JP3401747B2 - 既設構築物の耐震改修構造 - Google Patents

既設構築物の耐震改修構造

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JP3401747B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、例えば病院やオフ
ィッスビルもしくは学校等の既設構築物を耐震補強する
場合などに適用する耐震改修構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のような既設構築物において
耐震性能が所定の基準値を下回る場合に、該構築物の外
壁等に形成した開口部内に、形鋼等の鉄骨材からなる方
形枠と筋違で構成されたブレース架構を耐震架構として
設置することによって、耐力と靭性を補う耐震改修方法
が知られている。
【0003】図9〜図11は従来の耐震改修方法の一例
を示すもので、先ず、既設構築物の柱や梁等の躯体Rに
形成した開口部Sの内面に頭付きアンカーボルト1を所
定のピッチで打設する。一方、上記開口部S内に設置さ
れる耐震架構として方形枠状のブレ−ス架構2の外周面
にはスタッドジベル21をブレース枠各辺の長手方向に
上記アンカーボルトと略同じピッチで、ブレース厚さ方
向に2列並列させて溶接等により取付けておき、前記頭
付きアンカーボルト1とブレース架構2のスタッドジベ
ル21とが交互に咬み合うように該ブレース架構2を配
置して、その咬み合い位置にスパイラル筋3を挿入す
る。そして、上記ブレース架構2の両側面に型枠(不図
示)を配置し、ブレース枠外周面と開口部内面との間に
無収縮モルタル等の固結材を充填して一体化するもので
ある。なお、図9〜図11において、22、23は筋
違、24はその筋違の連結補強板である。
【0004】ところが、上記従来の耐震改修方法は、ア
ンカーボルト1を約150〜200mm程度のピッチで
多数打設しなければならず、しかもアンカーボルトを打
設する際には1本ずつ順次穿孔と打ち込みを行わなけれ
ばならないめ、長期間にわたって騒音、振動が発生する
等の問題があった。
【0005】そこで、ブレース架構を直接躯体の柱や梁
に接着固定する耐震改修方法(例えば特開平11−71
906号公報参照)が提案されている。このような接着
により固定するものは、アンカーボルトの打設がないの
で、騒音、振動の問題を解消できる反面、実際の工事に
おいては、建て込み予定のブレース枠の大きさに開口部
の大きさがほぼ一致するように駆体を滑らかに斫る(は
つる)のは極めて困難で、開□形状の調節に大変な手間
と時間を要する。またブレース架構を建て込み易いよう
に開□部を大きく形成し、その開口部とブレース枠との
間に隙間調整板や充填材等を介在させると、躯体(柱、
梁)とブレース架構との一体性が損なわれて強度が低下
する等の不具合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
に鑑みて提案されたもので、開口部に建込まれる耐震架
構と駆体との一体性が高く、既設構築物を容易・迅速に
耐震補強することのできる耐震改修構造を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明による既設構築物の耐震改修構造は以下の構
成としたものである。
【0008】即ち、耐震補強すべき既設構築物に形成し
た開口部内面に、長手方向に多数のスタッドジベルを植
設した基板を配置固定し、その基板の内側に、外周面に
多数のスタッドジベルを植設した耐震架構を、その耐震
架構と上記基板との間に配筋空間を残して設置し、その
配筋空間内に、前記長手方向と一致する方向に延伸する
軸筋と、その軸筋と交差する割フープ筋を結束固定し、
それを両外側よりスタッドジベルを取り囲むように配置
して閉鎖形のフープを形成し、上記スタッドジベルと軸
筋および割フープ筋を埋設するように上記耐震架構外周
面と開口部内面との間に固結材を充填して固化させたこ
とを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の態様】以下、本発明による既設構築物の
耐震改修構造を、図に基づいて具体的に説明する。
【0010】図1は本発明による耐震改修構造の施工例
を示す正面図、図2はその一部の拡大図、図3(a)・
