JP5721717B2 - 金属錯体色素、光電変換素子及び光電気化学電池 - Google Patents
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Description
そこで本発明は、高い光電変換効率を実現し、その上でさらに耐久性をも高めることができる金属錯体色素、それを用いた光電変換素子と光電気化学電池の提供を課題とする。
<1>下記一般式(XXI)で表される金属錯体色素。
M(LL 1 ) r (LL 2 ) s (Z) t ・CI 一般式(XXI)
[一般式(XXI)中、MはRu金属原子を表す。
LL 1 は下記一般式(I)で表される配位子LL 1 を表す。
LL 2 は下記一般式(XXII)で表される2座の配位子を表す。
Zは1座または2座の配位子を表す。
rは1〜3の整数を表す。
sは1〜2の整数を表す。
tは0〜4の整数を表す。
CIは一般式(XXI)中の電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
L1及びL2は独立に単結合を表すか、又はエテニレン基、エチニレン基及びアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1つからなる共役鎖を表す。
R3及びR4は独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、ヘテロ環基、又はハロゲン原子を表す。
R’とR’’は独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。
A1とA2は独立にカルボン酸基を表す。
n1及びn2は独立に0〜3の整数を表す。
n3及びn4は0を表す。
ここで、
n1が1以上のときR’はL1と連結して環を形成しても良く、n1が2以上のときR’同士は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成しても良い。
n2が1以上のときR’’はL2と連結して環を形成しても良く、n2が2以上のときR’’同士は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成しても良い。
n1及びn2が共に1以上のときR’とR’’が連結して環を形成しても良い。]
R5〜R17及びR19〜R57は独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、ヘテロ環基、又はハロゲン原子を表す。
ただしR6とR31、R10とR33、R15とR34、R19とR37、R39とR40、R42とR43、R23とR43、R47とR48、R50とR51、R27とR51、R54とR55、R55とR56、R56とR57は環を形成しても良い。
m1〜m19は独立に1〜5の整数を表す。
前記一般式(II)〜(XX)中で左側の結合手が、前記一般式(I)中のL1又はL2側に位置して、直接又はL1もしくはL2を介して該ピリジン環と結合する。]
R33〜R35は独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。
n5〜n7は独立に0〜3の整数を表す。
n8〜n10は独立に0〜3の整数を表す。ただし、n8とn9の内で少なくとも一つは1以上の整数である。
pは0を表す。
ここで、
n5が2以上のときR33同士は同一でも異なっていてもよく環を形成しても良い。
n6が2以上のときR34同士は同一でも異なっていてもよく環を形成しても良い。
n7が2以上のときR35同士は同一でも異なっていてもよく環を形成しても良い。
n5及びn6が共に1以上のときR33とR34が連結して環を形成しても良い。
n6及びn7が共に1以上のときR34とR35が連結して環を形成しても良い。
n5及びn8が共に1以上のときR33とV1のL3が連結して環を形成しても良い。
n6及びn9が共に1以上のときR34とV2のL3が連結して環を形成しても良い。
n7及びn10が共に1以上のときR35とV3のL3が連結して環を形成しても良い。]
A3はカルボン酸基または−CH=C(CN)(COOH)を表す。]
<2>前記rが1であり、sが1である<1>に記載の金属錯体色素。
<3>前記L1及びL2が共に単結合である<1>または<2>に記載の金属錯体色素。
<4>前記LL2が下記一般式(XXIV)で表される<1>〜<3>のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
<5>前記LL2が下記一般式(XXV)で表される<1>〜<4>のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
<6>前記Zがイソチオシアネート、イソシアネートまたはイソセレノシアネートである<1>〜<5>のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
<7>前記R1及びR2がそれぞれ独立に一般式(II)、(V)、(VIII)、(XI)、(XIV)、(XVII)又は(XX)で表される基である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
<8>n3、n4がともに0である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
<9>前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の金属錯体色素からなる光電変換素子用色素。
<10>前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の金属錯体色素により増感された半導体微粒子を含有する光電変換素子。
<11>前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の金属錯体色素を少なくとも1つと、下記一般式(2)で表される金属錯体色素を少なくとも1つとを含有する光電変換素子。
一般式(2)
M101(LL101)m101(LL102)m102(X)m103・CI101
[一般式(2)中、M101はRu金属原子を表し、
LL101は下記一般式(3)により表される2座または3座の配位子であり、
LL102は下記一般式(4)により表される2座の配位子であり、
Xは一般式(XXI)のZと同義であり、
m101は0〜3の整数を表し、m101が2以上のときLL101は同じでも異なっていてもよく、
m102は0〜2の整数を表し、m102が2のときLL102は同じでも異なっていてもよく、
ただし、m101とm102のうち少なくとも一方は1以上の整数であり、
m103は0〜3の整数を表し、m103が2以上のときXは同じでも異なっていてもよく、またX同士が連結していてもよく、
CI101は一般式(2)中の電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
R103およびR104はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、
R105およびR106はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、
L101およびL102はそれぞれ独立にエテニレン基、エチニレン基及び2価のヘテロ環基からなる群から選ばれる少なくとも1つからなる共役鎖を表し、
a1およびa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、a1が2以上のときR101は同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR102は同じでも異なっていてもよく、
b1およびb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、b1が2以上のときR103は同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成してもよく、b2が2以上のときR104は同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成してもよく、b1およびb2が共に1以上のときR103とR104が連結して環を形成してもよく、
d1およびd2はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、
d3は0または1を表す。]
cは0を表す。]
<12>前記<10>または<11>に記載の光電変換素子を用いる光電気化学電池。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
なお、光電変換素子の上下は特に定めなくてもよいが、本明細書において、図示したものに基づいて言えば、受光側となる対極4の側を上部(天部)の方向とし、支持体1の側を下部(底部)の方向とする。
以下、本発明の光電変換素子において、半導体微粒子を増感する金属錯体色素として用いられる、後述の一般式(XXI)で表される金属錯体色素と、さらには、この色素と組み合わせて用いることができる他の色素とについて説明する。
(A1)金属錯体色素
本発明の金属錯体色素は、下記一般式(I)で表される配位子LL1を含有してなる。
ただし、本発明では、B 1 〜B 37 はS原子である。
前記一般式(II)〜(XX)中で左側の結合手が、前記一般式(I)中のL1又はL2側に位置して、直接又はL1もしくはL2を介して該ピリジン環と結合する。
R5〜R17、R19〜R29は、それぞれ独立に、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、さらに好ましくはアルキル基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基である。アルキル基として好ましくは炭素数3〜20、さらに好ましくは炭素数4〜15、特に好ましくは炭素数5〜12、最も好ましくは炭素数6〜10の、直鎖または分岐のアルキル基である。アリール基としては、好ましくは炭素数6〜50、さらに好ましくは炭素数6〜40、特に好ましくは炭素数6〜30、最も好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、これらは置換されていてもよく、無置換であってもよい。ヘテロ環基として、好ましくは5〜7員環、さらに好ましくは5、6員環、特に好ましくは5員環である。この5員環の好ましい例としてはフラン環、チオフェン環等が挙げられる。これらの基は、その好ましい範囲と具体例は後述の置換基Wにおけるそれらと同様である。本明細書において、これらの基は、置換もしくは無置換のものをいう。ある基がさらに置換されている場合、後述の置換基Wで置換されていてもよい。
R30〜R57は、それぞれ独立に、好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子、アルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子である。これらの基は、その好ましい範囲と具体例は後述の置換基Wにおけるそれらと同様である。本明細書において、これらの基は、置換もしくは無置換のものをいう。ある基がさらに置換されている場合、後述の置換基Wで置換されていてもよい。
R6とR31、R10とR33、R15とR34、R19とR37、R39とR40、R42とR43、R23とR43、R47とR48、R50とR51、R27とR51、R54とR55、R55とR56、R56とR57が形成する環として好ましくは、5〜10員環であり、さらに好ましくは5〜8員環であり、特に好ましくは5員環または6員環である。本明細書において、これらの環は、置換もしくは無置換のものをいう。ある環がさらに置換されている場合、後述の置換基Wで置換されていてもよい。
これらの5員環の例としては、例えば、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,3−オキサチオラン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール等が挙げられ、好ましくはシクロペンタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、チオフェンであり、さらに好ましくは、シクロペンタン、1,3−ジオキソランであり、特に好ましくはシクロペンタンである。本明細書において、これらの環は、置換もしくは無置換のものをいう。ある環がさらに置換されている場合、後述の置換基Wで置換されていてもよい。
また、これらの6員環の例として、例えば、シクロヘキサン、ジオキサン、ベンゼン、ピラン、ジヒドロピラン、ジオキサン、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン、ベンゼン、ジヒドロピラン、ジオキサン、ピペラジンであり、さらに好ましくはシクロヘキサン、ジオキサン、ベンゼンであり、特に好ましくはシクロヘキサン、ジオキサンであり、最も好ましくはジオキサンである。本明細書において、これらの環は、置換もしくは無置換のものをいう。ある環がさらに置換されている場合、後述の置換基Wで置換されていてもよい。
前記L1及びL2で表される単結合、又はエテニレン基、エチニレン基及びアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1つからなる共役鎖による共役とは、これらの単結合又は共役鎖とR1又はR2で表される基とビピリジン環とが共役系を形成することをいう。
本明細書において、L1、L2で表される共役鎖中のエテニレン基またはアリーレン基とは、置換もしくは無置換のものをいう。ある基がさらに置換されている場合、後述の置換基Wで置換されていてもよい。L1、L2は、好ましくは単結合または置換若しくは無置換のエテニレン基もしくはアリーレン基であり、特に好ましくは単結合または置換若しくは無置換のエテニレン基であり、最も好ましくは単結合である。
L1とL2は同じでも互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。L1及びL2が共に単結合であることが好ましい。これは、通常、アルケニレン基、アルキニレン基などは求核種からの求核反応や付加反応が起こりやすいが、L1及びL2が共に単結合であることで、本発明の配位子とそれを有してなる金属錯体色素の耐久性が向上するためである。
L1及びL2によってこのように共役鎖を形成することにより、金属錯体色素において吸収波長が長波長化し、また、モル吸光係数が増大する。よって、金属錯体色素の光吸収領域が拡大するという効果を得ることができる。
置換又は無置換のアリーレン基として好ましくは核原子数6〜50、さらに好ましくは核原子数6〜30、特に好ましくは核原子数6〜18、最も好ましくは核原子数6〜12のアリーレン基である。置換アリーレン基として好ましくは、メチルフェニレン、メトキシフェニレン、テトラフルオロフェニレン、ジブチルアミノフェニレンなどが挙げられる。なお共役鎖が炭素−炭素二重結合を含む場合、各二重結合はE体であってもZ体であってもよく、E体とZ体の混合物でもよい。
無置換のエテニレンからなる共役鎖として好ましくはエテニレン、ブタジエニレン、さらに好ましくはエテニレンである。
