JP2012097458A - 地上構築物の基礎構築方法及び基礎構築用部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】スパイラル平鋼杭を使用した基礎構築の作業性を改善する。
【解決手段】スパイラル平鋼で形成した杭部、及び前記杭部の頂部に設けた円筒部等を備えた複数の杭体1と、地上構築物の連結装着部を設けたベース部、及び杭打ち個所に設けた杭体1が内挿される複数のガイド筒部22を備えた基板体2を使用してなるもので、地上構築物の構築個所に基板体2を配置し、杭体1をガイド筒部の上方から挿入して杭打ちを行い、所定の深さまで杭打ちを行った後、杭体1と基板体2とを一体として地上構築物の基礎とし、基板体2に地上構築物の構築を可能とする。
【選択図】図4
【解決手段】スパイラル平鋼で形成した杭部、及び前記杭部の頂部に設けた円筒部等を備えた複数の杭体1と、地上構築物の連結装着部を設けたベース部、及び杭打ち個所に設けた杭体1が内挿される複数のガイド筒部22を備えた基板体2を使用してなるもので、地上構築物の構築個所に基板体2を配置し、杭体1をガイド筒部の上方から挿入して杭打ちを行い、所定の深さまで杭打ちを行った後、杭体1と基板体2とを一体として地上構築物の基礎とし、基板体2に地上構築物の構築を可能とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、例えば交通信号灯、道路標識などのような大型の支柱を備えた地上構造物の土台となる基礎の構築方法及びその構築方法に使用する部材に関するものである。
大型の支柱からなる地上構築物を構築するような場合には、周知のとおり構築個所の地面を掘削し、その基礎穴内に支柱根本部分を差し込み、残余の基礎孔内にコンクリート等基礎材を投入して基礎とする手段(特開平10−152986号公報参照)が知られているが、前記の基礎穴掘削作業が煩瑣であるので、基礎穴に代えて既製杭を地面に打ち込み、杭頭部に土台を形成し、前記土台にアンカーボルトのような地上構築物の連結構造部を設けて基礎とする手段が広く行われている。
しかし前記の既製杭(コンクリート製円柱杭、鋼製円筒杭)の打ち込み作業は、周囲に与える影響(振動・騒音)が大きく、また作業機械も大型になりコストアップにもつながるので、回転力で基礎杭を打ち込むスパイラル平鋼杭を使用することも知られている。
スパイラル平鋼杭を使用した基礎構築は、特許文献1(特開2001−323479号公報)に示す通り、地面にスパイラル平鋼杭を捻じ込み、前記平鋼杭の頭部にコンクリート製土台を形成したり(同文献、図1)、或いは平鋼杭の頭部に構築物を建てこむ枠部材を形成しており(同文献、図3)、従前の既製杭(コンクリート杭、鋼管杭)をスパイラル平鋼杭に置き換えた手段が知られている。
また特許文献2(特開2003−171944号公報)には、コンクリート製土台を予め製作しておくと共に、前記土台に杭用透孔を形成し、前記杭用透孔を通してスパイラル平鋼を捻じ込む手段が開示されている。
スパイラル平鋼杭を使用して地上構築物の基礎を形成しようとした場合には、スパイラル平鋼杭は横方向の耐力が既製杭に比較して弱いので、堅牢な地上構築物の構築に際しては、その基礎となるコンクリート製土台は、スパイラル平鋼杭の横耐力を負担できるように相応の厚さを有するようにしなければならない。これはコンクリート土台現場構築でも、また既製土台を使用する場合も同様である。
このように相応の厚みのコンクリート土台を採用することは、コンクリート現場打ちにおいては、コンクリート固化期間を必要として作業日程が長くなってしまうし、また既製土台を採用する場合には、重量物の運搬設置という作業があり、煩雑である。
更に地上構築物を撤去することを考慮した場合には、現場打設コンクリート土台もまた既製土台を使用した場合でも、地面に捻じ込んだスパイラル平鋼杭との分離のために、コンクリート土台を破壊する必要があり、その撤去作業が非常に煩瑣なものとなる。
そこで本発明は、スパイラル平鋼杭を使用した基礎構築において、構築時は勿論のこと撤去時に際しての作業性を改善した新規な地上構築物の基礎構築方法及び前記の構築方法に使用する基礎構築用部材を提案したものである。
本発明(請求項1)に係る地上構築物の基礎構築用部材は、適宜長さのスパイラル平鋼で形成した杭部、及び前記杭部の頂部に杭部外周径と略同一に形成し、杭部と同心軸方向に連結した適宜長さの円筒部、及び前記円筒部に付設した他部材との連結固定部、及び捻じ込み用の操作部を備えてなる複数の杭体と、地上構築物に対応した大きさで、且つ地上構築物の連結装着部を設けることのできる板状の金属製のベース部、及び杭体の円筒部が内挿され、且つ前記連結固定部との連結部を付設して、頂部を金属ベース上面に露出させ、前記ベース部における杭打ち個所に、杭打ち方向となるように設けた複数のガイド筒部を備えた基板体とからなることを特徴とするものである。
