JP2014051821A - 組合せ鋼製壁 - Google Patents

組合せ鋼製壁 Download PDF

Info

Publication number
JP2014051821A
JP2014051821A JP2012196900A JP2012196900A JP2014051821A JP 2014051821 A JP2014051821 A JP 2014051821A JP 2012196900 A JP2012196900 A JP 2012196900A JP 2012196900 A JP2012196900 A JP 2012196900A JP 2014051821 A JP2014051821 A JP 2014051821A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
sheet pile
steel sheet
wall
steel pipe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012196900A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5825232B2 (ja
Inventor
Naoya Nagao
直也 永尾
Hiromasa Tanaka
宏征 田中
Kakuta Fujiwara
覚太 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2012196900A priority Critical patent/JP5825232B2/ja
Publication of JP2014051821A publication Critical patent/JP2014051821A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5825232B2 publication Critical patent/JP5825232B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】隣り合う鋼管の中間付近における鋼矢板の発生応力を低減し、鋼管と組合せる効果を発揮できるとともに、壁体としての安全性・健全性を確保できるような鋼管のピッチを有する組合せ鋼製壁を提供する。
【解決手段】複数の鋼矢板が継手により連結されて壁体が設けられるとともに、前記壁体に対して複数の鋼管が壁体を挟んで地盤面の高い側にその長手方向が前記鋼矢板の長手方向と略平行となるよう、かつ前記壁体の幅方向に所定ピッチで鋼管の一部が鋼矢板壁の凹部に入り込むように配置されており、前記鋼矢板と前記鋼管の頭部を連結している組合せ鋼製壁であって、前記壁体の前記鋼管のピッチをL、鋼管径をDとすると、L≦10Dとなっている。そのことにより、隣り合う鋼管の中間付近における鋼矢板の発生応力を低減し、鋼管と組合せる効果を見られ、壁体の幅方向にわたって鋼管の補剛効果が発揮できる。
【選択図】図8