ただし、本発明では、R’とR’’は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基またはアリールオキシ基である。
上記置換基(以下、置換基Wとする。)としては例えば下記に示すものが挙げられる。
・アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。上記で説明した置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。〕、
・アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、
・アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
・ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、
・シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、
・ヒドロキシル基、
・アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ、2−エチルヘキシルオキシ)、
・アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、4−ヘキシルフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、
・ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
・シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、
・アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、
・カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、
・アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、
・アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
・アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、
・アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、
・アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、
・アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、
・イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、
・アリール若しくはヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、
・メルカプト基、
・アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、
・アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、
・ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、
・アルキル若しくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、
・スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、
・スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、
・スルフィノ基、
・アルキル若しくはアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、
・アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、
・アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、
・アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
・アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、
・カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、
・ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、
・ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
・ホスフィニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、
・ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、
・ホスフォ基、
・ホスフォニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフォニル基、例えば、ホスフォニル、オクチルオキシホスフィニル、メトキシホスフォニル、エトキシホスフィニル)、
・ホスフォニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフォニルオキシ基、例えば、フェノキシホスフォニルオキシ、オクチルオキシホスフォニルオキシ、エトキシホスフォニルオキシ)、
・ホスフォニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフォニルアミノ基、例えば、メトキシホスフォニルアミノ、ジメチルアミノホスフォニルアミノ)、
・シアノ基、
・ニトロ基、及び
・ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)。
また、置換基は更に置換されていてもよい。その際、置換基の例としては前述の置換基Wを挙げることができる。
R3及びR4としては、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、さらに好ましくはアルキル基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基である。アルキル基として好ましくは炭素数3〜20、さらに好ましくは炭素数4〜15、特に好ましくは炭素数5〜12、最も好ましくは炭素数6〜10の、直鎖または分岐のアルキル基である。アリール基としては、好ましくは炭素数6〜50、さらに好ましくは炭素数6〜40、特に好ましくは炭素数6〜30、最も好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、これらは置換されていてもよく、無置換であってもよい。ヘテロ環基として、好ましくは5〜7員環、さらに好ましくは5、6員環、特に好ましくは5員環である。この5員環の好ましい例としてはフラン環、チオフェン環等が挙げられる。
ただし、本発明では、n3及びn4は0である。
ただし、本発明において、A 1 とA 2 はカルボン酸基である。
なお、本発明において酸性基とは、解離してプロトンを与えることができる基であり、基を構成する水素原子の中で最も酸性の強い水素原子のpKaが13以下の基である。酸性基の例としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、アルキルスルフォニルアミノ基、リン酸基、スクアリン酸基、桂酸基、ホウ酸基が挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、さらに好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、特に好ましくはカルボン酸基である。酸性基は、解離し得るプロトンを有しているか、それに代えてその塩の形をとっていてもよい。
本発明において酸性基を有する基とは、前記の酸性基で置換された基(例えば、前述の置換基Wの内で、酸性基で置換され得る基)をいう。
ただし、下記A−1−17、A−1−18、A−2−17およびA−2−18は参考例である。
M(LL1)r(LL2)s(Z)t・CI 一般式(XXI)
一般式(XXI)中、Mは金属原子を表す。Mは好ましくは4配位または6配位が可能な金属(例えばRu、Os、Rh、W、Re、Pt、Fe、Cu、Ir、Pd、Co、Zn、Pb)である。Mは、さらに好ましくはRu、Os、Rh、W、Re、Pt、Fe、Cu、Ir、Pd、Coであり、より好ましくはRu、Os、特に好ましくはRuである。
ただし、本発明では、MはRuである。
一般式(XXI)中、LL1は一般式(I)で表されるLL1と同義であり、その好ましい範囲や具体例は前記の通りである。
一般式(XXI)中、LL2は下記一般式(XXII)で表される2座又は3座の配位子を表す。
なお、配位子LL2とZは、いずれも配位子LL1とは異なる構造の配位子である。
通常、アルケニレン基は求核種からの求核反応や付加反応が起こりやすいが、L3が単結合であることで、それらの求核種からの求核反応や付加反応を受けにくくなり、好ましい。
ここで、本発明では、L 3 は単結合である。
一般式(XXIII)中、A3は酸性基を表す。A3で表される酸性基の好ましい範囲や具体例は、前記一般式(I)中のA1とA2で表されるものと同様である。V1、V2及びV3(あるいはL3が単結合の場合にはA3そのもの)の置換位置は、好ましくはこれらが結合するピリジン環の窒素原子のm位またはp位であり、さらに好ましくはp位である。
一般式(XXII)中、R33〜R35は独立に置換基を表す。R33〜R35で表される置換基としては、例えば上述した置換基Wが挙げられる。置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、特に好ましくはアルキル基、アリール基である。本明細書において、これらの基は、置換もしくは無置換のものをいう。ある基がさらに置換されている場合、前述の置換基Wで置換されていてもよい。
ただし、本発明ではR 33 〜R 35 は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基である。
一般式(XXII)中、n5〜n7は好ましくは0〜2の整数であり、さらに好ましくは0または1、特に好ましくは0である。
なお、下記のB−1−3〜B−1−8、B−2−3〜B−2−8、B−3−1〜B−3−8、B−4−1〜B−4−8、B−5−1〜B−5−8、B−6−1〜B−6−8は、いずれも参考例である。
前記一般式(XXI)中、MがCu、Pd、Pt、Zn、Pb等、4配位を好む金属の場合は、tは0であることが好ましい。Mが6配位を好む金属の場合は、Zが1座配位子のときtは2であり、Zが2座配位子のときtは1であることが好ましい。tが2のときZは同じでも異なっていてもよい。
配位子Zは、より好ましくは、アシルオキシ基、アシルアミノオキシ基、ジチオカルバメート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、イソシアノ基、シアノ基またはアリールチオ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、ハロゲン原子あるいは、1,3−ジケトンまたはチオ尿素からなる配位子である。
配位子Zは、さらに好ましくは、ジチオカルバメート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、イソシアノ基、シアノ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子または1,3−ジケトンからなる配位子である。
配位子Zは、特に好ましくは、ジチオカルバメート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基およびイソシアネート基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、ハロゲン原子、1,3−ジケトンからなる配位子である。
配位子Zは、最も好ましくは、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基からなる群から選ばれた基で配位する配位子である。
配位子Zが2座配位子のとき、Zはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいは1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミド、またはチオ尿素からなる配位子であるのが好ましい。
Zが1座配位子のとき、Zはセレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、チオ尿素からなる配位子であるのが好ましい。
本発明の金属錯体色素においては、Zがイソチオシアネート、イソシアネートまたはイソセレノシアネートであることが特に好ましい。
一般式(XXI)中、CIは一般式(XXI)中の電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。色素が陽イオンまたは陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、色素中の金属、配位子および置換基に依存する。置換基が酸性基等の解離性基を有する場合、解離して負電荷を持ってもよく、この場合にも分子全体の電荷はCIにより中和される。
正の対イオンは、酸性基を表すA3(一般式(I)におけるA1及びA2)の対イオンと同じである。
負の対イオンは無機陰イオンおよび有機陰イオンのいずれでもよく、例えばハロゲン陰イオン(例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよいし、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
前記配位子LL2は、下記一般式(XXIV)で表されることが好ましい。
前記配位子LL2は、下記一般式(XXV)で表されることがさらに好ましい。
また、これらの具体例では、酸性基はプロトン非解離体のみ示しているが、これらのプロトン解離体でもよい。さらに、これらの化合物はE体、Z体及びその混合物、光学活性体等の異性体になり得るが、そのいずれかに特に限定されるものではない。