(b)・(c)はそれぞれ図2におけるA−A・B−B
・C−C線断面図、図4(a)・(b)はそれぞれ図2
におけるD−D・E−Eであり、前記従来例と同様の機
能を有する部材には同一の符号を付して説明する。
【0011】図において、Sは耐震改修すべきコンクリ
ート製のビル等の既設構築物の外壁面等の躯体Rに形成
した方形の開口部で、その開口部Sの各辺の内面には長
尺帯状の鋼板よりなる基板10が設置固定され、その各
基板10には多数のスタッドジベル11が植設されてい
る。上記各基板10は、本実施形態においては上記開口
部Sの内面の躯体Rに対して接着剤12と複数本のアン
カーボルト13とで取付けるようにしたもので、図の場
合は上記開口部Sの内面と基板10との間に後から接着
剤を充填する、いわゆる後充填式のエポキシ樹脂系接着
剤12と、必要に応じたピッチで略等間隔に配置したア
ンカーボルト13とによって取付けられている。
【0012】そのアンカーボルト13は本例においては
全ねじボルトが用いられ、図3(a)に示すように開口
部Sの内面に形成した孔内に接着剤とともに挿入するこ
とによって固着され、そのアンカーボルト13に基板1
0を挿通しナット14をねじ込むことによって締め付け
固定する構成である。アンカーボルトと基板に設けられ
た孔との隙間は、予め基板の上に所要の座金板を接合し
た後、前記エポキシ樹脂接着剤の後施工に際して充填し
解消する。
【0013】そのスタッドジベル11は、金属鋼材等に
より一端に大径の頭部11aを有する丸棒状に形成さ
れ、その頭部11と反対側の端部を基板10に予め溶接
等で固着した構成であり、そのスタッドジベル11は、
基板10の幅方向に2列、長手方向に略等間隔に複数個
設けられ、そのピッチは前記従来例におけるアンカーボ
ルト1と同様に約150〜300mm程度に設定されて
いる。
【0014】上記基板10およびスタッドジベル11の
内方には、図4(b)に示すように耐震架構の例である
ところのブレース架構2が、該ブレース架構2と基板1
0との間に配筋空間Gを残して配設され、そのブレース
架構2は溝形鋼よりなる方形枠20とH形鋼よりなる筋
違22・23等で構成されている。図示例においては方
形枠20を構成している溝形鋼のウエブ部外面側を、開
口部Sを形成している柱、梁等の躯体R側に向けて配置
させることにより配筋空間Gを形成している。筋違22
の両端部は、連結補強板24やその間隔保持板25等に
連結板26等を介してボルト26aで、或いは溶接によ
り連結固定され、筋違23の一端は連結補強板24やそ
の間隔保持板25に、他端は筋違22にそれぞれ連結板
27を介してボルト27aで、或いは溶接により連結さ
れている。
【0015】上記方形枠20の外周面には、前記スタッ
ドジベル11と同様のスタッドジベル21が同様のピッ
チで2列取付けられ、その両スタッドジベル11・21
は図2および図3(a)に示すように前記配筋空間G内
に互いに反対方向から突出すると共に、交互に咬み合う
ように配置されている。
【0016】上記配筋空間G内には、軸筋30と割フー
プ筋35とが設けられ、その軸筋30は方形枠20の水
平方向の辺と略平行な横軸筋31と、垂直方向の辺と略
平行な縦軸筋32とよりなる。その横軸筋31と縦軸筋
32とは、それぞれ複数本、図示例においては4本ずつ
設けられ、隣り合う横軸筋31と縦軸筋32とは、その
一方の端部を他方の端部に添うように折り曲げて重ね継
ぎ結合されている。
【0017】上記割フープ筋35は、半割状の略コ字形
に形成され、その半割状の一対の割フープ筋35・35
を互いに向かい合わせることによってリング状(フープ
状)になるようにしたものである。その互いに対となる
割フープ筋35・35は必要に応じて連結固着するもの
で、図示例においてはワイヤ36で連結固定している。
上記の主筋30と割フープ筋35とを埋設するようにし
て上記配筋空間G内に無収縮モルタル等の固結材を充填
固化させて一体化した構成である。軸筋30と割フープ
筋35は予め結束固定し、それを両外側よりスタッドジ
ベルを取り囲むように配置して閉鎖形のフープを形成す
る。このように施工することによって、施工精度が向上
し、かつ、施工時間の短縮が図れる。
【0018】上記のように構成された本発明による耐震
改修構造は、従来のスパイラル筋を用いた耐震改修構造
にはみられない下記の構造力学上の利点がある。すなわ
