JP2015220262A - 光電変換素子及び色素増感太陽電池 - Google Patents

光電変換素子及び色素増感太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換効率が優れた光電変換素子及び色素増感太陽電池を提供する。【解決手段】導電性支持体上に、色素が担持された半導体微粒子を有する感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有する光電変換素子であって、導電性支持体及び対極の間に式(1)で表される化合物を含み、色素が下記式(2)で表される化合物である光電変換素子。(XはO、S又はSe;R1A及びR1Bは各々独立にH、脂肪族炭化水素基等;YはH、脂肪族炭化水素基等;R1C及びR1Mは各々独立にH又は脂肪族炭化水素基;式(1)で表される化合物は窒素原子に結合する水素原子を少なくとも1つ有する)式(2)M(LA)(LD)(LX)mX・(CI)mY(Mは金属イオン;LAは特定の3座配位子;LDは2座配位子又は前記LAとは異なる3座配位子)【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換素子及び色素増感太陽電池に関する。
光電変換素子は各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。この光電変換素子には金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたもの、あるいはこれらを組み合わせたものなどの様々な方式が実用化されている。特に、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、燃料が不要であり、無尽蔵のクリーンエネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。その中でも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められ、各国の政策的な配慮もあって普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループット及びコスト等の改良には自ずと限界がある。
そこで色素増感太陽電池の研究が精力的に行われている。特にその契機となったのは、スイス ローザンヌ工科大学のGraetzel等の研究成果である。彼らは、ポーラス酸化チタン薄膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した構造を採用し、アモルファスシリコン並の変換効率を実現した。これにより、高価な真空装置を使用しなくても製造できる色素増感太陽電池が一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
現在までに、色素増感太陽電池に使用される金属錯体色素として、一般的に、N3、N719、Z907、J2と呼ばれる色素等が開発され、これらの色素以外にも研究が進められている。例えば、ルテニウム錯体色素が特許文献1にも記載されている。
一方、色素増感太陽電池において、光電変換性能を向上させるためにt−ブチルピリジン(TBP)等の化合物が一般的に用いられている。このような化合物に関する報告例は色素に比べると多くないが、例えば、特定の一般式で表される化合物を含有する電荷輸送材料が報告されている(特許文献1)。
特開2002−241733号公報
しかし、N3等の従来の色素は、光電変換効率の点で十分ではなく、TBP又は特許文献1に記載の電荷輸送材料を従来の色素と併用してみても、光電変換性能の向上に対しては必ずしも満足できるものではなかった。しかも、年々、色素増感太陽電池に求められる光電変換性能が高くなっており、光電変換効率のさらなる改善、向上が望まれている。
本発明は、光電変換効率が優れた光電変換素子及び色素増感太陽電池を提供することを課題とする。
本発明者らは、まず、従来の色素は、必ずしも長波長領域での分光感度特性が十分でないことから、長波長領域での分光感度特性、すなわち量子収率(IPCE)の向上を種々検討した。これまで、ピリジン環のような含窒素ヘテロ芳香族環、例えばビピリジン等の配位子が配位した金属錯体色素では、長波長領域での分光感度特性を高めるのに、半導体微粒子表面に吸着する機能を有しない配位子を変更することが試みられてきた。しかし、光電変換効率の向上効果は未だ十分ではなかった。このため、従来の試みとは逆に、半導体微粒子表面に吸着する機能を有する配位子の化学構造を変更することで、長波長領域での分光感度特性を高めることを検討し、さらに、半導体微粒子表面に吸着する機能を有しない配位子についても種々検討を行い、更なる長波長化を志向した。この結果、配位子の共役系の拡大による長波長化による光電変換性能の観点から、半導体微粒子表面に吸着する機能を有する配位子において、各種の吸着基付近の構造と、含窒素ヘテロ芳香族環への吸着基の連結又は置換方法が重要であること、及び、半導体微粒子表面に吸着する機能を有しない配位子としての特定の2座配位子又は3座配位子との組み合わせが重要であることを見出した。このような知見に基づいて改良した色素を用いると、色素増感太陽電池の光電変換効率が向上することが確認されたが、光電変換効率のさらなる向上を達成するため、引き続き検討を進めた。その結果、上記のように改良した色素を用いた色素増感太陽電池において、特定の化合物を併用すると、改良した色素の光電変換効率の向上効果を十分に発揮し、光電変換効率のさらなる向上が可能となることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>導電性支持体上に、色素が担持された半導体微粒子を有する感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とをこの順で有する光電変換素子であって、導電性支持体及び対極の間に下記式(1)で表される化合物を含み、色素が下記式(2)で表される光電変換素子。
Figure 2015220262
式(1)中、Xは酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
1A及びR1Bは各々独立に水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、−OR1C、−N(R1D)(R1E)、−C(=O)R1F、−C(=S)R1G又はSO1Hを表す。
Yは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、−OR1C、−N(R1K)(R1L)又は−SR1Mを表す。
1C及びR1Mは各々独立に水素原子又は脂肪族炭化水素基を表す。R1D、R1E、R1K及びR1Lは各々独立にR1Aと同義であり、R1F、R1G及びR1Hは各々独立にYと同義である。ただし、式(1)で表される化合物は窒素原子に結合する水素原子を少なくとも1つ有する。
式(2) M(LA)(LD)(LX)mX・(CI)mY
式(2)中、Mは金属イオンを表す。LAは下記式(AL)で表される3座の配位子を表す。LDは2座の配位子又は上記LAとは異なる3座の配位子を表す。ここで、2座の配位子又は3座の配位子における金属イオンMと結合する配位原子の少なくとも1つはアニオンである。LXは単座の配位子を表す。mXはLDが2座の配位子のとき1を表し、LDが3座の配位子のとき0を表す。CIは電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表す。mYは0〜3の整数を表す。
Figure 2015220262
式(AL)中、環A、環B及び環Cは各々独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。ここで、ZとN原子の間の結合及びZとN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。Z及びZは各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。
Anc1〜Anc3は各々独立に酸性基を表す。l1及びl3は各々独立に1〜4の整数、l2は1〜5の整数をそれぞれ表す。
及びXは各々独立に単結合又は連結基を表し、Xは少なくとも1つのAnc2が結合するXの原子と環Bの含窒素芳香族ヘテロ環とがπ共役で連結する連結基又は単結合であって、連結基である場合には連結鎖中にエテニレン基、エチニレン基、アリーレン基又はヘテロアリーレン基を含む。Xと環A、Xと環B、Xと環Cは結合して縮環を形成してもよい。m1及びm3は各々独立に0〜4の整数を表し、m2は1〜3の整数を表す。Xが単結合の場合、m1又はm3は1〜4の整数を表し、かつ、X又はXは連結基を表す。
〜Rは各々独立にAnc1〜Anc3を有しない置換基を表す。n1及びn2は各々独立に0〜3の整数を表し、n3は0〜4の整数を表す。R〜Rが各々においてそれぞれ複数存在する場合、これらは互いに結合して環を形成してもよい。
<2>Xが、酸素原子又は硫黄原子である<1>に記載の光電変換素子。
<3>Yが、−N(R1K)(R1L)である<1>又は<2>に記載の光電変換素子。
<4>R1A及びR1Bの一方が水素原子であり、他方が脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、−OR1C、−N(R1D)(R1E)、−C(=O)R1F、−C(=S)R1G又はSO1Hのいずれかである<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<5>R1A及びR1Bがともに水素原子である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<6>R1K及びR1Lのいずれか一方が水素原子であり、他方が脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、−OR1C、−N(R1D)(R1E)、−C(=O)R1F、−C(=S)R1G又はSO1Hのいずれかである<1>〜<5>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<7>Xが、各々独立に、単結合、又は、下記式(X−1)〜(X−6)のいずれかで表される各連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 2015220262
式中、Qは−S−、−O−、−N(RXA)−、−C(RXB)(RXC)−及び−Si(RXB)(RXC)−から選ばれる基を表す。ここで、RXA〜RXCは各々独立に水素原子又は置換基を表す。また、RXBとRXCが互いに結合して環を形成してもよい。RX1〜RX9は各々独立に水素原子又は置換基を表す。ここで、RX1とRX2、RX3とRX4、RX4とRX5、RX5とRXA、RX5とRXB、RX6とRX7、RX8とRX9の各々において互いに結合して環を形成してもよい。RX1〜RX4、RX6〜RX9は環Bと結合して縮環を形成してもよい。*は環Bとの結合位置を表し、**はAnc2との結合位置を表す。
<8>X及びXの少なくとも1つが、各々独立に、下記式(X−1)〜(X−6)のいずれかで表される各連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 2015220262
式中、Qは−S−、−O−、−N(RXA)−、−C(RXB)(RXC)−及び−Si(RXB)(RXC)−から選ばれる基を表す。ここで、RXA〜RXCは各々独立に水素原子又は置換基を表す。また、RXBとRXCが互いに結合して環を形成してもよい。RX1〜RX9は各々独立に水素原子又は置換基を表す。ここで、RX1とRX2、RX3とRX4、RX4とRX5、RX5とRXA、RX5とRXB、RX6とRX7、RX8とRX9の各々において互いに結合して環を形成してもよい。RX1〜RX4、RX6〜RX9は環A又は環Cと結合して縮環を形成してもよい。*は環A又は環Cとの結合位置を表し、**はAnc1又はAnc3との結合位置を表す。
<9>式(2)が、下記式(2−1)又は(2−2)で表される<1>〜<8>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 2015220262
式中、M及びLXは式(2)におけるM及びLXと同義であり、Anc1〜Anc3、X〜X、l1〜l3、m1〜m3、R〜R、n1〜n3は式(AL)におけるAnc1〜Anc3、X〜X、l1〜l3、m1〜m3、R〜R、n1〜n3と同義である。
環D及び環Eは各々独立に5又は6員環の芳香族環を表す。D及びDは各々独立に水素原子が解離してMに結合する炭素原子又は水素原子が解離してMに結合する窒素原子を表す。ここで、環D及び環E中のD及びDと、ピリジン環と結合する炭素原子との間の結合は、単結合でも二重結合でもよい。
a1〜Ra4は各々独立に置換基を表す。ma1、ma2及びma4は各々独立に0〜3の整数を表す。ma3は0〜4の整数を表す。
ma1〜ma4の各々において、2以上の整数のとき、複数のRa1〜複数のRa4は互いに結合して環を形成してもよい。
<10><1>〜<9>のいずれか1つに記載の光電変換素子を具備する色素増感太陽電池。
本明細書において、特に断りがない限り、炭素−炭素二重結合については、分子内にE型及びZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。
本明細書において、化合物(錯体、色素を含む)の表示については、当該化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。さらに、置換・無置換を明記していない化合物については、所望の効果を奏する範囲で、任意の置換基を有していてもよい意味である。このことは置換基についても同様である。
特定の符号で表示された置換基や連結基、配位子等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。また、環、例えば脂環、芳香族環、ヘテロ環はさらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の光電変換素子及び色素増感太陽電池は、式(1)で表される化合物と式(2)で表される色素とを併用することにより、色素の可視吸収スペクトル(以下、吸収スペクトルということがある)の、長波長化による光電変換性能の向上効果を十分に発揮することができる。よって、本発明により、光電変換効率が優れた光電変換素子及び色素増感太陽電池を提供することができる。
図1は、本発明の光電変換素子の一実施態様について、層中の円部分の拡大図も含めて模式的に示した断面図である。 図2は、本発明の光電変換素子の第2の態様の色素増感太陽電池を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−25のDMF溶液での可視吸収スペクトル図である。 図4は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−25を酸化チタンに吸着させた酸化チタン膜の可視吸収スペクトル図である。 図5は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−26の340mmol/Lテトラブチルアンモニウムヒドロキサイドのメタノール溶液での可視吸収スペクトル図である。 図6は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−26を酸化チタンに吸着させた酸化チタン膜の可視吸収スペクトル図である。 図7は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−59の340mmol/Lテトラブチルアンモニウムヒドロキサイドのメタノール溶液での可視吸収スペクトル図である。 図8は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−62のDMF溶液での可視吸収スペクトル図である。 図9は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−62を酸化チタンに吸着させた酸化チタン膜の可視吸収スペクトル図である。 図10は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−136のDMF溶液での可視吸収スペクトル図である。 図11は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−136を酸化チタンに吸着させた酸化チタン膜の可視吸収スペクトル図である。 図12は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−140のDMF溶液での可視吸収スペクトル図である。 図13は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−140を酸化チタンに吸着させた酸化チタン膜の可視吸収スペクトル図である。 図14は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−141のDMF溶液での可視吸収スペクトル図である。 図15は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−141を酸化チタンに吸着させた酸化チタン膜の可視吸収スペクトル図である。 図16は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−77の10%テトラブチルアンモニウムヒドロキサイドのメタノール溶液での可視吸収スペクトルである。 図17は、本発明の実施例で合成した例示金属錯体色素D−77を酸化チタンに吸着させた酸化チタン膜の可視吸収スペクトル図である。 図18は、本発明の実施例で合成した化合物13のH−NMRスペクトル図である。 図19は、本発明の実施例で合成した化合物26のH−NMRスペクトル図である。 図20は、本発明の実施例で合成した化合物27のH−NMRスペクトル図である。 図21は、本発明の実施例で合成した化合物34のH−NMRスペクトル図である。
<<光電変換素子及び色素増感太陽電池>>
本発明の光電変換素子は、導電性支持体上に、色素が担持された半導体微粒子を有する感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極(対向電極)とをこの順で有している。
本発明の光電変換素子は、導電性支持体及び対極の間に、後述する式(1)で表される化合物(KWA)を有している。本発明に用いる化合物(KWA)は、導電性支持体及び対極の間であればいずれに存在してもよく、好ましくは電解質(電荷移動体層)中及び半導体微粒子の表面の少なくとも一方に有している。化合物(KWA)は、一種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、本発明の光電変換素子は、色素が半導体微粒子に担持・吸着されている。色素は一種単独で用いても2種以上を併用してもよいが、そのうちの少なくとも1種は後述する式(2)で表される色素とする。本発明においては、色素とともに共吸着剤が半導体微粒子に担持されていることが好ましい。
