JP5291390B2 - 耐震構造、耐震構造の施工方法、及び建築物 - Google Patents

耐震構造、耐震構造の施工方法、及び建築物 Download PDF

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Description

本発明は、構造物を構成する上下に配置された水平部材の間に波形鋼板を配置した耐震構造、この耐震構造の施工方法、及びこの耐震構造を有する建築物に関する。
建築物の柱と梁とで囲まれた架構の構面内に鉄筋コンクリート製の耐震壁(以下、「RC耐震壁」とする)を設置し、地震等により建築物に作用する水平力をこのRC耐震壁に負担させて建築物の保有耐力を高める耐震構造が実用化されている。
さらに、RC耐震壁を架構の構面外に設置することにより設置位置の自由度を大きくした補強工法が提案されている。
図29の斜視図には、構面外にRC耐震壁を設置した耐震構造302が示されている。耐震構造302では、上下に設けられたスラブ304、305の間にRC耐震壁300が設置されている。
スラブ304、305は、平面視にてRC耐震壁300の壁面と略直交するように配置された鉄筋コンクリート製の梁306、307、308、309に支持されている。
梁306、307、308、309には、RC耐震壁300の鉛直方向端部に設けられた曲げ抵抗筋(不図示)が定着され、これによって、RC耐震壁300と梁306、307、308、309との一体化が図られている。
また、RC耐震壁300の鉛直方向端部には、RC耐震壁300の内部に複数配置されたシアー筋(不図示)が接続された水平プレート(不図示)が固定されている。そして、RC耐震壁300の上部に固定された水平プレートとスラブ304の下面、及びRC耐震壁300の下部に固定された水平プレートとスラブ305の上面とが、エポキシ樹脂によって接着接合されている。
ここで、図30(a)の正面図に示すように、耐震構造302のスラブ305から階高のほぼ中央高さまでを模擬した構造モデル330において、RC耐震壁300の左側から右側へ(矢印310の方向へ)せん断力が作用すると、このRC耐震壁300に斜めの圧縮束が形成される。すなわち、RC耐震壁300に斜め方向のせん断応力Pが発生する。さらに、RC耐震壁300によってスラブ305の変形は拘束される。
このとき、せん断応力Pの鉛直成分は、RC耐震壁300の下端部と右側に配置された梁309との接合部、及びこの接合部近傍のスラブ305に集中して伝達される。また、図30(b)の平面図に示すように、せん断応力Pの水平成分Pは、梁309の材軸方向中央部、及びこの中央部近傍のスラブ305に集中して伝達される。
このようにRC耐震壁300に斜め方向のせん断応力Pが発生すると、梁309及びスラブ305には過大な応力が局所的に集中するので、梁309は下方及び外側にたわむと共にこの梁309の横断面に対して時計回りにねじりを生じさせられることが考えられる。そして、さらに応力が大きくなると梁309及びスラブ305に損傷を与えることが懸念される。
一方、特許文献1には、架構の構面外に波形鋼板を設置した耐震構造312が開示されている(図31)。耐震構造312では、柱314に支持された大梁316にスラブ326が架設されている。
上下に配置されたスラブ326の間には、波形鋼板318が設置されている。波形鋼板318には、左右の側辺部に沿って設けられたフランジ鋼板320と、上下の水平辺部に沿って設けられたベースプレート322とが溶接等により接合されている。
フランジ鋼板320とベースプレート322とは、端部同士が接合されて一体となり枠324を形成している。また、ベースプレート322は、ボルト328A及びナット328Bによってスラブ326に固定されている。
耐震構造312では、波形鋼板318の鉛直剛性及び面内曲げ剛性が水平剛性に比べて低いので、上下に配置されたスラブ326の変形はこの波形鋼板318に拘束されない。また、せん断力が作用した波形鋼板318には、RC耐震壁のような圧縮束が形成されずに純せん断応力場ができる。よって、架構の構面外にRC耐震壁を設置したときに生じたような、スラブへの局所的な応力集中を防ぐことができる。
しかし、図31のスラブ326の耐力が小さく、早期に曲げヒンジやせん断破壊が生じてしまうと波形鋼板318の剛体(回転)変形のみが増大してしまい、波形鋼板318のせん断耐力及びせん断剛性を十分に発揮させることができない。
よって、図31の耐震構造312は、架構の構面内に配置される耐震壁に比べて耐震壁の設置位置の自由度は高いが、十分な強度を有するスラブや梁の上にしか設置させることができないので、設置位置の自由度をさらに大きくすることが望まれる。
特開2008−7945号公報
本発明は係る事実を考慮し、耐震壁の設置位置の自由度が大きい耐震構造、この耐震構造の施工方法、及びこの耐震構造を有する建築物を提供する。
第1態様の発明は、上下に設けられた水平部材の間に配置される波形鋼板と、前記波形鋼板の上下端辺に沿って配置され該上下端辺に固定された水平プレートと、前記波形鋼板の左右端辺に沿って配置され該左右端辺に固定された鉛直プレートと、前記水平部材と前記水平プレートとを水平力の伝達可能に接続するせん断力伝達手段と、上下に設けられた前記水平部材の少なくとも一方へ曲げ耐力を付与する補強手段と、前記補強手段によって曲げ耐力が付与された前記水平部材の部位へ前記鉛直プレートから作用する鉛直力を伝達する鉛直力伝達手段と、を有する耐震構造である
第1態様の発明では、上下に設けられた水平部材の間に波形鋼板が配置されている。波形鋼板の上下端辺には、この上下端辺に沿って配置された水平プレートが固定されている。また、波形鋼板の左右端辺には、この左右端辺に沿って配置された鉛直プレートが固定されている。
水平部材と水平プレートとは、せん断力伝達手段によって水平力の伝達可能に接続されている。また、上下に設けられた水平部材の少なくとも一方へは、補強手段によって曲げ耐力が付与されている。
そして、鉛直力伝達手段によって、補強手段により曲げ耐力が付与された水平部材の部位へ、鉛直プレートから作用する鉛直力が伝達される。
よって、地震等により、上下に設けられた水平部材が相対移動して波形鋼板にせん断力が作用したときに、この波形鋼板がせん断変形する。これによって、地震等の外力に波形鋼板が抵抗し、耐震効果を発揮させることができる。
また、外力に対して波形鋼板が降伏するように設定すれば、鋼板の履歴エネルギーによって振動エネルギーを吸収することができ、制振効果を発揮させることができる。
また、波形鋼板の鉛直剛性及び面内曲げ剛性は水平剛性に比べて小さいので、上下に設けられた水平部材の変形はこの波形鋼板に拘束されない。また、波形鋼板にはRC耐震壁のような圧縮束が形成されずに純せん断応力場ができる。
よって、架構の構面外にRC耐震壁を設置したときに生じるような、水平部材への局所的な応力集中を防ぐことができる。
また、例えば、波形鋼板の左側からこの波形鋼板がせん断力を受けた場合(波形鋼板の下側の水平プレートに対して波形鋼板の上側の水平プレートが左側の鉛直プレートから右側の鉛直プレートへ向かう方向へ移動する水平力を、波形鋼板が受けた場合)、左側の鉛直プレートに引張力、右側の鉛直プレートに圧縮力を生じながら波形鋼板はせん断変形する。
このとき、右側の鉛直プレートの下端部付近の水平部材には曲げモーメントが作用する。そして、例えば、水平部材が鉄筋コンクリートによって形成されている場合にこの曲げモーメントが大きくなると、この部分の鉄筋が降伏してヒンジを生じる可能性が高くなる。
水平部材にヒンジが生じると、水平部材の剛性が低下して波形鋼板の回転(剛体)変形のみが増大することになる。これにより、波形鋼板が本来持っているせん断剛性を発揮することができなくなってしまう。
これに対して、第1態様の耐震構造では、鉛直力伝達手段によって、波形鋼板から作用する応力を補強手段により曲げ耐力が付与された水平部材の部位へ伝達するので、水平部材に曲げヒンジやせん断破壊が生じることを防ぐことが可能となる。
よって、地震等により波形鋼板にせん断力が作用したときに、波形鋼板の上下に設けられた水平部材の剛性が低下することがないので、波形鋼板が本来持っているせん断耐力とせん断剛性を発揮することが可能となり、地震等によるせん断力に十分抵抗することができる。
これにより、耐力が弱い水平部材上への波形鋼板の設置が可能となり、設置位置の自由度が大きい波形鋼板を提供することができる。
第2態様の発明は、第1態様の耐震構造において、前記補強手段は、前記水平部材の上下面に固定される板材である。
第2態様の発明では、補強手段を水平部材の上下面に固定される板材とすることにより、水平部材が下方に撓む正曲げに対しては、水平部材の下面に固定される板材が水平部材の正曲げにより発生する引張力に抵抗し、水平部材が上方に撓む負曲げに対しては、水平部材の上面に固定される板材が水平部材の負曲げにより発生する引張力に抵抗する。
よって、簡単な方法で確実に水平部材に曲げ耐力を付与することができる。
第3態様の発明は、第2態様の耐震構造において、前記鉛直力伝達手段は、前記水平部材の上下面に固定された前記板材をつなぐ連結部材と、前記水平部材の上面又は下面に固定された前記板材と前記鉛直プレートとを接続する鉛直力伝達部材と、を備える。
第3態様の発明では、鉛直力伝達手段は、連結部材と鉛直力伝達部材とを備えている。連結部材は、水平部材の上面に固定された板材と水平部材の下面に固定された板材とをつなぐ。また、鉛直力伝達部材は、水平部材の上面に固定された板材、又は水平部材の下面に固定された前記板材と、鉛直プレートとを接続する。
水平部材の相対移動によって波形鋼板がせん断変形すると、波形鋼板に作用したせん断応力が水平方向の力として発生すると共に、このせん断応力によって波形鋼板に発生する曲げモーメントを水平プレートの長さで除した力が鉛直方向の力として鉛直プレートに発生する(以下、水平方向の力を「せん断応力の水平成分」とし、鉛直方向の力を「せん断応力の鉛直成分」とする)。
そして、せん断応力の鉛直成分が下向きの力の場合、下方に設けられた水平部材(以下、「下水平部材」とする)へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート、鉛直力伝達部材、下水平部材の上面に固定された板材、下水平部材の順に伝達される。
また、せん断応力の鉛直成分が下向きの力の場合、上方に設けられた水平部材(以下、「上水平部材」とする)へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート、鉛直力伝達部材、上水平部材の下面に固定された板材、連結部材、上水平部材の上面に固定された板材、上水平部材の順に伝達される。
また、せん断応力の鉛直成分が上向きの力の場合、下水平部材へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート、鉛直力伝達部材、下水平部材の上面に固定された板材、連結部材、下水平部材の下面に固定された板材、下水平部材の順に伝達される。
また、せん断応力の鉛直成分が上向きの力の場合、上水平部材へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート、鉛直力伝達部材、上水平部材の下面に固定された板材、上水平部材の順に伝達される。
