JP5435978B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置 Download PDF

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本発明は、ハロゲン化合物やアンチモン化合物などの難燃剤を使用することなしに、その硬化物が難燃性を示す半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
近年、半導体素子の高性能化ならびに使用分野・環境の多様化に伴い、半導体パッケージには小型化、軽量化、薄型化などの形状に関する要求や、高温や高湿条件下での耐久性に関する要求が益々高まっている。また、昨今の環境問題に対する意識の高まりにより、半田の鉛フリー化、パッケージのノンハロゲン・ノンアンチモン難燃化が要求されている。特許文献1には、エポキシ樹脂と硬化剤が共にフェノールアラルキル構造を有するエポキシ樹脂組成物の硬化物が、ノンハロゲン・ノンアンチモンで難燃性を発現出来る事が記載されている。一方同文献ではジシクロペンタジエン・フェノール重合体の構造は比較例において難燃性が著しく劣ることが記載されている。また、特許文献2には、ジシクロペンタジエン・フェノール重合体のエポキシ樹脂と硬化剤としてフェノールアラルキル樹脂との組み合わせにおいて、ノンハロゲン・ノンアンチモンの系では無機充填剤が89%以上でV−0を達成していることが記載されている。
特許第3349963号公報 特開平8−301984号公報
しかしながら、特許文献1の組成物は、該組成物が含有するフェノールアラルキル構造を有するエポキシ樹脂及び硬化剤が一般的に高価であるが故にその用途を汎用製品にまで拡大することが困難であり、結果として高い製品、すなわち市場に出回る絶対量の少ない製品ほど環境対応性に優れるというジレンマを解決できないことが問題であった。また、特許文献2の組成物は、無機充填剤を高充填することによりV−0を達成しているため、現在主流である銅系リードフレームの半導体装置に用いる場合には、リードフレームと封止材との線膨張率の違いから封止の際に内部応力を溜め込み易く、素子の信頼性を低下させる原因となる可能性のあることが問題であった。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成させるに到った。
すなわち本発明は
(1)下記式(1)
Figure 0005435978
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは平均値であり1<n≦4を表す。)または下記式(2)
Figure 0005435978
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは平均値であり1<n≦5を表す。)で表されるエポキシ樹脂、下記式(3)
Figure 0005435978
(式中、nは平均値であり1<n≦3を表す。)で表され、かつ下記式(a)
Figure 0005435978
で表される成分の含有割合が10質量%以上であるフェノール樹脂、および無機充填剤を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、式(1)または(2)で表されるエポキシ樹脂の150℃におけるICI粘度をA、式(3)で表されるフェノール樹脂の150℃におけるICI粘度をBとした場合のA+Bが、1.05Pa・s以下である半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
(2)式(1)または(2)で表されるエポキシ樹脂の150℃におけるICI粘度が0.2Pa・s以下である前項(1)に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
(3)式(3)で表されるフェノール樹脂の150℃におけるICI粘度が0.6Pa・s以下である前項(1)または(2)に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
(4)前項(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物で半導体素子を封止した半導体装置、
(5)銅系のリードフレームに搭載された半導体素子を封止した前項(4)に記載の半導体装置、
に関する。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、ハロゲン化合物やアンチモン化合物などの難燃剤を用いることなしにその硬化物が難燃性を有し、且つ高湿下での高信頼性をも有するため、半導体素子を保護するのにきわめて有用である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記式(1)もしくは式(2)で表されるエポキシ樹脂、前記式(3)で表され、かつ前記式(a)で表される成分の含有割合が10質量%以上であるフェノール樹脂および無機充填剤を含有する。
式(1)で表されるエポキシ樹脂は、必要により酸性触媒の存在下、フェノールとビスハロゲノメチルビフェニル類、ビスアルコキシメチルビフェニル類、ビフェニレングリコール類またはジビニルビフェニル類等とを反応させることにより得られるフェノール樹脂を原料とし、これとエピクロロヒドリンとを脱塩酸反応させることにより得られる。
式(2)で表されるエポキシ樹脂は、必要により酸性触媒の存在下、フェノールとビスハロゲノメチルベンゼン類、ビスアルコキシメチルベンゼン類、キシリレングリコール類またはジビニルベンゼン類等とを反応させることにより得られるフェノール樹脂を原料とし、これとエピクロロヒドリンとを脱塩酸反応させることにより得られる。