本発明の光電変換素子は、上記構成を有していれば、その他の構成は特に限定されず、光電変換素子に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子における各層は単層であっても複層であってもよく、必要により上記各層以外の層を有してもよい。
本発明の色素増感太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いてなる。
本発明の光電変換素子又は色素増感太陽電池は、例えば、図1に示される実施形態とすることができる。図1に示すように、光電変換素子10は、導電性支持体1、色素21により増感された半導体微粒子22を含む感光体層2、正孔輸送層である電荷移動体層3及び対極4からなる。ここで、本実施形態において、化合物(KWA)は、電荷移動体層3中及び半導体微粒子22の表面の少なくとも一方に存在することが好ましい。
感光体層2を設置した導電性支持体1は光電変換素子10において作用電極として機能する。本実施形態においては、この光電変換素子10を外部回路6で動作手段(例えば電動モーター)Mに仕事をさせる電池用途に使用できるようにした色素増感太陽電池を利用したシステム100として示している。動作手段Mは、電動モーターの他に各種(オプト)エレクトロニクス装置が挙げられる。
感光体層2に入射した光は色素(金属錯体色素)21を励起する。励起された色素はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。この電子移動により、色素21は酸化体となっているが、電極上の電子が外部回路6で仕事をしながら、対極4、電荷移動体層3を経由して、色素21の酸化体が存在する感光体層2に戻ることで、システム100が太陽電池として作動する。
本発明において、光電変換素子又は色素増感太陽電池に用いられる材料及び各部材の作製方法については、特に断らない限り、この種のものにおける通常のものを採用すればよく、例えば米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
まず、式(1)で表される化合物、及び、式(2)で表される色素について説明する。
<式(1)で表される化合物(KWA)>
本発明の光電変換素子は、下記式(1)で表される化合物(KWA)を導電性支持体1と対極4との間に有している。
化合物(KWA)は、分子内に有する、窒素原子に結合する水素原子等により半導体微粒子22に吸着等すると、半導体微粒子22を形成する材料の伝導帯のエネルギーレベルをピリジン系化合物(例えばt−ブチルピリジン等)に比べて深くすると考えられる。伝導帯のエネルギーレベルの深化によりこの伝導帯と色素の最低空軌道(LUMO)とのエネルギーギャップが拡大される。これにより、本発明の光電変換素子及び色素増感太陽電池は、改良した色素21の長波長化による特性を十分に発揮しつつも電子移動効率を高めて、光電変換効率のさらなる向上が可能になったものと考えられる。
Figure 2015220262
式(1)において、R1A、R1B及びYは、それぞれ、置換基を有していてもよく、置換基としては、特に限定されないが、後述する置換基T及び下記置換基Tが挙げられ、好ましくは置換基Tである。
置換基Tとしては、−C(=O)OR、−P(=O)(OR、−S(=O)OR、−OR、−B(OR、−Si(RA1)(RA2)(RA3)等が挙げられる。Rは各々独立に水素原子又は脂肪族炭化水素基(例えばメチル、エチル等)を表し、RA1、RA2及びRA3は各々独立にヒドロキシ基、アルキルオキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、i−プロピルオキシ等)、ハロゲン原子(例えば塩素原子等)又は脂肪族炭化水素基(例えばメチル、エチル等)を表し、RA1、RA2及びRA3のうち少なくとも1つはアルキルオキシ基又はハロゲン原子である。また、より好ましい置換基としては、−C(=O)OR、−P(=O)(OR及び−Si(RA1)(RA2)(RA3)が挙げられ、特に好ましくは−Si(RA1)(RA2)(RA3)である。
式(1)において、Xは、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、酸素原子又は硫黄原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。
1A及びR1Bは、各々独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、−OR1C、−N(R1D)(R1E)、−C(=O)R1F、−C(=S)R1G又はSO1Hであり、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基が好ましい。
1AとR1Bとの組み合わせは、特に限定されないが、好ましい組合わせとしては、R1A及びR1Bの両方とも水素原子である組み合わせ、並びに、R1A及びR1Bの一方が水素原子であり、他方が脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、−OR1C、−N(R1D)(R1E)、−C(=O)R1F、−C(=S)R1G又はSO1Hのいずれかである組み合わせが挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、特に限定されないが、アルキル基、環状アルキル基(シクロアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基が挙げられる。なかでも、アルキル基、環状アルキル基、アラルキル基が好ましい。
脂肪族炭化水素基は、炭素数が大きくなると、例えば電解質(酸化還元対)がヨウ素とヨウ化物との組み合わせである場合等、半導体微粒子22への電解質の接近を防止して半導体微粒子から電解質への逆電子移動を防止できる点で、好ましい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基は、直鎖でも分岐でもよい。
アルキル基は、炭素数が1〜30であることが好ましく、3〜30であることがより好ましく、4〜20であることがさらに好ましい。
直鎖又は分岐の無置換アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、1,5−ジメチルヘキシル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル等が挙げられる。
直鎖又は分岐の置換アルキル基としては、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピル基、トリフルオロエチル基、トリ−n−ヘキシルアンモニムプロピル基、ピリジルプロピル基、トリエトキシシリルプロピル基、トリメトキシシリルプロピル基、トリクロロシリルメチル基、カルボキシメチル基、スルホエチル基、スルホメチル基、ホスホプロピル基、ジメトキシホスホプロピル基、n−ブトキシプロピル基、メトキシエトキシエチル基、ポリエトキシエチル基、アセチルオキシエチル基、メチルチオプロピル基、3−(N−エチルウレイド)プロピル基等が挙げられる。
環状アルキル基は、炭素数が3〜18であることが好ましく、6〜15であることがさらに好ましい。置換又は無置換の環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、シクロドデシル等が挙げられる。
アルケニル基は、炭素数が2〜30であることが好ましく、4〜20であることがさらに好ましい。アルケニル基としては、例えば、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。
アルキニル基は、炭素数が2〜30であることが好ましく、4〜20であることがさらに好ましい。アルキニル基としては、例えば、プロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。
アラルキル基は、アリール基が置換したアルキル基であり、炭素数が7〜30であることが好ましく、7〜20であることがさらに好ましい。アラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。置換アラルキル基としては、例えば、オキソ基(=O)を一位に有するフェネチル基が挙げられる。
アリール基は、炭素数が6〜30のであることが好ましく、6〜20であることがさらに好ましく、6〜16であることがさらに好ましい。アリール基としては、置換又は無置換のフェニル基(例えば、フェニル、メチルフェニル、オクチルフェニル、ヒドロキシフェニル、シアノフェニル、エトキシカルボニルフェニル、ジエチルホスホメチルフェニル、スルホフェニル、アミノフェニル、ジメチルアミノフェニル、トリメトキシシリルフェニル、トリフルオロメチルフェニル、カルボキシフェニル、ブトキシフェニル、クロロフェニル等)、置換又は無置換のナフチル基(例えば、ナフチル、4−スルホナフチル等)等が挙げられる。
置換基が置換する位置は、特に限定されず、アリール基の、窒素原子に結合する炭素原子に対していずれの位置でもよい。
ヘテロ環基は、炭素原子とヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子)とを環構成原子とする環からなる基である。ヘテロ環は、脂肪族環基でも芳香族環基でもよく、また、単環でも多環(縮環)でもよい。ヘテロ環の員数は、特に限定されないが、単環である場合、5員環、6員環等が好ましい。
ヘテロ環基となるヘテロ環としては、例えば、置換又は無置換の含窒素ヘテロ5員環(例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、ピラゾール等)、置換又は無置換の含窒素ヘテロ6員環(例えば、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、モルホリン、ピリダジン等)が挙げられる。また、縮環構造のヘテロ環としては、ベンゾイミダゾール、キノリン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール等が挙げられる。さらに、窒素原子以外のヘテロ原子を有する、置換又は無置換のヘテロ環基として、フラン、チオフェン等が挙げられる。
−OR1Cにおいて、R1Cは水素原子又は脂肪族炭化水素基であればよく、脂肪族炭化水素基は上記R1Aの脂肪族炭化水素基と同義である。
−N(R1D)(R1E)において、R1D及びR1Eは、それぞれ、R1Aと同義であり、好ましいものも同じである。
−C(=O)R1F、−C(=S)R1G及びSO1Hにおいて、R1F、R1G及びSO1Hは、それぞれ、後述するYと同義である。
Yは、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、−OR1C、−N(R1K)(R1L)又は−SR1Mであり、−N(R1K)(R1L)が好ましい。
Yで表される、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基及び−OR1Cは、それぞれ、R1Aの脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基及び−OR1Cと同義である。
−SR1Mにおいて、R1Mは水素原子又は脂肪族炭化水素基であればよく、脂肪族炭化水素基は上記R1Aの脂肪族炭化水素基と同義である。
−N(R1K)(R1L)において、R1K及びR1Lは、それぞれ、R1Aと同義であり、好ましいものも同じである。また、R1KとR1Lとの組み合わせは、特に限定されず、R1A及びR1Bとの組み合わせと同じであることが好ましい。
化合物(KWA)において、R1A及びR1Bが互いに連結して環を形成してもよいが、YはR1A又はR1Bと連結して環を形成しないのが好ましい。
化合物(KWA)は、1分子内に窒素原子に結合する水素原子を少なくとも1つ有している。化合物(KWA)は、窒素原子に結合する水素原子を、好ましくは2つ以上有し、より好ましくは2つ又は3つ有する。化合物(KWA)がこのような水素原子を少なくとも1つ有すると、半導体微粒子22への吸着性が向上する。
化合物(KWA)において、窒素原子に結合する水素原子は、特に限定されず、例えば、R1A及びR1Bであってもよく、またR1A、R1B及びYに含まれる水素原子であってもよい。
化合物(KWA)において、−N(R1A)(R1B)とYとしての−N(R1K)(R1L)との組み合わせは、特に限定されないが、R1A及びR1Bの上記好ましい組合わせと、R1K及びR1Lの上記好ましい組合わせとからなる組み合わせであるのが好ましく、下記の組み合わせがより好ましい。
すなわち、より好ましい組合わせは、R1A及びR1Bの両方並びにR1K及びR1Lの一方がいずれも水素原子であり、R1K及びR1Lの他方が脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、−OR1C、−N(R1D)(R1E)、−C(=O)R1F、−C(=S)R1G又はSO1Hのいずれかである組み合わせ、また、R1A及びR1Bの一方並びにR1K及びR1Lの一方が水素原子であり、R1A及びR1Bの他方並びにR1K及びR1Lの他方が脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、−OR1C、−N(R1D)(R1E)、−C(=O)R1F、−C(=S)R1G又はSO1Hのいずれかである組み合わせである。ここで、R1A及びR1Bの他方とR1K及びR1Lの他方とは同じ基であっても異なる基であってもよく、同じ基であるのが好ましい。
化合物(KWA)の好ましい態様は、Xが酸素原子又は硫黄原子であり、R1A及びR1Bが各々独立に水素原子、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数3〜18の環状アルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のフェニル基、含窒素ヘテロ環基、−N(R1D)(R1E)、−C(=O)R1F又はSO1Hであり、Yが水素原子、炭素数4〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のフェニル基、含窒素ヘテロ環基又は−N(R1K)(R1L)である。
ここで、R1D、R1E、R1K及びR1Lは各々独立にこの好ましい態様におけるR1Aと同義であり、R1F及びR1Hは各々独立にこの好ましい態様におけるYと同義である。
化合物(KWA)のより好ましい態様は、Xが酸素原子であり、R1A及びR1Bが各々独立に水素原子、炭素数4〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜15の環状アルキル基であり、Yが−N(R1K)(R1L)である。
ここで、R1K及びR1Lは、各々独立に、このより好ましい態様におけるR1Aと同義である。。
化合物(KWA)の特に好ましい態様は、Xが酸素原子を表し、R1A及びR1Bが各々独立に水素原子、炭素数4〜14の置換もしくは無置換のアルキル基又は炭素数6〜15の環状アルキル基であり、Yが−N(R1K)(R1L)である。
ここで、R1K及びR1Lは、各々独立に、この特に好ましい態様におけるR1Aと同義である。
化合物(KWA)の分子量は、特に限定されないが、好ましくは1000以下であり、より好ましくは500以下であり、特に好ましくは350以下である。
化合物(KWA)が電荷を有する場合には、電荷を中和するための対イオンとしてアニオン又はカチオンを有してもよい。アニオン又はカチオンは、特に制限されず、有機イオンであっても無機イオンであってもよい。代表的なアニオンの例としては、例えば、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン等が挙げられる。代表的なカチオンの例としては、例えば、アルカリ金属イオン(リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン等)、アルカリ土類金属イオン(マグネシウムイオン、カルシウムイオン等)、置換又は無置換のアンモニウムイオン(無置換アンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン等)、置換又は無置換のピリジニウムイオン(無置換ピリジニウムイオン、4−フェニルピリジニウムイオン等)、置換又は無置換のイミダゾリウムイオン(N−メチルイミダゾリウムイオン等)等が挙げられる。
以下に、化合物(KWA)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2015220262
Figure 2015220262
化合物(KWA)は、市販品を用いても、合成してもよい。
<式(2)で表される色素>
本発明に用いる色素は、下記一般式(2)で表される。
本発明に用いる色素は、長波長化により光電変換効率の向上効果を有し、化合物(KWA)と併用された本発明の光電変換素子及び色素増感太陽電池は上記向上効果を十分に発揮する。また、好ましくは、半導体微粒子に対する吸着安定性が優れ、色素増感太陽電池に耐熱性やヒートサイクルに対する高い耐久性を付与できる。
式(2) M(LA)(LD)(LX)mX・(CI)mY
式(2)において、Mは金属イオンを表す。
LAは、下記式(AL)で表される3座の配位子を表す。
LDは、2座の配位子又は上記LAとは異なる3座の配位子を表す。ここで、2座の配位子又は3座の配位子における金属イオンMと結合する配位原子の少なくとも1つはアニオンである。アニオンであるとは、水素原子が解離してMと結合することを表す。
LXは、単座の配位子を表す。mXは、LDが2座の配位子のとき1を表し、LDが3座の配位子のとき0を表す。
CIは電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表す。
mYは0〜3の整数を表す。
Figure 2015220262
式(AL)において、環A、環B及び環Cは各々独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。ここで、ZとN原子の間の結合及びZとN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。Z及びZは各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。
Anc1〜Anc3は各々独立に酸性基を表す。l1及びl3は各々独立に1〜4の整数、l2は1〜5の整数をそれぞれ表す。