これにより、鉛直力伝達手段によって、波形鋼板のせん断変形により鉛直プレートに発生するせん断応力の鉛直成分を、補強手段としての板材によって曲げ耐力が付与された水平部材の部位に伝達させることができる。
また、例えば、連結部材をPC鋼棒とし、このPC鋼棒によって板材を緊結すれば(水平部材の上下面に固定される板材を水平部材に強く押し付けるようにすれば)、板材と水平部材とがより一体となるので、水平部材の曲げにより発生する引張力に板材を効果的に抵抗させることができる。
第4態様の発明は、第1態様の耐震構造において、前記補強手段は、前記水平部材に増し打ちされるコンクリートである。
第4態様の発明では、補強手段を水平部材に増し打ちされるコンクリートとすることにより、水平部材の曲げ耐力を向上させる(例えば、水平部材が梁の場合には、梁せいを大きくすることにより梁の曲げ耐力を大きくする)ことができる。
また、水平部材の片側(上面側又は下面側)からの補強により、水平部材の上方及び下方の両方向への撓みに対して、補強効果を発揮することができる。
第5態様の発明は、第1、第2又は第4態様の耐震構造において、前記鉛直力伝達手段は、前記水平部材の上下面に固定される固定部材と、前記水平部材の上下面に固定された前記固定部材をつなぐ連結部材と、前記水平部材の上面又は下面に固定された前記固定部材と前記鉛直プレートとを接続する鉛直力伝達部材と、を備える。
第5態様の発明では、鉛直力伝達手段は、固定部材と連結部材と鉛直力伝達部材とを備えている。
固定部材は、水平部材の上下面に固定される。連結部材は、水平部材の上面に固定された固定部材と、水平部材の下面に固定された固定部材とをつなぐ。鉛直力伝達部材は、水平部材の上面又は下面に固定された固定部材と鉛直プレートとを接続する。
上下に設けられた水平部材の相対移動によって波形鋼板がせん断変形すると、鉛直プレートにせん断応力の鉛直成分が発生する。
そして、せん断応力の鉛直成分が下向きの力の場合、下水平部材へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート、鉛直力伝達部材、下水平部材の上面に固定された固定部材、下水平部材の順に伝達される。
また、せん断応力の鉛直成分が下向きの力の場合、上水平部材へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート、鉛直力伝達部材、上水平部材の下面に固定された固定部材、連結部材、上水平部材の上面に固定された固定部材、上水平部材の順に伝達される。
また、せん断応力の鉛直成分が上向きの力の場合、下水平部材へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート、鉛直力伝達部材、下水平部材の上面に固定された固定部材、連結部材、下水平部材の下面に固定された固定部材、下水平部材の順に伝達される。
また、せん断応力の鉛直成分が上向きの力の場合、上水平部材へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート、鉛直力伝達部材、上水平部材の下面に固定された固定部材、上水平部材の順に伝達される。
これにより、鉛直力伝達手段によって、波形鋼板のせん断変形により鉛直プレートに発生するせん断応力の鉛直成分を補強手段によって曲げ耐力が付与された水平部材の部位に伝達させることができる。
第6態様の発明は、第1態様の耐震構造において、前記鉛直力伝達手段は、前記補強手段によって曲げ耐力が付与された前記水平部材の部位へ前記鉛直プレートから作用する上向き又は下向きの一方の鉛直力のみを伝達する。
第6態様の発明では、鉛直力伝達手段によって、補強手段により曲げ耐力が付与された水平部材の部位へ、鉛直プレートから作用する上向き又は下向きの一方の鉛直力のみが伝達される。
よって、水平部材の上下面に板材等の部材を固定し、この部材を水平部材の曲げにより発生する引張力に抵抗させる補強方法を用いる場合、水平部材へは鉛直プレートから作用する上向き又は下向きの一方の鉛直力のみが伝達されるので(鉛直プレートから作用する鉛直力によって上下の一方にしか水平部材は撓まないので)、水平部材の上下面の一方の面に板材等の部材を固定するだけでよい。これにより、補強工事の簡略化を図ることができる。
また、例えば、上水平部材の下面、及び下水平部材の上面に板材を固定する。そして、鉛直力伝達手段によって、板材により曲げ耐力が付与された上水平部材の部位へ下向きの鉛直力のみが伝達され、板材により曲げ耐力が付与された下水平部材の部位へ上向きの鉛直力のみが伝達されるようにすれば、波形鋼板を設置する階だけで水平部材の補強を行うことができる。
このように、波形鋼板を設置する階だけで水平部材の補強を行うことができれば、波形鋼板を設置しない階の居住者が建物を使用している状態で、改修工事(波形鋼板の設置)を行うことができる。
また、複数階で改修工事(波形鋼板の設置)を行う場合、上下の階で行われる工事(例えば、上階に波形鋼板を設置するための梁の補強工事と、下階に波形鋼板を配置する工事)が錯交しないので、作業の手待ちを無くすことができ、工事を効率よく行うことができる。
第7態様の発明は、第6態様の耐震構造において、前記鉛直力伝達手段は、前記水平部材及び前記鉛直プレートの一方に設けられたピン部材と、前記鉛直プレート及び前記水平部材の他方に設けられ該ピン部材が上方及び下方の一方のみへ移動可能に固定される支持部材と、を備える。
第7態様の発明では、鉛直力伝達手段が、ピン部材と支持部材とを備えている。ピン部材は、水平部材及び鉛直プレートの一方に設けられている。また、支持部材は、鉛直プレート及び水平部材の他方に設けられている。そして、ピン部材は、上方及び下方の一方のみに移動可能に支持部材に固定されている。
よって、鉛直プレートに設けられたピン部材が、水平部材に設けられた支持部材に下方へのみ移動可能に固定されている場合には、鉛直プレートに発生する下向きの力は支持部材に伝達されず、鉛直プレートに発生する上向きの力は支持部材に伝達される。
また、鉛直プレートに設けられたピン部材が、水平部材に設けられた支持部材に上方へのみ移動可能に固定されている場合には、鉛直プレートに発生する上向きの力は支持部材に伝達されず、鉛直プレートに発生する下向きの力は支持部材に伝達される。
また、水平部材に設けられたピン部材が、鉛直プレートに設けられた支持部材に下方へのみ移動可能に固定されている場合には、鉛直プレートに発生する上向きの力は支持部材に伝達されず、鉛直プレートに発生する下向きの力は支持部材に伝達される。
また、水平部材に設けられたピン部材が、鉛直プレートに設けられた支持部材に上方へのみ移動可能に固定されている場合には、鉛直プレートに発生する下向きの力は支持部材に伝達されず、鉛直プレートに発生する上向きの力は支持部材に伝達される。
これにより、鉛直力伝達手段によって、補強手段により曲げ耐力が付与された水平部材の部位に、鉛直プレートから作用する上向き又は下向きの一方の鉛直力のみが伝達されるので、第6態様と同様の効果を得ることができる。
第8態様の発明は、第1〜第7態様の何れか1態様の耐震構造において、前記水平部材は、平面視にて前記波形鋼板と交差するように配置された梁に支持され前記水平プレートが接続されるスラブと、前記梁とによって構成され、前記補強手段によって前記梁に曲げ耐力が付与されている。
第8態様の発明では、水平部材は、スラブと梁とによって構成されている。梁は、平面視にて波形鋼板と交差するように配置されこの梁にスラブが支持されている。また、スラブには水平プレートが接続されている。また、梁には補強手段によって曲げ耐力が付与されている。
よって、梁は、梁断面の有する剛性でのみ抵抗するのではなく、スラブの協力幅を含めた梁断面の有する剛性で抵抗させることができる。
ここで、スラブの協力幅とは、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説の許容応力度設計法(日本建築学会、1999)に示された算定式で求まる幅である。例えば、並列T形断面部材では、材の側面から隣りの材の側面までの距離aを、ラーメン材または連続梁のスパン長さLで除した値が0.5以上の場合、協力幅は0.1Lで表せる。
また、波形鋼板から作用する応力の水平成分は梁の材軸方向へ分散して伝達されるので、RC耐震壁の場合のように梁に大きなねじれが発生することがなくなる。
よって、例えば、梁が鉄筋コンクリートによって形成されている場合、ねじれモーメントによる付加的な引張力が発生しないため、RC耐震壁の場合よりも梁主筋の降伏によるヒンジの形成を遅らせることができる。
第9態様の発明は、第8態様の耐震構造において、前記補強手段は、前記スラブから前記梁に渡って設けられている。
第9態様の発明では、波形鋼板の鉛直剛性及び面内曲げ剛性は水平剛性に比べて小さいので、上下に設けられた水平部材の変形はこの波形鋼板に拘束されない。
しかし、鉛直プレートに生じる軸力変動によってスラブに強制変形が生じるためにスラブ端(スラブと梁との接合部)付近の曲げモーメントが大きくなり、この位置でヒンジが生じる可能性がある。
これに対して第9態様では、スラブから梁に渡って(スラブ端付近に)補強手段を設けることによって、この位置に発生するヒンジを防ぐことができる。
第10態様の発明は、第8又は第9態様の耐震構造において、前記スラブの協力幅に相当する前記スラブの上面に、前記梁の材軸方向に沿って板材が固定されている。
第10態様の発明では、スラブの協力幅に相当するスラブの上面に梁の材軸方向に沿って板材が固定されている。
よって、梁は梁断面の有する剛性でのみ抵抗するのではなく、スラブの協力幅を含めた梁断面の有する剛性で抵抗させることができるので、協力幅に相当するスラブの耐力を板材によって増大させることにより梁の耐力を向上させることができる。
また、梁の下面に板材が固定されている場合、梁が下方に撓む正曲げに対しては、梁の下面に固定された板材が梁の正曲げにより発生する引張力に抵抗する。さらに、このとき協力幅分のスラブが梁の圧縮側の抵抗要素として加わるので、梁断面の中立軸が梁の上部側に移行する。これにより、梁の下面に固定された板材が梁の正曲げに対して効果的に抵抗する。
また、梁の上面に板材が固定されている場合、梁が上方に撓む負曲げに対しては、梁の上面及びスラブの上面に固定されたそれぞれの板材が梁の曲げにより発生する引張力に抵抗することができる。
第11態様の発明は、第8〜第10態様の何れか1態様の耐震構造において、前記梁は、前記水平プレートの軸線と前記梁とが交差する交差位置から前記梁の端部へ向かって、前記交差位置から前記梁の端部までの距離の40%以上の位置まで前記補強手段によって曲げ耐力が付与されている。
第11態様の発明では、補強手段によって梁に曲げ耐力が付与されている。この曲げ耐力の付与は、水平プレートの軸線と梁とが交差する交差位置から梁の端部へ向かって、この交差位置から梁の端部までの距離の40%以上の位置まで行われている。
ここで、梁が鉄筋コンクリートによって形成されている場合、梁は、材軸方向に分散した幅を持った部分(交差位置から梁の端部へ向かって、交差位置から梁の端部までの距離の40%の位置までの範囲)で、波形鋼板がせん断変形したときに生じる曲げモーメントに抵抗する。
