JP2012111858A - 半導体封止用硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】無機充填材の高充填化が可能な低溶融粘度のエポキシ化合物を含む半導体封止用硬化性組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ化合物と硬化剤とを必須成分とする半導体封止用硬化性組成物において、エポキシ化合物が(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物とを含み、かつ(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物として同一のビフェノール化合物の誘導体を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は半導体封止用硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、成形時の流動性に優れた半導体封止用硬化性組成物に関する。
エポキシ樹脂は電気絶縁性、高耐熱性、耐湿性、寸法安定性等の諸物性に優れる点から半導体封止材やプリント回路基板、ビルドアップ基板、レジストインキ等の電子部品、導電ペースト等の導電性接着剤やその他接着剤、アンダーフィルなどの液状封止材、液晶シール材、フレキシブル基板用カバーレイ、ビルドアップ用接着フィルム、複合材料用マトリックス、塗料、フォトレジスト材料、顕色材料等で広く用いられている。これらの中でも半導体やプリント配線基板などのエレクトロニクス材料分野においては、これらの分野における技術革新に伴って封止材や基板材料等への高性能化への要求が高まっている。
半導体装置は外部環境からの保護のため一般的にシリコンチップ等の半導体素子が封止材料により封止されたパッケージ構造を有する。汎用のパッケージでは、パッケージ(パッケージ基板(リードフレームを含む))の片面にチップを搭載し、チップとパッケージ基板上の導体パターンを金の細線ワイヤーで結線後、トランスファー成形によりエポキシ樹脂組成物を用いて封止される。この際エポキシ樹脂組成物の粘度が高い場合には成形時にワイヤーの変形が生じ易くなるため、一般に粘度の低い材料が求められている。
また、溶融シリカ粒子のような無機充填材を高充填することにより、低吸湿性および低応力性、すなわち熱膨張率を改良することも広く行なわれている。しかしながら、無機充填材を高充填すると更に成形時の流動性が損なわれるため、封止材用エポキシ樹脂への低溶融粘度化はますます強く要求されている。
現在主に用いられている半導体封止用エポキシ樹脂組成物としては、硬化性、耐熱性、電気特性等の面からエポキシ樹脂としてノボラック型エポキシ樹脂、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)、充填材としてシリカ粒子より構成されるものが広く知られている。しかしながら、この硬化物は硬いため、ヒートサイクルテストにより封止樹脂にクラックが生じたり、チップにクラックが生じたりすることなどによって、半導体部品の信頼性が低下するという問題があった。これらの問題を解決するために、特許文献1(特開昭61−47725号公報)にはノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂硬化剤、充填材に加えてビスヒドロキシビフェニル系樹脂を配合し、フェノール硬化エポキシ樹脂のガラス転移点を維持しつつ低弾性率および耐クラック性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物が記載されている。また、特許文献2(特開2003−277485号公報)には特許文献1の低吸湿性、低応力性をさらに改良するために、硬化剤として、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂または、キシリレンフェノール樹脂のようなフェノール核間に極性の少ない炭化水素基を導入したフェノール樹脂を用いることが記載されている。しかしながら、これらのフェノール樹脂は溶融粘度が高く、無機充填材を高充填するには不利である。溶融粘度を下げるためにこれらの樹脂の分子量を下げると、硬化性が低下するため成形性が悪化し、その結果生産性が低下する。硬化性を向上させるために硬化促進剤の添加量を増やすこともできるが、この場合封止材としての保存安定性が悪化し実用的でない。
一方、特許文献3(特開2001−270931号公報)にはノボラック型フェノール樹脂に結晶性エポキシ樹脂の前駆体であるビフェノール類を混合しグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂を用いて樹脂の低溶融粘度化を図る技術が記載されている。ここに記載されたエポキシ樹脂組成物は、耐半田クラック性等に優れている特徴を生かして、主に表面実装対応の最先端の半導体装置に用いられている。しかしながら、従来のフェノールノボラック型エポキシ樹脂に比べて溶融粘度は低くなっているものの、無機充填材を更に高充填したり、物性を改良するために高溶融粘度のフェノール樹脂を配合したりする場合には、その溶融粘度は十分なレベルではなかった。
ところで、近年、半導体装置には、高密度化、高集積化、および動作の高速化が求められており、それに伴って、配線が微細化されている。エポキシ樹脂はフェノール類とエピクロルヒドリン、およびアルカリ金属酸化物の反応により製造するのが一般的であるが、この方法で製造されたエポキシ化合物には反応により副生成した加水分解性塩素化合物が不純物として含まれている。この加水分解性塩素化合物を多く含むエポキシ化合物をアンダーフィル材に用いると、高温・多湿下等の過酷な条件に曝された際に、加水分解性塩素化合物が分解されて塩素イオンが遊離し、配線金属(半導体の接合部)が腐食される現象(マイグレーション)が発生し、半導体パッケージの長期信頼性に悪影響を与えることが知られている。そのため、高精細な配線パターンを有する半導体装置用の封止材料にはとりわけ塩素含有量の少ないことが求められている。