及びXは各々独立に単結合又は連結基を表し、Xは少なくとも1つのAnc2が結合するXの原子と環Bの含窒素芳香族ヘテロ環とがπ共役で連結する連結基又は単結合であって、連結基である場合には連結鎖中にエテニレン基、エチニレン基、アリーレン基又はヘテロアリーレン基を含む。Xと環A、Xと環B、Xと環Cは結合して縮環を形成してもよい。m1及びm3は各々独立に0〜4の整数を表し、m2は1〜3の整数を表す。Xが単結合の場合、m1又はm3は1〜4の整数を表し、かつ、X又はXは連結基を表す。
〜Rは各々独立にAnc1〜Anc3を有しない置換基を表す。n1及びn2は各々独立に0〜3の整数を表し、n3は0〜4の整数を表す。R〜Rが各々においてそれぞれ複数存在する場合、これらは互いに結合して環を形成してもよい。環Aと環B、環Bと環Cが連結基を介して結合してもよい。
− 金属イオンM −
Mは金属錯体色素の中心金属であり、長周期律表上6〜12族の元素が挙げられる。
このような元素としては、例えば、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn及びZnが挙げられる。
本発明においては、金属イオンMは、Os2+、Ru2+又はFe2+が好ましく、Os2+又はRu2+がより好ましく、なかでもRu2+が特に好ましい。
なお、光電変換素子中に組み込まれた状態においては、Mの価数は、周囲の材料との酸化還元反応により変化することがある。
− 配位子LA −
配位子LAは、上記式(AL)で表される3座の配位子又は化合物である。
配位子LAは半導体微粒子表面に吸着する吸着基を有する配位子である。
以下、式(AL)で表される3座の配位子又は化合物を詳細に説明する。
環A〜環Cにおける芳香族ヘテロ環は、環構成のヘテロ原子に窒素原子を有し、かつ芳香環であればどのような環でも構わない。
環A〜環Cにおける芳香族ヘテロ環は、5員環又は6員環が好ましく、これらの芳香族ヘテロ環は、芳香族炭素環、芳香族ヘテロ環、芳香族でないヘテロ環、脂環が縮環しても構わない。また、芳香族ヘテロ環の環構成ヘテロ原子は、2〜6個の窒素原子であっても、窒素原子に加えて、他のヘテロ原子、例えば、酸素原子、硫黄原子を含んでもよい。
本発明においては、芳香族ヘテロ環は非縮環の6員環、5員環が縮環した6員環、ベンゼン環が縮環した5員環又はベンゼン環が縮環した6員環が好ましく、非縮環の6員環、5員環が縮環した6員環がより好ましく、非縮環の6員環がさらに好ましい。
芳香族ヘテロ環としては、例えば、6員環では、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環が挙げられ、5員環では、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環が挙げられる。
環Bは、非縮合の6員環が好ましく、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環がより好ましく、ピリジン環、ピリミジン環がさらに好ましく、ピリジン環が特に好ましい。
環A及び環Cは、非縮合の6員環、5員環が縮環した6員環、ベンゼン環が縮環した6員環が好ましい。6員環としては、各々独立にピリジン環、キノリン環、ピリミジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環及びピラゾール環から選択される環がより好ましく、なかでもピリジン環、ピリミジン環がさらに好ましく、ピリジン環が特に好ましい。5員環が縮環した6員環としては、フラン環が縮環したピリジン環、チオフェン環が縮環したピリジン環、ピロール環が縮環したピリジン環、シロール環が縮環したピリジン環、シクロペンタジエニル環が縮環したピリジン環が好ましく、フラン環が縮環したピリジン環、チオフェン環が縮環したピリジン環がより好ましく、チオフェン環が縮環したピリジン環がさらに好ましい。
及びZは、長波長化の観点から、少なくとも一方が、炭素原子が好ましく、両方が炭素原子の場合がより好ましい。
Anc1〜Anc3は半導体微粒子表面に吸着する吸着基であり、半導体微粒子表面に少なくともこれらの1つの吸着基で吸着される。
Anc1〜Anc3は、吸着性基である酸性基を表す。
本発明では、式(AL)で表される配位子中に、酸性基を少なくとも2個有するのが好ましく、3個有することがより好ましい。
(酸性基)
ここで、酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、pKaが11以下である。例えば、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基等の酸性を示す基である酸基、あるいはこれらのいずれかを有する基が挙げられ、好ましくは電子注入の観点からカルボキシ基あるいはこれを有する基である。また酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。
酸性基が塩の場合、その塩となるときの対イオンとしては特に限定されないが、例えば、後述する、式(2)における対イオンCIで示す正のイオンの例が挙げられる。
本発明においては、電子移動の観点から、特に好ましくはカルボキシ基である。
また、酸性基の好ましい一態様として、下記式(Anc)を挙げることができる。
Figure 2015220262
式中、Zxは単結合又は−〔C(=W)〕nx−を表す。ここでnxは1〜3の整数を表す。=W、=W及び=Wは各々独立に=O又は=C(Ra1)(Ra2)を表す。Ra1及びRa2は各々独立に置換基を表す。なお、上記式中の−OHは塩を形成していてもよい。
式(Anc)において、W〜Wにおける=C(Ra1)(Ra2)中のRa1及びRa2の置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。Ra1及びRa2はアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基がより好ましく、アルキル基、アリール基、シアノ基がさらに好ましい。
式(Anc)で表される基は、好ましくは、下記式(Anc−1)〜(Anc−5)のいずれかで表される基である。
Figure 2015220262
式中、Ra1〜Ra4は各々独立に置換基を表す。上記式中の−OHは塩を形成していてもよい。
Ra1〜Ra4における置換基は、前述のRa1及びRa2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
式(Anc−1)〜(Anc−5)で表される基のうち、式(Anc−1)、(Anc−5)で表される基が好ましく、式(Anc−1)で表される基が特に好ましい。
式(AL)におけるX〜Xは単結合又は連結基を表す。ただし、Xは少なくとも1つのAnc2が結合するXの原子と環Bの含窒素芳香族ヘテロ環とがπ共役で連結する連結基又は単結合であって、連結基である場合には連結鎖中にエテニレン基もしくはエチニレン基を含む。エテニレン基を含む場合、エテニレン基上の置換基が隣り合う基と連結して環を形成してもよい。環を形成する場合は、芳香環を形成する場合も含む。Xと環A、Xと環B、Xと環Cは結合して縮環を形成してもよい。Xが単結合の場合、m1又はm3は1〜4の整数を表し、かつ、X又はXは連結基を表す。
は、上記条件を満足するのであれば特に限定されない。連結基としては、置換もしくは無置換のエテニレン基、エチニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基を含み、これらの基が組み合わされた基を包含する。ヘテロアリーレン基は、上記エテニレン基がX内で連結して環を形成したものであり、このようなX内で連結して環を形成するヘテロアリーレン基における芳香族ヘテロ環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、シクロペンタジエン環、シロール環が挙げられる。アリーレン基は、上記エテニレン基がX内で連結して環を形成したものであり、このようなX内で連結して環を形成するアリーレン基におけるアリール環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられ、ベンゼン環が好ましい。
ヘテロアリーレンにおける芳香族ヘテロ環としては、フラン環、チオフェン環が好ましく、チオフェン環がより好ましい。なお、本発明において、チオフェン環には、チオフェンオキシド環及びチオフェンジオキシド環を含む。
エテニレン基、エチニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基を組み合わせた基としては、例えば、アルケニレン基が2個以上(好ましくは2又は3個)、アルキニレン基が2個以上(好ましくは2又は3個)のように、同じ基が連続して組み合わされてもよく、また異なった基が組み合わされてもよい。この場合、−エテニレン−エチニレン−、−エチニレン−エテニレン−、−エテニレン−ヘテロアリーレン基−、−エチニレン−ヘテロアリーレン基−、−ヘテロアリーレン基−エテニレン−、−ヘテロアリーレン基−エチニレン−、−アリーレン基−エテニレン−、−ヘテロアリーレン基−エチニレン−、−ヘテロアリーレン基−ヘテロアリーレン基−等が挙げられる。例えば、−2価のチオフェン環−エチニレン−、−2価のチオフェン環−エテニレン−、−エテニレン−2価のチオフェン環−、−エチニレン−2価のチオフェン環−、−2価のフラン環−エチニレン−、−2価のベンゼン環−エチニレン−、−2価のチオフェン環−2価のチオフェン環−、−2価のフラン環−2価のフラン環−、−エチニレン−エチニレン−が挙げられる。
としては、単結合、又は、下記式(X−1)〜(X−6)のいずれかで表される各連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基が好ましい。ここで、上記「少なくとも1つの連結基」は、式(X−1)〜(X−6)のいずれかの式で表される各連結基、及び、式(X−1)〜(X−6)で表される各基を少なくとも2つ組み合わせてなる連結基を、包含する。
Figure 2015220262
式中、Qは−S−、−O−、−N(RXA)−、−C(RXB)(RXC)−及びSi(RXB)(RXC)−から選ばれる基を表す。ここで、RXA〜RXCは各々独立に、水素原子又は置換基を表す。また、RXBとRXCが互いに結合して環を形成してもよい。RX1〜RX9は各々独立に、水素原子又は置換基を表す。ここで、RX1とRX2、RX3とRX4、RX4とRX5、RX5とRXA、RX5とRXB、RX6とRX7、RX8とRX9の各々において、互いに結合して環を形成してもよい。RX1〜RX4、RX6〜RX9は、環Bと結合して縮環を形成してもよい。*は環Bとの結合位置を表し、**はAnc2との結合位置を表す。
本発明において、−S−には、−S(=O)−及び−S(=O)−を含む。
としては、長波長化の観点からは、各々独立に、式(X−1)、(X−5)のいずれかであることが好ましい。モル吸光係数向上の観点からは、単結合又は式(X−6)が好ましい。また、光電変換素子の量子収率向上の観点からは、単結合であることが好ましい。
好ましい態様として以下の態様Aと態様Bがあり、より好ましい態様は態様Aである。
・態様A
は、単結合、又は、上記式(X−1)〜(X−6)のいずれかで表される各連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基を表し、単結合、式(X−1)で表される連結基、式(X−5)で表される連結基のいずれかであることがより好ましい。ただし、式(X−1)中のRX1及びRX2はともに水素原子、RX1が水素原子でかつRX2がアルキル基もしくはアリール基、又は、RX1がアルキル基もしくはアリール基でかつRX2が水素原子である。アルキル基、アリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。RX1及びRX2はともに水素原子、又は、RX1が水素原子でかつRX2がアルキル基であることがより好ましい。これにより、光電変換効率、好ましくはさらに吸収効率及び耐久性を高めることができる。
・態様B
は、π共役する部分構造に=C(Rz)−で表される構造を有する。ここで、「=」結合手は環B側に位置し、「−」結合手はAnc2側に位置する。
上記Rzのハメット則におけるσp値が0.05以上の置換基を表す。これにより、特に900nm以上の長波長領域の吸収効率を向上させたり、吸着安定性を高めたりすることができる。
ハメット則におけるσp値が0.05以上の置換基としては、例えば、シアノ基、アシル基、アリールカルボニル基、ヘテロアリールカルボニル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、パーフルオロアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヘテロアリール基又はこれらの基を有するアリール基等が挙げられる。
Rzは、シアノ基、アシル基(好ましくはアセチル基)、アリールカルボニル基、パーフルオロアルキル基(好ましくはトリフルオロメチル基)、ハロゲン原子、ヘテロアリール基又はこれらの基を有するアリール基が好ましく、アシル基(好ましくはアセチル基)、アリールカルボニル基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、ヘテロアリール基(好ましくはピリジル基、ピリミジニル基)が特に好ましい。
なかでも、Rzは−C(=O)RZ1、パーフルオロアルキル基、ハロゲン原子、ヘテロアリール基又はシアノ基が好ましい。ここで、RZ1は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
このようなXの好ましい態様として、下記式(X−1A)又は(X−2A)で表される基が挙げられる。
Figure 2015220262
式中、Rzはハメット則におけるσp値が0.05以上の置換基を表す。環Xは芳香族炭素環基又は芳香族ヘテロ環基を表す。ここで、紙面の左側の結合手が環Bに結合し、紙面の右側の結合手にAnc2が結合する。
Rzの好ましい範囲は、上記の通りである。
上記式(X−1A)又は(X−2A)で表される基は、下記式(X−1B)、(X−2B)で表される基がさらに好ましく、特に好ましくは式(X−1B)である。
Figure 2015220262
式中、紙面の左側の結合手が環Bと結合する。式(X−1B)、式(X−2B)中のRzは上記式(X−1A)、式(X−2A)中のRzと同義であり、好ましい範囲も同じである。
以下は態様A、態様Bに共通する説明を示す。
式(AL)におけるX及びXは単結合又は連結基を表す。
及びXにおける連結基は、−O−、−S−、−NRAL(RALは水素原子又は置換基を表す。)−、2価以上の飽和脂肪族基、上記環A、Cと共役しない不飽和基を有する2価以上の不飽和脂肪族基、2価以上の非芳香族の炭化水素環基、2価以上の非芳香族のヘテロ環基を連結鎖中に含んでもよい。
及びXにおける連結基がπ共役の共役鎖であってもよく、この場合、上記Xで挙げた連結基が挙げられる。
及びXは、各々独立に、単結合又は上記のπ共役の共役鎖が好ましい。
及びXは、いずれか一方が式(X−1)〜式(X−6)のいずれかである場合が好ましく、両方とも式(X−1)〜式(X−6)のいずれかである場合が、より好ましい。X及びXは、いずれか一方が式(X−1)又は式(X−6)である場合がより好ましく、両方とも式(X−1)又は式(X−6)である場合が、さらに好ましい。
l1〜l3は、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
m1及びm3は0〜4の整数を表すが、0又は1が好ましく、光電変換効率、吸着安定性の観点からm1とm3の一方が0、他方が1の場合、又は両方が1の場合が好ましく、両方が1の場合がより好ましい。
m2は1又は2が好ましく、1がより好ましい。
m1〜m3は、m1及びm3の少なくとも一つが1であり、かつm2が1であるのが好ましく、m1〜m3がともに1であるのがさらに好ましい。
式(AL)におけるR〜Rは、置換基を表すが、置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。R〜Rは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びハロゲン原子、シアノ基、スルホニル基等のハメットのσp値が正の電子吸引性基が好ましく、アルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)、シアノ基がより好ましい。
n1及びn3は0又は1が好ましく、n2は0が好ましい。
式(AL)で表される配位子は、下記式(AL−1)で表される配位子が好ましい。
Figure 2015220262
式中、Anc1〜Anc3、X〜X、R〜R、l1〜l3、m1〜m3、n1〜n3は上記式(AL)におけるAnc1〜Anc3、X〜X、R〜R、l1〜l3、m1〜m3、n1〜n3と同義であり、好ましい範囲も同じである。
なお、式(AL)で表される配位子は、化合物としての観点では、Xが単結合であり、m1又はm3が1〜4の整数であり、かつ、X又はXが連結基である化合物、又は、Xが式(X−1)もしくは式(X−5)であり、式(X−1)中のRX1が水素原子でかつRX2がアルキル基もしくはアリール基であり、m1又はm3が1〜4の整数であり、かつ、X又はXが連結基である化合物が好ましく、Xが単結合であり、m1又はm3が1〜4の整数であり、かつ、X又はXが連結基である化合物がより好ましく、Xが単結合であり、m1又はm3が1〜4の整数であり、かつ、X又はXが式(X−1)もしくは式(X−5)である化合物がさらに好ましい。
以下、化合物として好ましい構造は、下記式(AC−1)又は(AC−2)として表すことができる。
Figure 2015220262
式中、RY1及びRY2は水素原子又は置換基を表す。
Y1及びRY2における置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。
ここで、RY1の少なくとも一つはアルキル基又はアリール基を表し、少なくとも一つアルキル基であることが好ましく、全てアルキル基であることがより好ましい。
Y2は水素原子又は下記構造の式(AC−2A)のようにピリジン環と連結し、環Jを形成する基であることが好ましい。環Jはヘテロ原子を含んでいてもよい芳香環を表し、チオフェン環であることが好ましい。
Figure 2015220262
以下に、式(AL)で表される配位子(化合物)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、Cy101、Cy102及びCy103は、それぞれ、環A、環B及び環Cを表す。
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