Description

本発明は、土留め工、締切工、護岸、埋立、堤防等で用いられる組合せ鋼製壁に関する。
組合せ鋼製壁とは、鋼矢板とH形鋼や鋼管を組合せて壁体を構築するものであり、H形鋼や鋼管などの補剛材と鋼矢板壁を組み合わせることによって、剛性を高めることができ、壁高の高い領域で適用可能な構造である。また、鋼矢板壁を嵌合させて壁体を構築することで、継手の遊間が比較的大きい鋼管矢板に比べて、止水性を向上させることが可能になる。
組合せ鋼製壁の中でも、鋼管を補剛材として適用した場合は、様々な施工上の長所を有する。H形鋼を補剛材として用いる場合、H形鋼を地盤に打ち込む際に地盤の抵抗によりフランジ部分が変形しやすい等の課題があるが、鋼管の場合はH形鋼のフランジのように突出部分を有していないため、安定した施工がしやすい。また、鋼管を用いることで回転させながら地盤に打設することもできる。
鋼管と鋼矢板を組み合わせてなる鋼製壁の一例として特許文献1および特許文献2に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の鋼製壁は、鋼矢板の表裏面の少なくともいずれか一方の面に補剛材嵌合用の加工治具を設け、この加工治具を介してH形鋼や鋼管矢板などの補剛材を設置するものである。補剛材として鋼管矢板を適用する場合には、補剛材嵌合用に鋼矢板に取り付けた加工冶具に、鋼管矢板の継手を嵌合させて壁体を構成するものであり、鋼管と鋼矢板との荷重伝達は鋼管矢板の継手を介して行われる。
特許文献2に記載の鋼製壁は、複数の鋼矢板が継手により連結されて壁体が設けられるとともに、前記壁体の全てまたは一部の前記鋼矢板に鋼管がその長手方向を前記鋼矢板の長手方向に沿わせて接していることを特徴とする。鋼管と鋼矢板とを組み合わせた壁体とすることで、高い止水性と高い剛性を兼ね備えた鋼製壁を提供することができる。
特開2005−299202号公報 国際公開第2011/142047号パンフレット
特許文献1及び特許文献2では、1つの実施形態として鋼管などの補剛材のピッチを飛ばす構成が記載されている。壁体として必要な剛性・耐力に応じて、ピッチを飛ばす構成は、適切な鋼管やH形鋼などの補剛材を選択して鋼矢板と組み合わせることにより、合理的な構造を実現しうるが、一方で、ピッチを飛ばし過ぎると、壁体が不安定な挙動を示し、所用の性能を発揮できなくなる可能性がある。
鋼矢板と補剛材を組み合わせた壁体の剛性・耐力は、厳密には補剛材の設置位置やその近傍と、隣り合う補剛材の中間付近など場所によっても異なるが、これを平均化した剛性で評価できると仮定すれば、1本あたりの鋼管径やH形鋼のサイズを大きくして、ピッチを大きくするほど、使用する鋼材重量を低減することができる。
しかし、補剛材のピッチを大きくしていくと、鋼矢板壁に対する補剛効果が均等に及ばなくなり、隣り合う補剛材の中間付近で鋼矢板壁の変形が大きくなって、壁体としての変形は壁の幅方向に不均一になる。さらに、ピッチを大きくし過ぎると、もはや隣り合う補剛材の中間付近の鋼矢板には、補剛効果が及ばない状態になる。すなわち、補剛材近傍では鋼矢板壁と補剛材とを組み合わせた剛性の高い壁として挙動するが、隣り合う補剛材の中間付近では鋼矢板壁単体としての挙動、あるいはそれに近い挙動を示すことになる。この場合、壁体としての剛性を平均化して取り扱うことはできず、隣り合う補剛材の中間付近では、鋼矢板壁が塑性化したり、場合によっては局所的に過度な変形を生じて、壁体としての安定性を維持できず倒壊する事態も考えられる。
前記既往の発明では、鋼矢板壁に対して補剛材の効果が適切に得られるピッチの範囲などについては言及されていない。
また、鋼矢板壁と補剛材を組み合わせた「組合せ鋼製壁」において、補剛材として鋼管を用いる方が様々な施工上の長所を有する。H形鋼を補剛材として用いる場合、H形鋼を地盤に打ち込む際に地盤の抵抗によりフランジ部分が変形しやすい等の課題があるが、鋼管の場合はH形鋼のフランジのように突出部分を有していないため、安定した施工がしやすい。また、鋼管を回転させながら地盤に打設することもできる。さらに、鋼矢板の波型の凹部分に円形の鋼管を配置すれば、鋼矢板壁に対して鋼管の補剛効果が均等に及びやすくなる。
そこで、本発明では、鋼管と鋼矢板との組み合わせ鋼製壁に構造を絞って検討することとし、その組合せ鋼製壁において、壁体を挟んで地盤面の高い側(背面側)に鋼管を配置し、鋼管のピッチを飛ばした構造に対して、室内模型試験を行い、鋼矢板壁に対して鋼管の補剛効果が適切に得られるピッチの範囲について検討を行った。
この室内模型試験は以下のとおりである。
図1に示すように、幅1957×高さ1000×奥行き940mmの剛な土槽D内の中央に、アクリルの供試体Kを接着剤により下端固定し、左右にケイ砂5号(乾燥砂)Sを空中落下法により設置し、この状態より、掘削側を下端まで掘り下げて壁体(アクリルの供試体K)の挙動を確認した。
アクリルの供試体Kは、鋼矢板を模擬した波形の板K1と鋼管を模擬したパイプK2の組合せで壁体を構成するもので、頭部にコーピングを設置することを模擬して板を貼り付けて両者を連結している。
なお、鋼管を配置した反対側(前面側)を掘削し、鋼管側から土圧が作用するケースに着目して試験を実施することとし、鋼管と鋼矢板の接触状況、頭部コーピングの有無による影響について検討するために、下記の表にまとめたように条件を変えて試験を実施した。なお、鋼管と鋼矢板が接触していない(ケース(3))についても、鋼矢板壁の中心位置と鋼矢板の外周が一致するようにして鋼矢板壁の凹部に鋼管の一部が入り込むようにしており、いずれのケースにおいても鋼矢板壁の凹部に鋼管の一部が入りこむように設置されている。試験にあたっては、鋼管に対しては土層中央部に配置した鋼管の矢板設置反対側の外周面と、鋼矢板に対しては中央部に配置した鋼管を含む隣り合う2本の鋼管に挟まれた中間位置のウェブ中央部にひずみゲージを貼りつけ、掘削により発生したひずみを計測した。
また、中央部に配置した鋼管では、鋼管の上部に変位計測用の冶具を取り付けて、下端から1050mmの位置で頭部の変位を計測した。