特開昭61−47725号公報 特開2003−277485号公報 特開2001−270931号公報
本発明は、無機充填材の高充填化が可能な、成形時の流動性に優れる半導体封止用硬化性組成物を提供するものである。
本発明者等は前記の課題を解決するために鋭意検討した結果、エポキシ化合物として、ビフェノール類のジグリシジルエーテルと、これに対応するビフェノール類のモノグリシジルエーテルモノアリルエーテルを併用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[9]から構成される。
[1]エポキシ化合物と硬化剤とを必須成分とする半導体封止用硬化性組成物において、前記エポキシ化合物が(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物とを含み、かつ(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物が同一のビフェノール化合物の誘導体であることを特徴とする半導体封止用硬化性組成物。
[2]前記(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物との質量比が、(A)/(B)=99.9/0.1〜40/60である[1]に記載の半導体封止用硬化性組成物。
[3]前記エポキシ化合物の140℃における溶融粘度が5〜40mPa・sの範囲である[1]または[2]のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
[4]前記ビフェノール化合物が、ビフェノール、4、4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、および4、4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチルビフェニルよりなる群から選択される少なくとも一種である[1]〜[3]のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
[5]前記(A)ジグリシジルエーテル化合物および(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物が、前記ビフェノール化合物のジアリルエーテルを酸化剤と反応させて得られるものである[1]〜[4]のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
[6]前記エポキシ化合物が、前記ビフェノール化合物のジアリルエーテルを酸化剤と反応させて得られる(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物を含む混合生成物である[1]または[2]に記載の半導体封止用硬化性組成物。
[7]無機充填材をさらに含む[1]〜[6]のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
[8]EMMI−1−66に準じて金型温度175℃、圧力70kg/cm2、硬化時間120秒で測定したスパイラルフローが95〜140cmである[7]に記載の半導体封止用硬化性組成物。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物の硬化物で封止された半導体装置。
本発明の半導体封止用硬化性組成物は、(A)ジグリシジルエーテル化合物に(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物を混合したエポキシ化合物を用いているため低溶融粘度化を達成することができる。その結果、無機充填材を高充填した場合であっても流動性に優れるため、トランスファー成形等の方法で半導体チップを封止する際に有利である。
本発明の半導体封止用硬化性組成物は、エポキシ化合物と硬化剤とを必須成分とし、前記エポキシ化合物が(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物とを含み、かつ化合物(A)と化合物(B)が同一のビフェノール化合物の誘導体であることを特徴とする。
[エポキシ化合物およびその製造方法]
本発明の半導体封止用硬化性組成物は、エポキシ化合物としてビフェノール誘導体である(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物とを含む。
(A)ビフェノール誘導体であるジグリシジルエーテル化合物
ビフェノール誘導体であるジグリシジルエーテル化合物は、本発明の半導体封止用硬化性組成物において、耐熱性、線膨張係数、流動性および成形性等、主たる特性を決定する成分である。このジグリシジルエーテル化合物として、例えば、ビフェノール誘導体であるジアリルエーテル化合物から誘導される2官能のジグリシジルエーテル化合物を使用することができる。エピクロルヒドリンを用いて合成されるジグリシジルエーテル化合物を使用することもできるが、特別な精製操作等を行わない場合、一般的にエピクロルヒドリン由来の塩素が化合物中に残留する。高温・高湿下に半導体装置が置かれる環境においては、封止材に含まれる塩素により、半導体の金属配線、接合部の腐食が促進されるマイグレーションと言われる現象が発生し、長期信頼性に悪影響を与えることが問題とされている。マイグレーションを防ぎ長期信頼性を向上させるためには、ジグリシジルエーテル化合物中の残留塩素は低い方が有利であり、例えば約500ppm以下であり、約100ppm以下であることが好ましく、約10ppm以下であることが特に好ましい。ビフェノール誘導体であるジアリルエーテル化合物を過酸化水素の様な酸化剤と反応させるエポキシ化によって得られるジグリシジルエーテル化合物であれば残留塩素を低いレベルにすることができるため、半導体装置の長期信頼性を向上させることができる。
