JP2012102497A - 鋼製壁および鋼製壁の施工方法 - Google Patents

鋼製壁および鋼製壁の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に高い止水性を持たせることができる鋼矢板を連結してなる壁体を鋼管またはH形鋼で補強し、かつ、施工が容易な鋼製壁を提供する。
【解決手段】複数のハット形鋼矢板1が継手により連結されて壁体4が設けられている。壁体4を補強する鋼管2が壁体4の長手方向に沿って並べて設けられている。壁体4と鋼管2との間に間隔が設けられている。壁体4の頭部と鋼管2の頭部とがコーピング5により連結されている。壁体4と鋼管2とを施工する際に、壁体4と鋼管2との間には、壁体4のハット形鋼矢板1と鋼管2とが施工中に接触することがない間隔が設定されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、土留め工、締切工、護岸、埋立、堤防等で用いられる鋼製壁および鋼製壁の施工方法に関する。
従来、鋼矢板や鋼管矢板は、土留め工、締切工、護岸、埋立、堤防等の様々な工事で用いられている。鋼矢板と鋼管矢板は求められる剛性によって使い分けられる。一般に鋼矢板は剛性が低くてもよい場面、鋼管矢板は剛性の高いものが要求される場面で使用される。
ここで、鋼管矢板は鋼矢板に比べて継手の余裕量が大きい。したがって、締切工や護岸などを構築する際に止水性が要求される場合には、一般に継手空間に袋詰めセメントモルタルを充填する方法が採用されている。この方法では、河川・港湾等の水辺環境で用いる場合にモルタルを詰める袋が破損するとモルタルが流出してしまう可能性がある。また、袋どうしの隙間が水みちになりうるので、厳しい止水性を求められる用途には必ずしも適さない。
そこで、海面廃棄物処分場などの遮水性護岸等のように、処分場内部の水の漏洩防止が厳しく要求される場合の方策として、鋼管矢板の継手空間に漏れ防止対策が施され、この継手空間にモルタル等の充填剤が直接充填された構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようにモルタルを充填する場合は、鋼管矢板を地中に打ち込んだ後、継手内部の土砂をウォータージェット等で排土して、袋詰めモルタルやモルタルを継手内に充填するという作業を行う必要があり、現場作業に手間と時間とを要するという欠点を有している。
これに対し、鋼矢板は、鋼管矢板に比べて剛性は低くなるものの、止水性に優れ、継手分の遊間が小さく、何も対策を行わない状態であっても鋼管矢板と比べて止水性が高い。また、予め継手に膨潤性止水材を塗装しておくことにより、鋼矢板の止水性をさらに高めることもできる。この方法により、上記対策を行った鋼管矢板と同等以上の止水性能を発揮することが可能である上、現場作業の手間の省略が可能になる。
そこで、鋼矢板の剛性を高める技術として、壁体を構成するU形(ハット形)鋼矢板にH形鋼を一体化して補剛された組合せ鋼矢板を用いる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような構造の組合せ鋼矢板は、断面積が大きくなり、打設時の抵抗が大きくなるため、施工方法が限定される。特に、硬質地盤での施工が難しくなる。
そこで、硬質地盤での施工のために、地盤を掘削するアースオーガ(掘削装置)を用いた工法を適用することが考えられる。しかし、組合せ鋼矢板の断面形状が広い範囲に渡るため、工夫が必要になる。その工夫の一例として、特許文献2の組合せ鋼矢板に類似する構造の組合せ鋼矢板を建て込む場合に、以下のような工法を用いることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。すなわち、前記組合せ鋼矢板の打設時にアースオーガで掘削する範囲と、この組合せ鋼矢板の前に打設された組合せ鋼矢板の建て込み時にアースオーガで掘削された範囲とに跨るように、前記組合せ鋼矢板を打設する工法が提案されている。
特許第3756755号公報 特開2002−212943号公報 特許第4074241号公報
上述のように、鋼製壁としての剛性は、鋼矢板壁より鋼管矢板壁の方が高い。一方、継手における止水性能は、鋼管矢板壁より鋼矢板壁の方が容易に高められる。
そこで、前記特許文献2に示されるように、止水性能を高くし易い鋼矢板壁に形鋼を組み合わせることにより、剛性と高い止水性能とを兼ね備えた鋼製壁を構築できる。
