JP2012111677A - Iii族窒化物結晶の製造方法、iii族窒化物テンプレートの製造方法、iii族窒化物結晶及びiii族窒化物テンプレート - Google Patents
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Abstract
【課題】石英製の反応炉の損傷を抑制することができ、副生成物の生成を抑制できるIII族窒化物結晶の製造方法、III族窒化物テンプレートの製造方法、III族窒化物結晶及びIII族窒化物テンプレートを提供する。
【解決手段】本発明に係るIII族窒化物結晶は、III族窒化物結晶中に1×1016cm−3以上1×1020cm−3未満の炭素を含み、前記炭素がV族サイトを置換しており、かつ、前記III族窒化物結晶内でアクセプタとして働く他の不純物を含まないものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係るIII族窒化物結晶は、III族窒化物結晶中に1×1016cm−3以上1×1020cm−3未満の炭素を含み、前記炭素がV族サイトを置換しており、かつ、前記III族窒化物結晶内でアクセプタとして働く他の不純物を含まないものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、III族窒化物結晶の製造方法、III族窒化物テンプレートの製造方法、III族窒化物結晶及びIII族窒化物テンプレートに関する。
AlN(窒化アルミニウム)は、バンドギャップが6.2eVと非常に広い。したがって、バンドギャップが3.4eVのGaNとAlNとを任意の組成比で混晶化する(AlxGa1−xN、ただし、0<x≦1)ことで、それらの間の任意のバンドギャップを有す結晶を得ることができる。したがって、紫外発光若しくは受光デバイスとしての応用が
研究されている。
研究されている。
また、III族窒化物半導体は飽和ドリフト速度が大きく、絶縁破壊電圧が高いので、高周波パワーデバイスとしての応用も研究されている。現在、AlxGa1−xNデバイスは、異種基板を用いて検討されている。これは、ホモ基板の作製が困難だからである。GaNは単結晶基板が流通しているが、これはハイドライド気相成長法(HVPE法)で製造されている。それに対し、AlxGa1−xN結晶はHVPE法で作製することが非常に困難だからである。
また、SiやGaAs等の従来の半導体材料の結晶基板は融液から結晶化させて作製されるが、そもそもIII族窒化物結晶は昇華しやすく、融液を容易に得ることができない。そのため、III族窒化物基板結晶は一般に気相成長法により作製されている。
ここで、HVPE法は、一般的に、III族融液の上にハロゲン水素ガスを流し、III族元素のハロゲン化ガスを生成して成長領域へ輸送し、別系統で供給されたアンモニアとハロゲン化ガスとを成長領域で混合して結晶を成長する方法である。このような反応は、石英製の反応炉内で行われる。加熱方式は、当該反応炉の周囲に設置したヒータで加熱する、いわゆるホットウォール方式で行なわれる。
しかし、Alの一ハロゲン化物が石英を激しく侵すという問題があり、このことがAlxGa1−xN結晶のHVPE成長を困難にしていた。
そこで、AlxGa1−xN結晶、特にAlN基板の作製方法としては、昇華法が検討され、高品質なAlN結晶が実現されている。しかし、昇華法による成長では、大口径化が困難という問題があり、実用レベルのサイズの基板の実現が困難であった。そこで比較的大口径化が容易なHVPE法によるAlxGa1−xN結晶の成長技術の確立が切望されていた。
Alとハロゲン水素ガスとを反応させる温度が700℃よりも高温であると、Alの一ハロゲン化物が優先的に生成され易く、700℃以下であるとAlの三ハロゲン化物が優先的に生成され易い。そして、三ハロゲン化物は石英を侵さない。このことを利用して、AlxGa1−xN結晶のHVPE成長が実現されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、反応炉内でAlの三ハロゲン化物を生成して供給するのではなく、Alの三ハロゲン化物原料を直接供給してHVPE成長する方法も提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
さらに、これらの結晶を基板として用いるためには、ぜひとも導電性制御を行いたいものである。そのためには、適当な不純物を結晶中に添加する必要がある。
成長手法は異なるが、有機金属気相成長法(MOVPE法)では、AlGaNやGaN結晶へn型の導電性を付与する不純物としてシリコン(Si)、炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)が、p型の導電性を付与する不純物としてカドミウム(Cd)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、水銀(Hg)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
ならびに有機金属気相成長法(MOVPE法)で、Siを添加したAlxG1−xN(x=0、x=1含む)に、鉄(Fe)やMgやCをSi濃度の1/10以上の濃度で添加することで半絶縁性が得られることも知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、HVPE法でも、遷移金属種を添加することで半絶縁窒化ガリウム結晶が得られることが知られている(例えば、特許文献4参照)。
Ken-ichi Eriguchi, et al., J. Crystal Growth 298 332 (2007).
