JP2012104735A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】NBTIを改善することのできるトランジスタ構造を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板101と、半導体基板101の上部に形成されたn型ウェル領域102と、n型ウェル領域102上に形成され、ゲート絶縁膜104と、下部ゲート電極105、及び下部ゲート電極105上に形成された上部ゲート電極106を含むゲート電極120とを有するpチャネル型MISトランジスタとを備える。下部ゲート電極105は、結晶粒界を有する多結晶の金属窒化物で構成されており、当該結晶粒界には金属窒化物を構成する元素とは異なる元素が偏析されている。
【選択図】図1

Description

本明細書に記載された技術は、半導体装置及びその製造方法に関し、詳細には、いわゆるメタルゲート電極を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
MOS構造を基本とした電界効果型トランジスタの高速化は、ゲート長の縮小、つまり、トランジスタの形状の微細化によって進められてきた。しかし、近年、リソグラフィ技術の進歩が止まりつつある。そのため、トランジスタの形状の微細化によりトランジスタのオン電流を向上させるのではなく、ゲート容量Coxを増大させることによりトランジスタのオン電流を向上させるという技術が進化している。Coxは以下の式(1)で表される。
oxを増大させるためには、ゲート絶縁膜の比誘電率εγを増大させるか、あるいはゲート絶縁膜の物理膜厚Toxを減少させればよい。そのため、オン電流の向上を目指して、ゲート酸化膜の物理膜厚(酸化膜厚)Toxの極薄化等が試みられている。
ox=ε0εγ(S/Tox)・・・(1)
ここで、式(1)において、ε0はゲート絶縁膜の真空誘電率であり、Sはゲート絶縁膜における厚み方向に対して垂直な断面の面積である。
従来、MOSトランジスタに形成されるゲート絶縁膜として、一般的にシリコン酸化膜が用いられ、その誘電率は約3.9である。近年、シリコン酸化物よりも高い誘電率を持つ高誘電率材料(high-k材料)をゲート絶縁膜の構成材料に用いて、実際の膜厚(物理膜厚)Toxを厚くしてゲートリーク電流の発生を抑えつつ、εγを向上させることで実効的な膜厚(EOT:Equivalent Oxide Thickness)を薄膜化し、ゲート容量を増加できるhigh−kゲート絶縁膜の開発が進んでいる。
ところが、high−k膜はシリコン酸化膜に比べて酸素欠損が多く、リーク電流の低減や信頼性の向上が難しい。そこで、ゲート絶縁膜とシリコン(Si)基板との界面にフッ素を導入し、Si基板上面のダングリングボンドを終端させることで負バイアス温度不安定性(Negative Bias Temperature Instability;NBTI)を改善し、信頼性を向上させることが提案されている。ここで、NBTIとは、pチャネル型MOSトランジスタのオン時にしきい値がシフトしてしまう現象のことを指す。
一方、窒素がSi基板とゲート絶縁膜との界面付近に存在すると、その窒素が固定電荷の発生やSi基板とゲート絶縁膜との界面構造の乱れなどを引き起こし、NBTIを劣化させる。そのため、Si基板とゲート絶縁膜との界面付近から窒素を離す構造がよいとされている。このように、high−kゲート絶縁膜及びSi基板に存在する窒素やフッ素を適切に分布させることで、NBTIを改善しうる(特許文献1)。
特開2008−071976号公報
X. Garros, 2008 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers p68 Guidelines to improve mobility performances and BTI reliability of advanced High-K/Metal gate stacks
しかしながら、high−kゲート絶縁膜と金属窒化膜からなるhigh−kゲート絶縁膜/メタルゲート電極構造では、ゲート電極からhigh−kゲート絶縁膜中、及びSi基板界面へと窒素が拡散し、NBTIが劣化する不具合が生じる場合がある。
また、本願発明者は、窒素を含有しない、例えば炭化タンタル(TaC)をゲート電極材料として用いてNBTIを改善することも独自に検討したが、ドライエッチングが難しくなること、仕事関数の制御などが難しくなることなどからこの案は現実的ではないと考えられた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属窒化物で構成されたメタルゲート電極からゲート絶縁膜へと拡散する窒素の量を低減することでNBTIの改善を図ることにある。
上記課題を解決するために、本願発明者は、メタルゲート電極を形成するときの条件を詳細に検討し、次に示す知見を得た。
NBTIを劣化させる窒素は、窒化チタン(TiN)結晶中の窒素ではなく、結晶粒界に存在する窒素である。結晶粒界に存在する窒素は、後工程の熱処理などで容易に脱離し、high−kゲート絶縁膜中に拡散する。なお、high−kゲート絶縁膜中に窒素を含まない場合であっても、メタルゲート電極から窒素が拡散し、high−kゲート絶縁膜、及びSi等からなる半導体基板を窒化させる。
そこで、本願発明者は、メタルゲート電極の結晶粒界での窒素量を抑えるための対策を種々検討し、金属窒化物で構成されたメタルゲート電極の結晶粒界にアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)、インジウム(In)といった13族元素、リン(P)やヒ素(As)、アンチモン(Sb)といった15族元素を偏析させて、結晶粒界の窒素量を低減することで、NBTIを改善できることに想到した。
すなわち、本発明の一例に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の上部に形成されたn型ウェル領域と、前記ウェル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを有するpチャネル型MISトランジスタとを備え、前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上に形成された第2のゲート電極とを有し、前記第1のゲート電極は、結晶粒界を有する多結晶の金属窒化物で構成されており、前記結晶粒界には前記金属窒化物を構成する元素とは異なる元素が偏析されている。
この構成によれば、第1のゲート電極の結晶粒界に金属窒化物と異なる元素が偏析されているので、結晶粒界に存在する窒素量を低減することができ、結果としてゲート絶縁膜及びn型ウェル領域に拡散する窒素量が低減される。このため、pチャネル型MISトランジスタにおけるNBTIを改善することができる。また、第1のゲート電極は金属窒化物で構成されているので、第1のゲート電極が窒素を含まない導電体で構成されている場合に比べて第1のゲート電極を容易に形成可能で、且つゲート電極の仕事関数の制御も容易となっている。
なお、ゲート絶縁膜がいわゆるhigh−k膜(高誘電率膜)を有していてもよい。
また、本発明の他の一例に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の上部に形成されたn型ウェル領域と、前記ウェル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを有するpチャネル型MISトランジスタとを備え、前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上に形成された第2のゲート電極とを有し、前記第1のゲート電極は、結晶粒界を有する多結晶の金属窒化物で構成されており、前記第1のゲート電極のうち、前記ゲート絶縁膜との界面部分における結晶粒の平均粒径は、前記第1のゲート電極のうち、前記第2のゲート電極との界面部分における結晶粒の平均粒径よりも大きい。
この構成によれば、第1のゲート電極において、ゲート絶縁膜との界面部分での単位面積当たりの結晶粒界線の合計長さを第2のゲート電極との界面部分での単位面積当たりの結晶粒界線の合計長さよりも短くできるので、第1のゲート電極の結晶粒界からゲート絶縁膜およびn型ウェル領域へと拡散する窒素の量を低減することができる。