Figure 2014051821
各ケースにおいて鋼管に発生する鉛直方向ひずみの深度方向の分布を図2に示す。グラフ内の鋼管(パイプK2)に発生するひずみは引張側を正としている。なお、グラフ内には、鋼管(パイプK2)を下端固定の片持ち梁として、全土圧が作用すると仮定した場合に算出されるひずみについても併記している。その時のひずみ算出用の土圧については、別途鋼矢板(波形の板K1)のみで同様の試験を行い、その結果から土圧を算出している。また、表2に中央に配置した鋼管の下端から1050mm位置で計測された変位を示す。
Figure 2014051821
図2より、鋼管に発生する鉛直方向のひずみについては、いずれのケースにおいても、鋼管(パイプK2)に全土圧が作用したと仮定した場合と同様の挙動を示している。また、表2に示す通り鋼管の変位に関してもケースによらず、ほぼ同等の値を示しており、鋼矢板(波形の板K1)と鋼管(パイプK2)との接触条件、コーピングの有無に関わらず、鋼管に全土圧が作用したような挙動を示していたと考えられる。
各ケースにおける、隣り合う鋼管の中間位置での鋼矢板に発生する鉛直方向ひずみの深度方向の分布を図3に示す。グラフ内の鋼矢板(波形の板K1)に発生するひずみは圧縮側を正とし、鋼矢板(波形の板K1)を下端固定の片持ち梁として算出されるひずみについても併記している。なお、計算にあたり考慮する土圧については、図4に示す通り鋼管のピッチをL、鋼管径をDとし、鋼管と重複しない部分の長さを(L−D)とした場合、図5に示すように壁体に作用する最深部の荷重をpとする三角形分布の土圧に対して、(L−D)/L・pの三角形分布の土圧(幅分の換算土圧)が作用すると仮定している。
図3より、鋼管と鋼矢板とを頭部で連結しない場合については、鋼管と重複しない部分の長さ(L−D)に作用する土圧を鋼管のピッチLに均して考慮(幅分の換算土圧を考慮)することで、隣り合う鋼管の中間位置における鋼矢板の鉛直方向のひずみ分布を表現できる。
これに対し、鋼管と鋼矢板とを頭部で連結した場合には、鋼矢板壁の壁体浅部で壁体深部とは逆向きの曲げモーメントが発生している。これは、鋼矢板に対しては頭部で鋼管により支えられたような挙動を示しているからであると考えられる。そこで、図6に示すように、下端固定の片持ち梁として考慮していた鋼矢板壁に対して、さらに頭部で水平方向に単純支持されたとして鉛直方向に発生するひずみ計算した。その結果と各ケースにおいて計測された鉛直方向ひずみの深度方向の分布と併せて図7に示す。なお、計算にあたって考慮する土圧については、上記と同様幅分の換算土圧を考慮している。
図7より、鋼管と鋼矢板とを頭部で連結した場合(ケース(2)・(3))には、隣り合う鋼管の中間位置における鋼矢板の鉛直方向のひずみ分布は、鋼矢板壁単体を下端固定で頭部単純支持した梁として、鋼管と重複しない部分の長さ(L−D)に作用する土圧を鋼管のピッチLに均して考慮(幅分の換算土圧を考慮)して計算した値より正方向に若干大きくなる傾向を示している。ここで、計算値より実験値の方がひずみ分布で正方向に大きな値を示すのは、鋼管にも変位が発生することにより、頭部での拘束が低減されることが理由として考えられる。また、頭部を自由にした場合の計算値と実験値を比較すると、実験値の方が深部のひずみで小さな値を示している。