しかしながら、AlN結晶の成長に三ハロゲン化Alを用いる方法は、一ハロゲン化Alを用いる場合に比べ、生成されるNH4Cl等の副生成物の量が3倍になる。これらの副生成物は、排気ラインに設けたフィルタで濾し採るが、単結晶基板を得るために厚膜成長を実施すると、すぐにフィルタハウジングがいっぱいになったり、フィルタよりも上流
側の排気ラインが閉塞したりするという問題があった。
側の排気ラインが閉塞したりするという問題があった。
また、AlxGa1−xN混晶の成長を実施した場合にもAlNの場合よりは軽度であるが、同様な問題が起こる。例えば、従来のHVPE装置で成長を実施する場合、ヒータを700℃以下に設定することで結晶成長が可能になる。しかし、この場合、ヒータが700℃よりも高い場合に比べ、Gaの三ハロゲン化物が生成される割合が高くなる。したがって、同様に副生成物の生成量が増加してしまう。また、そもそも三ハロゲン化物を利用したHVPE法では、投入したハロゲン化水素の量に対して、原料の輸送形体である三ハロゲン化物の量が1/3になるので、効率が悪いという問題もある。
また、HVPE法では、炉や炉内の部材の大半が石英で構成されているため、それを起源とし、意図的にドーピングガスを流さなくとも、炉内の雰囲気から自動的にSiやOがIII族窒化物結晶内に取り込まれ、n型の伝導を示す。この時得られる結晶中の自由電子の濃度は、取り込まれるSiやOの濃度によって決まるため、炉内にどれだけ石英製の部材を使用しているかという事情や結晶の成長速度によって左右される。このためn型はもとより、半絶縁やp型においても伝導性の精密な制御が困難であるという問題があった。
したがって、本発明の目的は、石英製の反応炉の損傷を抑制することができ、副生成物の生成を抑制できるIII族窒化物結晶の製造方法、III族窒化物テンプレートの製造方法、III族窒化物結晶及びIII族窒化物テンプレートを提供することにある。
(1)本発明は、上記課題を解決することを目的として、III族原料とアンモニアとを石英製の反応炉内で混合し、支持基板上にIII族窒化物結晶を気相成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であって、前記III族原料であるAlを含む有機金属原料とハロゲン化水素ガスとを混合して前記反応炉に供給するIII族窒化物結晶の製造方法が提供される。
(2)また、上記III族窒化物結晶の製造方法において、前記Alを含む有機金属原料が、トリメチルアルミニウムであってもよい。
(3)また、上記III族窒化物結晶の製造方法において、前記ハロゲン化水素ガスが、塩化水素、臭化水素、及びヨウ化水素からなる群から選択されてもよい。
(4)また、上記III族窒化物結晶の製造方法において、前記支持基板が、サファイア、シリコン、炭化シリコン、及び窒化ガリウムからなる群から選択される材料の単結晶からなる単結晶基板であってもよい。
(5)また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、(1)〜(4)のいずれか一つに記載のIII族窒化物結晶の製造方法により前記III族窒化物結晶をバッファ層として形成し、当該バッファ層の上に第2のIII族窒化物半導体層を形成するIII族窒化物テンプレートの製造方法が提供される。
(6)また、上記III族窒化物テンプレートの製造方法において、前記第2のIII族窒化物半導体層が、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成を有してもよい。
(7)また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、III族窒化物結晶中に1×1016cm−3以上1×1020cm−3未満の炭素を含み、前記炭素がV族サイトを置換しており、かつ、前記III族窒化物結晶内でアクセプタとして働く他の不純物を含まないIII族窒化物結晶を提供する。
(8)また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、支持基板と、前記支持基板上に形成された、上記(7)に記載のIII族窒化物結晶からなるバッファ層と、前記バッファ層上に形成された第2のIII族窒化物半導体層とを備えたIII族窒化物テンプレートを提供する。
(9)また、上記III族窒化物テンプレートにおいて、前記第2のIII族窒化物半導体層が、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成を有してもよい。