しかし、鋼矢板と形鋼とを組み合わせることにより、断面積が大きくなる。したがって、上述のように、使用可能な施工方法が制限される。
ここで、鋼矢板と形鋼等の補強材とを接合して一体とせずに、鋼矢板と形鋼とを接触した状態として、鋼矢板からなる鋼矢板壁(壁体)を形鋼で補強することが考えられる。この場合には、それぞれを別々に施工することも可能になる。しかし、鋼矢板と補強材とを別々に施工する場合に、先に施工した部材に対して、後から施工する部材を先に施工した部材に接触させた状態で打設すると、鋼矢板と補強材との摺動抵抗により、大きな力が必要になったり、また、騒音や振動が発生する虞がある。施工精度によっては、これら鋼矢板と補強材とのいずれかに変形が生じる可能性もある。また、後から施工する部材を先に施工した部材に接触させた状態で打設するために、後から打設する部材の施工方法が制限される。例えば、補強材としての鋼管を回転圧入することが困難になるとともに、部材を振動させて打設するバイブロ系の施工方法を用いることが困難になる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、容易に高い止水性を持たせることができる鋼矢板を連結してなる壁体を鋼管またはH形鋼で補強した構造としながら、施工が容易な鋼製壁を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の鋼製壁は、複数の鋼矢板が継手により連結されて壁体が設けられ、前記壁体を補強する鋼管またはH形鋼からなる複数の補強材が前記壁体の長手方向に沿って、前記壁体と間隔をあけて並べて設けられ、前記壁体と前記補強材とは、両者の頭部に跨って打設されたコンクリートにより連結されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明においては、鋼製壁に土圧や水圧が作用した場合に、壁体の頭部と補強材の頭部とが連結されているので、壁体と補強材との間で荷重伝達が行われる。これにより鋼製壁は、作用する土圧や水圧を壁体と補強材とで分担して受け持つ構造とすることができる。また、壁体の頭部と、補強材の頭部とを連結して固定することにより、壁体と補強材との鉛直方向のずれを規制することができる。これらにより、壁体に発生する曲げモーメントの低減を図ることができる。
施工面においても、壁体と補強材とが離れているので、鋼矢板を地盤に打設するとともに連結して壁体を構築する施工と、補強材を地盤に打設する施工と別々に行うことができるとともに、これら壁体と補強材とが接触していないので、施工が容易になる。すなわち、壁体と補強材との間に間隔を設けることによって、バイブロハンマ工法や、補強材が鋼管の場合は回転圧入工法で施工することも可能である。また、言うまでもなく油圧圧入工法等の静的圧入工法も可能である。このように、施工方法の制約が少ないので、鋼管やH形鋼を地盤に打設可能な各種施工方法を状況に応じて選択して用いることができる。
さらに、タイロッド式の壁体構造のような大きな施工スペースを必要としない。また、鋼管と壁体を跨るようにコンクリートが打設されているので、鋼管と壁体との間の天端が陥没する等の危険性が少ない。
請求項2に記載の鋼製壁は、請求項1に記載の発明において、前記壁体と前記補強材とは、前記コンクリートに加えて連結部材によって連結されていることを特徴とする。
請求項2の発明においては、コンクリートに加えて連結部材によっても壁体−補強材間の荷重伝達がなされる。そこで、コンクリートによる連結だけではコンクリート自体の強度が懸念される状況(例えば、壁体−補強材間で大きな引張荷重が伝達される場合)等において、より有利な構造といえる。
請求項3に記載の鋼製壁は、請求項1または2に記載の発明において、前記補強材が前記鋼管であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明においては、鋼管を用いることによって高い剛性を得ることができるとともに、回転圧入工法や中掘り工法を用いることが可能になり、騒音や振動を抑制した施工が容易になる。