以上より、鋼管と鋼矢板との組み合わせ鋼製壁において、壁体を挟んで地盤面の高い側(背面側)に鋼管を配置し、鋼管と鋼矢板の頭部を連結した場合には、鋼管による鋼矢板の拘束の大小によって支持条件が異なるが、隣り合う鋼管の中間位置における鋼矢板の鉛直方向のひずみ分布は、鋼矢板壁単体を下端固定の梁として、頭部を自由にした場合と、単純支持した場合の間の挙動を示している。また、その時、鋼矢板壁の凹部に鋼管の一部が入りこんで設置されていることで、見掛け上、鋼矢板に作用する土圧が減少したような挙動を示し、鋼管のピッチをL、鋼管径をDとし、鋼管と重複しない部分の長さを(L−D)とした場合、(L−D)/L倍の土圧(幅分の換算土圧)を作用させることで概ね表現できている。
図6に示すように、鋼矢板壁単体を下端固定して頭部を単純支持した梁と仮定して(L−D)/L倍の土圧を作用させた場合、鋼矢板に発生する曲げモーメントの最大値Msfmaxは下記(1)式で求められる。
Figure 2014051821
sfmax:下端固定・頭部単純支持の梁に作用する曲げモーメントの最大値
p:三角形分布荷重の最大値
L:鋼管のピッチ
D:鋼管径
H:壁の高さ
したがって、鋼矢板壁単体を下端固定して頭部を単純支持した梁と仮定して(L−D)/L倍の土圧を作用させた場合に発生する曲げモーメントの最大値Msfmaxは、図6(a)に示すように最深部の荷重をpとする三角形分布荷重が壁体に作用すると考えた時の最大曲げモーメントMmax(=pH/6)を用いて下記(2)式のように表わされる。
Figure 2014051821
Mmax:壁体に発生する最大曲げモーメント(=pH/6)
前述した通り、鋼管と鋼矢板との組み合わせ鋼製壁において、壁体を挟んで地盤面の高い側(背面側)に鋼管を配置し、鋼管と鋼矢板の頭部を連結した場合には、隣り合う鋼管の中間位置における鋼矢板の鉛直挙動は、鋼矢板壁単体を下端固定の梁として、頭部を自由にした場合と、単純支持した場合の間の挙動を示す。したがって、図5(a)及び図6(a)に示すように壁体に最深部の荷重をpとする三角形分布荷重が作用する場合、鋼管から最も離れた位置で鋼矢板に発生する曲げモーメントの最大値Msmaxは下記(3)式で表わされる。
Figure 2014051821
Msmax:隣り合う鋼管の中間付近の鋼矢板に発生する曲げモーメントの最大値
L:鋼管のピッチ
D:鋼管径
Mmax:壁体に発生する最大曲げモーメント(=pH/6)
以上より、鋼管のピッチを飛ばす程、隣り合う鋼管の中間位置における鋼矢板に発生する曲げモーメントは大きくなるが、(L−D)/L≦0.9が成立すれば、隣り合う鋼管の中間位置における鋼矢板においても、鋼矢板壁単体で用いる場合に比べて10%〜60%程度の曲げモーメントの低減効果があり、実用上も鋼矢板の型式を落とす、あるいは強度の低い材料を選択できるなど、効果が見られると考えられる。現在、一般的に用いられている鋼矢板の型式には例えば表3のようなものがある。例えば、10Hの断面係数は25Hの断面係数の56%、IVwの断面係数はVLの断面係数の86%となっており、10%から40%程度曲げモーメントを低減できれば、より型式の低い鋼矢板を選択することができる可能性がある。また、降伏強度では一般的に295N/mmと390N/mmのものが2種類用いられており、25%程度以上曲げモーメント低減できれば、より降伏強度の低い鋼矢板を適用できる可能性がある。
