JP2012093403A - 有機感光体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の有機感光体は、導電性支持体上に、有機感光層および保護層がこの順に積層されてなる有機感光体において、前記保護層が、メルカプト変性シリコーンオイルの存在下においてラジカル重合性モノマーを重合させることによって得られた硬化樹脂よりなるものであることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
しかしながら、有機感光体の耐摩耗性が高くなることに伴って、クリーニング工程におけるクリーニングブレードのビビリやメクレが発生するという問題がある。
ここに、クリーニングブレードのビビリとは、クリーニングブレードと有機感光体の表面との摩擦抵抗が大きくなることにより、クリーニングブレードが振動する現象をいい、クリーニングブレードのメクレとは、有機感光体の回転方向に対してクリーニングブレードが反転する現象をいう。
しかしながら、このような方法によっては、表面層において硬化不良が発生しやすく、その結果、十分な耐久性が得られず、また、クリーニングブレードのビビリやメクレの発生の抑制も十分とはいえなかった。
前記保護層が、メルカプト変性シリコーンオイルの存在下においてラジカル重合性モノマーを重合させることによって得られた硬化樹脂よりなるものであることを特徴とする。
このような効果が奏される理由は、以下のように考えられる。
すなわち、ラジカル重合性モノマーの重合反応において発生する炭素ラジカルは、空気中の酸素と反応し、パーオキシラジカルが生成される。通常、このパーオキシラジカルが生成されると、重合反応が停止し架橋密度が高くならないため、十分な硬化が行われない。そこで、本発明の有機感光体を構成する保護層においては、当該保護層を構成する硬化樹脂を、メルカプト変性シリコーンオイルの存在下においてラジカル重合性モノマーを重合させることによって得られたものとすることにより、ラジカル重合性モノマーの重合反応において生成されるパーオキシラジカルがメルカプト変性シリコーンオイルにおけるメルカプト基の水素を引き抜いて活性なラジカルとなるので重合反応が継続して行われることとなる。これにより、高い架橋密度を有し、十分な硬化反応が行われ、その結果、高い耐久性を有する有機感光体が得られると考えられる。また、シリコーンオイルは、一般に、表面付近に偏在する特性を有することから、この特性を利用し、特に硬化不良が発生しやすい最表面である保護層を構成する硬化樹脂の合成にメルカプト変性シリコーンオイルを用いることにより、効果的に硬化反応が行われ、高い耐久性を有する有機感光体が得られると考えられる。さらに、保護層を構成する硬化樹脂に残存するメルカプト変性シリコーンオイルの作用により、保護層表面に高い潤滑性が得られ、クリーニングブレードのビビリやメクレの発生が抑制されると考えられる。
また、十分な硬化反応が行われることにより、画像ボケの発生の要因と考えられるラジカル重合性モノマーの未反応残基が低減し、画像ボケの発生が抑制されると考えられる。
本発明の有機感光体は、導電性支持体上に、有機感光層および保護層がこの順に積層されてなるものである。
本発明の有機感光体は、上記層構成であれば特に限定されるものではないが、具体的には下記(1)および(2)の層構成が挙げられる。
(1)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷発生層および電荷輸送層、並びに保護層がこの順に積層されてなる層構成。
(2)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層、並びに保護層がこの順に積層されてなる層構成。
本発明の有機感光体を構成する保護層は、メルカプト変性シリコーンオイルの存在下においてラジカル重合性モノマーを重合させることによって得られた硬化樹脂よりなるものである。この硬化樹脂は、例えば紫外線や電子線などの活性線を照射することにより、ラジカル重合性モノマーが重合反応(硬化反応)されて得られたものである。
硬化樹脂を形成するためのラジカル重合性モノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。これらのラジカル重合性モノマーは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられるメルカプト変性シリコーンオイルは、主骨格にシロキサン結合(Si−O−Si)構造を有する高分子化合物がメルカプト基により変性されたものであり、具体的には、下記式(O−1)および式(O−2)に示すものなどが挙げられる。
メルカプト変性シリコーンオイルの官能基当量が過大である場合においては、当該メルカプト変性シリコーンオイルにおけるメルカプト基の数が少ないため、保護層を形成するためのラジカル重合性モノマーの重合反応において、十分な硬化が行われず、その結果、有機感光体に高い耐久性が得られないおそれがある。一方、メルカプト変性シリコーンオイルの官能基当量が過小である場合においては、当該メルカプト変性シリコーンオイルにおけるメルカプト基の数が多いため、保護層表面に高い潤滑性を十分に付与することができないおそれがある。
なお、官能基当量とは、分子量の総和を官能基(メルカプト基)の数で割った値をいう。
本発明に係る保護層においては、金属酸化物微粒子が含有されていることが好ましい。保護層において、金属酸化物微粒子が含有されていることにより、有機感光体がより高い耐久性を有するものとなる。
このような金属酸化物微粒子は、遷移金属も含めた金属酸化物粒子であればよく、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化スズ、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどの金属酸化物微粒子が挙げられ、なかでも、アルミナ(Al2 O3 )、酸化スズ(SnO2 )、二酸化チタン(TiO2 )の微粒子が好ましく、アルミナ、酸化スズが更に好ましい。