エポキシ化に利用できる上記ジアリルエーテル化合物としては、ビフェノール、4、4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、4、4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチルビフェニルなどのビフェノール化合物の誘導体であるジアリルエーテル化合物が挙げられる。これらのジアリルエーテル化合物の炭素−炭素二重結合を酸化剤により酸化することでジグリシジルエーテル化合物が得られる。また、本発明の半導体封止用硬化性組成物におけるジグリシジルエーテル化合物として市販品の2官能エポキシ樹脂であるYX−4000、YX−4000H(三菱化学(株)製)等も利用できる。これらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
(B)ビフェノール誘導体であるモノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物
モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物として、例えば、前記(A)ビフェノール誘導体であるジグリシジルエーテル化合物の原料として用いられるジアリルエーテル化合物から誘導される、一方のアリル基がエポキシ化された化合物を使用することができる。この化合物は、半導体封止用硬化性組成物中に含有させることによって、当該硬化性組成物の低溶融粘度化に寄与する。かかるモノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物は、ビフェノール誘導体であるジアリルエーテル化合物を酸化剤により部分的にエポキシ化した後、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の精製により得ることができる。上記ジグリシジルエーテル化合物と同様に、マイグレーションを防ぎ長期信頼性を向上させるためには、モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物中の残留塩素は低い方が有利であり、例えば約500ppm以下であり、約100ppm以下であることが好ましく、約10ppm以下であることが特に好ましい。ビフェノール誘導体であるジアリルエーテル化合物を酸化剤により部分的にエポキシ化することによって得られるモノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物であれば残留塩素を低いレベルにすることができるため、半導体装置の長期信頼性を向上させることができる。
(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物は、別々に合成または入手した後、これらを所望の配合比で混合して本発明の半導体封止用硬化性組成物のエポキシ化合物とすることができる。このようにすると(A)と(B)の配合比を容易に変更することができる。また、上記ジアリルエーテル化合物のエポキシ化の際に、酸化剤の使用量を調整して部分的にエポキシ化を行うことにより、(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物を含む反応混合物を得て、当該反応混合物を本発明の半導体封止用硬化性組成物のエポキシ化合物として使用してもよい。この実施態様は、本発明におけるエポキシ化合物が(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物が同一のビフェノール化合物の誘導体であることから実現でき、このようにすると、混合工程などの省略による低コスト化を達成することができる。また、この反応混合物に、別途合成または入手した(A)ジグリシジルエーテル化合物および/または(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物を添加して、配合比を変更することもできる。
組成物中のモノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物の含有率が高くなると、耐熱性の指標となるガラス転移温度(Tg)や機械的物性の低下を招き、硬化速度にも悪影響を与えるので好ましくない。また、含有率が低過ぎる場合、粘度低減効果が発現しない。そのために、(A)ジグリシジルエーテル化合物と、(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物との質量比が(A)/(B)=99.9/0.1〜40/60であることが好ましく、より好ましくは(A)/(B)=95/5〜45/55である。なかでもそれぞれの化合物の相乗効果により、極めて顕著な耐熱性、耐水性、低溶融粘度を兼備した硬化物となり得る点から(A)/(B)=90/10〜50/50であることが好ましい。本発明においては、(A)ジグリシジルエーテル化合物と、(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物として同一のビフェノール化合物の誘導体を用いるため相溶性が極めて良好である。そのため、半導体封止用硬化性組成物中に相分離が生じにくくなり、半導体を封止した半導体パッケージにおいて、半導体パッケージ全体でより均一な内部応力分布を達成できることが予想される。
ジグリシジルエーテル化合物およびモノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物の製造方法は特に制限されることはなく、従来公知の方法を利用できる。例えば、ビフェノール化合物にエピクロルヒドリンを利用してジグリシジルエーテル化合物を得ることもできるが、長期信頼性向上の観点からは、対応するジアリルエーテル化合物の炭素−炭素二重結合を過酸化水素等の酸化剤を用いて酸化する方法がより好ましい。その方法としては、例えば(1)タングステン酸系化合物を触媒とする方法、(2)ニトリル化合物を併用する方法の2つを挙げることができる。(1)の方法としては、特開昭60−60123号公報、特開2005−169363号公報に記載の方法があげられる。(2)の方法としては、特開昭59−227872号公報、J. Org. Chem. 1961, 26(3), pp.659-663に記載の方法が挙げられる。本発明においては、前記(1)、(2)いずれの方法も、ジアリルエーテル化合物のエポキシ化に好適に用いることができる。
