JP2011213716A - ポリアリルオキシ化合物の製造方法及びポリグリシジルオキシ化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基の少なくとも一部が水添された基、又は脂肪族基に少なくとも2個の水酸基を有するポリヒドロキシ化合物と、粗アリルクロライドとを反応させて、少なくとも2個のアリルオキシ基を有するポリアリルオキシ化合物を主成分とする精製ポリアリルオキシ化合物を得る工程を含むポリアリルオキシ化合物の製造方法において、粗アリルクロライド中の塩素原子を2個含む分子量152の化合物の含有量と、塩素原子を3個含む分子量228の化合物の含有量の和が0.005重量%以下であるものを用いる。
【選択図】なし
Description
また、エポキシ樹脂を、ケトン類若しくは芳香族炭化水素類、一価アルコール及び相関移動触媒の存在下、アルカリ金属水酸化物で処理することが提案されている(例えば特許文献3)。
又、エポキシ樹脂を相関移動触媒の存在下、アルカリ金属水酸化物で処理する特許文献
3でも、全塩素濃度は280重量ppmに留まる。
本発明のポリアリルオキシ化合物の製造方法では、芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基の一部が水添された基、又は脂肪族基に少なくとも2個の水酸基を有するポリヒドロキシ化合物と、粗アリルクロライドとを反応させて、少なくとも2個のアリルオキシ基を有する環状炭化水素系化合物を製造する際、用いる粗アリルクロライド中の塩素原子を2個含む分子量152の化合物の含有量と、塩素原子を3個含む分子量228の化合物の含有量の和が0.005重量%以下とすることにより、塩素含有量の少ないポリアリルオキシ化合物を得る。
本発明における芳香族炭化水素基又は芳香族炭化水素基の少なくとも一部が水添された基、又は脂肪族基に少なくとも2個の水酸基を有する化合物(以下、「ポリヒドロキシ化合物」と略することがある)は、これをアリルクロライドと反応させてポリアリルオキシ化合物とし、更に酸化することでポリグリシジルオキシ化合物とするが、ポリグリシジルオキシ化合物は、グリシジルオキシ基の反応性に起因して、各種電子材料用途に使用できる。
なお、脂肪族基に少なくとも2個の水酸基を有するポリヒドロキシ化合物である場合は、下記一般式[I]が好ましい。
(A1)−(OR)m1 [I]
(式中、A1はOR基以外の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基の少なくともその一部が水添された基、又は脂肪族基を表し、Rは水素原子を表し、m1は2以上の整数を表す。)
(RO)m2−(A21)−[X2−(A22) ] n2−X2−(A21)−(OR)m2 [II]
(式中、A21はOR基以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基の少なくともその一部が水添された基、又は2価の脂肪族基を表し、A22は置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基の少なくともその一部が水添された基、又は2価の脂肪族基を表し、X2は、直接結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表し、Rは水素原子を表し、m2は1以上の整数を表し、n2は0又は1以上の整数を表すが、X2を介して連結する隣接するA21とA22、又は複数のA22は、その置換基が更に連結して環を形成していてもよい。)
H− [(A3(OR)m3)―X3]n3−H [III]
(式中、A3は、OR基以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基の少なくともその一部が水添された基、又は2価の脂肪族基を表し、X3は、直接結合、置換基を有していてもよい。アルキレン基又は−R31−フェニレン−R32−を表し、ここでR31及びR32は、夫々独立にアルキレン基を表し、Rは水素原子を表し、m3は1以上の整数を表し、n3は2以上の整数を表す。)
上記一般式に[I]において、Rは水素原子を表す。A1で表される芳香族炭化水素基又は芳香族炭化水素基の少なくともその一部が水添された基としては、フェニル基、ナフチル環、アントラセニル基等の炭素数6〜14の芳香族炭化水素基及びその少なくともその一部が水添された環基(シクロヘキシル基等)が挙げられ、芳香族炭化水素基及びその少なくともその一部が水添された基の炭素数は、好ましくは6〜10、更に好ましくは6である。
