JP2006077096A - 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 難燃性や耐湿性、耐熱性、耐冷熱サイクル性等の信頼性に優れた封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこの封止用エポキシ樹脂成形材料で封止した素子を備えた電子部品装置を提供する。
【解決手段】 (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤を含有し、(A)成分にヒドロキシナフタレン及びジヒドロキシナフタレンの少なくともいずれかの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂、並びにオルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂を含み、(C)成分が成形材料全体の70重量%以上88重量%以下である封止用エポキシ樹脂成形材料。
【選択図】 なし
【解決手段】 (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤を含有し、(A)成分にヒドロキシナフタレン及びジヒドロキシナフタレンの少なくともいずれかの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂、並びにオルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂を含み、(C)成分が成形材料全体の70重量%以上88重量%以下である封止用エポキシ樹脂成形材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこの封止用エポキシ樹脂成形材料で封止した素子を備えた電子部品装置に関する。
従来から、トランジスタ、IC、LSI等の電子部品装置の素子封止の分野では生産性、コスト等の面から樹脂封止が主流となり、エポキシ樹脂成形材料が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性などの諸特性にバランスがとれているためである。
近年は、自動車分野においても電子機器化が進んでいる。自動車用途の電子機器には、耐熱性、耐湿性、耐冷熱サイクル性等において、パーソナルコンピュータ、家電等のいわゆる民生用途より、一段と厳しい信頼性が求められることが多い。
近年は、自動車分野においても電子機器化が進んでいる。自動車用途の電子機器には、耐熱性、耐湿性、耐冷熱サイクル性等において、パーソナルコンピュータ、家電等のいわゆる民生用途より、一段と厳しい信頼性が求められることが多い。
電子機器の耐熱性を高める一般的な手法としてはパッケージのガラス転移点を高める手法が挙げられ、耐湿性を高める手法としては封止用エポキシ樹脂組成物中の不純物を低減する等の手法を挙げることができる。また、耐冷熱サイクル性を高める為には封止用エポキシ樹脂成形材料とリードフレームとの熱膨張係数を近づける等の手法を挙げることができる。
封止用エポキシ樹脂成形材料には従来よりデカブロムをはじめとするハロゲン化樹脂やアンチモン化合物が難燃剤として用いられていたが、近年、環境保護の観点からこれらの化合物に量規制の動きがあり、ノンハロゲン化(ノンブロム化)及びノンアンチモン化の要求が出てきている。また、前述したプラスチック封止ICの耐熱性(高温放置特性)にブロム化合物が悪影響を及ぼすことが知られており、この観点からもブロム化樹脂量の低減が望まれている。
パッケージのガラス転移点を高める為には、一般に、いわゆる多官能型樹脂により封止用エポキシ樹脂成形材料の架橋密度を高める手法が用いられることが多いが、クロルイオンをはじめとする不純物の増加を招く等の問題を抱えることが多い。封止用エポキシ樹脂成形材料に対するクロルイオン等の不純物対策として特許文献1等の報告もあるが、多官能型樹脂を用いた場合、ノンハロゲン化(ノンブロム化)及びノンアンチモン化により難燃性を確保しようとすると、他の難燃剤を比較的多量に添加する、無機充填剤を多量に添加する等の手法によらねばならず、結果として、前者については耐湿性や耐熱性が、後者については特に銅リードフレームを用いたパッケージの耐冷熱サイクル性が不充分となる傾向がある。
特開平07−173373号公報
封止用エポキシ樹脂成形材料には従来よりデカブロムをはじめとするハロゲン化樹脂やアンチモン化合物が難燃剤として用いられていたが、近年、環境保護の観点からこれらの化合物に量規制の動きがあり、ノンハロゲン化(ノンブロム化)及びノンアンチモン化の要求が出てきている。また、前述したプラスチック封止ICの耐熱性(高温放置特性)にブロム化合物が悪影響を及ぼすことが知られており、この観点からもブロム化樹脂量の低減が望まれている。
パッケージのガラス転移点を高める為には、一般に、いわゆる多官能型樹脂により封止用エポキシ樹脂成形材料の架橋密度を高める手法が用いられることが多いが、クロルイオンをはじめとする不純物の増加を招く等の問題を抱えることが多い。封止用エポキシ樹脂成形材料に対するクロルイオン等の不純物対策として特許文献1等の報告もあるが、多官能型樹脂を用いた場合、ノンハロゲン化(ノンブロム化)及びノンアンチモン化により難燃性を確保しようとすると、他の難燃剤を比較的多量に添加する、無機充填剤を多量に添加する等の手法によらねばならず、結果として、前者については耐湿性や耐熱性が、後者については特に銅リードフレームを用いたパッケージの耐冷熱サイクル性が不充分となる傾向がある。
前述のように、耐熱性を高める為にガラス転移点を高め、ノンブロム化やノンアンチモン化を進めると、難燃性確保の観点から、他の難燃剤を比較的多量に添加する、無機充填剤を大量に添加する等の手法を採らねばならず、結果として、耐湿性や特に銅リードフレームを用いたパッケージの耐冷熱サイクル性との両立が困難となる。