以下に、本発明の金属錯体色素の合成方法について、前記例示化合物D−1−3aの合成を代表例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、a−1と1−ヨードヘキサン(nC6H13I)のカップリング反応によりa−2を得る。このカップリング反応は、塩基として、例えば、n−BuLi(n−ブチルリチウム)、LTMP(リチウム 2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)、LDA(リチウムジイソプロピルアミド)などの強塩基の存在下に行なうことが好ましい。このカップリング反応の溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、MeTHF(2−メチルテトラヒドロフラン)、ジオキサン、CPME(シクロペンチルメチルエーテル)、MTBE(メチルt−ブチルエーテル)など)を用いることができる。該カップリング反応は、反応温度は好ましくは−78℃〜20℃、反応時間は、好ましくは5分間〜1時間、不活性ガス雰囲気下(窒素ガス、アルゴンガスなど)で行なうことが好ましい。反応圧力は特に限定されない。
第一段階の配位子交換反応により、A−1−5が配位した中間体を得る。この第一段階の配位子交換反応では、配位子A−1−5はa―6に対して2モル当量用いることが好ましい。この配位子交換反応の溶媒は特に限定されるものではないが、沸点が100℃以上の溶媒を用いることが好ましい。その中でも非プロトン性の極性溶媒(例えば、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルフォキシド)、NMP(N−メチルピロリドン)、DMAc(ジメチルアセトアミド)、DMI(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)等)、またはそれらの内の少なくとも1つの溶媒と水との混合溶媒を用いることが好ましい。反応温度は好ましくは50℃以上である。好ましい加熱方法と加熱時間としては、例えば、(1)外部加熱法(外部から熱を与える方法:水浴、オイルバスなど)で2〜5時間、(2)内部加熱法(マイクロ波(強度は、例えば20W〜300W)を照射する方法)で5分間〜30分間などを挙げることができる。該第一段階の配位子交換反応は、反応の雰囲気や、反応圧力は特に限定されるものではない。
また、各工程での精製方法としては、粗精製物を塩基性化合物(例えば、アミン、アンモニウムヒドロキシド等)で処理することで、アルコール系溶媒(例えば、メタノールなど)若しくは水に対して溶解性の高い塩(例えば、テトラブチルアンモニウム塩など)の状態で、クロマトグラフィー精製すること、酸を用いて系のpHをコントロールし酸析すること、またはその両方を組み合わせて用いることで精製することができる。クロマトグラフィー精製として好ましくはSephadexカラム、またはHPLCによる分取精製である。
この内、本発明の金属錯体色素においては、前記LL1で表される配位子中のビピリジンに、例えば一般式(II)などで表されるチオフェン誘導体を結合させてなり、その結合位置をチオフェン環の3位(3−チエニル基が結合)とすることで、チオフェン環の2位に存在する置換基が色素の上部(半導体微粒子である例えば酸化チタンの存在位置を下とした場合)に位置するため、水や求核種からの攻撃をブロックする効果が飛躍的に向上することによって、耐久性に優れた結果が得られていると考えられる。これは、例えば、同じチオフェン誘導体をチオフェン環の2位でビピリジンに結合させた場合(2−チエニル基が結合)に対して、耐久性が10倍以上となった場合もあることから明らかである。
また、チオフェン環構造の2位でビピリジンに結合した配位子(以下、2位結合型ともいう)よりも、前記LL1で表される配位子中のビピリジンに、例えば一般式(II)などで表されるチオフェン誘導体をチオフェン環構造の3位で結合させてなる本発明の配位子(以下、3位結合型ともいう)を用いることによって、光電変換効率が著しく向上した。これは電子注入効率が向上することで、本発明における変換効率向上に寄与するものと考えられる。
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池に使用される増感色素としては、本発明の前記金属錯体色素(A1)に加えて、他の色素(A2)を使用することができる。この併用される他の色素(A2)としては特に制限はないが、例えば、下記一般式(2)で表される構造を有する色素を挙げることができる。
M101(LL101)m101(LL102)m102(X)m103・CI101 (2)
一般式(2)の構造を有する色素は、金属原子M101に、配位子LL101及び/又は配位子LL102と、場合により特定の官能基Xが配位しており、必要な場合はCI101により電気的に中性に保たれている。
(A2−1)金属原子M101
M101は一般式(XXI)のMと同義であり、好ましい範囲も同じである。
配位子LL101は、下記一般式(3)により表される2座または3座の配位子であり、好ましくは2座配位子である。配位子LL101の数を表すm101は0〜3の整数であり、1〜3の整数であるのが好ましく、1であるのがより好ましい。m101が2以上のときLL101は同じでも異なっていてもよい。ただし、m101と、後述の配位子LL102の数を表すm102のうち少なくとも一方は1以上の整数である。したがって金属原子M101に、配位子LL101及び/又は配位子LL102が配位している。
d3は0または1を表し、好ましくは1である。
一般式(16−2)中、b3は0〜3の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。
一般式(2)中、LL102は下記一般式(4)により表される2座または3座の配位子である。配位子LL102の数を表すm102は0〜2の整数であり、0又は1であるのが好ましい。m102が2のときLL102は同じでも異なっていてもよい。ただし、m102と、前述の配位子LL101の数を表すm101のうち少なくとも一方は1以上の整数である。
この一般式(4)で表される配位子は、その上に酸性基を直接もしくは2価の基を介して有していてもよい。
R151〜R158は、それ自体が酸性基を表す場合、好ましくはカルボキシル基、ホスホリル基、ホスホニル基等、さらに好ましくはカルボキシル基、ホスホニル基であり、より好ましくはカルボキシル基である。
一方、R151〜R158が酸性基を有する基を表す場合、酸性基としては、好ましくはカルボキシル基、ホスホリル基もしくはホスホニル基等、さらに好ましくはカルボキシル基若しくはホスホニル基であり、より好ましくはカルボキシル基であって、これらの酸性基をその上に有する基としては、アルケニレン基(例えば、エチニレン基、シアノエチニレン基など)、ヘテロアリーレン基(例えば、チエニレン基、フリレン基、ピロリレン基など)が挙げられる。
本明細書において、これらの基は、可能であれば置換もしくは無置換のものをいう。ある基がさらに置換されている場合、前述の置換基Wで置換されていてもよい。
一般式(2)中、Xは上述した一般式(XXI)のZと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(2)中のCI101は上述した一般式(XXI)のCIと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(2)で表される構造を有する色素は、半導体微粒子の表面に対する適当な結合基(interlocking group)としての酸性基を少なくとも1つ以上有するのが好ましい。この結合基を色素中に1〜6個有するのがより好ましく、1〜4個有するのが特に好ましい。カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(例えば―CONHOH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)2等)、ホスホニル基(例えば―P(O)(OH)2等)等の酸性基(解離性のプロトンを有する置換基)を色素中に有することが好ましい。酸性基は、解離し得るプロトンを有しているか、それに代えてその塩の形をとっていてもよい。
これは例えば、酸性基又は酸性基を有する基が配位子の例えばピリジン環上に直接置換している態様と、酸性基又は酸性基を有する基が配位子の例えばピリジン環上に2価の基を介して結合されている態様との、両方を含む。
具体的には、一般式(2)で表される色素は、その配位子LL101かLL102の少なくとも1つに酸性基を有する。ここで、酸性基は、配位子LL101かLL102のピリジン環上に直接結合していてもよく、あるいは、配位子LL101かLL102のピリジン環に結合した基の上に結合されていてもよい。
本発明において好ましくは、該色素(色素(A1)のみ、又は色素(A1)と色素(A2)の両方)を含む色素溶液、例えばプロピレングリコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピオニトリルなどの有機溶媒溶液を調製し、半導体微粒子(例えば酸化チタン)を該溶液中に浸漬することで、色素を半導体微粒子に吸着させることができる。これらの溶媒は必要に応じて二種以上を混合してもよい。
本実施形態の光電変換素子に用いられる電荷移動体層には、電解質組成物からなる層が適用できる。その酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(例えばヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム等)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体(例えば赤血塩と黄血塩)の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせが好ましい。
導電性支持体としては、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電膜層を有するガラスや高分子材料を使用することができる。導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。導電性支持体としては、ガラスや高分子材料に導電性の金属酸化物を塗設したものを使用することができる。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスや高分子材料の支持体1m2当たり、0.1〜100gが好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。好ましく使用される高分子材料の一例として、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等を挙げることができる。導電性支持体上には、表面に光マネージメント機能を施してもよく、例えば、特開2003−123859記載の高屈折膜及び低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜、特開2002−260746記載のライトガイド機能が挙げられる。
半導体微粒子としては、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの微粒子が用いられる。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
本発明においては、半導体微粒子以外の固形分の含量が、半導体微粒子分散液全体の10質量%以下よりなる半導体微粒子分散液を前記の導電性支持体に塗布し、適度に加熱することにより、多孔質半導体微粒子塗布層を得ることができる。
対極(対向電極)は、光電気化学電池の正極として働くものである。対向電極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。ただし、支持体を有する方が密閉性の点で有利である。対向電極の材料としては、白金、カーボン、導電性ポリマー、などがあげられる。好ましい例としては、白金、カーボン、導電性ポリマーが挙げられる。
(色素の調製)
本発明の金属錯体色素として、以下のものを調製した。
下記のスキームの方法に従って例示色素D−1−3aを調製した。
(i)化合物a−2の調製
a−1 70gを脱水THF(テトラヒドロフラン)2.0Lに加え攪拌し、窒素雰囲気下−20℃で20分攪拌した。ここに、n−ブチルリチウムの1.6M−ヘキサン溶液342mlを滴下し−20℃で20分攪拌した後、1−ヨードヘキサン 133gを滴下し−20℃で20分攪拌後、0℃で20分、室温で30分攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、THF層を取り出し、水層を酢酸エチルで分液抽出し、THF層と酢酸エチル層を合わせて飽和食塩水で洗った。有機層を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトフラフィーで精製することでa−2 103gを得た。
(ii)a−3の調製
a−2 50gを窒素雰囲気下、0℃で塩化メチレン750mlに溶解し、四塩化スズ200mlを滴下した。15分攪拌後、ジクロロメチルメチルエーテル37mlを加え室温で16時間攪拌した。水2Lを加え、1N塩酸水溶液1L滴下した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、ろ液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトフラフィーで精製することでa−3 53.6gを得た。
(iii)a−5の調製
a−4 18.7gを窒素雰囲気下、THF(テラヒドロフラン)500mlに加え、−15℃で攪拌し、別途調製したLDA(リチウムジイソプロピルアミド)(a−4の2.5等量)のTHF溶液を滴下し、75分攪拌した。その後a−3 50gをTHF 50mlに溶解した溶液を滴下し、0℃で1時間攪拌し、室温で終夜攪拌した。濃縮後、飽和塩化アンモニウム水溶液 150mlを加え、塩化メチレン300mlで分液・抽出し、飽和食塩水で有機層を洗浄し、有機層を濃縮した。得られた結晶は酢酸エチル溶媒で再結晶後、a−5 41.2gを得た。
(iv)化合物A−1−5の調製
a−5 40.0g、PPTS(ピリジニウムパラトルエンスルホン酸)7.4gを、トルエン4000mlに加え、窒素雰囲気下で8時間加熱還流を行った。濃縮後、飽和重曹水及び塩化メチレンで分液を行い、有機層を飽和食塩水で洗浄後濃縮した。得られた結晶はメタノール及び塩化メチレンで再結晶後、A−1−5 36.0gを得た。
(v)例示色素D−1−3aの調製
化合物a−6 4.0g、A−1−5 2.1g、をDMF60mlに加え70℃で4時間攪拌した。その後B−1−1 0.8gを加え160℃で4時間加熱攪拌した。その後チオシアン酸アンモニウム 17.3gを加え130℃で5時間攪拌した。濃縮後、水20mlを加えてろ過し、ジエチルエーテルで洗った。粗精製物をTBAOH(水酸化テトラブチルアンモニウム)と共にメタノール溶液に溶解し、SephadexLH−20カラムで精製した。主層の分画を回収し濃縮後硝酸0.2Mを添加して、沈殿物をろ過後、水及びジエチルエーテルで洗い、D−1−3b 1.57gを得た。精製物をメタノール溶液に溶解し、硝酸1Mを添加して沈殿物をろ過後、水及びジエチルエーテルで洗い、D−1−3aを1.52g得た。
得られた化合物D−1−3aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1101.22 (M−H)+
(i)化合物A−1−1の調製
a−1の代わりにa−7を用いてa−1からa−3を調製するときと同様にしてa−9を調製した。以下、D−1−3aの調製と同様にしてA−1−1を調製した。