請求項4に記載の鋼製壁は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記壁体と前記補強材とを施工する際に、前記壁体と前記補強材との間には、前記壁体の前記鋼矢板と前記補強材とが施工中に接触することがない間隔が設定されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明においては、上述の振動、騒音や変形を防止できる可能性が高まる。すなわち、壁体と補強材との間に間隔を設けるものとしても、間隔が狭いと、例えば、補強材を打設する際に、施工中に補強材の打設方向にずれが生じた場合に壁体に補強材が接触してしまい、これが振動、騒音や変形の発生の要因になる可能性があるが、これらの発生を抑制することができる。例えば、施工時に壁体と補強材との間に50mm以上の間隔を設けてやれば、補強材の位置や角度にずれが生じるようなことがあっても、壁体と補強材とが接触するのを抑制することができる。
請求項5に記載の鋼製壁は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記壁体が、当該壁体の長手方向に凹凸を繰り返す波板状に設けられ、前記壁体と前記補強材との間には、前記補強材の一部が前記壁体の凹部内に入り込んだ状態になる間隔が設定されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明においては、補強材の一部が波板状の壁体の凹部に入り込んだ状態に配置されるので、壁体と補強材との間に間隔があけられていても、鋼製壁全体の厚さが厚くなるのを防止することができる。
また、壁体の頭部と、補強材の頭部とを連結する部材が大きくなるのを抑制し、コストの低減を図ることができる。
請求項6に記載の鋼製壁は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記壁体の相対的に大きな圧力を受ける側に、前記補強材が設けられていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明においては、壁体の両面のうち、相対的に大きな圧力(土圧や水圧)を受ける面の側に補強材が設けられ、壁体と補強材とが圧力を受けることになり、壁体には補強材から離れる方向に荷重が作用することになる。このとき、壁体の頭部と、補強材の頭部とが連結され、壁体と補強材との間で荷重伝達が行われる構造になっているので、壁体と補強材とで荷重を分担して受けることができる。したがって、補強材を壁体の相対的に大きな圧力を受ける側に配置しても壁体に補強材を組み合わせることにより、十分に強度の向上を図ることができる。また、鋼製壁を、例えば護岸や土留め壁等として利用した場合に、補強材が背面側に配置されることになる。したがって、鋼製壁上部の露出する側では、壁体の側面だけが露出し、補強材が隠された状態になるので、外観が煩雑にならず、美観に優れたものになる。
請求項7に記載の鋼製壁は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記壁体の相対的に大きな圧力を受ける側の反対側に、前記補強材が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明においては、基本的に壁体に土圧や水圧が作用し、壁体の頭部と、補強材の頭部との連結部分で荷重が壁体から補強材に伝達され、壁体と補強材とで土圧を分担して受けることができる。また、護岸や土留め壁等として用いた場合に、補強材が壁体の前面側すなわち上部が露出する側に配置されることになる。したがって、例えば、施工時に補強材の頭部を露出するための掘削の必要がなく、露出した状態の補強材や補強材と壁体との連結部分の補修を容易に行うことができる。
本発明の鋼製壁は、従来の鋼矢板壁と同様の高い止水性能を得られるとともに、補強材に荷重が伝達されることで壁体に発生する曲げモーメントを低減することができる。また、鋼矢板と鋼管またはH形鋼を組み合わせた構造でありながら、それぞれを別に施工することが可能なので、施工を容易にできる。
本発明の第1実施形態に係る鋼製壁を示す要部概略平面図である。 前記鋼製壁を示す要部概略平面図である。 地盤中の前記鋼製壁を示す概略断面図である。 本発明の第2実施形態に係る鋼製壁を示す要部概略平面図である。 地盤中の第2実施形態の前記鋼製壁を示す概略断面図である。 本発明の第3実施形態に係る鋼製壁を示す要部概略平面図である。 地盤中の第3実施形態の前記鋼製壁を示す概略断面図である。 本発明の第4実施形態に係る鋼製壁を示す要部概略平面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1から図3に示すように、この実施形態の鋼製壁3は、鋼矢板としてのハット形鋼矢板1と鋼管(補強材)2とを組み合わせて構成されている。複数のハット形鋼矢板1を連結して構成される壁体(矢板壁)4の長手方向に沿って、複数の鋼管2が1列に互いに間隔をあけて並べて配置されている。また、ハット形鋼矢板1および鋼管2がそれらの長手方向が互い平行にされているとともに、それらの長手方向が鉛直方向になっている。
