徴とする延伸されたフィルム又はシート状の樹脂成形体に存する。
本発明の第2の要旨は、不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーを変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物(1)から成るA層と、当該A層の片面または両面に積層され、ポリオレフィン用接着樹脂を含有する樹脂組成物(2)から成るB層とから成る多層積層体にて形成されていることを特徴とするパイプ状の樹脂成形体に存する。
本発明の第3の要旨は、不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーを変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物(1)から成るA層と、当該A層の片面または両面に積層され、ポリオレフィン用接着樹脂を含有する樹脂組成物(2)から成るB層とから成る多層積層体にて形成されていることを特徴とするチューブ状の樹脂成形体に存する。
本発明の第4の要旨は、不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーを変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物(1)から成るA層と、当該A層の片面または両面に積層され、ポリオレフィン用接着樹脂を含有する樹脂組成物(2)から成るB層とから成る多層積層体にて形成されていることを特徴とするボトル状の樹脂成形体に存する。
本発明の樹脂成形体は、高いガスバリア性を有し、適度な柔軟性と耐衝撃性を有し、且つ強靱で、各種成形方法で容易に製造でき、層間剥離が無いため、その工業的価値は高い。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の樹脂成形体(以下、単に成形体と称する)は、変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーとエチレン−ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物(1)から成るA層と、当該A層の片面または両面に積層され、ポリオレフィン用接着樹脂を含有する樹脂組成物(2)から成るB層とから成る多層積層体から形成される。
A層を構成する樹脂組成物(1)に於ける変性ポリエステル系エラストマーは、不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーを変性処理することにより得られる。変性に際しては、好ましくはラジカル発生剤を使用する。この変性反応に際しては、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに不飽和カルボン酸またはその誘導体が付加するグラフト反応が主として起こるものと考えられるが、他にもポリエステル系熱可塑性エラストマーの末端に不飽和カルボン酸またはその誘導体が付加する反応や、エステル交換反応、分解反応なども起こるものと考えられる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントとして芳香族ポリエステル、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールや脂肪族ポリエステルから成るものが好ましい。特にソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを使用したポリエステルポリエーテルブロック共重合体が好ましく、中でも、ブロック共重合体中のポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量が5〜90重量%、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは55〜80重量%であることが好ましい。ブロック共重合体中のポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量が90重量%を超えると、硬度が発現しなかったり、本発明の多層積層体とした場合に層間剥離現象が起こることがあり、含有量が5重量%未満ではエラストマー性が低下し、柔軟性や耐衝撃性が不十分となったり、本発明の多層積層体とした場合に層間剥離現象が起こることがある。ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は、NMRを使用してその水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することが出来る。
上記ポリエステルポリエーテルブロック共重合体としては、i)炭素原子数2〜12の脂肪族および/または脂環族ジオールと、ii)芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸またはそのアルキルエステルと、iii)数平均分子量が400〜6,000のポリアルキレンエーテルグリコールとを原料とし、エステル化反応またはエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものが好ましく使用される。
上記炭素原子数2〜12の脂肪族および/または脂環族ジオールとしては、ポリエステルの原料、特にポリエステル系エラストマーの原料として一般に使用されているものが使用でき、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が例示され、中でも1,4−ブタンジオール、エチレングリコールが好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。これらのジオールは1種または2種以上の混合物として使用することが出来る。