(ii)化合物B−1−2の調製
a−10 15g、シアノ酢酸 13.5g、ピペリジン 2.5mlを1250mlのアセトニトリルに溶解し、過熱還流を5時間行った。濃縮ろ過後、アセトニトリルで残渣を洗い、B−1−2 28.2gを得た。
前記例示色素D−1−3aの調製において、A−1−5の代わりにA−1−1を用い、B−1−1の代わりにB−1−2を用いることで例示色素D−2−3aを調製した。
得られた化合物D−2−3aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1271.36 (M−H)+
(i)化合物a−11の調製
a−8 85g、酢酸ナトリウム 33.7g、を酢酸 500mlに加え攪拌した。その後臭素を滴下しなりゆきの温度で1時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで分液抽出した。有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液、水で洗い濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製することでa−11 100gを得た。
(ii)化合物a−12の調製
a−11 84gを脱水ジエチルエーテル溶液1800mlに加え、窒素雰囲気下−40℃でn−ブチルリチウム2.5Mヘキサン溶液を160ml滴下し、1時間攪拌した。その後トリブチルボレート 210mlを滴下し、室温で8時間攪拌した。濃縮後の残渣を脱水THF1800mlに溶解し、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール137gを添加し1時間攪拌後濃縮した。得られた粗精製物をジエチルエーテル溶解し水で洗浄した、有機層は硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製することでa−12 62gを得た。
(iii)化合物A−2−1の調製
a−12 62g、a−13 26.7g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 4.9g、トリフェニルホスフィン 4.4g、 炭酸セシウム 98g、水 400mlをTHF 4000mlに加え、80℃で9時間攪拌した。室温に冷却後、クロロホルム300mlを加えろ過した。ろ液に1N塩化アンモニウムを加え分液抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、濃縮した。得られた結晶はメタノール及び塩化メチレンで再結晶することで化合物A−2−1 50.2gを得た。
(iv)例示色素D−2−6aの調製
前記例示色素D−2−3aの調製において、A−1−1の代わりにA−2−1を用いることで例示色素D−2−6aを調製した。
得られた化合物D−2−6aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1219.32 (M−H)+
(i)化合物A−2−5の調製
a−8の代わりにa−2を用いてa−8からa−11を調製するときと同様にしてa−14を調製した。以下、D−2−6aの調製と同様にしてA−2−5を調製した。
(ii)例示色素D−2−11aの調製
前記例示色素D−1−3aの調製において、A−1−5の代わりにA−2−5を用い、チオシアン酸アンモニウムの代わりにヨウ化アンモニウムを用いることで例示色素D−2−11aを調製した。
得られた化合物D−2−11aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1187.01 (M−H)+
前記例示色素D−2−6aの調製において、B−1−2の代わりにB−1−1を用いることで例示色素D−1−11aを調製した。
得られた化合物D−1−11aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1117.28 (M−H)+
前記例示色素D−1−3aの調製において、A−1−5の代わりにA−2−5を用いることで例示色素D−1−12aを調製した。
得られた化合物D−1−12aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1049.14 (M−H)+
(i)化合物A−2−7の調製
a−1からa−2を合成するときと同様にしてa−15からa−16を合成した。再度同様にしてa−16からa−17を合成した。a−8からA−2−1を合成するのと同様にして化合物A−2−7を合成した。
(ii)例示色素D−1−14aの調製
前記例示色素D−1−11aの調製において、A−2−1の代わりにA−2−7を用いることで例示色素D−1−14aを調製した。
得られた化合物D−1−14aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1453.50 (M−H)+
(i)化合物A−2−9の調製
a−15からa−17を調製するときと同様にしてa−15の代わりにa−18を、1−ヨードデカンの代わりに1−ヨードオクタンを用いてa−20を調製した。以下、D−1−11aの調製におけるA−2−1の調製と同様にしてA−2−9を調製した。
(ii)例示色素D−1−15aの調製
前記例示色素D−1−11aの調製において、A−2−1の代わりにA−2−9を用いることで例示色素D−1−15aを調製した。
得られた化合物D−1−15aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1341.36 (M−H)+
(i)化合物A−2−11の調製
a−15からA−2−7を調製するときと同様にしてa−21からA−2−11を調製した。
(ii)例示色素D−1−16aの調製
前記例示色素D−1−11aの調製において、A−2−1の代わりにA−2−11を用いることで例示色素D−1−16aを調製した。
得られた化合物D−1−16aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1565.48 (M−H)+
(i)化合物A−2−13の調製
a−15からA−2−7を調製するときと同様にしてa−22からA−2−13を調製した。
(ii)例示色素D−1−17aの調製
前記例示色素D−1−11aの調製において、A−2−1の代わりにA−2−13を用いることで例示色素D−1−17aを調製した。
得られた化合物D−1−17aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1553.53 (M−H)+
(i)化合物A−2−15の調製
a−15からA−2−7を調製するときと同様にしてa−23からA−2−15を調製した。
(ii)例示色素D−1−18aの調製
前記例示色素D−1−11aの調製において、A−2−1の代わりにA−2−15を用いることで例示色素D−1−18aを調製した。
得られた化合物D−1−18aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1553.53 (M−H)+
前記例示色素D−1−3aの調製において、B−1−1を2.5倍量使用し、反応温度を170℃に変更することで例示色素D−4−6aを調製した。
得られた化合物D−4−6aの構造はMS測定により確認した。MS−ESI m/z : 1229.29 (M−H)+
(i)化合物a−25の調製
a−24 5.0g、A−1−5 7.3gを、エチレングリコール250mlに加え、窒素雰囲気下で遮光条件下で1時間加熱還流を行った。その後、B−1−1 2.8gを添加し、1時間加熱還流を行った。その後、飽和次亜硫酸ナトリウム水溶液250mlで有機層を洗浄後、ろ過し、水100ml、ジエチルエーテル100mlで洗った。乾燥後、a−25 11.7gを得た。
(ii)例示色素D−5−1aの調製
a−25 10.0g、チオシアン酸アンモニウム 80.7gをDMF540ml、水270mlに加え140℃で3時間攪拌した。濃縮後、3℃まで冷却し水20ml加えろ過し、ジエチルエーテルで洗った。粗精製物をTBAOH(水酸化テトラブチルアンモニウム)と共にメタノール溶液に溶解し、SephadexLH−20カラムで精製した。主層の分画を回収し濃縮後、硝酸0.2Mを添加して、沈殿物をろ過後、水及びジエチルエーテルで洗い、D−5−1bを得た。精製物をメタノール溶液に溶解し、硝酸1Mを添加して沈殿物をろ過後、水及びジエチルエーテルで洗い、D−5−1a 8.1gを得た。
得られた化合物D−5−1aはMS測定により確認した。。MS−ESI m/z : 1145.22 (M−H)+
前記で得られた本発明の金属錯体色素と以下の実験に用いた本発明の金属錯体色素、及び比較用の色素のそれぞれについて、極大吸収波長を測定した。その結果を表Aに示す。測定は、分光光度計(U−4100(商品名)、日立ハイテク社製)によって行い、溶液はメタノール溶液にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド10%メタノール溶液を1%混合した溶液を用い、濃度が1.7μMになるように調整した。なお測定溶媒によって色素の吸収波形は異なるが、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド存在下では、色素中の酸性基はテトラブチルアンモニウム塩を形成し、10nm〜20nm短波化する傾向がある。
(光電変換素子の作製)
ガラス基板上に、透明導電膜としてフッ素をドープした酸化スズをスパッタリングにより形成し、これをレーザーでスクライブして、透明導電膜を2つの部分に分割した。このうち一方の導電膜上にアナターゼ型酸化チタン粒子(平均粒径:50nm)を焼結して受光電極を作製した。その後、受光電極上にシリカ粒子(平均粒径:250nm)とルチル型酸化チタン粒子(平均粒径:300nm)とを40:60(質量比)で含有する分散液を塗布及び焼結して絶縁性多孔体を形成した。次いで対極として炭素電極を形成させた。
次に、下記表1に記載された増感色素のエタノール溶液(3×10−4モル/L)に40℃で48時間浸漬した。増感色素の染着したガラスを4−tert−ブチルピリジンの10%エタノール溶液に40℃で30分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光層の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/m2とした。増感色素の塗布量は、増感色素の種類に応じ、適宜0.1〜10ミリモル/m2の範囲から選択した。
電解液としては、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム(0.5モル/L)、ヨウ素(0.1モル/L)のメトキシプロピオニトリル溶液を用いた。
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5Gフィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−42、商品名)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は89mW/cm2であった。作製した光電変換素子にこの光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレー238型、商品名)にて測定した。これにより求められた色素増感太陽電池の変換効率を測定した結果を下記表1に示す。結果は、変換効率が7.5%以上のものを◎、7.0%以上7.5%未満のものを○、6.5%以上7.0%未満のものを△、6.5%未満のものを×として評価した。変換効率が7.0%以上のものを合格とした。
1.ITO膜用原料化合物溶液の調製
塩化インジウム(III)四水和物5.58gと塩化スズ(II)二水和物0.23gとをエタノール100mlに溶解して、ITO膜用原料化合物溶液とした。
塩化スズ(IV)五水和物0.701gをエタノール10mlに溶解し、これにフッ化アンモニウム0.592gの飽和水溶液を加え、この混合物を超音波洗浄機に約20分間かけ、完全に溶解して、FTO膜用原料化合物溶液とした。
次に、上記具体例で得られた3種の透明電極板を用いて、特許 第4260494号中の図2に示した構造の色素増感太陽電池を作製した。酸化物半導体多孔質膜15の形成は、平均粒径約230nmの酸化チタン微粒子をアセトニトリルに分散してペーストとし、これを透明電極11上にバーコート法により厚さ15μmに塗布し、乾燥後450℃で1時間焼成して行い、この酸化物半導体多孔質膜15に表2にて示した色素化合物を担持した。
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5Gフィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−42、商品名)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は89mW/cm2であった。作製した光電変換素子にこの光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレー238型、商品名)にて測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率を測定した結果を下記表2に示す。結果は、変換効率が7.5%以上のものを◎、7.0%以上7.5%未満のものを○、6.5%以上7.0%未満のものを△、6.5%未満のものを×として評価した。変換効率が7.0%以上のものを合格とした。
以下の方法で、異なる構造の色素増感太陽電池の試験セル(i)及び(iv)を作製し、この試験セルについて、光電変換特性を測定し、変換効率を求めた。
(試験セル(i))
100×100mmのFTO膜付きガラスの表面に、エッチング法により深さ5μmの溝を格子回路パターン状に形成した。エッチングは、フォトリソにてパターン形成した後に、フッ酸を用いて行った。これに、めっき形成を可能とするためにスパッタ法により金属導電層(シード層)を形成し、更にアディティブめっきにより金属配線層3を形成した。金属配線層3は、透明基板2表面から凸レンズ状に3μm高さまで形成した。回路巾は60μmとした。この上から、遮蔽層5としてFTO膜を400nmの厚さでSPD法により形成して、電極基板(i)とした。なお、電極基板(i)の断面形状は、特開2004−146425号公報中の図2に準ずるものとなっている。
電極基板(i)上に平均粒径25nmの酸化チタン分散液を塗布・乾燥し、450℃で1時間加熱・焼結した。これを本発明の色素のエタノール溶液中に40℃で40分間浸漬して色素担持した。50μm厚の熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートを介して白金スパッタFTO基板と対向して配置し、樹脂シート部を熱溶融させて両極板を固定した。予め、白金スパッタ極側に電解液の注液口を開けておき、電極間に0.5Mのヨウ化塩と0.05Mのヨウ素とを主成分に含むメトキシアセトニトリル溶液を注液した。更に、周辺部及び電解液注液口をエポキシ系封止樹脂を用いて本封止し、集電端子部に銀ペーストを塗布して試験セル(i)とした。AM1.5の疑似太陽光により、試験セル(i)の光電変換特性を評価した。その結果を表3に示す。