ハット形鋼矢板1は、ウェブ1aと、ウェブ1aの両側縁からそれぞれ互いに広がるように斜めに延出する一対のフランジ1bと、左右のフランジ1bの先端からウェブ1aと平行に左右に延出する一対のアーム1cと、アーム1cの先端に設けられた継手1dとを備えている。
また、ハット形鋼矢板1と、鋼管2とは接しておらず、ハット形鋼矢板1と、鋼管2との間に間隔があけられた状態になっている。また、鋼管2の径は、ハット形鋼矢板1の幅(有効幅)よりも狭くなっている。この鋼管2は、その一部がハット形鋼矢板1で構成される壁体の一方の側面の谷部分になる凹部に入り込んだ状態になっている。
複数のハット形鋼矢板1は、その継手1dどうしを連結して一列に並べられて鋼矢板壁としての上述の壁体4を構築している。また、ハット形鋼矢板1および鋼管2は地盤に打設されている。
この鋼製壁3では、図2および図3に示すようにハット形鋼矢板1からなる壁体4の頭部と、鋼管2の頭部とがコーピング5により連結されている。すなわち、壁体4の頭部と、鋼管2の頭部とを巻き込んで打設されるコンクリートによりコーピング5が設けられている。このコーピング5になるコンクリート内に壁体4の頭部と、鋼管2の頭部とが入り込んでいることにより、壁体4の頭部と、鋼管2の頭部とが連結して固定されている。
また、コーピング5のコンクリートにより、鋼管2の上端開口が閉塞されている。コーピング5は、壁体4の長さ方向に沿って設けられており、一つの壁体4の長さと同様の長さのコーピング5により、全ての鋼管2が壁体4に連結されている。
また、壁体4に対して、鋼管2が土圧がかかる側の反対、すなわち、土圧がかからない側になる前面側に配置されている。
また、この例の鋼製壁3は、例えば、護岸になっており、高い側の地盤面aに対して低い側の地盤面b側が海、湖、河川等の水側になっている。なお、鋼製壁3は、護岸に限られるものではなく、土留め工、締切工、埋立、堤防等で用いることができる。
ハット形鋼矢板1からなる壁体4と、鋼管2との間には、壁体4(ハット形鋼矢板1)と、鋼管2とを別々に施工した際に、先に施工された壁体4もしくは鋼管2に対して、後から施工する壁体4もしくは鋼管2が施工中に接触しない程度の間隔が設けられている。具体的には、施工時に壁体4と鋼管2との最も互いに接近する部分における間隔が50mm以上になっていることが好ましい。なお、60mm以上や、70mm以上や、80mm以上であってもよいが、壁体4の頭部と、鋼管2の頭部のとの連結にかかるコストや、鋼製壁体の全体の厚さ等を考慮すると、壁体4としての凹凸(山と谷と)を繰り返す波板状の矢板壁の谷側の凹部内に鋼管2の少なくとも一部が入り込んだ状態になる間隔が好ましい。
この場合、例えば、ハット形鋼矢板1の型式等によって、凹部の深さ(ウェブ1aとアーム1cとの間のこれらに直交する方向に沿った距離)が異なるが、例えば、900mm幅のハット形鋼矢板の場合、凹部の深さは200mmから300mm程度なので、鋼管2と壁体4のハット形鋼矢板1のウェブ1aとの間隔をそれ以下とすることが好ましい。
次に、鋼製壁3の施工方法について説明する。
鋼製壁3の施工においては、壁体4を構成するハット形鋼矢板1と、補強材になる鋼管2とをそれぞれ別々に地盤に打設する。
この際にハット形鋼矢板1を先に地盤に打設してもよいし、鋼管2を先に地盤に打設してもよい。また、壁体4が既設の鋼矢板壁であって、これを補強する目的等で鋼管を打設してもよい。
また、ハット形鋼矢板1を順次、先に打設されたハット形鋼矢板1に連結しながら打設する工程と、鋼管2を一列に並べて順次打設していく工程とを並行して行ってもよい。
また、ハット形鋼矢板1の打設においては、先に圧入したハット形鋼矢板1から反力を取ってハット形鋼矢板1を圧入する油圧圧入工法を用いてもいいし、バイブロハンマ工法を用いてもよいし、打設に際してアースオーガによる掘削を行ってもよい。
鋼管2の圧入においても、ハット形鋼矢板1と同様の施工方法を用いることができるとともに、鋼管2の場合には、回転圧入工法や、鋼管2内から地盤を掘削して鋼管2を圧入する中掘り工法を用いてもよい。