芳香族ジカルボン酸としては、ポリエステルの原料、特にポリエステル系エラストマーの原料として一般的に使用されているものが使用でき、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが例示され、中でもテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。これらの芳香族ジカルボン酸は1種または2種以上の混合物として使用することが出来る。
上記芳香族ジカルボン酸アルキルエステルとしては、上記の芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等が使用され、中でもジメチルテレフタレート及び2,6−ジメチルナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
上記脂肪族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、上記脂肪族ジカルボン酸アルキルエステルとしては、シクロヘキサンジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等が好ましい。
また、上記の成分以外に3官能性アルコールやトリカルボン酸またはそのエステルを少量共重合させてもよく、更にアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはそのジアルキルエステルも共重合成分として使用できる。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、数平均分子量が、通常400〜6,000、好ましくは500〜4,000、特に好ましくは600〜3,000のものが使用される。数平均分子量が400未満では、共重合体のブロック性が不足し、6,000を超えるものは、系内での相分離が起きやすくポリマーの物性が低下する傾向がある。なお、ここで数平均分子量とはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたものを言う。GPCのキャリブレーションとしては、例えば英国POLYMER LABORATORIES社のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用することが出来る。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び/又は1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール等が例示される。
ポリエステル系エラストマーの市販品としては、三菱化学株式会社製「プリマロイ」、東洋紡績株式会社製「ペルプレン」、東レ・デュポン株式会社製「ハイトレル」等が例示される。
不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などの不飽和カルボン酸;コハク酸2−オクテン−1−イル無水物、コハク酸2−ドデセン−1−イル無水物、コハク酸2−オクタデセン−1−イル無水物、マレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6,−テトラヒドロフタル酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、endo−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、グリシジル(メタ)アクリレート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸(2−エチルへキシル)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル等が例示される。中でも、不飽和カルボン酸無水物が好ましい。なお、本明細書に於て、「(メタ)アクリル」の表現は「アクリル又はメタクリル」を意味する。
これらの不飽和カルボン酸またはその誘導体は、変性すべきポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する共重合体や、変性条件に応じて適宜選択することが出来、また二種以上を併用してもよい。この不飽和カルボン酸またはその誘導体は有機溶剤などに溶解して添加してもよい。
変性に於て、不飽和カルボン酸またはその誘導体の配合量は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー100重量部に対し通常0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。不飽和カルボン酸またはその誘導体の配合量が0.01重量部未満の場合、充分な変性が出来ないことがあり、得られた変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーとEVOH樹脂を配合しても相溶性が不充分なため、配合して得られる熱可塑性樹脂組成物の射出成形品の表面に表層剥離現象が現れることがある。不飽和カルボン酸またはその誘導体の配合量が30重量部を超えると、生成する変性ポリエステル系エラストマーの溶融時の粘度が低下し、これとEVOH樹脂とを配合して得られる熱可塑性樹脂組成物の成形が困難となる場合がある。
本発明に於て、変性を行うために使用されるラジカル発生剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルへキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルオキシ)ヘキサン、3,5,5−トリメチルへキサノイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジブチルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、過酸化カリウム、過酸化水素などの有機および無機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジハライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、アゾジ−tert−ブタン等のアゾ化合物、およびジクミル等の炭素ラジカル発生剤などが例示される。