式(3)で表されるフェノール樹脂は、特公昭63−016409号公報に記載の方法に準じてフェノールとジシクロペンタジエンを酸触媒によって重合させることにより得られるが、この時フェノール1モルに対して概ね0.65モル以下のジシクロペンタジエンを用いることにより、式(a)で表される成分の含有割合が10質量%以上の式(3)で表されるフェノール樹脂が得られる。尚、フェノール1モルに対して用いるジシクロペンタジエンの下限量は通常0.01モル程度である。この様にして得られる式(3)で表されるフェノール樹脂中における式(a)で表される成分の含有割合は、通常10質量%以上、好ましくは50質量%以上である。式(a)の化合物の含有割合は、通常ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果から算出することが出来る。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、組成物中に含まれる式(1)または(2)で表されるエポキシ樹脂、及び式(3)で表されるフェノール樹脂の含有する低分子量体の割合が多いほど溶融粘度が低くなると共に難燃性に優れるが、難燃性をより確実にするためにはエポキシ樹脂及びフェノール樹脂の両者に溶融粘度の低いものを用いることが好ましい。良好な難燃性の得られる溶融粘度の目安としては、式(1)または(2)で表されるエポキシ樹脂の150℃におけるICI粘度をA、式(3)で表されるフェノール樹脂の150℃におけるICI粘度をBとした場合のA+Bが、1.05Pa・s以下である。尚、本発明におけるICI粘度とは、ICI粘度計(コーンプレート型)を用いて測定した粘度を意味する。
式(1)および(2)で表されるエポキシ樹脂の原料となるフェノール樹脂を合成する際のフェノールの仕込み割合を多くすると、原料となるフェノール樹脂中の低分子量体の含有割合が多くなり、結果としてこのフェノール樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂も式(1)および(2)におけるnの値の小さい低分子量体の含有割合が多くなり、溶融粘度が低くなる。式(1)および(2)で表されるエポキシ樹脂の溶融粘度が低いほどエポキシ樹脂組成物の流動性及び硬化物の難燃性は向上するが、硬化物の耐熱性は逆に低下するため、式(1)および(2)で表されるエポキシ樹脂の溶融粘度は物性のバランスを考慮して選択する必要がある。これらのことから、本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる式(1)および(2)で表されるエポキシ樹脂の150℃におけるICI粘度は通常0.50Pa・s以下、好ましくは0.40Pa・s以下、さらに好ましくは0.20Pa・s以下である。
式(3)で表されるフェノール樹脂を合成する際のフェノールに対するジシクロペンタジエンの仕込み割合を少なくすると、式(3)で表されるフェノール樹脂中における式(a)で表される成分の含有割合が多くなり、溶融粘度が低くなる。本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる式(3)で表されるフェノール樹脂の150℃におけるICI粘度は通常1.00Pa・s以下、好ましくは0.85Pa・s以下、さらに好ましくは0.60Pa・s以下である。式(3)で表されるフェノール樹脂の溶融粘度が低いほどエポキシ樹脂組成物の流動性及び硬化物の難燃性は向上するが、耐熱性を上げるには溶融粘度が高いものを使用することが望ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は無機充填剤を含有する。無機充填剤の具体例としては溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、マイカ、ガラス、石英、雲母などが挙げられるがこれらに限定されない。これらは単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。これら無機充填剤のうち、コストが安く、電気的な信頼性も良好なことから溶融シリカや結晶性シリカ等のシリカ類が好ましい。無機充填剤の使用量は、本発明のエポキシ樹脂組成物中において通常50質量%〜90質量%、好ましくは75質量%〜85質量%の範囲である。無機充填剤が少なすぎると難燃性の効果が得られず、多すぎると銅系リードフレームに搭載されている半導体素子を封止する場合に、封止樹脂とリードフレームとの線膨張率の違いから封止の際に内部応力を溜め込み易く、ヒートショックなどの熱応力によって不具合が発生する可能性がある。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要により硬化促進剤を使用することができる。使用できる硬化促進剤の例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィントリフェニルボランなどのホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物が挙げられる。硬化促進剤は本発明のエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂成分100質量部に対して0.02〜5.0質量部が必要に応じて用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、式(1)または式(2)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用しても良い。