本発明によれば、石英製の反応炉の損傷を抑制することができ、副生成物の生成を抑制できるIII族窒化物結晶の製造方法、III族窒化物テンプレートの製造方法、III族窒化物結晶及びIII族窒化物テンプレートを提供できる。また、n型、p型、半絶縁の導電性制御も可能となる。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係るIII族窒化物結晶の製造方法に用いるホットウォールタイプのHVPE装置の概要を示す。
図1は、本発明の実施の形態に係るIII族窒化物結晶の製造方法に用いるホットウォールタイプのHVPE装置の概要を示す。
本実施の形態に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、III族原料とアンモニアとを石英製の反応炉19内で混合し、支持基板6上にIII族窒化物結晶を気相成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であり、III族原料であるAlを含む有機金属原料とハロゲン化水素ガスとを混合して反応炉19に供給することによりIII族窒化物結晶を製造する。III族窒化物結晶は、例えば、AlxGa1−xN(0<x≦1)結晶である。
上記III族窒化物結晶は、その結晶中に1×1016cm−3以上1×1020cm−3未満の炭素を含み、前記炭素がV族サイトを置換しており、かつ、III族窒化物結晶内でアクセプタとして働く他の不純物(例えば、Mg、Be、Cd、Zn、Hg)を含まないことが好ましい。
具体的には、まず、Alの有機金属原料14が充填されているSUS製のシリンダ容器13を、所望の蒸気圧を得るように恒温槽15で温度調節する。ここで、有機金属原料14としてはAlの有機金属原料の全般を用いることができるが、最も扱い易い材料は、トリメチルアルミニウム(trimethylaluminum:TMA)である。
次に、Alの有機金属原料14を、バブリングガス12を用いてバブリングして反応炉19に向けて供給する。バブリングによって供給されたガスは、反応炉19内に導入される前にハロゲン化水素ガス11と混合され、キャリアガス10によって反応炉内の成長領域(すなわち、サセプタ7上に設置された支持基板6の表面を含む領域)へ運ばれる。ハロゲン化水素ガスは、塩化水素、臭化水素、及びヨウ化水素からなる群から選択されるガスを用いることが好ましい。
また、ハロゲン化水素ガスとキャリアガスとの混合ガス2をGa融液17の表面(なお、当該表面を含む領域を「ハロゲン化Ga生成部」又は「原料生成部」と称する)に接触させてハロゲン化Gaを生成し、成長領域へ供給する。この時、ハロゲン化Ga生成部の温度はヒータ4で制御され、700℃より高温であることが好ましい。
次に、成長領域では、グラファイト製のサセプタ7上に配置された支持基板6上で、これらIII族原料とアンモニアガス1とが混合する。そして、支持基板6上にAlxGa1−xN結晶が成長する。支持基板6は、サファイア、シリコン、炭化シリコン、及び窒化ガリウムからなる群から選択される材料の単結晶からなる単結晶基板を用いることが好ましい。また、成長領域の温度はヒータ9で制御される。そして、成長領域の温度は、1000℃以上1100℃以下の温度範囲内の温度に制御することが好ましい。
なお、図1のようなホットウォールタイプのHVPE装置ではなく、図2のようなコールドウォールタイプのHVPE装置を用いる場合、サセプタ7の温度を1500℃まで上昇させることもできる。
なお、バブリングガス12や各キャリアガスには不活性ガス(N2、Ar、又はHe)若しくはH2若しくはそれらの混合ガスを用いることが好ましい。
ここで、Alの有機金属原料とハロゲン化水素ガスとを混合させてから反応炉内に供給することは本実施の形態においては非常に重要である。Alの有機金属原料はルイス酸であり、NH3はルイス塩基であるため、これらが衝突すると、容易にアダクトを形成してしまい、全く成長に寄与しない。Alの有機金属原料とハロゲン化水素ガスとを混合させてから反応炉内に供給することにより、Alは原料生成領域や成長領域の温度に関係なく、アルキルハライドの形で成長領域に運ばれると考えられる。したがって、アダクトを生じることなく、また、石英の腐食を生じることなく、AlxGa1−xN結晶の成長に寄与していると考えられる。
