JP2012084503A - 光電変換素子、光電気化学電池及び色素 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1)で表される化合物からなる色素と、半導体微粒子とを有する感光体層を具備する光電変換素子。
[一般式(1)において、Qは、4価の芳香族基を示し、X1、X2はそれぞれ独立に硫黄原子、酸素原子、またはC(R1)R2を表す。ここでR1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。R、R’はそれぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。P1、P2はそれぞれ独立に、特定の構造の非金属原子群を表し、P1とP2は異なる構造を表す。W1は電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表す。]
【選択図】なし
Description
そこで特定のポリメチン色素を用いることにより、800nmでの光吸収を多くし、変換効率の高い光電変換素子を提供する提案がされている(例えば、特許文献2、3参照)。しかしこれらの光電変換素子では、さらに高波長域での光吸収及びこの波長域における光電変換効率は十分とはいえないため、さらに高波長域での光電変換効率を向上させることが求められている。
そこで、800nmを越える波長域の光を吸収して高い変換効率を得ることができる光電変換素子及び光電気化学電池が必要とされている。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
下記一般式(2−1)及び(2−2)において、P20−1又はP20−2は、末端の炭素であるC*21で、上記一般式(1)のC*1及び/又はC*2と炭素−炭素二重結合により結合している。
下記一般式(3−1)及び(3−2)において、P30−1又はP30−2は、末端の炭素であるC*31で、上記一般式(1)のC*1及び/又はC*2と炭素−炭素二重結合により結合している。]
R34及びR34’は酸素原子、窒素原子又は炭素原子であり、R34又はR34’が窒素原子の場合は、該窒素原子は、水素原子、脂肪族基及び芳香族基からなる置換基群から選ばれる2つの基を有し、R34又はR34’が炭素原子の場合は、該炭素原子上の該置換基のHammett則におけるσp値の和が正である。n22は0以上の整数を表す。
Y21、Y21’、Y31及びY31’は硫黄原子、NR5、またはC(R6)R7を表す。R5は水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。R6、R7は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
R21、R21’、R31及びR31’は脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。
R22、R22’、R32、R32’、R23、R23’、R33、R33’、R24及びR24’はそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。]
<3>前記一般式(1)におけるV21、V21’、V31及びV31’のいずれかがHammett則におけるσp値が負の置換基を有し、他方が酸性基を有することを特徴とする<1>又は<2>記載の光電変換素子。
<4>前記一般式(1)で表される色素のn22又はn22’が、0又は1であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<5>前記R34又はR34’が、下記一般式(4−1)〜(4−4)で表されることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項記載の光電変換素子。
R34又はR34’が、酸素原子であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<8>前記V21、V21’、V31又はV31’における酸性基が、5−カルボキシル基、6−カルボキシル基、5−スルホン酸基、5−ホスホニル基若しくは5−ホスホリル基又はこれらの塩であることを特徴とする<2>〜<7>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<9>前記R21、R21’、R31、R31’のいずれかが酸性基または酸性基を有する基であることを特徴とする<3>〜<8>記載の光電変換素子。
Mz(LL1)m1(LL2)m2(X)m3・CI 一般式(6)
[ 一般式(6)において、Mzは金属原子を表し、LL1は下記一般式(7)で表される2座又は3座の配位子を表し、LL2は下記一般式(8)で表される2座又は3座の配位子を表す。Xはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する1座又は2座の配位子、又はハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミド及びチオ尿素からなる群より選ばれる1座又は2座の配位子を表す。m1は0〜3の整数を表し、m1が2以上のとき、LL1は同じでも異なっていてもよい。m2は1〜3の整数を表し、m2が2以上のとき、LL2は同じでも異なっていてもよい。m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。CIは、一般式(6)において電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
<12>前記R55又はR56が、下記一般式(9−1)〜(9−7)のいずれかであることを特徴とする<10>又は<11>記載の光電変換素子。
m1〜m6は各々1〜5の整数を表す。Y及びXは独立に、S、O、Se、Te、NR83を表し、R83は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。]
<14>前記色素が前記半導体微粒子に吸着していることを特徴とする<1>〜<13>のいずれか1項に記載の光電変換素子。
<15><1>〜<14>のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
<16>少なくとも下記一般式(1)で表される化合物からなる色素。
下記一般式(2−1)及び(2−2)において、P20−1又はP20−2は、末端の炭素であるC*21で、上記一般式(1)のC*1及び/又はC*2と炭素−炭素二重結合により結合している。
下記一般式(3−1)及び(3−2)において、P30−1又はP30−2は、末端の炭素であるC*31で、上記一般式(1)のC*1及び/又はC*2と炭素−炭素二重結合により結合している。]
V21、V21’、V31又はV31’は互いに連結して環を形成していてもよい。P1又はP2の置換基であるV21、V21’、V31及びV31’の少なくとも1つは、Hammett則におけるσp値が負の置換基を表す。R34及びR34’は酸素原子、窒素原子又は炭素原子であり、R34又はR34’が窒素原子の場合は、該窒素原子は、水素原子、脂肪族基及び芳香族基からなる置換基群から選ばれる2つの基を有し、R34又はR34’が炭素原子の場合は、該炭素原子上の該置換基のHammett則におけるσp値の和が正である。n22は0以上の整数を表す。
Y21、Y21’、Y31及びY31’は硫黄原子、NR5、またはC(R6)R7を表す。R5は水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。R6、R7は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
R21、R21’、R31及びR31’は脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。
R22、R22’、R32、R32’、R23、R23’、R33、R33’、R24及びR24’はそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。]
(A1)一般式(1)の化合物からなる色素
本発明の光電変換素子においては、少なくとも下記一般式(1)で表される化合物からなる色素が使用される。一般式(1)の色素は、共鳴構造式の1つが一般式(1)で表されるものも含まれる。
下記一般式(2−1)及び(2−2)において、P20−1又はP20−2は、末端の炭素であるC*21で、上記一般式(1)のC*1及び/又はC*2と炭素−炭素二重結合により結合している。
下記一般式(3−1)及び(3−2)において、P30−1又はP30−2は、末端の炭素であるC*31で、上記一般式(1)のC*1及び/又はC*2と炭素−炭素二重結合により結合している。]
また前記一般式(3−1)と一般式(3−2)において、V31とV31’、n31とn31’、Y31とY31’、R31とR31’、R32とR32’、R33とR33’、R34とR34’は同義であるため、それぞれ、以下の説明においては、一方について説明する。
前記一般式(2−1)〜(3−2)において、AおよびBはベンゼン環またはナフタレン環を表す。V21及びV31は水素原子又は置換基を表す。n21は1以上の整数を表し、n21が2以上のときは、V21は同じでも異なっていてもよく、n31が2以上のときは、V31は同じでも異なっていてもよく、V21又はV31は互いに連結して環を形成していてもよい。V21及びV31はR21又はR31が結合している窒素原子のパラ位に置換されていることが好ましい。n21及びn31の好ましい範囲は1〜2であり、さらに好ましくは1である。P1、P2のいずれかの置換基であるV21もしくはV31の少なくとも1つは、Hammett則におけるσp値が負の置換基を表す。R34は酸素原子、窒素原子又は炭素原子であり、R34が窒素原子の場合は、該窒素原子は、水素原子、脂肪族基及び芳香族基からなる置換基群から選ばれる2つの基を有し、R34が炭素原子の場合は、該炭素原子上の該置換基のHammett則におけるσp値の和が正である。n22は0以上の整数を表す。n22は0又は1であることが好ましい。
R6、R7は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、R6とR7とは、同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。R6、R7の好ましい例は、脂肪族基又は芳香族基であり、より好ましくは脂肪族基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)である。
R22、R32、R23、R33及びR24はそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよく、好ましくは水素原子または脂肪族基であり、より好ましくは水素原子である。
ここで酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、例えば、カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、ホウ酸基などを有する基が挙げられ、好ましくはカルボキシル基を有する基である。また酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。V1はベンゼン環に直接上記の酸性基が結合していてもよく、連結基を介して酸性基が結合していてもよい。V21、V21’、V31又はV31’における酸性基は、5−カルボキシル基、6−カルボキシル基、5−スルホン酸基、5−ホスホニル基若しくは5−ホスホリル基又はこれらの塩のいずれかであることが好ましい。なお、ここで位置番号は、N+を1とし、反時計回りに付けるものである。
前記一般式(1)の構造の色素は、好ましくは、P30−1の構造を有することが好ましい。さらに好ましくは、P1とP2の両方が、P30−1の構造を有することが好ましい。