本発明において、金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の金属酸化物微粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
金属酸化物微粒子の含有量が過小である場合においては、保護層の電気抵抗が低くなり、残留電位の上昇やカブリの発生を防止することができないおそれがある。一方、金属酸化物微粒子の含有量が過大である場合においては、保護層に良好な成膜性が得られず、帯電性能の低下やピンホールの発生を防止することができないおそれがある。
金属酸化物微粒子が反応性有機基含有シランカップリング剤により表面処理されてなるものであることにより、ラジカル重合性モノマーとの結合が強固になり、保護層がより高い耐久性を有するものとなる。
式(S−2):CH2 =CHSi(OCH3 )3
式(S−3):CH2 =CHSiCl3
式(S−4):CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
式(S−5):CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
式(S−6):CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OC2 H5 )(OCH3 )2
式(S−7):CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
式(S−8):CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
式(S−9):CH2 =CHCOO(CH2 )2 SiCl3
式(S−10):CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
式(S−11):CH2 =CHCOO(CH2 )3 SiCl3
式(S−12):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
式(S−13):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
式(S−14):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2
式(S−15):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
式(S−16):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
式(S−17):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 SiCl3
式(S−18):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
式(S−19):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 SiCl3
式(S−20):CH2 =CHSi(C2 H5 )(OCH3 )2
式(S−21):CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 )3
式(S−22):CH2 =C(CH3 )Si(OC2 H5 )3
式(S−23):CH2 =CHSi(OCH3 )3
式(S−24):CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 )2
式(S−25):CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
式(S−26):CH2 =CHCOOSi(OCH3 )3
式(S−27):CH2 =CHCOOSi(OC2 H5 )3
式(S−28):CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 )3
式(S−29):CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 H5 )3
式(S−30):CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OC2 H5 )3
式(S−31):CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )2 (OCH3 )
式(S−32):CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCOCH3 )2
式(S−33):CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(ONHCH3 )2
式(S−34):CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OC6 H5 )2
式(S−35):CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(C10H21)(OCH3 )2
式(S−36):CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH2 C6 H5 )(OCH3 )2
これらの表面処理剤は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