本発明の一例に係る半導体装置の製造方法は、Tiソースである第1のソースガスと、Nソースである第2のソースガスとを交互に供給するALD法を用いて、半導体基板上の絶縁膜上にTiN膜を形成する工程と、前記TiN膜をパターニングして前記TiN膜の一部を含むゲート電極を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法であって、前記TiN膜を形成する工程では、前記第2のソースガスを供給する間にB、Al、Ga、In、P、As、及びSbのうちから選ばれた1つの元素のソースガスである第3のソースガスを供給することで、結晶粒界に前記元素が偏析された前記TiN膜を形成する。
この方法によれば、ALD法によってTiN膜を形成する工程の各サイクルにおいて、第2のソースガスを供給する間に第3のソースガスを供給するので、第3のソースガスを供給しない場合と同程度の時間で、結晶粒界にAl等の元素を偏析させたTiN膜を形成することができる。このため、TiN膜の成膜後、結晶粒界に存在する窒素量を低減することができ、その後の工程で絶縁膜および半導体基板へと拡散する窒素の量を低減することができる。その結果、NBTIが改善されたMISトランジスタを提供することが可能となる。
本発明の他の一例に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上の絶縁膜上にTiN膜を形成する工程と、前記TiN膜をパターニングして前記TiN膜の一部を含むゲート電極を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法であって、前記TiN膜を形成する工程は、Tiターゲットを配置したチャンバ内に前記半導体基板を置き、1×1012atoms/cm2以上、1×1014atoms/cm2以下の面密度でTiを前記絶縁膜上に離散的に形成する工程と、前記Tiを核として、Tiソースである第1のソースガスと、Nソースである第2のソースガスとを交互に供給するALD法を用いて、前記絶縁膜上に(111)配向の結晶粒を含むTiN膜を形成する工程とを含んでいる。
この方法によれば、絶縁膜上ではTiを核として平均粒径の大きなTiN結晶粒を成長させ、上方に向かってTiNの結晶粒の平均粒径を小さくすることができる。このため、TiN膜の下端部での単位面積当たりの結晶粒界の合計長さを、上端部での単位面積当たりの結晶粒界の合計長さよりも短くすることができ、ゲート絶縁膜および半導体基板への窒素の拡散量を低減することができる。また、TiN膜上にポリシリコン等の導電膜を形成する場合には、導電膜との間の接触抵抗を低減することができる。

本発明の一例に係る半導体装置、およびその製造方法によれば、金属窒化物で構成された第1のゲート電極からゲート絶縁膜および半導体基板へと拡散する窒素量を低減することができ、MISトランジスタにおいて、NBTIの改善を図ることができる。
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。 メタルゲート電極を形成する前にhigh−kゲート絶縁膜中の窒素濃度を変化させた場合の、MISトランジスタにおけるNBTIを評価した結果を示す図である。 PVD−TiNとALD−TiNからの脱窒素量を昇温脱離法(TDS)で測定した結果を示す図である。 PVD法によって作成されたTiN膜において、Al含有量を変化させたときのX線解析(XRD)の結果を示す図である。 第1の実施形態に係るALDサイクルを模式的に示す図である。 (a)は、図5に示すALD法を用いて形成されたTiN膜の、原子プローブ顕微鏡による平面像を示す図であり、(b)は、(a)に示す平面像を模式的に描画した図である。 第1の実施形態に係る方法によって形成された、Alを含有するTiN膜の深さ方向の組成比を測定した結果を示す図である。 第1の実施形態に係る方法で形成されたTiN膜の結晶配向性をX線解析(XRD)によって測定した結果を示す図である。 (a)〜(c)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。 第1の実施形態に係るMISトランジスタと、下部ゲート電極を備えた参考例に係るMISトランジスタとにおいて、NBTIの比較結果を示す図である。 (a)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置において、TiNからなる下部ゲート電極のゲート絶縁膜との界面近傍部分の平面TEM像を示す図であり、(b)は、半導体装置において、下部ゲート電極のポリシリコンからなる上部ゲート電極との界面近傍部分の平面TEM像を示す図である。 (a)は、第2の実施形態に係る半導体装置において、TiNからなる下部ゲート電極を模式的に示す図であり、(b)は、下部ゲート電極の上端部((a)に示すXIIb−XIIb線)における結晶構造を示す平面図であり、(c)は、下部ゲート電極の下端部((a)に示すXIIc−XIIc線)における結晶構造を示す平面図である。 第2の実施形態に係るMISトランジスタと、下部ゲート電極を備えた参考例に係るMISトランジスタとにおいて、NBTIの比較結果を示す図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体製造装置及び、それを用いた半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。同図では、半導体装置がpチャネル型MISトランジスタを有している例を示す。
図1に示すように、本実施形態の半導体装置は、シリコン(Si)等からなる半導体基板101と、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、半導体基板101の上部に形成された素子分離用絶縁膜103と、半導体基板101の上部にイオン注入等により形成され、素子分離用絶縁膜103に囲まれたn型ウェル領域102と、n型ウェル領域102上に形成されたpチャネル型MISトランジスタとを備えている。
pチャネル型MISトランジスタは、n型ウェル領域102上に形成されたゲート絶縁膜104と、ゲート絶縁膜104上に形成されたゲート電極120と、ゲート絶縁膜104の側面上及びゲート電極120の側面上に形成された絶縁性のサイドウォール108と、n型ウェル領域102のうちゲート電極120及びサイドウォール108の両側方に位置する領域に形成されたp型拡散層(ソースまたはドレイン領域)109と、n型ウェル領域102のうちゲート電極120の両側方であって、p型拡散層109の内側に位置する領域に形成されたp型エクステンション層107とを備えている。
ゲート絶縁膜104は、例えば主にSiO2で構成され、膜厚が1.0nm程度の図示しない界面層(inter layerとも呼ばれる)と、界面層上に形成され、HfやZr、Tiなど4族の金属元素の酸化物等で構成された膜厚が1〜3nm程度の高誘電率膜とで構成されている。ここで、「高誘電率膜(すなわちhigh−k膜)」とは、少なくともシリコン窒化膜よりも誘電率が高い膜のことをいうものとする。
p型拡散層109及びp型エクステンション層107は共にイオン注入により形成され、p型エクステンション層107はp型拡散層109よりも浅くなっている。また、p型エクステンション層107の不純物濃度はp型拡散層109の不純物濃度よりも低くなっている。
ゲート電極120は、ゲート絶縁膜104上に形成され、多結晶性の金属窒化物で構成されたメタルゲート電極(下部ゲート電極105;第1のゲート電極)と、下部ゲート電極105上に形成され、p型のポリシリコンまたはp型のシリコンゲルマニウム等の導電体で構成された上部ゲート電極106(第2のゲート電極)とを有している。下部ゲート電極105は、例えば膜厚が15nm程度のTiNで主に構成されている。上部ゲート電極106の膜厚は例えば100nm程度である。
サイドウォール108は、シリコン窒化物またはシリコン酸化物などの絶縁体で構成されている。