100mm角のFTOガラス基板上に、アディティブめっき法により金属配線層3(金回路)を形成した。金属配線層3(金回路)は基板表面に格子状に形成し、回路幅50μm、回路厚5μmとした。この表面に厚さ300nmのFTO膜を遮蔽層5としてSPD法により形成して電極基板(iv)とした。電極基板(iv)の断面をSEM、EDXを用いて確認したところ、配線底部でめっきレジストの裾引きに起因すると思われる潜り込みがあり、影部分にはFTOが被覆されていなかった。
電極基板(iv)を用い、試験セル(iv)を作製した。AM1.5の疑似太陽光により試験セル(iv)の光電変換特性を評価し、結果を表3に示す。
結果は、変換効率が7.5%以上のものを◎、7.0%以上7.5%未満のものを○、6.5%以上7.0%未満のものを△、6.5%未満のものを×として評価した。変換効率が7.0%以上のものを合格とした。
色素増感太陽電池の試料セル(A)〜(D)を作製し、各セルの光電変換特性を評価し、変換効率を求めた。
(試料セル(A)の作製)
1.半導体膜の作製
5gの水素化チタンを1リットルの純水に懸濁し、濃度5質量%の過酸化水素液400gを30分かけて添加し、ついで80℃に加熱して溶解してペルオキソチタン酸の溶液を調製した。この溶液の全量から90容積%を分取し、濃アンモニア水を添加してpH9に調整し、オートクレーブに入れ、250℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(A)を調製した。得られたチタニアコロイド粒子は、X線回折により結晶性の高いアナターゼ型酸化チタンであった。
次に、表4記載の金属錯体色素について、色素の濃度3×10−4モル/リットルのエタノール溶液を調製した。この金属錯体色素溶液を、rpm100スピナーで、上記の金属酸化物半導体膜(A)上へ塗布して乾燥した。この塗布および乾燥工程を5回行った。
アセトニトリルと炭酸エチレンとを体積比(アセトニトリル:炭酸エチレン)が1:5となるように混合した溶媒に、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドを0.46モル/リットル、ヨウ素を0.07モル/リットルの濃度となるように溶解して電解質溶液を調製した。
紫外線を照射してペルオキソ酸を分解させ、膜を硬化させた後、Arガスのイオン照射(日新電気製:イオン注入装置、200eVで10時間照射)を行った以外は金属酸化物半導体膜(A)と同様にして金属酸化物半導体膜(B)を形成し、表4記載の金属錯体色素を吸着させて、色素が吸着された金属酸化物半導体膜を作製した。この半導体膜を用いて、試料セル(A)と同様に、試料セル(B)を作製した。
18.3gの4塩化チタンを純水で希釈して、TiO2換算で1.0質量%含有する水溶液を得た。この水溶液を撹拌しながら、濃度15質量%のアンモニア水を添加し、pH9.5の白色スラリーを得た。このスラリーを濾過洗浄し、TiO2換算で、10.2質量%の水和酸化チタンゲルのケーキを得た。このケーキと濃度5%過酸化水素液400gを混合し、ついで80℃に加熱して溶解してペルオキソチタン酸の溶液を調製した。この溶液全量から90体積%を分取し、これに濃アンモニア水を添加してpH9に調整し、オートクレーブに入れ、250℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(C)を調製した。
18.3gの4塩化チタンを純水で希釈してTiO2換算で1.0質量%含有する水溶液を得た。これを撹拌しながら、濃度15質量%のアンモニア水を添加し、pH9.5の白色スラリーを得た。このスラリーを濾過洗浄した後、純水に懸濁してTiO2として濃度0.6質量%の水和酸化チタンゲルのスラリーとし、これに塩酸を加えてpH2とした後、オートクレーブに入れ、180℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(D)を調製した。
試料セル(A)〜(D)について、ソーラーシュミレーターで、100W/m2の強度の光を照射して、Voc(開回路状態の電圧)、Joc(回路を短絡したときに流れる電流の密度)、FF(曲線因子)およびη(変換効率)を測定した。変換効率の結果を表4に示す。
変換効率が7.5%以上のものを◎、7.0%以上7.5%未満のものを○、6.5%以上7.0%未満のものを△、6.5%未満のものを×として評価した。変換効率が7.0%以上のものを合格とした。
酸化チタンの調製方法を変えることにより得られた半導体微粒子を用いて、光電変換素子を作製し、光電変換特性を評価し、変換効率を求めた。
(1)熱処理法による酸化チタンの調製
酸化チタン1A(ブルーカイト型)、酸化チタン1B(アナターゼ型)、酸化チタン2B(ルチル型)
市販のアナターゼ型の酸化チタン1B(石原産業(株)製、商品名ST−01)を用い、これを約900℃に加熱してブルーカイト型の酸化チタン1Aに変換し、さらに約1,200℃に加熱してルチル型の酸化チタン2Bとした。
酸化チタン2A(ブルーカイト型)
蒸留水954mlを還流冷却器付きの反応槽に装入し、95℃に加温する。撹拌速度を約200rpmに保ちながら、この蒸留水に四塩化チタン(Ti含有量:16.3質量%、比重1.59、純度99.9%)水溶液46mlを約5.0ml/minの速度で反応槽に滴下した。このとき、反応液の温度が下がらないように注意した。その結果、四塩化チタン濃度が0.25mol/リットル(酸化チタン換算2質量%)であった。反応槽中では反応液が滴下直後から、白濁し始めたがそのままの温度で保持を続け、滴下終了後さらに昇温し沸点付近(104℃)まで加熱し、この状態で60分間保持して完全に反応を終了した。
三塩化チタン水溶液(Ti含有量:28質量%、比重1.5、純度99.9%)を蒸留水で希釈し、チタン濃度換算で0.25モル/Lの溶液とした。このとき、液温が上昇しないよう氷冷して、50℃以下に保った。次に、この溶液を還流冷却器付きの反応槽に500ml投入し、85℃に加温しながらオゾンガス発生装置から純度80%のオゾンガスを1L/minでバブリングし、酸化反応を行なった。この状態で2時間保持し、完全に反応を終了した。得られたゾルをろ過、真空乾燥し、粉末とした。この粉末をX線回折法により定量分析した結果、(ブルーカイト型121面のピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0.85、(ルチル型のメインピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0であった。これらから求めると二酸化チタンは、ブルーカイト型が約98質量%、ルチル型が0質量%、アナターゼ型が0質量%であり、約2質量%は無定形であった。また、透過型電子顕微鏡でこの微粒子を観察したところ、1次粒子の平均粒径は0.05μmであった。
硫酸チタン溶液(Ti:30質量%、比重1.65)145mlを蒸留水855mlに加えた。この時の硫酸チタン濃度は1.5モル/Lであった。これを100℃に加熱して加水分解させ白色沈殿を得た。この沈殿をろ過洗浄し、次いで60℃の真空乾燥器を用いて乾燥し粉末とした。X線回折により解析した結果、アナターゼ型であった。また、透過電子顕微鏡での1次粒子の平均粒子径は0.025μmであった。
常法により硫酸チタニル溶液を加熱分解し、濾過洗浄した含水酸化チタンスラリー950g(TiO2換算100gに相当)に、48体積%NaOH溶液80gを撹拌しながら投入し、95℃で4時間加熱した。次いで、この処理物を十分洗浄して得たスラリー2kgに、30質量%塩酸600gを撹拌しながら投入し、98℃で5時間加熱し、チタニアゾルを作成した。このチタニアゾルは、X線回折でルチル型の結晶構造を示した。このようにして得られたルチル型の結晶構造をもった微粒子酸化チタンの平均粒子径は0.012μmであった。
上記の酸化チタンを半導体微粒子として特開2000−340269号公報の図1に示す構成を有する光電変換素子を次のように作製した。ガラス基板上にフッ素ドープの酸化錫をコートし、導電性透明電極とした。電極面上にそれぞれの酸化チタン粒子を原料としたペーストを作成し、バーコート法で厚さ50μmに塗布した後、500℃で焼成して膜厚約20μmの薄層を形成した。次に、表5記載の金属錯体色素の3×10−4モル濃度のエタノール溶液を調製し、これに上記の酸化チタンの薄層を形成したガラス基板を浸漬し、12時間室温で保持した。その結果、酸化チタンの薄層上に上記錯体が付着された。
光電変換は160wの高圧水銀ランプの光(フィルターで赤外線部をカット)を上記の素子に照射し、その際の変換効率を測定した。結果を表5に示す。変換効率が7.5%以上のものを◎、7.0%以上7.5%未満のものを○、6.5%以上7.0%未満のものを△、6.5%未満のものを×として評価した。変換効率が7.0%以上のものを合格とした。
受光電極を構成する半導体電極の半導体層又は光散乱層を形成するための種々のペーストを調製し、このペーストを用いて、色素増感太陽電池を作製した。
[ペーストの調製]
先ず、受光電極を構成する半導体電極の半導体層又は光散乱層形成するためのペーストを以下の手順で調製した。
球形のTiO2粒子(アナターゼ、平均粒径;25nm、以下、球形TiO2粒子1という)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
球形TiO2粒子1と、球形のTiO2粒子(アナターゼ、平均粒径;200nm、以下、球形TiO2粒子2という)を硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO2粒子1の質量:TiO2粒子2の質量=30:70)を調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;100nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO2粒子1という)を混合し、棒状TiO2粒子1の質量:ペースト1の質量=10:90のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状TiO2粒子1を混合し、棒状TiO2粒子1の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状TiO2粒子1を混合し、棒状TiO2粒子1の質量:ペースト1の質量=50:50のペーストを調製した。
ペースト1に、板状のマイカ粒子(直径;100nm、アスペクト比;6、以下、板状マイカ粒子1という)を混合し、板状マイカ粒子1の質量:ペースト1の質量=20:80のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;30nm、アスペクト比;6.3、以下、棒状TiO2粒子2という)を混合し、棒状TiO2粒子2の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;50nm、アスペクト比;6.1、以下、棒状TiO2粒子3という)を混合し、棒状TiO2粒子3の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;75nm、アスペクト比;5.8、以下、棒状TiO2粒子4という)を混合し、棒状TiO2粒子4の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;130nm、アスペクト比;5.2、以下、棒状TiO2粒子5という)を混合し、棒状TiO2粒子5の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;180nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO2粒子6という)を混合し、棒状TiO2粒子6の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;240nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO2粒子7という)を混合し、棒状TiO2粒子7の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;110nm、アスペクト比;4.1、以下、棒状TiO2粒子8という)を混合し、棒状TiO2粒子8の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
ペースト1に、棒状のTiO2粒子(アナターゼ、直径;105nm、アスペクト比;3.4、以下、棒状TiO2粒子9という)を混合し、棒状TiO2粒子9の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
以下に示す手順により、特開2002−289274号公報記載の図5に示した光電極12と同様の構成を有する受光電極を作製し、更に、受光電極を用いて、当該受光電極以外は色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する10×10mmのスケールの色素増感型太陽電池1を作製した。
半導体電極の製造を以下のようにして行ったこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順により特開2002−289274号公報記載の図1に示した受光電極10及び特開2002−289274記載の図3に示した色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する受光電極及び色素増感型太陽電池2を作製した。
なお、半導体電極への色素の吸着は色素増感太陽電池1の場合と同様にして行った。すなわち、まず、マグネシウムエトキシドで脱水した無水エタノールを溶媒として、これに表6記載の金属錯体色素を、その濃度が3×10−4mol/Lとなるように溶解し、色素溶液を調製した。次に、この溶液に半導体電極を浸漬し、これにより、半導体電極に色素が約1.5×10−7mol/cm2吸着し、受光電極10を完成させた。以下の色素増感太陽電池における半導体電極への色素の吸着は同様に行った。
