JP2013079511A - 山留め支保工の構築方法、及び山留め支保工 - Google Patents
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Abstract
【課題】山留め支保工の施工コストを低減すると共に、山留め壁で囲まれた領域での工事の作業性を向上させる。
【解決手段】山留め壁1に囲まれた掘削領域2の外周部に本設の場所打ちコンクリート杭22を打設すると共に、当該場所打ちコンクリート杭22に鉄骨柱24の一部を埋設し、当該鉄骨柱24と前記山留め壁1の腹起し12とを切梁26で連結することにより、山留め支保工10を構築する。
【選択図】図1
【解決手段】山留め壁1に囲まれた掘削領域2の外周部に本設の場所打ちコンクリート杭22を打設すると共に、当該場所打ちコンクリート杭22に鉄骨柱24の一部を埋設し、当該鉄骨柱24と前記山留め壁1の腹起し12とを切梁26で連結することにより、山留め支保工10を構築する。
【選択図】図1
Description
本発明は、山留め支保工の構築方法及び山留め支保工に関する。
掘削工事を行う際には、掘削領域の周囲に山留め壁を構築し、山留め壁で囲まれた領域に山留め支保工を構築する。この山留め支保工の構築方法としては、切梁を縦横に架設してその両端を両側の山留め壁に固定し、その中間部を棚杭に固定する方法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。また、他の山留め支保工の構築方法として、一対の斜杭の上部と山留め壁とを斜め切梁で連結し、一対の斜杭で斜め切梁の反力をとる方法が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
山留め壁で囲まれた領域に切梁を縦横に架設する場合には、切梁が、山留め壁で囲まれた領域の全体に存在して掘削工事や建物の躯体工事等の障害になるため、これらの工事の施工性が低下する。また、一対の斜杭で斜め切梁の反力をとる場合には、建物の躯体工事等では必要とはされない仮設材として、斜め切梁のみならず、斜杭を設けなければならないため、山留め支保工の施工コストが増大する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、山留め支保工の施工コストを低減すると共に、山留め壁で囲まれた領域での工事の施工性を向上させることを課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る山留め支保工の構築方法は、山留め壁に囲まれた掘削領域に本設の場所打ちコンクリート杭を打設すると共に、当該場所打ちコンクリート杭に鉄骨柱の一部を埋設し、当該鉄骨柱と前記山留め壁の腹起し材とを連結部材で連結することにより、山留め支保工を構築することを特徴とする。
また、本発明に係る山留め支保工の構築方法は、山留め壁に囲まれた掘削領域に本設の場所打ちコンクリート杭を打設すると共に、当該場所打ちコンクリート杭に鉄骨柱の一部を埋設する工程と、前記鉄骨柱の上部が地盤から露出するまで前記掘削領域を掘削する工程と、前記山留め壁に腹起し材を取付けると共に、地盤から露出した前記鉄骨柱と前記腹起し材とを連結部材で連結する工程と、前記掘削領域を敷付け面まで掘削する工程と、を実施することにより山留め支保工を構築することを特徴とする山留め支保工の構築方法。
また、本発明に係る山留め支保工は、山留め壁に囲まれた掘削領域に打設された本設の場所打ちコンクリート杭と、前記場所打ちコンクリート杭に一部が埋設された鉄骨柱と、前記山留め壁の腹起し材と、前記腹起し材と前記鉄骨柱とを連結する連結部材と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、山留め支保工の施工コストを低減すると共に、山留め壁で囲まれた領域での工事の作業性を向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る山留め支保工10の一部を示す斜視図であり、図2は、山留め支保工10の一部を示す立面図である。また、図3は、山留め支保工10の全体を示す平面図である。これらの図に示すように、山留め支保工10は、ソイルセメント柱列壁や矢板壁等の山留め壁1を支える支保工であり、山留め壁1に固定される腹起し12と、腹起し12を支える複数の腹起し支持部20とを備えている。
山留め壁1は、矩形状の掘削領域2を囲うように構成されている。この掘削領域2は、建物の地下躯体を構築するために掘削された領域であり、敷付け面4の下方の地盤には本設の基礎杭たる複数の場所打ちコンクリート杭14、22が打設されている。複数の場所打ちコンクリート杭14は、縦横に打設されており、複数の場所打ちコンクリート杭22は、複数の場所打ちコンクリート杭14の外周側(掘削領域2の外周部)に複数の場所打ちコンクリート杭14を囲うように打設されている。また、腹起し12は、複数のH型鋼12Hが繋ぎ合わされて矩形枠状に構成されており、山留め壁1に沿って水平に延び、山留め壁1にブラケット等により固定されている。