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、高いガラス転移点を有しながらクロルイオン等の不純物を低減し、銅リードフレームに近い熱膨張係数においてハロゲン化樹脂やアンチモン化合物を実質的に用いることなく良好な難燃性を実現し、耐熱性や耐湿性、耐冷熱サイクル性等の信頼性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこれにより封止した素子を備えた電子部品装置を提供しようとするものである。
発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、封止用エポキシ樹脂成形材料に、特定の構造を有する2種以上のエポキシ樹脂を添加することにより上記の目的を達成しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、
(1)(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤を含有し、(A)成分にヒドロキシナフタレン及びジヒドロキシナフタレンの少なくともいずれかの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂、並びにオルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂を含み、(C)成分が成形材料全体の70重量%以上88重量%以下である封止用エポキシ樹脂成形材料、
(2)ハロゲン系難燃剤及びアンチモン系難燃剤を実質的に含まない前記(1)に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(3)ガラス転移点が140℃以上である(1)又は前記(2)に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(4)更に(D)硬化促進剤を含有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備えた電子部品装置、
に関する。
(1)(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤を含有し、(A)成分にヒドロキシナフタレン及びジヒドロキシナフタレンの少なくともいずれかの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂、並びにオルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂を含み、(C)成分が成形材料全体の70重量%以上88重量%以下である封止用エポキシ樹脂成形材料、
(2)ハロゲン系難燃剤及びアンチモン系難燃剤を実質的に含まない前記(1)に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(3)ガラス転移点が140℃以上である(1)又は前記(2)に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(4)更に(D)硬化促進剤を含有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備えた電子部品装置、
に関する。
本発明になる封止用エポキシ樹脂成形材料は、信頼性に優れ、この封止用エポキシ樹脂成形材料を用いてIC、LSI等の電子部品を封止すれば、信頼性に優れた電子部品装置を得ることができ、その工業的価値は大である。
本発明では、高いガラス転移点を有しながらクロルイオン等の不純物の低減を実現する為に、(A)エポキシ樹脂として(A1)ヒドロキシナフタレン及び/又はジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂、並びに、(A2)オルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂を併用して用いることが必要である。本発明における「オルソ位に置換基を有するエポキシ樹脂」とは、グリシジルエーテル基と直接結合する炭素原子を芳香環中に有し、該炭素原子のオルソ位の炭素原子側鎖に、水素以外の原子又は原子団を有する化合物を指す。又、芳香環は、ベンゼン環やナフタレン環の他、それらの誘導体、アントラセン環等を含む。
前記(A1)成分のうち、高いガラス転移点を得る為には、ヒドロキシナフタレン及びジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られる3官能のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られる4官能のエポキシ樹脂を用いることがより好ましく、これらの混合物を用いても良い。ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂としては、市販品としてHP−4700(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)等が入手可能である。
前記(A2)オルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂は、特にクロルイオン等イオン性不純物の低減の為に必要な成分であり、例えば、下記一般式(I)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂のうち、R1、R3、R6、R8がメチル基でR2、R4、R5、R7が水素、n=0を主成分とするYH‐4000H(ジャパンエポキシレジン株式会社会社製商品名)やオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等を例示することができる。これらは併用して用いても良いし、必要に応じて他の樹脂を用いても構わない。
(一般式(I)において、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
前記(A1)成分のうち、高いガラス転移点を得る為には、ヒドロキシナフタレン及びジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られる3官能のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られる4官能のエポキシ樹脂を用いることがより好ましく、これらの混合物を用いても良い。ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂としては、市販品としてHP−4700(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)等が入手可能である。