一般式[I]で表される化合物の具体例としては、一般式(1)で示すものが挙げられ、ベンゼン環上には置換基を有していても良い。また、芳香族環の一部あるいは全部が還元された核水添体でも良い。また脂肪族のポリヒドロキシ化合物としては、イソソルビド、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,3−ノルボルナンジオールが挙げられる。
A21で表される2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基の少なくともその一部が水添された基、又は2価の脂肪族基としては、一般式に[I]におけるA1と同様の基に由来する2価の基が挙げられ、その炭素数も同様である。A21で表される基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等の炭素数1〜4のアルキルオキシ基;ニトロ基等が挙げられ、中でもアルキル基が好ましい。
水酸基で置換されたアリール基で置換されていてもよく、アリール基の炭素数は、好まし
くは6〜10である)、及び架橋縮合環構造を有する炭素数7〜10の脂環式炭化水素が
好ましく、特に、直接結合、炭素数1〜2のアルキレン基(但し、少なくとも1個の水酸
基で置換されたアリール基で置換されていてもよく、アリール基の炭素数は、好ましくは
6〜8である)が好ましい。
一般式[III]で表される化合物の具体例としては、以下の一般式(4)で示されるものおよびこれらの芳香族環の一部あるいは全部が還元された核水添体が挙げられる。また、ベンゼン環上には置換基を有していても良い。
本発明の製造方法に用いられる粗アリルクロライドは、粗アリルクロライド中に含まれる塩素を2個含む分子量152の化合物の含有量と、塩素を3個含む分子量228の化合物の含有量との和が0.005重量%以下であることが必要である。
粗アリルクロライド中の、塩素を2個有する分子量152の化合物(少なくとも構造異性体と推定される2化合物が検出されることを発明者は確認している、以下「化合物152」と称することがある)の含有量塩素を3個有する分子量228の化合物(少なくとも構造異性体と推定される2種類の化合物が検出されることを発明者は確認している、以下「化合物228」と称することがある)の含有量の合計は、0.005重量%以下であり、好ましくは0.003重量%以下、さらに好ましくは0.001重量%以下である。また、上記化合物152及び化合物228の含有量の割合は、特に制限はない。
さらに、かくして得られる粗アリルクロライドが、本発明の方法に用いられるか否かの判断は、上記化合物152及び化合物228の含有量を、既知の方法で測定し、上記規定の含有量以下であることを確認することにより行う。
アリルクロライド製造メーカーが製造するアリルクロライド中には、複数の不純物が含まれており、その種類や含有量はメーカーにより異なること及び多種、微量であるため、純度が高くなる程、その不純物を定量することは困難になるが、共通して含まれる不純物としては、アリルクロライドと沸点の近い2−クロロプロパン、1−クロロプロパン、クロロアセトアルデヒド、ヘキサン、ヘキセン、1,5-ヘキサジエン、3-クロロ-2-メチルエタノール等が挙げられる。この中でも、1−クロロプロパン、1,5−ヘキサジエンの含有量は、メーカーにより異なるが、0.1〜0.4%と含有量が多い。
また、通常の粗アリルクロライド中には、アリルクロライドより沸点の高い不純物(以下、高沸点不純物と省略記載することがある)が存在する。高沸点不純物は、下記ガスクロマトグラフィー(GC)、GC−Massにより分子量と含有量を特定することができる。
上記の不純物は、不純物同士が反応した化合物、不純物とアリルクロライドが反応した化合物、不純物と基質即ち、フェノール類等の少なくとも2個の水酸基を有するポリヒドロキシ化合物が反応したもの、アリルクロライドが重合した化合物等であり、これら不純物の一部は含塩素有機物であるが、これら不純物は、製造時に副生したものが蒸留精製時に完全に分離しきれずに混入するものと推定される。上記不純物の一部は塩素不含有の有機化合物であり、精製ポリアリルオキシ化合物の塩素含有量に影響を与えないものもあるが、不純物の少ない高純度のアリルクロライドは、総じて、含塩素有機物の含有量は低減する傾向にある。