W1が陽イオンの場合、例えば、無機若しくは有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)又はアルカリ金属イオンである。W1が陰イオンの場合、無機陰イオン又は有機陰イオンのいずれであってもよい。例えば、ハロゲン陰イオン、(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどが挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとしてイオン性ポリマーあるいは、色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよいし、金属錯イオン(例えば、ビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III))でもよい。
以下に本発明の一般式(1)で表される色素の好ましい具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。以下の色素のうち、例えば、A−1は、骨格Aにおいて、各記号は、表1の「1」及び表2の「1」の行のものを表し、B−1は、骨格Bにおいて、各記号は、表1の「1」及び表2の「1」の行のものを表す。表1及び表2に、A−1〜F−23を示す。
例えば、前記例示色素A−1は、以下のスキームにより得ることができる。他の色素も同様の方法で得ることができる。
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池においては、下記一般式(6)で表される化合物からなる色素を含む。
Mz(LL1)m1(LL2)m2(X)m3・CI 一般式(6)
一般式一般式(6)で表される化合物からなる色素は、金属原子に、配位子LL1及び/又は配位子LL2と、場合により特定の官能基Xが配位しており、必要な場合はCIにより電気的に中性に保たれている。
(A2−1)金属原子Mz
Mzは金属原子を表す。Mzは好ましくは4配位または6配位が可能な金属であり、より好ましくはRu、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn又はZnである。特に好ましくは、Ru、Os、Zn又はCuであり、最も好ましくはRuである。
配位子LL1は、下記一般式(7)により表される2座または3座の配位子により表される2座または3座の配位子であり、好ましくは2座配位子である。配位子LL1の数を表すm1は0〜3の整数であり、1〜3であるのが好ましく、1であるのがより好ましい。m1が2以上のとき、LL1は同じでも異なっていてもよい。ただし、m1と、後述の配位子LL2の数を表すm2のうち少なくとも一方は1以上の整数である。したがって金属原子に、配位子LL1及び/又は配位子LL2が配位している。
一般式(3)中のR51及びR52はそれぞれ独立に酸性基を表し、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭素原子数1〜20のヒドロキサム酸基、例えば、―CONHOH、―CONCH3OH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)2等)及びホスホニル基(例えば―P(O)(OH)2等)並びにこれらの塩が挙げられ、好ましくはカルボキシル基、ホスホニル基及びこれらの塩であり、より好ましくはカルボキシル基又はその塩が挙げられる。R51およびR52はピリジン環上のどの炭素原子に置換してもよい。
配位子LL1がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また配位子LL1がアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
ここでL1及びL2はそれぞれ独立に、エテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。エテニレン基やエチニレン基は、無置換でも置換されていてもよい。エテニレン基が置換基を有する場合、該置換基はアルキル基であるのが好ましく、メチルであるのがより好ましい。L1及びL2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜6個の共役鎖であるのが好ましく、エテニレン、ブタジエニレン、エチニレン、ブタジイニレン、メチルエテニレン又はジメチルエテニレンがより好ましく、エテニレン又はブタジエニレンが特に好ましく、エテニレンが最も好ましい。L1とL2は同じであっても異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。なお、共役鎖が炭素―炭素二重結合を含む場合、各二重結合はトランス体であってもシス体であってもよく、これらの混合物であってもよい。
a1とa2の和が1以上であって、配位子LL1が酸性基を少なくとも1個有するときは、一般式(8)中のm1は2または3であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。
一般式(6)中、LL2は2座又は3座の配位子を表す。配位子LL2の数を表すm2は0〜2の整数であり、0又は1であるのが好ましい。m2が2のときLL2は同じでも異なっていてもよい。ただし、m2と、前述の配位子LL1の数を表すm1のうち少なくとも一方は1以上の整数である。
配位子LL2は、下記一般式(8)で表される2座又は3座の配位子である。
一般式(8)中、cは0または1を表す。cは0であるのが好ましく、LL2は2座配位子であるのが好ましい。
一般式(6)中、Xは1座又は2座の配位子を表す。配位子Xの数を表すm3は0〜3の整数を表し、m3は好ましくは1又は2である。Xが1座配位子のとき、m3は2であるのが好ましく、Xが2座配位子のとき、m3は1であるのが好ましい。m3が2以上のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。
一般式(6)中のCIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、色素が陽イオン又は陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、色素中の金属、配位子および置換基に依存する。
置換基が解離性基を有することなどにより、一般式(6)の色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、一般式(6)の色素全体の電荷はCIにより電気的に中性とされる。
対イオンCIが負の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
一般式(6)で表される構造を有する色素は、半導体微粒子の表面に対する適当な結合基(interlocking group)を少なくとも1つ以上有するのが好ましい。この結合基を色素中に1〜6個有するのがより好ましく、1〜4個有するのが特に好ましい。カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(例えば―CONHOH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)2等)、ホスホニル基(例えば―P(O)(OH)2等)等の酸性基(解離性のプロトンを有する置換基)を色素中に有することが好ましい。
一般式(6)で表される化合物からなる色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜1000nmの範囲であり、より好ましくは350〜950nmの範囲であり、特に好ましくは370〜900nmの範囲である。
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池においては、少なくとも前記一般式(1)で表される化合物からなる色素と、一般式(6)で表される化合物からなる色素を用いて、広範囲の波長の光を利用することにより、高い変換効率を確保することができる。
図1に示すような本発明の光電変換素子の好ましい実施態様において、光電変換素子に用いられる電荷移動体層3には、電解質組成物からなる層が適用できる。その酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(例えばヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム等)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体(例えば赤血塩と黄血塩)の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせが好ましい。
ヨウ素塩のカチオンは5員環又は6員環の含窒素芳香族カチオンであるのが好ましい。特に、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物のいずれも又は一方がヨウ素塩でない場合は、WO95/18456号、特開平8−259543号、電気化学,第65巻,11号,923頁(1997年)等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等のヨウ素塩を併用するのが好ましい。
本発明の光電変換素子に使用される電解質組成物中には、ヘテロ環4級塩化合物と共にヨウ素を含有するのが好ましい。ヨウ素の含有量は電解質組成物全体に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
溶媒としては低粘度でイオン移動度が高いか、高誘電率で有効キャリアー濃度を高めることができるか、あるいはその両方であるために優れたイオン伝導性を発現できるものが好ましい。このような溶媒としてカーボネート化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン等)、エーテル化合物(ジオキサン、ジエチルエーテル等)、鎖状エーテル類(エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ビスシアノエチルエーテル等)、エステル類(カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルフォラン等)、水、特開2002−110262記載の含水電解液、特開2000−36332号公報、特開2000−243134号公報、及び再公表WO/00−54361号公報記載の電解質溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は二種以上を混合して用いてもよい。
ゲル電解質に占めるモノマーの重量組成範囲は0.5〜70質量%であるのが好ましい
。より好ましくは1.0〜50質量%である。ポリマーの架橋反応により電解質組成物をゲル化させる場合は、組成物に架橋可能な反応性基を有するポリマー及び架橋剤を添加するのが好ましい。好ましい反応性基はピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の含窒素複素環であり、好ましい架橋剤は窒素原子が求核攻撃できる官能基を2つ以上有する化合物(求電子剤)であり、例えば2官能以上のハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネート等である。
また、電気化学素子の構成として、導電性支持体(電極層)、光電変換層(感光体層及び電荷移動体層)、ホール輸送層、伝導層、対極層を順次に積層することができる。
ドナー材料は、分子構造内で電子がリッチなものが好ましい。例えば、有機ドナー材料としては、分子のπ電子系に、置換若しくは無置換アミン基、水酸基、エーテル基、セレン又は硫黄原子を有するものが挙げられ、具体的には、フェニルアミン系、トリフェニルメタン系、カルバゾール系、フェノール系、テトラチアフルバレン系材料が挙げられる。