併用できる他のエポキシ樹脂の具体例としては、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物;フェノール類と各種ジエン化合物(テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物;フェノール類とビスクロロメチルビフェニルとの重縮合物;フェノール類とビスクロロメチルベンゼンとの重縮合物;ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物またはアルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキシドや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシラートなどを代表とする脂環式エポキシ樹脂;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンやトリグリシジル−p−アミノフェノールなどを代表とするグリシジルアミン系エポキシ樹脂;グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。併用できる他のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂成分中に占める割合は30質量%以下が好ましく、特に20質量%以下が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、式(3)で表されるフェノール樹脂以外のエポキシ樹脂用硬化剤を併用しても良い。併用し得る硬化剤としてはアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などが使用できる。使用できる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等のアミン系化合物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系化合物;ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類とビスクロロメチルビフェニルとの重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、ビフェノール類及びこれらの変性物等のフェノール系化合物;イミダゾール、グアニジン誘導体等のアミド系化合物、BF3−アミン錯体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これらの硬化剤の全硬化剤成分中に占める割合は30質量%以下が好ましく、特に20質量%以下が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、成形時の金型との離型を良くするために離型剤を配合することができる。離型剤としては従来公知のものがいずれも使用できるが、例えばカルナバワックス、モンタンワックスなどのエステル系ワックス、ステアリン酸、パルチミン酸などの脂肪酸およびこれらの金属塩、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレンなどのポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用しても良い。これら離型剤の配合量は全有機成分に対して0.5〜3質量%が好ましい。これより少なすぎると金型からの離型性が低下し、多すぎるとリードフレーム等との接着性が低下する。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、無機充填剤と樹脂成分との接着性を高めるためにカップリング剤を配合することができる。カップリング剤としては従来公知のものをいずれも使用できるが、例えばビニルアルコキシシラン、エポキアルコキシシラン、スチリルアルコキシシラン、メタクリロキシアルコキシシラン、アクリロキシアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、イソシアナートアルコキシシランなどの各種アルコキシシラン化合物、アルコキシチタン化合物、アルミニウムキレート類などが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用しても良い。カップリング剤の添加方法は、カップリング剤であらかじめ無機充填剤表面を処理した後、樹脂と混練しても良いし、樹脂にカップリング剤を混合してから無機充填剤と混練しても良い。
更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することが出来る。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、マレイミド系化合物、シアネートエステル系化合物、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにカーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を均一に分散混合できる従来公知のいかなる手法を用いても製造することができる。例えば各成分を全て粉砕してヘンシェルミキサーなどで混合後、加熱ロールによる溶融混練、ニーダーによる溶融混練、特殊混合機による混合、あるいはこれら各方法の適切な組み合わせを用いることで調製される。また、本発明の半導体装置は、リードフレームなどに搭載された半導体素子を、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形などにより樹脂封止することで製造することができる。
本発明の半導体装置は前記の本発明のエポキシ樹脂組成物で封止されたもの等の本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を有する。半導体装置としては、例えばDIP(デュアルインラインパッケージ)、QFP(クワッドフラットパッケージ)、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、SOP(スモールアウトラインパッケージ)、TSOP(シンスモールアウトラインパッケージ)、TQFP(シンクワッドフラットパッケージ)等が挙げられる。
また、熱放散性や高速電気特性の問題から、本発明の半導体装置には銅系リードフレームを用いるのが好ましい。銅系のリードフレームとは、銅合金を素材とし、各種メッキ化工を施したリードフレームである。