ち、 1)軸筋30と割フープ筋35は、それらと斜め方向に
交わり発生する固結材のせん断ひび割れの伸展を防止す
るとともに、頭付きスタッドジベル11,21の周囲の
ひび割れの発生を防止する。特に、割フープ筋35によ
ると、両外側より挿入され互いに重ね継ぎし閉鎖形のフ
ープを形成することにより、上記の効果が飛躍的に向上
する。 2)上記効果により、上下の頭付きスタッドジベル1
1,12は、周囲の固結材を介してせん断力を伝達する
とともに、スタッドジベル自身の軸方向の引張力も伝達
し、さらに、固結材自身もせん断力を伝達する。 3)軸筋30は、上記効果のほかに、筋違交点まわりに
生じる局所的な軸筋自身の軸方向の引張力に抵抗する効
果を有する。 4)筋違22,23が取り付く横枠と縦枠の接合部まわ
りでは、外側の縦軸筋31を90度方向に折曲げ、縦軸
筋31と横軸筋32を重ね継ぎすることによって、縦軸
筋31と横軸筋32の引張抵抗力を互いに伝達できる。
【0019】なお、縦軸筋31と横軸筋32の交差部で
は、縦軸筋31を外側に配置し、その内側に横軸筋32
を配置するのが好ましい。これは、地震時の応力条件が
縦軸筋31が配置された鉛直方向よりも横軸筋32が配
置された水平方向の方が厳しいためである。
【0020】次に、上記のような耐震改修構造を施工す
る場合の施工手順の一例を順を追って説明する。先ず耐
震改修すべきコンクリート製のビル等の既設構築物の外
壁等に開口部Sを形成するもので、その箇所に既存の壁
やサッシ等がある場合にはそれを除去して所定の大きさ
の開口部を形成する。その場合、柱や梁等で囲まれた領
域内の壁はすべて除去し、開口部の全周が柱や梁で囲ま
れた状態にするのが望ましい。
【0021】上記のようにして形成した開口部Sの内面
に、図7(a)に示すようにスタッドジベル11を多数
植設した基板10を接着剤12と複数本のアンカーボル
ト13とで取付ける。図の場合は上記開口部Sの内面と
基板10との間に後から接着剤を充填する、いわゆる後
充填式のエポキシ樹脂系接着剤12と、必要に応じたピ
ッチで略等間隔に配置した複数本のアンカーボルト13
とによって各基板10を取付けている。
【0022】その各アンカーボルト13は本例において
は全ねじボルトが用いられ、図7(a)に示すように開
口部Sの内面に形成した孔内に接着剤とともに挿入する
ことによって固着され、その各アンカーボルト13にね
じ込んだナット14により基板10を固定する構成であ
る。なお上記基板10およびスタッドジベル11は本実
施形態においては図1に示すように開口部Sの四周に設
けられているが、図7においては煩雑を避けるために向
こう側の基板10とスタッドジベル11は図に省略し
た。
【0023】次に、上記のように開口部Sの内面に固着
した基板10およびスタッドジベル11の内方に配筋空
間Gを残して図7(b)に示すようにブレース架構2を
配置し、図に省略した支持具等でその状態に保持させ
る。そのブレース架構2の方形枠20の周面に設けたス
タッドジベル21と、基板10に取付けたスタッドジベ
ル11とは、上記配筋空間G内において図2および図3
(a)に示すように交互に咬み合うように配置する。
【0024】そして、上記配筋空間G内に横軸筋31と
縦軸筋32とよりなる軸筋30を配筋した後、図7
(b)に示すように割フープ筋35をブレース2の厚さ
方向両側から上記横軸筋31と縦軸筋32をそれぞれ囲
い込むようにして装填し、必要に応じてワイヤ36等で
固定する。配筋空間G内のさらに好ましい配筋方法とし
ては、軸筋30と割フープ筋35を予め結束固定してお
き、それをスタッドジベル11,21を両外側より取り
囲むように配置させて閉鎖形のフープを形成する。この
ように施工すれば、更に施工精度が向上し、かつ施工時
間の短縮が図れる。
【0025】次いで、図7(c)において基板1および
ブレース架構2の左右両側に型枠(不図示)を配置し、
上記横軸筋31と縦軸筋32および割フープ筋35を埋
め込むようにして上記配筋空間G内に無収縮モルタル等
の固結材を充填して一体化するものである。
【0026】上記の構成により、耐震補強すべき駆体と
ブレース架構2は、それぞれに取付けられた基板1とブ
レース架構2のスタッドジベル11、21が固化材によ
って連結された形で、両者が堅固に一体となる。さら
に、ブレース架構2の方形枠20の周囲には、ここに充
填された固化材を補強する形で、軸筋30と割フープ筋