アクセプター材料としては、分子構造内で電子不足なものが好ましい。例えば、有機アクセプター材料としては、フラーレン、分子のπ電子系にニトロ基、シアノ基、カルボキシル基又はハロゲン基等の置換基を有するものが挙げられ、具体的にはPCBM、ベンゾキノン系、ナフトキノン系等のキノン系、フロオレノン系、クロラニル系、ブロマニル系、テトラシアノキノジメタン系、テトラシアノンエチレン系等が挙げられる。
なお、伝導層の厚みは、特に限定されないが、多孔質を完全に埋めることができる程度が好ましい。
図1に示すような本発明の光電変換素子の好ましい実施態様において、導電性支持体1上には多孔質の半導体微粒子22に増感色素21が吸着された感光体層2が形成されている。後述する通り、例えば、半導体微粒子の分散液を導電性支持体に塗布・乾燥後、本発明の色素の溶液に浸漬することにより、感光体層2を製造することができる。
この他にも、金属支持体も好ましく使用することができる。その一例としては、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス、銅を挙げることができる。これらの金属は合金であってもよい。さらに好ましくは、チタン、アルミニウム、銅が好ましく、特に好ましくは、チタンやアルミニウムである。
導電性支持体上には、さらに特開平11−250944号公報等に記載の機能を付与してもよい。
導電膜層の厚さは0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることが更に好ましく、特に好ましくは0.05〜20μmである。
また、透明電極と多孔質半導体電極光触媒含有層を設けてもよい。透明導電層は積層構造でも良く、好ましい方法としてたとえば、ITO上にFTOを積層することができる。
図1に示すように、本発明の光電変換素子の好ましい実施態様において、導電性支持体1上には多孔質の半導体微粒子22に色素21が吸着された感光体層2が形成されている。後述する通り、例えば、半導体微粒子の分散液を前記の導電性支持体に塗布・乾燥後、本発明の色素溶液に浸漬することにより、感光体層2を製造することができる。
光散乱用の大粒子を用いることで、ヘイズ率60%以上となることが好ましい。ヘイズ率とは(拡散透過率)÷(全光透過率)で表される。
チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドをチタニア微粒子に混合してもよい。
本発明においては、半導体微粒子以外の固形分の含量が、半導体微粒子分散液全体の10質量%以下よりなる半導体微粒子分散液を前記の導電性支持体に塗布し、適度に加熱することにより、多孔質半導体微粒子塗布層(感光体層)を得ることができる。
半導体微粒子分散液を作製する方法としては、前述のゾル・ゲル法の他に、半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法、微粒子に超音波などを照射して超微粒子に粉砕する方法、あるいはミルや乳鉢などを使って機械的に粉砕しすり潰す方法、等が挙げられる。分散溶媒としては、水及び/又は各種の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シトロネロール、ターピネオールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、ジクロロメタン、アセトニトリル等が挙げられる。
半導体微粒子分散液の粘度が高すぎると分散液が凝集してしまい製膜することができず、逆に半導体微粒子分散液の粘度が低すぎると液が流れてしまい製膜することができないことがある。したがって分散液の粘度は、25℃で10〜300N・s/m2が好ましい。さらに好ましくは、25℃で50〜200N・s/m2である。
また、加熱処理に加えて光のエネルギーを用いることもできる。例えば、半導体微粒子として酸化チタンを用いた場合に、紫外光のような半導体微粒子が吸収する光を与えることで表面を活性化してもよいし、レーザー光などで半導体微粒子表面のみを活性化することができる。半導体微粒子に対して該微粒子が吸収する光を照射することで、粒子表面に吸着した不純物が粒子表面の活性化によって分解され、上記の目的のために好ましい状態とすることができる。加熱処理と紫外光を組み合わせる場合は、半導体微粒子に対して該微粒子が吸収する光を照射しながら、加熱が100℃以上250℃以下あるいは好ましくは100℃以上150℃以下で行われることが好ましい。このように、半導体微粒子を光励起することによって、微粒子層内に混入した不純物を光分解により洗浄するとともに、微粒子の間の物理的接合を強めることができる。
塗布後に圧力をかけても良く、圧力をかける方法としては、特表2003−500857号公報に記載の方法等が挙げられる。光照射の例としては、特開2001−357896号公報に記載の方法等が挙げられる。プラズマ・マイクロ波・通電の例としては、特開2002−353453号公報に記載の方法等が挙げられる。化学的処理としては、例えば特開2001−357896号公報に記載の方法が挙げられる。
前駆体として例えば、(NH4)2TiF6、過酸化チタン、金属アルコキシド・金属錯体・金属有機酸塩等が挙げられる。
また、金属有機酸化物(アルコキシドなど)を共存させたスラリーを塗布し加熱処理、光処理などで半導体膜を形成する方法、無機系前駆体を共存させたスラリー、スラリーのpHと分散させたチタニア粒子の性状を特定した方法が挙げられる。これらスラリーには、少量であればバインダーを添加しても良く、バインダーとしては、セルロース、フッ素ポリマー、架橋ゴム、ポリブチルチタネート、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
半導体微粒子又はその前駆体層の形成に関する技術としては、コロナ放電、プラズマ、UVなどの物理的な方法で親水化する方法、アルカリやポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸などによる化学処理、ポリアニリンなどの接合用中間膜の形成などが挙げられる。
(2)乾式法として好ましくは、特開2000−231943号公報等が挙げられる。
(3)その他の方法として、好ましくは、特開2002−134435号公報等が挙げられる。
また、耐熱基板上でいったん塗膜を作製した後、プラスチック等のフィルムに転写する方法を用いても良い。好ましくは、特開2002−184475号公報記載のEVAを介して転写する方法、特開2003−98977号公報記載の紫外線、水系溶媒で除去可能な無機塩を含む犠牲基盤上に半導体層・導電層を形成後、有機基板に転写後、犠牲基板を除去する方法などが挙げられる。
支持体として高分子材料を用いる場合、250℃以下で製膜後加熱することが好ましい。その場合の製膜方法としては、(1)湿式法、(2)乾式法、(3)電気泳動法(電析法を含む)の何れでも良く、好ましくは、(1)湿式法、又は(2)乾式法であり、更に好ましくは、(1)湿式法である。
なお、半導体微粒子の支持体1m2当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。
また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。
このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
対極(対向電極)は、光電気化学電池の正極として働くものである。対極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では対極は必ずしも必要でない。ただし、対極を有する方が密閉性の点で有利である。
対極の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。好ましい例としては、特開平10−505192号公報などが挙げられる。
受光電極は酸化チタンと酸化スズ(TiO2/SnO2)などの複合電極を用いてもよい。チタニアの混合電極として例えば、特開2000−113913号公報記載のもの等が挙げられる。チタニア以外の混合電極として例えば、特開2001−185243号公報、特開2003−282164号公報記載のもの等が挙げられる。
受光電極は、入射光の利用率を高めるなどのためにタンデム型にしても良い。好ましいタンデム型の構成例としては、特開2000−90989、特開2002−90989号公報等に記載の例が挙げられる。
受光電極層内部で光散乱、反射を効率的に行う光マネージメント機能を設けてもよい。好ましくは、特開2002−93476号公報に記載のものが挙げられる。
受光電極と対極の接触を防ぐ為に、スペーサーやセパレータを用いることが好ましい。好ましい例としては、特開2001−283941号公報が挙げられる。
以下に、実施例により本発明の色素の調製法を詳しく説明するが、出発物質、色素中間体および調製ルートについてはこれにより限定されるものではない。
Mass実測値(m/z);(M+H)+:1139.7195
Mass計算値(m/z);(M+H)+:1139.7181(C73H94N4O7)
化合物36−4(1.0g)、シアノ酢酸t−ブチル(0.46g)を10mLのEtOHに溶解させ、内温4℃に冷却した。ここに28%のNaOMeのMeOH溶液1mLを滴下し、1時間攪拌語に水を加えた。析出した結晶をろ過し、化合物36−5(1.4g)を得た。
化合物36−5(0.27g)と化合物1−2(0.15g)をキノリン溶液中、150℃で20時間攪拌した。放冷した後、ジクロロメタンと水を加え、分液を行い有機相を濃縮した。これをカラムクロマトグラフィーで精製し化合物36−6(0.25g)を得た。
化合物36−6(0.23g)と化合物1−2(0.11g)をトルエン/n−BuOH=1/1溶液中、110℃で5時間攪拌した。放冷した後、ジクロロメタンと水を加え、分液を行い有機相を濃縮した。これをカラムクロマトグラフィーで精製し化合物36−7(0.26g)を得た。
36−7(0.26g)をTHF(10mL)に溶解させた。これにTFA(0.5mL)を加え、室温で3時間攪拌した後、水を加え結晶を析出させた。これをろ過しA−36(0.20g)を得た。
同定はミリマスにより行い、以下のような結果を得た。
Mass実測値(m/z);(M+H)+:1293.81
Mass計算値(m/z);(M+H)+:1293.81
Mass実測値(m/z);(M+H)+:1523.0172
Mass計算値(m/z);(M+H)+:1523.0155(C102H132N5O6)
Mass実測値(m/z);(M+H)+:1416.7579
Mass計算値(m/z);(M+H)+:1416.7520(C90H106N5O6S2)
同様の方法により、実験に使用した一般式(1)の本発明の色素を調製した。また一般式(6)の色素は、本発明の一般式(6)により表される色素は、特開2001−291534号公報や当該公報に引用された方法を参考にして調製した。
(色素の極大吸収波長の測定)
用いた色素の極大吸収波長を測定した。その結果を表Aに示す。測定は、分光光度計(U−4100(商品名)、日立ハイテク社製)によって行い、溶液はTHF:エタノール=1:1を用い、濃度が2μMになるように調整した。
(光電変換素子の作製)
図1に示す光電変換素子を以下のようにして作製した。
ガラス基板上に、透明導電膜としてフッ素をドープした酸化スズをスパッタリングにより形成し、これをレーザーでスクライブして、透明導電膜を2つの部分に分割した。
次に、水とアセトニトリルの容量比4:1からなる混合溶媒100mlにアナターゼ型酸化チタン(日本アエロジル社製のP−25(商品名))を32g配合し、自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使用して均一に分散、混合し、半導体微粒子分散液を得た。この分散液を透明導電膜に塗布し、500℃で加熱して受光電極を作製した。