この鋼製壁3にあっては、矢板壁である壁体4と補強材としての鋼管2とが施工中に接触しない間隔、例えば、50mm以上の間隔をあけて地盤に打設されるので、壁体4と鋼管2が施工中に摺動して振動、騒音や変形が生じるのを抑制することができる。
また、壁体4と鋼管2とが施工中に接触している場合には、例えば、打設時に打設する部材を振動させるバイブロ系の工法や回転圧入工法を採用すると、上述の騒音、振動や変形の可能性が高くなってしまう。それによって、使用可能な施工方法が制限されることになる。それに対して、この実施形態では、施工中に壁体4と鋼管2とが離れているので、施工方法の選択肢が広い。
また、鋼矢板と補強材とを接合して一体化した場合には地盤に打設される部材の断面積が大きくなり、打設が難しくなるが、それに対して、この実施形態の鋼製壁3は、壁体4と鋼管2とが別々に打設されるので、施工を容易にすることができる。また、壁体4と鋼管2とが施工中に接触しないように離れているので、上述のように壁体4と鋼管2とが接触している場合よりさらに施工が容易になる。
鋼矢板1(壁体4)と鋼管2とを打設した後、壁体4の鋼管2とを跨ってコーピング5を打設する。これにより、壁体4の頭部と鋼管2の頭部とが連結される。
この鋼製壁3においては、壁体4の頭部と、鋼管2の頭部とが連結されているので、連結部分により、壁体4と鋼管2との間で荷重伝達が可能であり、鋼製壁3が受ける土圧や水圧を、壁体4と鋼管2とが分担して受けることになる。また、壁体4の頭部と、鋼管2の頭部とが連結されているので、鋼管2と壁体4との鉛直方向の位置ずれを防止することができる。以上のことから、鋼製壁3では、鋼管2で補強された壁体4に発生する曲げモーメントを単独の鋼矢板壁よりも減少させることができる。また、鋼製壁3の止水性は、鋼矢板壁と同等とすることができ、継手1dへのモルタルの充填等を行わなくても継手部分にモルタルが充填された鋼管矢板壁と同等レベルの止水性を得られる。
図3の実施形態では、鋼製壁3において、壁体4の土圧のかかる側の反対、すなわち、土圧のかからない前面側に鋼管2が配置されている。したがって、護岸や土留め工等で用いられた場合に、鋼管2の少なくとも上端部が露出した状態になり、鋼管2の頭部と壁体4の頭部との連結時に掘削を必要としない。また、鋼管2の少なくとも上端部が露出しているので、鋼管2の頭部と壁体4の頭部との連結部分などの補修が容易になる。前述のような既設の鋼矢板壁の補強目的の場合、前面側に鋼管を設置すれば、コーピングを打設する際に掘削を必要としない。さらに、同じ長さの鋼管で補強する場合であっても、背面に設置する場合に比べて、土中に打ち込む長さが短くなり、施工手間とコストを削減することが可能となる。
図1の実施形態では、鋼製壁3が護岸として用いられ、コーピング5によって、鋼管2の頭部と、壁体4の頭部とが連結されている。したがって、コーピング5は、鋼管2の頭部と壁体4の頭部との連結材であるとともに、鋼管2の開口部を塞ぐという機能も備える。この形態では、タイロッドのような専用の連結部材を必ずしも必要としないことから、コストの低減を図ることができる。
この実施形態の鋼製壁3においては、壁体4の上下長さ(ハット形鋼矢板1の長さ)より鋼管2の長さを長くしている。相対的に剛性の高い鋼管2の長さを長くすることによって、鋼管2で土圧を受け持ち、壁体4で土砂の流出を防ぐ役割を持たせるといった自由な設計が可能となり、鋼重や施工コストを低減する事が可能になる。例えば、鋼管2を壁体4より長くし、鋼管2だけを支持層に根入れするものとしてもよい。
なお、後述のように壁体4の上下長さより鋼管2の長さを短くしてもよいし、壁体4の上下長さと鋼管2の長さと同じとしてもよい。鋼管2の長さは、鋼製壁3の強度の観点から決められる。また、壁体4の上下長さが鋼管2の長さと同程度ではボイリング、ヒービングや円弧すべりが懸念される場合は、壁体4の上下長さを、鋼管2に対して長くすればよい。また、地下水の止水のために、壁体4を鋼管2より長くしてもよい。
図3の実施形態では、壁体4の各ハット形鋼矢板1毎(壁体4の凹部毎)に、鋼管2が配置されているが、求められる強度によっては、全てのハット形鋼矢板1に鋼管2を配置する必要はなく、例えば、鋼管2を一つおきや二つおきのハット形鋼矢板1毎(一つおきや二つおきの凹部毎)に、配置するものとしてもよい。但し、鋼管2が壁体4の長手方向に沿って並べられた状態で、鋼管2の配置が略均等になっていることが好ましい。