(1)のタングステン酸系触媒による酸化反応においては、相間移動触媒の存在下で、ジアリルエーテル化合物を酸化剤と反応させることによりエポキシ化を行う。タングステン酸系触媒としては、水中でタングステン酸アニオンを生成する化合物であり、例えば、タングステン酸、三酸化タングステン、三硫化タングステン、リンタングステン酸、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カリウム二水和物、タングステン酸ナトリウム二水和物等が挙げられる。これら化合物の中でも、タングステン酸、三酸化タングステン、リンタングステン酸、タングステン酸ナトリウム二水和物等が好ましい。これらの触媒は単独で使用してもよく、二種以上を混合して使用してもよい。その使用量はジアリルエーテル化合物のアリルエーテル基の炭素−炭素二重結合に対して約0.0001〜約30モル%、好ましくは約0.01〜約20モル%の範囲である。リン酸、ポリリン酸、アミノメチルホスホン酸、リン酸ナトリウム等の添加剤を使用することによって触媒を改質してもよい。
相間移動触媒としては、硫酸水素四級アンモニウム塩を使用することができる。例えば、硫酸水素テトラへキシルアンモニウム、硫酸水素テトラオクチルアンモニウム、硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、硫酸水素エチルトリオクチルアンモニウム、硫酸水素セチルピリジニウム等が挙げられる。これら化合物の中でも、硫酸水素テトラへキシルアンモニウム、硫酸水素テトラオクチルアンモニウム、硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウム等が好ましい。これら硫酸水素四級アンモニウム塩は単独で使用してもよく、二種以上を混合して使用してもよい。その使用量はジアリルエーテル化合物のアリルエーテル基の炭素−炭素二重結合に対して約0.0001〜約30モル%、好ましくは約0.01〜約20モル%の範囲である。
酸化剤としては、過酸化水素を使用することができる。過酸化水素源としては過酸化水素水溶液を好適に用いることができ、種々の濃度のものを使用することができるが、安全性の面より約10〜約80質量%の過酸化水素水を使用するのが好ましく、さらには、約30〜約60質量%の過酸化水素水を使用するのが好ましい。過酸化水素の使用量についての制限はなく、(A)ジグリシジルエーテル化合物を主生成物として合成とする場合、(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物を主生成物として合成する場合、(A)と(B)の反応混合物を得る場合などに応じて、当業者であれば適宜決定することができる。例えば、(A)を主生成物として合成する場合は、ジアリルエーテル化合物のアリルエーテル基の炭素−炭素二重結合に対して約0.8〜約10.0当量、好ましくは約1.0〜約3.0当量の範囲である。(B)を主生成物として合成する場合や(A)と(B)の反応混合物を得る場合は、上記範囲よりも少ない当量の過酸化水素を使用してもよい。
このタングステン酸系触媒による酸化反応は、通常は約30〜約100℃の範囲で、好ましくは約50〜約90℃の範囲で行われる。
(2)のニトリル化合物を併用する酸化反応では、アルコール溶媒中、塩基性条件下において、ニトリル化合物の存在下、ジアリルエーテル化合物を酸化剤と反応させることによりエポキシ化を行う。ニトリル化合物としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、m−トルニトリル、p−トルニトリル、2−クロロベンゾニトリル、3−クロロベンゾニトリル、4−クロロベンゾニトリル、トリクロロアセトニトリル等を挙げることができる。これらの化合物の中でも、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリクロロアセトニトリルが好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、二種以上を混合して使用してもよい。その使用量はジアリルエーテル化合物のアリルエーテル基の炭素−炭素二重結合に対して約1〜約10当量、好ましくは約1〜約5当量の範囲である。
溶媒としてのアルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等を挙げることができる。これらの化合物の中でも、メタノール、エタノールが好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、二種以上を混合して使用してもよい。
塩基性条件とは塩基性化合物により反応液のpHを7〜10程度に調整した条件である。使用できる塩基性化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物類;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物類;水酸化テトラメチルアンモニウム等のアンモニウムの水酸化物類;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩類;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩類等を挙げることができる。これら化合物の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、二種以上を混合して使用してもよい。