その後、同様にシリカ粒子とルチル型酸化チタンとを40:60(質量比)で含有する分散液を作製し、この分散液を前記の受光電極に塗布し、500℃で加熱して絶縁性多孔体を形成した。次いで対極として炭素電極を形成した。
次に、下記の表6に記載された増感色素のエタノール溶液(3×10−4mol/L)に、上記の絶縁性多孔体が形成されたガラス基板を1時間浸漬した。増感色素の染着したガラスを4−tert−ブチルピリジンの10%エタノール溶液に30分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光層の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/m2であった。電解液は、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム(0.5mol/L)、ヨウ素(0.1mol/L)のメトキシプロピオニトリル溶液を用いた。
作製した光電変換素子の400〜850nmにおけるIPCEをペクセル社製のIPCE測定装置にて測定した。各光電変換素子の820nmにおけるIPCEを下記の表6に示した。
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5Gフィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−42、商品名)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は89mW/cm2であった。作製した光電変換素子にこの光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレー238型、商品名)にて測定した。これにより求められた光電気化学電池の光電変換効率を測定した結果を下記表6に示した。光電変換効率が3.5%以上のものを◎、2.5%以上3.5%未満のものを○、2.0%以上2.5%未満のものを△、2.0%未満のものを×として評価し、光電変換効率が2.5%以上のものを合格とした。
それに対して、試料番号1−18の比較例の光電変換効率は2.0%未満と不十分であった。
ガラス基板上にITO膜を作製し、その上にFTO膜を積層することにより、透明導電膜を作製した。その後透明導電膜上に酸化物半導体多孔質膜を形成することにより、透明電極板を得た。そしてその透明電極板を使用して光電気化学電池を作製し、光電変換効率を測定した。その方法は以下の(1)〜(5)のとおりである。
塩化インジウム(III)四水和物5.58gと塩化スズ(II)二水和物0.23gとをエタノール100mlに溶解して、ITO膜用原料化合物溶液とした。
塩化スズ(IV)五水和物0.701gをエタノール10mlに溶解し、これにフッ化アンモニウム0.592gの飽和水溶液を加え、この混合物を超音波洗浄機に約20分間かけ、完全に溶解して、FTO膜用原料化合物溶液とした。
厚さ2mmの耐熱ガラス板の表面を化学洗浄し、乾燥した後、このガラス板を反応器内に置き、ヒータで加熱した。ヒータの加熱温度が450℃になったところで、(1)で得られたITO膜用原料化合物溶液を、口径0.3mmのノズルから圧力0.06MPaで、ガラス板までの距離を400mmとして、25分間噴霧した。
このITO膜用原料化合物溶液の噴霧後、2分間(この間ガラス基板表面にエタノールを噴霧し続け、基板表面温度の上昇を抑えるようにした。)経過し、ヒータの加熱温度が530℃になった時に、(2)で得られたFTO膜用原料化合物溶液を同様の条件で2分30秒間噴霧した。これにより、耐熱ガラス板上に厚さ530nmのITO膜、厚さ170nmのFTO膜が順次形成された透明電極板が得られた。
比較のために、厚さ2mmの耐熱ガラス板上に同様に、厚さ530nmのITO膜のみを成膜した透明電極板と、同じく厚さ180nmのFTO膜のみを成膜した透明電極板とをそれぞれ作製した。
これら3種の透明電極板を加熱炉にて、450℃で2時間加熱した。
次に、上記3種の透明電極板を用いて、特許第4260494号中の図2に示した構造の光電気化学電池を作製した。酸化物半導体多孔質膜15の形成は、平均粒径約230nmの酸化チタン微粒子をアセトニトリル100mLに分散してペーストとし、これを透明電極上にバーコート法により厚さ15μmに塗布し、乾燥後450℃で1時間焼成して行い、この酸化物半導体多孔質膜15に表2記載の色素を担持した。色素溶液への浸漬条件は実験1−2と同じとした。
さらに、対極には、ガラス板上にITO膜とFTO膜とを積層した導電性基板を使用し、電解質層には、ヨウ素/ヨウ化物の非水溶液からなる電解液を用いた。光電気化学電池の平面寸法は縦25mm、横25mmとした。
この光電気化学電池について、人工太陽光(AM1.5)を照射し、その光電変換効率を求めた。その結果を表7に示す。光電変換効率が3.5%以上のものを◎、2.5%以上3.5%未満のものを○、2.0%以上2.5%未満のものを△、2.0%未満のものを×として評価し、光電変換効率が2.5%以上のものを合格とした。
増感色素S−1を用いた試料番号2−13〜2−15では光電変換効率が低いのに対し、本発明の例示色素を使用した試料番号2−1〜2−12では光電変換効率は高い値を示した。透明電極板としてITO膜とFTO膜とを積層したものを用い、本発明の色素を用いた光電気化学電池では、ITO膜のみもしくはFTO膜のみを成膜したものを用いた場合に比べ特に光電変換効率が高く、本発明の色素でその効果が高いことがわかった。
FTO膜上に集電電極を配し、光電気化学電池を作製し、光電変換効率を評価した。評価は以下の通り、試験セル(i)と試験セル(ii)の2種類とした。
縦100mm、横100mm、厚さ2mmの耐熱ガラス板の表面を化学洗浄し、乾燥した後、このガラス板を反応器内に置き、ヒータで加熱した後、前記実験2で使用したFTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜用原料化合物溶液を、口径0.3mmのノズルから圧力0.06MPaで、ガラス板までの距離を400mmとして、25分間噴霧し、FTO膜付きガラス基板を用意した。その表面に、エッチング法により深さ5μmの溝を格子回路パターン状に形成した。フォトリソグラフでパターン形成した後に、フッ酸を用いてエッチングを行った。これに、めっき形成を可能とするためにスパッタ法により金属導電層(シード層)を形成し、更にアディティブめっきにより金属配線層3を形成した。金属配線層3は、透明基板2表面から凸レンズ状に3μm高さまで形成した。回路幅は60μmとした。この上から、遮蔽層5としてFTO膜を400nmの厚さでSPD法により形成して、電極基板(i)とした。なお、電極基板(i)の断面形状は、特開2004−146425中の図2に示すものとなっていた。
電極基板(i)上に、平均粒径25nmの酸化チタンをアセトニトリル 100mLに分散して得た分散液を塗布・乾燥し、450℃で1時間加熱・焼結した。これを表3に示す色素のエタノール溶液へ浸漬して色素を吸着させた。浸漬条件は実施例1と同じとした。50μm厚の熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートを介して白金スパッタFTO基板と対向して配置し、樹脂シート部を熱溶融させて両極板を固定した。
なおあらかじめ白金スパッタ極側に開けておいた電解液の注液口から、0.5Mのヨウ化塩と0.05Mのヨウ素とを主成分に含むメトキシアセトニトリル溶液を注液し、電極間に満たした。さらに周辺部及び電解液注液口をエポキシ系封止樹脂を用いて本封止し、集電端子部に銀ペーストを塗布して試験セル(i)とした。AM1.5の疑似太陽光により、試験セル(i)の光電変換特性を評価した。その結果を表8に示した。
試験セル(i)と同様の方法で、縦100mm、横100mmのFTO膜付きガラス基板を用意した。そのFTOガラス基板上に、アディティブめっき法により金属配線層3(金回路)を形成した。金属配線層3(金回路)は基板表面に格子状に形成し、回路幅50μm、回路厚5μmとした。この表面に厚さ300nmのFTO膜を遮蔽層5としてSPD法により形成して試験セル(ii)とした。電極基板(ii)の断面をSEM−EDXを用いて確認したところ、配線底部でめっきレジストの裾引きに起因すると思われる潜り込みがあり、影部分にはFTOが被覆されていなかった。
電極基板(ii)を用い、試験セル(i)と同様に、試験セル(ii)を作製した。AM1.5の疑似太陽光により試験セル(ii)の光電変換特性を評価し、結果を表8に示した。光電変換効率が3.5%以上のものを◎、2.5%以上3.5%未満のものを○、2.0%以上2.5%未満のものを△、2.0%未満のものを×として評価し、光電変換効率が2.5%以上のものを合格とした。
下記に示すように光電気化学電池(A)〜(D)を作製し、これらの試験セルの光電変換効率を評価した。
(1)酸化物半導体膜形成用塗布液(A)の調製
5gの水素化チタンを1リットルの純水に懸濁し、5質量%の過酸化水素液400gを30分かけて添加し、ついで80℃に加熱して溶解してペルオキソチタン酸の溶液を調製した。この溶液の全量から90容積%を分取し、濃アンモニア水を添加してpH9に調整し、オートクレーブに入れ、250℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(A)を調製した。得られたチタニアコロイド粒子は、X線回折により結晶性の高いアナターゼ型酸化チタンであった。
次に、上記で得られたチタニアコロイド粒子(A)を10質量%まで濃縮し、前記ペルオキソチタン酸溶液を混合し、この混合液中のチタンをTiO2換算し、TiO2質量の30質量%となるように膜形成助剤としてヒドロキシプロピルセルロースを添加して半導体膜形成用塗布液を調製した。
次いで、フッ素ドープした酸化スズが電極層として形成された透明ガラス基板上に前記塗布液を塗布し、自然乾燥し、引き続き低圧水銀ランプを用いて6000mJ/cm2の紫外線を照射してペルオキソ酸を分解させ、塗膜を硬化させた。塗膜を300℃で30分間加熱してヒドロキシプロピルセルロースの分解およびアニーリングを行って酸化物半導体膜(A)をガラス基板に形成した。
次に、分光増感色素として本発明の色素の濃度3×10−4mol/Lのエタノール溶液を調製した。この色素溶液を100rpmスピナーで、金属酸化物半導体膜(A)上へ塗布して乾燥した。この塗布および乾燥工程を5回行った。
アセトニトリルと炭酸エチレンとの体積比が1:5の混合溶媒に、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドを0.46mol/L、ヨウ素を0.07mol/Lの濃度となるように溶解して電解質溶液を調製した。
(2)で作製した、色素を吸着させた酸化物半導体膜(A)が形成されたガラス基板を一方の電極とし、他方の電極として、フッ素ドープした酸化スズを電極として形成しその上に白金を担持した透明ガラス基板を対向して配置し、側面を樹脂にてシールし、電極間に(4)の電解質溶液を封入し、さらに電極間をリード線で接続して光電気化学電池(A)を作製した。
光電気化学電池(A)は、ソーラーシュミレーターで100W/m2の強度の光を照射して、光電変換効率を測定し、その結果を表9に示した。
紫外線を照射してペルオキソ酸を分解させ、膜を硬化させた後、Arガスのイオン照射(日新電気製:イオン注入装置、200eVで10時間照射)を行った以外は酸化物半導体膜(A)と同様にして酸化物半導体膜(B)を形成した。
酸化物半導体膜(A)と同様に、酸化物半導体膜(B)に色素の吸着を行った。その後光電気化学電池Aと同様の方法で光電気化学電池(B)を作製し、光電変換効率を測定した。その結果を表9に示した。