よって、この曲げモーメントに抵抗する部分に補強手段により曲げ耐力を付与することによって、RC耐震壁を設置した場合に発生する局所的な損傷を防ぐ為に施す局所的な補強に比べて高い補強効果を得ることができる。
第12態様の発明は、第1〜第11態様の何れか1態様の耐震構造において、前記せん断力伝達手段は、接着材である。
第12態様の発明では、せん断力伝達手段を接着材とすることによって、水平部材と水平プレートとを接続する際に、ドリルによる穿孔時の騒音や振動粉塵等を減らす、又は、なくすことができる。
第13態様の発明は、上下に設けられた水平部材の少なくとも一方へ補強手段によって曲げ耐力を付与する水平部材補強工程と、上下端辺に沿って配置された水平プレートが該上下端辺に固定され、左右端辺に沿って配置された鉛直プレートが該左右端辺に固定された波形鋼板を、上下に設けられた前記水平部材の間に配置する波形鋼板配置工程と、前記水平部材と前記水平プレートとをせん断力伝達手段によって水平力の伝達可能に接続する水平プレート接続工程と、前記鉛直プレートから作用する鉛直力を前記補強手段によって曲げ耐力が付与された前記水平部材の部位へ伝達する鉛直力伝達手段を設ける鉛直力伝達手段設置工程と、を有する耐震構造の施工方法である
第13態様の発明では、耐震構造の施工方法は、水平部材補強工程、波形鋼板配置工程、水平プレート接続工程、及び鉛直力伝達手段設置工程を有している。
水平部材補強工程においては、上下に設けられた水平部材の少なくとも一方へ補強手段によって曲げ耐力を付与する。
波形鋼板配置工程においては、上下に設けられた水平部材の間に波形鋼板を配置する。波形鋼板の上下端辺には、この上下端辺に沿って配置された水平プレートが固定されている。また、波形鋼板の左右端辺には、この左右端辺に沿って配置された鉛直プレートが固定されている。
水平プレート接続工程においては、水平部材と水平プレートとをせん断力伝達手段によって水平力の伝達可能に接続する。
鉛直力伝達手段設置工程においては、鉛直プレートから作用する鉛直力を補強手段によって曲げ耐力が付与された水平部材の部位へ伝達する鉛直力伝達手段を設ける。
よって、第1態様と同様の効果を得ることができる。
第14態様の発明は、第1〜第12態様の何れか1態様の耐震構造を有する建築物である
第14態様の発明では、第1〜第12態様の何れか1態様の耐震構造を有することにより、耐震壁の設置位置の自由度が大きい耐震構造を有する建築物を構築することができる。
本発明は上記構成としたので、耐震壁の設置位置の自由度が大きい耐震構造、この耐震構造の施工方法、及びこの耐震構造を有する建築物を提供することができる。
図面を参照しながら、本発明の耐震構造、耐震構造の施工方法、及び建築物を説明する。なお、本実施形態では、鉄筋コンクリート造の建築物に本発明を適用した例を示すが、さまざまな構造や規模の建築物に対して適用することができる。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1の斜視図、及び図2(a)の正面図に示すように、鉄筋コンクリート造の建築物10の構成部材である水平部材12、14が上下に設けられ、この水平部材12、14の間に波形鋼板耐震壁16が配置されている。すなわち、建築物10の構面外に波形鋼板耐震壁16が配置されている。なお、構面外とは、建築物を構成する上下に配置された小梁、大梁又はスラブ等からなる水平部材の間の空間であり、かつ柱等の鉛直部材と水平部材とによって囲まれた架構の構面以外の空間を意味する。
波形鋼板耐震壁16は、波形鋼板18、鋼製の水平プレート20A、20B、及び鋼製の鉛直プレート22A、22Bによって構成されている。
水平プレート20A、20Bは、波形鋼板18の上下端辺に沿って配置され、波形鋼板18の上下端辺に溶接等によって固定されている。鉛直プレート22A、22Bは、波形鋼板18の左右端辺に沿って配置され、波形鋼板18の左右端辺に溶接等によって固定されている。水平プレート20A、20Bの端部と、鉛直プレート22A、22Bの端部とは溶接等によって接合され、水平プレート20A、20B、及び鉛直プレート22A、22Bが一体となって枠24を形成している。
水平部材12は、鉄筋コンクリート製の梁30、32とこの梁30、32に支持された鉄筋コンクリート製のスラブ26とによって構成され、水平部材14は、鉄筋コンクリート製の梁34、36とこの梁34、36に支持された鉄筋コンクリート製のスラブ28とによって構成されている。
梁30、32、34、36は、平面視にて波形鋼板18(波形鋼板耐震壁16の壁面)と交差するように配置されている。また、スラブ26、28と水平プレート20A、20Bとは、せん断力伝達手段としての接着材U(図3(a)を参照のこと)によって水平力の伝達可能にそれぞれ接続されている。
図2(a)、梁36付近の拡大図である図3(a)、及び図3(a)のA3−A3断面図である図3(b)に示すように、梁30、32、34、36の上下面には、補強手段としての鋼製の板材38A、38Bが配置されている。
板材38A、38Bには、それぞれ16の貫通孔40が形成されている。また、梁30、32、34、36には、板材38A、38Bの貫通孔40と連通する貫通孔42が形成されている。
貫通孔40、42には連結部材としてのPC鋼棒44が挿入されている。そして、このPC鋼棒44の両端部にねじ込まれたナット46の締め付けによって板材38Aと板材38BとがPC鋼棒44を介してつながれると共に、梁30、32、34、36の上面又は下面に押し付けられている。
これによって、板材38A、38Bは、梁30、32、34、36の上下面に確実に固定され、この板材38A、38Bにより梁30、32、34、36には曲げ耐力が付与されている。貫通孔42とPC鋼棒44との間の隙間にはグラウトGが充填されている。
板材38A、38Bは、グラウトGを介して梁30、32、34、36に固定されている。このグラウトGによって梁30、32、34、36と固定板材38A、38Bとがより一体に挙動するので、梁30、32、34、36に曲げ耐力を効果的に付与させることができる。
鉛直力伝達部材としての鋼製のリブプレート48Aは、梁30、32の下面に固定された板材38Bと鉛直プレート22A、22Bとを接続し、鉛直力伝達部材としての鋼製のリブプレート48Bは、梁34、36の上面に固定された板材38Aと鉛直プレート22A、22Bとを接続している。
これにより、連結部材としてのPC鋼棒44と、鉛直力伝達部材としてのリブプレート48A、48Bとを備えた鉛直力伝達手段によって、鉛直プレート22A、22Bから作用する鉛直力を補強手段としての板材38A、38Bにより曲げ耐力が付与された梁30、32、34、36の部位に伝達する。
そして、これまで説明した、波形鋼板18、水平プレート20A、20B、鉛直プレート22A、22B、せん断力伝達手段としての接着材U、補強手段としての板材38A、38B、連結部材としてのPC鋼棒44、及び鉛直力伝達部材としてのリブプレート48A、48Bによって耐震構造50が構成されている。
次に、本発明の第1の実施形態の作用及び効果について説明する。
第1の実施形態では、図2(a)、及び図2(a)のA1−A1断面図である図2(b)に示すように、地震等により水平部材12、14が相対移動し、波形鋼板18にせん断力が作用したときにこの波形鋼板18がせん断変形する。
これによって、地震等の外力に波形鋼板18が抵抗し、耐震効果を発揮させることができる。
また、外力に対して波形鋼板18が降伏するように設定すれば、鋼板の履歴エネルギーによって振動エネルギーを吸収することができ、制振効果を発揮させることができる。
また、波形鋼板18の鉛直剛性及び面内曲げ剛性は水平剛性に比べて小さいので、上下に設けられた水平部材12、14の変形はこの波形鋼板18に拘束されない。また、波形鋼板18には、RC耐震壁のような圧縮束が形成されずに純せん断応力場ができる。
よって、架構の構面外にRC耐震壁を設置したときに生じるような、水平部材12、14への局所的な応力集中を防ぐことができる。
また、波形鋼板18の左側からこの波形鋼板18がせん断力を受けた場合(水平プレート20Bに対して水平プレート20Aが鉛直プレート22Aから鉛直プレート22Bへ向かう方向へ移動する水平力を、波形鋼板18が受けた場合)、左側の鉛直プレート22Aに引張力、右側の鉛直プレート22Bに圧縮力を生じながら波形鋼板18はせん断変形する。
このとき、図2(b)のA2−A2断面図である図4に示すように、右側の鉛直プレート22Bの下端部付近の梁36には曲げモーメントが作用する(図4のモーメント図を参照のこと)。そして、この曲げモーメントが大きくなると、この部分の鉄筋が降伏してヒンジを生じる可能性が高くなる。
梁36にヒンジが生じると、梁36の剛性が低下して波形鋼板18の回転(剛体)変形のみが増大することになる。これにより、波形鋼板18が本来持っているせん断剛性を発揮することができなくなってしまう。
これに対して、第1の実施形態の耐震構造50では、リブプレート48Bによって、波形鋼板18から作用する応力を板材38A、38Bによって曲げ耐力が付与された梁36に伝達するので、梁36に曲げヒンジやせん断破壊が生じることを防ぐことが可能となる。
よって、地震等により波形鋼板18にせん断力が作用したときに、梁36の剛性が低下することがないので、波形鋼板18が本来持っているせん断耐力とせん断剛性を発揮することが可能となり、地震等によるせん断力に十分抵抗することができる。
これにより、耐力が弱い水平部材上への波形鋼板耐震壁16(波形鋼板18)の設置が可能となり、設置位置の自由度が大きい波形鋼板耐震壁16(波形鋼板18)を提供することができる。
ここで、鉛直力伝達手段としてのPC鋼棒44及びリブプレート48Bと、補強手段としての板材38A、38Bとの作用について詳しく説明する。
図3(a)、(b)に示すように、水平部材12、14の相対移動によって波形鋼板18がせん断変形すると、波形鋼板18に作用したせん断応力が水平方向の力(せん断応力の水平成分)として発生すると共に、このせん断応力によって波形鋼板18に発生する曲げモーメントを水平プレート20Bの長さで除した力(せん断応力の鉛直成分)が鉛直方向の力として鉛直プレート22Bに発生する。
そして、せん断応力の鉛直成分が下向きの力の場合、梁36へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート22B、リブプレート48B、梁36の上面に固定された板材38A、梁36の順に伝達される。
また、せん断応力の鉛直成分が上向きの力の場合、梁36へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート22B、リブプレート48B、梁36の上面に固定された板材38A、PC鋼棒44、梁36の下面に固定された板材38B、梁36の順に伝達される。
これにより、鉛直力伝達手段としてのPC鋼棒44及びリブプレート48Bによって、波形鋼板18のせん断変形により鉛直プレート22Bから発生するせん断応力の鉛直成分を補強手段としての板材38A、38Bによって曲げ耐力が付与された梁36の部位に伝達させることができる。