Figure 2014051821
以上より、鋼管のピッチL、鋼管径Dに関して、(L−D)/L≦0.9が成立すれば、壁体の幅方向にわたって鋼管の補剛効果があると考えられる。
したがって、鋼管のピッチLが下記(4)式を満たせば、隣り合う鋼管の中間付近における鋼矢板の発生応力を低減し、鋼管と組み合せる効果が見られる。つまり、壁体の幅方向にわたって鋼管の補剛効果が発揮できる。
L≦10D・・・(4)
次に、鋼管が安全性、健全性を確保するように設定されている場合に、壁体の幅方向にわたって壁体が安全性、健全性を確保するという観点から検討を加える。鋼矢板壁に対しては、隣り合う鋼管の中間付近で鋼矢板に対する鋼管の補剛効果が最も小さくなり、その部分で大きな応力が発生する。前述の通り、壁体を挟んで地盤面の高い側(背面側)に鋼管を配置し、鋼管のピッチをL、鋼管径をDとした場合は、隣り合う鋼管の中間付近の鋼矢板の応力は、図7に示すように鋼矢板壁単体を片持ち梁として全体の(L−D)/L倍の土圧を作用させる場合に発生する応力より小さくなる。すなわち、下記(5)式が成り立つ。
Figure 2014051821
Msmax:隣り合う鋼管の中間付近の鋼矢板に発生する最大曲げモーメント
σs:隣り合う鋼管の中間付近の鋼矢板に発生する最大応力
:鋼矢板壁の壁幅1mあたりの断面係数
L:鋼管のピッチ
p:三角形分布荷重の最大値
D:鋼管径
Mmax:壁体に発生する最大曲げモーメント
(5)式の右辺が鋼矢板の降伏応力σy以下であれば、壁体を挟んで地盤面の高い側(背面側)に鋼管を配置し、鋼管のピッチをLとした場合、隣り合う鋼管の中間付近の鋼矢板に発生する最大応力は降伏応力σy以下となる。つまり、(6)式または(7)式が成立すれば、壁体の幅方向にわたって鋼矢板が降伏に至ることはなく、壁体としての安全性、健全性を確保できる。
Figure 2014051821
σy:鋼矢板の降伏応力
以上より、鋼管と鋼矢板とを組み合わせる「組合せ鋼製壁」であって、壁体を挟んで地盤面の高い側(前面側)に鋼管を配置して、鋼管が鋼矢板の凹部に入り込んでいる構造であっては、鋼管のピッチLに対して(4)式及び(6)式または(7)式が成立すれば、隣り合う鋼管の中間付近における鋼矢板の発生応力を低減し、鋼管と組合せる効果を発揮できるとともに、壁体の幅方向にわたって鋼矢板が降伏することはなく、壁体としての安全性、健全性を確保できる。
上記目的を達成するために、本願の請求項1に係る組合せ鋼製壁は、複数の鋼矢板が継手により連結されて壁体が設けられるとともに、前記壁体に対して複数の鋼管が背面側(壁体を挟んで地盤面の高い側)にその長手方向が前記鋼矢板の長手方向と略平行となるよう、かつ前記壁体の幅方向に所定ピッチで鋼管の一部が鋼矢板壁の凹部に入り込むように配置されており、頭部で鋼管と鋼矢板が連結部材を用いて連結させている組合せ鋼製壁であって、
前記壁体の前記鋼管のピッチをL、鋼管径をDとすると、L≦10Dとなっていることを特徴とする。
L≦10Dとすることで、隣り合う鋼管の中間付近の鋼矢板においても発生するひずみを鋼矢板のみの場合に比べて低減でき、鋼管と鋼矢板を組み合わせる効果が発揮できる。