18.3gの4塩化チタンを純水で希釈して、TiO2換算で1.0質量%含有する水溶液を得た。この水溶液を撹拌しながら、15質量%のアンモニア水を添加し、pH9.5の白色スラリーを得た。このスラリーを濾過洗浄し、TiO2換算で、10.2質量%の水和酸化チタンゲルのケーキを得た。このケーキと5質量%過酸化水素液400gを混合し、ついで80℃に加熱して溶解してペルオキソチタン酸の溶液を調製した。この溶液全量から90体積%を分取し、これに濃アンモニア水を添加してpH9に調整し、オートクレーブに入れ、250℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(C)を調製した。
次に、上記で得られたペルオキソチタン酸溶液とチタニアコロイド粒子(C)を使用して酸化物半導体膜(A)と同様にして酸化物半導体膜(C)を形成し、金属酸化物半導体膜(A)と同様にして、分光増感色素として本発明の色素の吸着を行った。
その後光電気化学電池(A)と同様の方法で光電気化学電池(C)を作製し、光電変換効率を測定した。その結果を表9に示した。
18.3gの4塩化チタンを純水で希釈してTiO2換算で1.0質量%含有する水溶液を得た。これを撹拌しながら、15質量%のアンモニア水を添加し、pH9.5の白色スラリーを得た。このスラリーを濾過洗浄した後、純水に懸濁してTiO2として0.6質量%の水和酸化チタンゲルのスラリーとし、これに塩酸を加えてpH2とした後、オートクレーブに入れ、180℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(D)を調製した。
次に、チタニアコロイド粒子(D)を10質量%まで濃縮し、これに、TiO2に換算して、30質量%となるように膜形成助剤としてヒドロキシプロピルセルロースを添加して、半導体膜形成用塗布液を調製した。次いで、フッ素ドープした酸化スズが電極層として形成された透明ガラス基板上に、前記塗布液を塗布し、自然乾燥し、引き続き低圧水銀ランプを用いて6000mJ/cm2の紫外線を照射し、膜を硬化させた。さらに、300℃で30分間加熱してヒドロキシプロピルセルロースの分解およびアニーリングを行い、酸化物半導体膜(D)を形成した。
次に、酸化物半導体膜(A)と同様にして分光増感色素として、本発明の色素の吸着を行った。
その後、光電気化学電池(A)と同様の方法で光電気化学電池(D)を作製し、光電変換効率を測定した。結果を表9に示した。光電変換効率が3.5%以上のものを◎、2.5%以上3.5%未満のものを○、2.0%以上2.5%未満のものを△、2.0%未満のものを×として評価し、光電変換効率が2.5%以上のものを合格とした。
方法を変えて酸化チタンの調製又は合成を行い、得られた酸化チタンから酸化物半導体膜を作製し、光電気化学電池とし、その評価を行った。
市販のアナターゼ型酸化チタン(石原産業(株)製、商品名ST−01)を用い、これを約900℃に加熱してブルーカイト型の酸化チタンに変換し、さらに約1,200℃に加熱してルチル型の酸化チタンとした。
(酸化チタン2(ブルーカイト型))
蒸留水954mLを還流冷却器付きの反応槽に装入し、95に加温する。撹拌速度を約200rpmに保ちながら、この蒸留水に四塩化チタン(Ti含有量:16.3質量%、比重1.59、純度99.9%)水溶液46mLを約5.0mL/minの速度で反応槽に滴下した。このとき、反応液の温度が下がらないように注意した。その結果、四塩化チタン濃度が0.25mol/L(酸化チタン換算2質量%)であった。反応槽中では反応液が滴下直後から、白濁し始めたがそのままの温度で保持を続け、滴下終了後さらに昇温し沸点付近(104℃)まで加熱し、この状態で60分間保持して完全に反応を終了した。
反応により、得られたゾルを濾過し、次いで60℃の真空乾燥器を用いて粉末とした。この粉末をX線回折法により定量分析した結果、(ブルーカイト型121面のピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0.38、(ルチル型のメインピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0.05であった。これらから求めると酸化チタンは、ブルーカイト型が約70.0質量%、ルチル型が約1.2質量%、アナターゼ型が約28.8質量%の結晶性であった。また、透過型電子顕微鏡でこの微粒子を観察したところ、1次粒子の平均粒径は0.015μmであった。
三塩化チタン水溶液(Ti含有量:28質量%、比重1.5、純度99.9%)を蒸留水で希釈し、チタン濃度換算で0.25モル/Lの溶液とした。このとき、液温が上昇しないよう氷冷して、50℃以下に保った。次に、この溶液を還流冷却器付きの反応槽に500ml投入し、85℃に加温しながらオゾンガス発生装置から純度80%のオゾンガスを1L/minでバブリングし、酸化反応を行なった。この状態で2時間保持し、完全に反応を終了した。得られたゾルをろ過、真空乾燥し、粉末とした。この粉末をX線回折法により定量分析した結果、(ブルーカイト型121面のピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0.85、(ルチル型のメインピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0であった。これらから求めると二酸化チタンは、ブルーカイト型が約98質量%、ルチル型が0質量%、アナターゼ型が0質量%であり、約2%は無定形であった。また、透過型電子顕微鏡でこの微粒子を観察したところ、1次粒子の平均粒径は0.05μmであった。
上記の酸化チタン1〜3で調製した酸化チタンを半導体として特開2000−340269の図1に示す構成を有する光電変換素子を次のように作製した。
ガラス基板上にフッ素ドープの酸化スズをコートし、導電性透明電極とした。電極面上にそれぞれの酸化チタン粒子を原料としたペーストを作成し、バーコート法で厚さ50μmに塗布した後、500℃で焼成して膜厚約20μmの薄層を形成した。次に、表10に示す色素について、濃度3×10−4mol/Lのエタノール溶液を調製し、これに上記の酸化チタンの薄層を形成したガラス基板を浸漬し、12時間室温で保持した。
粒径の異なる酸化チタンを用いて半導体電極として、光電気化学電池を作製し、その特性を評価した。
[ペーストの調製]
まず光電極を構成する半導体電極の半導体層又は光散乱層を形成するためのペーストを以下の手順で調製した。
球形のTiO2粒子(アナターゼ型、平均粒径;25nm、以下、球形TiO2粒子1という)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
球形TiO2粒子1と、球形のTiO2粒子(アナターゼ型、平均粒径;200nm、以下、球形TiO2粒子2という)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO2粒子1の質量:TiO2粒子2の質量=30:70)を調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ型、直径;100nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO2粒子1という)を混合し、棒状TiO2粒子1の質量:ペースト1の質量=10:90のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状TiO2粒子1を混合し、棒状TiO2粒子1の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状TiO2粒子1を混合し、棒状TiO2粒子1の質量:ペースト1の質量=50:50のペーストを調製した。
ペースト1に、板状のマイカ粒子(直径;100nm、アスペクト比;6、以下、板状マイカ粒子1という)を混合し、板状マイカ粒子1の質量:ペースト1の質量=20:80のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;30nm、アスペクト比;6.3、以下、棒状TiO2粒子2という)を混合し、棒状TiO2粒子2の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;50nm、アスペクト比;6.1、以下、棒状TiO2粒子3という)を混合し、棒状TiO2粒子3の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;75nm、アスペクト比;5.8、以下、棒状TiO2粒子4という)を混合し、棒状TiO2粒子4の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;130nm、アスペクト比;5.2、以下、棒状TiO2粒子5という)を混合し、棒状TiO2粒子5の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;180nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO2粒子6という)を混合し、棒状TiO2粒子6の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;240nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO2粒子7という)を混合し、棒状TiO2粒子7の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;110nm、アスペクト比;4.1、以下、棒状TiO2粒子8という)を混合し、棒状TiO2粒子8の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;105nm、アスペクト比;3.4、以下、棒状TiO2粒子9という)を混合し、棒状TiO2粒子9の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
以下に示す手順により、特開2002−289274記載の図5に示した光電極12と同様の構成を有する光電極を作製し、更に、光電極を用いて、当該光電極以外は色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する縦10mm、横10mmの大きさの光電気化学電池1を作製した。
半導体電極の製造を以下のようにして行ったこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により特開2002−289274記載の図1に示した光電極10及び特開2002−289274記載の図3に示した色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する光電気化学電池2を作製した。