また、アルキルハライドの形で成長領域に運ばれることは、もう一つ重要な効果をもたらすことが明らかとなった。III族原料であるAlにCがくっついた状態であるこの形で結晶内に取り込まれると、V族サイトにCが入ることとなり、確実にアクセプタとして機能させることができることが明らかとなった。このことから、III族窒化物結晶中のAl組成に対し成長速度を調整(具体的にはTMA供給量、NH3分圧、TMAと一緒に流すハロゲン化水素ガスの分圧を調整することで成長速度が可変である)すること、ならびに成長温度を調整することで、所望の導電性制御(n型、p型、半絶縁)が可能となる。成長速度やNH3分圧を上げたり、成長温度を下げたりすると、石英部材起因の結晶中のSi濃度が低くなるため、補償具合を制御できる。
Cがアクセプタとして働き得ることは公知である。すでに特許文献3においてCがIII族窒化物結晶中においてドナーの働きを補償するもの、つまりアクセプタとして働くと開示されている。しかし、特許文献2及び特許文献4では、CはIII族窒化物結晶中においてドナーとして働くとされている。すなわち前者では、CがV族サイトを置換しているが、後者ではCがIII族サイトを置換している。成長条件でCが置換するサイトを制御できるということだと思われる。具体的には、どの条件で変わるのであるか、特許文献2にも特許文献3にも具体的なCドープの成長条件は一切示されていない。ドーピングに用いた原料すらも示されていない。唯一分かることは、特許文献3に示されているように、Cが置換するサイトと成長温度には関係がないということだけである。
つまり本実施の形態は、確実にCにV族サイトを置換させ得る方法を提供するものという意味で非常に新しいし、重要である。
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、AlxGa1−xN結晶(0<x≦1)をHVPE成長させるためのAl原料として、Alの有機金属ガスとハロゲン化水素とを混合させてから反応炉内に供給するので、石英製の反応炉を損傷することを抑制でき、また、副生成物の生成を抑制しつつAlxGa1−xN結晶をHVPE成長することができる。また、ハロゲン化Gaの生成温度も従来どおりに設定することができ、Gaの一ハロゲン化物を主として成長に用いることができる。また、n型、p型、半絶縁の導電性制御も可能となる。
本実施の形態に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、AlxGa1−xN結晶(0<x≦1)をHVPE成長させるためのAl原料として、Alの有機金属ガスとハロゲン化水素とを混合させてから反応炉内に供給するので、石英製の反応炉を損傷することを抑制でき、また、副生成物の生成を抑制しつつAlxGa1−xN結晶をHVPE成長することができる。また、ハロゲン化Gaの生成温度も従来どおりに設定することができ、Gaの一ハロゲン化物を主として成長に用いることができる。また、n型、p型、半絶縁の導電性制御も可能となる。
[実施例1a]
図1に示すHVPE装置でIII族窒化物結晶の成長を実施した。Alの有機金属原料14としては、TMAを用いた。恒温槽15の温度は19℃に設定した。TMAをバブリングガス12としてのN2でバブリングして得たガスをHClガス11と混合した後、キャリアガス10によって成長領域へ輸送した。このTMA+HClラインのキャリアガス10にはN2を用いた。成長圧力は常圧とした。
図1に示すHVPE装置でIII族窒化物結晶の成長を実施した。Alの有機金属原料14としては、TMAを用いた。恒温槽15の温度は19℃に設定した。TMAをバブリングガス12としてのN2でバブリングして得たガスをHClガス11と混合した後、キャリアガス10によって成長領域へ輸送した。このTMA+HClラインのキャリアガス10にはN2を用いた。成長圧力は常圧とした。
また、Ga融液17上にはキャリアガス(N2)2のみを供給した。この時、原料生成部の温度(つまり、Ga融液の温度)は850℃に設定した。
そして、成長領域では、1100℃に加熱したグラファイト製のサセプタ7上に配置された直径2インチのc面サファイア基板6上で、Al原料とアンモニアガス1とが混合して、直径2インチのAlN結晶が成長した。
ここで、NH3分圧を5×10−2atmに制御し、TMAのバブリング流量を変化させたところ、図3のようなTMAの分圧とAlNの成長速度との関係を得た。このとき、TMAに混合させて供給するHClの分圧は、TMA分圧と同一になるように制御した。これらの結晶の比抵抗を四探針法で測定したところ、図4に示すような結果が得られ、高速で成長するほど低抵抗化した。ホットプローブ法でP/N判定を行ったところ、全ての試料でP型を示すことが確認できた。SIMS分析の結果、図5に示すように、Si濃度が成長速度の増加に伴って減少し、C濃度が成長速度の増加に対して増加していることが確認できた。