前記(A2)オルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂は、特にクロルイオン等イオン性不純物の低減の為に必要な成分であり、例えば、下記一般式(I)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂のうち、R1、R3、R6、R8がメチル基でR2、R4、R5、R7が水素、n=0を主成分とするYH‐4000H(ジャパンエポキシレジン株式会社会社製商品名)やオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等を例示することができる。これらは併用して用いても良いし、必要に応じて他の樹脂を用いても構わない。
高いガラス転移点とイオン性不純物の低減化を両立するには、樹脂の種類によって好ましい配合量の比率が異なるが、一般的に、不純物低減の為に(A1)成分と(A2)成分の比率を(A1)/(A2)=9/1〜1/9とした上で、ガラス転移点が140℃以上となるように(A1)、(A2)の比率を定めることが好ましい。具体的手法として、例えば前記HP‐4700(A1)とYX‐4000H(A2)を6/4〜9/1重量比で併用する、HP-4700とオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(A2)とを1/9〜9/1重量比で併用する等の例を挙げることができる。HP‐4700とともに150℃のICI粘度が0.3Pa・s以上のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いると、HP‐4700の重量比を相対的に小さくしつつ高いガラス転移点を実現することが可能であり、クロルイオン等のイオン性不純物の低減に特に効果的である。
本発明においては、その効果を得る為に、(A1)ヒドロキシナフタレン及び/又はジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂、及び、(A2)オルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂の合計を、(A)成分全体の50重量%以上とすることが好ましく、60重量%以上とすることがより好ましく、70重量%以上とすることが特に好ましい。
本発明においては、その効果を得る為に、(A1)ヒドロキシナフタレン及び/又はジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂、及び、(A2)オルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂の合計を、(A)成分全体の50重量%以上とすることが好ましく、60重量%以上とすることがより好ましく、70重量%以上とすることが特に好ましい。
本発明では(A)成分として、前記エポキシ樹脂の他に封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているエポキシ樹脂を特に制限なく併用することが可能である。併用可能な樹脂として、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールA/D等のジグリシジルエーテル、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンから合成されるフェノール・アラルキル樹脂等のアラルキル樹脂のエポキシ化物、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、シクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物であるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、及びこれらのエポキシ樹脂をシリコーン、アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン系ゴム、ポリアミド系樹脂等により変性したエポキシ樹脂などが挙げられる。
本発明の(B)硬化剤には、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に用いられている硬化剤を特に制限なく使用することが可能である。使用可能な硬化剤を例示すれば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、ビフェニル・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
難燃性の観点からは下記一般式(II)で表されるビフェニル・アラルキル樹脂を単独又は併用して用いることが好ましく、(B)成分全体の50重量%以上とすることがより好ましい。また、下記一般式(III)で表されるトリフェニルメタン型樹脂を併用することで、ガラス転移点をより高めることも可能である。
(一般式(II)で、nは0〜10の整数を表す。ベンゼン環の水素は炭化水素基で置換されていても良い。)
(一般式(III)で、Rは水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を、nは0〜10の整数を表す。)
上記一般式(II)で示されるビフェニル・アラルキル樹脂としては、市販品として明和化成株式会社製商品名MEH−7851等が挙げられ、上記一般式(III)で示されるトリフェニルメタン型樹脂としては、市販品として明和化成株式会社製商品名MEH−7500等を挙げることが可能である。
難燃性の観点からは下記一般式(II)で表されるビフェニル・アラルキル樹脂を単独又は併用して用いることが好ましく、(B)成分全体の50重量%以上とすることがより好ましい。また、下記一般式(III)で表されるトリフェニルメタン型樹脂を併用することで、ガラス転移点をより高めることも可能である。