これらの配位子は、特開2012−508227号公報、特開2011−502965号公報、特開2011−502187号公報、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,1−6に記載の方法、この文献で挙げられている参照文献に記載されている方法、もしくはこれらの方法に準じた方法で合成することができる。
なお、上記の好ましい配位子(化合物)の合成方法も、特に限定されるものではないが、製造適性もしくは合成容易性の観点で、下記式(AD−1)〜(AD−3)で表される化合物のいずれかを用いることが好ましい。
Figure 2015220262
式中、RY1及びRY2は、上記式(AC−1)、(AC−2)におけるRY1及びRY2と同義であり、好ましい範囲も同じである。RY4及びRY5は水素原子又はアルキル基を表す。RY6は−COOH、−COORY7、−CHO(アルデヒド)のいずれかを表す。ここで、RY7はアルキル基を表す。
Y3は−COOH、−COORY7、−CHO(アルデヒド)、下記構造(さらに置換されていてもよい)のいずれかを表し、ただし、RY3の少なくとも一つは−CHO(アルデヒド)又は下記構造を表す。
Figure 2015220262
式中、2つのRは各々独立にアルキル基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。ここで、*は結合位置を表す。
一般式(AC−1)、(AC−2)、(AD−1)〜(AD−3)で表される化合物は、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
ここで、Etはエチル基(−C)である。
Figure 2015220262
− 配位子LD −
本発明において、配位子LDは、ドナー配位子に分類されるものであり、半導体微粒子表面に吸着する吸着基を有さない配位子が好ましい。
なお、配位子中に、吸着基に相当する基を含んだとしても、金属イオンMに結合する基として含むものであり、半導体微粒子表面に吸着するものではない。
なお、半導体微粒子表面に吸着する吸着基は、上記配位子LAにおける置換基Anc1〜Anc3である。
配位子LDは、2座の配位子又は上記配位子LAとは異なる3座の配位子を表す。ここで、配位子LDは、2座の配位子又は3座の配位子における金属イオンMと結合する配位原子の少なくとも1つはアニオンである。アニオンであるとは、水素原子が解離してMと結合することを表す。
配位子LDは、下記式(DL)で表される配位子が好ましい。
Figure 2015220262
式中、環DDL、環EDL及び環Fは各々独立に、5又は6員環の芳香環を表し、R、Ra1及びRa4は各々独立に置換基を表す。mbは0又は1を表す。ma1及びma4は各々独立に0〜3の整数を表す。maはmbが0のとき、0〜4の整数を表し、mbが1のとき、0〜3の整数を表す。
ここで、ma、ma1及びma4の各々において、2以上の整数のとき、複数のR、複数のRa1及び複数のRa4は互いに結合して環を形成してもよい。
環DDL、環EDL及び環Fにおける5又は6員環の芳香環は、芳香族炭素環又は芳香族ヘテロ環を含む。また、5又は6員環の芳香環は、芳香環、ヘテロ環、脂環で縮環してもよい。
芳香族炭素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられ、芳香族ヘテロ環としては、上記式(AL)における環A〜環Cで挙げた芳香族ヘテロ環が挙げられ、これらが好ましい。
環Fは、含窒素芳香族ヘテロ環が好ましく、環Bで挙げた含窒素芳香族ヘテロ環が好ましく、ピリジン環、ピリミジン環及びトリアジン環がより好ましく、ピリジン環及びピリミジン環がさらに好ましく、長波長化の観点では、ピリジン環が特に好ましい。
ここで、環DDL、環EDL及び環Fは、金属イオンMと結合する配位原子を含むものが好ましく、配位原子としては、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子もしくはこれ
らの原子のアニオンが好ましい。配位原子の少なくとも1つが金属イオンMとイオン結合で結合するものが好ましい。
金属イオンMとイオン結合で結合する基としては、−CO イオン、−Oイオン、=C−イオン(例えば、芳香環の炭素イオン)、−Sイオン、>Nイオン、−NSO−イオン(1価の基で示せば、−NSOで、Rは置換基を表す)が挙げられる。
このうち、環を構成する原子としては=C−イオン、>Nイオンのような炭素アニオン、窒素アニオンが好ましく挙げられる。
、Ra1及びRa4における置換基は後述の置換基Tが挙げられる。Rとしては、後述のR111〜R154で挙げた置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。Ra1及びRa4としては、アルキル基、アルケニル基(好ましくはエテニル基)、アルキニル基(好ましくはエチニル基)、アリール基、ヘテロ環基(好ましくは芳香族ヘテロ環基)、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基が好ましく、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基がより好ましく、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基がさらに好ましく、ハロゲン化アルキル基が特に好ましい。
ma、ma1及びma4は0〜2の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。mbは1が好ましい。
配位子LDは、下記式(DL−1)又は(DL−2)で表される配位子が好ましい。
Figure 2015220262
a2及びRa3は各々独立に置換基を表し、ma2は0〜3の整数を表し、ma3は0〜4の整数を表す。Ra1、Ra4、ma1、ma4は、式(DL)におけるRa1、Ra4、ma1、ma4と同義であり、好ましい範囲も同じである。
a2及びRa3で表される置換基は式(DL)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
ma1〜ma4の各々において、2以上の整数のとき、複数のRa1〜複数のRa4は互いに結合して環を形成してもよい。
環D及び環Eは各々独立に、5又は6員環の芳香環を表す。芳香環としては、式(DL)における環DDL及び環EDLに挙げた環が挙げられ、好ましい芳香環も環DDL及び環EDLに挙げた環と同じである。
なお、環D、環E中のD、Dとピリジン環が結合する炭素原子との間の結合は、単結合でも二重結合でも構わない。
及びDは各々独立に炭素原子アニオン又は窒素原子アニオンを表す。
環D及び環Eは、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環又はベンゼン環が好ましく、ピラゾール環、トリアゾール環又はベンゼン環がさらに好ましい。
また、配位子LDが2座の配位子の場合、下記式(2L−1)〜(2L−5)のいずれかで表される2座配位子が好ましい。
Figure 2015220262
式(2L−1)〜(2L−5)中、*は金属イオンMへの結合位置を表す。環D2Lは芳香族環を表す。A111〜A141は各々独立に、窒素原子アニオン又は炭素原子アニオンを表し、A151は窒素原子アニオン、酸素原子アニオン又は硫黄原子アニオンのいずれかを表す。R111〜R154は各々独立に、水素原子、又はAnc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基を表す。
ここで、A111〜A141は環D2Lを構成する窒素原子又は炭素原子に結合した水素原子が脱離した炭素原子アニオン又は窒素原子アニオンである。A151は芳香族炭素環及び含窒素ヘテロ芳香環における官能基のうち(置換)アミノ基、水酸基又はチオール基から活性水素を除去した残基である場合が特に好ましい。式(2L−1)〜(2L−5)において、環D2Lは、芳香族炭素環、含酸素芳香族へテロ環、含硫黄芳香族へテロ環、含窒素芳香族ヘテロ環が挙げられる。芳香族炭素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられ、べンゼン環が好ましく、含酸素芳香族へテロ環としてはフラン環が好ましく、含硫黄芳香族へテロ環としてはチオフェン環が好ましい。含窒素芳香族ヘテロ環としては、環A〜環Dで挙げた芳香族ヘテロ環のうちの含窒素芳香族ヘテロ環が好ましく、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環がより好ましい。式(2L−1)〜(2L−4)においてA111〜A141がアニオン化する前の環D2L及び式(2L−5)においてA151が置換する環D2Lは、例えば、ベンゼン環もしくはチオフェン環、フラン環、又は、下記式(a−1)〜(a−5)、(a−1a)、(a−2a)、(a−1b)及び(a−4a)で表される基のアニオン部分が水素原子で置換された環等が好ましく挙げられる。
Figure 2015220262
式中、Rdは置換基を表す。b1は0〜2の整数、b2は0〜3の整数、b3は0又は1をそれぞれ表す。b1が2のとき、又はb2が2以上のとき、複数のRd同士が互いに結合して環を形成してもよい。Rdとしては、例えば、後述の置換基Tが挙げられる。
Figure 2015220262
式中、Rd、b1〜b3は前述の式(a−1)〜(a−5)中のRd、b1〜b3と同義であり、好ましい範囲も同じである。b4は0〜4、b5は0〜5の各整数を表す。なお、式(a−1a)、(a−1b)において、Rdはベンゼン環だけでなく、ピロール環にも有してもよいことを示すものである。
Rdとして好ましくは直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基及びこれらを組み合わせてなる基であり、さらに好ましくは直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルキル基、アリール基及びこれらを組み合わせてなる基であり、特に好ましくは直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルキル基及びこれらを組み合わせてなる基である。
111〜R154で表される置換基としては例えば、後述の置換基Tが挙げられ、その中でも芳香族ヘテロ環基、芳香族炭素環基、エテニル基、エチニル基、ハロゲン原子、アルキル基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基等を含む)、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基が好ましく、芳香族ヘテロ環基、芳香族炭素環基、エテニル基、アルキル基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基等を含む)がより好ましく、芳香族ヘテロ環基、アルキル基もしくはアルコキシ基もしくはアミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基等を含む)を有する芳香族炭素環基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基等を含む)がさらに好ましく、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基等を含む)を有する芳香族炭素環基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基等を含む)が特に好ましい。
配位子LDが3座の配位子の場合、下記式(3L−1)〜(3L−4)のいずれかで表される3座配位子が好ましい。
Figure 2015220262
式(3L−1)〜(3L−4)中、*は金属イオンMへの結合位置を表す。環D2Lは芳香族環を表す。A211〜A242は各々独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。ただし、A211とA212、A221とA222、A231とA232、A241とA242のそれぞれ少なくとも1つはアニオンである。R211〜R241は各々独立に、水素原子、又はAnc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基を表す。
211〜A242のうちアニオンであるものは式(2L−1)〜(2L−5)のA111〜A141と同義である。A211〜A242のうちアニオンを有しないものは、水素原子を有しない炭素原子又は窒素原子である。式(3L−1)〜(3L−4)における環D2Lは式(2L―1)〜(2L−5)の環D2Lと同義であり、具体的には、環D2Lは、芳香族炭素環、含窒素芳香族ヘテロ環が挙げられる。芳香族炭素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられ、含窒素芳香族ヘテロ環としては、環A〜環Dで挙げた芳香族ヘテロ環のうちの含窒素芳香族ヘテロ環が好ましい。環D2Lは、A211〜A242のいずれか1つと炭素原子又は2つの炭素原子を含む芳香族環がより好ましい。このとき、各式において2つの環D2Lは同一でも異なってもよい。置換基R211〜R241は式(2L−1)〜(2L−5)の置換基R111〜R154と同義であり、好ましいものも同じである。
なお、本発明では、配位子LDにおける2座又は3座の配位子のうち、金属イオンMに配位する原子が窒素アニオン又は炭素アニオンであって、置換基にアリールアミノ基もしくはジアリールアミノ基を有するものが、特に吸収が長波長化するために好ましい。
具体的には、上記の好ましい配位子は、金属イオンMに配位する原子が窒素アニオン又は炭素アニオンであって、かつ下記式(SA)を部分構造に有する配位子である。
Figure 2015220262
式中、RDA1はアリール基を表し、RDA2はアルキル基又はアリール基を表す。RDA1とRDA2は互いに結合して環を形成してもよい。LLは、エテニル基、エチニル基、アリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。aは0〜5の整数を表す。
上記式(SA)で表される基は、金属イオンMに配位する芳香族炭化水素環又は含窒素芳香族ヘテロ環に置換しているものが好ましく、含窒素芳香族ヘテロ環に置換しているものがより好ましい。
上記式(SA)で表される基のうち、RDA1及びRDA2がともにアリール基であるものが好ましい。アリール基は置換基を有してもよく、置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。
アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられるが、フェニル基が好ましい。
LLは、配位子の配位原子を含む芳香族炭化水素環又は含窒素芳香族ヘテロ環と、−N(RDA1)(RDA2)の窒素原子が、単結合もしくはπ共役を通じて結合するものが好ましい。
LLにおけるアリーレン基としてはフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、ヘテロアリーレン基としては、2価の5又は6員環で、環構成原子として、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含むものが好ましく、ベンゼン環やヘテロ環で縮環していてもよい。
ヘテロアリーレン基のヘテロ環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環が挙げられ、フラン環、チオフェン環が好ましい。
LLにおけるエテニル基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基は置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
上記式(SA)において、aが0であるか、aが1で、LLがエテニル基、エチニル基、フェニレン基又はヘテロアリーレン基が好ましく、aが0であるか、aが1で、フェニレン基又はヘテロアリーレン基がより好ましく、aが0であるか、aが1で、フェニレン基、2価のフラン環基、2価のチオフェン環基がさらに好ましく、aが0であるか、aが1で、LLがフェニレン基が特に好ましい。
本発明では、RDA1とRDA2が互いに結合して環を形成したものも好ましい。
形成する環としては、5又は6員環が好ましく、RDA1とRDA2がともにアリール基である場合に結合したものが、より好ましい。
DA1とRDA2が互いに結合して形成された環としては、以下の環が好ましい。
Figure 2015220262
ここで、RDA3及びRDA4は各々独立にアルキル基を表す。
なお、上記環は、置換基を有してもよく、置換基としては置換基Tが挙げられる。
以下に、式(DL)で表される配位子の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
Figure 2015220262
これらの配位子は、米国特許出願公開第2010/0258175A1号明細書、特許第4298799号公報、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,2054−2058に記載の方法、この文献で挙げられている参照文献に記載されている方法、もしくはこれらの方法に準じた方法で合成することができる。
− 配位子LX −
配位子LXは、単座の配位子を表し、アシルオキシアニオン、アシルチオアニオン、チオアシルオキシアニオン、チオアシルチオアニオン、アシルアミノオキシアニオン、チオカルバメートアニオン、ジチオカルバメートアニオン、チオカルボネートアニオン、ジチオカルボネートアニオン、トリチオカルボネートアニオン、アシルアニオン、チオシアネートアニオン、イソチオシアネートアニオン、シアネートアニオン、イソシアネートアニオン、シアノアニオン、アルキルチオアニオン、アリールチオアニオン、アルコキシアニオン及びアリールオキシアニオンからなる群から選択されるアニオンもしくはこれらの基で配位する単座配位子、又はハロゲン原子、シアノ、カルボニル、ジアルキルケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミド及びチオ尿素からなるアニオン、原子もしくは化合物(アニオンに水素原子が置換された化合物を含む)の群より選ばれる単座配位子が挙げられる。なお、配位子Xがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基等を含む場合、それらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基等を含む場合、それらは置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。