半導体電極の製造に際して、ペースト1を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト4を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により図5に示した光電極10及び特開2002−289274記載の図3に示した光電気化学電池20と同様の構成を有する光電極及び光電気化学電池3を作製した。なお、半導体電極は、受光面の面積は、縦10mm、横10mm、厚さ10μm;半導体層の厚さは5μm;光散乱層の厚さは5μm;光散乱層に含有される棒状TiO2粒子1の含有率は30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト6を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により図5に示した光電極10及び特開2002−289274記載の図3に示した光電気化学電池20と同様の構成を有する光電極及び光電気化学電池4を作製した。なお、半導体電極は、受光面の面積は、縦10mm、横10mm、厚さ10μm;半導体層の厚さは6.5μm;光散乱層の厚さは3.5μm;光散乱層に含有される板状マイカ粒子1の含有率は20質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト8を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池5を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子3の含有率は30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト9を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池6を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子4の含有率は30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト10を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池7を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子5の含有率は30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト11を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池8を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子6の含有率は30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト13を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池9を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子8の含有率は30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト14を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池10を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子9の含有率は30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2のみを用いて半導体層のみからなる半導体電極(受光面の面積は、縦10mm、横10mm、厚さ10μm)を作製したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池11を作製した。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト7を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電気化学電池12を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子2の含有率;30質量%であった。
表11に記載された色素を用いて、光電気化学電池1〜12を作製し、電池特性試験を行い、光電変換効率を測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレータ(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルターを通したキセノンランプから1000W/m2の疑似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、エネルギー変換効率(%)を求めた。その結果を表11に示す。結果は、変換効率が3.5%以上のものを◎、2.5%以上3.5%未満のものを○、2.0%以上2.5%未満のものを△、2.0%未満のものを×として評価し、変換効率が2.5%以上のものを合格とした。
金属酸化物微粒子に金属アルコキシドを加えスラリー状としたものを導電性基板に塗布し、その後、UVオゾン照射、UV照射又は乾燥を行い、電極を作製した。その後、光電気化学電池を作製し、光電変換効率を測定した。
金属酸化物微粒子としては、酸化チタンを用いた。酸化チタンは、質量比で、30%ルチル型及び70%アナターゼ型、平均粒径25nmのP25粉末(Degussa社製、商品名)を用いた。
金属酸化物微粒子をあらかじめ熱処理することで表面の有機物と水分を除去した。酸化チタン微粒子の場合は450℃のオーブンで大気下、30分間加熱した。
温度26℃、湿度72%の環境に保存しておいた酸化チタン、P25粉末(Degussa社製、商品名)に含まれる水分量を、熱重量測定における重量減少、及び300?に加熱したときに脱着した水分量のカールフィッシャー滴定により定量した。
金属酸化物微粒子を結合する役割をする金属アルコキシドとしては、チタン原料としてはチタン(IV)テトライソプロポキシド(TTIP)、ジルコニウム原料としてはジルコニウム(IV)テトラn−プロポキシド、ニオブ原料としてはニオブ(V)ペンタエトキシド(全てAldrich社製)をそれぞれ用いた。
同様に、酸化チタン微粒子とTTIP以外のアルコキシドの混合ペーストについても微粒子濃度が22質量%となるように調製した。酸化亜鉛及び酸化スズ微粒子を用いたペーストでは16質量%とした。酸化亜鉛及び酸化スズの場合は、金属酸化物微粒子1gに対して、金属アルコキシド溶液5.25gの比で混合した。
導電性基板へのペーストの塗布方法は、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法などを用いることが可能であり、適当なペースト粘度は塗布方法によって適宜選択した。ここでは簡便にガラス棒で塗布する方法(ドクターブレード法に類似)を用いた。この場合、適当なペースト粘度を与える金属酸化物微粒子の濃度は概ね5〜30質量%の範囲となった。
スズドープ酸化インジウム(ITO)導電膜付きポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基板(20Ω/cm2)又はフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電膜付きガラス基板(10Ω/cm2)に、スペーサーとして粘着テープ2枚を一定間隔で平行に貼り付け、上記の方法に従って調製した各ペーストを、ガラス棒を用いて均一に塗布した。
(乾燥処理)
導電性基板へ塗布した後の膜を大気中室温で2分程度で風乾した。この過程でペースト中の金属アルコキシドが大気中の水分によって加水分解を受け、Tiアルコキシド、Zrアルコキシド、Nbアルコキシドからそれぞれアモルファスの酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブが形成された。
生成したアモルファス金属酸化物が、金属酸化物微粒子同士及び膜と導電性基板を接着する役割を果たすため、風乾するのみで機械的強度と付着性に優れた多孔質膜が得られた。
UVオゾン処理には日本レーザー電子社製のNL−UV253 UVオゾンクリーナーを用いた。UV光源には185nmと254nmに輝線を持つ4.5W水銀ランプ3個を備えており、試料を光源から約6.5センチの距離に水平に配置した。チャンバー中に酸素気流を導入することでオゾンが発生する。本実施例においてはこのUVオゾン処理を2時間行なった。なお、このUVオゾン処理によるITO膜及びFTO膜の導電性の低下は全く見られなかった。
チャンバー中を窒素置換して処理を行う以外は同様に、前記UVオゾン処理と同様に、2時間処理を行った。このUV処理によるITO膜及びFTO膜の導電性の低下はまったく見られなかった。
増感色素には本発明の色素を用い、0.5mMのエタノール溶液を調製した。本実施例では上記のプロセスで作製した多孔質膜を100℃のオーブンで1時間乾燥した後に増感色素の溶液に浸漬し、そのまま室温で50分間放置して酸化チタン表面に増感色素を吸着した。増感色素吸着後の試料はエタノールで洗浄し、風乾した。
色素吸着後の多孔質膜が形成された導電性基板を光電極とし、これと白金微粒子をスパッタリングにより修飾したITO/PETフィルム又はFTO/ガラス対極を対向させて、光電気化学電池を作製した。上記光電極の実効面積は約0.2cm2とした。電解質溶液には0.5MのLiI,0.05MのI2,0.5Mのt−ブチルピリジンを含む3−メトキシプロピオニトリルを用い、毛管現象によって両電極間のギャップに導入した。
得られた光電気化学電池の光電変換特性を評価し、その結果を表12にまとめた。光電変換効率が2.5%以上のものを◎、2.0%以上2.5%未満のものを○、1.5%以上2.0%未満のものを△、1.5%未満のものを×として評価し、光電変換効率が2.0%以上のものを合格とした。
表12の「TiO2の前処理」の欄は、酸化チタン微粒子の前処理(450℃のオーブンで30分間熱処理)の有無を示す。試料番号7−6、7−14、7−30は、高TTIP濃度(酸化チタン:TTIPのモル比が1:0.356)のペーストを用いた試料を表す。他の試料は全て酸化チタン:TTIP=1:0.0356のペーストを用いた。
溶媒としてアセトニトリルを用い、ヨウ化リチウム0.1mol/L、ヨウ素0.05mol/L、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム0.62mol/Lを溶解した電解質溶液を調製した。ここに下記に示すNo.1〜No.8のベンズイミダゾール系化合物をそれぞれ濃度0.5mol/Lになるように別々に添加し、溶解した。
水とアセトニトリルの容量比4:1からなる混合溶媒100mLにアナターゼ型酸化チタン(日本アエロジル社製のP−25(商品名))を32g配合し、自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使用して均一に分散、混合して得た、半導体微粒子分散液)を塗布し、その後500℃で焼結して厚さ15μmの感光層を形成した。この感光層に、No.1〜No.8のベンズイミダゾール系化合物電解液を、滴下した。
ここにポリエチレンフィルム製のフレーム型スペーサー(厚さ25μm)をのせ、白金対電極でこれを覆い、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子に、Xeランプを光源として強度100mW/cm2の光を照射した。表13に得られた開放電圧と光電変換効率を示した。開放電圧は、6.3V以上のものを◎、6.0V以上6.3V未満のものを○、5.7V以上6.0V未満のものを△、5.7V未満のものを×として表示した。光電変換効率は、3.5%以上のものを◎、2.5%以上3.5%未満のものを○、2.0%以上2.5%未満のものを△、2.0%未満のものを×として表示した。開放電圧が6.0V以上、光電変換効率が2.5%以上のものを合格とした。
なお、表13には、ベンズイミダゾール系化合物を加えていない電解液を用いた光電変換素子についての評価結果も示した。
(光電気化学電池1)
以下に示す手順により、特開2004−152613記載の図1に示した光電極10と同様の構成を有する光電極(ただし、半導体電極2を2層構造とした。)を作製し、更に、この光電極を用いた以外は特開2004−152613記載の図1に示した色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する光電気化学電池(半導体電極2の受光面F2の面積:1cm2)を作製した。なお、2層構造を有する半導体電極2の各層について、透明電極1に近い側に配置される層を「第1の層」、多孔体層PSに近い側に配置される層を「第2の層」という。
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の濃度を50mmol/Lとしたこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順及び条件で光電気化学電池2を作製した。