酸化剤としては、前述の(1)のタングステン酸系触媒による酸化反応同様、過酸化水素を好適に使用することができ、その使用量も同様である。
このニトリル化合物を併用する酸化反応は、通常は約10〜約60℃の範囲で、好ましくは約20〜約40℃の範囲で行われる。
[硬化剤]
本発明の半導体封止用硬化性組成物は、前記エポキシ化合物のグリシジル基と反応させて硬化物を得るための硬化剤を含む。硬化剤は特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック型樹脂、アルキル置換フェノールノボラック型樹脂、BPAノボラック型樹脂、ザイロック型フェノール等のフェノール系硬化剤、ジヒドロキシナフタレン、フェノール−ナフトール共縮ノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ジヒドロキシナフタレンノボラック樹脂等のナフトール系硬化剤、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンなどの脂肪族アミン類、ジアミノジフェニルアミン、ジアミノジフェニルスルフォンなどの芳香族アミン類、ポリアミド樹脂およびその変性物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミド、イミダゾール、BF3錯体、グアニジン誘導体等の潜在性硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤は単独でも2種類以上の併用でもよい。これらのなかでも、特に硬化性に優れる点からフェノール系硬化剤が好ましい。
硬化剤の使用割合としては、エポキシ化合物のグリシジル基と硬化剤中の活性水素とが当量比でグリシジル基/活性水素=約0.8〜約1.2の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは約0.9〜約1.15、さらに好ましくは約0.95〜約1.1である。
[その他任意成分]
本発明の半導体封止用硬化性組成物には必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤として公知のエポキシ樹脂用硬化促進剤を用いることができ、例えば第三級ホスフィン類、第三級アミン類、イミダゾール類等を用いることができる。具体的には、好ましい第三級ホスフィン類としては、例えばトリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等を挙げることができる。好ましい第三級アミン類としては、例えばジメチルエタノールアミン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェノール、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン(DBU)などを挙げることができる。好ましいイミダゾール類としては、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどを挙げることができる。これらの中でも耐熱性、耐水性、電気特性等に優れ、また、半導体封止材料用途において安定性に優れる点から2−メチルイミダゾール、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、トリフェニルホスフィン、ジメチルベンジルアミンおよびこれらの混合物が好ましい。
硬化促進剤の使用割合は特に制限されるものではないが、通常、組成物中の樹脂成分100質量部に対して約0.05〜約3質量部、好ましくは約0.5〜約2質量部の範囲である。
本発明の半導体封止用硬化性組成物はさらに無機充填材を含有することができる。無機充填材としては特に限定されず、溶融或いは結晶シリカ粉末、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム、石英、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪藻土、焼成クレイ、カリオン、マイカ、アスベスト、パルプ、木粉等が利用できる。
上記溶融シリカ粉末としては、流動性という観点から、球状溶融シリカ粉末を用いることが好ましい。球状溶融シリカ粉末を用いる場合、特に平均粒径として、好ましくは約5〜約100μm、より好ましくは約10〜約50μm、特に好ましくは約10〜約30μmのものが用いられる。平均粒径が小さすぎると、配合量が多い場合は硬化性組成物の粘度が高くなり、成形が困難になる恐れがあることから多く配合することができない。結果として、線膨張係数低減に不利であり、成形品の熱伝導性が低くなるといった問題が生じる場合がある。一方、平均粒径が大きすぎると、金型の樹脂注入ゲート部に詰まったり、パッケージ中の薄肉部分に侵入できず気泡の発生原因となったり、パッケージの外観に流動縞等が表れたりする場合がある。このような理由から、無機充填材の最大粒径は、約250μm以下であることが好ましく、より好ましくは約200μm以下である。なお、ここでいう粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定されたものであり、平均粒径とはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される体積累積粒径D50である。具体的には、無機充填材試料を1質量%になるようイオン交換水に混合し、超音波洗浄機で1分間分散させた後、Microtrac MT3300EXII(日機装(株)社製)を使用し、反射モードにて測定できる。
無機充填材の配合割合は使用目的に応じ適宜選択することができるが、硬化性組成物全体に対して通常約50〜約97質量%であり、約65〜約95質量%の範囲が好ましい。更に、約75〜約95質量%の高充填組成物にすると、硬化物の吸水率が非常に低くなり、その結果、耐水性は極めて顕著なものとなり一層好ましい。本発明においては、このように無機充填材を高充填することが可能であるため、耐水性と耐熱性のバランス等に優れた硬化物を得ることができる。