すなわち、金属酸化物微粒子と表面処理剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物微粒子を微細化すると共に当該金属酸化物微粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化することにより表面処理された金属酸化物微粒子が得られる。
これらの分散型装置においては、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を用いて衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。
公知の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。
滑剤粒子としては、例えばフッ素原子含有樹脂粒子などが挙げられる。このフッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、およびこれらの共重合体の粒子の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂粒子およびフッ化ビニリデン樹脂粒子が好ましい。
滑剤粒子の数平均一次粒径は、0.01〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5μmである。
本発明において、滑剤粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の滑剤粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
保護層の形成方法は、ラジカル重合性モノマー、必要に応じ金属酸化物微粒子を公知の溶媒に溶解し、例えばディスパーマット分散機により分散液を調製する。この分散液にメルカプト変性シリコーンオイルを添加し保護層塗布液を調製し(塗布液調製工程)、この保護層塗布液を有機感光層上に塗布して塗膜を形成し(塗膜形成工程)、その後、自然乾燥または熱乾燥し(乾燥工程)、活性線を照射することにより重合・硬化反応させる(重合工程)方法が好ましい。
また、ラジカル重合性モノマーに対するメルカプト変性シリコーンオイルの添加量は、ラジカル重合性モノマー100質量部に対して0.1〜4質量部であることが好ましい。
メルカプト変性シリコーンオイルの添加量が上記範囲であることにより、ラジカル重合性モノマーの重合反応における十分な重合反応促進機能を果たす。
活性線としては、紫外線や電子線が好ましく、使用容易性の観点から紫外線が特に好ましい。
照射条件は、それぞれのランプの種類によって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2 とされ、好ましくは5〜100mJ/cm2 とされる。ランプの電力は、0.1〜5kWであることが好ましく、より好ましくは0.5〜3kWである。
本発明の有機感光体を構成する導電性支持体としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラム状またはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウムおよび酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
本発明の有機感光体においては、導電性支持体と有機感光層との間にバリアー機能と接着機能とを有する中間層を設ける構成とすることができる。種々の故障防止などの観点から、このような中間層を設けることが好ましい。
この中間層は、バインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)、および、当該中間層の抵抗を調整する目的で含有される各種の導電性微粒子や金属酸化物微粒子(以下、「中間層用金属酸化物微粒子」ともいう。)などの無機微粒子よりなるものである。
このような中間層用金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
本発明において、中間層用金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の中間層用金属酸化物微粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
中間層の形成方法は、中間層用バインダー樹脂を公知の溶媒に溶解して中間層塗布液を調製し、この中間層塗布液を導電性支持体上に浸漬、塗布する方法が好ましい。
(電荷発生層)
本発明の有機感光体を構成する有機感光層における電荷発生層は、電荷発生物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)よりなるものであり、この電荷発生層は、電荷発生物質を電荷発生層用バインダー樹脂溶液中に分散、塗布することにより形成することができる。
電荷発生層の形成方法は、電荷発生層用バインダー樹脂を溶媒で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して電荷発生層塗布液を調製し、この電荷発生層塗布液を塗布機で一定の層厚に導電性支持体上または中間層上塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥する方法が好ましい。
本発明の有機感光体を構成する有機感光層における電荷輸送層は、電荷輸送物質(CTM)およびバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)よりなるものであり、この電荷輸送層は、電荷輸送物質を電荷輸送層用バインダー樹脂溶液中に溶解、塗布することにより形成することができる。