壁体4の凹部の外側に鋼管2が配置される場合には、鋼管2の配置が壁体4の凹部の配置(ハット形鋼矢板1の配置)に規制されないので、壁体4のハット形鋼矢板1の有効幅に関係なく、鋼管2の壁体4に沿った間隔を自由に設定することができる。例えば、鋼管2の中心間の間隔を、壁体4のハット形鋼矢板1の有効幅より狭くしてもよいし、広くしてもよい。
壁体4を構成する鋼矢板は、ハット形鋼矢板1に限られるものではなく、U形鋼矢板、Z形鋼矢板等の各種鋼矢板を用いることができる。
次に、本発明に第2実施形態を説明する。
図4および図5に示す第2実施形態の鋼製壁31は、鋼管2の頭部と壁体4の頭部とをコーピング5とともに、連結部材として鋼製の枕材(例えば、所定長さに切断された鋼板や形鋼)6により連結されている。また、鋼管2と壁体4の上下長さを同じにしている。それ以外は、第1実施形態の鋼製壁3と同様の構成を有する。第1実施形態と同様の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態においては、連結部材として鋼製の枕材6(鋼材)が鋼管2の頭部と壁体4の頭部との間に挟まれた状態に設けられ、枕材6が鋼管2と壁体4とに、例えば溶接、ボルト、ドリルねじ等で固定されることによって、鋼管2と壁体4とが離れた状態で、鋼管2の頭部と壁体4の頭部とが連結されている。
また、第2実施形態においては、上述のように鋼管2の長さと壁体4の上下長さ(ハット形鋼矢板1の長さ)とが略同じとされている。
第2実施形態の鋼製壁31の施工方法は、次のとおりである。
まず、鋼矢板1及び鋼管2を第1実施形態と同様に打設する。次に、枕材となる鋼材6を、鋼矢板1(壁体4)と鋼管2との間に設置し、溶接、ボルト、ドリルねじ等で鋼矢板1(壁体4)と鋼管2にそれぞれ固定する。その後、第1実施形態と同様に、壁体4と鋼管2に跨ってコーピングを打設する。
第2実施形態の鋼製壁31においては、鋼管2の頭部と壁体4の頭部とがコーピング5と枕材6との両方で連結されているので、壁体4に受ける荷重をより確実に鋼管2に伝達することができる。この点と、鋼管2とハット形鋼矢板1とが同じ長さになっていることに基づく効果以外は、第1実施形態の鋼製壁3と同様の作用効果を奏することができる。
次に、本発明に第3実施形態を説明する。
図6および図7に示す第3実施形態の鋼製壁32は、鋼管2の頭部と壁体4の頭部とをコーピング5だけではなく連結部材として一対の板材7を用いて連結し、かつ、鋼管2より壁体4の上下長さを長くし、かつ、鋼管2を壁体4の土圧がかかる背面側に配置した以外は、第1実施形態の鋼製壁3と同様の構成を有する。第1実施形態と同様の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
第3実施形態においては、鋼製の板材7が鋼管2の頭部と壁体4の頭部との間に挟まれた状態に設けられ、板材7が鋼管2と壁体4とにそれぞれ溶接やボルト等で固定されることにより、鋼管2と壁体4とが離れた状態で、鋼管2の頭部と壁体4の頭部とが連結されている。さらに、板材7で連結された鋼管2の頭部と壁体4の頭部とを跨って、コンクリートで巻き込んでコーピング5を設けることにより、コーピング5によっても鋼管2の頭部と壁体4の頭部とを連結している。
また、第3実施形態においては、上述のように鋼管2の長さより壁体4の上下長さ(ハット形鋼矢板1の長さ)を長くしている。
この第3実施形態の鋼製壁32においては、コーピング5を設ける前に、鋼管2の頭部と壁体4の頭部とを板材7で締結する以外は、第1実施形態の鋼製壁の施工方法と同様の施工方法で施工することができる。ただし、地盤a側に鋼管を打設するため、打設前の地盤の掘削量は第1又は第2実施形態よりも多くなる。
この第3実施形態の鋼製壁32においては、壁体4の上下長さを鋼管2より長くしていることにより、ボイリング、ヒービングや円弧すべりの防止を図ったり、地下水の止水を図ったりすることができる。また、コーピング5による連結に加えて板材7による連結を行うことによって、鋼管2の頭部と、壁体4の頭部との連結部分の強度を高めることができる。特に、この構造では、壁体4と鋼管2との間には引張荷重が働くので、鋼製の板材7による連結がさらに有効である。
また、壁体4の背面側に鋼管2を設けることによって、鋼管2を壁体4の前側に露出させずに隠すことができるので、鋼製壁32の美観を高めることができる。