本発明においては、LXはシアネートアニオン、イソシアネートアニオン、チオシアネートアニオン、イソチオシアネートアニオン、セレノシアネートアニオン、イソセレノシアネートアニオンが好ましく、イソシアネートアニオン、イソチオシアネートアニオン、イソセレノシアネートアニオンがより好ましく、イソチオシアネートアニオンが特に好ましい。
− 電荷中和対イオンCI −
CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、色素が陽イオン又は陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、金属錯体色素中の金属、配位子及び置換基に依存する。
置換基が解離性基を有すること等により、金属錯体色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、金属錯体色素全体の電荷はCIにより電気的に中性とされる。
対イオンCIが正の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えばテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオン、金属錯体イオン又はプロトンである。正の対イオンとしては、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(トリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムイオン等)、プロトンが好ましい。
対イオンCIが負の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、水酸化物イオン、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換又は無置換のアルキルカルボン酸イオン(酢酸イオン、トリフルオロ酢酸等)、置換又は無置換のアリールカルボン酸イオン(安息香酸イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等)、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオンが挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。負の対イオンとしては、ハロゲン陰イオン、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンが好ましく、ハロゲン陰イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンがより好ましい。
− mX、mY −
式(2)中のmXは、配位子LDが2座の配位子のとき、1を表し、配位子LDが3座の配位子のとき0を表す。
mYは0〜3の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
− 金属錯体色素 −
式(2)で表される金属錯体色素は、下記式(2−1)又は(2−2)で表される金属錯体色素が好ましい。
Figure 2015220262
式中、M及びLXは上記式(2)におけるM及びLXと同義であり、Anc1〜Anc3、X〜X、l1〜l3、m1〜m3、R〜R、n1〜n3は上記式(AL)におけるAnc1〜Anc3、X〜X、l1〜l3、m1〜m3、R〜R、n1〜n3と同義である。
環D、環E、D、D、Ra1〜Ra4及びma1〜ma4は、上記式(DL−1)、(DL−2)における環D、環E、D、D、Ra1〜Ra4及びma1〜ma4と同義であり、好ましい範囲も同じである。
環D及び環Eで形成される環は、各々独立に、ピラゾール環、トリアゾール環又はベンゼン環がさらに好ましい。
本発明では、式(2−1)、(2−2)で表される配位子のうち、式(2−1)で表される配位子が好ましい。
以下に、式(2)で表される金属錯体色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。これらの金属錯体色素は光学異性体、幾何異性体が存在する場合、これらの異性体のいずれであってもよく、またこれらの異性体の混合物であっても構わない。
ここで、下記具体例中のMeはメチル、TMSはトリメチルシリルを表す。
Figure 2015220262
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上記に加え、下記の金属錯体色素を挙げることができる。
以下には、式(2)におけるM、LA、LD、LX、CI、mX及びmYの組合せを表(表1)で示す。
例えば、以下のD−317は下記の化学構造の金属錯体色素を示すものである。
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式(2)で表される金属錯体色素は、米国特許出願公開第2010/0258175A1号明細書、特許第4298799号公報、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,2054−2058に記載の方法、この文献で挙げられている参照文献に記載の方法、又はこれらに準じた方法で合成することができる。
式(2)で表される金属錯体色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜1000nmの範囲であり、より好ましくは350〜950nmの範囲であり、特に好ましくは370〜900nmの範囲である。
<置換基T>
本発明において、好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
また、本明細書において、単に置換基としてしか記載されていない場合は、この置換基Tを参照するものであり、また、各々の基、例えばアルキル基が記載されているのみの時は、この置換基Tの対応する基における好ましい範囲、具体例が適用される。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル、トリフルオロメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20で、例えばシクロペンテニル、シクロヘキセニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20で、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5員環又は6員環のヘテロ環基がより好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニルオキシ、アリルオキシ等)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、2−プロピニルオキシ、4−ブチニルオキシ等)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、ヘテロ環オキシ基(例えば、イミダゾリルオキシ、ベンゾイミダゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、ベンゾチアゾリルオキシ、トリアジニルオキシ、プリニルオキシ)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20で、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20で、例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、N−アリルアミノ、N−(2−プロピニル)アミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N−シクロヘキセニルアミノ、アニリノ、ピリジルアミノ、イミダゾリルアミノ、ベンゾイミダゾリルアミノ、チアゾリルアミノ、ベンゾチアゾリルアミノ、トリアジニルアミノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルファモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基が好ましく、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−シクロヘキシルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、4−メチルシクロヘキシルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシが置換したシリル基が好ましく、例えば、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジエチルベンジルシリル、ジメチルフェニルシリル等)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリエチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ、ジエチルベンジルシリルオキシ、ジメチルフェニルシリルオキシ等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、カルボキシル基、スルホ基、ホスホニル基、ホスホリル基、ホウ酸基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、上記アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基が挙げられる。
化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
次に、光電変換素子の色素増感太陽電池において主たる部材について概略を説明する。
<導電性支持体>
導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、又は表面に導電膜層を有するガラスもしくはプラスチックの支持体であるのが好ましい。プラスチックの支持体としては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。支持体としては、ガラス及びプラスチックの他、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いてもよい。導電性支持体上には、表面に光マネージメント機能を施してもよく、例えば、特開2003−123859号公報に記載の高屈折膜及び低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能が挙げられる。
透明導電性支持体としては、ガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化物を塗設したものが好ましい。金属酸化物としてはスズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープ酸化物が特に好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
導電膜層の厚さは0.01〜30μmが好ましく、0.03〜25μmが更に好ましく、特に好ましくは0.05〜20μmである。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスもしくはプラスチックの支持体1m当たり0.1〜100gが好ましい。
導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。
<感光体層>
感光体層は、目的に応じて設計され、上記の色素が担持された半導体微粒子を有している。感光体層2中の色素21は一種類でも多種の混合でもよい。この感光体層は、好ましくは、色素とともに、上記化合物(KWA)及び共吸着剤の少なくとも一方が担持された半導体微粒子を有している。また、感光体層は後述する電解質を含んでいてもよい。
本実施形態において、受光電極5は、導電性支持体1と感光体層2とよりなる。
− 半導体微粒子 −
半導体微粒子は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)又はペロブスカイトの半導体微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、又は、ルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドをチタニア半導体微粒子に混合するか、又は半導体電極として用いてもよい。
半導体微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として0.001〜1μm、分散物の平均粒径として0.01〜100μmであることが好ましい。半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法として、湿式法、乾式法、その他の方法が挙げられる。
透明導電膜と半導体層(感光体層)の間には、電解質と電極が直接接触することによる逆電流を防止するため、短絡防止層を形成することが好ましい。また、光散乱層を設けてもよい。光電極(受光電極)と対極の接触を防ぐために、スペーサーやセパレータを用いることが好ましい。半導体微粒子は多くの色素、所望により上記化合物(KWA)等を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子を支持体上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。一般に、半導体微粒子の層の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素等の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。半導体微粒子層(半導体層)である感光体層の好ましい厚みは光電変換素子の用途によって異なるが、典型的には0.1〜100μmである。色素増感太陽電池として用いる場合は1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。半導体微粒子は、支持体に塗布した後に粒子同士を密着させるために、焼成処理に付すことが好ましい。当該焼成条件は、例えば100〜800℃で10分〜10時間とすることができる。半導体微粒子層の成膜温度に特に制限はないが、例えば、導電性支持体がガラスであれば、60〜400℃で成膜することが好ましい。
なお、半導体微粒子の支持体1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。
− 色素 −
本発明の光電変換素子(例えば光電変換素子10)及び色素増感太陽電池(例えば色素増感太陽電池20)においては、少なくとも上記式(2)で表される金属錯体色素を使用する。
本発明においては、式(2)で表される金属錯体色素と他の色素を併用してもよい。
併用できる色素としては、例えば、特表平7−500630号公報に記載のRu金属錯体色素(特に第5頁左下欄5行目〜第7頁右上欄7行目に例1〜例19で合成された色素)、特表2002−512729号公報に記載のRu金属錯体色素(特に第20頁の下から3行目〜第29頁23行目に例1〜例16で合成された色素)、特開2001−59062号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0087〜0104に記載の色素)、特開2001−6760号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0093〜0102に記載の色素)、特開2001−253894号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0009〜0010に記載の色素)、特開2003−212851号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0005に記載の色素)、国際公開第2007/91525号パンフレットに記載のRu金属錯体色素(特に、[0067]に記載の色素)、特開2001−291534号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0120〜0144に記載の色素)、特開2012−012570号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0095〜0103に記載の色素)、特開2013−084594号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0072〜0081等に記載の色素)、国際公開第2013/088898号パンフレットに記載のRu金属錯体色素(特に、[0286]〜[0293]に記載の色素)が挙げられる。
また、特開平11−214730号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0036〜0047に記載の色素)、特開2012−144688号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0039〜0046及び段落番号0054〜0060に記載の色素)、特開2012−84503号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0066〜0076等に記載の色素)が挙げられる。
さらに、特開2004−063274号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0017〜0021に記載の色素)、特開2005−123033号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0021〜0028に記載の色素)、特開2007−287694号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0091〜0096に記載の色素)、特開2008−71648号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0030〜0034に記載の色素)、国際公開第2007/119525号パンフレットに記載の有機色素(特に、[0024]に記載の色素)が挙げられる。
上記以外にも、併用できる色素としては、Angew. Chem. Int. Ed.,49,1〜5(2010)等に記載のポルフィリン色素、Angew.Chem.Int.Ed.,46,8358(2007)等に記載のフタロシアニン色素が挙げられる。
併用できる色素として好ましくは、Ru金属錯体色素、スクアリリウムシアニン色素又は有機色素が挙げられる。