複数の腹起し支持部20は夫々、上述の場所打ちコンクリート杭22と、鉄骨柱24と、切梁26とを備えており、山留め壁1に沿って間隔を空けて配されている。場所打ちコンクリート杭22は、敷付け面4から鉛直下方に打設された円柱状の鉄筋コンクリート杭であり、山留め壁1から所定距離(例えば、2m程度)の位置に打設されている。また、複数の場所打ちコンクリート杭22は、山留め壁1に沿って、所定間隔(例えば、5m程度)毎に打設されている。
鉄骨柱24は、H型鋼であり、下側が場所打ちコンクリート杭22に埋設され、上側が場所打ちコンクリート杭22から鉛直上方に突出している。また、鉄骨柱24は、フランジ24Fが腹起し12のH型鋼12Hのフランジ12Fと平行になるように配されている。また、鉄骨柱24の上端は、腹起し12より下側に位置している。
切梁26は、H型鋼であり、鉄骨柱24の上部と腹起し12のH型鋼12Hとを連結している。切梁26は、掘削領域2の内側から外側にかけて上側に傾斜するように配されており、長手方向一端が鉄骨柱24のフランジ24Fに固定され、長手方向他端がH型鋼12Hのフランジ12Fに固定されている。
ここで、場所打ちコンクリート杭22の上には基礎が構築されるところ、場所打ちコンクリート杭22から突出する鉄筋23及び鉄骨柱24は基礎に埋設される。なお、切梁26及び腹起し12は撤去される。
図4〜図7は、山留め壁1及び山留め支保工10を構築する手順を示す図である。図4に示すように、まず、山留め壁1を掘削予定の領域を囲うように構築する。例えば、混練オーガー機で原位置土を削孔し、オーガー先端からセメント系固化材を吐出させて原位置土と混合攪拌することにより柱列状のソイルセメント杭を築造し、その中に芯材を挿入することによって、ソイルセメント柱列壁を構築する。または、鋼矢板又は鋼管矢板を互いにかみ合わせながら連続して打ち込むことによって、矢板壁を構築する。
図5に示すように、次に、場所打ちコンクリート杭14、22を山留め壁1で囲まれた地盤に打設する。この際、場所打ちコンクリート杭14、22の打設位置を削孔して、その中に鉄筋23と鉄骨柱24とを挿入すると共にコンクリートを打設することにより、鉄筋コンクリート杭を築造する。この際、杭頭部が図中破線で示す敷付け面4の深さから所定量(例えば、1m程度)突出するように、場所打ちコンクリート杭14、22を築造する。また、鉄骨柱24を、その上端が地盤面GLより下側に位置するように杭孔に挿入する。
図6に示すように、次に、掘削領域2の地盤を掘削する。この際、まず、図中破線で示すように、山留め壁1が自立できる深さまで掘削領域2の全体を掘削する1次掘削を実施し、その後、図中実線で示すように、鉄骨柱24と山留め壁1との間の土は残してその内周側のみを敷付け面4まで掘削する2次掘削を実施する。そして、敷付け面4に捨てコンクリートを打設する。
また、図7に示すように、1次掘削の終了後、2次掘削と並行して、腹起し12を架設し、鉄骨柱24と腹起し12とを切梁26で連結し、そして、鉄骨柱24と山留め壁1との間の土を掘削する。この際、鉄骨柱24と山留め壁1とを切梁26で連結した箇所から順次、掘削を進めていく。これにより、切梁26が鉄骨柱24から反力をとるようになり、山留め壁1に作用する土圧が、切梁26及び鉄骨柱24を介して場所打ちコンクリート杭22に伝達されるようになる。
以上のようにして山留め支保工10を構築することにより、掘削領域2の外周部にのみ切梁26を存在させ、掘削領域2の大部分を、掘削工事や建物の躯体工事等の際の障害となる切梁や棚杭が存在しない領域とすることができる。従って、掘削工事や建物の躯体工事における工程の制約を減らすことができるため、掘削工事や建物の躯体工事の施工性を向上できる。また、掘削領域2の内周側の2次掘削と切梁26の設置とを並行して進めることができ、さらに、切梁26の設置が終了した箇所から順次、掘削領域2の外周部の掘削を進めていくことができるため、掘削工事の工期を短縮できる。
また、建物の基礎杭たる本設の場所打ちコンクリート杭22を山留め支保工として用いることにより、建物の躯体工事では必要とはされない仮設材の設置を減らすことができ、山留め支保工の施工コストを低減できる。
また、切梁26で鉄骨柱24と腹起し12とを連結するのに先行して、敷付け面4上に捨てコンクリートを打設するため、この捨てコンクリートが、切梁26及び鉄骨柱24を介して山留め壁1から場所打ちコンクリート杭22に伝達される土圧に対して抵抗する。従って、山留め壁1から場所打ちコンクリート杭22に伝達される土圧による場所打ちコンクリート杭22への影響を減らすことができる。