本実施形態の半導体装置では、下部ゲート電極105の結晶粒界にAl、Ga等の13族元素、またはP、As、アンチモン(Sb)などの15族元素が偏析している点が従来の半導体装置と異なっている。これら元素の偏析量は、下部ゲート電極105のうち、ゲート絶縁膜104側で多くなっている。また、下部ゲート電極105がTiNで構成されている場合、TiN結晶粒中では13族元素又は15族元素の原子濃度が0.5%以下を示しているのに対し、TiNの結晶粒界では13族元素又は15族元素が原子濃度で5%以上存在していることが原子プローブ(atom probe)による解析評価で確認されている。
なお、上部ゲート電極106にはp型不純物であるボロン(B)などが導入されているが、本実施形態では上部ゲート電極106に含まれる不純物と下部ゲート電極105内で偏析する不純物とは異なっている。
また、下部ゲート電極105のうち、ゲート絶縁膜104との界面部分でのAl等の原子濃度は、20%以上50%以下であり、下部ゲート電極105中のAlの原子濃度は、下方から上方へ向かって連続的または段階的に減少する。なお、下部ゲート電極105中のAlの原子濃度とその分布は下部ゲート電極105を構成するTiN膜の成膜終了時と製造工程終了時とでほぼ同じである。
なお、下部ゲート電極105を構成する金属窒化物の結晶は、結晶格子の側面が底面の垂線に対して傾いたものが多い方が好ましい。従って、結晶粒界は基板面に対して斜め方向に延びているものが多い。
また、p型拡散層109上及びp型エクステンション層107上と、上部ゲート電極106上にはニッケルシリサイド(NiSi)もしくはニッケル白金シリサイド(NiPtSi)等で構成されたシリサイド層(図示せず)が形成されていてもよい。あるいは、n型ウェル領域102のうちゲート電極120の両側方に位置する領域上に、Geを原子濃度で10%〜30%程度含むSiGeエピタキシャル層(図示せず)で構成されたソース/ドレイン領域が形成されていてもよい。
なお、pチャネル型MISトランジスタのゲート絶縁膜104はプラズマ窒化処理されていてもよいが、できるだけ、半導体基板101とゲート絶縁膜104との界面に存在する窒素を低減したいので、プラズマ窒化処理は行わない方が好ましい。
本実施形態の半導体装置では、下部ゲート電極105の結晶粒界に13族元素又は15族元素等を偏析させることで当該結晶粒界での窒素量が効果的に低減されている。そのため、製造工程におけるゲート絶縁膜104やn型ウェル領域102中への窒素の拡散を効果的に抑え、NBTIを改善することができる。
また、下部ゲート電極105は金属窒化物で構成されているので、下部ゲート電極が窒素を含まない導電体で構成されている場合に比べて下部ゲート電極を容易に形成可能で、且つゲート電極の仕事関数の制御も容易となっている。
なお、下部ゲート電極105のうち、上部ゲート電極106との界面部分での窒素濃度(原子濃度)が、下部ゲート電極105のうち、ゲート絶縁膜104との界面部分での窒素濃度よりも高いと好ましい。例えば、ゲート絶縁膜104との界面部分での窒素濃度が30%以下であり、上部ゲート電極106との界面部分での窒素濃度が約50%以下であって、且つゲート絶縁膜104との界面部分での窒素濃度より高くてもよい。この場合、下部ゲート電極105内で、上方から下方に向かって徐々に(連続的または段階的に)窒素濃度が下がっていくような構造であってもよい。
次に、上述の構成とその製造方法を採用するに至った経緯を、その効果を踏まえて説明する。
−本願発明に係る半導体装置及びその製造方法に想到した経緯−
特許文献1では、high−kゲート絶縁膜を用いたトランジスタ構造において、high−kゲート絶縁膜中の窒素と水素の原子量の関係、窒素とフッ素の元素比率に注目してNBTIの改善を図っている。
しかしながら、high−k膜中の窒素含有量は原子濃度で0.1%〜5.0%程度と小さいので、本願発明者は、high−kゲート絶縁膜中の窒素がSi基板界面に拡散し、NBTI劣化に寄与する可能性は低いのではないかと考えた。
図2は、メタルゲート電極を形成する前にhigh−kゲート絶縁膜中の窒素濃度を変化させた場合の、MISトランジスタにおけるNBTIを評価した結果を示す図である。同図は、high−kゲート絶縁膜と、メタルゲート電極とポリシリコン膜とで構成されたゲート電極とを備えた同一構造を有するMISトランジスタにおいて、high−kゲート絶縁膜中の窒素濃度が原子濃度で1.0%の場合と、3.2%の場合と調べた結果である。両方の場合とも、Vgを変化させて3点ずつ測定した。横軸は、ゲート電圧VgをEOTで規格化した値であり、縦軸は、半導体装置を100時間100℃で放置した時の、放置前と比べたしきい値Vtの変化量の絶対値である。しきい値Vtが変化することは、NBTIの劣化が生じていることを意味する。
図2に示す結果から、窒素濃度が1.0%の場合、3.2%の場合とも、Vg/EOTの値が減少するとにつれ、しきい値の変化量は小さくなることが分かった。また、図2から、high−kゲート絶縁膜中の窒素濃度を変化させているにもかかわらず、high−kゲート絶縁膜中の窒素濃度が3.2%の場合のグラフ(線B)と1.0%の場合のグラフ(線A)とは互いにほぼ重なっていることが分かった。
これは、NBTIがhigh−kゲート絶縁膜中の窒素量に依存していないことを示している。従って、メタルゲート電極であるTiN膜の膜厚を一定としているため、メタルゲート電極からシリコン基板とゲート絶縁膜との界面へと拡散してくる窒素量が同程度であり、結果としてNBTI劣化量が同等だったと考えられた。つまり、窒素を主成分とするメタルゲート電極の体積(膜厚や面積)を縮小するか、非特許文献1のように窒素を含まないメタルゲート電極を用いることがNBTIの劣化を防止あるいは低減する最善策であるとも考えられた。
しかし、例えば、TiNからなるメタルゲート電極を薄膜化すると、pチャネル型MISトランジスタでは所望の仕事関数を得られず、CMOS(Complementary MOS)トランジスタに用いる場合に必要となるしきい値を得ることが困難となる。TaCのような窒素を含有しないメタル電極は、ドライエッチングやウェットエッチングが困難であり、微細なトランジスタを高歩留りで量産することが難しい。
非特許文献1によれば、PVD法(Physical Vapor Deposition)によって形成されたTiNと、ALD法(原子層蒸着堆積;Atomic Layer Deposition)によって形成されたTiNとでは、互いに同じサイズであってもメタルゲート電極として用いた場合のNBTI劣化の度合いが異なる。
NBTIの劣化はTiNから脱離する窒素によってもたらされると考えられたので、このことを確認するため、本願発明者は、PVD法によって形成されたTiN膜(PVD−TiN)とALD法によって形成されたTiN膜(ALD−TiN)のそれぞれからの窒素の脱離量(脱窒素量)を調べた。
図3は、PVD−TiNとALD−TiNからの脱窒素量を昇温脱離法(TDS)で測定した結果を示す図である。ここでは、半導体基板上にゲート絶縁膜を挟んでそれぞれのTiN膜を形成した後、半導体基板を所定の温度に上昇させ、各TiN膜からのアンモニア(NH)の脱離量を測定した。
この結果、図3に示すように、PVD−TiNからの脱ガス量(すなわち脱窒素量)は、ALD−TiNからの脱ガス量の3倍程度多く、特に基板温度が200℃〜400℃の間で脱離量が大きくなっていることが分かった。
PVD−TiNでの脱窒素量が多い理由は、PVD−TiNではTiとNとの結合力がALD−TiNに比べて弱く、TiN結晶粒が不完全に形成されており、Ti−N結晶粒界に不安定な窒素が豊富に存在するためと考えられた。ここで、結晶粒界に存在する窒素は、外方拡散するだけでなく、ゲート絶縁膜中に拡散し、半導体基板とゲート絶縁膜との界面にまで到達する。従って、PVD−TiNでメタルゲート電極を構成した場合は、窒素の脱離量が大きくなるためにALD−TiNでメタルゲート電極を構成した場合に比べて、NBTI劣化量が多くなったものと考えられた。そこで、本願発明者は、high−k/メタルゲート構造において、窒素含有メタルゲート電極からの窒素の拡散がNBTI劣化の主原因であり、メタルゲート電極からの窒素の拡散を抑えることで、NBTI劣化を軽減できると考えた。