上記一般式(II)で示されるビフェニル・アラルキル樹脂としては、市販品として明和化成株式会社製商品名MEH−7851等が挙げられ、上記一般式(III)で示されるトリフェニルメタン型樹脂としては、市販品として明和化成株式会社製商品名MEH−7500等を挙げることが可能である。
本発明では、その効果、特に高い耐熱性を実現する為に、封止用エポキシ樹脂成形材料のガラス転移点を140℃以上とすることが好ましく、150℃以上とすることがより好ましく、160℃以上とすることが特に好ましい。硬化物のガラス転移点が140℃未満では、特に175℃以上での耐熱性が不十分となる傾向がある。なお、ここで硬化物のガラス転移点とは、175〜180℃の成形温度で60〜90秒硬化後に得られた成形品を、175〜180℃にて4〜8時間ほど後硬化した硬化物を用い、TMA(Thermal Mechanical Analysis)により求めた値を指す。
140℃以上のガラス転移点を実現する具体的手法としては、例えば(A)成分を前記HP‐4700(A1)とYX‐4000H(A2)を7/3〜9/1の重量比とした上で、(B)成分に前記ビフェニル・アラルキル樹脂MEH‐7851を全量用いる等の手法、(A)成分を前記HP‐4700と150℃のICI粘度が0.3Pa・sのオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(A2)を3/7〜7/3の重量比とした上で、(B)成分に、やはり前記MEH‐7851を全量用いる等の手法等を例示することができる。より高いガラス転移点を実現する為に、(B)成分にトリフェニルメタン型樹脂等の多官能樹脂を用いることも可能であるが、難燃性の観点からは、該樹脂を(B)成分全体の30重量%以下とすることが好ましい。
140℃以上のガラス転移点を実現する具体的手法としては、例えば(A)成分を前記HP‐4700(A1)とYX‐4000H(A2)を7/3〜9/1の重量比とした上で、(B)成分に前記ビフェニル・アラルキル樹脂MEH‐7851を全量用いる等の手法、(A)成分を前記HP‐4700と150℃のICI粘度が0.3Pa・sのオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(A2)を3/7〜7/3の重量比とした上で、(B)成分に、やはり前記MEH‐7851を全量用いる等の手法等を例示することができる。より高いガラス転移点を実現する為に、(B)成分にトリフェニルメタン型樹脂等の多官能樹脂を用いることも可能であるが、難燃性の観点からは、該樹脂を(B)成分全体の30重量%以下とすることが好ましい。
(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分の硬化剤との当量比、すなわち、エポキシ樹脂中のエポキシ基数/硬化剤中の水酸基数の比は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.5がより好ましい。成形性や信頼性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料を得るためには0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
本発明では又、吸湿性、線膨張係数低減、熱伝導性向上及び強度向上等の為に、(C)無機充填剤を配合することが必要である。無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。流動性、線膨張係数低減の観点からは、結晶シリカ、溶融シリカを用いることが好ましく、溶融シリカを用いることがより好ましく、球状溶融シリカを用いることが特に好ましい。さらに、本発明の効果を失わない範囲で、難燃効果のある水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物系無機充填剤を添加してもよい。
無機充填剤の配合量は、特に銅リードフレームパッケージでの耐冷熱サイクル性の点から、成形材料全体の70重量%以上88重量%以下とすることが必要であり、70〜85重量%とすることがより好ましく、75〜85重量%とすることが特に好ましい。(C)成分が70重量%未満でも88重量%を超えても、ともに封止用エポキシ樹脂成形材料とリードフレームとの線膨張係数のミスマッチが顕著となり、耐冷熱サイクル性に不利となる傾向がある。
無機充填剤の配合量は、特に銅リードフレームパッケージでの耐冷熱サイクル性の点から、成形材料全体の70重量%以上88重量%以下とすることが必要であり、70〜85重量%とすることがより好ましく、75〜85重量%とすることが特に好ましい。(C)成分が70重量%未満でも88重量%を超えても、ともに封止用エポキシ樹脂成形材料とリードフレームとの線膨張係数のミスマッチが顕著となり、耐冷熱サイクル性に不利となる傾向がある。
更に本発明の成形材料は(D)硬化促進剤を含有することが好ましい。(D)成分は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に用いられる硬化促進剤を特に制限なく用いることが可能であるが、信頼性や成形性の点からは有機リン系硬化促進剤を用いることが好ましい。有機リン系硬化促進剤を例示すると、例えば、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン、及びこれらの有機ホスフィンに無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物等の有機リン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体などが挙げられる。
(D)成分の配合量は、硬化促進効果が得られれば特に制限はないが、硬化性及び流動性の観点からは、0.005〜2重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%がより好ましい。0.05〜0.3重量%がさらに好ましい。0.005重量%未満では短時間での硬化性に劣る傾向があり、2重量%を超えると硬化速度が速すぎて良好な成形品を得ることが困難になる傾向がある。