本願の請求項2に係る組合せ鋼製壁は、請求項1に係る組合せ鋼製壁において、下記(6)式または(7)式が成立するように鋼管のピッチが設定されていることを特徴とする。
Figure 2014051821
(6)式または(7)式が成立することで、壁体の幅方向にわたって鋼矢板が降伏することはなく、壁体としての安全性、健全性を確保できる。
本発明によれば、鋼管と鋼矢板とを組み合わせる「組合せ鋼製壁」であって、壁体を挟んで地盤面の高い側(背面側)に鋼管を配置して、鋼管の一部が鋼矢板の凹部に入り込んでいる構造であっては、隣り合う鋼管の中間付近における鋼矢板の発生応力を低減し、鋼管と組合せる効果を発揮できるとともに、壁体の幅方向にわたって鋼矢板が降伏することはなく、壁体としての安全性、健全性を確保できる。
本発明に係る鋼製壁の鋼管のピッチについて検討するために実施した室内模型試験装置を示し、(a)は平面図、(b)は側断面図である。 図1に示す室内模型試験装置による試験結果を説明するためのもので、各ケースにおける鋼管の鉛直方向のひずみ分布を示すグラフである。 同、鋼管と鋼矢板とを連結していないケース(1)の隣り合う鋼管の中間位置における鋼矢板の鉛直方向のひずみ分布を示すグラフである。 同、鋼製壁に土圧が作用している状態を模式的に示した図である。 同、鋼矢板壁単体を下端固定の梁と仮定して、幅分の換算土圧(全土圧の(L−D)/L倍)を作用させる計算方法を模式的に示した図である。 同、鋼矢板壁単体を下端固定・頭部単純支持の梁と仮定して幅分の換算土圧(全土圧の(L−D)/L倍)を作用させる計算方法を模式的に示した図である。 同、室内模型試験における鉛直方向のひずみ分布と、鋼矢板壁単体を下端固定の梁及び下端固定・頭部単純支持の梁と仮定して幅分の換算土圧(全土圧のL−D)/L倍)を作用させた場合の計算値との比較を示すグラフである。 本発明に係る鋼製壁の実施の形態の一例を示すもので、(a)は要部の概略平面図、(b)は同側断面図、(c)は鋼管と鋼矢板の頭部に鋼板を溶接することによって連結した例を示す要部の概略平面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図8は本発明の第1実施形態に係る組合せ鋼製壁の例である。
図8に示すように、この実施形態の鋼製壁3は、鋼矢板としてのハット形鋼矢板1と鋼管2とを組み合わせて構成されている。ハット形鋼矢板1の長手方向に、長手方向を沿わせて鋼管2が接しており、鋼管2は背面側(壁体を挟んで地盤面の高い側)に配置されている。
ハット形鋼矢板1は、ウェブ1aと、ウェブ1aの両側縁からそれぞれ互いに広がるように斜めに延出する一対のフランジ1bと、左右のフランジ1bの先端からウェブ1aと平行に左右に延出する一対のアーム1cと、アーム1cの先端に設けられた継手1dとを備えている。鋼管2は、ハット形鋼矢板1の凹部に一部入り込んだ状態でウェブ1aに接しており、鋼管と鋼矢板の頭部を両者に跨って設置されたコンクリートによって連結されている。
なお、鋼管は鋼矢板壁の凹部に一部入り込んだ状態としておけば、鋼矢板と鋼管が離れて設置されもよい。離れて設置する場合には、施工上の騒音や振動を抑制し、施工中に鋼矢板と鋼管が接触して変形することもなくなる上、鋼矢板が鋼管と接触しないため、バイブロハンマ工法などの振動工法の採用も可能となる。また、鋼矢板と鋼管は嵌合用の冶具や継手などを設置せず、そのまま離れて設置されているため、鋼管を回転させて打設する回転圧入工法などを適用することも可能になる。また、鋼管のピッチを飛ばして鋼管を打設する場合、複数の打設済鋼管から反力を取って鋼管を油圧圧入または回転圧入で施工しようとすると、反力用の把持装置が大きくなる上、反力を取る鋼管と打設する鋼管との距離が長くなるため、施工が不安定となってしまうが、その場合は打設済の鋼矢板を把持してそこから反力を取ることで、鋼管のピッチを飛ばしても安定した打設が可能になる。
また、鋼管と鋼矢板とを連結する連結用部材としては、鋼矢板と鋼管の両者に跨って設置したコンクリート、鋼矢板と鋼管の両者に溶接接合、ボルト、またはドリルねじで取り付けた鋼板または鉄筋、あるいはいずれかの組合せを用いることができる。また、溶接接合や、コンクリートで結合して、鋼矢板と鋼管との鉛直方向のせん断ズレを抑制すれば、壁体としての剛性や耐力を向上させることも可能となり、壁体の変位を低減し安全性を高め、より経済的な鋼管と鋼矢板の組合せを選択することができる。また、頭部であれば、鋼矢板と鋼管を別々に打設後に連結作業を行いやすい。
図8に示す鋼製壁3では、全てのハット形鋼矢板1に対し鋼管2がそれぞれ沿わせて設置されている構造とはなっておらず、図8(a)に示すように、ハット形鋼矢板1を2枚に対して鋼管2を1本配置する構造となっており、図8(b)に示すように鋼管と鋼矢板を跨るように頭部にコンクリートを設置して連結している。また、図8(c)に示すようにハット形鋼矢板1の継手部に対面するように鋼管を配置して、鋼管と鋼矢板の頭部に鋼板を溶接することで連結しても良い。
鋼製壁3の必要とされる剛性から必要に応じて鋼管の径、板厚、ピッチ等を設定し、鋼管2のピッチをL、鋼製壁3の高さをHとすると、L≦10Dとなるように鋼管のピッチを設定すれば良い。
例えば、鋼製壁3の壁高Hが5000mm、鋼管径が800mmで、土圧による荷重は三角形分布で下端での荷重pが27kN・m、鋼矢板の降伏応力σaを295N/mmとした場合に、鋼管のピッチを1800mmとすれば、(1)式及び(4)式も満たしているので、隣り合う鋼管の中間付近における鋼矢板の発生応力を低減し、鋼管と組合せる効果を発揮できるとともに、壁体の幅方向にわたって鋼矢板が降伏することはなく、壁体としての安全性、健全性を確保できる。
なお、本実施の形態では、ハット形鋼矢板1を2枚に対して鋼管2を1本配置する構造を示したが、本発明はこれに限ることなく、(1)式を満たすことを条件に、鋼管2のピッチを適宜設定することができる。また、ハット形鋼矢板に限らず、U形鋼矢板、Z形鋼矢板、直線鋼矢板を用いた組合せとしても良い。
1 ハット形鋼矢板(鋼矢板)
2 鋼管
3 鋼製壁
4 壁体