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。尚、以下において実施例7は参考例1と読み替えるものとする。
実施例1〜6および比較例1
各種成分を表1の割合(質量部)で配合し、ミキシングロールで混練、タブレット化後、トランスファー成形で樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間硬化させて得られた硬化物の物性を測定した。結果を表1に示す。
なお、硬化物の物性は以下の要領で測定した。
・吸湿率:121℃で湿度100%の条件下で24時間保存後の重量増加率。試験片は直径50mm×厚み4mmの円盤。
・難燃性:UL94に準拠して評価を行った。ただし、試験片は幅12.5mm×長さ150mm×厚さ0.8mm。
・残炎時間:5個1組のサンプルに10回接炎したあとの残炎時間の合計
Figure 0005435978
注)
(E1):式(1)で表されるエポキシ樹脂(商品名 NC−3100、日本化薬製、エポキシ当量258g/eq.、ICI粘度(150℃)0.03Pa・s)
(E2):式(1)で表されるエポキシ樹脂(商品名 NC−3000−L、日本化薬製、エポキシ当量272g/eq.、ICI粘度(150℃)0.03Pa・s)
(E3):式(1)で表されるエポキシ樹脂(商品名 NC−3000、日本化薬製、エポキシ当量276g/eq.、ICI粘度(150℃)0.08Pa・s)
(E4):式(1)で表されるエポキシ樹脂(商品名 NC−3000−H、日本化薬製、エポキシ当量288g/eq.、ICI粘度(150℃)0.32Pa・s)
(E5):式(2)で表されるエポキシ樹脂(商品名 NC−2000−L、日本化薬製、エポキシ当量238g/eq.、ICI粘度(150℃)0.08Pa・s)
(E6):式(2)で表されるエポキシ樹脂(商品名 NC−2000、日本化薬製、エポキシ当量241g/eq.、ICI粘度(150℃)0.18Pa・s)
(E7):下記式(4)で表されるエポキシ樹脂(商品名 EOCN−1020、日本化薬製、エポキシ当量199g/eq.、ICI粘度(150℃)0.21Pa・s)
Figure 0005435978
(H1):特公昭63−016409号公報に記載の方法に準じて合成した式(3)で表されるフェノール樹脂(水酸基当量166g/eq.、ICI粘度(150℃)0.08Pa・s、式(a)で表される成分の含有割合は77質量%)
(H2):特公昭63−016409号公報に記載の方法に準じて合成した式(3)で表されるフェノール樹脂(水酸基当量176g/eq.、ICI粘度(150℃)0.79Pa・s、式(a)で表される成分の含有割合は47質量%)
尚、式(a)で表される成分の含有割合は下記のGPC条件で測定した。
カラム:Shodex KF−803+KF−802+KF−801
カラム温度:40℃
溶剤:テトラヒドロフラン
流量:1ml/min
検出:RI
硬化促進剤:トリフェニルホスフィン(北興化学工業製)
無機充填剤:溶融シリカ(商品名 MSR−2212、龍森製)
離型剤:カルナバワックス(商品名 カルナバワックス1号、セラリカ野田製)
カップリング剤:シランカップリング剤(商品名 KBM−303、信越化学製)
表1の結果から、実施例1〜7の本発明のエポキシ樹脂組成物はハロゲンやアンチモン化合物等の難燃剤を含有していないにも係らず、その硬化物が難燃性に優れていることは明らかである。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることにより、燃焼時間の短い難燃性に優れた硬化物を与えることがわかる。しがって、本発明のエポキシ樹脂組成物はこの特性を生かすことにより、電気・電子材料分野、特に半導体封止に有用である。

Claims (4)

  1. 下記式(1)
    Figure 0005435978
    (式中、複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは平均値であり1<n≦4を表す。)または下記式(2)
    Figure 0005435978
    (式中、複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは平均値であり1<n≦5を表す。)で表されるエポキシ樹脂、150℃におけるICI粘度が0.6Pa・s以下である下記式(3)
    Figure 0005435978
    (式中、nは平均値であり1<n≦3を表す。)で表され、かつ下記式(a)
    Figure 0005435978
    で表される成分の含有割合が10質量%以上であるフェノール樹脂、および無機充填剤を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、式(1)または(2)で表されるエポキシ樹脂の150℃におけるICI粘度をA、式(3)で表されるフェノール樹脂の150℃におけるICI粘度をBとした場合のA+Bが、1.05Pa・s以下であり、前記無機充填剤をエポキシ樹脂組成物中において75質量%〜85質量%含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. 式(1)または(2)で表されるエポキシ樹脂の150℃におけるICI粘度が0.2Pa・s以下である請求項1に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項1または2のいずれか一項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物で半導体素子を封止した半導体装置。
  4. 銅系のリードフレームに搭載された半導体素子を封止した請求項3に記載の半導体装置。
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