色素の使用量は、全体で、支持体1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。この場合、式(2)で表される色素の使用量は5モル%以上とすることが好ましい。本発明で用いる色素は単独で色素増感太陽電池の増感色素として機能するものが好ましい。また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。このような色素量とすることによって、半導体微粒子における増感効果が十分に得られる。
色素が塩である場合、対イオンは特に限定されず、上記CIの他に、例えばアルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオン等が挙げられる。
本発明において、半導体微粒子への色素の吸着は、後述するように、色素を含有する色素溶液を用いて行うことが好ましい。例えば、支持体上に半導体微粒子層(感光体層)を形成させた半導体電極を、色素を溶解してなる色素溶液に浸漬する等して行うことができる。
− 化合物(KWA) −
本発明の光電変換素子及び色素増感太陽電池においては、化合物(KWA)を使用し、電解質に含有させ、又は、色素とともに半導体微粒子の表面に吸着させるのが好ましい。本発明においては、化合物(KWA)を複数併用してもよい。化合物(KWA)は上述した通りである。
半導体微粒子に化合物(KWA)を吸着させる場合には、半導体微粒子に色素を吸着させた後に、化合物(KWA)を含む後述する表面処理液を用いて半導体微粒子の表面を処理するのが好ましい。この処理により、半導体微粒子の表面に化合物(KWA)を吸着させることができる。表面処理液及び半導体微粒子の表面処理方法については後述する。
− 共吸着剤 −
本発明においては、共吸着剤を使用し、色素とともに半導体微粒子の表面に吸着させるのが好ましい。このような共吸着剤としては酸性基(好ましくは、カルボキシ基もしくはその塩の基)を1つ以上有する共吸着剤が好ましく、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えばブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、さらに好ましくはケノデオキシコール酸である。
共吸着剤としては、特開2012−012570号公報の段落番号0107に記載の化合物が好ましく、特開2012−012570号公報の段落番号0107の記載が、そのまま本願明細書に好ましく取り込まれる。
共吸着剤は、半導体微粒子に吸着させることにより、色素の非効率な会合を抑制する効果及び半導体微粒子表面から電解質中のレドックス系への逆電子移動を防止する効果がある。共吸着剤の使用量は特に限定されないが、色素1モルに対して、好ましくは1〜200モル、さらに好ましくは10〜150モル、特に好ましくは20〜50モルであることが上記の作用を効果的に発現させられる観点から好ましい。
<電荷移動体層>
本発明の光電変換素子に用いられる電荷移動体層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極と対極(対向電極)との間に設けられる。電荷移動体層は電解質を含む。ここで、電荷移動体層が電解質を含むとは、電荷移動体層が電解質のみからなる場合、及び、電解質と電解質以外の物質からなる場合を包含し、電荷移動体層は、固体状、液体状、ゲル状又はこれら混合状態のいずれの層であってもよい。本実施形態において電荷移動体層は電解質からなる。
− 電解質 −
電解質の例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体電解質、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩等が挙げられる。光電変換効率を高めるためには液体電解質が好ましい。
酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(ヨウ化物塩、ヨウ化イオン性液体が好ましく、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムが好ましい)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体の組み合せ(例えば赤血塩と黄血塩の組み合せ)、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせ、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが好ましく、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせが特に好ましい。
上記コバルト錯体は、特開2013−077449号公報の段落番号0060〜0063に記載の式(A)で表される錯体が好ましく、特開2013−077449号公報の段落番号0060〜0077の記載が、そのまま本願明細書に好ましく取り込まれる。
電解質として、ヨウ素とヨウ化物との組み合せを用いる場合、5員環又は6員環の含窒素芳香族カチオンのヨウ素塩をさらに併用するのが好ましい。
電解質は、酸化還元対に加えて、好ましくは上記化合物(KWA)を含有する。上記化合物(KWA)は上述した通りである。
酸化還元対、好適に含有される上記化合物(KWA)、場合により含有される下記添加物等を溶かす有機溶媒としては、特に限定されないが、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)が好ましい。
特に、液体電解質の有機溶媒は、ニトリル化合物、エーテル化合物、エステル化合物等が用いられ、ニトリル化合物が好ましく、アセトニトリル、メトキシプロピオニトリルが特に好ましい。
電解質として溶融塩を用いてもよく、好ましい溶融塩としては、イミダゾリウム又はトリアゾリウム型陽イオンを含むイオン性液体、オキサゾリウム系、ピリジニウム系、グアニジウム系及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらカチオン系に対して特定のアニオンと組み合わせてもよい。これらの溶融塩に対しては添加物を加えてもよい。液晶性の置換基を持っていてもよい。また、四級アンモニウム塩系の溶融塩を用いてもよい。
これら以外の溶融塩としては、例えば、ヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。また、γ−ブチロラクトンを電解液に含んでいてもよく、これによりヨウ化物イオンの拡散効率が高くなり光電変換効率が向上する。
電解質と溶媒からなる電解液にゲル化剤を添加してゲル化させることにより、電解質を擬固体化してもよい。ゲル化剤としては、分子量1000以下の有機化合物、分子量500〜5000の範囲のSi含有化合物、特定の酸性化合物と塩基性化合物からできる有機塩、ソルビトール誘導体、ポリビニルピリジンが挙げられる。
ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマーとしては、例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。
また、マトリックス高分子、架橋型高分子化合物又はモノマー、架橋剤、電解質及び溶媒を高分子中に閉じ込める方法を用いてもよい。
マトリックス高分子として好ましくは、含窒素複素環を主鎖あるいは側鎖の繰り返し単位中に持つ高分子及びこれらを求電子性化合物と反応させた架橋体、トリアジン構造を持つ高分子、ウレイド構造をもつ高分子、液晶性化合物を含むもの、エーテル結合を有する高分子、ポリフッ化ビニリデン系、メタクリレート・アクリレート系、熱硬化性樹脂、架橋ポリシロキサン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアルキレングリールとデキストリン等の包摂化合物、含酸素又は含硫黄高分子を添加した系、天然高分子等が挙げられる。これらにアルカリ膨潤型高分子、一つの高分子内にカチオン部位とヨウ素との電荷移動錯体を形成できる化合物を持った高分子等を添加してもよい。
マトリックスポリマーとして2官能以上のイソシアネートを一方の成分として、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシ基等の官能基と反応させた架橋ポリマーを含む系を用いても良い。また、ヒドロシリル基と二重結合性化合物による架橋高分子、ポリスルホン酸又はポリカルボン酸等を2価以上の金属イオン化合物と反応させる架橋方法等を用いても良い。
上記擬固体の電解質との組み合わせで好ましく用いることができる溶媒としては、特定のリン酸エステル、エチレンカーボネートを含む混合溶媒、特定の比誘電率を持つ溶媒等が挙げられる。固体電解質膜あるいは細孔に液体電解質溶液を保持させても良く、その方法として好ましくは、導電性高分子膜、繊維状固体、フィルタ等の布状固体が挙げられる。
電解質は、上記化合物(KWA)以外の化合物を添加剤として含有していてもよい。このような添加剤としては、4−tert−ブチルピリジンのほか、アミノピリジン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、アミノトリアゾール系化合物及びアミノチアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、アミノトリアジン系化合物、尿素誘導体、アミド化合物、ピリミジン系化合物及び窒素を含まない複素環を加えることができる。
また、光電変換効率を向上するために、電解液の水分を制御する方法をとってもよい。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法や脱水剤を共存させる方法を挙げることができる。電解液の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。この電解質の調整は後述する色素溶液で行なうのが特に好ましい。
ヨウ素の毒性軽減のために、ヨウ素とシクロデキストリンの包摂化合物の使用をしてもよく、逆に水分を常時補給する方法を用いてもよい。また環状アミジンを用いてもよく、酸化防止剤、加水分解防止剤、分解防止剤、ヨウ化亜鉛を加えてもよい。
以上の液体電解質及び擬固体電解質の代わりにp型半導体あるいはホール輸送材料等の固体電荷輸送層、例えば、CuI、CuNCS等を用いることができる。また、Nature, vol.486,p.487,2012等に記載の電解質を用いてもよい。固体電荷輸送層として有機ホール輸送材料を用いても良い。ホール輸送層として好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール及びポリシラン等の導電性高分子及び2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心元素を共有するスピロ化合物、トリアリールアミン等の芳香族アミン誘導体、トリフェニレン誘導体、含窒素複素環誘導体、液晶性シアノ誘導体が挙げられる。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度を含有するのが好ましい。好ましい濃度としては合計で0.01モル/L以上であり、より好ましくは0.1モル/L以上であり、特に好ましくは0.3モル/L以上である。この場合の上限には特に制限はないが、通常5モル/L程度である。
また、上記化合物(KWA)を用いる場合、化合物(KWA)は、その機能を発揮するため、ある程度の濃度で含有するのが好ましい。好ましい濃度としては、0.01モル/L以上であり、より好ましくは0.1モル/L以上であり、特に好ましくは0.25モル/L以上である。この場合の上限には特に制限はないが、通常5モル/L程度である。
<対極(対向電極)>
対極は、色素増感太陽電池(光電気化学電池)の正極として働くものであることが好ましい。対極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。対極の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光体層に光が到達するためには、前述の導電性支持体と対極との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の色素増感太陽電池においては、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。色素増感太陽電池の対極としては、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラス、又はプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。色素増感太陽電池では、構成物の蒸散を防止するために、電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
本発明は、特許第4260494号公報、特開2004−146425号公報、特開2000−340269号公報、特開2002−289274号公報、特開2004−152613号公報、特開平9−27352号公報に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。また、特開2004−152613号公報、特開2000−90989号公報、特開2003−217688号公報、特開2002−367686号公報、特開2003−323818号公報、特開2001−43907号公報、特開2000−340269号公報、特開2005−85500号公報、特開2004−273272号公報、特開2000−323190号公報、特開2000−228234号公報、特開2001−266963号公報、特開2001−185244号公報、特表2001−525108号公報、特開2001−203377号公報、特開2000−100483号公報、特開2001−210390号公報、特開2002−280587号公報、特開2001−273937号公報、特開2000−285977号公報、特開2001−320068号公報等に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。
<<光電変換素子用電子移動促進剤>>
式(1)で表される化合物(KWA)は、光電変換素子に用いられると、上記のように、半導体微粒子22を形成する材料の伝導帯のエネルギーレベルを深化させる効果と、励起電子の電子移動を促進する効果を発揮する。したがって、化合物(KWA)は光電変換素子用電子移動促進剤ということもできる。化合物(KWA)は、光電変換素子用の電解質組成物、又は、光電変換素子の半導体微粒子もしくは感光体層の表面処理液に添加されて、例えば光電変換素子を製造するのに使用される。
<<電解質組成物及び表面処理液>>
本発明の光電変換素子及び色素増感太陽電池は、電解質組成物、及び、半導体微粒子又は感光体層の表面処理液の少なくとも一方を用いて、製造されるのが好ましい。電解質組成物及び表面処理液は、上記化合物(KWA)を添加剤、好ましくは光電変換素子用電子移動促進剤として含有する。
電解質組成物は、光電変換素子の電解質となる材料である。この電解質組成物は、電解質として、上記の液体電解質、ゲル電解質及び溶融塩のいずれを含有してもよいが、液体電解質が好ましい。これらの電解質が有する成分及び有機溶媒ならびに含有量は上述した通りである。
光電変換素子や色素増感太陽電池における電解質組成物の水分含有量の調整は、本発明の効果を奏するうえで好ましく、例えば、この電解質組成物の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することがより好ましい。上記化合物(KWA)の含有量は上記の通りである。
この電解質組成物は、光電変換素子の製造において、感光体層と対極の間に設けられる。例えば、液体電解質であれば感光体層と対極の間に注入又は流入させることができる。
表面処理液は、上記化合物(KWA)を含有していればよく、通常、溶媒を含有する組成物である。溶媒としては、特に限定されないが、上記電解質で例示したものと同じものを挙げることができる。
表面処理液が含有してもよいその他の成分として、上記添加物及び共吸着剤等が挙げられる。
表面処理液中の、上記化合物(KWA)の濃度は、特に限定されないが、例えば、0.01〜1.0モル/Lが好ましく、0.05〜0.5モル/Lがより好ましい。
この表面処理液は、光電変換素子の製造において、半導体微粒子又は感光体層に塗布、又は浸漬液として使用される。具体的には、色素を吸着させた半導体微粒子を有する基板を、上記化合物(KWA)を0.05モル/Lの濃度で含有するアセトニトリル溶液に30分間浸す等の方法が挙げられる。
<<光電変換素子及び色素増感太陽電池の製造方法>>
本発明において、上記化合物(KWA)は導電性支持体及び対極の間に存在している。
電荷移動体層が上記化合物(KWA)を含有する光電変換素子及び色素増感太陽電池は、上記化合物(KWA)を含有する電解質組成物を用いて電荷移動体層を設けて、製造するのが好ましい。電解質組成物を用いて電荷移動体層を設ける方法は、特に限定されず、液体電解質の場合は上記の方法が挙げられる。
また、半導体微粒子の表面に上記化合物(KWA)を有する光電変換素子及び色素増感太陽電池は、上記化合物(KWA)を含有する表面処理液を用いて、半導体微粒子又は感光体層を表面処理して、製造するのが好ましい。表面処理液を用いて半導体微粒子又は感光体層を表面処理する方法は上述した通りである。また、上記化合物(KWA)及び色素を含有する色素溶液を用いて色素とともに上記化合物(KWA)を半導体微粒子に吸着させて、製造する方法も好ましい。
さらに、電荷移動体層及び半導体微粒子の表面に上記化合物(KWA)を有する光電変換素子及び色素増感太陽電池は、上記電解質組成物を用いる方法により、又は、上記電解質組成物を用いる方法及び上記表面処理液を用いる方法の両方法の併用により、製造するのが好ましい。
本発明においては、上記式(2)で表される金属錯体色素を含有する色素溶液を使用して色素吸着電極を製造することが好ましい。このような色素溶液には、上記金属錯体色素が溶媒に溶解されてなり、必要により共吸着剤や他の成分、例えば上記化合物(KWA)を含んでもよい。
使用する溶媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが、特にこれに限定されない。本発明においては有機溶媒が好ましく、さらにアルコール類、アミド類、ニトリル類、炭化水素類、及び、これらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混合溶媒としては、アルコール類と、アミド類、ニトリル類又は炭化水素類から選択される溶媒との混合溶媒が好ましい。さらに好ましくはアルコール類とアミド類、アルコール類と炭化水素類の混合溶媒、特に好ましくはアルコール類とアミド類の混合溶媒である。具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが好ましい。
色素溶液は共吸着剤を含有することが好ましい。