これらの不純物の含有量は、後述の実施例に記載の条件で、GC(FID)または1H-NMRにより測定を行なう。尚、1−クロロプロパンは、1−クロロプロパンときわめて沸点の近い他の不純物(分子式:C2H3OCl)と後述のGC分析条件下では完全に分離することが困難であるため、NMRのプロトン比で定量するのが好ましい。又、1,5-ヘキサジエンは、高沸の不純物が共存する場合には、NMRのプロトンのピークのシフト値が近く、分離が困難であるため、GC分析により定量するのが好ましく、その場合には、常法に従って、ピーク面積値から、検出感度を補正して定量する。高沸の不純物はGCで分析を行う。ここで、高沸の不純物はアリルクロライドと分子の構成成分比がほぼ同じで、重量あたりの感度は同じと見なせるため、感度補正は行なわず、面積%=重量%とする。GC、NMR分析の際、内部標準物質を用いて定量してもよい。
本発明において、ポリアリルオキシ化合物は、上記の通り、ポリヒドロキシ化合物と粗アリルクロライドを反応させて、対応するポリアリルオキシ化合物とすることにより得る(以下、「アリル化反応」と略することがある)。
特に、本発明では、従来のエピクロルヒドリンとの反応ではなく、該アリル化反応を経ること、その際、粗アリルクロライドの中でも不純物含有量の少ない粗アリルクロライドを使用すること、及び、必要により、後述の精製等の工夫で、芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基の少なくとも一部が水添された基、又は脂肪族基に少なくとも2個のアリルオキシ基を有するポリアリルオキシ化合物を製造することが可能となるため、アリル化反応を経ることが重要である。
アリル化反応の圧力は、特に限定されるものではなく、常圧でも可能であるが、アリルクロライドは沸点が低いため(沸点45℃)、封じ込めで反応を行うのが好ましい。封じ込めで反応を行った場合は、系内が加圧状態となるが、通常内圧が1MPa以下常圧以上、好ましくは0.3MPa以下で行う。
は、特に限定されないが、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等の非プロトン性溶媒、メタノール、エタノール、2-プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、水等があげられる。これらの溶媒は、単独で用いても良いが、コストの面から、安価な溶媒と混合して用いることもできる。
ポリアリルオキシ化合物の精製方法としては、ポリアリルオキシ化合物が固体の場合は晶析、懸洗、分液、吸着、昇華等が挙げられ、ポリアリルオキシ化合物が液体の場合は分液、吸着、蒸留が挙げられる。
懸洗による精製には、化合物の溶解度の低い溶媒、いわゆる貧溶媒を用いる。好ましい貧溶媒は化合物により異なるが、メタノールなどのアルコール類などの極性の高いものや、逆にヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサンなど極性の低い脂肪族炭化水素が上げられる。水溶性の溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、N,N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド等が挙げられ、これらは水と混和して用いることができる。溶媒量は少なすぎる場合は精製効果が十分ではなく、多すぎる場合には、回収率の低下につながる。懸洗終了後、固形物をろ過回収し、乾燥することによって目的物を得ることができる。
上記精製法の中でも、操作法の点からは、ポリアリルオキシ化合物の性状に関わらず分液法、吸着法が好ましい。ポリアリルオキシ化合物が固体の場合は晶析法が有効である。
かくして得られた精製ポリアリルオキシ化合物は、一般的に(1)ポリグリシジルオキシ化合物よりも、酸、塩基、熱に対し安定であるため、精製処理が容易であり、又、(2)ポリグリシジルオキシ化合物よりも極性が低い傾向があり、有機溶媒に対し高い溶解度を有しており、後述の精製工程のうち分液、抽出、吸着などの処理が容易である。従って、精製ポリアリルオキシ化合物を酸化することで、後述のエポキシ化反応後の精製より簡便に高純度の精製ポリグリシジルオキシ化合物を得ることができる。
<4.精製ポリアリルオキシ化合物>