さらに必要に応じて三酸化アンチモン、ヘキサブロモベンゼン等の難燃剤、カ−ボンブラック、ベンガラ等の着色剤、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤およびシリコンオイル、ゴム等の低応力添加剤等の種々の添加剤等を本発明の半導体封止用硬化性組成物中に配合してもよい。難燃剤として、例えば臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化BPA(ビスフェノールA)型エポキシ樹脂を用いることもできる。
[半導体封止用硬化性組成物の調製方法]
本発明の半導体封止用硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、従来のトランスファー成形用材料の調製方法を用いることができる。すなわち、エポキシ化合物、硬化剤、必要に応じて硬化促進剤、無機充填材、その他の添加剤をヘンシェルミキサー等によって十分に均一に混合した後、更に熱ロールまたはニーダ−等で混練しタブレット状に成形することが好ましい。このタブレットを用いトランスファー成形或いは射出成形することなどにより半導体パッケージを成形することができる。
上記エポキシ化合物、無機充填材等を熱ロール等で混練して得られる半導体封止用硬化性組成物を用いて、トランスファー成形等により半導体を封止する際は、加熱溶解した後に低粘度である方が硬化性組成物の流動性が高まり成形性が高まるため有利である。よって、エポキシ化合物の溶融粘度は低い方が好ましく、具体的には140℃における溶融粘度が約40mPa・s以下であることが好ましく、約25mPa・s以下であることがより好ましい。また、エポキシ化合物の溶融粘度が低すぎると、無機充填材等との分離が起こりやすくなるため約5mPa・s以上であることが好ましく、約8mPa・s以上であることがより好ましい。また、無機充填材を含む硬化性組成物としての溶融粘度は無機充填材の種類、形状、含有量等にもよるが、150℃における溶融粘度が約20〜約500mPa・sであることが好ましく、約30〜約300mPa・sの範囲であることがより好ましい。また、EMMI−1−66に準じて金型温度175℃、圧力70kg/cm2、硬化時間120秒で測定したスパイラルフローが約95cm以上であることが好ましく、約105cm以上であることがより好ましい。スパイラルフローは成形時の流動性を示す指標であり、上記範囲内であれば、成形時に未充填が発生したり、ワイヤー流れ等の不具合が発生したりする恐れが少ない。また、流動性が良すぎても、充填不良の恐れがあるため、約140cm以下が好ましく、約130cm以下がより好ましい。
以下、実施例を用いて本発明についてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の実施例で用いたエポキシ化合物の分析方法は以下の通りである。
<エポキシ当量>
エポキシ当量はJIS-K7236に準拠して求めた。試料を0.1〜0.2g秤量し、三角フラスコに入れた後、クロロホルム10mLを加えて溶解させる。次に、酢酸20mLを加え、続いて臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液(臭化テトラエチルアンモニウム100gを酢酸400mLに溶解させたもの)10mLを加える。この溶液にクリスタルバイオレット指示薬を4〜6滴加え、0.1mol/L過塩素酸酢酸溶液で滴定し、滴定結果に基づいて、下記式に従いエポキシ当量を求めた。
エポキシ当量(g/eq)=(1000×m)/{(V1−V0)×c}
m:試料の重量(g)
V0:空試験における終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(mL)
V1:終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(mL)
c:過塩素酸酢酸溶液の濃度(0.1mol/L)
<高速液体クロマトグラフィー>
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は下記の通りである。
カラム:Shodex 5C8 4E(昭和電工(株)製)、40℃
溶離液:水/アセトニトリル=30/70
検出器:UV検出器、254nm
<全塩素量>
全塩素量は、エポキシ化合物を800℃以上の高温で燃焼・分解させ、その分解ガスを超純水等に吸収させ、イオンクロマトグラフィーで定量することにより測定した。イオンクロマトグラフィーは、メトローム社製 861 Advanced Compact IC、Shodex SI-90 4Eカラムから構成され、溶離液を1.7mM NaHCO3/1.8mM Na2CO3水溶液として、1.3mL/minで測定した。
<融点>
METTLER TOLEDO製 FP90 Central ProcessorとFP81HT MBC cell から構成される装置により、1.0℃/minの昇温速度で測定した。
<軟化点>
JIS-K7234に規定のエポキシ樹脂の軟化点試験方法に従い、環球法を用いて測定した。
<溶融粘度>
140℃における溶融粘度をAnton Paar社製 Phisica MCR301を用いて、せん断速度100(1/s)、測定時間200(sec)で測定した。
合成例1(ビフェノール化合物のジアリルエーテルの合成)
2000mLのナス型フラスコに、ビフェノール化合物として4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル(甘粛省化工研究院製)300g(1.24mol)、50%含水5%-Pd/C-STDタイプ(エヌ・イーケムキャット(株)製)2.64g(0.619mmol)、トリフェニルホスフィン(北興化学(株)製)3.25g(12.4mmol)、炭酸カリウム(旭硝子(株)製)256.7g(1.86mol)、酢酸アリル(昭和電工(株)製)310.4g(3.1mol)、およびイソプロパノール200gを入れ、窒素雰囲気中、100℃で8時間反応させた。