上記のラジカル発生剤は、変性処理に使用するポリエステル系エラストマーの種類、不飽和カルボン酸またはその誘導体の種類および変性条件に応じて適宜選択することが出来、二種以上を併用してもよい。ラジカル発生剤は有機溶剤などに溶解して添加することも出来る。
変性に際してのラジカル発生剤の配合量は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー100重量部に対し、通常0.001〜3重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.2重量部、特に好ましくは0.01〜0.1重量部である。ラジカル発生剤の配合量が0.001重量部未満であると、変性が十分に起こらないことがあり、得られた変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーとEVOH樹脂を配合した場合に相溶性が不充分となり、配合して得られる熱可塑性樹脂組成物の射出成形品の表面に層状剥離現象が現れることがある。ラジカル発生剤の配合量が3重量部を超えると、生成する変性ポリエステル系エラストマーの溶融時の粘度が低下することがあり、変性ポリエステル系エラストマーとEVOH樹脂とを配合して得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性が悪化する場合がある。
ポリエステル系熱可塑性エラストマー、不飽和カルボン酸またはその誘導体およびラジカル発生剤を使用して変性ポリエステル系エラストマーを得るための変性方法としては、溶融混練反応法、溶液反応法、懸濁分散反応法などの公知の種々の反応方法を使用することが出来、中でも溶融混練反応法が好ましい。
溶融混練反応法で変性を行なう場合、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を使用して、所定の配合比でポリエステル系熱可塑性エラストマー、不飽和カルボン酸またはその誘導体およびラジカル発生剤を均一に混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸または二軸などの多軸混練押出機などの通常の混練機を使用して混合物を溶融混練する。必要に応じ、不飽和カルボン酸またはその誘導体およびラジカル発生剤を有機溶剤に溶解して反応に供してもよい。
溶融混練は、樹脂が熱劣化しない様に、通常100℃〜300℃、好ましくは120℃〜280℃、特に好ましくは150℃〜250℃の範囲で行う。
変性ポリエステル系エラストマーのJIS−D硬度(JIS−K6253に従って測定したデュロメータ タイプDによる硬度)は、通常10〜80、好ましくは15〜70、特に好ましくは20〜60である。JIS−D硬度が10未満の場合は、機械強度が劣る傾向となり、80を超える場合は、柔軟性および耐衝撃性が劣ることもある。
本発明で使用する変性ポリエステル系エラストマーの変性の程度は、以下に説明する赤外吸収スペクトル法により求められ、下記式(1)によって算出される値(以下「規格化された変性率」と記す)が、通常0.01〜15、好ましくは0.03〜2.5、より好ましくは0.1〜2.0、特に好ましくは0.2〜1.8であることが好ましい。変性量が0.01未満の場合は表層剥離が起こやすくなり、15を超える場合は機械的強度が著しく劣る傾向となる。
Figure 0004403771
式(1)に於て、A1786は、変性ポリエステル系エラストマーから成る厚さ20μmのフィルムについて1786cm−1の波数で測定したピーク強度であり、Astは、標準試料(ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有量が65重量%である飽和ポリエステル系エラストマー)から成る厚さ20μmのフィルムについて規準波数で測定したピーク強度である。規準波数としては、変性による影響を受けず、かつ、その近傍に重なり合う様な吸収ピークの無い波数を選択する。rは、変性ポリエステル系エラストマー中のポリエステルセグメントのモル分率を、上記標準試料中のポリエステルセグメントのモル分率で除した値であり、標準試料で1となる。
具体的には、以下の方法で変性ポリエステル系エラストマーの規格化された変性率の値を求める。すなわち、厚さ20μmのフィルム状の試料を100℃で15時間減圧乾燥して未反応物を除去した後、赤外吸収スペクトルを測定する。得られたスペクトル上で1786cm−1の波数に現れる酸無水物由来のカルボニル基の伸縮振動による吸収ピーク(1750〜1820cm−1の範囲にある吸収帯の両側の山裾を結んだ接線をベースラインとする)のピーク高さを算出して「ピーク強度A1786」とする。一方、標準試料(ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有量が65重量%である飽和ポリエステル系エラストマー)から成る厚さ20μmのフィルムについて、同様に赤外線吸収スペクトルを測定する。得られたスペクトル上で、例えばベンゼン環を含む芳香族ポリエステル系エラストマーの場合、規準波数のピークとして872cm−1に現れるベンゼン環のC−Hの面外変角による吸収ピーク(850〜900cm−1の範囲にある吸収帯の両側の山裾を結んだ接線をベースラインとする)を使用し、ピーク高さを算出して「ピーク強度Ast」とする。
得られたピーク強度A1786及びピーク強度Astから、式(1)に従って規格化された変性率を算出する。rは、上述の様に変性ポリエステル系エラストマー中のポリエステルセグメントのモル分率を上記標準試料中のポリエステルセグメントのモル分率で除した値であり、各試料のポリエステルセグメントのモル分率mrは、ポリエステルセグメント及びポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの重量分率(w1及びw2)と両セグメントを構成する単量体単位の分子量(e1及びe2)とから、下記式(2)によって求める。
Figure 0004403771