本願発明者は、上記の知見を踏まえて種々の検討を行った結果、熱処理工程の前に結晶粒界に窒素以外の元素を偏析させることで結晶粒界における窒素濃度を下げることに想到した。結晶粒界に存在する窒素量を低減すれば、NBTI劣化を軽減することができるものと考えられる。例えば、結晶粒界に偏析させる元素として、AlやGaなどの13族元素やPやAsなどの15族元素を用いれば、MISトランジスタの動作に悪影響を与えることなく、ゲート絶縁膜及び半導体基板への窒素の拡散を効果的に抑制できると考えられた。なお、PVD装置においてAlターゲットとTiターゲットとを用いてN雰囲気中で共スパッタリング(co-sputtering)すること等により、Alを含むTiN膜は容易に形成できる。
また、本願発明者は、PVD−TiNとALD−TiNのいずれがメタルゲート電極の材料としてより好ましいかについて検討を行った。
図4は、PVD法によって作成されたTiN膜において、Al含有量を変化させたときのX線解析(XRD)の結果を示す図である。TiN膜中のAl含有量は、Alターゲットに対するプラズマパワーを変えることでそれぞれ原子濃度で10%、20%、30%に調節した。
図4に示すように、TiN結晶は主に(111)、(200)、(220)配向性を示し、それぞれの結晶の回折角は30度から70度までの間にある。(111)配向は基板面に対して斜めに成長した結晶を示し、(200)配向、(220)配向は半導体基板上に基板面に対して垂直方向に成長した結晶を示す。
PVD−TiNの結晶は、もともと(200)配向、(220)配向が支配的であるが、Al含有量が小さいと(111)配向も少なからず示す。しかし、Al含有量が増えると、(111)配向は小さくなり、代わりに(200)配向が強度を増す。これは、Alを含有させると、縦方向に成長する結晶が成長しやすくなることを意味する。縦方向に成長する結晶が支配的であると、結晶粒界に沿って直接に窒素が拡散しやすく、Alを結晶粒界に偏析させていてもNBTI劣化を十分に改善することは難しい。つまり、Al含有量を大きくする場合、NBTI劣化を改善するためには、(111)配向が支配的なTiNで構成され、結晶粒界にAlが偏析しているメタルゲート電極を形成することが望ましいと考えられた。
一方、ALD法は、薄膜中の原子配向性の制御に適しており、不純物を偏析させるのにも適している。このため、本願発明者はALD法によってメタルゲート電極を形成することとし、適切な条件について検討した。
ALD法を用いてTiN膜を形成する場合、例えば塩化チタン(TiCl4)などのTiソースとアンモニア(NH3)などの窒素ソースを交互に供給しながら、原子層蒸着を繰り返すことで成膜を行う。TiNの結晶性は、Tiソースや窒素ソースの供給時間や流量、もしくは成膜温度を350℃から600℃まで変化させても、大きな差は生じなかった。
また、TiNの結晶性は、ALD1サイクルあたりの基板表面上の吸着確率に大きく依存し、その吸着確率に大きな影響を及ぼすのは、チャンバ内圧力であることを本願発明者は確認した。MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やPVD法でチャンバ圧力を変化させても結晶性が変化できないのは、Tiと窒素とが主として気相反応で結合するためと考えられた。これに対し、ALDでは、Tiと窒素とが結合する際には表面反応が支配的であるため、結晶性を変調させることが可能であると考えられた。
チャンバ内圧力が高い場合、基板に吸着しようとするTi原子は密な状態で吸着、結合する。密な状態でALDサイクルを続けると、縦方向へ結合が進み、(200)面の結晶性が支配的になる。このため、1サイクルあたりの膜厚が増え、膜の堆積速度(デポレート)が高くなる。これに対して、圧力が低い場合、Ti原子、N原子は、原子密度が疎な状態で膜の成長面に吸着し、結合する。このため、デポレートは低下する。疎な状態で結合が起こる場合、TiとNが1対の結合をするだけでなく、原子が吸着した際、例えばTiが2つのNと結合する確率が高くなる。すると、斜め方向の結合が進み、(111)面の結晶性が支配的になると考えられる。このため、本願発明者は、原子密度が疎な状態でTiN膜の成膜を行うこととし、条件を検討した結果、成膜時のチャンバ圧力が0.2Torr(26.66Pa)以上1Torr(133.3Pa)以下であれば特に好ましいことが分かった。
このようにして、TiN結晶の(111)配向性を高めることが可能であるが、このままでは成膜されたTiN膜の結晶粒界に過剰な窒素が存在してしまう。そのため、図5に示すように、基板が窒素のソースガスであるNH3に曝露する間に、Alソースガスであるトリメチルアルミニウム(TMA)にも同時に曝露するようにした。ここで、図5は、本発明の第1の実施形態に係るTiN膜の形成方法において、ALDサイクルを模式的に示す図である。
単独で供給されたNH3は結晶粒を形成するTiN結合を形成するため、NH3の供給期間中に途中から供給されたTMAは、気相中でAlに熱分解される。続いて、TMAの分解によって生じたAlはTiN結晶粒に取り込まれることなく、TiN結晶粒界に偏析する。偏析したAlは未結合手を持つため、結晶粒界に存在する不安定な窒素と結合し、これを安定化する。
図5に示すように、Alの供給時間TAlはNの供給時間TNより短くしているが、TAlを長くする程、結晶粒界に偏析するAl量が増加する。この偏析するAl量を増大させると、MISトランジスタの仕事関数(またはしきい値電圧)がシフトしたり、メタルゲート電極が高抵抗化したりするので、検討の結果、TAlの長さはTNの長さの1/10以上1/3以下であることが特に好ましいことが分かった。
また、成膜初期段階ではTAlの長さをTNの長さの例えば1/3程度と長くして、成膜終了段階ではTAlの長さをTNの長さの例えば1/10程度にまで徐々に短くしていけば、さらに望ましいことも分かった。これは、MISトランジスタにおいて、high−k層とメタルゲート電極との界面では、high−k層に窒素が拡散しにくいようAl量を増やす必要があり、逆に、メタルゲート電極上部の抵抗(特にポリシリコンからなる導電膜との界面抵抗)は下げる必要があるためである。なお、図5に示すサイクルを繰り返してTiN膜を形成する方法、あるいは成膜初期段階から成膜終了段階までに徐々にTNの長さに対するTAlの長さの割合を減少させる方法を以後「第1の実施形態に係るTiN膜の形成方法」と呼ぶ。
図6(a)は、図5に示すALD法を用いて形成されたTiN膜の、原子プローブ顕微鏡による平面像を示す図であり、(b)は、(a)に示す平面像を模式的に描画した図である。図6(a)、(b)に示す結果から、多角形状の断面を有する結晶粒(TiN結晶粒)112にはTiが存在し、結晶粒界110にはAlが偏析していることが確認できた。また、Alの原子濃度は、TiN結晶粒112中では0.5%以下であるが、結晶粒界110では、5%以上50%以下の範囲であることが分かった。特に、high−kゲート絶縁膜とメタルゲート電極との界面(すなわち、界面部全体)では、原子濃度が20%以上50%以下程度の高濃度でAlが偏析されていることが、原子プローブを用いた解析結果から分かった。
なお、NH3とTMAとを同時に供給することとしたのは、次のような理由からである。
例えば、TiCl4を供給し、Arで置換し、NH3を供給した後に、TMAを供給すると、抵抗率の大きな電極が形成される。これは、Alに加え、TMAから分離したメチル基がTiN結晶粒112を覆うことで結晶−結晶間に電流が流れにくくなり、抵抗が上昇すると考えられる。
次に、TiCl4を供給した後にTMA、NH3の順に曝露すると、Tiの窒化が不十分になり、デポレートが極端に低下し、生産性が低下する。
また、TiCl4を供給した後にNH3を供給し、さらにTMAを曝露しNH3を曝露する方法は、ALD法における1サイクルの時間を延ばすことになり、生産性が低下する。
以上のことを考慮して、本願発明者はNH3の供給期間中にTMAを供給することとした。
図7は、図5に示す第1の実施形態に係るTiN膜の形成方法によって形成された、Alを含有するTiN膜の深さ方向の組成比を測定した結果を示す図である。ここでは、HfO2膜上にTiN膜を形成した後、酸化を防止するためにタングステン(W)膜で被覆してなる対象物について、RBS(Rutherford Back Scattering)法によって測定した結果を示す。なお、TiNの成膜初期段階ではTAlをTNの約1/3(TNに対してTAlを約33%)とし、成膜終了段階ではTAlをTNの1/10程度(TNに対してTAlを約10%)になるよう徐々にTAlの割合を小さくした。また、RBS法では、AlのスペクトルピークとSiのスペクトルピークとが重なるため、Si基板の影響を受けないようHfO2膜の膜厚を10nmとした。