上記の方法で得られる精製ポリアリルオキシ化合物は、塩素含有量が100重量ppm以下であり、好ましくは50重量ppm以下であり、より好ましくは30重量ppm以下である。この値が大きすぎると、これを用いて合成される精製ポリグリシジルオキシ化合物中の塩素含有量が大きくなり、配線等における腐食や断線の問題となり好ましくない。尚、塩素含有量は少ないほど好ましいが、精製の限界等の関係及び用途の特性から、下限は通常0.1重量ppm程度、更には、1重量ppm程度である。尚、塩素の形態は、無機化合物と有機物のいずれでもよい。
ポリアリルオキシ化合物よりも分子量が152大きい含塩素化合物等の不純物量及び構造は、前述の化合物152及び化合物228と同様に測定、確認することができる。
尚、ポリアリルオキシ化合物の具体的化合物としては、芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基の少なくとも一部が水添された基、又は脂肪族基に少なくとも2個の水酸基を有する化合物として前述した式[I]〜[III]において、Rがアリル基である化合物であり、好ましい化合物もこれに準じる。
本発明では、上記の方法で得られた塩素含有量の少ない高純度の精製ポリアリルオキシ化合物を酸化することにより高純度の精製ポリグリシジルオキシ化合物を得る(以下、該酸化を「エポキシ化」と略することがある)。
エポキシ化の方法としては、非塩素系(塩素を含有しない)酸化剤を用いることが好ましく、有機過酸を用いる方法、および、触媒存在下過酸化水素を反応させる方法が挙げられる。有機過酸としては過酢酸、過安息香酸、TBHPなどが挙げられ、その中でも調製、後処理の容易な過酢酸が好ましい。有機過酸を用いる場合には、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基を系内に添加することにより、系内の酸性度の調整を行ってもよい。
ましい。エポキシ化に用いられる溶媒としては、塩素原子を含むことなく、エポキシ化条件において酸化されないものから選択される。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒が上げられる。
上記の方法で得られる精製ポリグリシジルオキシ化合物は、特に限定されるものではないが、塩素含有量が通常150重量ppm以下であり、好ましくは100重量ppm以下であり、より好ましくは、50重量ppm以下であり、更に好ましくは30重量ppm以下である。この値が大きすぎると配線等における腐食や断線の問題となる場合があることから、含有量は小さければ小さい程好ましいが、原料の精製の限界などから、下限は通常0.1重量ppm程度、更には、1重量ppm程度である。尚、塩素の形態は有機物、無機物のいずれでもよく、塩素含有量は、上述の方法で測定される。
本発明のポリグリシジルオキシ化合物の精製方法としては、公知の精製方法を用いることができ、例えば前記のポリアリルオキシ化合物の精製方法と同様の方法を用いることができる。このうちポリグリシジルオキシ化合物は、通常比較的熱安定性が低いため、ポリグリシジルオキシ化合物が固体の場合は晶析、懸洗、分液、吸着等が好ましく、液体の場合は分液、吸着が好ましい。
等限定されるものではない。
[参考例1]
原料として用いる各種の粗アリルクロライドの不純物の分析を行った。
原料の粗アリルクロライドは、GC、GC−Mass、1H-NMRにより分析を行った。GCの検出器としては、FID(水素炎イオン検出器)の他、AED(原子発光検出器)を用いた。この内、1−クロロプロパンと1,5−ヘキサジエンは標品(市販、東京化成社品)を用い、1−クロロプロパンは1H-NMRにより、1,5−ヘキサジエンはGC(FID検出)により定量した。高沸不純物は、GC−Massにより分子量および分子式を特定し、GC(FID検出)により定量した。
装置 :BRUKER社 AVANCE 400, 400MHz
積算回数 :2048回
溶媒 :0.03体積%トリメチルシラン含有重クロロホルム
<GC分析条件>
装置 :GC−17A (島津製作所社製)
カラム :HEWLETT PACKARD社製 HP−1(30mx0.53mmφ、2.6
5μm)
検出器 :水素炎イオン検出器 (FID)
スプリット比:20
キャリヤーガス(窒素流量):105ml/min
(測定条件1):50℃で10分間保持後、10℃/minで250℃まで昇温
(測定条件2):50℃より、10℃/minで280℃まで昇温、窒素流量 105ml/min
尚、測定条件1は、低沸不純物の定量、測定条件2は、高沸不純物の定量に用いた。又、不純物の同定及びピークが単一物か否かの検討は、GC/AED、GC/Massにより、以下の条件で行なった。