35が配筋されているため、硬化した固化材自体が強度
を保有して、耐震補強性能を向上させる役目を果たす。
よって、こうして形成されたブレース架構による耐震改
修構造は、高い耐震性能を有する。なお、前述のように
従来、ブレース架構の周囲と開口部内面との間にスパイ
ラル筋を配したものはあるが、それは無収縮モルタルな
どの固化材の割裂防止の目的を果たしているのみで強度
的に算定し得るものではなかった。
【0027】上記実施形態においては、基板10の取付
け手段として、開口部Sの内面に形成した孔内に接着剤
とともにアンカーボルト13を挿入して固着し、そのア
ンカーボルト13にねじ込んだナット14により基板1
0を固定するようにしたが、例えば拡開式のアンカーを
用いる等その他適宜である。
【0028】また、上記実施形態においては、既設構築
物の開口部Sに設置して耐震補強する耐震架構の例とし
てブレース架構2を用いたが、耐震架構の例はこれに限
定されるものではなく、例えば筋違22・23のない方
形枠20だけからなるものや、方形枠20の四隅に補強
鉄板を取り付けたものなどを採用しても差し支えない。
また、方形枠20は必ずしも図示例の溝形鋼に限定され
るものではなく、前記基板10との間に配筋空間Gを形
成することが出来るものであれば、例えばL形鋼であっ
ても良く、或いはH形鋼をそのフランジと基板10が対
向する形となるよう配置させて用いても差し支えない。
【0029】また、図示例のブレース架構2は完全に細
立てた状態で開口部Sに建込んでも或いは現場で組立て
しても良いが、例えば方形枠20を構成している枠材を
分割切断し、それぞれの端部にエンドプレートを溶接し
たうえで、それらの間を高力ボルトを用いて引張接合す
る方法を用いれば、施工の合理化が図れる。
【0030】
【実験例】前記の本発明による耐震改修構造の剪断強度
等を調べるために図8に示すような試験用供試体を作成
して以下の試験を行った。各部の寸法は図8中に記載の
通りである。
【0031】〔実験例1〕上記の試験用供試体を用い
て、地震時に生じる水平力を想定して剪断試験を行っ
た。その結果を下記表1に示す。なお、下記表中の「ア
ンカー鉄筋量」は従来工法(図9〜図11)のアンカー
量を100とした場合の比率をあらわす。
【0032】
【表1】
【0033】上記表1からも明らかなようにアンカーボ
ルトを用いずに接着剤のみで基板を取付けた場合には充
分な強度が得られなかった。一方、接着剤とアンカーボ
ルトを併用した場合には、相乗効果によって接着剤なし
でアンカーボルト止めした場合に比べて計算上予想した
以上に極めて大なる強度が得られた。従って、接着剤と
アンカーボルトを併用することによって建物に要求され
る耐震性能を満たすために必要なブレースの設置数量を
減らすことができる。例えば従来5個所のブレースが必
要だった既設構築物では4個所にブレースを設けるだけ
で済む等の効果がある。
【0034】〔実験例2〕前記の試験用供試体を用い
て、フープ筋の補強効果を知るため剪断試験を行った。
その結果を下記表2に示す。なお、下記表中の@はスパ
イラル筋のピッチ(単位mm)である。
【0035】
【表2】
【0036】上記表中の試験体No.1およびNo.2は、本発
明に対応してブレースと柱梁間に軸筋(主筋)とフープ
筋とを設けた場合、試験体No.3およびNo.4は、従来のブ
レースと柱梁間にスパイラル筋を設けた場合であり、本
発明のように軸筋とフープ筋とを用いたものは、従来の
スパイラル筋を用いたものに比べて予想以上に高い剪断
強度が確保できる。従って、建物に要求される耐震性能
を満たすために必要なブレースの設置数量を減らすこと
ができる。
【0037】なお半割フープを用いる場合、必ずしも半
割同士を結束する必要はなく、右の半割フープと左の半
割フープが材軸方向に1cm程度まで離れてしまっても
十分に閉鎖形のフープが形成され、強度に殆ど影響しな
いことが分かった。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明による既設構築物の
耐震改修構造は、前記従来の開口部内面に打設されるア
ンカーボルト1の代わりに、スタッドジベル11を予め
基板10に多数植設した状態で開口部内面に取付けるよ
うにしたから、その基板10を例えば接着剤12とアン
カーボルト13とで取付ける場合にも、そのアンカーボ