また本発明(請求項8)に係る地上構築物の基礎構築方法は、前記の杭体と基板体を使用する基礎構築方法であって、地上構築物の構築個所に基板体を配置し、杭体をガイド筒部の上方から挿入すると共に、ガイド筒部の方向に添って地面中に捻じ込んで杭打ちを行い、所定の深さまで杭打ちを行った後、連結固定部と連結部の個所で、杭体と基板体とを一体として地上構築物の基礎とし、基板体の連結装着部を使用して地上構築物の構築を可能としたことを特徴とするものである。
従って前記の基礎は、コンクリート土台を採用することが無く、作業現場においては基板体の設置と、杭体の杭打ち(捻じ込み)で基礎の構築が可能となるもので、基礎構築作業の簡素化が実現すると共に、杭打ち位置が予め基板体に設けたガイド筒部の位置(設計個所)で定められるので、杭打ちが正確な位置及び方向で行われ、設計通りの正確な基礎構築ができる。更にスパイラル平鋼杭の横応力に対し、円筒部によって対応でき、基礎全体を従前のコンクリート土台のような厚さを必要とせず、扁平な基板体で十分対応できるものである。
また本発明(請求項2)に係る基礎構築用部材は、特にガイド筒部をベース部の上面に突出させ、上端をフランジ部に形成すると共に、円筒部の頂部もフランジ部に形成して、両フランジ部に連結固定部及び連結部を設けてなるもので、杭打ち作業において、杭打ち深さが自然に定まり、且つ前記両フランジ部に連結用ボルト孔を形成することで、連結固定部及び連結部を容易に設けることができる。
また本発明(請求項3)に係る基礎構築用部材は、特にガイド筒部をベース部の下面側に適宜長さ突出させてなるもので、基板体の上面にガイド筒部を大きく突出させることなく、且つガイド筒部のガイド長を大きくでき、杭体の杭打ち方向の安定性を高めることができる。
また本発明(請求項4、5)に係る基礎構築用部材は、特に円筒部をベース部面に対して鉛直、又は適宜角度で傾斜して設けてなるもので、地上構築物の構築個所の地盤の状態に対応して、杭打ち方向を設定できるもので、特に軟弱地盤(引き抜き抵抗の弱い地盤)においては、斜めに杭打ちを行うようにするものである。
また本発明(請求項6)に係る基礎構築用部材は、特にベース部の上面又は下面或いは上下両面に、リブ面部を突設してなるもので、基板体のベース部が薄い場合でも、リブ部を設けることでベース部の曲げ耐力を高めることができる。
本発明は上記の構成のとおり複数の杭体と1個の基板体で基礎を構築するもので、基礎構築作業全体が簡素化されると共に、部材使用によって設計どおりの基礎を容易に構築できるものである。また仮に解体撤去を行うにしても、構築作業を逆にするのみで簡易な作業となる。
次に本発明方法の実施形態を基礎構築から地上構築物の構築(建て込み)までについて説明する。実施形態に使用する部材は、基礎を構築するための複数の杭体1と単一の基板体2と、地上構築物(支柱3で支持した道路案内板)である。勿論地上構築物が複数の脚部で支持され、必要とする基礎が複数である場合には、それに応じて基板体2も複数となる。
杭体1は、杭部11と、円筒部12と、連結固定部13と、操作部14とで構成され、杭部11は、平鋼板を捻って形成したもので、基礎杭として必要とされる適宜長さのスパイラル平鋼杭である。
円筒部12は、前記杭部11の外周径と略同一にして杭部11の頂部に溶接して連結接続して、杭部11の頂部を差し入れて、適宜個所で溶接して一体としたものであり、円筒部12の上端はフランジ部121とし、前記フランジ部121に連結固定部13となるボルト孔を穿設してなる。更に円筒部12の頂部内方には、杭体1全体をネジ操作可能な操作部14を設けておく。
基板体2は、ベース部21と、ガイド筒部22と、連結装着部23で構成されるもので、ベース部21は、基礎となる範囲に対応した金属基板211と、前記金属基板211に強度を高めるため、金属基板211に直立するリブ面部212を、金属基板211の上面又は下面、或いは上下両面に設けたものである。
ガイド筒部22は、杭体1の杭部11及び円筒部12が挿通される内径を備えたもので、前記ベース部21における杭打ち個所に配設したもので、当該個所においてベース部21に対して直交(設置時に鉛直となる方向)するように設けたもので、上方部分はベース部21上に露出させ、下方部分はベース部21の下面側に適宜長さ突出させてなる。
またベース部21の上面に露出した上端には、フランジ部221を形成すると共に、前記フランジ部221に連結固定部13と対応する連結部(弧状ボルト孔)222を設けてなる。
地上構築物(支柱)3を装着する連結装着部23は、ベース部21の金属基板211の所定位置に、連結ボルト(アンカーボルト)を直立状に溶接して形成するものである。勿論単に透孔を穿設して連結用ボルトを装着するようにしても良い。