この後、反応液にトルエン200gを加え、Pd/Cと析出した固体を濾過により除去した。ろ液にイオン交換水200gを加え撹拌した後静置し、有機層と水層を分離した。この後処理操作を3回繰り返し後、エバポレーターによりイソプロパノールとトルエンを留去し、上記ビフェノール化合物のジアリルエーテル 252gを得た。
合成例2(ビフェノール化合物のグリシジルエーテルの合成)
攪拌羽根、滴下ロート、還流冷却管、熱電対を備えた1000mLの4つ口フラスコに合成例1で得られたビフェノール化合物のジアリルエーテル200.0g(620mmol)、トルエン100.0gを仕込み、攪拌しながら75℃まで昇温してジアリルエーテルを溶解させた。ここに、予めイオン交換水10.0gに溶解させておいたタングステン酸ナトリウム5.11g(15.5mmol)、75%リン酸2.02g(15.5mmol)、硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウム8.98g(15.5mmol)を投入した。
続いて、内温が75℃で安定した時点で、35%過酸化水素水180.8g(1.86mol)を60分かけて滴下した。滴下終了後、80℃で6時間反応を行った。反応終了後、フラスコ内容物を80℃で静置して有機層と水層を分離し、水層を除去した。続いて有機層にイオン交換水200.0gを投入し、80℃で10分間攪拌洗浄を行った。洗浄後、80℃で静置して有機層と水層を分離し、水層を除去した。この有機層を室温まで冷却し、析出した粗結晶178.0gをろ過により回収し目的の生成物を得た。得られた生成物を前記条件により高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、ジアリルエーテル体/モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル体/ジグリシジル体の割合は、5.1%/42.3%/49.6%であった。また、生成物全体でのエポキシ当量は238.6g/eq、全塩素量2.8ppm、融点62.7℃であった。
得られた粗結晶87.3gをカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル60N(球状、中性):関東化学(株)製、展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=9:1)することにより白色固体のジグリシジル体37.2g、および薄黄色固体のモノグリシジルエーテルモノアリルエーテル体31.5gを得た。なお、ジグリシジル体のエポキシ当量は182.1g/eq、全塩素量2.9ppm、融点105.8℃であり、モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル体のエポキシ当量は343.5g/eq、全塩素量2.1ppm、融点54.2℃であった。
〔硬化性組成物の調製および硬化物の作製〕
表1および表2に示す配合組成にて各成分を混合し、それらを110℃の熱ロールにて溶融混練することによって、実施例1から8および比較例1から6の硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を金型にて180℃、1時間、圧力30kg/cm2で加圧成形し、厚さ1.5mmおよび4mmの板状の試験用硬化物を作製した。
上記実施例1から8および比較例1から6にて用いた各配合成分は以下の通りである。表1に、140℃におけるエポキシ化合物(モノエポキシ化合物を使用する場合はエポキシ化合物の混合物)の溶融粘度を併せて記載する。
(エポキシ化合物)
・エポキシ化合物1:合成例2で得られたジグリシジル体(エポキシ当量182g/eq、全塩素量2.9ppm、融点106℃、溶融粘度(140℃)20mPa・s)((A))
・エポキシ化合物2:合成例2のエポキシ化合物(エポキシ当量238.6g/eq、全塩素量2.8ppm、融点63℃、溶融粘度(140℃)17mPa・s)((A)(B)混合物)
・テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名:YX-4000H、エポキシ当量192g/eq、全塩素量316ppm、軟化点103.0℃、溶融粘度(140℃)18mPa・s)
・モノエポキシ化合物:合成例2で得られたモノグリシジルエーテルモノアリルエーテル体(エポキシ当量344g/eq、全塩素量2.1ppm、融点54℃、溶融粘度(140℃)6.0mPa・s)((B))
・高純度グレードクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:EPICLON N-655-EXP-S、エポキシ当量200g/eq、全塩素量660ppm、軟化点58℃、溶融粘度(140℃)300mPa・s)
(硬化剤)
・フェノールノボラック樹脂(昭和電工株式会社製、商品名:BRG−556、水酸基当量103)
(硬化促進剤)
・トリフェニルホスフィン(北興化学株式会社製、TPP)
(無機充填剤)
・溶融シリカ(龍森株式会社製、MSR−2212、D50:20μm、最大粒径:72μm)
〔評価方法〕
実施例1から7および比較例1から4の各硬化性組成物の溶融粘度およびその硬化物のガラス転移温度(Tg)、線膨張係数、スパイラルフロー、吸水率および長期信頼性の評価は、以下の測定によって行った。
<ガラス転移温度(Tg)>
熱機械測定(TMA)により測定した。セイコー電子工業株式会社製SSC5200H熱分析システムを使用し、温度範囲40〜180℃、昇温速度10℃/min、荷重3gの条件で、4mm×4mm×10mmの板状試験片を用いて測定を行った。