ここで、色素溶液は、光電変換素子や色素増感太陽電池を作成する際に、この溶液をこのまま使用できるように、色素や共吸着剤が濃度調整されているものが好ましい。本発明においては、色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。
色素溶液は、水分含有量を調整することが特に好ましく、従って、本発明では水の含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
本発明においては、上記色素溶液を用いて、半導体電極が備える半導体微粒子表面に金属錯体色素を担持させてなる色素増感太陽電池用の半導体電極である色素吸着電極が好ましい。すなわち、色素増感太陽電池用の色素吸着電極は、上記色素溶液から得られてなる組成物を、半導体微粒子を付与した導電性支持体上に塗布し、塗布後に硬化させて、感光体層としたものが好ましい。
本発明においては、この色素増感太陽電池用の色素吸着電極を使用し、電解質、及び対極を準備し、これらを用いて組み立てることで、色素増感太陽電池を製造することが好ましい。
以下に実施例に基づき、本発明について更に詳細に説明するが、本発明がこれに限定して解釈されるものではない。
合成例1
<金属錯体色素の合成>
以下に、実施例で用いる金属錯体色素の合成方法を詳しく説明するが、出発物質、色素中間体及び合成ルートについてはこれにより限定されるものではない。
(金属錯体色素D−25の合成)
以下のスキームに従って、金属錯体色素D−25を合成した。
金属錯体色素D−25の合成に当たり、下記に示す金属錯体色素D−1の合成に準拠した。
Figure 2015220262
得られた金属錯体色素D−25の可視吸収スペクトルを図3に示す。N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を測定溶媒とし、17μモル/Lの濃度で、株式会社島津製作所製のUV−3600で測定した。
また、後述の実施例1における試料番号101に準じてモデル的な半導体膜(金属錯体色素D−25を吸着させた酸化チタン膜)の可視吸収スペクトルを図4に示す。
DMF溶液の可視吸収スペクトル(図3)は、金属錯体色素D−25を吸着させた酸化チタン膜の可視吸収スペクトル(図4)と吸収ピークの波長が互いに対応し、吸収スペクトルとしてほぼ相似していることがわかる。また、両吸収スペクトルは、700nmの波長を超えた長波長領域まで吸収ピークの裾が広がっており、金属錯体色素D−25の吸収スペクトル領域が長波長化されていることが確認された。
(金属錯体色素D−1の合成)
以下のスキームに従って金属錯体色素D−1を合成した。
Figure 2015220262
(i)化合物3の合成
化合物1 1g、化合物2 2.08gをTHF(テトラヒドロフラン)62mlに溶解し、Pd(PPh 371mg及び2規定の炭酸カリウム12.5ml水溶液を添加後、80℃で一晩反応させた。得られた溶液に水100ml、ヘキサン40ml、酢酸エチル60mlを添加し、分液抽出後、有機層を濃縮し、得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物3を1.59g得た。
(ii)化合物5の合成
化合物3 1.59g、トリフルオロ酢酸エチルをトルエン16mlに溶解し、氷冷下、カリウムtert−ブトキシド 1.27gを窒素雰囲気下で添加した。室温で30分
攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液40mlと酢酸エチル40mlを添加し、分液抽出後、有機層を濃縮した。得られた粗精製物にエタノール19ml、ヒドラジン一水和物305mgを加え、90℃で30分攪拌後、12規定塩酸水溶液を310μl添加して30分攪拌後、減圧濃縮した。
その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlと酢酸エチル20mlを加え、分液抽出後、有機層を濃縮し、得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物5を1.54g得た。
(iii)化合物8の合成
化合物7 5gに対して化合物6 2当量をTHF(テトラヒドロフラン)200mlに溶解し、窒素雰囲気下、カリウムtert−ブトキシド4当量を0℃で攪拌しながら添加し、70℃に加熱して一晩攪拌した。得られた溶液に、酢酸とエタノールを過剰に滴下し、酢酸アンモニウムを過剰に添加し、70℃で一晩攪拌した。減圧濃縮後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlと塩化メチレン100mlを加え、分液抽出後、有機層を濃縮し、得られた粗精製物をメタノールで再結晶して、化合物8を1.01g得た。
(iv)化合物9の合成
化合物8 1.0gをピリジン20ml、水10mlに溶解し窒素雰囲気下、過マンガン酸カリウムを添加し室温で一晩攪拌した。得られた溶液に、チオ硫酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、ろ過で生成した二酸化マンガンを除去後、ろ液を濃縮して得られた粗精製物をアセトニトリルで再結晶して、化合物9を620mg得た。
(v)化合物10の合成
化合物9 600mgに対して、シアノ酢酸2当量、ピペリジン4当量をDMF(ジメチルホルムアミド)中に溶解し、60℃で一晩攪拌した。減圧濃縮後、得られた粗精製物をメタノールで再結晶して、化合物10を460mg得た。
化合物10
MSデータ [M−H]=329
(vi)金属錯体色素D−1の合成
化合物10 450mgに対して、塩化ルテニウム1.0当量をエタノール中で加熱還流を5時間させた後、室温まで冷却した後に、ろ過し、得られた残渣に化合物5 1当量、トリエチルアミン4当量を加え、ジエチレングリコールモノエチルエーテル30ml中、110℃で2時間攪拌した。減圧濃縮後、得られた粗精製物をアセトニトリルで再結晶後、得られた結晶をチオシアン酸アンモニウムとDMF中で加熱攪拌し、減圧濃縮することで粗精製物を得た。得られた粗精製物をTBAOH(水酸化テトラブチルアンモニウム)と共にメタノール溶液に溶解し、SephadexLH−20カラムで精製した。主層の分画を回収し濃縮後トリフルオロメタンスルホン酸溶液を加え、pH3に調整し、析出物をろ過し、金属錯体色素D−1を240mg得た。
(金属錯体色素D−26の合成)
以下のスキームに従って、金属錯体色素D−1、D−25と同様にして、金属錯体色素D−26を合成した。
Figure 2015220262
金属錯体色素D−26は以下のスキームによる方法でも合成を行った。
Figure 2015220262
(i)化合物21の合成
化合物20(2−アセチル 4−メチルピリジン)25gをテトラヒドロフラン(THF)200mlに溶解し、窒素雰囲気下、0℃で攪拌しならがら、ナトリウムエトキシド18.9gを添加し15分攪拌した。その後、トリフルオロ酢酸エチル28.9gを滴下し、外温70℃で20時間攪拌した。室温に戻した後、塩化アンモニウム水溶液を滴下、分液し、有機層を濃縮し、化合物21の粗精製物を72.6g得た。
(ii)化合物22の合成
化合物21 72.6gをエタノール220mlに溶解し、窒素雰囲気下、室温で攪拌しながら、ヒドラジン1水和物5.6mlを添加し、外温90℃で12時間加熱した。その後、濃塩酸5mlを添加し、1時間攪拌した。濃縮後、重曹水150mlと酢酸エチル150mlで抽出・分液後、有機層を濃縮した。アセトニトリルで再結晶後、化合物22を31.5g得た。
(iii)化合物23の合成
ジイソプロピルアミン 4.1gとテトラヒドロフラン30mlを窒素雰囲気下、−40℃で攪拌しながら、1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液を23.1ml滴下した後、2時間攪拌した。その後、化合物22 4.0gを添加し0℃で80分攪拌した後、2−ヘキシルチオフェン−5−カルボキシアルデヒド 5.00gをテトラヒドロフラン15mlに溶解した溶液を滴下した。その後、0℃で80分攪拌し、室温で5時間攪拌した。その後塩化アンモニウム溶液を添加し、酢酸エチルで抽出分液した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、化合物23を5.0g得た。
(iv)化合物24の合成
化合物23 4.9gとPPTS(ピリジニウムパラトルエンスルホン酸)4.1gを、トルエン50mlに加え、窒素雰囲気下で5時間加熱還流を行った。濃縮後、飽和重曹水及び塩化メチレンで分液を行い、有機層を濃縮した。得られた結晶はメタノール及び塩化メチレンで再結晶後、化合物24を3.2g得た。
(v)化合物25の合成
ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー 1.22g、化合物24 1.62gをエタノール150mlに加え窒素雰囲気下70℃で3時間攪拌した。その後、室温に戻し、重曹水、酢酸エチルを加えて分液操作を施し、有機層を減圧濃縮した。得られた粗生成物にアセトニトリルを加えて再結晶し、ろ過、乾燥を経て化合物25を1.5g得た。
このようにして合成した化合物25を下記の反応スキームで、配位子である化合物27で化合物28を合成し、化合物29を経由して、金属錯体D−26を合成した。
Figure 2015220262
(vi)化合物12の合成
2,6−ジクロロ−4−ピリジンカルボキシアルデヒド4.30g、p−トルエンスルホン酸1.49g、脱水トルエン50mlを三つ口フラスコに入れ撹拌した。そこへ、エチレングリコール3.0mlを加え、Dean−Starkを設置し140℃のオイルバスで6h加熱還流させた。室温に戻し、5%重曹水50mlをゆっくり滴下した後、分液操作により有機層を抽出した。水層にトルエン50mlを加え抽出する操作を2回繰り返し、有機層を合わせ、減圧濃縮した。ヘキサン/酢酸エチルを溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物12を4.91g得た。さらに、このスケールをアップして反応を行い、化合物12を30g合成した。
(vii)化合物11の合成
2−ブロモ−4−ピリジンカルボキシアルデヒド50gを用いて、化合物12と同様の合成方法により、化合物11 58.0gを合成した。
(viii)化合物13の合成
化合物11 20.71g、脱水トルエン400ml、ヘキサメチルジチン30.96gを三つ口フラスコに入れ、撹拌しながら窒素置換した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム10.4gを加え、140℃のオイルバスで2時間加熱還流させた。その後、化合物12 8.21gを添加し、再度窒素置換を施した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム10.4gを加え、140℃のオイルバスで12時間加熱還流させた。室温に戻し、クロロホルム200mlを加え超音波を施した後、セライトろ過、減圧濃縮した。これをトルエン/酢酸エチルを溶離液としたアルミナカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物13を9.09g得た。得られた化合物の同定はH−NMRとMSスペクトルで行った。
化合物13
MSデータ [M−H]=450
H−NMRスペクトルを図18に示す。
(ix)化合物26の合成
化合物13 6.0g、濃塩酸120mlを三つ口フラスコに入れ、70℃のオイルバスで2時間加熱撹拌した。その後、蒸留水180mlを加え、1時間加熱撹拌した。室温に戻し、重曹水1200mlを滴下し、生成した結晶をろ過、水洗、乾燥し、化合物26を4.18g得た。得られた化合物の同定はH−NMRとMSスペクトルで行った。
化合物26
MSデータ [M−H]=318
H−NMRスペクトルを図19に示す。
(x)化合物27の合成
化合物26 2g、脱水テトラヒドロフラン200mlを三つ口フラスコに入れ、95℃のオイルバスで加熱撹拌した。完溶後、炭酸カリウム8.72g、ジエチルホスホノ酢酸エチル7.07gを加え、窒素下で2時間加熱還流させた。室温に戻し、蒸留水600mlを加え、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、化合物27を2.6g得た。得られた化合物の同定はH−NMRとMSスペクトルで行った。
化合物27
MSデータ [M−H]=528
H−NMRスペクトルを図20に示す。
(xi)化合物28の合成
化合物25 640mg、化合物27 500mg、N,N−ジメチルホルムアミド10mlを三つ口フラスコに入れ、130℃で3時間加熱撹拌した。室温に戻し、飽和食塩水、酢酸エチルを加え、分液操作を施した後、有機層を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物28を300mg得た。
(xii)化合物29の合成
化合物28 200mg、チオシアン酸アンモニウム142mg、N,N−ジメチルホルムアミド4mlを三つ口フラスコに入れ、130℃で2時間加熱撹拌した。室温に戻し、飽和食塩水、酢酸エチルを加え、分液操作を施した後、有機層を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物29を110mg得た。
(xiii)金属錯体色素D−26の合成
化合物29 97mg、N,N−ジメチルホルムアミド6mlを三つ口フラスコに入れ、0℃に冷却した。撹拌しながら、3N水酸化ナトリウム水溶液を過剰量加え、6時間撹拌した。次に、予め調整しておいた1Nのトリフルオロメタンスルホン酸水溶液を加えて酸性にし、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、金属錯体色素D−26を87mg得た。
得られた金属錯体色素D−26の可視吸収スペクトルを図5、6に示す。
金属錯体色素D−25と同じく、株式会社島津製作所製のUV−3600により、17μモル/Lの濃度で、340mmol/Lテトラブチルアンモニウムヒドロキサイド(TBAOH)含有メタノール溶液で測定した可視吸収スペクトルを図5に示す。また、後述の実施例1における試料番号102に準じてモデル的な半導体膜(金属錯体色素D−26を吸着させた酸化チタン膜)の可視吸収スペクトルを図6に示す。
340mmol/Lテトラブチルアンモニウムヒドロキサイド(TBAOH)含有メタノール溶液の可視吸収スペクトル(図5)は、金属錯体色素D−26を吸着させた酸化チタン膜の可視吸収スペクトル(図6)と吸収ピークの波長が互いに対応し、吸収スペクトルとしてほぼ相似していることがわかる。また、両吸収スペクトルは、700nmの波長を超えた長波長領域まで吸収ピークの裾が広がっており、半導体膜としても長波長化されていることが確認できた。
(金属錯体色素D−59の合成)
以下のスキームに従って、金属錯体色素D−1、D−25、D−26と同様にして、金属錯体色素D−59を合成した。
Figure 2015220262
なお、化合物14のMSスペクトルを下記に示す。
化合物14
MSデータ [M−H]=612
(金属錯体色素D−62の合成)
以下のスキームに従って、化合物34を合成し、金属錯体色素D−26、D−59と同様にして、金属錯体色素D−62を合成した。
Figure 2015220262
なお、化合物31〜34のMSスペクトルを下記に示す。
化合物31
MSデータ [M−H]=450
化合物32
MSデータ [M−H]=334
化合物33
MSデータ [M−H]=474
化合物34
MSデータ [M−H]=502
H−NMRスペクトルを図21に示す。
(金属錯体色素D−77の合成)
化合物50を出発物質として、J.Heterocycl.Chem.,2008,45,91−96に記載の方法と同様の方法で化合物51〜53を合成し、続いて化合物53と化合物30を用いて、Stilleカップリングを行うことで化合物54を得た。得られた化合物の同定はESI−MSにより行った。化合物54を用いて、後述の金属錯体色素D−140と同様にして金属錯体色素D−77を合成した。化合物の同定は、ESI−MSにより行った。
Figure 2015220262
なお、化合物54のMSスペクトルを下記に示す。
化合物54
MSデータ [M−H]=562
(金属錯体色素D−91の合成)
金属錯体色素D−25、D−26、D−59と同様にして、金属錯体色素D−91を合成した。
(金属錯体色素D−136の合成)
以下のスキームに従って、化合物41を合成し、金属錯体色素D−26、D−59と同様にして、金属錯体色素D−136を合成した。
Figure 2015220262
(i)化合物37の合成
化合物20 10g、エチレングリコール8.24ml、p−トルエンスルホン酸一水和物4.22g、脱水トルエン200mlを三つ口フラスコに入れ、140℃で5時間加熱撹拌した。室温に戻し、重曹水、トルエンを加え、分液操作を施し、有機層を減圧濃縮した。ヘキサン/酢酸エチルを溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物37を11.78g得た。
(ii)化合物38の合成
ジイソプロピルアミン12.89g、脱水テトラヒドロフラン(THF)60mlを窒素置換した三つ口フラスコに入れ、−60℃に冷却した。n−ブチルリチウム72mlをゆっくり滴下し、30分撹拌した。ジイソプロピルアミン188mlをゆっくり滴下した後、−50℃に昇温し、テトラヒドロフラン5mlに溶解させた化合物37 9.85gの溶液を滴下した。その後、0℃に昇温し、テトラヒドロフラン45mlに溶解させた1−ブロモ−2−エチルヘキサン23.4gの溶液を滴下し、2時間撹拌させた。塩化アンモニウム水溶液100mlを加え、分液操作を施し、有機層を減圧濃縮した。ヘキサン/酢酸エチルを溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物38を7.3g得た。
(iii)化合物39の合成
化合物38 6.60g、濃塩酸25mlを三つ口フラスコに入れ、90℃で30分加熱撹拌した。室温に戻し、反応液を重曹水にゆっくり滴下し、酢酸エチル200mlを加えた。有機層を減圧濃縮し、化合物39を5.73g得た。
(iv)化合物41の合成
化合物39 5.73g、トリフルオロ酢酸エチル7.61g、脱水トルエン100mlを三つ口フラスコに入れ、室温で撹拌しながらt−ブトキシカリウム5.44gを添加し1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液100ml、酢酸エチル20mlを加え、分液操作を施し、有機層を濃縮した。そこへ、エタノール、ヒドラジン一水和物1.50gを加え、90℃で1時間加熱還流させた。塩酸7ml、蒸留水200ml、酢酸エチル200mlを加え、分液操作を施し、有機層を重曹水200mlにゆっくり滴下した。分液操作を施し、ヘキサン/酢酸エチルを溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物41を6.04g得た。