A層を構成する樹脂組成物(1)に於けるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH樹脂)は、通常、エチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化して得られる。EVOH樹脂のエチレン含量は、通常10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%であり、酢酸ビニル成分の鹸化率が95モル%以上の共重合体が好適である。エチレン含量が10モル%未満の場合、高湿度状態でのガスバリア性が不十分となりやすく、70モル%を超えると十分なガスバリア性が得られないことがある。また、鹸化度が95モル%未満の場合はガスバリア性、耐湿性および熱安定性が不十分となり易い。
EVOH樹脂のメルトフローレート(MFR)(JIS K7210)は、0.5〜100g/10分であるのが好ましい。MFRが0.5g/10分未満の場合、成形性が低下して外観が悪化しやすく、100g/10分を超える場合、ガスバリア性が不十分となる傾向がある。
A層を構成する樹脂組成物(1)には、上記の変性ポリエステル系エラストマー及びEVOH樹脂以外に、本発明の目的・効果を損なわない範囲で、目的に応じて、樹脂成分、ゴム成分、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラス繊維などのフィラー、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤、帯電防止剤、防菌剤、蛍光増白剤などの任意の付加的配合材料を1種以上添加することが出来る。中でも、フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系、芳香族アミン系などの酸化防止剤を一種以上添加することが好ましい。
A層を構成する樹脂組成物(1)に於て、EVOH樹脂の配合比率は、変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーとEVOH樹脂との合計に対して5〜95重量%とするのが好ましい。特に、変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー5〜45重量%に対してEVOH樹脂95〜55重量%、より好ましくは変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー5〜30重量%に対してEVOH樹脂95〜70重量%で配合した場合、柔軟性、耐衝撃性およびガスバリア性すべてにバランス良く優れた成形体を得ることが出来る。EVOH樹脂の配合比率が5重量%未満の場合、ガスバリア性が発現せず、95重量%を超えると柔軟性が得られず、耐衝撃性も低くなる。なお、上記のEVOH樹脂の配合比率の範囲内に於て、さらに用途に応じてEVOH樹脂の配合比率を選択することが出来る。例えば、柔軟性、高耐衝撃性および適度なガスバリア性を所望する場合には、変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーを比較的多く配合してもよい。
A層を構成する樹脂組成物(1)は、例えば上述のポリエステル系エラストマーを変性する場合と同様に、変性ポリエステル系エラストマー及びEVOH樹脂、さらに必要に応じて付加的配合材料を所定の比率で配合した後、十分に混合し、次いで溶融混練することにより得られる。また、ポリエステル系エラストマーの変性に際して、ポリエステル系エラストマー、不飽和カルボン酸またはその誘導体およびラジカル発生剤に加えてEVOH樹脂を配合し、ポリエステル系エラストマーの変性と同時に、生成した変性ポリエステル系エラストマーとEVOH樹脂とから熱可塑性樹脂組成物の製造を同時に行うことも出来る。通常は、変性ポリエステル系エラストマーをまず製造し、次いでこれをEVOH樹脂と混練する方法が、より優れた特性を示す熱可塑性樹脂組成物を得ることが出来る観点から好ましい。
B層を構成する樹脂組成物(2)はポリオレフィン用接着樹脂を含有する。なお、本発明に於て、B層を構成する樹脂組成物(2)がポリオレフィン用接着樹脂のみから成る態様も含まれる。ポリオレフィン用接着樹脂は、通常、変性ポリオレフィン樹脂にて構成される。斯かる変性ポリオレフィン樹脂は、エチレン成分および/またはプロピレン成分を主たる構成成分としたポリオレフィン樹脂にα,β不飽和カルボン酸またはその誘導体を共重合および/またはグラフト重合させて製造される。
上記のポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸ナトリウム共重合体などが例示される。
上記の共重合されるα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸亜鉛、酢酸ビニル、グリシジルメタクリレート等が例示され、分子鎖中に40モル%以下の範囲で共重合されていてもよい。共重合変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸ナトリウム共重合体などが例示される。
上記のグラフトされるα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸あるいはこれらの酸無水物、または、これらの酸のエステル等が例示される。これらの変性用化合物の中では、特に無水マレイン酸が好適に使用される。また、グラフト量は、ポリオレフィン樹脂に対し0.01〜25重量%、好ましくは0.05〜1.5重量%の範囲から選択される。
グラフト反応は、常法に従い、例えばポリオレフィン樹脂とα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とを樹脂温度150〜300℃で溶融混合することにより行われる。グラフト反応に際しては、反応を効率よく行なわせるために、例えばα,α’−ビス−t−ブチルペルオキシ−p−ジイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物を0.001〜0.05重量%配合する。