そして、成長速度が最も速い条件で、厚さ10mmのAlN結晶を成長した。排気系やフィルタが閉塞することなく、また、石英部材が一切腐食されることなく、無事成長を終了することができた。
次に、得られたAlN結晶に対しX線回折測定のいわゆるθ−2θ測定を2θ=32°〜40°の範囲で実施した結果を図6に示す。
X線回折測定の測定範囲において、AlN(0002)の回折ピークのみが観察され、c軸配向していることが確認できた。また、AlN(10−11)について、φスキャンを実施した結果を図7に示す。結晶面内の6回対称性を確認することができた。以上から、AlN単結晶が得られていることが確認できた。この結晶をマルチワイヤーソーで0.6mmの厚さに切り出し、表裏面を研磨して、直径2インチのAlN単結晶基板を12枚得た。
[実施例1b]
図1に示したHVPE装置で成長を行った。Alの有機金属原料14にはTMAを用いた。恒温槽15の温度は19℃に設定した。TMAをバブリングガス12としてのN2でバブリングして得たガスをHClガス11と混ぜた後、キャリアガス10によって成長領域へ輸送した。このTMA+HClラインのキャリアガス10にはN2を用いた。成長圧力は常圧とした。
図1に示したHVPE装置で成長を行った。Alの有機金属原料14にはTMAを用いた。恒温槽15の温度は19℃に設定した。TMAをバブリングガス12としてのN2でバブリングして得たガスをHClガス11と混ぜた後、キャリアガス10によって成長領域へ輸送した。このTMA+HClラインのキャリアガス10にはN2を用いた。成長圧力は常圧とした。
Ga融液17上には、キャリアガス(N2)2のみを供給した。この時、原料生成部の温度(Ga融液の温度)は850℃とした。
成長領域では、1000℃に加熱したグラファイト製のサセプタ7上に配置された直径2インチのc面サファイア基板6上で、Al原料とアンモニアガス1が混合して、直径2インチのAlN結晶が成長した。NH3分圧を5×10−2atmとし、TMAのバブリング流量を変化させた。このとき、TMAと混ぜて供給するHClの分圧はTMA分圧と同じになるように供給した。
得られた結晶の比抵抗を四探針法で測定したところ、図8に示すような結果が得られ、実施例1の場合よりも更に低抵抗化した。ホットプローブ法でP/N判定を行ったところ、全ての試料がP型を示した。SIMS分析の結果、図9に示すように、Si濃度が実施例1の場合よりも減少し、C濃度が実施例1の場合より増加していた。低温成長により、石英からの脱ガスが減り、また、III族原料からのCの脱離が減ったためと思われる。
[実施例1c]
図1に示したHVPE装置で成長を行った。Alの有機金属原料14にはTMAを用いた。恒温槽15の温度は19℃に設定した。TMAをバブリングガス12としてのN2でバブリングして得たガスをHClガス11と混ぜた後、キャリアガス10によって成長領域へ輸送した。このTMA+HClラインのキャリアガス10にはH2を用いた。成長圧力は常圧とした。
図1に示したHVPE装置で成長を行った。Alの有機金属原料14にはTMAを用いた。恒温槽15の温度は19℃に設定した。TMAをバブリングガス12としてのN2でバブリングして得たガスをHClガス11と混ぜた後、キャリアガス10によって成長領域へ輸送した。このTMA+HClラインのキャリアガス10にはH2を用いた。成長圧力は常圧とした。
Ga融液17上には、キャリアガス(H2)2のみを供給した。この時、原料生成部の温度(Ga融液の温度)は850℃とした。
成長領域では、1100℃に加熱したグラファイト製のサセプタ7上に配置された直径2インチのc面サファイア基板6上で、Al原料とアンモニアガス1が混合して、直径2インチのAlN結晶が成長した。NH3分圧を5×10−2atmとし、TMAのバブリング流量を変化させた。このとき、TMAと混ぜて供給するHClの分圧はTMA分圧と同じになるように供給した。
得られた結晶の比抵抗を四探針法で測定したところ、図10に示すような結果が得られた。ホットプローブ法でP/N判定を行ったところ、全ての試料がN型を示した。SIMS分析を実施したところ、図11に示すようにC濃度が実施例1の場合より2ケタ程度低滅していた。水素によるCの脱離があったためと思われる。