電荷輸送層の形成方法は、電荷輸送層用バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解して電荷輸送層塗布液を調製し、この電荷輸送層塗布液を塗布機で一定の層厚に電荷発生層上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥する方法が好ましい。
本発明の有機感光体は、モノクロの画像形成装置やフルカラーの画像形成装置など電子写真方式の公知の種々の画像形成装置において用いることができる。
本発明の有機感光体が用いられる画像形成装置は、例えば、有機感光体上に均一な帯電電位を付与する帯電手段と、均一な帯電電位が付与された有機感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像に顕像化する現像手段と、トナー像を転写材上に転写する転写手段と、転写材上のトナー像を定着する定着手段と、有機感光体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段とを有するものである。
本発明の有機感光体が用いられる画像形成装置におけるクリーニング手段としては、クリーニングブレードが用いられることが好ましい。
本発明の有機感光体上に形成される静電潜像は、現像によりトナー像として顕像化される。この現像に用いられるトナーとしては、粉砕トナーでも、重合トナーでもよいが、安定した粒度分布を得られる観点から、重合法で作製される重合トナーが好ましい。
トナー粒子の粒径が上記範囲であることにより、形成される画像の解像度を高くすることができる。さらに、小粒径のトナー粒子でありながら、微細な粒径のトナー粒子の存在量を少なくすることができ、長期間にわたってドット画像の再現性が改善され、鮮鋭性の良好な、安定した画像を形成することができる。
トナー粒子の体積平均粒径(Dv50)は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。
本発明に係るトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
本発明において、磁性粒子の体積平均粒径(Dv50)は、湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定されるものである。
(1)導電性支持体の作製
ドラム状のアルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体〔1〕を作製した。
下記原料を分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式により10時間の分散を行い、中間層塗布液〔1〕を調製した。
・バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「X1010」(ダイセルデグサ社製) 1質量部
・金属酸化物微粒子:酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製)(数平均一次粒径:0.035μm) 1.1質量部
・溶媒:エタノール 20質量部
上記導電性支持体〔1〕上に、この中間層塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布し、110℃で20分間乾燥し、層厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
(電荷発生層の形成)
下記原料を分散機としてサンドミルを用いて、10時間の分散を行い、電荷発生層塗布液〔1〕を調製した。
・電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で5少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するもの) 20質量部
・バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)
10質量部
・溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
・溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
上記中間層〔1〕の上に、この電荷発生層塗布液〔1〕を浸漬塗布法によりで塗布し、層厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
下記原料を混合して溶解し、電荷輸送層塗布液〔1〕を調製した。
・電荷輸送物質:下記式(A)に示す化合物 150質量部
・バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300質量部
・酸化防止剤:「Irganox1010」(日本チバガイギー社製) 6質量部
・溶媒:トルエン/テトラヒドロフラン=1/9体積% 2000質量部
・レベリング剤:シリコーンオイル「KF−54」(信越化学社製) 1質量部
上記電荷発生層〔1〕上に、この電荷輸送層塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布し、120℃で70分間乾燥し、層厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
下記ラジカル重合性モノマーおよび溶媒を分散機としてサンドミルを用いて、10時間分散した後、下記メルカプト変性シリコーンオイルおよび重合開始剤を加え、遮光下で混合、撹拌して溶解し保護層塗布液〔1〕を調製した(塗布液調製工程)。なお、この工程中においては、遮光状態を保った。
・ラジカル重合性モノマー:式(Mc−1)に示す化合物 100質量部
・溶媒:2−ブタノール 500質量部
・メルカプト変性シリコーンオイル:上記式(O−1)〔ただし、R1 における式(3)中においてr=3、官能基当量=1900〕に示す化合物 0.6質量部