(金属錯体色素D−140の合成)
以下のスキームに従って、化合物45を合成し、金属錯体色素D−26、D−59と同様にして、金属錯体色素D−140を合成した。
Figure 2015220262
(i)化合物42の合成
ナトリウム−tert−ブトキシド 2.47g、キシレン25ml、4−アミノ−2−クロロピリジン 1.5g、4−ヨードペンチルベンゼン9.60gを三つ口フラスコに入れ、窒素置換した。撹拌しながらトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.534g、トリ−tert−ブチルホスフィン0.472gを加え、2時間加熱還流させた。室温に戻し、氷水、酢酸エチルを加え、有機層を減圧濃縮した。ヘキサン/酢酸エチルを溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物42を3.7g得た。
(ii)化合物44の合成
J.Org.Chem.,2008,73,p.4309−4312に記載の方法に従って合成した化合物43 2.66g、化合物42 2.70g、三リン酸カリウム5.45g、1,2−ジメトキシエタン54mlを三つ口フラスコに入れ、窒素置換した。撹拌しながらXphos GIII 0.54gを加え、3時間加熱還流させた。室温に戻し、セライトろ過を施し、溶媒を減圧留去した後、ヘキサン/酢酸エチルを溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物44を1.82g得た。
(iii)化合物45の合成
化合物44 1.70g、塩酸/酢酸エチル溶液28mlを三つ口フラスコに入れ、1時間撹拌させた。その後、重曹水を加えて、分液操作を施し、有機層を濃縮した。140℃で減圧させることで、化合物45を3.7g得た。
(金属錯体色素D−141の合成)
以下のスキームに従って、化合物49を合成し、金属錯体色素D−140と同様にして、金属錯体色素D−141を合成した。
Figure 2015220262
上記のようにして合成した金属錯体色素のうち、金属錯体色素D−59、D−62、D−77、D−136、D−140、D−141の可視吸収スペクトルを図7〜17に示す。
測定は、金属錯体色素D−25、D−26と同じく、株式会社島津製作所製のUV−3600により行った。
図7は、金属錯体色素D−59の17μモル/Lの濃度で、340mmol/Lテトラブチルアンモニウムヒドロキサイド(TBAOH)含有メタノール溶液での可視吸収スペクトルである。図8は金属錯体色素D−62のDMF溶液、図9は金属錯体色素D−62のモデル的半導体膜、図10は金属錯体色素D−136のDMF溶液、図11は金属錯体色素D−136のモデル的半導体膜、図12は金属錯体色素D−140のDMF溶液、図13は金属錯体色素D−140のモデル的半導体膜、図14は金属錯体色素D−141のDMF溶液、図15は金属錯体色素D−141のモデル的半導体膜の可視吸収スペクトルである。図16は金属錯体色素D−77の17μモル/Lの濃度で10%テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド(TBAOH)含有メタノール溶液での可視吸収スペクトル、図17は金属錯体色素D−77のモデル的半導体膜での可視吸収スペクトルである。
なお、各金属錯体色素のDMFの溶液において、金属錯体色素の濃度は17μモル/Lとした。また、各モデル的な半導体膜は、後述の実施例1における試料番号103〜109それぞれに準じて、作製した。
上記金属錯体色素D−26と同様に、各金属錯体色素において、TBAOH含有メタノール溶液又はDMF溶液の可視吸収スペクトルと、モデル的半導体膜の可視吸収スペクトルとは、吸収スペクトルとして、ほぼ相似していることがわかる。
また、各吸収スペクトルは、700nmの波長を超えた長波長領域まで吸収ピークの裾が広がっており、各金属錯体色素を吸着された半導体膜としても吸収スペクトルが長波長化されていることが確認できた。
得られた例示の金属錯体色素の構造はMS(マススペクトル)測定により確認した。
マススペクトル(MS)の測定結果を下記表2に示す。
Figure 2015220262
実施例1
下記化合物KWA−1〜KWA−8を用いた。
Figure 2015220262
〔色素増感太陽電池の製造〕
合成例1で合成した色素又は下記比較化合物(1)〜(4)、及び、各化合物(KWA1〜8又はTBP)を用いて、下記のようにして、色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。
以下に示す手順により、特開2002−289274号公報に記載の図5に示されている光電極12と同様の構成を有する光電極を作製し、さらに、光電極を用いて、同公報の図3における光電極以外は色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する5mm×5mmのスケールの色素増感太陽電池20を作製した。具体的な構成は本願に添付の図2に示した。
本願の図2では、41が透明電極、42が半導体電極、43が透明導電膜、44が基板、45が半導体層、46が光散乱層、40が光電極、20が色素増感太陽電池、CEが対極、Eが電解質、Sがスペーサーである。
(ペーストの調製)
(ペーストA)球形のTiO粒子(アナターゼ、平均粒径;25nm、以下、球形TiO粒子Aという)を硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
(ペースト1)球形TiO粒子Aと、球形のTiO粒子(アナターゼ、平均粒径;200nm、以下、球形TiO粒子Bという)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO粒子Aの質量:TiO粒子Bの質量=30:70)を調製した。
(ペースト2)ペーストAに、棒状TiO粒子(アナターゼ、直径;100nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO粒子Cという)を混合し、棒状TiO粒子Cの質量:ペーストAの質量=30:70のペーストを調製した。
(光電極の作製)
ガラス基板44上にフッ素ドープされたSnO導電膜43(膜厚;500nm)を形成した透明電極41を準備した。そして、このSnO導電膜上に、上述のペースト1をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、450℃の条件のもとで焼成した。更に、ペースト2を用いてこのスクリーン印刷と焼成とを繰り返すことにより、SnO導電膜上に図2に示す半導体電極42と同様の構成の半導体電極(受光面の面積;5mm×5mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;6μm、光散乱層の層厚;4μm、光散乱層に含有される棒状TiO粒子Cの含有率;30質量%)を形成し、金属錯体色素を含有していない光電極を作製した。
(色素吸着)
次に、半導体電極(色素吸着電極の前駆体)に金属錯体色素を以下のようにして吸着させた。先ず、マグネシウムエトキシドで脱水した無水t−ブタノールとジメチルホルムアミドの1:1(体積比)の混合物を溶媒として、下記表3に記載の金属錯体色素を3×10−4モル/Lとなるように溶解し、さらに共吸着剤としてコール酸を金属錯体色素1モルに対して20モル加え、各色素溶液を調製した。この色素溶液をカール・フィッシャー滴定により水分量を測定したところ、水分含有量は0.01質量%未満であった。次に、この溶液に半導体電極を25℃20時間浸漬し、引き上げ後乾燥させることにより、半導体電極に色素が吸着した光電極40をそれぞれ完成させた。
(色素増感太陽電池の組み立て)
次に、対極として上記の光電極と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚さ;100nm)、電解液として、ヨウ素0.1M(=モル/L)、ヨウ化リチウム0.05M、下記表3に記載の化合物0.5Mを含むヨウ素系レドックスアセトニトリル溶液(電解質組成物)を調製した。更に、半導体電極の大きさに合わせた形状を有するデュポン社製のスペーサーS(商品名:「サーリン」)を準備し、光電極40と対極CEを、スペーサーSを介して対向、熱圧着させ、内部に上記の電解質を充填して、ナガセケムテック製レジンXNR−5516を用いて作成した電池の外周及び電解液注入口を封止、硬化し、各色素増感太陽電池(試料番号101〜116、c11〜c15)をそれぞれ完成させた。
これらの各色素増感太陽電池の性能を下記のようにして評価した。
<光電変換効率の評価>
電池特性試験は、ソーラーシミュレーター(WACOM社製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率を求めた。求められた光電変換効率が、試料番号c11に対し、以下の基準で評価した。
A:1.5倍以上のもの
B:1.0倍より大きく1.5倍未満のもの
C:1.0倍以下のもの
下記表3には変換効率として示す。
Figure 2015220262
Figure 2015220262
比較化合物(1)は特開2002−105346号公報に記載の化合物D−11であり、比較化合物(2)は特開2002−241733号公報に記載の化合物R−1であり、比較化合物(3)は特開2002−241733号公報に記載の化合物R−10であり、比較化合物(4)は特開2002−241733号公報に記載の化合物R−12である。
上記表3の結果から明らかなように、式(1)で表される化合物(KWA)及び式(2)で表される金属錯体色素を用いて作製した光電変換素子の色素増感太陽電池は、いずれも、TBP及び比較化合物(1)を用いて作製した光電変換素子の色素増感太陽電池(試料番号c11)に比べて、光電変換効率が顕著に向上していることがわかる。
このように、本発明の光電変換素子及び色素増感太陽電池は、式(1)で表される化合物(KWA)及び式(2)で表される金属錯体色素を併用することにより、金属錯体色素の吸収スペクトルの、長波長化による光電変換性能の向上効果を十分に発揮し、顕著な光電変換性能を有していた。
これに対して、式(1)で表される化合物(KWA)及び従来の金属錯体色素を用いて作製した光電変換素子の色素増感太陽電池(試料番号c12〜c15)は、いずれも、光電変換効率が低かった。
1 導電性支持体
2 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3 電荷移動体層
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子
100 色素増感太陽電池を利用したシステム
M 動作手段(例えば電動モーター)
20 色素増感太陽電池
40 光電極
41 透明電極
42 半導体電極
43 透明導電膜
44 基板
45 半導体層
46 光散乱層
CE 対極
E 電解質
S スペーサー

Claims (10)

  1. 導電性支持体上に、色素が担持された半導体微粒子を有する感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とをこの順で有する光電変換素子であって、前記導電性支持体及び前記対極の間に下記式(1)で表される化合物を含み、前記色素が下記式(2)で表される光電変換素子。
    Figure 2015220262
    式(1)中、Xは酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
    1A及びR1Bは各々独立に水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、−OR1C、−N(R1D)(R1E)、−C(=O)R1F、−C(=S)R1G又はSO1Hを表す。
    Yは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、−OR1C、−N(R1K)(R1L)又は−SR1Mを表す。
    1C及びR1Mは各々独立に水素原子又は脂肪族炭化水素基を表す。R1D、R1E、R1K及びR1Lは各々独立にR1Aと同義であり、R1F、R1G及びR1Hは各々独立にYと同義である。ただし、式(1)で表される化合物は窒素原子に結合する水素原子を少なくとも1つ有する。
    式(2) M(LA)(LD)(LX)mX・(CI)mY
    式(2)中、Mは金属イオンを表す。LAは下記式(AL)で表される3座の配位子を表す。LDは2座の配位子又は前記LAとは異なる3座の配位子を表す。ここで、該2座の配位子又は該3座の配位子における金属イオンMと結合する配位原子の少なくとも1つはアニオンである。LXは単座の配位子を表す。mXはLDが2座の配位子のとき1を表し、LDが3座の配位子のとき0を表す。CIは電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表す。mYは0〜3の整数を表す。
    Figure 2015220262
    式(AL)中、環A、環B及び環Cは各々独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。ここで、ZとN原子の間の結合及びZとN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。Z及びZは各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。
    Anc1〜Anc3は各々独立に酸性基を表す。l1及びl3は各々独立に1〜4の整数、l2は1〜5の整数をそれぞれ表す。
    及びXは各々独立に単結合又は連結基を表し、Xは少なくとも1つのAnc2が結合するXの原子と環Bの含窒素芳香族ヘテロ環とがπ共役で連結する連結基又は単結合であって、連結基である場合には該連結鎖中にエテニレン基、エチニレン基、アリーレン基又はヘテロアリーレン基を含む。Xと環A、Xと環B、Xと環Cは結合して縮環を形成してもよい。m1及びm3は各々独立に0〜4の整数を表し、m2は1〜3の整数を表す。Xが単結合の場合、m1又はm3は1〜4の整数を表し、かつ、X又はXは連結基を表す。
    〜Rは各々独立にAnc1〜Anc3を有しない置換基を表す。n1及びn2は各々独立に0〜3の整数を表し、n3は0〜4の整数を表す。R〜Rが各々においてそれぞれ複数存在する場合、これらは互いに結合して環を形成してもよい。
  2. 前記Xが、酸素原子又は硫黄原子である請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記Yが、前記−N(R1K)(R1L)である請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記R1A及びR1Bの一方が水素原子であり、他方が前記脂肪族炭化水素基、前記アリール基、前記ヘテロ環基、前記−OR1C、前記−N(R1D)(R1E)、前記−C(=O)R1F、前記−C(=S)R1G又は前記SO1Hのいずれかである請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記R1A及びR1Bがともに水素原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記R1K及びR1Lのいずれか一方が水素原子であり、他方が前記脂肪族炭化水素基、前記アリール基、前記ヘテロ環基、前記−OR1C、前記−N(R1D)(R1E)、前記−C(=O)R1F、前記−C(=S)R1G又は前記SO1Hのいずれかである請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 前記Xが、各々独立に、単結合、又は、下記式(X−1)〜(X−6)のいずれかで表される各連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 2015220262
    式中、Qは−S−、−O−、−N(RXA)−、−C(RXB)(RXC)−及び−Si(RXB)(RXC)−から選ばれる基を表す。ここで、RXA〜RXCは各々独立に水素原子又は置換基を表す。また、RXBとRXCが互いに結合して環を形成してもよい。RX1〜RX9は各々独立に水素原子又は置換基を表す。ここで、RX1とRX2、RX3とRX4、RX4とRX5、RX5とRXA、RX5とRXB、RX6とRX7、RX8とRX9の各々において互いに結合して環を形成してもよい。RX1〜RX4、RX6〜RX9は前記環Bと結合して縮環を形成してもよい。*は前記環Bとの結合位置を表し、**は前記Anc2との結合位置を表す。
  8. 前記X及びXの少なくとも1つが、各々独立に、下記式(X−1)〜(X−6)のいずれかで表される各連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 2015220262
    式中、Qは−S−、−O−、−N(RXA)−、−C(RXB)(RXC)−及び−Si(RXB)(RXC)−から選ばれる基を表す。ここで、RXA〜RXCは各々独立に水素原子又は置換基を表す。また、RXBとRXCが互いに結合して環を形成してもよい。RX1〜RX9は各々独立に水素原子又は置換基を表す。ここで、RX1とRX2、RX3とRX4、RX4とRX5、RX5とRXA、RX5とRXB、RX6とRX7、RX8とRX9の各々において互いに結合して環を形成してもよい。RX1〜RX4、RX6〜RX9は前記環A又は環Cと結合して縮環を形成してもよい。*は前記環A又は環Cとの結合位置を表し、**は前記Anc1又はAnc3との結合位置を表す。
  9. 前記式(2)が、下記式(2−1)又は(2−2)で表される請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 2015220262
    式中、M及びLXは前記式(2)におけるM及びLXと同義であり、Anc1〜Anc3、X〜X、l1〜l3、m1〜m3、R〜R、n1〜n3は前記式(AL)におけるAnc1〜Anc3、X〜X、l1〜l3、m1〜m3、R〜R、n1〜n3と同義である。
    環D及び環Eは各々独立に5又は6員環の芳香族環を表す。D及びDは各々独立に水素原子が解離してMに結合する炭素原子又は水素原子が解離してMに結合する窒素原子を表す。ここで、環D及び環E中のD及びDと、ピリジン環と結合する炭素原子との間の結合は、単結合でも二重結合でもよい。
    a1〜Ra4は各々独立に置換基を表す。ma1、ma2及びma4は各々独立に0〜3の整数を表す。ma3は0〜4の整数を表す。
    ma1〜ma4の各々において、2以上の整数のとき、複数のRa1〜複数のRa4は互いに結合して環を形成してもよい。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換素子を具備する色素増感太陽電池。
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