Claims (2)

  1. 複数の鋼矢板が継手により連結されて壁体が設けられるとともに、前記壁体に対して複数の鋼管が壁体を挟んで地盤面の高い側にその長手方向が前記鋼矢板の長手方向と略平行となるよう、かつ前記壁体の幅方向に所定ピッチで鋼管の一部が鋼矢板壁の凹部に入り込むように配置されており、前記鋼矢板と前記鋼管の頭部を連結している組合せ鋼製壁であって、
    前記壁体の前記鋼管のピッチをL、鋼管径をDとすると、L≦10Dとなっていることを特徴とする組合せ鋼製壁。
  2. 複数の鋼矢板が継手により連結されて壁体が設けられるとともに、前記壁体に対して複数の鋼管が壁体を挟んで地盤面の高い側にその長手方向が前記鋼矢板の長手方向と略平行となるよう、かつ前記壁体の幅方向に所定ピッチで鋼管の一部が鋼矢板壁の凹部に入り込むように配置されており、前記鋼矢板と前記鋼管の頭部を連結している組合せ鋼製壁であって、
    前記壁体の前記鋼管のピッチをL、鋼管径をD、鋼矢板の降伏応力をσy、鋼矢板壁の壁幅1mあたりの断面係数をZs、
    壁体に作用する最大曲げモーメントをMmaxとすると、下記(6)式または(7)式が成立するように鋼管のピッチが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の組合せ鋼製壁。
    Figure 2014051821
JP2012196900A 2012-09-07 2012-09-07 組合せ鋼製壁および組合せ鋼製壁の設計方法 Active JP5825232B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012196900A JP5825232B2 (ja) 2012-09-07 2012-09-07 組合せ鋼製壁および組合せ鋼製壁の設計方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012196900A JP5825232B2 (ja) 2012-09-07 2012-09-07 組合せ鋼製壁および組合せ鋼製壁の設計方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014051821A true JP2014051821A (ja) 2014-03-20
JP5825232B2 JP5825232B2 (ja) 2015-12-02