図7に示すように、成膜初期段階ではTAlをTNの1/3としたため、TiN膜のうちHfO2膜の近傍ではAlの原子濃度(図中◇印)が30%以上60%以下に上昇する反面、窒素の原子濃度(図中■印)が30%以下に減少していた。逆に、成膜終了段階ではTAlがTNの1/10程度になるよう徐々にTAlの割合を小さくしたので、TiN膜のうちW膜との界面近傍では窒素の原子濃度が50%程度まで、Tiの原子濃度(○)が30%まで増加し、Alの原子濃度は10%程度まで減少していた。このように、上述の方法でTiN膜を形成することで、メタルゲート電極中の窒素のhigh−kゲート絶縁膜中への拡散を防止または低減でき、上述の成膜方法でNBTIを効果的に改善できることが確かめられた。
また、図8は、第1の実施形態に係る方法で形成されたTiN膜の結晶配向性をX線解析(XRD)によって測定した結果を示す図である。ここでは、結晶粒界にAlが原子濃度で10%含まれたTiN膜を測定した。
図8を図4と比較すると分かる通り、上述の成膜方法によれば、TiNの(111)配向性を維持したまま、Alを含有させることが可能となることが確認できた。
上述のように、本願発明者はTiN膜の物性を詳細に調べ、Al原子を結晶粒界に偏析させることで、TiN結晶粒界に存在する不安定な窒素の量を低減し、メタルゲート電極からhigh−kゲート絶縁膜へ拡散する窒素量を低減できるTiN膜の形成方法に独自に想到した。この方法によれば、従来のTiN膜に比べてNBTI劣化を大きく改善することができた。
−第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法−
上述のTiN膜の形成方法を用いた半導体装置の製造方法について説明する。図9(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
まず、図9(a)に示すように、例えばシリコンからなる半導体基板101の上部に、STI法等によって形成された素子分離用絶縁膜103と、イオン注入によって形成され、素子分離用絶縁膜103によって囲まれたn型ウェル領域102とを形成する。次いで、n型ウェル領域102上に、ゲート絶縁膜104aと、Alを含むTiN膜105a、ポリシリコン等からなる導電膜106aを順次形成する。
ゲート絶縁膜104aは、例えば、水蒸気や一酸化窒素雰囲気で半導体基板101の上面を酸化して厚さ1.0nm程度のシリコン酸化膜を形成した後、HfやZrなどの4族元素を主成分とした酸化物、シリケートと称されるHfやZrとSiとを含む酸化物、または、アルミネートと称されるHfやZrとAlとを含む酸化物からなるhigh−k膜を1〜2nmの厚さで形成することで形成される。このhigh−k膜の形成には、MOCVD法、ALD法、またはPVD法などを用いる。なお、high−k膜の窒化処理は、900℃以上の高温アニール処理を必要とし、半導体基板101とゲート絶縁膜104aとの界面における窒素濃度を上昇させるため、プラズマ窒化処理をしないことが好ましい。
次に、本工程において、TiN膜105aを構成した場合の形成方法の一例を図5を参照して説明する。
まず、半導体基板101をALD装置のチャンバ内に載置した後、チャンバ内にソースガス等を供給する。具体的には、図5に示すように、Tiソースである塩化チタン(TiCl4)などを液状で40℃程度に保温し、これをArなどの不活性ガスで運ぶことよって気化させたTiCl4ガスをチャンバ内に時間TTi=0.05秒の間供給し、high−k膜(ゲート絶縁膜104a)上にTiを吸着させる。
次に、チャンバ内に充満したTiCl4ガスを排出するために、Arを、例えば1000sccm(=mL/sec;25℃、1.0×103hPaの標準状態、以下同じ)の流量で時間TAr1=0.3秒の間供給する。この後、窒素ソースガスであるNH3を、例えば1000sccm(mL/sec)で時間TN=3秒の間供給することによって、high−k膜上に吸着しているTiと結合させる。この時、上述の検討結果の通り、チャンバ圧力は1Torr(133.3Pa)以下0.2Torr(26.66Pa)以上に保持されていることが望ましく、0.6Torr(79.98Pa)以下に制御することで、TiN膜の(111)配向性を(200)配向性と同等以上にまで高めることが可能となる。
また、本実施形態では、例えば、このNH3を3秒流す間にAlソースガスであるTMAをNH3と同時に供給する。NH3は熱分解され、副生成物として水素が生じ、TMAはメタン系ガスを副生成物として生じるが、これらの副生成物は速やかに排気されるため、NH3とTMAを同時に供給しても副生成物によってパーティクルが生じることはほとんどないない。なお、ウェハ温度は、300℃以上600℃以下とすることが望ましい。
次に、NH3の供給を停止し、チャンバ内に充満しているアンモニアガスを取り除くために、Arを1000sccm(mL/sec)で時間TAr2の間流す。以上を1サイクルとして、TiN膜の膜厚が所望の値になるまで同様の手順を繰り返す。ただし、本実施形態の方法では、成膜初期段階から成膜終了段階まででNH3の供給時間TNに対するTMAの供給時間TAlの割合を徐々に変化させている。
具体的に、成膜初期段階では、TiN結晶粒界にできるだけAlを偏析させるために、TNを3秒にして、そのうち1秒間TMAをNH3と同時に供給する。この場合、例えば、NH3を1秒間プリパージした後に、NH3とTMAを同時に1秒間供給し、次いでNH3を1秒間ポストパージするのと同様である。こうすることで、まず、ゲート絶縁膜104a上(あるいは成長中のTiN膜上面)に吸着しているTiは十分に窒化されており、熱分解されたAlは完全に窒素に結合することはできず、未結合手を持った状態で、TiN膜の上面に吸着する。さらにNH3をポストパージすることで、TMA由来のメチル基をTiN膜の上面から除去すると同時に、次サイクルでTiが吸着しやすいように窒素の未結合手を増やす。
次のサイクル以後、成膜開始直後は1秒だったTMAの供給時間を徐々に減らし、成膜終了時には0〜0.3秒程度まで短縮することで、図7に示すようなAlプロファイルを持ったTiN膜105aを形成する。
次に、TiN膜105a上に形成された自然酸化膜、あるいはTiN膜105aのうちレジスト塗布・除去により変質した部分を除去するために、フッ酸でTiN膜105aの表面を洗浄し、ポリシリコンからなる導電膜106aを100nmの膜厚で形成する。このような、フッ酸によるTiN膜105aの洗浄工程は必須ではないが、TiN膜105aと導電膜との界面に酸化層が存在すると界面抵抗が上昇するので、洗浄を行う方がより好ましい。
ポリシリコンからなる導電膜106aを形成する方法には、シラン(SiH4)やジシラン(Si26)を用いて500℃〜550℃で非晶質のシリコン膜を形成した後、これに熱処理を加えて多結晶化する方法と、600℃〜630℃でポリシリコン膜を形成する方法とがある。また、シランとゲルマン(GeH4)を加えてシリコンゲルマニウムからなる導電膜106aを形成してもよい。
次に、図9(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いてゲート電極用のレジストパターンを形成する。次いで、このレジストパターンを用いて、ハロゲン系のエッチングガスにより導電膜106a、TiN膜105aを異方性エッチングして、所定の形状を有する上部ゲート電極106と下部ゲート電極105とをそれぞれ形成する。なお、この下部ゲート電極105と上部ゲート電極106とを合わせてゲート電極120と呼ぶ。このゲート電極120のゲート長は例えば30nm〜40nmとする。
続いて、フッ酸系のエッチャントを用いて、ゲート電極120を形成する際のドライエッチングで残ったポリマーと、ゲート絶縁膜104aのうちゲート電極120の下以外に残膜している不要な部分を除去し、ゲート絶縁膜104を形成する。