本発明では、(A)〜(D)成分以外にも、成形時の金型からの円滑な離型性を確保する為に、ステアリン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸系ワックス、ステアリン酸エステル、モンタン酸エステル等の高級脂肪酸エステル系ワックス、ポリエチレンをはじめとするポリオレフィン等、封止用エポキシ樹脂成形材料に用いられる従来公知の離型剤を単独、又は併用して用いることができる。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、IC等の半導体素子の耐湿性、高温放置特性をより向上させる観点から、陰イオン交換体を添加することもできる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、例えば、ハイドロタルサイトやビスマス、ジルコニウム、チタン、スズ、マグネシウム、アルミニウムから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、下記一般式(IV)で示されるハイドロタルサイト及びビスマスの含水酸化物が好ましい。
(化4)
Mg1−XAlX(OH)2(CO3)X/2・mH2O ……(IV)
(0<X≦0.5、mは正の整数)
陰イオン交換体の配合量は、ハロゲンイオン等のイオン性不純物を捕捉できる十分な量であれば特に制限はないが、(A)成分のエポキシ樹脂に対して0.1〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましく、2〜5重量%がさらに好ましい。配合量が0.1重量%未満ではイオン性不純物の捕捉が不十分になる傾向があり、30重量%を超えた場合それ以下に比べて効果に大差がないため経済的に不利である。
(化4)
Mg1−XAlX(OH)2(CO3)X/2・mH2O ……(IV)
(0<X≦0.5、mは正の整数)
陰イオン交換体の配合量は、ハロゲンイオン等のイオン性不純物を捕捉できる十分な量であれば特に制限はないが、(A)成分のエポキシ樹脂に対して0.1〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましく、2〜5重量%がさらに好ましい。配合量が0.1重量%未満ではイオン性不純物の捕捉が不十分になる傾向があり、30重量%を超えた場合それ以下に比べて効果に大差がないため経済的に不利である。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、樹脂成分と無機充填剤との接着性を高めるために、必要に応じて、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を添加することができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用して用いても構わない。
上記カップリング剤の配合量は、無機充填剤に対して0.05〜5重量%であることが好ましく、0.1〜2.5重量%がより好ましい。0.05重量%未満では耐湿性が低下する傾向があり、5重量%を超えるとパッケージの成形性が低下する傾向がある。
上記カップリング剤の配合量は、無機充填剤に対して0.05〜5重量%であることが好ましく、0.1〜2.5重量%がより好ましい。0.05重量%未満では耐湿性が低下する傾向があり、5重量%を超えるとパッケージの成形性が低下する傾向がある。
さらに、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、本発明の効果を損なわない範囲で、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の着色剤、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等及びこれらの誘導体、アントラニル酸、没食子酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アミノフェノール、キノリン等及びこれらの誘導体、脂肪族酸アミド化合物、ジチオカルバミン酸塩、チアジアゾール誘導体等の接着促進剤などを必要に応じて配合することができる。
本発明では、特に耐熱性の観点から、臭素等のハロゲン系難燃剤及びアンチモン系難燃剤を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、具体的には両者の添加量を成形材料全体の重量比でそれぞれ1000ppm以下(0.1重量%以下)とすることであり、0.05重量%以下とすることがより好ましく、これらを含まないことがさらに好ましい。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の原材料をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、ニーダ、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると使いやすい。
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、各種有機溶剤に溶かして液状封止用エポキシ樹脂成形材料として使用することもでき、この液状封止用エポキシ樹脂成形材料を板又はフィルム上に薄く塗布し、樹脂の硬化反応が余り進まないような条件で有機溶剤を飛散させることによって得られるシートあるいはフィルム状の封止用エポキシ樹脂成形材料として使用することもできる。
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、各種有機溶剤に溶かして液状封止用エポキシ樹脂成形材料として使用することもでき、この液状封止用エポキシ樹脂成形材料を板又はフィルム上に薄く塗布し、樹脂の硬化反応が余り進まないような条件で有機溶剤を飛散させることによって得られるシートあるいはフィルム状の封止用エポキシ樹脂成形材料として使用することもできる。