装置 :GC7890A(Agilent)−jas2390AA(JAS)
カラム :DB-1(25mx0.32mmφ、0.52μm)
検出波長 H :486nm、C:496nm、Cl:479nm
<GC/Mass分析条件>
装置 :GC6890(Agilent)−JMS600H(JEOL)
カラム :ZB-1(30mx0.25mmφ、0.25μm)
イオン化法 :EI
以下に分析方法の詳細を記す。塩素含有量(重量ppm)は、無機および有機を合わせた全塩素量を以下の方法で測定した。試料を燃焼し、吸収液に吸収させた後、イオンクロマトグラフにて測定を行った。燃焼装置は三菱化学社製AQF−100を、イオンクロマトグラフ装置はDIONEX社製 DX-500を用いた。イオンクロマトグラフは、カラムにDIONEX社製 Ion Pac AS12Aを用い、電気伝導度で検出を行った。塩素量が20ppm以下の微量な場合(実施例3)は、条件2で測定したが、それ以外は条件1により、測定した。以降、塩素分析条件は、断りのない限り、条件1を指す。
LC:島津製作所製
温度 :35℃
検出器 :UV 254mm、
溶離液 :0.5ml/min
条件1:
カラム :Inertsil ODS-3V、5μm 4.6X150mm(GLサイエンス製)
検出器 :UV 280mm、
溶離液 :CH3CN/0.1%トリフルオロ酢酸含有水=90/10(vol%)、0.5ml/min
条件2:
カラム :Mightysil RP-18 GP aqua 150-4.6 (5μm) (関東化学製)
検出器 :UV 254mm
CH3CN/0.1%トリフルオロ酢酸含有水=75/25(vol%)→10min, 100/0(vol%)(20min)
条件3:
カラム :Mightysil RP-18 GP aqua 150-4.6 (5μm) (関東化学製)
検出器 :UV 254mm CH3CN/0.1%トリフルオロ酢酸含有水=60/40(vol%)→20min, 100/0(vol%)(20min)
化合物(1b)中に含まれる含塩素不純物の分析は、LC条件2を用い、化合物(1b) 50ppm溶液を、1μLおよび5μL注入して分析を行い、化合物(1b)に約1%含まれる分子量602(塩素を含まない)の不純物を内標として、定量を行った。
LC:Waters Acquity
カラム:UPLC BEH C18 2.1X100mm 1.7μm
温度:40℃
検出器 :UV 254mm、
溶離液 :A=0.1%ギ酸含有水 B=メタノール 0min, 75%B →6min, 100% B (7min), 0.25ml/min
MS:Waters LCT Premier XE
イオン化法:APCI(+)
<GC分析条件3>
装置 :GC-1700(島津製作所社製)
カラム : ZB-5(30mx0.25mmφ、0.25μm)
検出器 :水素炎イオン検出器(FID)
スプリット比:40
キャリヤーガス(窒素流量):68ml/min、
昇温条件:100℃から10℃/minで270℃まで昇温、10分間保持
かくして得られた各粗アリルクロライドの組成を表1に示す。
粗アリルクロライド(B社製) 149gを300mlのナスフラスコに仕込み、26cmのウィットマー精留塔を用いて、55〜70℃のオイルバスで加温して アリルクロライドを留去した。釜残約13gのGC分析を行ったところ、不純物が濃縮され、分子量152である化合物が0.2重量%、分子量228の化合物が0.35%含まれていることが確認できた。このアリルクロライドの釜残を用い、実施例1同様に反応及び全塩素含有量の分析を行った。
実施例1と同様にして反応を行なった。反応終了後、水20mlを添加し析出した固体を濾
取し、3時間減圧乾燥することで精製3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビス(2-プロペン-1-イルオキシ)-1,1’-ビフェニル(結晶)を5.2g(17mmol)得た。これを上記の塩素分析方法で全塩素の含有量と不純物含有量を測定した。結果を表−2に示す。
実施例1と同様に、上記表1記載のB社品の粗アリルクロライドを用いて、同様に反応し、得られた精製化合物(1b)(粗体)の全塩素含有量と不純物含有量の分析を行った。結果を表−2に示す。
実施例1と同様に、上記表1記載のC社品の粗アリルクロライドを用いて、同様に反応し、得られた精製化合物(1b)(粗体)の全塩素含有量の分析を行った。結果を表−2に示す。