[実施例1d]
図1に示したHVPE装置で成長を行った。Alの有機金属原料14にはTMAを用いた。恒温槽15の温度は19℃に設定した。TMAをバブリングガス12としてのN2でバブリングして得たガスをHClガス11と混ぜた後、キャリアガス10によって成長領域へ輸送した。このTMA+HClラインのキャリアガス10にはH2を用いた。成長圧力は常圧とした。
図1に示したHVPE装置で成長を行った。Alの有機金属原料14にはTMAを用いた。恒温槽15の温度は19℃に設定した。TMAをバブリングガス12としてのN2でバブリングして得たガスをHClガス11と混ぜた後、キャリアガス10によって成長領域へ輸送した。このTMA+HClラインのキャリアガス10にはH2を用いた。成長圧力は常圧とした。
Ga融液17上には、キャリアガス(H2)2のみを供給した。この時、原料生成部の温度(Ga融液の温度)は850℃とした。
成長領域では、1050℃に加熱したグラファイト製のサセプタ7上に配置された直径2インチのc面サファイア基板6上で、Al原料とアンモニアガス1が混合して、直径2インチのAlN結晶が成長した。TMA分圧を2.26×10−5atmとし、TMAと混ぜて供給するHClの分圧はTMA分圧と同じになるように供給した。NH3分圧を変化させて成長した結晶の比抵抗を四探針法で測定したところ、図12に示すような結果が得られた。高NH3分圧で成長することにより、半絶縁性を実現できた。なお、この時得られた結晶のSIMS分析結果を図13にまとめる。
[実施例1e]
実施例1a〜1dで得られた結晶中のBe、Mg、Cd、Zn、Hg濃度をSIMS分析により調べた。全ての結晶において、これらの不純物濃度がSIMS検出下限値以下であった。
実施例1a〜1dで得られた結晶中のBe、Mg、Cd、Zn、Hg濃度をSIMS分析により調べた。全ての結晶において、これらの不純物濃度がSIMS検出下限値以下であった。
[実施例2a]
実施例2aにおいては、図1に示すHVPE装置でAlxGa1−xN結晶の成長を実施した。Alの有機金属原料14としてはTMAを用いた。恒温槽15の温度は19℃に設定した。TMAをバブリングガス12としてのN2でバブリングして得たガスをHClガス11と混合した後、キャリアガス10によって成長領域へ輸送した。このTMA+HClラインのキャリアガス10にはH2/N2混合ガスを用いた。
実施例2aにおいては、図1に示すHVPE装置でAlxGa1−xN結晶の成長を実施した。Alの有機金属原料14としてはTMAを用いた。恒温槽15の温度は19℃に設定した。TMAをバブリングガス12としてのN2でバブリングして得たガスをHClガス11と混合した後、キャリアガス10によって成長領域へ輸送した。このTMA+HClラインのキャリアガス10にはH2/N2混合ガスを用いた。
また、AlxGa1−xN(0<x<1)結晶を成長させる場合は、原料生成部の温度を850℃に制御し、そこでGa融液17表面にハロゲン化水素ガス+キャリアガス2を流し、ハロゲン化水素ガスを接触させてGaClを生成し、キャリアガスで成長領域へ輸送した。キャリアガスにはH2/N2混合ガスを用いた。AlN結晶を成長させる場合は、キャリアガス2のみを流した。
そして、成長領域では、1100℃に加熱したグラファイト製のサセプタ7上に配置されたサファイア基板6上で、これらIII族原料とアンモニアガス1とが混合して、AlxGa1−xN(0<x≦1)結晶の成長が進行した。
ここで、TMAの供給分圧を2.3×10−5atm、TMAと混合させて供給するHCl分圧を2.3×10−4atm、NH3分圧を5×10−2atm、H2分圧を0.1atmに制御し、GaClの供給分圧を0atmから7.6×10−3atmに変化させた。その結果、得られたAlxGa1−xN結晶のAl組成xは図14のように変化した。ここで、得られた結晶のAl組成xはX線回折測定のθ−2θ測定結果から見積もった。
[実施例2b]
実施例2aのように製作したAlxGa1−xN結晶(0<x≦1)においても、実施例1a〜1dと同様の思想で比抵抗や伝導型制御が可能であることを確認した。なお、Ga組成が大きい程、低抵抗化が容易であった。
実施例2aのように製作したAlxGa1−xN結晶(0<x≦1)においても、実施例1a〜1dと同様の思想で比抵抗や伝導型制御が可能であることを確認した。なお、Ga組成が大きい程、低抵抗化が容易であった。
[実施例3]