本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料により素子を封止して得られる電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止した、電子部品装置などが挙げられる。このような電子部品装置としては、例えば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いてトランスファ成形などにより封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール、配線板接続用の端子を形成した有機基板に素子を搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板にも本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は有効に使用できる。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。封止用エポキシ樹脂成形材料が常温で液状又はペースト状の場合は、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等が挙げられる。
また、素子を直接樹脂封止する一般的な封止方法ばかりではなく、素子に直接電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料が接触しない形態である中空パッケージの方式もあり、中空パッケージ用の封止用エポキシ樹脂成形材料としても好適に使用できる。
また、素子を直接樹脂封止する一般的な封止方法ばかりではなく、素子に直接電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料が接触しない形態である中空パッケージの方式もあり、中空パッケージ用の封止用エポキシ樹脂成形材料としても好適に使用できる。
実施例1〜8、及び比較例1〜7
(A)成分のエポキシ樹脂として、ジヒドロキシナフタレン2量体のエポキシ化物を主成分とするエポキシ樹脂(エポキシ樹脂1、(A1)成分、エポキシ当量163、軟化点85℃、大日本インキ化学工業株式会社製商品名HP−4700)、
下記一般式(I)でR1、R3、R6、R8がメチル基でR2、R4、R5、R7が水素、n=0を主成分とするビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2、(A2)成分、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名エピコートYX−4000H)、
下記一般式(I)でR1〜R8がすべて水素、n=0を主成分とするビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂3、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名エピコートYL−6121H)、
150℃における溶融粘度が0.1Pa・sであるオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂4、(A2)成分、大日本インキ化学工業株式会社製商品名N500P‐1)、
150℃における溶融粘度が0.6Pa・sであるオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂5、(A2)成分、大日本インキ化学工業株式会社商品名N500P‐6)、
(B)成分の硬化剤として水酸基当量200、軟化点65℃のビフェニル・アラルキル型フェノール樹脂(硬化剤1、明和化成株式会社製商品名MEH-7851)、水酸基当量103、軟化点83℃のトリフェニルメタン型フェノール樹脂(硬化剤2、明和化成株式会社製商品名MEH−7500)、
(C)成分の無機充填剤として平均粒径17.5μm、比表面積3.8m2/gの球状溶融シリカ、
(D)成分の硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加反応物、
離型剤として酸化型ポリエチレン、
カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)、
着色剤としてカーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名MA−100)を、それぞれ表1及び表2に示す重量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、実施例及び比較例の封止用エポキシ樹脂成形材料を作製した。
(一般式(I)で、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
(A)成分のエポキシ樹脂として、ジヒドロキシナフタレン2量体のエポキシ化物を主成分とするエポキシ樹脂(エポキシ樹脂1、(A1)成分、エポキシ当量163、軟化点85℃、大日本インキ化学工業株式会社製商品名HP−4700)、
下記一般式(I)でR1、R3、R6、R8がメチル基でR2、R4、R5、R7が水素、n=0を主成分とするビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2、(A2)成分、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名エピコートYX−4000H)、
下記一般式(I)でR1〜R8がすべて水素、n=0を主成分とするビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂3、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名エピコートYL−6121H)、
150℃における溶融粘度が0.1Pa・sであるオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂4、(A2)成分、大日本インキ化学工業株式会社製商品名N500P‐1)、