半導体電極の製造に際して、ペースト1を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト4を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順により特開2002−289274号公報記載の図5に示した光電極10及び特開2002−289274号公報記載の図3に示した色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する光電極及び色素増感型太陽電池3を作製した。なお、半導体電極は、受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;5μm、光散乱層の層厚;5μm、光散乱層に含有される棒状TiO2粒子1の含有率;30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト6を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順により特開2002−289274号公報記載の図5に示した光電極10及び特開2002−289274号公報記載の図3に示した色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する光電極及び色素増感型太陽電池4を作製した。なお、半導体電極は、受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;6.5μm、光散乱層の層厚;3.5μm、光散乱層に含有される板状マイカ粒子1の含有率;20質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト8を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順により光電極及び色素増感型太陽電池5を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子3の含有率;30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト9を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順により光電極及び色素増感型太陽電池6を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子4の含有率;30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト10を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順により光電極及び色素増感型太陽電池7を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子5の含有率;30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト11を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順により光電極及び色素増感型太陽電池8を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子6の含有率;30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト13を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順により光電極及び色素増感型太陽電池9を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子8の含有率;30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト14を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順により光電極及び色素増感型太陽電池10を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子9の含有率;30質量%であった。
半導体電極の製造に際して、ペースト2のみを用いて半導体層のみからなる半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、)を作製したこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順により光電極及び色素増感太陽電池11を作製した。
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト7を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順により光電極及び色素増感太陽電池12を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO2粒子2の含有率;30質量%であった。
電池特性試験を行ない、色素増感太陽電池について、変換効率ηを測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレータ(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルターを通したキセノンランプから1000W/m2の疑似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、変換効率(η/%)を求めた。その結果を表6に示す。変換効率が7.5%以上のものを◎、7.0%以上7.5%未満のものを○、6.5%以上7.0%未満のものを△、6.5%未満のものを×として評価した。変換効率が7.0%以上のものを合格とした。
金属酸化物微粒子に金属アルコキシドを加えスラリー状としたものを導電性基板に塗布し、その後、UVオゾン照射、UV照射又は乾燥を行い、電極を作製した。その後、光電気化学電池を作製し、変換効率を測定した。
金属酸化物微粒子としては、酸化チタンを用いた。酸化チタンは、質量比で、30%ルチル型及び70%アナターゼ型、平均粒径25nmのP25粉末(Degussa社製、商品名)を用いた。
金属酸化物微粒子をあらかじめ熱処理することで表面の有機物と水分を除去した。酸化チタン微粒子の場合は450℃のオーブンで大気下、30分間加熱した。
温度26℃、湿度72%の環境に保存しておいた酸化チタン、P25粉末(Degussa社製、商品名)に含まれる水分量を、熱質量測定における質量減少、及び300℃に加熱したときに脱着した水分量のカールフィッシャー滴定により定量した。
金属酸化物微粒子を結合する役割をする金属アルコキシドとしては、チタン原料としてはチタン(IV)テトライソプロポキシド(TTIP)、ジルコニウム原料としてはジルコニウム(IV)テトラn−プロポキシド、ニオブ原料としてはニオブ(V)ペンタエトキシド(全てAldrich社製)をそれぞれ用いた。
スズドープ酸化インジウム(ITO)導電膜付きポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基板(20Ω/cm2)又はフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電膜付きガラス基板(10Ω/cm2)に、スペーサとして粘着テープ2枚を一定間隔で平行に貼り付け、上記の方法に従って調製した各ペーストを、ガラス棒を用いて均一に塗布した。
ペーストを塗布後、色素吸着前に、UVオゾン処理、UV照射処理、又は乾燥処理の有無について条件を変えて多孔質膜を作製した。
導電性基板へ前記ペーストを塗布した後の膜を大気中室温において2分程度で風乾した。この過程でペースト中の金属アルコキシドが大気中の水分によって加水分解を受け、Tiアルコキシド、Zrアルコキシド、Nbアルコキシドからそれぞれアモルファスの酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブが形成された。
生成したアモルファス金属酸化物が、金属酸化物微粒子同士及び膜と導電性基板を接着する役割を果たすため、風乾するのみで機械的強度と付着性に優れた多孔質膜が得られた。
UVオゾン処理には日本レーザー電子社製のNL−UV253 UVオゾンクリーナーを用いた。UV光源には185nmと254nmに輝線を持つ4.5W水銀ランプ3個を備えており、試料を光源から約6.5センチの距離に水平に配置した。チャンバー中に酸素気流を導入することでオゾンが発生する。本実施例においてはこのUVオゾン処理を2時間行なった。なお、このUVオゾン処理によるITO膜及びFTO膜の導電性の低下は全く見られなかった。
チャンバー中を窒素置換して処理を行う以外は同様に、前記UVオゾン処理と同様に、2時間処理を行った。このUV処理によるITO膜及びFTO膜の導電性の低下はまったく見られなかった。
色素には表7記載の色素を用いて、各色素の0.5mMのエタノール溶液を調製した。本実験では上記のプロセスで作製した多孔質膜を100℃のオーブンで1時間乾燥した後に増感色素の溶液に浸漬し、そのまま室温で50分間放置して酸化チタン表面に色素を吸着させた。色素吸着後の試料はエタノールで洗浄し、風乾した。
色素吸着後の多孔質膜が形成された導電性基板を光電極とし、これと白金微粒子をスパッタリングにより修飾したITO/PETフィルム又はFTO/ガラス対極を対向させて、光電気化学電池を試作した。上記光電極の実効面積は約0.2cm2とした。電解質溶液には0.5MのLiI,0.05MのI2,0.5Mのt−ブチルピリジンを含む3−メトキシプロピオニトリルを用い、毛管現象によって両電極間のギャップに導入した。
これに対して、比較色素を用いた場合には、変換効率が低いことがわかった。
溶媒がアセトニトリルでヨウ化リチウム0.1mol/L、ヨウ素0.05mol/L、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム0.62mol/Lを溶解した電解質溶液を調製した。ここに下記に示すNo.1〜No.8のベンズイミダゾール系化合物のいずれか1種をそれぞれ濃度0.5mol/Lになるように別々に添加し、溶解して8種類の溶液を得た。
得られた光電変換素子に、Xeランプを光源として強度100mW/cm2の光を照射した。表8に得られた開放電圧と光電変換効率を示した。開放電圧は、0.75V以上のものを◎、0.70V以上0.75V未満のものを○、0.65V以上0.70V未満のものを△、0.65V未満のものを×として表示した。変換効率が7.5%以上のものを◎、7.0%以上7.5%未満のものを○、6.5%以上7.0%未満のものを△、6.5%未満のものを×として評価した。開放電圧が0.70V以上、変換効率が7.0%以上のものを合格とした。
なお、表8には、ベンズイミダゾール系化合物を加えていない電解液を用いた光電変換素子の結果も示した。
これに対して、比較色素を用いた場合には、開放電圧と変換効率が低いことがわかった。
色素増感太陽電池1〜4を以下の方法で作製した。これらの色素増感太陽電池において、表9に示す金属錯体色素を吸着させて、試料番号9−1〜9−44を得た。
(色素増感太陽電池1)
以下に示す手順により、特開2004−152613号公報の図1に示した光電極10と同様の構成を有する光電極(ただし、半導体電極2を2層構造とした。)を作製し、更に、この光電極を用いた以外は特開2004−152613号公報の図1に示した色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する色素増感太陽電池(半導体電極2の受光面F2の面積:1cm2)を作製した。なお、当該2層構造を有する半導体電極2の各層について、透明電極1に近い側に配置される層を「第1の層」、対極CEに近い側に配置される層を「第2の層」という。
次に、P200を使用せず、P25のみを使用したこと以外は、前述のスラリー1と同様の調製手順により第1の層形成用のスラリー(P1の含有量;15質量%、以下、「スラリー2」とする)を調製した。
次に、液状電解質を対極の孔から筐体内に注入した後、孔をスペーサと同素材の部材で塞ぎ、更に対極の孔にこの部材を熱溶着させて孔を封止し、色素増感太陽電池1を完成させた。
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の濃度を50mmol/Lとしたこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順及び条件で色素増感太陽電池2を作製した。
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の代わりにヨウ化リチウムを添加し、液状電解質におけるヨウ化リチウムの濃度を20mmol/Lとしたこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順及び条件で色素増感太陽電池3を作製した。
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の代わりにヨウ化リチウムを添加し、液状電解質におけるヨウ化リチウムの濃度を100mmol/Lとしたこと以外は、色素増感太陽電池1と同様の手順及び条件で色素増感太陽電池4を作製した。
以下の手順により電池特性評価試験を行ない、表9記載の試料番号9−1〜9−44の色素増感太陽電池の光電変換効率(η(%))を測定した。
1.二酸化チタン分散液の調製
内側をフッ素樹脂コーティングした内容積200mlのステンレス製容器に二酸化チタン微粒子(日本アエロジル(株)製,Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triron X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmで2時間分散処理した。得られた分散液からジルコニアビーズを濾別した。得られた分散液中の二酸化チタン微粒子の平均粒径は2.5μmであった。なお粒径はMALVERN社製のマスターサイザー(商品名)により測定した。
フッ素をドープした酸化スズを被覆した20mm×20mmの導電性ガラス板(旭ガラス(株)製、TCOガラス−U、表面抵抗:約30Ω/m2)を準備し、その導電層側の両端(端から3mmの幅の部分)にスペーサー用粘着テープを張った後で、導電層上にガラス棒を用いて上記分散液を塗布した。分散液の塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次にこの半導体塗布ガラス板を電気炉(ヤマト科学(株)製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃で30分間焼成した。半導体塗布ガラス板を取り出し冷却した後、表10に示す色素のエタノール溶液(濃度:3×10−4mol/L)に3時間浸漬した。色素が吸着した半導体塗布ガラス板を4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し、自然乾燥させて、色素を吸着した酸化チタン微粒子層(電極A)を得た。電極Aの色素増感酸化チタン微粒子層の厚さは10μmであり、酸化チタン微粒子の塗布量は20g/m2であった。また色素の吸着量は、その種類に応じて0.1〜10mmol/m2の範囲内であった。
色素増感太陽電池a〜cの3タイプの色素増感太陽電池を以下の方法で作製した。これらの色素増感太陽電池において、表10に示す金属錯体色素、窒素含有高分子及び求電子剤を用いて、試料番号10−1〜10−15を得た。
(a)色素増感太陽電池aの作製
溶媒としては、アセトニトリルと3−メチル−2−オキサゾリジノンとの体積比90/10の混合物を用いた。この溶媒に、ヨウ素と電解質塩として、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩を加えて、0.5mol/Lの電解質塩および0.05mol/Lのヨウ素を含んだ溶液を調製した。この溶液に、(溶媒+窒素含有高分子化合物+ヨウ素+ヨウ素塩)100質量部に対し、窒素含有高分子化合物(α)を10質量部加えた。さらに窒素含有高分子化合物の反応性窒素原子1モルに対して求電子剤(β)を0.1モル混合し、均一な反応溶液とした。