・重合開始剤:「イルガキュアー819」(BASFジャパン社製) 10質量部
この保護層塗布液〔1〕を上記電荷輸送層〔1〕上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、塗布して塗膜を形成した(塗膜形成工程)。その後、室温で20分乾燥し(乾燥工程)、メタルハライドランプ(500W)を用いて100mmの位置で回転させながら1分間照射して(重合工程)、層厚3μmの保護層〔1〕を形成し、有機感光体〔1〕を作製した。
有機感光体の作製例1において、(4)保護層の形成におけるラジカル重合性モノマーとして表1に示すものおよび添加量に変更し、また、メルカプト変性シリコーンオイルとして表1に示すものおよび添加量に変更し、さらに表1に示す金属酸化物微粒子を保護層塗布液〔1〕に加えたことの他は同様にして有機感光体〔2〕〜〔6〕を作製した。
有機感光体の作製例1における(4)保護層の形成を下記の保護層の形成方法に変更したことの他は同様にして有機感光体〔7〕を作製した。
(4)保護層の形成
下記原料を混合して溶解し、保護層塗布液〔7〕を調製した。
・バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)100質量部
・溶媒:トルエン/テトラヒドロフラン=1/9体積% 500質量部
・メルカプト変性シリコーンオイル:上記式(O−1)〔ただし、R1 における式(3)中においてr=3、官能基当量=1900〕に示す化合物 0.6質量部
この保護層塗布液〔7〕を上記電荷輸送層〔1〕にサークルスライドホッパーにより塗布し、120℃で70分間乾燥し、層厚3μmの保護層〔7〕を形成し、有機感光体〔7〕を作製した。
有機感光体の作製例1において、(4)保護層の形成におけるメルカプト変性シリコーンオイルを表1に示すものおよび添加量に変更したことの他は同様にして有機感光体〔8〕を作製した。
以上のようにして得られた有機感光体〔1〕〜〔8〕をフルカラー画像形成装置「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製;600dpi、780nmの半導体レーザーの露光光を使用)に搭載した。なお、このフルカラー画像形成装置は画像形成ユニットを4組有するものであるので、それぞれの画像形成ユニットの感光体を同一種類の感光体で統一して(例えば、有機感光体〔1〕の場合は、4本の有機感光体〔1〕を用いて)、下記評価1〜3を行った。各評価は、温度30℃湿度80%RHの条件で、A4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を50万枚の印刷する耐刷試験後に行った。結果を表2に示す。
耐刷試験後、直ぐに画像形成装置の主電源を切った。主電源を切った12時間後に主電源を入れ印刷可能状態になった後、直ちにA3サイズの中性紙全面にハーフトーン画像(マクベス濃度計で相対反射濃度0.4)と、全面6dot格子画像とを印字した。印字画像の状態を目視により観察し以下評価基準により評価した。
−評価基準−
A:ハーフトーン画像および格子画像共に画像ボケ発生なし(良好)
B:ハーフトーン画像のみに感光体長軸方向の薄い帯状濃度低下が認められる(実用上問題なし)
C:画像ボケによる格子画像の欠損もしくは線幅の細りが発生(実用上問題有り)
耐刷試験前後の有機感光体の表面状態を目視により観察し傷の状態を下記評価基準により評価した。なお、評価した有機感光体はシアン位置に設置されたものとする。
−評価基準−
A:50万枚印刷後に表面傷なし(良好)
B:50万枚印刷後に表面傷1〜5箇所発生(実用上問題なし)
C:50万枚印刷後に表面傷6箇所以上発生(実用上問題有り)
耐刷試験後に、温度20℃湿度50%RHの環境条件下に画像形成装置を1時間放置した後、A4サイズの中性紙上にハーフトーン画像を形成し、当該ハーフトーン画像を下記評価基準により評価した。
−評価基準−
A:フィルミング現象による画像ノイズが認められない(良好)
B:フィルミング現象による画像ノイズが多少認められる(実用上問題なし)
C:フィルミング現象による画像ノイズが発生(実用上問題り)
耐刷試験後に、温度10℃湿度15%RHの環境条件下において、さらにA4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を20万枚の印刷する耐刷試験を行い、ブレードの鳴きについて下記評価基準により評価した。
なお、ブレードの鳴きとは、クリーニングブレードと感光体との摩擦により異常音が発生する現象をいい、クリーニングブレードのビビリの発生などに起因して生じる現象である。
−評価基準−
A:20万枚印刷終了するまでブレードの鳴き発生なし(良好)
B:感光体起動時または停止時において軽微なブレードの鳴きが発生(実用上問題なし)
C:連続的なブレードの鳴きが発生(実用上問題有り)
Claims (3)
- 導電性支持体上に、有機感光層および保護層がこの順に積層されてなる有機感光体において、
前記保護層が、メルカプト変性シリコーンオイルの存在下においてラジカル重合性モノマーを重合させることによって得られた硬化樹脂よりなるものであることを特徴とする有機感光体。 - 前記保護層が、金属酸化物微粒子を含有していることを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。
- 前記保護層を構成する硬化樹脂が、ラジカル重合性モノマー100質量部に対してメルカプト変性シリコーンオイル0.1〜4質量部を添加して得られたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機感光体。
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