第3実施形態の鋼製壁32では、連結部分の構造、鋼管2と壁体4の長さ、壁体4に対する鋼管2の配置に基づく作用効果を除いて、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図8に示すように、第4実施形態の鋼製壁33は、補強材を鋼管2に代えてH形鋼9としたものであり、それ以外の構成は、第1実施形態の鋼製壁3と同様の構成になっており、同様の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
第4実施形態の鋼製壁33は、補強材としてH形鋼9を用いたものである。H形鋼9は、ハット形鋼矢板1が連接された壁体4の長手方向に沿って、第1実施形態の鋼管2の場合と同様に間隔をあけて一列に並んで配置されている。また、H形鋼9と壁体4との間には、第1実施形態の鋼管2の場合と同様に間隔が設けられている。また、H形鋼9は、壁体4の長手方向に対して、ウェブ9aが直交するように配置されている。したがって、フランジ9bは、壁体4の長手方向に平行になっている。
この壁体4の頭部と、H形鋼9の頭部とが連結されている。鋼製壁33と補強材としてのH形鋼9との連結方法は、第1実施形態から第3実施形態と同様の方法を用いることができる。すなわち、コーピング5よる連結や鋼材を介して溶接やボルトによる締結や、これらの連結の組み合わせによって、壁体4の頭部とH形鋼9の頭部とを連結することができる。
壁体4の長さとH形鋼9の長さとの関係、壁体4に対するH形鋼9の配置(壁体4とH形鋼9の間隔を含む)等の補強材を鋼管2に代えてH形鋼9とした以外の構成は、第1実施形態から第3実施形態と同様とすることができる。
鋼製壁33の施工方法においては、H形鋼9を中掘り工法や回転圧入工法で施工することができないことを除いて、第1実施形態から第3実施形態の鋼製壁の施工方法と同様とすることができる。
第4実施形態の鋼製壁33は、鋼管2による作用効果以外は、第1実施形態から第3実施形態の鋼製壁3と同様の作用効果を奏することができる。
なお、既設の鋼矢板壁を壁体4とし、この壁体4に対して、鋼管2やH形鋼9を打設することによって、鋼製壁3,31,32,33を構築するようにしてもよい。
1 ハット形鋼矢板(鋼矢板)
1d 継手
2 鋼管(補強材)
3 鋼製壁
5 コーピング
31 鋼製壁
32 鋼製壁
33 鋼製壁
9 H形鋼(補強材)

Claims (7)

  1. 複数の鋼矢板が継手により連結されて壁体が設けられ、
    前記壁体を補強する鋼管またはH形鋼からなる複数の補強材が前記壁体の長手方向に沿って、前記壁体と間隔をあけて並べて設けられ、
    前記壁体と前記補強材とは、両者の頭部に跨って打設されたコンクリートにより連結されていることを特徴とする鋼製壁。
  2. 前記壁体と前記補強材とは、前記コンクリートに加えて連結部材によって連結されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼製壁。
  3. 前記補強材が前記鋼管であることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼製壁。
  4. 前記壁体と前記補強材とを施工する際に、前記壁体と前記補強材との間には、前記壁体の前記鋼矢板と前記補強材とが施工中に接触することがない間隔が設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鋼製壁。
  5. 前記壁体が、当該壁体の長手方向に凹凸を繰り返す波板状に設けられ、前記壁体と前記補強材との間には、前記補強材の一部が前記壁体の凹部内に入り込んだ状態になる間隔が設定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の鋼製壁。
  6. 前記壁体の相対的に大きな圧力を受ける側に、前記補強材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の鋼製壁。
  7. 前記壁体の相対的に大きな圧力を受ける側の反対側に、前記補強材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の鋼製壁。
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