また、せん断応力の鉛直成分が下向きの力の場合、梁32へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート22B、リブプレート48A、梁32の下面に固定された板材38B、PC鋼棒44、梁32の上面に固定された板材38A、梁32の順に伝達される。
また、せん断応力の鉛直成分が上向きの力の場合、梁32へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート22B、リブプレート48A、梁32の下面に固定された板材38B、梁32の順に伝達される。
梁30にせん断応力の鉛直成分が伝達される原理は梁32と同じであり、梁34にせん断応力の鉛直成分が伝達される原理は梁36と同じなので、説明を省略する。
また、PC鋼棒44によって板材38A、38Bを緊結している(上下の板材38A、38Bを梁36に強く押し付けるようにしている)ので、板材38A、38Bと梁30、32、34、36とがより一体となり、これによって、梁30、32、34、36の曲げにより発生する引張力に板材38A、38Bを効果的に抵抗させることができる。
このように鉛直プレート22Bから発生するせん断応力の鉛直成分が梁30、32、34、36に伝達されることにより梁30、32、34、36は撓もうとするが、梁30、32、34、36が下方に撓む正曲げに対しては、梁30、32、34、36の下面に固定された板材38Bが梁30、32、34、36の曲げにより発生する引張力に抵抗し、梁30、32、34、36が上方に撓む負曲げに対しては、梁30、32、34、36の上面に固定された板材38Aが梁30、32、34、36の曲げにより発生する引張力に抵抗する。
よって、簡単な方法で確実に梁30、32、34、36に曲げ耐力を付与することができる。
また、水平部材12、14は、梁30、32、34、36とスラブ26、28とによって構成されているので、梁12、14は、梁断面の有する剛性でのみ抵抗するのではなく、梁30、32、34、36とスラブ26、28との接合部付近に存在するスラブ26、28の協力幅を含めた梁断面の有する剛性で抵抗させることができる。
ここで、スラブの協力幅とは、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説の許容応力度設計法(日本建築学会、1999)に示された算定式で求まる幅である。例えば、並列T形断面部材では、材の側面から隣りの材の側面までの距離aを、ラーメン材または連続梁のスパン長さLで除した値が0.5以上の場合、協力幅は0.1Lで表せる。このように、スラブの協力幅は、概ね梁スパンの1割程度の幅になることが多い。
また、図2(b)に示すように、波形鋼板18から作用するせん断応力の水平成分Jは梁36の材軸方向へ分散して伝達されるので、RC耐震壁の場合のように梁36に大きなねじれが発生することがなくなる。
よって、ねじれモーメントによる付加的な引張力が梁36に発生しないため、RC耐震壁の場合よりも梁36の主筋の降伏によるヒンジの形成を遅らせることができる。
また、図5に示すように、波形鋼板18の左側からこの波形鋼板18がせん断力を受けた場合(水平プレート20Bに対して水平プレート20Aが鉛直プレート22Aから鉛直プレート22Bへ向かう方向へ移動する水平力を、波形鋼板18が受けた場合)、せん断応力の鉛直成分は矢印Fの向きに、また、せん断応力の水平成分は矢印Fの向きに、梁30、32、34に作用する。
波形鋼板18はスラブ26の下方に取り付くため、波形鋼板18から伝達されるせん断応力の水平成分は、梁30、32の上面ではなく、腹部分に作用する。よって、せん断応力の水平成分の作用点が梁30、32の上下方向中心に近くなるので、梁30、32の横断面に対する梁30、32のねじれ量が小さくなる。
また、波形鋼板18から梁30に作用するせん断応力の水平成分は、梁36の場合と同様に梁30の材軸方向へ分散して伝達される(図2(b)を参照のこと)。
すなわち、梁30、32、34、36の材軸方向中央部は上下方向及び左右方向にたわもうとし、横断面に対してねじれようとする(点線で示した梁30、32、34、36の状態になろうとする)。
これに対して梁30、32、34、36は、鉛直力伝達手段としてのPC鋼棒44及びリブプレート48A、48Bによって、せん断応力の鉛直成分を補強手段としての板材38A、38Bにより曲げ耐力が付与された梁30、32、34、36の部位に伝達するので、梁30、32、34、36に曲げヒンジやせん断破壊が生じるのを防ぐことが可能になる。
よって、地震等により波形鋼板18にせん断力が作用したときに、梁30、32、34、36の剛性が低下することがないので、波形鋼板18が本来持っているせん断耐力とせん断剛性を発揮することが可能となり、地震等によるせん断力に十分抵抗することができる。
これにより、耐力が弱い水平部材14、12の上下方への波形鋼板耐震壁16(波形鋼板18)の設置が可能となり、設置位置の自由度が大きい波形鋼板耐震壁16(波形鋼板18)を提供することができる。
また、図1に示した耐震構造50は、例えば、水平部材補強工程、波形鋼板配置工程、水平プレート接続工程、及び鉛直力伝達手段設置工程を有する耐震構造の施工方法によって構築することができ、これによって構築した耐震構造50においても、図1〜5で説明したのと同様の効果を得ることができる。
水平部材補強工程においては、上下に設けられた水平部材12、14に補強手段としての板材38A、38Bによって曲げ耐力を付与する。
波形鋼板配置工程においては、上下に設けられた水平部材12、14の間に波形鋼板耐震壁16(波形鋼板18)を配置する。
水平プレート接続工程においては、水平部材12、14と水平プレート20A、20Bとをせん断力伝達手段としての接着材Uによって水平力の伝達可能に接続する。
鉛直力伝達手段設置工程においては、鉛直プレート22A、22Bから作用する鉛直力を、補強手段としての板材38A、38Bによって曲げ耐力が付与された梁30、32、34、36の部位に伝達する、鉛直力伝達手段としてのPC鋼棒44及びリブプレート48A、48Bを設ける。
なお、水平部材補強工程、波形鋼板配置工程、水平プレート接続工程、及び鉛直力伝達手段設置工程の順番は、施工場所の状況において適宜決めればよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
梁36付近の拡大図である図6(a)、及び図6(a)のB1−B1断面図である図6(b)に示すように、建築物10に構築された耐震構造52では、鉛直力伝達手段は、固定部材としてのC形鋼54A、54Bと、連結部材としてのPC鋼棒56と、鉛直力伝達部材としての鋼製のリブプレート58A、58B(リブプレート58Aは、梁30、32側に設けられているので不図示)とを備えている。
梁30、32、34、36の上下面には、補強手段としての炭素繊維シート60、62が配置されている。炭素繊維シート60は、炭素繊維シート60及びこの炭素繊維シート60の周囲を覆う樹脂64により、梁30、32、34、36の上面に接着されている。
また、梁30、32、34、36の下面から梁30、32、34、36の側面に沿って炭素繊維シート62が配置され、梁30、32、34、36の下端部付近で後施工アンカー66等によって固定されている。
これにより、梁30、32、34、36に曲げ耐力が付与される。
炭素繊維シート60、62は、梁30、32、34、36に密着している。例えば、炭素繊維シート62の場合には、この炭素繊維シート62の両端を上方に引っ張ってこの炭素繊維シート62にテンションを効かせた状態を保持するように後施工アンカー66等で固定する。
梁30、32、34、36の上下面には、C形鋼54A、54Bが配置されている。また、C形鋼54A上面からC形鋼54B下面へ貫通するPC鋼棒56の両端部にねじ込まれたナット68の締め付けによってC形鋼54AとC形鋼54BとがPC鋼棒56を介してつながれると共に、このC形鋼54AとC形鋼54Bとが炭素繊維シート60、62を介して梁30、32、34、36の上面又は下面に押し付けられている。
これによって、C形鋼54A、54Bは、梁30、32、34、36の上下面に確実に固定されると共に、梁30、32、34、36の上下面と炭素繊維シート60、62との密着性が高められるので、梁30、32、34、36に付与する曲げ耐力を大きくすることができる。
梁30、32、34、36に形成された貫通孔70とPC鋼棒56との間の隙間にはグラウトGが充填されている。
リブプレート58Aは、梁30、32の下面に固定されたC形鋼54Bと鉛直プレート22A、22Bとを接続し、リブプレート58Bは、梁34、36の上面に固定されたC形鋼54Aと、鉛直プレート22A、22Bとを接続している。
これにより、固定部材としてのC形鋼54A、54Bと、連結部材としてのPC鋼棒56と、鉛直力伝達部材としてのリブプレート58A、58Bとを備えた鉛直力伝達手段によって、鉛直プレート22A、22Bから作用する鉛直力を、補強手段としての炭素繊維シート60、62により曲げ耐力が付与された梁30、32、34、36の部位に伝達する。
次に、本発明の第2の実施形態の作用及び効果について説明する。
第2の実施形態では、第1の実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
また、図6に示すように、水平部材12、14の相対移動によって波形鋼板18がせん断変形したときに、このせん断変形により鉛直プレート22Bにせん断応力の鉛直成分が発生する。
そして、鉛直プレート22Bに発生するせん断応力の鉛直成分が下向きの力の場合、梁36へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート22B、リブプレート58B、梁36の上面に固定されたC形鋼54A、樹脂64、炭素繊維シート60、梁36の順に伝達される。
また、鉛直プレート22Bに発生するせん断応力の鉛直成分が上向きの力の場合、梁36へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート22B、リブプレート58B、梁36の上面に固定されたC形鋼54A、PC鋼棒56、梁36の下面に固定されたC形鋼54B、炭素繊維シート62、梁36の順に伝達される。
これにより、鉛直力伝達手段としてのPC鋼棒56、C形鋼54A、54B、及びリブプレート58Bによって、波形鋼板18のせん断変形により鉛直プレート22Bに発生するせん断応力の鉛直成分を、炭素繊維シート60、62によって曲げ耐力が付与された梁36の部位に伝達させることができる。
また、せん断変形により鉛直プレート22Bに発生するせん断応力の鉛直成分が下向きの力の場合、梁32へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート22B、リブプレート58A、梁32の下面に固定されたC形鋼54B、PC鋼棒56、梁32の上面に固定されたC形鋼54A、樹脂64、炭素繊維シート60、梁32の順に伝達される。
また、せん断変形により鉛直プレート22Bに発生するせん断応力の鉛直成分が上向きの力の場合、梁32へ向かうせん断応力の鉛直成分は、鉛直プレート22B、リブプレート58A、梁32の下面に固定されたC形鋼54B、炭素繊維シート62、梁32の順に伝達される。