また、鉄骨柱24と山留め壁1との間、即ち、掘削領域2の外周部の土を残してその内周側の2次掘削を進めることにより、山留め壁1を自立させた状態で、掘削領域2の内周側の2次掘削を進めることができるため、掘削工事の工期を短縮できる。
ここで、掘削領域2の外周部の土を残してその内周側の掘削を進める工法として、アイランド工法が知られているが、このアイランド工法では、外周部の土を残して地下躯体を構築し、その後、外周部の土を掘削するというように掘削工事が2段階の施工になる。これに対して、本実施形態に係る山留め支保工10の構築方法によれば、1次掘削、2次掘削、及び外周部の土の掘削を連続して実施できるため、掘削工事の施工性を向上できる。
図8は、他の実施形態に係る山留め支保工100を示す斜視図である。この図に示すように、山留め支保工100は、山留め壁1を支える支保工であり、山留め壁1に固定される複数の腹起し材112と、夫々、腹起し材112を支える複数の腹起し材支持部120とを備えている。
各腹起し材112は、山留め壁1に沿って水平に延びてアンカー等により山留め壁1に固定されたH型鋼であり、複数の腹起し材112は、山留め壁1に沿って所定間隔おきに配されている。
複数の腹起し材支持部120は夫々、場所打ちコンクリート杭22と、鉄骨柱124と、切梁126とを備えており、山留め壁1に沿って間隔を空けて配されている。鉄骨柱124は、H型鋼であり、下側が場所打ちコンクリート杭22に埋設され、上側が場所打ちコンクリート杭22から鉛直上方に突出している。また、鉄骨柱124は、フランジ124Fが腹起し材112のフランジ112Fと平行になるように配されている。また、鉄骨柱124の上端は、腹起し材112より上側に位置している。
切梁126は、H型鋼であり、鉄骨柱124の上部と腹起し12のH型鋼12Hとを連結している。切梁126は、水平に配されており、長手方向一端が鉄骨柱124のフランジ124Fに固定され、長手方向他端が腹起し材112のフランジ112Fに固定されている。
即ち、本実施形態に係る山留め支保工100では、腹起し材112が山留め壁1の全周に亘って設けられるのではなく、所定間隔毎に設けられており、各腹起し材112が、水平な切梁126及び垂直な鉄骨柱124を介して場所打ちコンクリート杭22に支持されている。
なお、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、上述の各実施形態では、連結部材としての切梁で鉄骨柱と腹起しとを連結したが、ブレースや床板等で連結してもよい。
また、上述の各実施形態では、敷付け面4に捨てコンクリートを打設したが、捨てコンクリートの打設は必要に応じて実施すればよい。また、上述の各実施形態では、鉄骨柱24は山留め支保工として用いるのみで、躯体を構成する本設の柱としては用いていないが、例えば、逆打ち支柱(構真柱)等の本設の柱を、山留め支保工の鉄骨柱として用いてもよい。
さらに、上述の各実施形態では、場所打ちコンクリート杭14を掘削領域2の外周部に打設したが、場所打ちコンクリート杭22の打設位置は、鉄骨柱24,124の強度や掘削領域2内の作業環境等に応じて適宜設定すればよく、外周部に限られるものではない。
1 山留め壁、2 掘削領域、4 敷付け面、10 山留め支保工、12 腹起し、12H H型鋼、12F フランジ、14 場所打ちコンクリート杭、20 腹起し支持部、22 場所打ちコンクリート杭、23 鉄筋、24 鉄骨柱、24F フランジ、26 切梁(連結部材)、100 山留め支保工、112 腹起し材、112F フランジ、120 腹起し材支持部、124 鉄骨柱、124F フランジ、126 切梁(連結部材)
Claims (3)
- 山留め壁に囲まれた掘削領域に本設の場所打ちコンクリート杭を打設すると共に、当該場所打ちコンクリート杭に鉄骨柱の一部を埋設し、当該鉄骨柱と前記山留め壁の腹起し材とを連結部材で連結することにより、山留め支保工を構築することを特徴とする山留め支保工の構築方法。
- 山留め壁に囲まれた掘削領域に本設の場所打ちコンクリート杭を打設すると共に、当該場所打ちコンクリート杭に鉄骨柱の一部を埋設する工程と、
前記鉄骨柱の上部が地盤から露出するまで前記掘削領域を掘削する工程と、
前記山留め壁に腹起し材を取付けると共に、地盤から露出した前記鉄骨柱と前記腹起し材とを連結部材で連結する工程と、
前記掘削領域を敷付け面まで掘削する工程と、
を実施することにより山留め支保工を構築することを特徴とする山留め支保工の構築方法。 - 山留め壁に囲まれた掘削領域に打設された本設の場所打ちコンクリート杭と、
前記場所打ちコンクリート杭に一部が埋設された鉄骨柱と、
前記山留め壁の腹起し材と、
前記腹起し材と前記鉄骨柱とを連結する連結部材と、
を備えることを特徴とする山留め支保工。
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