次に、図9(c)に示すように、600℃以下の成膜温度で膜厚が5nm〜10nm程度のシリコン窒化膜を形成した後、ハロゲン系のガスを用いた異方性ドライエッチングによってシリコン窒化膜の一部を除去することで、ゲート電極120の側面上にシリコン窒化膜(図示せず)を残す。このシリコン窒化膜は、p型エクステンション層107を形成するためのオフセットスペーサである。
本工程において、シリコン窒化膜の形成方法としてはALD法が最適であり、例えば、ジクロロシラン(SiH2Cl2)とアンモニアを交互に供給することで、5nm〜10nmの膜厚で形成する。
次に、n型ウェル領域102に、ゲート電極120をマスクとしてボロンやインジウム等のp型不純物をイオン注入した後、1000℃以上の熱処理によりイオン種を活性化することにより、ゲート電極120の両側にp型エクステンション層107を形成する。
次に、厚さ5nm〜10nm程度のシリコン酸化膜と、厚さ10nm〜30nm程度のシリコン窒化膜とを順次積層し、異方性のドライエッチングによりシリコン酸化膜の一部とシリコン窒化膜の一部を除去することで、ゲート電極側壁に2層からなるサイドウォール108を形成する。このサイドウォール108は、必ずしも2層構造である必要はなく、シリコン酸化膜のみの1層もしくは、シリコン窒化膜の1層のみで構成されていてもよい。
次に、n型ウェル領域102に、ゲート電極120及びサイドウォール108をマスクとしてp型不純物であるボロンやインジウムをイオン注入した後、900℃〜1050℃で注入されたイオン種を活性化する。これにより、ゲート電極120の両側方であって、p型エクステンション層107の外側に位置する領域にp型エクステンション層107よりも高濃度にp型不純物を含むp型拡散層109を形成する。以上の工程により、図1に示す本実施形態の半導体装置を作製することができる。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、TiN膜等の金属窒化膜の成膜時に当該金属窒化膜に含まれる金属とは異なるAl等の元素のソースガスを添加することで、Al等を金属窒化膜の結晶粒界に偏析させ、結晶粒界における窒素量を低減することができる。このため、金属窒化膜からなる下部ゲート電極からゲート絶縁膜及び半導体基板に拡散する窒素量を効果的に低減することができるので、NBTI劣化が改善されたpチャネル型MISトランジスタを提供することができる。
特に、ALD法によりAl等をその結晶粒界に含む金属窒化膜を形成することにより、基板面に対して斜め方向の結晶配向性を高めることができるので、下部ゲート電極からゲート絶縁膜及び半導体基板に拡散する窒素量をより低減できる。上述のように、金属窒化膜の成膜時には、チャンバ圧力を0.2Torr(26.66Pa)以上1Torr(133.3Pa)以下とすることが特に好ましい。
また、図5に示すように、ALD法によって金属窒化膜を成膜する場合、窒素のソースガスを供給している間にAl等のソースガスを供給することにより、金属窒化膜の結晶粒界に存在する窒素の量を低減することができる。特に、Al等のソースガスの供給時間の長さが窒素のソースガスの供給時間の長さの1/10以上1/3以下になっていれば、MISトランジスタの仕事関数(またはしきい値電圧)がシフトするのを抑え、下部ゲート電極105が高抵抗化するのを防ぐことができるので、好ましい。
なお、以上のような方法により、下部ゲート電極105のうちゲート絶縁膜104との界面近傍では、原子濃度が20%以上50%以下程度の高濃度でAl等が偏析される。
さらに、金属窒化膜の成膜初期段階では窒素のソースガスの供給時間に対するAl等のソースガスの供給時間を長くし、成膜終了段階では窒素のソースガスの供給時間に対するAl等のソースガスの供給時間が短くなるように、Al等のソースガスの供給時間をサイクルごとに徐々に短くしていくことが好ましい。
これにより、下部ゲート電極105のうち、high−k膜を含むゲート絶縁膜104との界面部分の結晶粒界におけるAl濃度を上部ゲート電極106との界面部分の結晶粒界におけるAl濃度よりも大きくすることができる。このため、ゲート絶縁膜104へと拡散する窒素の量を低減しつつ、下部ゲート電極105と上部ゲート電極106との接触抵抗等の増大を防ぐことができる。
図10は、本実施形態に係るMISトランジスタと、下部ゲート電極を備えた参考例に係るMISトランジスタとにおいて、NBTIの比較結果を示す図である。ここで、参考例のMISトランジスタは、ALD−TiNからなる厚さ15nmの下部ゲート電極を有し、その他の部分は本実施形態のMISトランジスタと同様の構成を有する。本実施形態のMISトランジスタは、Alが下部ゲート電極の結晶粒界に偏析している点が参考例のMISトランジスタと異なっている。図10の横軸は、ゲート電圧VgをEOTで規格化した値を表し、縦軸は、半導体装置を100時間100℃で放置した時の、放置前と比べたしきい値Vtの変化量の絶対値を表している。
図10に示すように、Vg/EOTが1.0(V/nm)の場合、しきい値電圧のシフト量を比較すると、本実施形態のMISトランジスタ(図中□印)では、参考例に係るMISトランジスタ(図中◇印)に比べて41.2%もNBTI劣化量が改善していることが分かる。
なお、本実施形態では、TMAを用いて、Al原子を偏析させたが、例えば、PH3をソースガスとして用いてリン原子を偏析させることも可能である。この他に、GaやInといった第13族元素や、As、Sbといった第15族元素等、金属窒化膜を構成する元素とは異なる元素をTiN等の金属窒化膜の結晶粒界に偏析させても、結晶粒界における窒素量を低減することが可能である。また、これらから選ばれた2種類以上の元素を金属窒化膜の結晶粒界に偏析させてもよい。
なお、本実施形態の半導体装置の製造方法においては下部ゲート電極の材料にTiNを用いる場合の例を説明したが、下部ゲート電極の材料はTiNに限られず、導電性の金属窒化物であればよい。この場合でもALD法によってAl等を偏析させつつ、金属窒化物の配向性を制御することが可能である。
また、ALD法における各ソースガスや不活性ガスの流量や供給時間は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
また、半導体装置における各部材の膜厚や構成材料等も適宜変更可能である。例えば、金属窒化膜からなる下部ゲート電極105の結晶粒界に偏析させるAl等の原子濃度を下部ゲート電極105全体に亘って一定としても、Alを偏析させない場合に比べればゲート絶縁膜104への窒素の拡散を低減することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置とその製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態の半導体装置の概略構成は、下部ゲート電極105の結晶構造を除いて図1に示す第1の実施形態に係る半導体装置と同様である。以下では、金属窒化物からなる下部ゲート電極105の形成方法を中心に説明する。
図11(a)は、本実施形態の半導体装置において、TiNからなる下部ゲート電極105のゲート絶縁膜104との界面近傍部分の平面TEM像を示す図であり、(b)は、下部ゲート電極105のポリシリコンからなる上部ゲート電極106との界面近傍部分の平面TEM像を示す図である。
図11(a)に示す下部ゲート電極105のゲート絶縁膜104との界面近傍部分のTiN結晶粒サイズは例えば10〜20nmであるのに対して、図11(b)に示す下部ゲート電極105の上部ゲート電極106との界面近傍部分のTiN結晶粒サイズは5nm以下である。
図12(a)は、本実施形態の半導体装置において、TiNからなる下部ゲート電極105を模式的に示す図であり、(b)は、下部ゲート電極105の上端部((a)に示すXIIb−XIIb線)における結晶構造を示す平面図であり、(c)は、下部ゲート電極105の下端部((a)に示すXIIc−XIIc線)における結晶構造を示す平面図である。
TiNからなる下部ゲート電極では、上述のとおりTiN(111)配向性を高められており、下部ゲート電極を構成するTiNの結晶は、結晶格子の側面が底面の垂線に対して傾いたものが多い。従って、結晶粒界は基板面に対して斜め方向に延びているものが多い。