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の代わりにヨウ化リチウムを添加し、液状電解質におけるヨウ化リチウムの濃度を20mmol/Lとしたこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順及び条件で比較光電気化学電池を1を作製した。
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の代わりにヨウ化リチウムを添加し、液状電解質におけるヨウ化リチウムの濃度を100mmol/Lとしたこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順及び条件で比較光電気化学電池2を作製した。
以下の手順により、光電気化学電池1〜4について、光電変換効率(%)を測定した。
1.二酸化チタン分散液の調製
内側をフッ素樹脂コーティングした内容積200mlのステンレス製容器に二酸化チタン微粒子(日本アエロジル(株)製,Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triron X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmで2時間分散処理した。得られた分散液からジルコニアビーズを濾別した。得られた分散液中の二酸化チタン微粒子の平均粒径は2.5μmであった。なお粒径はMALVERN社製のマスターサイザーにより測定した。
フッ素をドープした酸化スズを被覆した、縦20mm、横20mmの導電性ガラス板(旭ガラス(株)製,TCOガラス−U,表面抵抗:約30Ω/m2)を準備し、その導電層側の両端(端から3mmの幅の部分)にスペーサー用粘着テープを張った後で、導電層上にガラス棒を用いて上記分散液を塗布した。分散液の塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次にこの半導体塗布ガラス板を電気炉(ヤマト科学(株)製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃で30分間焼成した。半導体塗布ガラス板を取り出し冷却した後、表10に示す色素のエタノール溶液(濃度:3×10−4mol/L)に1時間浸漬した。色素が吸着した半導体塗布ガラス板を4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し、自然乾燥させた。このようにして得られた色素増感酸化チタン微粒子層の厚さは10μmであり、酸化チタン微粒子の塗布量は20g/m2であった。また色素の吸着量は、その種類に応じて0.1〜10mmol/m2の範囲内であった。
3タイプの光電気化学電池a〜cを以下の方法で作製した。これらの光電気化学電池について、表15に示す色素、窒素含有高分子化合物α、求電子剤βを用いて、試料番号10−1〜10−9の光電気化学電池を得た。
溶媒としては、アセトニトリルと3−メチル−2−オキサゾリジノンとの体積比90/10の混合物を用いた。この溶媒に、ヨウ素と電解質塩として1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩を加えて、0.5mol/Lの電解質塩及び0.05mol/Lのヨウ素を含んだ溶液を調製した。この溶液に、(溶媒+窒素含有高分子化合物+電解質塩)100質量部に対し、下記の窒素含有高分子化合物αを10質量部加えた。さらに窒素含有高分子化合物αに対して、求電子剤βを0.1モル混合し、均一な反応溶液とした。
次いで80℃で30分間加熱して、架橋反応を行った。このようにして、特開2000−323190号記載の図2に示す通り、導電性ガラス板10の導電層12上に、色素増感酸化チタン微粒子層20、電解質層30、白金薄膜42及びガラス板41からなる対極40が順に積層された光電気化学電池a−1(試料番号10−1)を得た。
また、色素を表に示すように変更した以外上記工程と同様にして、光電気化学電池a−2〜a−3を得た。
前述のようにして色素を吸着させた酸化チタン微粒子層からなる電極A(20mm×20mm)を同じ大きさの白金蒸着ガラス板にスペーサーを介して重ねあわせた。次に両ガラス板の隙間に毛細管現象を利用して電解液(アセトニトリルと3−メチル−2−オキサゾリジノンとの体積比90/10の混合物を溶媒としたヨウ素0.05mol/L、ヨウ化リチウム0.5mol/Lの溶液)を浸透させて、色素増感太陽電池b−1(試料番号10−2)を作製した。
また、増感色素を表に示すように変更した以外上記工程と同様にして、光電気化学電池b−2〜b−3を得た。
前述のようにして色素を吸着させた酸化チタン微粒子層からなる電極A(20mm×20mm)上に、電解液を塗布し、含浸させた。なお電解液は、ヘキサエチレングリコールメタクリル酸エステル(日本油脂化学(株)製,ブレンマーPE−350)1gと、エチレングリコール1gと、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロバン−1−オン(日本チバガイギー(株)製,ダロキュア1173)20mgを含有した混合液に、ヨウ化リチウム500mgを溶解し10分間真空脱気することにより得た。次に前記混合溶液を含浸させた多孔性酸化チタン層を減圧下に置くことにより、多孔性酸化チタン層中の気泡を除き、モノマーの浸透を促した後、紫外光照射により重合して高分子化合物の均一なゲルを多孔性酸化チタン層の微細空孔内に充填した。このようにして得られたものをヨウ素雰囲気に30分間曝して、高分子化合物中にヨウ素を拡散させた後、白金蒸着ガラス板を重ね合わせ、光電気化学電池c−1(試料番号10−3)を得た。
また、色素を表に示すように変更した以外上記工程と同様にして、光電気化学電池c−2〜c−3を得た。
500Wのキセノンランプ(ウシオ電機(株)製)の光をAM1.5フィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(Kenko L−42)を通すことにより、紫外線を含まない模擬太陽光とした。光強度は89mW/cm2とした。
ゾル−ゲル法によって調製した懸濁液を用いてスクリーン印刷によりTiO2の多孔質層をFTOガラス上に塗布し450℃で焼成した。これに本発明の色素A−2及び前記増感色素S−1の10−4mol/Lエタノール溶液中に浸漬することで、色素を吸着させた。次に100mgの2,2’,7,7’−テトラキス(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレンを5mlのクロロホルムに溶解した。この溶液を染料表面にそれを軽く塗ることによって、この溶液を層の細孔内にしみこませた。次に溶液の一滴を直接表面に置いて室温で乾燥した。ついで被覆支持体を蒸着装置に装着して約10−5ミリバールの真空下の熱蒸着によってさらに厚さ100nmの2,2’,7,7’−テトラキス(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレンの層を適用した。さらに蒸着装置内でこの被覆支持体に対極として厚さ200nmの金の層を被覆した。
このように調製した試料を高圧ランプ、光学フィルター、レンズおよびマウンティングを含む光学装置に取り付けた。フィルターの使用およびレンズの移動によって強度を変えることができた。金の層とSnO 2層とに接点を付け、試料を照射している間電流測定装置に示した装置に取り付けた。測定のために、適当な光学フィルターを用い波長が430nm未満の光を遮断した。さらに放射線の強度を約1000W/m2)にほぼ一致するように装置を調整した。
金の層およびSnO2層に接点を付け、また試料を照射している間は両接点をポテンシオスタットに接続した。外部電圧をかけずに増感色素S−1を用いた試料では約90nAの電流を生じたが、本発明の色素C−18を用いた試料では約190nAの電流を生じた。どちらの試料の場合も照射しないと電流は消失した。
特開2000−90989号公報記載の実施例1と同様に作成したタンデムセルにおいても、比較色素S−1を使用した場合と比較して、本発明の色素C−18を用いた場合は変換効率が2〜3%高いことが確認できた。
チタンイソプロポキシド125mlを0.1Mの硝酸水溶液(キシダ化学株式会社製)750mlに滴下し、80℃で8時間加熱して、加水分解反応をさせることにより、ゾル液を調製した。得られたゾル液をチタン製オートクレーブにて250℃で15時間保持し、粒子成長させ、その後、超音波分散を30分間行うことにより、平均一次粒径20nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を得た。
JA−1、粒径約180nm)4.0gと酸化マグネシウム粉末(キシダ化学株式会社製)0.4gを蒸留水20mLに入れ、塩酸でpH=1に調整した。さらに、ジルコニアビーズを加え、この混合溶液をペイントシェイカーで8時間分散処理した。その後、ポリエチレングレコール(キシダ化学株式会社製、重量平均分子量:200000)を酸化チタンに対する質量比で40%添加し、攪拌することにより、酸化チタン粒子が分散した懸濁液を得た。
市販の酸化チタン粒子(テイカ株式会社製、平均粒径20nm)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル20mlとを、硬質ガラスビーズを使用してペイントシェイカーにより6時間分散させて酸化チタン懸濁液を作成した。次いで、この酸化チタン懸濁液を、ドクターブレードを用いて、予め酸化スズ導電層を付着させたガラス板(電極層)に塗布し、100℃で30分予備乾燥した後、電気炉で500℃で40分間焼成し、ガラス板上に酸化チタン膜(半導体材料)を形成した。これとは別に、表17に示す本発明の色素又は比較色素をエタノールに溶解して、色素溶液を得た。
(1)第1光電変換層の形成
市販の酸化チタン粒子(テイカ株式会社製、平均粒径30nm)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル20mLを硬質ガラスビーズを使用し、ペイントシェイカーにより6時間分散させ、酸化チタン懸濁液を作成した。次いで、この酸化チタン懸濁液をドクターブレードを用いて、予め酸化スズ導電層が付着されたガラス板に塗布し、100℃で30分予備乾燥した後、電気炉で500℃で40分間焼成し、酸化チタン膜を得た。
これとは別に、前記のRu−1をエタノールに溶解した。この色素の濃度は3×10−4mol/Lとした。次に、この溶液中に膜状の酸化チタンを形成した前記のガラス板を入れ、60℃で720分間色素吸着を行ってから乾燥し、本発明の第1光電変換層(試料A)を得た。
市販の酸化ニッケル粒子(キシダ化学、平均粒径100nm)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル20mlをガラスビーズを使用しペイントシェイカーで8時間分散させ酸化ニッケル懸濁液とした。次いで、この酸化チタン懸濁液をドクターブレードを用いて、酸化スズ導電層が付着されたガラス板に塗布し、100℃で30分予備乾燥した後、300℃で30分間焼成し、酸化ニッケル膜を得た。
これとは別に、表18に記載された第2色素として、本発明の色素A−1、E−7、A−36又は比較色素S−1をジメチルスルホキシドに溶解して、第2色素溶液を得た。これらの色素溶液の濃度は、いずれも、1×10−4mol/Lであった。次に、この溶液中に膜状の酸化チタンを形成した前記のガラス板を入れ、40℃で70分間色素吸着を行ってから乾燥し、本発明の第2光電変換層(試料B)を得た。
高分子電解質を用いて、光電変換素子を作製し、その性能について評価した。
酸化チタン膜を作製する塗液は、市販の酸化チタン粒子(テイカ株式会社社製、商品名AMT−600、アナターゼ型結晶、平均粒径30nm、比表面積50m2/g)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル20mLとをガラスビーズを使用し、ペイントシェイカーで7時間分散させ、酸化チタン懸濁液を調製した。この酸化チタン懸濁液をドクターブレードを用いて、11μm程度の膜厚、縦10mm、横10mm程度の面積で、SnO2を透明導電膜としてガラス基板1上に作製された基板上に、透明導電膜側に塗布し、100℃で30分間予備乾燥した後、460℃で40分間酸素下で焼成し、その結果、膜厚が8μm程度の酸化チタン膜Aを作製した。