150℃における溶融粘度が0.6Pa・sであるオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂5、(A2)成分、大日本インキ化学工業株式会社商品名N500P‐6)、
(B)成分の硬化剤として水酸基当量200、軟化点65℃のビフェニル・アラルキル型フェノール樹脂(硬化剤1、明和化成株式会社製商品名MEH-7851)、水酸基当量103、軟化点83℃のトリフェニルメタン型フェノール樹脂(硬化剤2、明和化成株式会社製商品名MEH−7500)、
(C)成分の無機充填剤として平均粒径17.5μm、比表面積3.8m2/gの球状溶融シリカ、
(D)成分の硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加反応物、
離型剤として酸化型ポリエチレン、
カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)、
着色剤としてカーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名MA−100)を、それぞれ表1及び表2に示す重量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、実施例及び比較例の封止用エポキシ樹脂成形材料を作製した。
作製した実施例及び比較例の封止用エポキシ樹脂成形材料を、次の各試験により評価した。評価結果を表3及び表4に示す。
なお、封止用エポキシ樹脂成形材料の成形は、トランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。また、後硬化は175℃で6時間行った。
(1)ガラス転移点
試験片を作製、後硬化後、(株)マックサイエンス社製 熱機械分析装置(TMA4000S)を用いてガラス転移点を求めた。試験片サイズは4×4×20mm、測定時の測定温度領域は室温(25℃)より250℃、昇温速度は5℃/分とし、試験時の荷重は20gとした。ガラス転移点は、40〜80℃の領域より延長される線と200〜240℃より延長される線の交点より求めた。
(2)燃焼性
後硬化後の試験片(試験片厚み1/8inch)を用いて、94UL規格に従い、燃焼性の判定を行った。
(3)耐湿性
SOP-28p(42Alloy リードフレーム)にTEG-ML1020チップ(Line/Space=20μm/20μm領域2ヶ所:1.90×4.20mm、Line/Space=10μm/10μm領域2ヶ所:1.90×4.20mm)を搭載し、リードフレームとチップとをφ20μmの金線により接続した。その後、作製した成形材料による封止を行い、後硬化後、飽和PCT(121℃/2atm)環境下に500時間放置した。各成形材料による作製パッケージN=10のうち、放置後の電気導通の有無を測定し、計4配線のうち、1配線でも導通不具合のあるパッケージをNGパッケージとしてカウントした。
(4)耐熱性
SOP-28p(42Alloy リードフレーム)にTEG-ML1020チップ(Line/Space=20μm/20μm領域2ヶ所:1.90×4.20mm、Line/Space=10μm/10μm領域2ヶ所:1.90×4.20mm)を搭載し、リードフレームとチップとをφ20μmの金線により接続した。その後、作製した成形材料による封止を行い、後硬化後、195℃環境中に1000時間放置した。
各成形材料による作製パッケージN=10のうち、放置後の電気導通の有無を測定し、計4配線のうち、1配線でも導通不具合のあるパッケージをNGパッケージとしてカウントした。
(5)耐冷熱サイクル性
QFP1420×2.0mmt(EFTEC-64Tリードフレーム/フラットアイランド)にシリコンチップ(8×10mm/窒化珪素保護膜)を搭載した。ダイボンド材には日立化成工業(株)社製EN-4065Dを用いた。ダイボンド材の硬化条件は210℃/2分とした。成形材料による封止を行い、後硬化後、パッケージを液体窒素(−196℃)とシリコーンオイル(150℃)とに各2分間ずつ交互に浸す形での冷熱サイクル試験を行った。50サイクル後のパッケージを日立建機ファインテック株式会社製超音波映像装置SATを用いて観察し、チップ剥離、リードフレーム剥離、パッケージクラックの有無を判定した。各成形材料による作製パッケージN=10のうち、剥離やクラック等の不具合の発生したパッケージをNGパッケージとしてカウントした。
なお、封止用エポキシ樹脂成形材料の成形は、トランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。また、後硬化は175℃で6時間行った。
(1)ガラス転移点
試験片を作製、後硬化後、(株)マックサイエンス社製 熱機械分析装置(TMA4000S)を用いてガラス転移点を求めた。試験片サイズは4×4×20mm、測定時の測定温度領域は室温(25℃)より250℃、昇温速度は5℃/分とし、試験時の荷重は20gとした。ガラス転移点は、40〜80℃の領域より延長される線と200〜240℃より延長される線の交点より求めた。
(2)燃焼性
後硬化後の試験片(試験片厚み1/8inch)を用いて、94UL規格に従い、燃焼性の判定を行った。
(3)耐湿性
SOP-28p(42Alloy リードフレーム)にTEG-ML1020チップ(Line/Space=20μm/20μm領域2ヶ所:1.90×4.20mm、Line/Space=10μm/10μm領域2ヶ所:1.90×4.20mm)を搭載し、リードフレームとチップとをφ20μmの金線により接続した。その後、作製した成形材料による封止を行い、後硬化後、飽和PCT(121℃/2atm)環境下に500時間放置した。各成形材料による作製パッケージN=10のうち、放置後の電気導通の有無を測定し、計4配線のうち、1配線でも導通不具合のあるパッケージをNGパッケージとしてカウントした。
(4)耐熱性
SOP-28p(42Alloy リードフレーム)にTEG-ML1020チップ(Line/Space=20μm/20μm領域2ヶ所:1.90×4.20mm、Line/Space=10μm/10μm領域2ヶ所:1.90×4.20mm)を搭載し、リードフレームとチップとをφ20μmの金線により接続した。その後、作製した成形材料による封止を行い、後硬化後、195℃環境中に1000時間放置した。