梁30にせん断応力の鉛直成分が伝達される原理は梁32と同じであり、梁34にせん断応力の鉛直成分が伝達される原理は梁36と同じなので、説明を省略する。
また、PC鋼棒56によってC形鋼54A、54Bを緊結している(上下のC形鋼54A、54Bを梁36に強く押し付けるようにしている)ので、炭素繊維シート60、62と梁36とがより一体となり、これによって、梁36の曲げにより発生する引張力に炭素繊維シート60、62を効果的に抵抗させることができる。
なお、第2の実施形態では、梁30、32、34、36の下面と側面の一部とを炭素繊維シート62で覆った例を示したが、図7に示すように、梁30、32、34、36の下面、側面、及びスラブ26、28の一部を炭素繊維シート62で覆うようにしてもよい。このようにすれば、梁30、32、34、36のせん断強度、及びねじれ強度を向上させることができる。
また、第2の実施形態では、梁30、32、34、36の上下面にC形鋼54A、54Bを各1つ固定した例を示したが、図8に示すように、C形鋼54AにC形鋼72A、74Aを接続した部材を固定部材76Aとし、C形鋼54BにC形鋼72B、74B(不図示)を接続した部材を固定部材76B(不図示)としてもよい。C形鋼72A、74AとC形鋼72B、74B、固定部材76Aと固定部材76Bは同じ形状のものである。
この場合には、C形鋼72A、74A、72B、74Bが、梁30、32、34、36の材軸方向に沿ってこの梁30、32、34、36の上下面に位置するように固定部材76A、76Bを配置し、C形鋼72A、74A、72B、74Bの端部付近で、図6と同様の方法でPC鋼棒56によってC形鋼72A、74AとC形鋼72B、74Bとをつなぎ、PC鋼棒56の両端部にねじ込まれたナット68の締め付けによってC形鋼72A、74AとC形鋼72B、74Bとを炭素繊維シート60、62を介して梁30、32、34、36の上面又は下面に押し付けるようにすればよい。
このようにすれば、補強効果(梁30、32、34、36の上下面と炭素繊維シート60、62との密着性)をより高めることができ、炭素繊維シート60、62と梁30、32、34、36とを満遍なく一体化できるので好ましい。
また、第2の実施形態では、固定部材としてC形鋼54A、54Bを用いた例を示したが、固定部材には、形鋼、板材等の剛性を有するさまざまな部材を用いることができる。
また、第2の実施形態の図6では、1つの梁30、32、34、36に対して1つのPC鋼棒56を用いた例を示したが、PC鋼棒56の本数や配置は、必要とする曲げ耐力に応じて適宜決めればよい。
また、第2の実施形態では、補強手段として炭素繊維シート60、62を用いた例を示したが、他の補強方法を用いてもよい。例えば、補強手段として、一般に用いられている、鋼板接着による補強、鉄筋接着補強等を用いてもよい。
また、梁30、32、34、36の上下面の一方又は両方の側にコンクリートを増し打ちして、梁30、32、34、36の梁せいを大きくすることにより、水平部材としての梁30、32、34、36に曲げ耐力を付与してもよい。
例えば、図9(a)、(b)に示すように、梁30、32については、梁30、32の下面側の材軸方向の中央部付近にコンクリートVを増し打ちし、梁34、36については、梁34、36の上面側の材軸方向の中央部付近にコンクリートVを増し打ちすれば、波形鋼板18が設置される階のみで、梁30、32、34、36に曲げ耐力を付与する補強工事を行うことができる。
また、増し打ちによる補強方法は、図9(a)、(b)で示したように、水平部材(梁30、32、34、36)の片側(下面側又は上面側)からの補強であっても、水平部材の上方及び下方の両方向への撓みに対して、補強効果を発揮することができる。
なお、図9(a)、(b)に一点鎖線で示したように、梁30、32に増し打ちしたコンクリートVの下面、及び梁34、36に増し打ちしたコンクリートVの上面に、アンカーボルト、スタッドボルト、接着材等によって板材やC形鋼などを固定する(図9(a)には、コンクリートVの下面に鋼製の板材130Aが固定されている例が示され、図9(b)には、コンクリートVの上面に鋼製の板材130Bが固定されている例が示されている)。
さらに、板材130Aと鉛直プレート22A、22Bとを鋼製のリブプレート132Aによって接続し、板材130Bと鉛直プレート22A、22Bとを鋼製のリブプレート132Bによって接続して、板材130A、130Bとリブプレート132A、132Bとによって鉛直力伝達手段を構成させる。
このようにすれば、波形鋼板18が設置される階のみで、波形鋼板18の設置に関する全ての工事を行うことができるので好ましい。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図10(a)の正面図、及び図10(a)のC1−C1断面図である図10(b)に示すように、建築物10に構築された耐震構造78では、構面外のスラブ28上に(スラブ28の中途に)波形鋼板耐震壁16が設置されている。
また、梁36付近の拡大図である図11(a)、及び図11(a)のC2−C2断面図である図11(b)に示すように、スラブ26、28の上下面には、補強手段としての鋼製の板材80A、80Bが配置されている。なお、水平プレート20A、20Bを鉛直プレート22A、22Bの外側へ延長させて、この延長した部分を板材80A、80Bとしてもよい。また、板材80A、80Bと水平プレート20B、20Aとは接合されていなくてもよい。
耐震構造78では、図10(b)に示すように、水平プレート20Bの幅を鉛直プレート22A、22Bの幅よりも大きくし、この水平プレート20Bを鉛直プレート22A、22Bの外側へ延長させている。
図10(b)、及び図11(a)、(b)に示すように、板材80A、80Bには、4つの貫通孔82が形成されている。また、スラブ26、28には、板材80A、80Bの貫通孔82と連通する貫通孔84が形成されている。
貫通孔82、84には連結部材としてのPC鋼棒86が挿入されている。そして、このPC鋼棒86の両端部にねじ込まれたナット88の締め付けによって板材80Aと板材80BとがPC鋼棒86を介してつながれると共に、スラブ26、28の上面又は下面に押し付けられている。
これによって、板材80A、80Bは、スラブ26、28の上下面に確実に固定され、この板材80A、80Bによりスラブ26、28には曲げ耐力が付与されている。貫通孔84とPC鋼棒86との間の隙間にはグラウトGが充填されている。
板材80A、80Bは、グラウトGを介してスラブ26、28に固定されている。このグラウトGによってスラブ26、28と板材80A、80Bとがより一体に挙動するので、スラブ26、28に曲げ耐力を効果的に付与させることができる。
スラブのヒンジはスラブ端で発生するので、図10(a)で示したように板材80Aを梁30、32、34、36の上面まで設けるのが好ましい。近傍に梁がない場合には、板材80Aを梁の上面まで設けなくてもよいが、板材80A、80Bをできるだけ長くするのが好ましい。
鉛直力伝達部材としての鋼製のリブプレート90Aは、スラブ26の下面に固定された板材80Bと鉛直プレート22A、22Bとを接続し、鉛直力伝達部材としての鋼製のリブプレート90Bは、スラブ28の上面に固定された板材80Aと鉛直プレート22A、22Bとを接続している。
これにより、連結部材としてのPC鋼棒86と、鉛直力伝達部材としてのリブプレート90A、90Bとを備えた鉛直力伝達手段によって、鉛直プレート22A、22Bから作用する鉛直力を補強手段としての板材80A、80Bにより曲げ耐力が付与された梁スラブ26、28の部位に伝達する。
次に、本発明の第3の実施形態の作用及び効果について説明する。
第3の実施形態では、第1の実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
また、図10(a)に示すように、波形鋼板18の鉛直剛性及び面内曲げ剛性は水平剛性に比べて小さいので、上下に設けられたスラブ26、28の変形はこの波形鋼板18に拘束されない。
しかし、鉛直プレート22A、22Bに生じる軸力変動によってスラブ26、28に強制変形が生じるためにスラブ26、28の端部(スラブ26、28と梁30、32、34、36との接合部)付近の曲げモーメントが大きくなり、この位置でヒンジが生じる可能性がある(図10(a)のモーメント図を参照のこと)。
これに対して耐震構造78では、スラブ26、28から梁30、32、34、36に渡って(スラブ26、28の端部付近に)補強手段としての板材80Aを設けることによって、この位置に発生するヒンジを防ぐことができる。
なお、第3の実施形態では、補強手段として板材80A、80Bを用いた例を示したが、スラブに対するさまざまな補強方法を用いることができる。例えば、補強手段に、一般に用いられている、炭素繊維シートによる補強、鋼板接着による補強、増打ち補強、鉄筋接着補強等を用いてもよい。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
梁36付近の拡大図である図12(a)、及び図12(a)のD1−D1断面図である図12(b)に示すように、建築物10に構築された耐震構造92では、スラブ28の協力幅に相当するスラブ28の上面に梁36の材軸方向に沿って鋼製の板材94A、94Bが固定されている。板材94Aと板材94Bの平面形状は同じになっている。PC鋼棒120とナット122による板材94A、94Bの固定方法は、図11(a)、(b)で示した板材80A、80Bと同じなので説明を省略する。
また、梁30、32、34近傍のスラブ26、28の上面においても、このスラブ26、28の協力幅に相当する範囲に、同様の方法で、梁30、32、34の材軸方向に沿って板材94A、94Bが固定されている。
次に、本発明の第4の実施形態の作用及び効果について説明する。
第4の実施形態では、第1の実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
また、図12(a)、(b)に示すように、梁36は梁断面の有する剛性でのみ抵抗するのではなく、スラブ28の協力幅を含めた梁断面の有する剛性で抵抗させることができるので、協力幅に相当するスラブ28の耐力を板材94Aによって増大させることにより梁36の耐力を向上させることができる。
また、梁36の下面に板材38Bが固定されている場合、梁36が下方に撓む正曲げに対しては、梁36の下面に固定された板材38Bが梁36の正曲げにより発生する引張力に抵抗する。
さらに、このとき協力幅分のスラブ28が梁36の圧縮側の抵抗要素として加わるので、梁36の梁断面の中立軸が梁36の上部側に移行する。これにより、梁36の下面に固定された板材38Bが梁36の正曲げに対して効果的に抵抗する。
また、梁36の上面に板材38Aが固定されている場合、梁36が上方に撓む負曲げに対しては、梁36の上面に固定された板材38A及びスラブ28の上面に固定された板材94Aが梁36の負曲げにより発生する引張力に抵抗することができる。
そして、梁30、32、34においても、これまで説明した、梁36に対する板材94A、94Bと同様の効果が得られる。
なお、第4の実施形態では、図12(b)で示したように、板材94A、94Bの平面形状を長方形としたが、これ以外の形状であってもよい。例えば、図12(c)の平面図に示すように、三角形状にしてもよい。