次に、下記一般式で表されるモノマー単位のうち、Rをメチル基、Aを8個のポリエチレンオキサイド基と2個のポリプロピレンオキサイド基と中心核としてブタンテトライル基により構成される単量体を準備した。ここで、nは2〜4の整数である。
この単量体溶液を、以下の手順で、上述の酸化チタン膜に含浸させた。真空容器内にビーカー等の容器を設置し、その中に透明導電膜を具備した透明基板上の酸化チタン膜Aを入れ、ロータリーポンプで約10分間真空引きした。真空容器内を真空状態に保ちながら上記の単量体溶液をビーカー内に注入し、約15分間含浸させ酸化チタン中に単量体溶液を十分に染み込ませた。ポリエチレン製セパレーター、PETフィルムと押さえ板を設置し冶具にて固定した。その後、約85℃で30分間加熱することにより、熱重合させ高分子化合物を作製した。
また、酸化チタン膜Aを色素吸着後、上記の単量体処理を行わずに、PCを溶媒として濃度0.5mol/Lのヨウ化リチウムと濃度0.05mol/Lのヨウ素を溶解させて作製した酸化還元電解液をそのまま対極との間に注入して封止して素子Bを作製した。素子A、Bを用いて、ソーラーシミュレーターで1000W/m2の強度の光を照射した。結果を表19に示した。光電変換効率は、3.5%以上のものを◎、2.5%以上3.5%未満のものを○、2.0%以上2.5%未満のものを△、2.0%未満のものを×として評価し、光電変換効率が2.5%以上のものを合格とした。
(光電変換素子の作製)
図1に示す光電変換素子を以下のようにして作製した。
ガラス基板上に、透明導電膜としてフッ素をドープした酸化スズをスパッタリングにより形成し、これをレーザーでスクライブして、透明導電膜を2つの部分に分割した。
次に、水とアセトニトリルの容量比4:1からなる混合溶媒100mLにアナターゼ型酸化チタン(日本アエロジル社製のP−25(商品名))を32g配合し、自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使用して均一に分散、混合し、半導体微粒子分散液を得た。この分散液を透明導電膜に塗布し、500℃で加熱して受光電極を作製した。
その後、同様にシリカ粒子とルチル型酸化チタンとを40:60(質量比)で含有する分散液を作製し、この分散液を前記の受光電極に塗布し、500℃で加熱して絶縁性多孔体を形成した。次いで対極として炭素電極を形成した。
次に、下記の表20に記載された増感色素(複数混合または単独)のエタノール溶液に、上記の絶縁性多孔体が形成されたガラス基板を1時間浸漬した。増感色素の染着したガラスを4−tert−ブチルピリジンの10%エタノール溶液に30分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光層の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/m2であった。電解液は、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム(0.5mol/L)、ヨウ素(0.1mol/L)のメトキシプロピオニトリル溶液を用いた。
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5Gフィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−42、商品名)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は89mW/cm2であった。作製した光電変換素子にこの光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレー238型、商品名)にて測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率を測定した結果を下記の表20に示した。光電変換効率が7.5%以上のものを◎、7.3%以上7.5%未満のものを○、7.1%以上7.3%未満のものを△、7.1%未満のものを×として評価し、変換効率が7.3%以上のものを合格とした。
2 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3 電荷移動体層
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子
100 光電気化学電池
Claims (16)
- 少なくとも下記一般式(1)で表される化合物からなる色素と、半導体微粒子とを有する感光体層を具備することを特徴とする光電変換素子。
下記一般式(2−1)及び(2−2)において、P20−1又はP20−2は、末端の炭素であるC*21で、上記一般式(1)のC*1及び/又はC*2と炭素−炭素二重結合により結合している。
下記一般式(3−1)及び(3−2)において、P30−1又はP30−2は、末端の炭素であるC*31で、上記一般式(1)のC*1及び/又はC*2と炭素−炭素二重結合により結合している。]
R34及びR34’は酸素原子、窒素原子又は炭素原子であり、R34又はR34’が窒素原子の場合は、該窒素原子は、水素原子、脂肪族基及び芳香族基からなる置換基群から選ばれる2つの基を有し、R34又はR34’が炭素原子の場合は、該炭素原子上の該置換基のHammett則におけるσp値の和が正である。n22は0以上の整数を表す。
Y21、Y21’、Y31及びY31’は硫黄原子、NR5、またはC(R6)R7を表す。R5は水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。R6、R7は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
R21、R21’、R31及びR31’は脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。
R22、R22’、R32、R32’、R23、R23’、R33、R33’、R24及びR24’はそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。] - 前記一般式(1)で表される化合物からなる色素が、酸性基を有することを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
- 前記一般式(1)におけるV21、V21’、V31及びV31’のいずれかがHammett則におけるσp値が負の置換基を有し、他方が酸性基を有することを特徴とする請求項1又は2記載の光電変換素子。
- 前記一般式(1)で表される色素のn22又はn22’が、0又は1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光電変換素子。
- 前記
R34又はR34’が、酸素原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の光電変換素子。 - 前記V21、V21’、V31又はV31’における酸性基が、5−カルボキシル基、6−カルボキシル基、5−スルホン酸基、5−ホスホニル基若しくは5−ホスホリル基又はこれらの塩であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項記載の光電変換素子。
- 前記R21、R21’、R31、R31’のいずれかが酸性基または酸性基を有する基であることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項記載の光電変換素子。
- 前記感光体層が、下記一般式(6)で表される化合物からなる色素を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の光電変換素子。
Mz(LL1)m1(LL2)m2(X)m3・CI 一般式(6)
[ 一般式(6)において、Mzは金属原子を表し、LL1は下記一般式(7)で表される2座又は3座の配位子を表し、LL2は下記一般式(8)で表される2座又は3座の配位子を表す。Xはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する1座又は2座の配位子、又はハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミド及びチオ尿素からなる群より選ばれる1座又は2座の配位子を表す。m1は0〜3の整数を表し、m1が2以上のとき、LL1は同じでも異なっていてもよい。m2は1〜3の整数を表し、m2が2以上のとき、LL2は同じでも異なっていてもよい。m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。CIは、一般式(6)において電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
- 前記一般式(7)において、d1及びd2が1以上の整数であることを特徴とする請求項10記載の光電変換素子。
- 前記R55又はR56が、下記一般式(9−1)〜(9−7)のいずれかであることを特徴とする請求項10又は11記載の光電変換素子。
m1〜m6は各々1〜5の整数を表す。Y及びXは独立に、S、O、Se、Te、NR83を表し、R83は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。] - 導電性支持体上に、前記感光体層、電荷移動体層及び対極をこの順序で積層した構造を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記色素が前記半導体微粒子に吸着していることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
- 少なくとも下記一般式(1)で表される化合物からなる色素。
下記一般式(2−1)及び(2−2)において、P20−1又はP20−2は、末端の炭素であるC*21で、上記一般式(1)のC*1及び/又はC*2と炭素−炭素二重結合により結合している。
下記一般式(3−1)及び(3−2)において、P30−1又はP30−2は、末端の炭素であるC*31で、上記一般式(1)のC*1及び/又はC*2と炭素−炭素二重結合により結合している。]
V21、V21’、V31又はV31’は互いに連結して環を形成していてもよい。P1又はP2の置換基であるV21、V21’、V31及びV31’の少なくとも1つは、Hammett則におけるσp値が負の置換基を表す。R34及びR34’は酸素原子、窒素原子又は炭素原子であり、R34又はR34’が窒素原子の場合は、該窒素原子は、水素原子、脂肪族基及び芳香族基からなる置換基群から選ばれる2つの基を有し、R34又はR34’が炭素原子の場合は、該炭素原子上の該置換基のHammett則におけるσp値の和が正である。n22は0以上の整数を表す。
Y21、Y21’、Y31及びY31’は硫黄原子、NR5、またはC(R6)R7を表す。R5は水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。R6、R7は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
R21、R21’、R31及びR31’は脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。
R22、R22’、R32、R32’、R23、R23’、R33、R33’、R24及びR24’はそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。]
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