各成形材料による作製パッケージN=10のうち、放置後の電気導通の有無を測定し、計4配線のうち、1配線でも導通不具合のあるパッケージをNGパッケージとしてカウントした。
(5)耐冷熱サイクル性
QFP1420×2.0mmt(EFTEC-64Tリードフレーム/フラットアイランド)にシリコンチップ(8×10mm/窒化珪素保護膜)を搭載した。ダイボンド材には日立化成工業(株)社製EN-4065Dを用いた。ダイボンド材の硬化条件は210℃/2分とした。成形材料による封止を行い、後硬化後、パッケージを液体窒素(−196℃)とシリコーンオイル(150℃)とに各2分間ずつ交互に浸す形での冷熱サイクル試験を行った。50サイクル後のパッケージを日立建機ファインテック株式会社製超音波映像装置SATを用いて観察し、チップ剥離、リードフレーム剥離、パッケージクラックの有無を判定した。各成形材料による作製パッケージN=10のうち、剥離やクラック等の不具合の発生したパッケージをNGパッケージとしてカウントした。
本発明の(A)成分として(A2)オルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂を含まない比較例1、2は耐湿性に劣り、(A1)ヒドロキシナフタレン及びジヒドロキシナフタレンの少なくともいずれかの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂を含まない比較例3〜6は難燃性、耐熱性のいずれか、あるいは両者に劣り、(C)成分が規定より外れる比較例6、7は耐冷熱サイクル性に劣る。
これに対し、(A)成分としてヒドロキシナフタレン及びジヒドロキシナフタレンの少なくともいずれかの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂、及びオルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂の両者を含み、(C)成分が規定内である実施例1〜8は、いずれも140℃以上のガラス転移点を有し、高い難燃性を実現しながら耐湿性、耐熱性、耐冷熱サイクル性のいずれにも優れることがわかる。
これに対し、(A)成分としてヒドロキシナフタレン及びジヒドロキシナフタレンの少なくともいずれかの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂、及びオルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂の両者を含み、(C)成分が規定内である実施例1〜8は、いずれも140℃以上のガラス転移点を有し、高い難燃性を実現しながら耐湿性、耐熱性、耐冷熱サイクル性のいずれにも優れることがわかる。
Claims (5)
- (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤を含有し、(A)成分にヒドロキシナフタレン及びジヒドロキシナフタレンの少なくともいずれかの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂、並びにオルソ位に置換基を有する2官能以上のエポキシ樹脂を含み、(C)成分が成形材料全体の70重量%以上88重量%以下である封止用エポキシ樹脂成形材料。
- ハロゲン系難燃剤及びアンチモン系難燃剤を実質的に含まない請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- ガラス転移点が140℃以上である請求項1又は2に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 更に(D)硬化促進剤を含有する請求項1〜3いずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 請求項1〜4いずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備えた電子部品装置。
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JP2004261485A JP2006077096A (ja) | 2004-09-08 | 2004-09-08 | 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011184515A (ja) * | 2010-03-05 | 2011-09-22 | Dic Corp | 硬化性樹脂組成物、その硬化物、プリント配線基板、ノボラック型エポキシ樹脂、及びその製造方法 |
JP2011204650A (ja) * | 2010-03-26 | 2011-10-13 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 燃料電池セパレータ用組成物、燃料電池セパレータ、及び燃料電池の製造方法 |
JP2014145018A (ja) * | 2013-01-29 | 2014-08-14 | Toray Ind Inc | エポキシ樹脂組成物、成形材料および繊維強化複合材料 |
KR101464055B1 (ko) * | 2009-12-18 | 2014-11-20 | 주고꾸 도료 가부시키가이샤 | 금속 가교형 오르가노폴리실록산 티오 블록 비닐 공중합체 및 그 금속 가교형 공중합체를 함유하는 방오도료 조성물 |
-
2004
- 2004-09-08 JP JP2004261485A patent/JP2006077096A/ja active Pending
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KR101464055B1 (ko) * | 2009-12-18 | 2014-11-20 | 주고꾸 도료 가부시키가이샤 | 금속 가교형 오르가노폴리실록산 티오 블록 비닐 공중합체 및 그 금속 가교형 공중합체를 함유하는 방오도료 조성물 |
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