また、第1の実施形態の半導体装置と同様に、下部ゲート電極105のうち、上部ゲート電極106との界面部分での窒素濃度(原子濃度)が、下部ゲート電極105のうち、ゲート絶縁膜104との界面部分での窒素濃度よりも高いと好ましい。例えば、ゲート絶縁膜104との界面部分での窒素濃度が30%以下であり、上部ゲート電極106との界面部分での窒素濃度が約50%以下であって、且つゲート絶縁膜104との界面部分での窒素濃度より高くてもよい。この場合、下部ゲート電極105内で、上方から下方に向かって徐々に(連続的または段階的に)窒素濃度が下がっていくような構造であってもよい。
図12(a)〜(c)に示すように、本実施形態の半導体装置では、下部ゲート電極105の結晶粒は、上端部から下端部に向かうにつれて大きくなっている。下部ゲート電極105のうち、ゲート絶縁膜104との界面近傍部分における平均結晶粒径は、上部ゲート電極106との界面近傍部分における平均結晶粒径より大きければ好ましく、上部ゲート電極106との界面近傍部分における平均結晶粒径の2倍以上となっていればより好ましい。
図12(b)と(c)とを比較すると、結晶粒が小さい下部ゲート電極105の上部では単位面積あたりに占める結晶粒界線が多く発生し、結晶粒が大きい下部ゲート電極105の下部では単位面積に占める結晶粒界線の発生が少ない。
TiNのような金属窒化物からなる下部ゲート電極105では、結晶粒界に不安定な窒素が存在し、その窒素が結晶粒界に沿って、high−k膜を含むゲート絶縁膜104中に拡散し、半導体基板を窒化することで、NBTI劣化が起こると考えられている。
PVD法で形成されたTiNのように、縦方向に成長するTiN(200)結晶が支配的であると、結晶粒界に沿って窒素が拡散するため、基板面に対して斜め方向に成長するTiN(111)結晶を支配的にすることで、窒素拡散を抑制する。さらに、TiN膜の深さ方向に対して、徐々に結晶粒が大きくなる構造をとることで、単位面積当たりの結晶粒界線の合計長さを減少させ、high−k膜を有するゲート絶縁膜への窒素の拡散を低減することで、NBTI劣化を改善できる。
図13は、本実施形態に係るMISトランジスタと、下部ゲート電極を備えた参考例に係るMISトランジスタとにおいて、NBTIの比較結果を示す図である。ここで、参考例のMISトランジスタは、ALD−TiNからなる厚さ15nmの下部ゲート電極を有し、その他の部分は本実施形態のMISトランジスタと同様の構成を有する。図13の横軸は、ゲート電圧VgをEOTで規格化した値であり、縦軸は、半導体装置を100時間100℃で放置した時の、放置前と比べたしきい値Vtの変化量の絶対値である。
図13に示すように、Vg/EOTが1.0(V/nm)の場合、しきい値電圧のシフト量を比較すると、本実施形態のMISトランジスタ(図中△印)では、参考例に係るMISトランジスタ(図中◇印)に比べて24.0%もNBTI劣化量が改善したことが分かる。なお、本実施形態のMISトランジスタでは、Vg/EOTが約1.0(V/nm)〜約1.4(V/nm)程度までの範囲で参考例のMISトランジスタに比べてNBTI劣化量が改善されている。
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は第1の実施形態の製造方法とTiN膜の形成方法のみ異なっているため、ここではTiN膜の形成方法を説明する。
high−k膜を含むゲート絶縁膜を形成後、Tiターゲットを配置したスパッタチャンバ内にウェハを挿入した後、1×10-5Pa程度まで真空引きしてArを100sccm(mL/sec)で流し、チャンバ圧力を0.1Paに制御する。続いて、Tiターゲットを保護しているシールドを開き、プラズマパワー100〜300Wで放電させる。この時、ウェハは別のシールドで保護されており、ウェハにTiが堆積されることはない。放電が安定したところで、ウェハ上のシールドを開け、ウェハにTiを離散的に堆積させる。ウェハ温度は常温で、ウェハ回転速度は100rpmで、堆積時間は1〜5秒程度である。
堆積されたTiの面密度は、原子吸光やICP−MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer)を用いて定量できる。理想的には、10nm×10nmの領域につきTi原子一個が望ましく、計算すると1×1012atoms/cm2である。しかし、スパッタされたTi原子はクラスター(集団)で堆積されるため、Tiの面密度が1×1014atoms/cm2程度でも十分、下部ゲート電極の上述した形状は実現できる。すなわち、Ti原子の面密度は1×1012atoms/cm2以上、1×1014atoms/cm2以下であれば好ましい。
次に、スパッタチャンバからウェハを取り出し、ウェハを大気開放した後、ALDチャンバ内でTiNを成膜する。大気開放した際、Ti核は酸化されてTiOとなるが、ALDチャンバ内でウェハを400℃〜600℃に保持した状態でNH3を1〜10秒間供給することで、容易にTiN核に変化する。この離散的に配置されたTiN核が結晶核となり、ゲート絶縁膜上と比較して、TiN核の付近の成長速度が速くなるので、大きなTiN結晶が形成される。逆に成膜初期段階で、密集したTiN核が形成されると、小さな結晶粒を持ったTiN膜が形成される。
図12(a)に示すように、TiN核から成長したTiN粒は基板面に対して斜め方向に成長する(111)配向性を高めているため、必ず凹凸が形成される。この凹部を埋めるようにひとまわり小さな結晶が成長する。このTiNの結晶粒の大きさが5nm〜10nm程度である。さらにALDサイクルを重ねると、さらにひとまわり小さな結晶粒が形成され、5nm以下の結晶粒が形成され始める。TiNの形成サイクルを、TiN膜105a(図9(a)参照)の膜厚が所望の値になるまで繰り返す。
なお、TiN膜をALD法を用いて成長させる際には、第1の実施形態で説明したように、チャンバ内の圧力を0.2Torr(26.66Pa)以上1Torr(133.3Pa)以下とすることが特に好ましい。
このように、離散的に配置させたTiN結晶核上に、斜め方向の結晶成長させることで、high−k膜を有するゲート絶縁膜の近傍でTiN結晶粒が大きくなる。この方法によれば、単位面積当たりの結晶粒界線の合計長さを短くすることができる。上述のように、窒素は結晶粒界を通ってゲート絶縁膜へと拡散するため、単位面積当たりの結晶粒界線の合計長さを短くすることで、ゲート絶縁膜へ拡散する窒素の量を低減でき、NBTIを改善することができる。
また、ポリシリコン等からなる上部ゲート電極と、下部ゲート電極との界面近傍において、TiN結晶粒は小さい方がショットキーバリアハイトを低減できるため、界面抵抗を下げることが可能となる。本実施形態の半導体装置では、下部ゲート電極の上端部ではTiN結晶粒が下端部に比べて小さくなっているので、上部ゲート電極との界面における抵抗を小さくすることができる。
また、TiN中へのSiの熱拡散が抑制されるので、仕事関数を安定させ、ウェハ面内でMISトランジスタのしきい値Vtの均一性を向上させることができる。
以上のように、本願発明者は、離散的にTiN結晶核を形成した上に、TiNの結晶を基板面に対して斜め方向に成長させることで、TiN膜のうちゲート絶縁膜との界面近傍ではTiN結晶粒を大きく、ポリシリコンからなる導電膜との界面近傍ではTiN結晶粒を小さくすることに成功した。この結果、縦方向に成長する(200)配向性が支配的なTiNと比べてNBTI劣化を24%改善することができた。本発明は、この新しい発見に基づいて行われたものであり、従来技術の範疇とは異なる特徴・効果を示す。
なお、上述の説明は実施形態の一例であって、各部材の構造、サイズ、構成部材等は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、第2の実施形態に係る半導体装置の下部ゲート電極の結晶粒界にAl等を偏析させてさらに効果的に窒素の拡散を抑えることも可能である。このような半導体装置は、ゲート絶縁膜上にTi原子を離散的に形成した後、第1の実施形態と同様の条件、すなわちTiのソースガスとNのソースガスとを交互に供給し、且つNのソースガスを供給する間にAl等のソースガスを供給することで作製できる。
本発明に係る半導体装置及び半導体装置の製造方法は、半導体集積回路を用いる種々の電子機器に好ましく用いられる。