実施例3においては、複数枚のサファイア基板を準備し、実施例1(1a〜1d)及び2(2a、2b)で使用したそれぞれの原料分圧で膜厚60nmのAlxGa1−xN(0<x≦1)バッファ層を各サファイア基板上にそれぞれ形成した後、TMAのバブリング及びTMAと混合して供給していたHClガス11の供給を停止し、当該バッファ層上にGaCl供給分圧を2.85×10−3atm、NH3分圧を5×10−2atm、H2分圧を0.1atmに制御し、第2のIII族窒化物半導体層としてのGaN層を6分間それぞれ成長した。成長温度(サセプタの温度)は1050℃に制御した。これにより厚さ8μm、直径2インチのGaNテンプレートがそれぞれ得られた。
実施例3においては、複数枚のサファイア基板を準備し、実施例1(1a〜1d)及び2(2a、2b)で使用したそれぞれの原料分圧で膜厚60nmのAlxGa1−xN(0<x≦1)バッファ層を各サファイア基板上にそれぞれ形成した後、TMAのバブリング及びTMAと混合して供給していたHClガス11の供給を停止し、当該バッファ層上にGaCl供給分圧を2.85×10−3atm、NH3分圧を5×10−2atm、H2分圧を0.1atmに制御し、第2のIII族窒化物半導体層としてのGaN層を6分間それぞれ成長した。成長温度(サセプタの温度)は1050℃に制御した。これにより厚さ8μm、直径2インチのGaNテンプレートがそれぞれ得られた。
[実施例4]
実施例4においては、図1の装置内にIn融液18を入れた石英製ボートを図15のように挿入した。図15のHVPE成長装置を用いてInNテンプレートを製作した。複数枚のサファイア基板を準備し、実施例1(1a〜1d)及び2(2a、2b)で使用したそれぞれの原料分圧で膜厚60nmのAlxGa1−xN(0<x≦1)バッファ層を各サファイア基板上にそれぞれ形成した後、NH3以外の原料の供給を停止し、成長部の温度(サセプタの温度)を700℃に下げてから、当該バッファ層上にInCl供給分圧を2.85×10−2atm、NH3分圧を5×10−2atmに制御し、第2のIII族窒化物半導体層としてのInN層を6分間それぞれ成長した。この時、キャリアガスはN2にした。これにより、厚さ8μmのInNテンプレートがそれぞれ得られた。
実施例4においては、図1の装置内にIn融液18を入れた石英製ボートを図15のように挿入した。図15のHVPE成長装置を用いてInNテンプレートを製作した。複数枚のサファイア基板を準備し、実施例1(1a〜1d)及び2(2a、2b)で使用したそれぞれの原料分圧で膜厚60nmのAlxGa1−xN(0<x≦1)バッファ層を各サファイア基板上にそれぞれ形成した後、NH3以外の原料の供給を停止し、成長部の温度(サセプタの温度)を700℃に下げてから、当該バッファ層上にInCl供給分圧を2.85×10−2atm、NH3分圧を5×10−2atmに制御し、第2のIII族窒化物半導体層としてのInN層を6分間それぞれ成長した。この時、キャリアガスはN2にした。これにより、厚さ8μmのInNテンプレートがそれぞれ得られた。
[実施例5]
図15に示すHVPE成長装置を用いてAlxInyGa1−x−yNテンプレートを作製した。複数枚のサファイア基板を準備し、実施例1(1a〜1d)及び2(2a、2b)で使用したそれぞれの原料分圧で膜厚60nmのAlxGa1−xN(0<x≦1)バッファ層を各サファイア基板上にそれぞれ形成した後、NH3以外の原料の供給を停止し、成長部の温度(サセプタの温度)を700℃に下げてから、当該バッファ層上に第2のIII族窒化物半導体層としてのAlxInyGa1−x−yN層をそれぞれ成長した。この時、GaCl分圧、InCl分圧、TMA分圧を適切に制御することにより、任意の組成のAlxInyGa1−x−yNテンプレートを成長させることが示された。
図15に示すHVPE成長装置を用いてAlxInyGa1−x−yNテンプレートを作製した。複数枚のサファイア基板を準備し、実施例1(1a〜1d)及び2(2a、2b)で使用したそれぞれの原料分圧で膜厚60nmのAlxGa1−xN(0<x≦1)バッファ層を各サファイア基板上にそれぞれ形成した後、NH3以外の原料の供給を停止し、成長部の温度(サセプタの温度)を700℃に下げてから、当該バッファ層上に第2のIII族窒化物半導体層としてのAlxInyGa1−x−yN層をそれぞれ成長した。この時、GaCl分圧、InCl分圧、TMA分圧を適切に制御することにより、任意の組成のAlxInyGa1−x−yNテンプレートを成長させることが示された。
[実施例6]