<線膨張係数(CTE)>
Tgと同様に、TMAにより測定した。セイコー電子工業株式会社製SSC5200H熱分析システムを使用し、温度範囲40〜180℃、昇温速度10℃/min、荷重3gの条件で測定を行い、Z軸方向の膨張率より線膨張係数を求めた。
<溶融粘度>
無機充填材を配合した硬化性組成物の150℃での溶融粘度は、エス・エム・ティー・エンジニアリング株式会社製CV-1S粘度計、5Pコーンを使用し測定した。
<スパイラルフロー>
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、金型温度175℃、圧力70kg/cm2、硬化時間120秒で測定した。
<吸水率>
50mm×50mm×1.5mmの試験用硬化物を130℃、100%の水蒸気中に100時間暴露し、試験終了後速やかに重量を測定し、暴露前後の質量変化から吸水率を求めた。
<長期信頼性>
長期信頼性の指標としてHAST試験を実施した。
表2の実施例8および比較例5,6の配合で調製した硬化性組成物を用いて、銅配線部がL/S=50μm/50μm、12μm厚の櫛型電極基板上に硬化樹脂層を約50μmの膜厚で作製し、150℃、6時間乾燥・硬化させることにより、HAST試験用基板を作製した。試験条件は、温度110℃、相対湿度85%RHの高温高湿下、印加電圧DC 100Vで実施した。絶縁抵抗の急激な低下が見られた時点で導体間に短絡が発生したものとみなし、絶縁不良発生とした。表2の印は以下の結果であったことを表す。
○:不良発生せず
×:不良発生
Figure 2012111858
Figure 2012111858
表1に示すように、モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物を含む実施例では、モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物を含まない比較例に比べて溶融粘度が小さくなっており、流動性が向上することがわかる。そのため、従来のエポキシ化合物を含む組成物と同等の溶融粘度の場合に無機充填材の充填量を増やすことが可能となり、硬化物の線膨張係数の低減を図ることができる。
表2に示すHAST試験では、過酸化水素を用いて合成されたエポキシ化合物を使用した実施例8は絶縁不良の発生が認められないのに対し、比較例5,6ではいずれも絶縁不良が発生した。以上の結果から、残留塩素の少ないエポキシ化合物を使用した半導体封止用硬化性組成物は、従来のエピクロルヒドリンによって合成されたエポキシ樹脂を使用したものと比較して長期信頼性に優れる。
以上説明したように、本発明の半導体封止用硬化性組成物は、従来使用されてきたエポキシ樹脂による硬化性組成物よりも、使用しているエポキシ化合物の溶融粘度が小さいため無機充填材の充填量を増やすことができ、その結果耐水性と耐熱性のバランス等に優れた硬化物が得られる。さらに、ビフェノール化合物の誘導体であるジアリルエーテルを酸化剤と反応させて得られるエポキシ化合物を半導体封止用硬化性組成物のバインダー成分として用いることで信頼性に優れる半導体装置を提供することができる。

Claims (9)

  1. エポキシ化合物と硬化剤とを必須成分とする半導体封止用硬化性組成物において、前記エポキシ化合物が(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物とを含み、かつ(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物が同一のビフェノール化合物の誘導体であることを特徴とする半導体封止用硬化性組成物。
  2. 前記(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物との質量比が、(A)/(B)=99.9/0.1〜40/60である請求項1に記載の半導体封止用硬化性組成物。
  3. 前記エポキシ化合物の140℃における溶融粘度が5〜40mPa・sの範囲である請求項1または2のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
  4. 前記ビフェノール化合物が、ビフェノール、4、4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、および4、4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチルビフェニルよりなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
  5. 前記(A)ジグリシジルエーテル化合物および(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物が、前記ビフェノール化合物のジアリルエーテルを酸化剤と反応させて得られるものである請求項1〜4のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
  6. 前記エポキシ化合物が、前記ビフェノール化合物のジアリルエーテルを酸化剤と反応させて得られる(A)ジグリシジルエーテル化合物と(B)モノグリシジルエーテルモノアリルエーテル化合物を含む混合生成物である請求項1または2に記載の半導体封止用硬化性組成物。
  7. 無機充填材をさらに含む請求項1〜6のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
  8. EMMI−1−66に準じて金型温度175℃、圧力70kg/cm2、硬化時間120秒で測定したスパイラルフローが95〜140cmである請求項7に記載の半導体封止用硬化性組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物の硬化物で封止された半導体装置。
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