101 半導体基板
102 n型ウェル領域
103 素子分離用絶縁膜
104、104a ゲート絶縁膜
105 下部ゲート電極
105a TiN膜
106 上部ゲート電極
106a 導電膜
107 p型エクステンション層
108 サイドウォール
109 p型拡散層
110 結晶粒界
112 TiN結晶粒
120 ゲート電極

Claims (18)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板の上部に形成されたn型ウェル領域と、
    前記ウェル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを有するpチャネル型MISトランジスタとを備え、
    前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上に形成された第2のゲート電極とを有し、
    前記第1のゲート電極は、結晶粒界を有する多結晶の金属窒化物で構成されており、前記結晶粒界には前記金属窒化物を構成する元素とは異なる元素が偏析されている半導体装置。
  2. 請求項1に記載の半導体装置において、
    前記第1のゲート電極のうち、前記第2のゲート電極との界面部分での窒素濃度は、前記第1のゲート電極のうち、前記ゲート絶縁膜との界面部分での窒素濃度よりも高い半導体装置。
  3. 請求項2に記載の半導体装置において、
    前記第1のゲート電極のうち、前記ゲート絶縁膜との界面部分での窒素濃度は30%以下であり、前記第1のゲート電極のうち、前記第2のゲート電極との界面部分での窒素濃度は50%以下であって、前記第1のゲート電極中の窒素濃度は上方から下方へ向かって連続的または段階的に減少する半導体装置。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
    前記第1のゲート電極のうち、前記ゲート絶縁膜との界面部分での前記異なる元素の濃度は、20%以上50%以下であり、前記第1のゲート電極中の前記異なる元素の濃度は、下方から上方へ向かって連続的または段階的に減少する半導体装置。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
    前記第1のゲート電極の結晶粒界に偏析される前記異なる元素は、第13族元素及び第15族元素から選ばれた少なくとも1つの元素である半導体装置。
  6. 請求項5に記載の半導体装置において、
    前記第1のゲート電極の結晶粒界に偏析される異なる元素は、B、Al、Ga、In、P、As、Sbのうちから選ばれた1つの元素である半導体装置。
  7. 請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
    前記第1のゲート電極は、多結晶のTiNで構成されている半導体装置。
  8. 請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
    前記ゲート絶縁膜は、金属酸化物で構成された高誘電率膜を有している半導体装置。
  9. 請求項1〜8のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
    前記第2のゲート電極は、ポリシリコンまたはポリシリコンゲルマニウムで構成されている半導体装置。
  10. 請求項1〜9のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
    前記第1のゲート電極のうち、前記ゲート絶縁膜との界面部分における結晶粒の平均粒径は、前記第1のゲート電極のうち、前記第2のゲート電極との界面部分における結晶粒の平均粒径よりも大きい半導体装置。
  11. 半導体基板と、
    前記半導体基板の上部に形成されたn型ウェル領域と、
    前記ウェル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを有するpチャネル型MISトランジスタとを備え、
    前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上に形成された第2のゲート電極とを有し、
    前記第1のゲート電極は、結晶粒界を有する多結晶の金属窒化物で構成されており、
    前記第1のゲート電極のうち、前記ゲート絶縁膜との界面部分における結晶粒の平均粒径は、前記第1のゲート電極のうち、前記第2のゲート電極との界面部分における結晶粒の平均粒径よりも大きい半導体装置。
  12. 請求項11に記載の半導体装置において、
    前記第1のゲート電極のうち、前記第2のゲート電極との界面部分での窒素濃度は、前記第1のゲート電極のうち、前記ゲート絶縁膜との界面部分での窒素濃度よりも高い半導体装置。
  13. 請求項12に記載の半導体装置において、
    前記第1のゲート電極のうち、前記ゲート絶縁膜との界面部分での窒素濃度は30%以下であり、前記第1のゲート電極のうち、前記第2のゲート電極との界面部分での窒素濃度は50%以下であって、前記第1のゲート電極中の窒素濃度は上方から下方へ向かって連続的または段階的に減少する半導体装置。
  14. 請求項11〜13のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
    前記第1のゲート電極は、多結晶のTiNで構成されている半導体装置。
  15. 請求項11〜14のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
    前記第1のゲート電極のうち、前記ゲート絶縁膜との界面部分における結晶粒の平均粒径は、前記第1のゲート電極のうち、前記第2のゲート電極との界面部分における結晶粒の平均粒径よりも大きい半導体装置。
  16. Tiソースである第1のソースガスと、Nソースである第2のソースガスとを交互に供給するALD法を用いて、半導体基板上の絶縁膜上にTiN膜を形成する工程と、前記TiN膜をパターニングして前記TiN膜の一部を含むゲート電極を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法であって、
    前記TiN膜を形成する工程では、前記第2のソースガスを供給する間にB、Al、Ga、In、P、As、及びSbのうちから選ばれた1つの元素のソースガスである第3のソースガスを供給することで、結晶粒界に前記元素が偏析された前記TiN膜を形成する半導体装置の製造方法。
  17. 請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記TiN膜を形成する工程では、前記第1のソースガスの供給と前記第2のソースガスの供給を交互に複数サイクル繰り返し、前記第3のソースガスの供給時間の長さは前記第2のソースガスの供給時間の長さの1/10以上且つ1/3以下であり、前記TiN膜の成膜初期段階での前記第2のソースガスの供給時間の長さに対する前記第3のソースガスの供給時間の長さの割合が、成膜終了段階での前記第2のソースガスの供給時間の長さに対する前記第3のソースガスの供給時間の長さの割合よりも大きくなるように、前記第3のソースガスの供給時間を段階的に短くする半導体装置の製造方法。
  18. 半導体基板上の絶縁膜上にTiN膜を形成する工程と、前記TiN膜をパターニングして前記TiN膜の一部を含むゲート電極を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法であって、
    前記TiN膜を形成する工程は、
    Tiターゲットを配置したチャンバ内に前記半導体基板を置き、1×1012atoms/cm2以上、1×1014atoms/cm2以下の面密度でTiを前記絶縁膜上に離散的に形成する工程と、
    前記Tiを核として、Tiソースである第1のソースガスと、Nソースである第2のソースガスとを交互に供給するALD法を用いて、前記絶縁膜上に(111)配向の結晶粒を含むTiN膜を形成する工程とを含んでいる半導体装置の製造方法。
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