また、図13に示すように、板材94Aは、スラブ26、28の上面にアンカーボルト118とナット88によって固定してもよいし、接着材等によって固定してもよい。
また、第4の実施形態では、スラブ26、28の協力幅に相当するスラブ26、28の上面に板材94A、94Bを固定した例を示したが、板材94A、94Bを設けずに、スラブ26、28の協力幅に相当する部分のスラブ26、28に、炭素繊維シートによる補強、鋼板接着による補強、増打ち補強、鉄筋接着補強等を施してもよい。
また、第4の実施形態で示した板材94Aと板材38Aとは接合されていなくてもよい。また、第4の実施形態を第3の実施形態に適用して、図14(a)、(b)の平面図に示すように、スラブ26、28の協力幅に相当するスラブ26、28の上面に鋼製の板材98を固定してもよい。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
第5の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図15の正面図に示すように、建築物10に構築された耐震構造134では、水平部材12、14の間の構面外に波形鋼板耐震壁16が設置されている。
また、梁36付近の拡大図である図16、及び図15に示すように、梁34、36の上面、及び梁30、32の下面には、補強手段としての鋼製の板材136A、136Bが、スタッドボルトによって固定されている。
なお、板材136A、136Bは、梁30、32、34、36に曲げ耐力が付与されるように、梁30、32、34、36と一体になればよく、梁34、36の上面、及び梁30、32の下面に、アンカーボルト、接着材等によって板材136A、136Bを固定してもよい。
また、鉛直プレート22A、22Bは、波形鋼板18のコーナー部付近には設けられて(水平プレート20A、20Bに達して)おらず、波形鋼板18の左右端辺と梁30、32、34、36の側面との間には隙間が形成されている。すなわち、波形鋼板18のコーナー部付近から梁30、32、34、36へは、力が直接伝達されない。
耐震構造134における鉛直力伝達手段は、鋼製のピン部材138A、138Bと、鋼板からなる鉛直力伝達部材としての支持部材140A、140Bとを備えている。ピン部材138A、138Bは、溶接等によって鉛直プレート22A、22Bに固定され、鉛直プレート22A、22Bから外側に突出している。
また、支持部材140A、140Bは、鉛直プレート22A、22Bのプレート面と支持部材140A、140Bの鋼板面とが対向するように、板材136A、136Bに略垂直に接合されている。そして、この状態で、鋼製のリブプレート142A、142Bによって補強し、板材136A、136Bと、支持部材140A、140Bとの接合を強化している。なお、支持部材140A、140Bが、板材136A、136Bに確実に接合されれば、リブプレート142A、142Bはなくてもよい。
また、図15のH1−H1〜H4−H4断面図である図17(a)〜(d)に示すように(図17(a)は図15のH1−H1断面図、図17(b)は図15のH2−H2断面図、図17(c)は図15のH3−H3断面図、図17(d)は図15のH4−H4断面図を示している)、支持部材140A、140Bには、鉛直方向に延びる長穴144が形成され、この長孔144にピン部材138A、138Bが挿入されている。
波形鋼板18がせん断変形していない初期状態では、図17(a)〜(d)の左側にそれぞれ描かれた図に示された位置にピン部材138A、138Bが配置されている。すなわち、波形鋼板18がせん断変形していないときには、図17(a)のピン部材138A(鉛直プレート22A)及び図17(b)のピン部材138A(鉛直プレート22B)は、上方の一方のみに移動可能に支持部材140Aに固定され、図17(c)のピン部材138B(鉛直プレート22A)及び図17(d)のピン部材138B(鉛直プレート22B)は、下方の一方のみに移動可能に支持部材140Bに固定されている。
これにより、ピン部材138A、138Bと、支持部材140A、140Bとを備える鉛直力伝達手段によって、補強手段としての板材136A、136Bにより曲げ耐力が付与された水平部材(梁30、32、34、36)の部位に、鉛直プレート22A、22Bから作用する上向き又は下向きの一方の鉛直力のみが伝達される。
次に、本発明の第5の実施形態の作用及び効果について説明する。
第5の実施形態では、図15で示した波形鋼板18の左側からこの波形鋼板18がせん断力を受けた場合(水平プレート20Bに対して水平プレート20Aが鉛直プレート22Aから鉛直プレート22Bへ向かう方向へ移動する水平力を、波形鋼板18が受けた場合)、左側の鉛直プレート22Aに上向きの鉛直力(せん断応力の鉛直成分)が発生し、右側の鉛直プレート22Bに下向きの鉛直力(せん断応力の鉛直成分)が発生する。
このとき、図17(a)のピン部材138A(鉛直プレート22A)は、上方に移動するので(図17(a)の右側に描かれた図を参照のこと)、鉛直プレート22Aから梁30に上向きの鉛直力が伝達されない。
また、図17(b)のピン部材138A(鉛直プレート22B)は、下方への移動が拘束されるので支持部材140Aを押し下げようとし(図17(b)の右側に描かれた図を参照のこと)、これによって、鉛直プレート22Bから梁32に下向きの鉛直力が伝達される。
また、図17(c)のピン部材138B(鉛直プレート22A)は、上方への移動が拘束されるので支持部材140Bを押し上げようとし(図17(c)の右側に描かれた図を参照のこと)、これによって、鉛直プレート22Aから梁34に上向きの鉛直力が伝達される。
また、図17(d)のピン部材138B(鉛直プレート22B)は、下方に移動するので(図17(d)の右側に描かれた図を参照のこと)、鉛直プレート22Bから梁36に下向きの鉛直力が伝達されない、
波形鋼板18の右側からこの波形鋼板18がせん断力を受けた場合には、左側の鉛直プレート22Aに下向きの鉛直力(せん断応力の鉛直成分)が発生し、右側の鉛直プレート22Bに上向きの鉛直力(せん断応力の鉛直成分)が発生する。
このときには、鉛直プレート22Aから梁30に下向きの鉛直力が伝達され、鉛直プレート22Bから梁36に上向きの鉛直力が伝達されるが、鉛直プレート22Bから梁32、及び鉛直プレート22Aから梁34に鉛直力が伝達されない。
このように、梁30、32、34、36には鉛直プレート22A、22Bから作用する上向き又は下向きの一方の鉛直力のみが伝達され、鉛直プレート22A、22Bから作用する鉛直力によって上下の一方にしか梁30、32、34、36は撓まないので、梁30、32、34、36の上下面の一方の面に補強手段としての板材等の部材を固定するだけでよい。
図15では、梁30、32には下向きの鉛直力のみが伝達され(梁30、32は下方に撓み)、梁34、36には上向きの鉛直力のみが伝達される(梁34、36は上方に撓む)ので、図15に示したように、板材136Bを梁30、32の下面にのみ固定し、板材136Aを梁34、36の上面にのみ固定するだけでよい。これにより、補強工事の簡略化を図ることができる。
また、図15で示したように板材136A、136Bを配置すれば、波形鋼板耐震壁16を設置する階だけで水平部材(梁30、32、34、36)の補強を行うことができるので、波形鋼板耐震壁16を設置しない階の居住者が建築物を使用している状態で、改修工事(波形鋼板耐震壁16の設置)を行うことができる。
また、複数階で改修工事(波形鋼板耐震壁16の設置)を行う場合、上下の階で行われる工事(例えば、上階に波形鋼板耐震壁16を設置するための梁の補強工事と、下階に波形鋼板耐震壁16を配置する工事)が錯交しないので、作業の手待ちを無くすことができ、工事を効率よく行うことができる。
第5の実施形態では、ピン部材138A、138Bを鉛直プレート22A、22Bに設け、支持部材140A、140Bを梁30、32、34、36に固定された板材136A、136Bに設けた例を示したが、ピン部材138A、138Bを板材136A、136Bに設け、支持部材140A、140Bを鉛直プレート22A、22Bに設けてもよい。
また、第5の実施形態では、図17(a)及び図17(b)のピン部材138Aを、上方の一方のみに移動可能に支持部材140Aに固定し、図17(c)及び図17(d)のピン部材138Bを、下方の一方のみに移動可能に支持部材140Bに固定した例を示したが、これとは逆の一方のみにピン部材138A、138Bが移動可能となるように、ピン部材138A、138Bを支持部材140A、140Bに固定してもよい。
ピン部材138A、138Bを、上下方向のどちらの一方に移動可能にするかは、建築物の構造や波形鋼板耐震壁の配置等に応じて適宜決めればよい。
また、第5の実施形態では、長穴が形成された鋼板によって支持部材140A、140Bが形成されている例を示したが、支持部材は、ピン部材138A、138Bが一方向に移動可能な長穴や溝等のガイド部が形成された部材であればよい。例えば、図18に示すように、鋼板146、148及び移動制限部材150、152によって鉛直力伝達部材154を構成してもよい。
鉛直力伝達部材154では、距離をおいて板面同士が対向するように鋼板146、148を配置してこの鋼板146、148を板材136A、136Bに固定している。そして、この鋼板146と鋼板148との間にピン部材138A、138Bを挿入し(図18には、ピン部材138Bが挿入されている例が示されている)、このピン部材138A、138Bを上方又は下方に移動可能に固定している。
この場合には、鋼板146と鋼板148との間の空間の上下部に設けられた鋼製の移動制限部材150、152によってピン部材138A、138Bの移動を阻止する。
なお、第1及び第2の実施形態では、PC鋼棒44、56を梁30、32、34、36に貫通させて、このPC鋼棒44、56によって板材38Aと板材38Bや、C形鋼54AとC形鋼54Bをつないだ例を示したが、図19に示すように、スラブ26、28に貫通させたPC鋼棒96によって梁30、32、34、36の上下面に固定した板材38Aと板材38Bや、C形鋼54AとC形鋼54Bをつないでもよい(図19には、板材38Aと板材38Bとをつないだ例が示されている)。
また、第1〜第5の実施形態では、スラブ28の上面のみに波形鋼板耐震壁16が載置された例を示したが、図20の正面図に示すように、スラブ28及び梁34、36の上面に載置された波形鋼板耐震壁に適用してもよい。
また、梁30、32、34、36は、材軸方向に分散した幅を持った部分(水平プレート20A、20Bの軸線と梁30、32、34、36とが交差する交差位置から梁30、32、34、36の端部へ向かって、この交差位置から梁30、32、34、36の端部までの距離の40%の位置までの範囲)で、波形鋼板18がせん断変形したときに生じる曲げモーメントに抵抗する。
よって、第1、第2及び第5の実施形態で示した板材38A、38B、136A、136Bや、炭素繊維シート60、62等の補強手段による梁30、32、34、36への曲げ耐力の付与は、交差位置から梁30、32、34、36の端部へ向かって、この交差位置から梁30、32、34、36の端部までの距離の40%以上の位置まで行えば、波形鋼板18から発生する曲げモーメントに抵抗する部分に曲げ耐力を付与することになるので、RC耐震壁を設置した場合に発生する局所的な損傷を防ぐ為に施す局所的な補強に比べて高い補強効果を得ることができる。