比較例2の方法で得られた精製3,3,5,5-テトラメチル-4,4-ビス(2-プロペン-1-イルオキシ)-1,1-ビフェニル(1b) 81gに、メチルエチルケトン324ml, イソプロピルエーテル32ml, 20% 水酸化カリウム水溶液211ml、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド1.1gを加えて、60℃で7時間加温した。水層を除去した後、水200mlで洗浄し、トルエン100mlを加え、さらに水200mlで3回洗浄した。得られた有機層に活性炭8.5gを加えて1時間攪拌した後、ろ過、濃縮、結晶化し精製3,3,5,5-テトラメチル-4,4-ビス(2-プロペン-1-イルオキシ)-1,1-ビフェニル(1b)(精製体)65gを回収率 80%で得た。これを上記の塩素分析方法で全塩素の含有量と不純物の含有量を測定した。結果を表−2に示す。
攪拌子を入れたガラス試験管中に、精製3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル-4,4’-ジオール(1a)3g(10mmol、純度84%)、トルエン6ml, イソプロピルアルコール3ml, 20%水酸化ナトリウム水溶液 10ml、テトラブチルアンモニウムヨージド0.025g, 粗アリルクロライド3.3g(前記表1記載のC社品、43mmol)を仕込み、内温45℃で12時間反応した。反応終了後、有機層を10mlの水で3回洗浄し、有機層をエバポレーションした。得られた液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、主生成物2.2gを得た。この生成物をNMRにて構造解析したところ、2つのアリル基のうちの1つがベンゼン環に導入された2-(2-プロペン-1-イル)-3,3’,5,5’-テトラメチル-4’- (2-プロペン-1-イルオキシ)-1,1-ビフェニルが主成分であった。
〔実施例3〕
比較例3で得られた 精製化合物(1b)(粗体)81gを、実施例3と同様の方法でエポキシ化を行い、化合物(1c)81gを得た。これを上記の塩素分析方法で全塩素の含有量を測定した。結果を表−3に示す。更に得られた化合物(1c) 57.5gを酢酸エチル600mlに溶解し、活性炭10gを加えて2時間攪拌した後、ろ過、濃縮、結晶化した。結晶にメタノール200mlを加え、1時間懸洗したのち、結晶を濾取し、精製化合物(1c) (結晶)36gを得た。回収率 63% これを上記の塩素分析方法で全塩素の含有量を測定した。結果を表−3に示す。
[実施例4]
実施例4と同様に、表1のB社品の粗アリルクロライドを用いて、同様に反応及び全塩素含有量の分析を行った。結果を表−4に示す。
[実施例5]
[比較例7]
実施例5と同様に、比較例6で得られた (2b)の反応及び全塩素含有量の分析を行った。結果を表−4に示す。
実施例6と同様に、表1のB社品の粗アリルクロライドを用いて、精製(3b)を合成し、全塩素含有量の分析を行った。結果を表−5に示す。
攪拌子を入れたガラス内筒オートクレーブ中に、化合物 3aを5.0g(21mmol)、水酸化カリウム(純度85%) 5.5g(83mmol)、水5.5ml, トルエン 5.5ml, 0.5mol/Lノルマルブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液 0.5ml、粗アリルクロライド4.8g(表1のA社品、62mmol)を仕込み、密閉後、内温46-48℃で8時間反応した。反応内容物をGC (条件3)で分析したところ、未反応の(3b)および反応中間体のモノエポキシ化合物が残っていたため、更に水酸化カリウム(純度85%) 5.5g(83mmol)、粗アリルクロライド4.77g(表1のA社品62mmol)を追加し、密閉後、内温46-48℃で8時間反応した。反応の終了を、GC分析条件3により確認した後、酢酸エチル50ml、水30mlを添加し、30min攪拌した。水層を分離した後、有機層を順次50mlの水で2回、メタノール50mlと水50mlの混合溶液で1回、50mlの水で1回洗浄した。有機層を濃縮し、得られた油状物を3時間減圧乾燥することで、精製化合物 3bを5.0g(15.6mmol)得た。これを前述の塩素分析方法で全塩素含有量を測定した。結果を表−5に示す。これを更に精製することなく実施例8に用いた。
実施例7と同様に、表1のB社品の粗アリルクロライドを用いて精製(3b)を合成し、全塩素含有量の分析を行った。結果を表−5に示す。