多層積層体のB層上にポリオレフィン系樹脂から成るC層を積層することが好ましい。C層を構成するポリオレフィン系樹脂としては、炭素数2〜4のα−オレフィンであるエチレン、プロピレン、1−ブテンの単独あるいはこれらを主成分とする結晶性の重合体が例示される。これらのポリオレフィンとしては、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン及びポリ−1−ブテンが例示されるが、これらはいずれも単独重合体に限らず、それらオレフィンを主成分とする限り、他の炭素数2〜20のα−オレフィンあるいは酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン等のビニル化合物との共重合体であってもよく、また無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸あるいはその誘導体でグラフト変性されたグラフト共重合体でもよい。さらにこれらのポリオレフィンは混合物であってもよい。また、これらのポリオレフィン樹脂を架橋した架橋ポリオレフィン樹脂であってもよい。
前記ポリエチレンの具体例としては、例えば高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などが例示される。これらの中では、LDPE、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが透明性、低温ヒートシール性に優れるので好ましく、とりわけ密度が0.910〜0.960g/cmおよび融点が100〜135℃の範囲のものが好ましい。なお、ポリエチレンのメルトフローレートは特に限定はされないが、成形性の点から、通常0.01〜30g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分の範囲である。
前記ポリプロピレンの具体例としては、ポリプロピレン(プロピレンホモポリマー)、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体およびプロピレン−1−ブテンランダム共重合体などのプロピレンランダムコポリマー(プロピレン含有量が通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(エチレン含有量が通常5〜30モル%)が例示される。これらの中で、透明性が優れる観点からホモポリマー及びランダムコポリマーが好ましく、特に融点が130〜140℃のランダムコポリマーがヒートシール性に優れるので好ましい。なお、ポリプロピレンのメルトフローレートは特に限定はされないが、成形性の点から、通常0.5〜30g/10分、好ましくは0.5〜10g/10分の範囲である。
前記ポリ1−ブテンの具体例としては、1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体および1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体が例示される。なお、ポリ−1−ブテンのメルトフローレートは特に限定はされないが、成形性の点から、通常0.01〜100g/10分、好ましくは0.03〜30g/10分の範囲である。
本発明に於ける多層積層体は従来公知の種々の方法で製造することが出来る。例えば、A層を構成する樹脂組成物(1)とB層を構成するポリオレフィン用接着樹脂(さらに必要に応じてC層を構成するポリオレフィン系樹脂)とを共押出する共押出成形法、A層を構成する熱可塑性樹脂組成物に基づくシートやフィルムにB層を構成するポリオレフィン用接着樹脂(さらに必要に応じてC層を構成するポリオレフィン系樹脂)を押出ラミネートする方法、その逆にB層を構成するポリオレフィン用接着樹脂のシートやフィルム(さらに必要に応じてC層を構成するポリオレフィン系樹脂が積層されたシートやフィルム)にA層を構成する溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を押出ラミネートする方法が挙げられる。
さらに、インフレーション成形法、ブロー成形法、回転成形法、プレス成形法、射出成形法(インサート射出成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法、インジェクションプレス成形法)等の各種成形法を使用して本発明に於ける多層積層体を製造することも出来る。
本発明の多層積層体から製造される成形体は、例えば各種の工業用部品や包装材料として使用することが出来る。具体的には食品用包装容器や医療用包装容器、レトルト容器などに好ましく使用することが出来る。また、自動車内装部品、自動車外装部品、自動車機能部品、家電部品、電気機器、電子部品、電線、建材、スポーツ用品、日用品、繊維、延伸または未延伸フィルム、延伸または未延伸シート、パイプ、チューブ、ボトル等として使用することが出来る。
本発明の成形体は、優れたガスバリア性、優れたアイゾット衝撃強度および優れた透明性を有し、且つ各種成形法により容易に製造できる観点から、延伸または未延伸フィルム、延伸または未延伸シート、パイプ、チューブ及びボトルとして使用することが好適である。以下に、本発明の多層積層体にて形成される延伸されたフィルム又はシート状の成形体、パイプ状の成形体、チューブ状の成形体およびボトル状の成形体ついて説明する。
延伸されたフィルム又はシート状の成形体:
本発明に於ける多層積層体を延伸してフィルム又はシート状の成形体とすることにより、広い範囲の成形条件で良好な外観の成形体を得ることが出来る。延伸されたフィルム又はシート状の成形体を製造する方法としては、従来より公知の種々の方法を採用することが出来る。例えば、上記の様にして得られた未延伸の多層積層体(シート又はフィルム)を冷却固化後、インライン又はオフラインで60〜160℃の延伸温度まで再加熱し、テンター、プラグ及び圧縮空気などを使用して、一軸方向または二軸方向に面積比で1.5倍以上の延伸を行い、一軸または二軸延伸成形したフィルム、カップ、ボトル等の成形体を得ることが出来る。延伸倍率としては、面積比で通常1.5〜50倍、好ましくは1.5〜20倍である。延伸倍率が1.5倍未満では、延伸による接着性層のより優れた融着性の効果は得られず、延伸倍率が50倍を越えると成形時に破断が生じることがあり、延伸されたフィルム又はシート状の成形体の強度が低下する傾向となる。