次いで80℃で30分間加熱して、架橋反応を行った。このようにして、特開2000−323190号公報の図2に示す通り、導電性ガラス板10の導電層12上に、色素増感酸化チタン微粒子層20、電解質層30、および白金薄膜42およびガラス板41からなる対極40が順に積層された本発明の色素増感太陽電池a−1(試料番号10−1)を得た。
また色素を表10に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、色素増感太陽電池a−2〜a−5を得た。
前述のようにして本発明の色素により色素増感された酸化チタン微粒子層からなる電極A(20mm×20mm)を同じ大きさの白金蒸着ガラス板にスペーサーを介して重ねあわせた。次に両ガラス板の隙間に毛細管現象を利用して電解液(アセトニトリルと3−メチル−2−オキサゾリジノンとの体積比90/10の混合物を溶媒としたヨウ素0.05mol/L、ヨウ化リチウム0.5mol/Lの溶液)を浸透させて、色素増感太陽電池b−1(試料番号10−2)を作製した。また色素を表10に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、色素増感太陽電池b−2〜b−5を得た。
前述のようにして本発明の色素により色素増感された酸化チタン微粒子層からなる電極A(20mm×20mm)上に、電解液を塗布し、含浸させた。なお電解液は、ヘキサエチレングリコールメタクリル酸エステル(日本油脂化学(株)製,ブレンマーPE−350)1gと、エチレングリコール1gと、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(日本チバガイギー(株)製,ダロキュア1173)20mgを含有した混合液に、ヨウ化リチウム500mgを溶解し10分間真空脱気することにより得た。次に前記混合溶液を含浸させた多孔性酸化チタン層を減圧下に置くことにより、多孔性酸化チタン層中の気泡を除き、モノマーの浸透を促した後、紫外光照射により重合して高分子化合物の均一なゲルを多孔性酸化チタン層の微細空孔内に充填した。このようにして得られたものをヨウ素雰囲気に30分間曝して、高分子化合物中にヨウ素を拡散させた後、白金蒸着ガラス板を重ね合わせ、色素増感太陽電池c−1(試料番号10−3)を得た。また色素を表10に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、光電気化学電池c−2〜c−5を得た。
500Wのキセノンランプ(ウシオ電機(株)製)の光をAM1.5フィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(Kenko L−42)を通すことにより、紫外線を含まない模擬太陽光とした。光強度は89mW/cm2とした。
1.二酸化チタン分散液の調製
内側をフッ素樹脂コーティングした内容積200mlのステンレス製容器に二酸化チタン微粒子(日本アエロジル(株)製,Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triron X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmで2時間分散処理した。得られた分散液からジルコニアビーズを濾別した。得られた分散液中の二酸化チタン微粒子の平均粒径は2.5μmであった。なお粒径はMALVERN社製のマスターサイザー(商品名)により測定した。
フッ素をドープした酸化スズを被覆した20mm×20mmの導電性ガラス板(旭ガラス(株)製、TCOガラス−U、表面抵抗:約30Ω/m2)を準備し、その導電層側の両端(端から3mmの幅の部分)にスペーサー用粘着テープを張った後で、導電層上にガラス棒を用いて上記分散液を塗布した。分散液の塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次にこの半導体塗布ガラス板を電気炉(ヤマト科学(株)製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃で30分間焼成した。半導体塗布ガラス板を取り出し冷却した後、表11に示す色素のエタノール溶液(濃度:3×10−4mol/L)に3時間浸漬した。色素が吸着した半導体塗布ガラス板を4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し、自然乾燥させて、色素を吸着した酸化チタン微粒子層(電極A)を得た。電極Aの色素増感酸化チタン微粒子層の厚さは10μmであり、酸化チタン微粒子の塗布量は20g/m2であった。また色素の吸着量は、その種類に応じて0.1〜10mmol/m2の範囲内であった。
上述のように作製した色素増感電極A(20mm×20mm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせた。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電解質組成物を染み込ませ、電解質を酸化チタン電極中に導入した。これにより、図1に示すように、導電性ガラスからなる導電性支持体1(ガラスの透明基板上に導電層が設層されたもの)、感光体層2、電荷移動体層3、白金からなる対極4及びガラスの透明基板(図示せず)を順に積層しエポキシ系封止剤で封止した色素増感太陽電池を作製した。ただし、電解質組成物の粘度が高く毛細管現象を利用して電解質組成物を染み込ませることが困難な場合は、電解質組成物を50℃に加温し、これを酸化チタン電極に塗布した後、この電極を減圧下に置き電解質組成物が十分浸透し電極中の空気が抜けた後、白金蒸着ガラス(対極)を重ね合わせて同様に色素増感太陽電池を作製した。
500Wのキセノンランプ(ウシオ電機(株)製)の光をAM1.5フィルター(Oriel社製)及びシャープカットフィルター(Kenko L−37)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は70mW/cm2であった。この模擬太陽光を、50℃で色素増感太陽電池に照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)で測定した。また、85℃で1000時間暗所保存後の変換効率の低下率及び500時間連続光照射後の変換効率の低下率も測定した。これらの結果を表11に示す。
下記の方法に従って、色素増感太陽電池を作製し、評価した。その結果を表12に示す。
(1)透明導電性支持体の作製
感光性電極用支持体として、表面がフッ素コートされた厚さ0.4mmのシートの片面に、導電性の酸化スズの薄膜を厚さ200nmで均一にコーティングして可撓性のある透明導電性支持体を作製した。
厚さ0.4mmのポリイミド製カプトン(登録商標)フィルムの片面を、真空スパッタリング法によって厚さ300nmの白金膜で均一に被覆した。面抵抗は5Ω/cm2であった。
C.J.BarbeらのJ.Am.Ceramic Soc.80巻、p.3157の論文に記載の製造方法に従い、チタン原料にチタニウムテトライソプロポキシドを用い、オートクレーブ中での重合反応の温度を230℃に設定して、二酸化チタン濃度11質量%のアナターゼ型二酸化チタンの分散液を合成した。得られた二酸化チタン粒子の一次粒子のサイズは10〜30nmであった。得られた分散液を、超遠心分離機にかけて、粒子を分離し、凝集物を乾燥した後、メノウ乳鉢上で粉砕して白色粉末の半導体微粒子aを得た。水とアセトニトリルの容量比4:1からなる混合溶媒100mlに、半導体微粒子aを溶媒100mlあたり32gの濃度で添加し、自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使って均一に分散、混合した。この結果、得られた白色の半導体微粒子分散液は、50〜150N・s/m2の高粘度のペースト状となり、このまま塗布に用いるのに適した液物性をもっていることがわかった。試料番号12−6では、平均分子量が50万のポリエチレングリコール(PEG)の粉末を、溶媒100ml当たり7.7g配合した。その他の半導体微粒子分散液には、半導体微粒子以外の固形分は加えなかった。
厚さ1.9mmの無アルカリガラスの基板に分散液をアプリケーターで塗布し、40〜70μmの厚さで塗布し、室温で1時間乾燥させた。その後、空気中、350℃で0.5時間加熱し、加熱前後の質量変化を測定したところ、前記試料番号12−6の半導体微粒子以外の固形分含量は1%であった。それ以外試料の半導体微粒子以外の固形分含量は、0.3%であった。
(1)で用意した透明導電性支持体に、(3)で調製した分散液をアプリケータで塗布し、室温下で1時間乾燥させることにより、40〜70μmの均一な厚さの塗布層を形成した。さらに、この塗布層を表12記載の条件で処理して、色素増感のための多孔質半導体微粒子層を作製した。多孔質半導体微粒子層の最終的な平均膜厚は、いずれも6〜7μmであった。
表12に示した色素を乾燥したアセトニトリル:t−ブタノール:エタノールを体積比で2:1:1の混合溶媒に、色素濃度が3×10−4モル/リットルとなるように溶解した。この色素溶液に添加剤として、p−C9H19−C6H4−O−(CH2CH2−O)3−(CH2)4−SO3Naの構造の有機スルホン酸誘導体を0.025モル/リットルの濃度となるように溶解して、色素吸着用溶液を調製した。
上記の多孔質半導体微粒子層を塗設した基板を、上記の吸着用色素溶液に浸漬して、攪拌下40℃で3時間放置した。
このようにして半導体微粒子層に色素を吸着させ、感光層に用いる色素増感電極(感光性電極)を作製した。
色素吸着した多孔質半導体微粒子層をかき落として、受光面積1.0cm2(直径約1.1cm)の円型の感光性電極を形成した。この電極に対して、対極の白金蒸着ガラス基板を、熱圧着性のポリエチレンフイルム製のフレーム型スペーサー(厚さ20μm)を挿入して重ね合わせ、スペーサー部分を120℃に加熱し両基板を圧着した。さらにセルのエッジ部をエポキシ樹脂接着剤でシールした。対極の基板のコーナー部にあらかじめ設けた電解液注液用の小孔を通して、電解液として、後述するいずれかのイミダゾリウムイオンE1〜E4/ヨウ素=50:1(質量比)の組成から成る室温溶融塩を基板の小孔から毛細管現象を利用して電極間の空間にしみこませた。
E1:1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド
E2:1−ブチルー3−メチルイミダゾリウムヨージド
E3:1−メチルー3−プロピルイミダゾリウムヨージド
E4:1,3−ジ(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)イミダゾリウムヨージド
以上のセル組立工程と、電解液注入の工程をすべて上記の露点−60℃の乾燥空気中で実施した。溶融塩の注入後、真空下でセルを数時間吸引し感光性電極および溶融塩を含めたセル内部の脱気を行い、最終的に小孔を低融点ガラスで封じた。これにより、導電性支持体、色素が吸着された多孔質半導体微粒子電極(感光性電極)、電解液、対極および支持体が順に積層された色素増感太陽電池を作製した。
500Wのキセノンランプ(ウシオ電機社製)に太陽光シミュレーション用補正フィルター(Oriel社製AM1.5direct(商品名))を装着し、上記色素増感太陽電池に対し、入射光強度が100mW/cm2の模擬太陽光を、多孔質半導体微粒子電極(感光性電極)の側から照射した。素子は恒温装置のステージ上に密着して固定し、照射中の素子の温度を50℃に制御した。電流電圧測定装置(ケースレー社製ソースメジャーユニット238型(商品名))を用いて、素子に印加するDC電圧を10mV/秒の定速でスキャンし、素子の出力する光電流を計測することにより、光電流−電圧特性を測定した。これにより求められた上記の各種素子のエネルギー変換効率(η)を、セルの構成要素(半導体微粒子、増感色素)の内容とともに表12に記載した。24時間連続光照射後の変換効率の低下率も測定した。これらの結果を表12に示す。
また、固形分の含量が1.0質量%の分散液を導電性高分子製の支持体に塗布し加熱することにより多孔質半導体微粒子層を作製し、本発明の色素を吸着させた場合は、比較色素を吸着させた場合と比較して、高い変換効率の色素増感太陽電池が得られることがわかった(試料番号12−6と試料番号12−16〜12−24との比較)。さらに比較色素を用いた色素増感太陽電池の場合は、連続光照射後の変換効率の低下率が37%以上と高くなったのに対し、本発明の色素を用いた色素増感太陽電池の場合は、連続光照射後の変換効率の低下率が8%以下で、耐久性に優れることがわかった。
<実験11>のエポキシ系封止剤として、エピコート828((商品名)、ジャパンエポキシレジン社製)、硬化剤及びプラスチックペーストからなる樹脂組成物中に直径25μmのガラス球体がほぼ均一に分散された封止剤ペーストを用いたこと以外は同様にして、色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率の測定を行った。
これにより求めた各色素増感太陽学電池の変換効率(η)、85℃で1000時間暗所保存後の変換効率の低下率、及び500時間連続光照射後の変換効率の低下率を表13に示す。
ゾル−ゲル法によって調製したTiO2懸濁液を用いてスクリーン印刷によりTiO2の多孔質層をFTOガラス上に塗布し450℃で焼成した。このTiO2多孔質層付FTOガラス基板を、本発明の金属錯体色素、又は比較用増感色素の10−4mol/Lエタノール溶液中に浸漬することで、TiO2多孔質層に色素を吸着させた。
別に、100mgの2,2′,7,7′ーテトラキス(ジフェニルアミノ)−9,9′ースピロビフルオレンを5mlのクロロホルムに溶解した。得られた溶液を前記TiO2多孔質層付FTOガラス基板の表面に軽く塗ることによって、この溶液を層の細孔内にしみこませた。次に溶液の一滴を直接前記TiO2多孔質層付FTOガラス基板の表面に置いて室温で乾燥した。ついで前記TiO2多孔質層付FTOガラス基板を蒸着装置に装着して約10−5ミリバールの真空下の熱蒸着によってさらに厚さ100nmの2,2′,7,7′ーテトラキス(ジフェニルアミノ)−9,9′ースピロビフルオレンの層を設けた。さらに蒸着装置内でこの前記TiO2多孔質層付FTOガラス基板(被覆支持体)に対極として厚さ200nmの金の層を被覆した。
このように調製した試料を高圧ランプ、光学フィルター、レンズおよびマウンティングを含む光学装置に取り付けた。フィルターの使用およびレンズの移動によって強度を変えることができた。金の層とSnO2層とに接点を付け、試料を照射している間電流測定装置に取り付けた。測定のために、適当な光学フィルターを用い波長が430nm未満の光を遮断した。さらに放射線の強度を約1000W/m2にほぼ一致するように装置を調整した。
金の層およびSnO2層に接点を付け、また試料を照射している間は両接点をポテンシオスタットに接続した。外部電圧をかけずに比較用増感色素を用いた試料(比較例)では約90nAの電流を生じたが、本発明の金属錯体色素を用いた試料(実施例)では約190nAの電流を生じた。どちらの試料の場合も照射しないと電流は消失した。
特開2000−90989の実施例1と同様に作成したタンデムセルにおいても、比較用色素に比べて、本発明の金属錯体色素では変換効率が高いことが確認できた。
以下に示す手順により、特開2003−217688号公報の図1に示した色素増感型太陽電池を作製した。