[実施例8]
[比較例10]
実施例7と同様に、比較例9で得られた精製(3a)より精製(3b)を合成し、全塩素含有量の分析を行った。結果を表−5に示す。
[実施例9]
実施例7と同様に、表1のB社品の粗アリルクロライドを用いて精製(4b)を合成し、全塩素含有量の分析を行った。結果を表−5に示す。
イソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−グルシトール)7.3g(50mmol)を攪拌子を入れたガラス内筒オートクレーブ中に、水酸化カリウム(純度85%) 13.2g(200mmol)、水13ml, 0.5mol/Lノルマルブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液 0.2ml、粗アリルクロライド11.47g(150mmol、表1のA社品)を仕込み、密閉後、内温46-48℃で8時間反応した。(4a)の消失は、GC分析条件3により確認した。反応終了後、ヘキサン50ml、酢酸エチル50ml、水50mlを添加し、30min攪拌した。水層を分離した後、有機層を順次35mlの水で5回洗浄した。有機層を濃縮し、得られた油状物を3時間減圧乾燥することで精製1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5-ジ−O−2−プロペン−1−イル−D−グルシトール (4b)を6.0g(26mmol)得た。
[実施例11]
1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ値
化合物 (1b): 2.32(12H,s), 4.34 (4H,dt), 5.27(2H,ddd), 5.44(2H,ddd), 6.13(2H,m), 7.18(4H,s)
化合物 (1c):2.34(12H,s), 2.82(4H,dd), 3.38(2H,m), 3.93(4H,dd), 7.18(4H,s)
化合物 (2b): 1.62(6H,s), 4.50(4H,dt), 5.23(2H,dd), 5.39(2H,dd), 6.04(2H,m), 6.70(4H,dd), 7.13(4H,dd)
化合物 (2c): 1.63(6H,s), 2.81(4H,ddd), 3.33(2H,m), 4.05(4H,ddd), 6.80(4H,dd), 7.13(4H,dd)
化合物(3b)(立体異性体混合物): 0.73-0.74(total 6H,s), 1.02(2H,m), 1.15-2.13(total 16H), 3.19-3.6(2H,m), 3.95+4.01(4H,m), 5.14(2H,m), 5.26(2H,m), 5.92(2H,m)
化合物 (3c) (立体異性体混合物): 0.70-0.80(total 6H,s), 1.03(2H,m), 1.1-2.15(total 16H), 2.6-2.7(4H,m), 3.2-3.3(4H,m), 3.45-3.75(4H,m)
化合物 (4b):3.60(1H,t), 3.92(1H,t), 3.97-4.10(7H,m), 4.22(1H,m), 4.52(1H,d), 4.64(1H,t), 5.20(2H,m), 5.29(2H,m), 5.84-6.0(2H,m)
化合物 (4c):2.70(4H,m), 3.19(2H,m), 3.50(4H,m), 3.4-4.2(8,m), 4.42(1H,d), 4.67(1H,t)
Claims (9)
- 芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基の少なくとも一部が水素添加された基、又は脂肪族基のいずれかの基に少なくとも2個の水酸基を有するポリヒドロキシ化合物と、粗アリルクロライドとを反応させて、少なくとも2個のアリルオキシ基を有するポリアリルオキシ化合物を主成分とする精製ポリアリルオキシ化合物を得る工程を含むポリアリルオキシ化合物の製造方法であって、粗アリルクロライド中の塩素原子を2個含む分子量152の化合物の含有量と、塩素原子を3個含む分子量228の化合物の含有量の和が0.005重量%以下であることを特徴とするポリアリルオキシ化合物の製造方法。
- 更に粗アリルクロライド中の1−クロロプロパン含有量が、アリルクロライドに対し0.3重量%以下であり、1,5-ヘキサジエンの含有量が、アリルクロライドに対し0.2重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリルオキシ化合物の製造方法。