また、第1〜第5の実施形態では、梁30、32、34、36とスラブ26、28とによって水平部材を構成した例を示したが、スラブのみや、小梁、大梁等の梁のみによって水平部材を構成し、上下に設けられたこの水平部材の間に波形鋼板耐震壁16を設置してもよい。
例えば、スラブの上面のみに波形鋼板耐震壁16を設置してこのスラブに補強手段を設けた耐震構造、梁(小梁又は大梁)の上面のみに波形鋼板耐震壁16を設置してこの梁に補強手段を設けた耐震構造、スラブと梁との両方の上面に跨るように波形鋼板耐震壁16を設置してこの梁に補強手段を設けた耐震構造、又はスラブの上面のみに波形鋼板耐震壁16を設置して梁に補強手段を設けた耐震構造としてもよい。
また、第1〜第5の実施形態では、波形鋼板18の折り筋が水平方向に形成されている例を示したが、波形鋼板18の折り筋は鉛直方向に形成されていてもよい。波形鋼板18の折り筋が水平方向に形成されている方が波形鋼板18の鉛直剛性及び面内曲げ剛性がより小さくなり、また、水平部材12、14の変形を阻害しないので好ましい。
また、第1〜第5の実施形態で示したせん断力伝達手段としての接着材には、エポキシ樹脂等を用いればよい。また、水平部材12、14と水平プレート20A、20Bとは、後施工アンカーボルトやスタットボルトによって接続してもよい。工事中の騒音や振動粉塵等の少ないエポキシ樹脂による接着工法が好ましい。
また、第1〜第4の実施形態では、貫通孔42、70、84とPC鋼棒44、56、86、120との間の隙間にグラウトGを充填した例を示したが、グラウトGを充填しなくてもよい。PC鋼棒44、56、86、120の周りにグラウトGを充填すればPC鋼棒44、56、86、120の錆を防止することができるので好ましい。
また、連結部材をPC鋼棒44、56、86、120としたが、連結部材は、力の伝達が可能な部材であればよい。例えば、PC鋼棒以外の棒材やPC鋼線等を用いてもよい。
また、第1〜第4の実施形態では、板材38A、80A、94Aと板材38B、80B、94Bとや、C形鋼54AとC形鋼54BとをPC鋼棒44、56、86、120によってつないだ例を示したが、板材38A、38B、80A、80B、94A、94Bや、C形鋼54A、54Bを、例えば、アンカーボルト、スタッドボルト、又は接着材で水平部材に固定してもよい。
また、第1〜第5の実施形態では、構面外に設置された波形鋼板耐震壁16について示したが、第1〜第5の実施形態を構面内に設置された波形鋼板耐震壁に適用してもよい。
また、第1〜第5の実施形態で示した耐震構造50、52、78、92、134は、建築物の一部に用いても、全てに用いてもよい。耐震構造50、52、78、92、134を用いることにより、耐震壁の設置位置の自由度が大きい耐震構造を有する建築物を構築することができる。
また、第1〜第5の実施形態は、新設及び改修建物の両方に適用可能である。耐震壁の設置位置の自由度が大きい第1〜第5の実施形態は、特に、改修建物の改修工事において優れた効果を発揮する。
以上、本発明の第1〜第5の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1〜第5の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
(実施例)
本実施例では、図21の斜視図に示すように、構面外に波形鋼板耐震壁を設置した架構(試験体100)と、構面外にRC耐震壁を設置した架構(試験体102)とに対して実施した静的載荷実験により検証したせん断力の伝達機構について説明する。
図21に示すように、構面外に波形鋼板耐震壁を設置した構造モデルの試験体100では、平面視にて矩形の鉄筋コンクリート製のスラブ104の長辺方向中央に、壁面がスラブ104の短辺と平行になるように波形鋼板耐震壁16が設置されている。
スラブ104は、このスラブ104の短辺方向両端部で、平面視にて波形鋼板耐震壁16の壁面と略直交するように配置された鉄筋コンクリート製の梁106A、106Bに支持されている。
図22の正面図に示すように、試験体100の梁106A、106Bには、鉛直プレート22A、22Bに固定された鋼製のリブプレート108に設けられたアンカー110が注入用エポキシ樹脂により定着され、これによって、波形鋼板耐震壁16と梁106A、106Bとの一体化が図られている。
また、波形鋼板耐震壁16の水平プレート20Bとスラブ104の上面とは、エポキシ樹脂によって接着接合され、波形鋼板耐震壁16とスラブ104との一体化が図られている。
水平プレート20Bの接着面にはショットブラスト処理を施し、スラブ104の接着面には目荒しを施した。そして、水平プレート20Bとスラブ104との間の10mm程度の隙間をパテ状エポキシ樹脂でシールした後に、注入用エポキシ樹脂を圧入した。
また、波形鋼板耐震壁16の上端辺には、この上端辺に沿って鉄筋コンクリート製の加力梁112が波形鋼板耐震壁16と一体に設けられている。
このようにして、試験体100では、1層1スパンのスラブ104の構面外に波形鋼板耐震壁16を設置して、階高のほぼ中央高さまで模擬した。試験体100の縮尺は、実際の建築物に使用されるものの1/2程度とした。
図22には、波形鋼板耐震壁16の寸法が示されている。波形鋼板耐震壁16の構成は、第1の実施形態で用いた波形鋼板耐震壁16と同じなので、説明は省略する。
図21に示すように、構面外にRC耐震壁を設置した構造モデルの試験体102は、試験体100においてスラブ104上に設置された波形鋼板耐震壁16をRC耐震壁114に置き換えたものである。1層1スパンのスラブ104の構面外にRC耐震壁114を設置し、試験体100と同様に、階高のほぼ中央高さまで模擬した。
図23の正面図に示すように、試験体102の梁106A、106Bには、RC耐震壁114の鉛直方向端部に設けられた曲げ抵抗筋116が注入用エポキシ樹脂により定着され、これによって、RC耐震壁114と梁106A、106Bとの一体化が図られている。
また、RC耐震壁114の下端辺には、このRC耐震壁114の内部に複数配置されたシアー筋(不図示)が接続された鋼製の水平プレート124が固定されている。そして、この水平プレート124の下面とスラブ104の上面とは、エポキシ樹脂によって接着接合され、RC耐震壁114とスラブ104との一体化が図られている。水平プレート124及びスラブ104の接着面の処理方法は、波形鋼板耐震壁16の水平プレート20B及びスラブ104と同様である。
また、RC耐震壁114の上端辺には、この上端辺に沿って鉄筋コンクリート製の加力梁126がRC耐震壁114と一体に設けられている。図23には、RC耐震壁114の寸法が示されている。
波形鋼板耐震壁16とRC耐震壁114とは共に、耐震壁の平均せん断力が1.0〜2.0N/mmのとき、梁106A、106Bの曲げ降伏が耐震壁のせん断降伏に先行し、さらに、層間変形角1/100radまで耐震壁の耐力が大きく低下しないように設計した。
図24に示すように、静的載荷実験は、加力梁112、126を挟み込むように設置した2台の1000kNジャッキ128を用いて梁106A側から梁106B側への加力を正載荷として加力することにより行った。
載荷履歴は、試験体100においては、層間変形角R=±0.01%、±0.1%、±0.2%、±0.4%、±0.6%、±0.8%、±1.0%、±2.0%、±3.0%、±4.0%で各2回ずつ繰り返してR=8.0%まで漸増載荷を行い、試験体102においては、層間変形角R=±0.01%、±0.1%、±0.2%、±0.4%、±0.6%、±0.8%、±1.0%で各2回ずつ繰り返してR=+2.0%の途中まで漸増載荷を行った。
以上説明したR=±0.01〜±8.0%の漸増載荷によって、波形鋼板耐震壁16が設置された試験体100に発生したひび割れ発生状況から、以下の(1)〜(3)のせん断力伝達機構が確認できた。
(1)図25(a)の正面図に示すように、梁106A側から梁106B側へ(矢印156の方向へ)波形鋼板耐震壁16の加力梁112に略水平の力を作用させて波形鋼板18にせん断力を発生させると、波形鋼板18の鉛直剛性及び面内曲げ剛性は、水平剛性に比べて小さいので、スラブ104の変形はこの波形鋼板18に拘束されない。
また、波形鋼板18には、RC耐震壁のような圧縮束が形成されずに純せん断応力場ができる。よって、架構の構面外にRC耐震壁を設置したときに生じるような、スラブ104への局所的な応力集中を防ぐことができる。
(2)また、このとき、図25(b)の平面図に示すように、波形鋼板18に発生したせん断応力の水平成分は分散してスラブ104に伝達される。
(3)また、このとき、図25(a)に示すように、梁106Bはスラブ104の協力幅を含めた断面(斜線部分)でせん断応力の鉛直成分に抵抗する(斜線部分が一体に挙動する)。
また、R=±0.01〜+2.0%の漸増載荷によって、RC耐震壁114が設置された試験体102に発生したひび割れ発生状況からは、図30の構造モデル330と同様のせん断力伝達機構が確認できた。
すなわち、このRC耐震壁114に斜めの圧縮束が形成され(斜め方向のせん断応力が発生し)、また、RC耐震壁114によってスラブ104の変形が拘束された。
また、RC耐震壁114に発生したせん断応力により、梁106B及びスラブ104には過大な応力が局所的に集中して梁106Bが下方及び外側にたわみ、さらに梁106Bには、この梁106Bの横断面に対する時計回りのねじれが生じた。
図26、27のグラフは、先に説明したR=±0.01〜±8.0%、又は±0.01〜+2.0%の漸増載荷によって、梁106Aに設けられた梁主筋(上端筋、不図示)に生じる歪の値を示したものである。図26には、RC耐震壁114が設置された試験体102の値が示され、図27には、波形鋼板耐震壁16が設置された試験体100の値が示されている。
歪の値は、図28の平面図に示された地点E1〜E4に平面視にて位置するように梁106Aの梁主筋(上端筋)に取り付けられた歪ゲージの計測値から求められている。
図26、27の縦軸には、梁106Aの材軸方向中央(以下、「梁106A材軸中央」とする)からの距離が示され、横軸には歪の値が示されている。
また、図26の値158A、158B、158C、158D、158Eは、ジャッキ128によって50kN、100kN、150kN、200kN、250kNの力を加えたときに、梁106Aの主筋に取り付けられた歪ゲージの計測値から求められた値であり、図27の値160A、160B、160C、160D、160E、160Fは、ジャッキ128によって50kN、100kN、150kN、200kN、250kN、300kNの力を加えたときに、梁106Aの主筋に取り付けられた歪ゲージの計測値から求められた値である。
また、図26の実線162、図27の実線164は、降伏歪の値を示している。
図26に示すように、RC耐震壁114が設置された試験体102においては、E2(梁106A材軸中央から520mm)の位置の歪の値が小さく応力度がほとんど上がっていない。すなわち、梁106A材軸中央付近にピークを持つ曲げモーメント分布になっている。