次に前記の杭体1及び基板体2を使用しての基礎構築について説明する。基礎を構築する個所(地上構築物の構築位置)に、基礎構築用の底面を平らにした浅い穴aを掘削する。尚基礎の露出設置や盛り土被覆のような場合には、穴aを掘削することなく平らな面に整備するだけで良い。
次に穴a内に基板体2を設置する。基板体2はベース部21面が水平になるように設置するもので、ガイド筒部22の下方突出部分を土中に食い込ませて基板体2を安定させる(図4ロ)。
基板体2の設置後には杭打ち作業を行うもので、杭打ち作業は、杭体1の操作部14を挟んで土木機械(油圧オーガ)で吊り上げ、ガイド筒部22内に上方から圧入するもので、杭体1は回転しながら地面中に捻じ込まれる。
前記の杭打ちは各ガイド筒部22において行われるもので、所定の深さまで杭打ちがなされると、各フランジ部121、221が当接するので、連結固定部13と連結部222を連結ボルト及びナットで一体に連結し、基礎が構築されるものである。
基礎が構築されると、次に地上構築物(支柱)3を建て込むもので、支柱のベース板部分を基板体2に載置すると共に、連結装着部(アンカーボルト)23を使用して基板体2と連結するものである。地上構築物3の建て込みを終了すると、基板体2の上面に覆土bを行い、必要に応じて植栽を施したり、アスファルト被覆を施すものである。勿論堅牢にコンクリート打設を行っても良い。
以上のとおり杭体1と基板体2を使用することで、基礎構築を実現でき、現場作業が非常に簡易になったものである。
尚前記実施形態は、ガイド筒部22をベース部21に対して直交する方向に設けたものであるから、基板体2を水平に配置すると杭体1は鉛直に打ち込まれるが、特に軟弱地盤で杭体の引き抜き抵抗が弱い個所においては、図6に示すように、ガイド筒部22をベース部21に対して適宜角度で傾斜して設け、杭体1を斜めに打ち込むようにしても良い。
1 杭体
11 杭部
12 円筒部
121 フランジ部
13 連結固定部(ボルト孔)
14 操作部
2 基板体
21 ベース部
211 金属基板
212 リブ面部
22 ガイド筒部
221 フランジ部
222 連結部(弧状ボルト孔)
23 連結装着部
3 地上構築物(支柱)
11 杭部
12 円筒部
121 フランジ部
13 連結固定部(ボルト孔)
14 操作部
2 基板体
21 ベース部
211 金属基板
212 リブ面部
22 ガイド筒部
221 フランジ部
222 連結部(弧状ボルト孔)
23 連結装着部
3 地上構築物(支柱)
Claims (9)
- 適宜長さのスパイラル平鋼で形成した杭部、及び前記杭部の頂部に杭部外周径と略同一に形成し、杭部と同心軸方向に連結した適宜長さの円筒部、及び前記円筒部に付設した他部材との連結固定部、及び捻じ込み用の操作部を備えてなる複数の杭体と、地上構築物に対応した大きさで、且つ地上構築物の連結装着部を設けることのできる板状の金属製のベース部、及び杭体の円筒部が内挿され、且つ前記連結固定部との連結部を付設して、頂部が金属ベース上面に露出させ、前記ベース部における杭打ち個所に、杭打ち方向となるように設けた複数のガイド筒部を備えた基板体とからなることを特徴とする地上構築物の基礎構築用部材。
- ガイド筒部をベース部の上面に突出させ、上端をフランジ部に形成すると共に、円筒部の頂部もフランジ部に形成して、両フランジ部に連結固定部及び連結部を設けてなる請求項1記載の地上構築物の基礎構築用部材。
- ガイド筒部をベース部の下面側に適宜長さ突出させてなる請求項2記載の地上構築物の基礎構築用部材。
- ガイド筒部をベース部面に対して鉛直に設けてなる請求項1乃至3記載の何れかの地上構築物の基礎構築用部材。
- ガイド筒部をベース部面に対して適宜角度で傾斜して設けてなる請求項1乃至3記載の何れかの地上構築物の基礎構築用部材。
- ベース部の上面又は下面或いは上下両面に、リブ面部を突設してなる請求項1乃至5記載の何れかの地上構築物の基礎構築用部材。
- ベース部の上面に連結装着部となるアンカーボルトを溶接によって植立してなる請求項1乃至6記載の何れかの地上構築物の基礎構築用部材。
- 請求項1乃至7記載の何れかの杭体と基板体を使用する基礎構築方法であって、地上構築物の構築個所に基板体を配置し、杭体をガイド筒の上方から挿入すると共に、ガイド筒の方向に添って地面中に捻じ込んで杭打ちを行い、所定の深さまで杭打ちを行った後、連結固定部と連結部の個所で、杭体と基板体とを一体として地上構築物の基礎とし、基板体の連結装着部を使用して地上構築物の構築を可能としたことを特徴とする地上構築物の基礎構築方法。
- 基板体配置個所に基板体と対応した穴を掘削すると共に、当該掘削穴内に基板体を配置してなる請求項8記載の地上構築物の基礎構築方法。
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