- 前記精製ポリアリルオキシ化合物中の塩素含有量が、100重量ppm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリアリルオキシ化合物の製造方法。
- 請求項1乃至3に記載の製造法において、芳香族炭化水素基又は芳香族炭化水素基の一部が水添された基、又は脂肪族基に少なくとも2個の水酸基を有する環状炭化水素系化合物と粗アリルクロライドとを反応させる際に、反応を非プロトン性極性溶媒の存在下行なうことを特徴とする、ポリアリルオキシ化合物の製造方法。
- 請求項1乃至4に記載の製造法において、得られた精製ポリアリルオキシ化合物を、更に精製して塩素含有量を100重量ppm以下とすることを特徴とするポリアリルオキシ化合物の製造方法。
- 前記精製ポリアリルオキシ化合物に含まれる、主成分であるポリアリルオキシ化合物よりも152大きい分子量を有する化合物の含有量が、0.02重量%以下であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載のポリアリルオキシ化合物の製造方法。
- 芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基の少なくとも一部が水素添加された基、又は脂肪族基のいずれかの基に少なくとも2個の水酸基を有するポリヒドロキシ化合物が、下記一般式[I]〜[III] のいずれかで表される化合物であり、ポリアリルオキシ化合物が、下記一般式[I]〜[III]におけるRがアリル基である化合物である、請求項1乃至6の何れか1項に記載のポリアリルオキシ化合物の製造方法。
(A1)−(OR)m1 [I]
(式中、A1はOR基以外の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基の少なくともその一部が水添された基、又は脂肪族基を表し、Rは水素原子を表し、m1は2以上の整数を表す。)
(RO)m2−(A21)−[X2−(A22) ] n2−X2−(A21)−(OR)m2 [II]
(式中、A21はOR基以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基の少なくともその一部が水添された基、又は2価の脂肪族炭化水素基を表し、A22 は置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基の少なくともその一部が水添された基、又は2価の脂肪族基を表し、X2は、直接結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表し、Rは水素原子を表し、m2は1以上の整数を表し、n2は0又は1以上の整数を表すが、X2を介して連結する隣接するA21とA22、又は複数のA22は、その置換基が更に連結して環を形成していてもよい。)
H− [(A3(OR)m3)―X3]n3−H [III]
(式中、A3は、OR基以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基の少なくともその一部が水添された基、又は2価の脂肪族基を表し、X3は、直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン基又は−R31−フェニレン−R32−を表し、ここでR31及びR32は、夫々独立にアルキレン基を表し、Rは水素原子を表し、m3は1以上の整数を表し、n3は2以上の整数を表す。) - 請求項1乃至7のいずれかに記載の製造法で得られるポリアリルオキシ化合物を、非塩素系酸化剤を用いて酸化することを特徴とする、芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基の少なくとも一部が水素添加された基、脂肪族基のいずれかの基に少なくとも2個のグリシジルオキシ基を有するポリグリシジルオキシ化合物の製造方法。
- 前記精製ポリグリシジル化合物中に含まれる塩素含有量が150重量ppm以下であることを特徴とする、請求項8に記載のポリグリシジルオキシ化合物の製造方法。
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A521 | Written amendment |
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