これに対して、波形鋼板耐震壁16が設置された試験体100においては、図27に示すように、荷重の増加に伴って(160A、160B、160C、160D、160E、160Fの順に)E2の位置の歪が増加しており、曲げモーメントが分散されていることがわかる。
図26、27に示されたこれらの実験結果により、波形鋼板耐震壁16が設置された試験体100では、梁106Aは、材軸方向に分散した幅を持った部分で、波形鋼板18がせん断変形したときに生じる曲げモーメントに抵抗することが確認できた。
よって、曲げモーメントに抵抗する材軸方向に分散した梁の部分を補強すれば、RC耐震壁を設置した場合に発生する局所的な損傷を防ぐ為に施す局所的な補強に比べて高い補強効果を得ることができる。
また、図27の実験結果より、梁106A材軸中央からE2の位置までの範囲で、曲げモーメントが確実に分散されていることがわかったので、これ以上の範囲の梁106Aに曲げ耐力を付与する補強を行うことが効果的である。
ここで、梁106A材軸中央から梁106Aの材軸方向端部までの距離は1350mmなので、E2(梁106A材軸中央から520mm)の位置は、梁106A材軸中央から梁106Aの材軸方向端部へ向かって、梁106A材軸中央から梁106Aの材軸方向端部までの距離の約40%(=(520mm/1350mm)×100)となっている。
また、波形鋼板耐震壁16が設置された試験体100の梁106Bについては、図28に示された地点W1〜W4に平面視にて位置するように、梁106Bの梁主筋(上端筋、不図示)に取り付けられた歪ゲージの計測値から求められた値は、図27とほぼ同様の傾向が得られた。
よって、水平プレート20Bの軸線と梁106A、106Bとが交差する交差位置から梁106A、106Bの端部へ向かって、交差位置から梁106A、106Bの端部までの距離の40%以上の位置まで、補強手段によって曲げ耐力を付与すれば、効果的に梁106A、106Bのヒンジ発生を遅らせることができ、波形鋼板耐震壁16の本来持つせん断耐力やせん断剛性を発揮できる。
本発明の第1の実施形態に係る耐震構造を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る耐震構造を示す正面図及び平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る耐震構造の梁付近を示す拡大図である。 本発明の第1の実施形態に係る耐震構造を示す側面図である。 本発明の第1の実施形態に係る耐震構造の梁に作用する力を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る耐震構造の梁付近を示す拡大図である。 本発明の第2の実施形態に係る耐震構造の変形例を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る耐震構造の変形例を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る耐震構造の変形例を示す説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る耐震構造を示す正面図及び平面図である。 本発明の第3の実施形態に係る耐震構造の梁付近を示す拡大図である。 本発明の第4の実施形態に係る耐震構造の梁付近を示す拡大図である。 本発明の第4の実施形態に係る耐震構造の変形例を示す説明図である。 本発明の第4の実施形態に係る耐震構造の変形例を示す説明図である。 本発明の第5の実施形態に係る耐震構造を示す正面図である。 本発明の第5の実施形態に係る耐震構造の梁付近を示す拡大図である。 本発明の第5の実施形態に係る耐震構造の作用を示す説明図である。 本発明の第5の実施形態に係る耐震構造の変形例を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る耐震構造の変形例を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る耐震構造の変形例を示す説明図である。 本発明の実施例に係る試験体を示す斜視図である。 本発明の実施例に係る波形鋼板耐震壁を示す正面図である。 本発明の実施例に係るRC耐震壁を示す正面図である。 本発明の実施例に係る試験方法を示す説明図である。 本発明の実施例に係る静的載荷実験の結果を示す説明図である。 本発明の実施例に係る静的載荷実験の結果を示す線図である。 本発明の実施例に係る静的載荷実験の結果を示す線図である。 本発明の実施例に係る試験体を示す平面図である。 従来の耐震構造を示す斜視図である。 従来の構造モデルのせん断力伝達機構を示す説明図である。 従来の耐震構造を示す正面図である。
符号の説明
10 建築物
12、14 水平部材
18 波形鋼板
20A、20B 水平プレート
22A、22B 鉛直プレート
26、28 スラブ(水平部材)
30、32、34、36 梁(水平部材)
38A、38B、80A、80B、136A、136B 板材(補強手段)
44、56、86、96 PC鋼棒(連結部材、鉛直力伝達手段)
48A、48B、58A、58B、90A、90B リブプレート(鉛直力伝達部材、鉛直力伝達手段)
50、52、78、92、134 耐震構造
54A、54B C形鋼(固定部材、鉛直力伝達手段)
60、62 炭素繊維シート(補強手段)
76A、76B 固定部材(鉛直力伝達手段)
94A、94B、98 板材
130A、130B 板材(鉛直力伝達手段)
132A、132B リブプレート(鉛直力伝達手段)
138A、138B ピン部材(鉛直力伝達手段)
140A、140B 支持部材(鉛直力伝達部材、鉛直力伝達手段)
154 鉛直力伝達部材(鉛直力伝達手段)
U 接着材(せん断力伝達手段)
、V コンクリート

Claims (14)

  1. 上下に設けられた水平部材の間に配置される波形鋼板と、
    前記波形鋼板の上下端辺に沿って配置され該上下端辺に固定された水平プレートと、
    前記波形鋼板の左右端辺に沿って配置され該左右端辺に固定された鉛直プレートと、
    前記水平部材と前記水平プレートとを水平力の伝達可能に接続するせん断力伝達手段と、
    前記波形鋼板の外側に位置する前記水平部材の部位に設けられ、該水平部材の部位に曲げ耐力を付与する補強手段と、
    前記補強手段によって曲げ耐力が付与された前記水平部材の部位へ前記鉛直プレートから作用する鉛直力を伝達する鉛直力伝達手段と、
    を有する耐震構造。
  2. 前記補強手段は、前記水平部材の上下面に固定される板材である請求項1に記載の耐震構造。
  3. 前記鉛直力伝達手段は、
    前記水平部材の上下面に固定された前記板材をつなぐ連結部材と、
    前記水平部材の上面又は下面に固定された前記板材と前記鉛直プレートとを接続する鉛直力伝達部材と、
    を備える請求項2に記載の耐震構造。
  4. 前記補強手段は、前記水平部材に増し打ちされるコンクリートである請求項1に記載の耐震構造。
  5. 前記鉛直力伝達手段は、
    前記水平部材の上下面に固定される固定部材と、
    前記水平部材の上下面に固定された前記固定部材をつなぐ連結部材と、
    前記水平部材の上面又は下面に固定された前記固定部材と前記鉛直プレートとを接続する鉛直力伝達部材と、
    を備える請求項1、2又は4に記載の耐震構造。
  6. 前記水平部材は、平面視にて前記波形鋼板と交差するように配置された梁に支持され前記水平プレートが接続されるスラブと、前記梁とによって構成され、前記補強手段によって前記梁に曲げ耐力が付与されている請求項1〜5の何れか1項に記載の耐震構造。
  7. 前記補強手段は、前記スラブから前記梁に渡って設けられている請求項6に記載の耐震構造。
  8. 前記スラブの協力幅に相当する前記スラブの上面に、前記梁の材軸方向に沿って板材が固定されている請求項6又は7に記載の耐震構造。
  9. 前記梁は、前記水平プレートの軸線と前記梁とが交差する交差位置から前記梁の端部へ向かって、前記交差位置から前記梁の端部までの距離の40%以上の位置まで前記補強手段によって曲げ耐力が付与されている請求項6〜8の何れか1項に記載の耐震構造。
  10. 前記せん断力伝達手段は、接着材である請求項1〜9の何れか1項に記載の耐震構造。
  11. 上下に設けられた水平部材の間に配置される波形鋼板と、
    前記波形鋼板の上下端辺に沿って配置され該上下端辺に固定された水平プレートと、
    前記波形鋼板の左右端辺に沿って配置され該左右端辺に固定された鉛直プレートと、
    前記水平部材と前記水平プレートとを水平力の伝達可能に接続するせん断力伝達手段と、
    上下に設けられた前記水平部材の少なくとも一方へ曲げ耐力を付与する補強手段と、
    前記補強手段によって曲げ耐力が付与された前記水平部材の部位へ前記鉛直プレートから作用する鉛直力を伝達する鉛直力伝達手段と、
    を有し、
    前記鉛直力伝達手段は、前記補強手段によって曲げ耐力が付与された前記水平部材の部位へ前記鉛直プレートから作用する上向き又は下向きの一方の鉛直力のみを伝達する耐震構造。
  12. 上下に設けられた水平部材の間に配置される波形鋼板と、
    前記波形鋼板の上下端辺に沿って配置され該上下端辺に固定された水平プレートと、
    前記波形鋼板の左右端辺に沿って配置され該左右端辺に固定された鉛直プレートと、
    前記水平部材と前記水平プレートとを水平力の伝達可能に接続するせん断力伝達手段と、
    上下に設けられた前記水平部材の少なくとも一方へ曲げ耐力を付与する補強手段と、
    前記補強手段によって曲げ耐力が付与された前記水平部材の部位へ前記鉛直プレートから作用する鉛直力を伝達する鉛直力伝達手段と、
    を有し、
    前記鉛直力伝達手段は、前記水平部材及び前記鉛直プレートの一方に設けられたピン部材と、前記鉛直プレート及び前記水平部材の他方に設けられ該ピン部材が上方及び下方の一方のみへ移動可能に固定される支持部材と、を備え、前記補強手段によって曲げ耐力が付与された前記水平部材の部位へ前記鉛直プレートから作用する上向き又は下向きの一方の鉛直力のみを伝達する耐震構造。
  13. 上下に設けられた水平部材の間に配置される波形鋼板の外側に位置する前記水平部材の部位に補強手段を設けて、該水平部材の部位に曲げ耐力を付与する水平部材補強工程と、
    上下端辺に沿って配置された水平プレートが該上下端辺に固定され、左右端辺に沿って配置された鉛直プレートが該左右端辺に固定された前記波形鋼板を、上下に設けられた前記水平部材の間に配置する波形鋼板配置工程と、
    前記水平部材と前記水平プレートとをせん断力伝達手段によって水平力の伝達可能に接続する水平プレート接続工程と、
    前記鉛直プレートから作用する鉛直力を前記補強手段によって曲げ耐力が付与された前記水平部材の部位へ伝達する鉛直力伝達手段を設ける鉛直力伝達手段設置工程と、
    を有する耐震構造の施工方法。
  14. 請求項1〜12の何れか1項に記載の耐震構造を有する建築物。
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