Family

ID=50610529

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012196900A Active JP5825232B2 (ja) 2012-09-07 2012-09-07 組合せ鋼製壁および組合せ鋼製壁の設計方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5825232B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109024637A (zh) * 2018-07-21 2018-12-18 四川启创建设工程有限公司 一种组合围堰及其建造施工方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006241816A (ja) * 2005-03-03 2006-09-14 Sumitomo Metal Ind Ltd 地中連続壁
JP2012102497A (ja) * 2010-11-09 2012-05-31 Sumitomo Metal Ind Ltd 鋼製壁および鋼製壁の施工方法
JPWO2011142367A1 (ja) * 2010-05-10 2013-07-22 新日鐵住金株式会社 鋼製壁および鋼製壁の施工方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006241816A (ja) * 2005-03-03 2006-09-14 Sumitomo Metal Ind Ltd 地中連続壁
JPWO2011142367A1 (ja) * 2010-05-10 2013-07-22 新日鐵住金株式会社 鋼製壁および鋼製壁の施工方法
JP2012102497A (ja) * 2010-11-09 2012-05-31 Sumitomo Metal Ind Ltd 鋼製壁および鋼製壁の施工方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109024637A (zh) * 2018-07-21 2018-12-18 四川启创建设工程有限公司 一种组合围堰及其建造施工方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5825232B2 (ja) 2015-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4998646B2 (ja) 鋼管矢板と鋼矢板の連結壁構造およびその構築方法
JP2012007325A (ja) 鋼管矢板壁構造
JP5495706B2 (ja) 既設港湾岸壁の補強構造
JP4903744B2 (ja) 既設の鋼矢板の補強構造、既設の鋼矢板の補強用部材
JP2014051820A (ja) 組合せ鋼製壁
JP2010156191A (ja) L形補強構造物、該l形補強構造物を設置した補強構造及び補強方法
JP5284249B2 (ja) 鋼管矢板の継手構造および鋼管矢板基礎
JP5825644B2 (ja) 桟橋構築方法
JP5825232B2 (ja) 組合せ鋼製壁および組合せ鋼製壁の設計方法
JP2014227661A (ja) 沈埋トンネルの継手部の耐震補強構造
JP6070118B2 (ja) 土留壁構造、土留壁構造の構築方法
JP5633524B2 (ja) 鋼矢板地下壁構造
JP6477586B2 (ja) 鋼矢板壁
JP7156347B2 (ja) 鋼製壁体と鉄筋コンクリート床版の接合構造
EP2848739A1 (en) Steel wall
JP5939622B2 (ja) 土留壁
JP6336773B2 (ja) 山留めh形鋼杭の接合構造および建込み方法
JP4253795B2 (ja) 合成壁の構造
JP5291390B2 (ja) 耐震構造、耐震構造の施工方法、及び建築物
JP2013177787A (ja) 鋼管矢板基礎の施工法
JP6133621B2 (ja) 山留壁
JP2019183437A (ja) 腹起し設置具及び腹起し設置構造
JP2008088781A (ja) 制振補強構造
KR20060072725A (ko) 벽강관말뚝
JP6460810B2 (ja) 鉄骨柱と鉄筋コンクリート梁の接合構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140811

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150416

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150428

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150616

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150915

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150928

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5825232

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350