まず、チタンイソプロポキシド125mlを0.1M−硝酸水溶液(キシダ化学株式会社製)750mlに滴下し、80℃で8時間加熱して、加水分解反応をさせることにより、ゾル液を調製した。得られたゾル液をチタン製オートクレーブにて250℃で15時間保持し、粒子成長させ、その後、超音波分散を30分間行うことにより、平均一次粒径20nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を得た。
市販の酸化チタン粒子(テイカ株式会社製、平均粒径20nm)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル20mlとを、硬質ガラスビーズを使用してペイントシェイカーにより6時間分散させてからビーズを除いて酸化チタン懸濁液を作成した。次いで、この酸化チタン懸濁液を、ドクターブレードを用いて、予め酸化スズ導電層を付着させたガラス板(電極層)に塗布し、100℃で30分予備乾燥した後、電気炉で500℃で40分間焼成し、ガラス板上に酸化チタン膜(半導体材料)を形成した。これとは別に、本発明の増感色素又は比較色素をエタノールに溶解して光増感色素溶液を得た。
(1)第1光電変換層の形成
市販の酸化チタン粒子(テイカ株式会社製、平均粒径30nm)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル20mlを硬質ガラスビーズを使用しペイントシェイカーにより6時間分散させてからビーズを除いて酸化チタン懸濁液を作成した。次いで、この酸化チタン懸濁液をドクターブレードを用いて、予め酸化スズ導電層が付着されたガラス板に塗布し、100℃で30分予備乾燥した後、電気炉で500℃で40分間焼成し、酸化チタン膜付ガラス板を得た。
市販の酸化ニッケル粒子(キシダ化学、平均粒径100nm)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル20mlをガラスビーズを使用しペイントシェイカーで8時間分散させてからビーズを除いて酸化ニッケル懸濁液とした。次いで、この酸化ニッケル懸濁液をドクターブレードを用いて、酸化スズ導電層が付着されたガラス板に塗布し、100℃で30分予備乾燥した後、300℃で30分間焼成し、酸化ニッケル膜付ガラス板を得た。
特開2001−210390に記載の高分子電解質を用いた色素増感型太陽電池を作製した例について説明する。
次に、高分子化合物が一般式(105)で表されるメタクリレート系モノマー単位のうち、Rをメチル基、Aを8個のポリエチレンオキサイド基と2個のポリプロピレンオキサイド基と中心核としてブタンテトライル基により構成されるモノマー単位を使用した。
このモノマー単位をプロピレンカーボネート(以下、PCと記載する)に20質量%の濃度で溶解させ、また、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)をモノマー単位に対して1質量%の濃度で溶解させモノマー溶液を作製する。このモノマー溶液を上述の酸化チタン膜に含浸させる手順について以下に示す。
真空容器内にビーカー等の容器を設置し、その中に前記の透明導電膜を具備して色素を吸着させた透明基板上の酸化チタン膜Aを入れ、ロータリーポンプで約10分間真空引きする。真空容器内を真空状態に保ちながらモノマー溶液をビーカー内に注入し、約15分間含浸させ酸化チタン中にモノマー溶液を十分に染み込ます。ポリエチレン製セパレーター、PETフィルムと押さえ板を設置し冶具にて固定する。その後、約85℃で30分間加熱することにより、熱重合させ高分子化合物を作製する。
次に、高分子化合物に含浸させる酸化還元性電解液を作製する。酸化還元性電解液は、ポリカーボネート(PC)を溶媒として濃度0.5モル/リットルのヨウ化リチウムと濃度0.05モル/リットルのヨウ素を溶解させて作製した。この溶液中に上述の酸化チタン膜Aに作製した高分子化合物を約2時間浸すことにより、高分子化合物中に酸化還元性電解液を染み込ませて高分子電解質を作製した。
また、酸化チタン膜Aを色素吸着後、前述のモノマー含浸処理を行わずに、PCを溶媒として濃度0.5モル/リットルのヨウ化リチウムと濃度0.05モル/リットルのヨウ素を溶解させて作製した酸化還元電解液をそのまま対極との間に注入して封止して素子Bを作成した。素子A、Bを用いて、ソーラーシミュレーターで1000W/m2の強度の光を照射した。結果を表17に示した。変換効率は、3.5%以上のものを◎、2.5%以上3.5%未満のものを○、2.0%以上2.5%未満のものを△、2.0%未満のものを×として表示した。
(光電変換素子の作製)
図1に示す光電変換素子を以下のようにして作製した。
ガラス基板上に、透明導電膜としてフッ素をドープした酸化スズをスパッタリングにより形成し、これをレーザーでスクライブして、透明導電膜を2つの部分に分割した。
次に、水とアセトニトリルの容量比4:1からなる混合溶媒100mlにアナターゼ型酸化チタン(日本アエロジル社製のP−25(商品名))を32g配合し、自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使用して均一に分散、混合し、半導体微粒子分散液を得た。この分散液を透明導電膜に塗布し、500℃で加熱して受光電極を作製した。
その後、同様にシリカ粒子とルチル型酸化チタンとを40:60(質量比)で含有する分散液を作製し、この分散液を前記の受光電極に塗布し、500℃で加熱して絶縁性多孔体を形成した。次いで対極として炭素電極を形成した。
次に、下記表18に記載された増感色素(複数混合または単独)のエタノール溶液に、上記の絶縁性多孔体が形成されたガラス基板を5時間浸漬した。増感色素の染着したガラスを4−tert−ブチルピリジンの10%エタノール溶液に30分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光層の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/m2であった。電解液は、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム(0.5モル/L)、ヨウ素(0.1モル/L)のメトキシプロピオニトリル溶液を用いた。
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5Gフィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−42、商品名)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は89mW/cm2であった。作製した光電変換素子にこの光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレー238型、商品名)にて測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率を測定した結果を下記表18に示した。結果は、変換効率が7.5%以上のものを◎、7.3%以上7.5%未満のものを○、7.1%以上7.3%未満のものを△、7.1%未満のものを×として評価した。
2 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3 電荷移動体層
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子
100 光電気化学電池
Claims (12)
- 下記一般式(XXI)で表される金属錯体色素。
M(LL 1 ) r (LL 2 ) s (Z) t ・CI 一般式(XXI)
[一般式(XXI)中、MはRu金属原子を表す。
LL 1 は下記一般式(I)で表される配位子LL 1 を表す。
LL 2 は下記一般式(XXII)で表される2座の配位子を表す。
Zは1座または2座の配位子を表す。
rは1〜3の整数を表す。
sは1〜2の整数を表す。
tは0〜4の整数を表す。
CIは一般式(XXI)中の電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
L1及びL2は独立に単結合を表すか、又はエテニレン基、エチニレン基及びアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1つからなる共役鎖を表す。
R3及びR4は独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、ヘテロ環基、又はハロゲン原子を表す。
R’とR’’は独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。
A1とA2は独立にカルボン酸基を表す。
n1及びn2は独立に0〜3の整数を表す。
n3及びn4は0を表す。
ここで、
n1が1以上のときR’はL1と連結して環を形成しても良く、n1が2以上のときR’同士は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成しても良い。
n2が1以上のときR’’はL2と連結して環を形成しても良く、n2が2以上のときR’’同士は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成しても良い。
n1及びn2が共に1以上のときR’とR’’が連結して環を形成しても良い。]
R5〜R17及びR19〜R57は独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、ヘテロ環基、又はハロゲン原子を表す。
ただしR6とR31、R10とR33、R15とR34、R19とR37、R39とR40、R42とR43、R23とR43、R47とR48、R50とR51、R27とR51、R54とR55、R55とR56、R56とR57は環を形成しても良い。
m1〜m19は独立に1〜5の整数を表す。
前記一般式(II)〜(XX)中で左側の結合手が、前記一般式(I)中のL1又はL2側に位置して、直接又はL1もしくはL2を介して該ピリジン環と結合する。]
R 33 〜R 35 は独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。
n5〜n7は独立に0〜3の整数を表す。
n8〜n10は独立に0〜3の整数を表す。ただし、n8とn9の内で少なくとも一つは1以上の整数である。
pは0を表す。
ここで、
n5が2以上のときR 33 同士は同一でも異なっていてもよく環を形成しても良い。
n6が2以上のときR 34 同士は同一でも異なっていてもよく環を形成しても良い。
n7が2以上のときR 35 同士は同一でも異なっていてもよく環を形成しても良い。
n5及びn6が共に1以上のときR 33 とR 34 が連結して環を形成しても良い。
n6及びn7が共に1以上のときR 34 とR 35 が連結して環を形成しても良い。
n5及びn8が共に1以上のときR 33 とV 1 のL 3 が連結して環を形成しても良い。
n6及びn9が共に1以上のときR 34 とV 2 のL 3 が連結して環を形成しても良い。
n7及びn10が共に1以上のときR 35 とV 3 のL 3 が連結して環を形成しても良い。]
A 3 はカルボン酸基または−CH=C(CN)(COOH)を表す。] - 前記rが1であり、sが1である請求項1に記載の金属錯体色素。
- 前記L1及びL2が共に単結合である請求項1または2に記載の金属錯体色素。
- 前記Zがイソチオシアネート、イソシアネートまたはイソセレノシアネートである請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
- 前記R1及びR2がそれぞれ独立に一般式(II)、(V)、(VIII)、(XI)、(XIV)、(XVII)又は(XX)で表される基である請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
- n3、n4がともに0である請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属錯体色素からなる光電変換素子用色素。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属錯体色素により増感された半導体微粒子を含有する光電変換素子。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属錯体色素を少なくとも1つと、下記一般式(2)で表される金属錯体色素を少なくとも1つとを含有する光電変換素子。
一般式(2)
M101(LL101)m101(LL102)m102(X)m103・CI101
[一般式(2)中、M101はRu金属原子を表し、
LL101は下記一般式(3)により表される2座または3座の配位子であり、
LL102は下記一般式(4)により表される2座の配位子であり、
Xは一般式(XXI)のZと同義であり、
m101は0〜3の整数を表し、m101が2以上のときLL101は同じでも異なっていてもよく、
m102は0〜2の整数を表し、m102が2のときLL102は同じでも異なっていてもよく、
ただし、m101とm102のうち少なくとも一方は1以上の整数であり、
m103は0〜3の整数を表し、m103が2以上のときXは同じでも異なっていてもよく、またX同士が連結していてもよく、
CI101は一般式(2)中の電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
R103およびR104はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、
R105およびR106はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、
L101およびL102はそれぞれ独立にエテニレン基、エチニレン基及び2価のヘテロ環基からなる群から選ばれる少なくとも1つからなる共役鎖を表し、
a1およびa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、a1が2以上のときR101は同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR102は同じでも異なっていてもよく、
b1およびb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、b1が2以上のときR103は同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成してもよく、b2が2以上のときR104は同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成してもよく、b1およびb2が共に1以上のときR103とR104が連結して環を形成してもよく、
d1およびd2はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、
d3は0または1を表す。]
cは0を表す。] - 請求項10または11に記載の光電変換素子を用いる光電気化学電池。
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