具体的には、インフレーションフィルムの場合はインフレ同時二軸延伸法などにより製造でき、Tダイフィルムの場合はテンター同時二軸延伸法、ロール及びテンターによる逐次二軸延伸法などにより製造できる。カップの製造の場合は、金型内で圧縮空気などのみによる圧空成形法、プラグと圧縮空気を併用するSPPF成形法などにより製造できる。
また、本発明の延伸されたフィルム又はシート状の成形体は必要に応じて、延伸後再加熱、すなわちヒートセットを行うことにより更に耐熱性が向上する(収縮性はやや低下する)。また、本発明の延伸積層体と別途製造されたフィルムを積層して積層体とすることも出来る。
チューブ状の成形体:
本発明に於ける多層積層体を使用したチューブ状の成形体の成形方法としては、各層を構成する熱可塑性樹脂または樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂または樹脂組成物とを共押出する方法が挙げられる。上記方法により製造されたチューブ状の成形体(多層チューブ)は、耐低温衝撃性、透明性、耐屈曲疲労性およびガスバリアー性に優れ、洗顔料、歯磨き粉、ハンドクリーム等の医療品または医薬部外品用チューブ、わさび、からし、生姜などの食料品用チューブとして使用することが出来る。
パイプ状の成形体:
本発明に於ける多層積層体を使用したパイプ状の成形体の成形方法としては、多層積層体を構成する熱可塑性樹脂または樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂組成物とを共押出する方法が挙げられる。上記方法により製造されたパイプ状の成形体(多層パイプ)は、耐低温衝撃性、耐屈曲疲労性およびガスバリアー性に優れ、床暖房、給水給湯用、工業用パイプとして使用することが出来る。
ボトル(タンク)状の成形体:
本発明に於ける多層積層体を使用したボトル(タンク)状の成形体の成形法としては、多層積層体を構成する熱可塑性樹脂または樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂組成物とを共押出によって成形したパリソンをブロー成形する方法、積層パイプを縦に延伸後、金型内で圧縮空気などで横に延伸するパイプ延伸法、射出成形により試験管状の有底パリソンを成形し、有底パリソンを金型内でロッドにより縦方向に延伸後、圧縮空気などにより横方向に延伸する有底延伸法などが挙げられる。上記の方法により製造されたボトル(タンク)状の成形体(多層ボトル・多層タンク)は、耐低温衝撃性、耐屈曲疲労性およびガスバリアー性に優れ、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類などの容器、医薬品、化粧品の容器や自動車などの燃料用タンクとして使用することが出来る。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例および比較例で使用した各成分について以下に説明する。なお、実施例および比較例に於て、物性評価は、以下に示す方法によって行った。
(1)積層体の接着強度(gf/10mm)は、JIS K−6854に準拠し、剥離幅:10mm、剥離状態:Tピール剥離、剥離速度:50mm/分、測定温度:23℃で測定した。
(2)積層体の外観評価:
延伸積層体を目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。
Figure 0004403771
変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(B−1)の製造:
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとするポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有量が77重量%のポリエステル系熱可塑性エラストマー(曲げ弾性率14.0MPa、密度1.05g/cm、示差走査熱量計による融解ピーク温度145℃、JIS−D硬度24)のポリエステル系熱可塑性エラストマー100重量部に対し、それぞれ、不飽和カルボン酸またはその誘導体として無水マレイン酸(和光純薬工業社製試薬特級)0.5重量部、およびラジカル発生剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製「パーヘキサ25B」)0.05重量部を混合し、混練機(径44mm、日本製鋼所社製「TEX−44型」)中で温度190〜220℃で混合物を溶融混練した後、ペレタイザーを通してペレット化し、変性ポリエステル系エラストマーを製造した。
変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー(B−2)の製造:
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとするポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有量が65重量%のポリエステル系熱可塑性エラストマー(曲げ弾性率35.5MPa、密度1.09g/cm、示差走査熱量計による融解ピーク温度185℃、JIS−D硬度34)のポリエステル系エラストマーを使用して、B−1と同様に変性、ペレット化して、変性ポリエステル系エラストマーを製造した。
A層用樹脂組成物(1)(ガスバリア性樹脂)の製造;
温度160〜220℃の混練機(日本製鋼所社製TEX−44型混練機、径44mm)中で、表2に示す重量割合で変性ポリエステル系エラストマー(B−1及びB−2)、EVOH樹脂(日本合成化学工業社製「ソアノールDC3203JB」(エチレン含量32モル%、MFR5.7g/10分(温度230℃、荷重2.16kg))をそれぞれ溶融混練した後、ペレタイザーを通してペレット化し、A層用樹脂組成物(1)(ガスバリア性樹脂)を得た。
実施例1〜3:
表2に示す配合割合から成るA層用樹脂組成物(1)(ガスバリア性樹脂)と、B層用樹脂組成物(2)(接着性樹脂、三菱化学社製MODIC−AP M552)とを2種3層水冷インフレーション成形機で積層し、A層(ガスバリア性樹脂)/B層(接着性樹脂)/A層(ガスバリア性樹脂)の構成を有する積層体を得た。各層の厚さは何れも100μmとした。成形条件を以下の表2に示す。
Figure 0004403771
次いで、得られた積層体を延伸した。延伸条件を以下の表3に示す。得られた延伸積層体について評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 0004403771
比較例1:
A層用樹脂としてEVOH樹脂のみを使用し、変性ポリエステル系エラストマーを使用しなかった以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。更に、実施例1と同様の方法で延伸を行い、延伸積層体を得た後、評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 0004403771
変性ポリエステル系エラストマーとEVOHとから成るA層(ガスバリア性樹脂)とB層(接着性樹脂)を積層して成るフィルムは、表4に示す通り、広い条件下での延伸が可能である。

Claims (13)

  1. 不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーを変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物(1)から成るA層と、当該A層の片面または両面に積層され、ポリオレフィン用接着樹脂を含有する樹脂組成物(2)から成るB層とから成る多層積層体にて形成されていることを特徴とする延伸されたフィルム又はシート状の樹脂成形体。
  2. 不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーを変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物(1)から成るA層と、当該A層の片面または両面に積層され、ポリオレフィン用接着樹脂を含有する樹脂組成物(2)から成るB層とから成る多層積層体にて形成されていることを特徴とするパイプ状の樹脂成形体。
  3. 不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーを変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物(1)から成るA層と、当該A層の片面または両面に積層され、ポリオレフィン用接着樹脂を含有する樹脂組成物(2)から成るB層とから成る多層積層体にて形成されていることを特徴とするチューブ状の樹脂成形体。
  4. 不飽和カルボン酸またはその誘導体によりポリエステル系熱可塑性エラストマーを変性して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物(1)から成るA層と、当該A層の片面または両面に積層され、ポリオレフィン用接着樹脂を含有する樹脂組成物(2)から成るB層とから成る多層積層体にて形成されていることを特徴とするボトル状の樹脂成形体。
  5. ポリエステル系熱可塑性エラストマーがポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する請求項1〜4の何れかに記載の樹脂成形体。
  6. ポリエステル系熱可塑性エラストマーに含有されるポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有量が5〜90重量%である請求項1〜5の何れかに記載の樹脂成形体。
  7. ポリエステル系熱可塑性エラストマーの変性がラジカル発生剤の存在下によって行われる請求項1〜6の何れかに記載の樹脂成形体。
  8. ポリエステル系熱可塑性エラストマーの変性に於て、ポリエステル系熱可塑性エラストマー100重量部に対し、不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.01〜30重量部、ラジカル発生剤を0.001〜3重量部それぞれ使用する請求項7に記載の樹脂成形体。
  9. ポリエステル系熱可塑性エラストマーの規格化された変性率が0.01〜15である請求項1〜8の何れかに記載の樹脂成形体。
  10. 樹脂組成物(1)に於ける変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーの含有量が5〜95重量%であり、エチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量が95〜5重量%(但し、両者の合計を100重量%とする)である請求項1〜9の何れかに記載の樹脂成形体。
  11. 樹脂組成物(1)に於ける変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーの含有量が5〜45重量%であり、エチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量が95〜55重量%(但し、両者の合計を100重量%とする)である請求項1〜9の何れかに記載の樹脂成形体。
  12. 樹脂組成物(1)に於ける変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーの含有量が5〜30重量%であり、エチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量が95〜70重量%(但し、両者の合計を100重量%とする)である請求項1〜9の何れかに記載の樹脂成形体。
  13. ポリオレフィン用接着樹脂が変性ポリオレフィンであり、さらにB層上にポリオレフィン系樹脂から成るC層が積層されている請求項1〜12の何れかに記載の樹脂成形体。
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