ルト13は基板10を支持し得るだけの極く少ない本数
でよく、前記従来の場合に比べてアンカーボルトの打設
本数を可及的に低減できる。また前記従来のようにブレ
ース架構の枠を直接柱、梁に接着する場合のように直接
大きなブレース枠体を柱、梁に固定するわけではなく、
スタッドジベル付きの板状部材を取付ければよいので、
施工が楽である。さらに上記基板10へのスタッドジベ
ルの植設作業は工場で行うことができるので、スタッド
ジベルを所定のピッチで、かつ真っ直ぐに容易に配置で
きる。この結果、従来のようにアンカーボルト1を多数
打設する面倒がなく、現場での作業を大幅に軽減しなが
ら、信頼性の高い施工状態、即ち既設の構築物と耐震架
構との一体性が高い施工が可能となる。そして、本発明
はブレースによる耐震架構の方形枠20と基板10の間
に形成した配筋空間Gに、軸筋30及び閉鎖状のフープ
筋35を固結材中で配しているため、大きなせん断強度
が確保される。
【0039】また上記の基板を取付けるためのアンカー
ボルト13はピッチ(間隔)を広くあけて打設すればよ
いので、アンカーボルト打設用の穿孔を施す際に、躯体
内の既設の鉄筋に当たった場合、もしくは当たるおそれ
がある場合には、打設位置を容易に変更することができ
る。
【0040】さらに上記のようにアンカーボルトの打設
本数が少ないので、騒音、振動、粉塵等の発生が少な
く、既設構築物を使用したままで工事を行うことも可能
であり、また上記のように基板10を開口部内面に接着
剤のみで固着する場合には、削孔作業が不要となって、
更に騒音、振動、粉塵等の発生が低減され、例えば病院
や校舎もしくは庁舎等の改修工事にも良好に適用できる
等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による既設構築物の耐震改修構造の施工
例を示す正面図。
【図2】上記施工例の一部の拡大図。
【図3】(a)〜(c)はそれぞれ図2におけるA−A
・B−B・C−C線断面図。
【図4】(a)・(b)はそれぞれ図2におけるD−D
・E−E線断面図。
【図5】ブレース架構の一部の拡大図。
【図6】(a)・(b)はそれぞれ図5におけるA−A
・B−B線断面図。
【図7】施工要領の一例を示す説明図。
【図8】試験用供試体の斜視図。
【図9】従来の既設構築物の耐震改修方法の一例を示す
正面図。
【図10】上記従来例の一部の拡大図。
【図11】図10におけるC−C線断面図。
【符号の説明】
1 頭付きアンカーボルト 10 基板 11 スタッドジベル 12 接着剤 13 アンカーボルト 14 ナット 2 ブレース架構 20 方形枠 21 スタッドジベル 22,23 筋違 30 軸筋 31 横軸筋 32 縦軸筋 35 割フープ筋 S 開口部 R 躯体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 勝裕 京都府京都市左京区一乗寺大原田町20− 5 株式会社関西リペア工業内 (72)発明者 秋元 義博 大阪府大阪市北区西天満3−2−17 株 式会社ケー・エフ・シー内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04G 23/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐震補強すべき既設構築物に形成した開
    口部内面に、長手方向に多数のスタッドジベルを植設し
    た基板を配置固定し、その基板の内側に、外周面に多数
    のスタッドジベルを植設した耐震架構を、その耐震架構
    と上記基板との間に配筋空間を残して設置し、その配筋
    空間内に、前記長手方向と一致する方向に延伸する軸筋
    と、その軸筋と交差する割フープ筋を結束固定し、それ
    を両外側よりスタッドジベルを取り囲むように配置して
    閉鎖形のフープを形成し、上記スタッドジベルと軸筋お
    よび割フープ筋を埋設するように上記耐震架構外周面と
    開口部内面との間に固結材を充填して固化させたことを
    特徴とする既設構築物の耐震改修構造。
  2. 【請求項2】 前記基板は、接着剤およびアンカーボル
    トにより前記開口部内面に配置固定してなる請求項1記
    載の既設構築物の耐震改修構造。
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