実施例1〜5と同様の実験を、HClの代わりにHBrやHIを用いて行なった。HClを用いた場合とほぼ同等の結果を得た。
実施例1〜5と同様の実験を、HClの代わりにHBrやHIを用いて行なった。HClを用いた場合とほぼ同等の結果を得た。
[実施例7]
実施例1〜6と同様の実験を、支持基板6を炭化シリコン、窒化ガリウムに代えて実施したところ、ほぼ同等の結果を得た。支持基板6としてシリコンを用いた場合には、組成としてGaを含む層を直接成長することはできなかった。AlN層を第一の層として成長する場合のみ、シリコン基板も適用可能であった。
実施例1〜6と同様の実験を、支持基板6を炭化シリコン、窒化ガリウムに代えて実施したところ、ほぼ同等の結果を得た。支持基板6としてシリコンを用いた場合には、組成としてGaを含む層を直接成長することはできなかった。AlN層を第一の層として成長する場合のみ、シリコン基板も適用可能であった。
[実施例8]
実施例1〜7と同様の実験を、キャリアガスのN2をArやHeに代えて実施したところ、ほぼ同等の結果を得た。
実施例1〜7と同様の実験を、キャリアガスのN2をArやHeに代えて実施したところ、ほぼ同等の結果を得た。
[実施例9]
実施例1〜8と同様の実験を、原料生成部の温度を700℃から1100℃まで変えて実施したところ、ほぼ同等の結果を得た。
実施例1〜8と同様の実験を、原料生成部の温度を700℃から1100℃まで変えて実施したところ、ほぼ同等の結果を得た。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1…アンモニアガス+キャリアガス、2…(ハロゲン化水素ガス+キャリアガス)あるいは(キャリアガス)、3…排気、4…原料生成部加熱用ヒータ、5…AlxGa1−xN結晶、6…支持基板、7…サセプタ、8…基板加熱用ランプヒータ、9…成長部加熱用ヒータ、10…キャリアガス、11…ハロゲン化水素ガス、12…バブリングガス、13…SUS製のシリンダ容器、14…Alの有機金属原料、15…恒温槽、16…AlxInyGa1−x−yN結晶、17…Ga融液、18…In融液、19…反応炉
Claims (9)
- III族原料とアンモニアとを石英製の反応炉内で混合し、支持基板上にIII族窒化物結晶を気相成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であって、
前記III族原料であるAlを含む有機金属原料とハロゲン化水素ガスとを混合して前記反応炉に供給するIII族窒化物結晶の製造方法。 - 前記Alを含む有機金属原料が、トリメチルアルミニウムである請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
- 前記ハロゲン化水素ガスが、塩化水素、臭化水素、及びヨウ化水素からなる群から選択される請求項2に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
- 前記支持基板が、サファイア、シリコン、炭化シリコン、及び窒化ガリウムからなる群から選択される材料の単結晶からなる単結晶基板である請求項3に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のIII族窒化物結晶の製造方法により前記III族窒化物結晶をバッファ層として形成し、当該バッファ層の上に第2のIII族窒化物半導体層を形成するIII族窒化物テンプレートの製造方法。
- 前記第2のIII族窒化物半導体層が、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成を有する請求項5に記載のIII族窒化物テンプレートの製造方法。
- III族窒化物結晶中に1×1016cm−3以上1×1020cm−3未満の炭素を含み、前記炭素がV族サイトを置換しており、かつ、前記III族窒化物結晶内でアクセプタとして働く他の不純物を含まないIII族窒化物結晶。
- 支持基板と、
前記支持基板上に形成された、請求項7に記載のIII族窒化物結晶からなるバッファ層と、
前記バッファ層上に形成された第2のIII族窒化物半導体層とを備えたIII族窒化物テンプレート。 - 前記第2のIII族窒化物半導体層が、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成を有する請求項8に記載のIII族窒化物テンプレート。
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