JP6033144B2 - 光電変換素子、色素増感太陽電池、金属錯体、金属錯体色素、色素溶液、色素吸着電極の製造方法および色素増感太陽電池の製造方法 - Google Patents

光電変換素子、色素増感太陽電池、金属錯体、金属錯体色素、色素溶液、色素吸着電極の製造方法および色素増感太陽電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子、色素増感太陽電池、金属錯体、金属錯体色素、色素溶液、色素吸着電極の製造方法および色素増感太陽電池の製造方法に関する。
光電変換素子は各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。この光電変換素子には金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたもの、あるいはこれらを組み合わせたものなどの様々な方式が実用化されている。特に、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、燃料が不要であり、無尽蔵のクリーンエネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。その中でも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められ、各国の政策的な配慮もあって普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループットおよびコスト等の改良には自ずと限界がある。
そこで色素増感太陽電池の研究が精力的に行われている。特にその契機となったのは、スイス ローザンヌ工科大学のGraetzel等の研究成果(特許文献1参照)である。彼らは、ポーラス酸化チタン薄膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した構造を採用し、アモルファスシリコン並の変換効率を実現した。これにより、高価な真空装置を使用しなくても製造できる色素増感太陽電池が一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
現在までに、光電変換素子に使用される金属錯体色素として一般的にN3、N719、Z907、J2と呼ばれる色素等が開発されている。
長波なルテニウム錯体としてはターピリジン配位子を有する「ブラックダイ」が知られており(特許文献1)、最近は、可視光の長波長領域の分光感度特性の向上を目的に、ターピリジン配位子を有するルテニウム金属錯体色素が多数提案されている(特許文献2または3参照)。
特許第4298799号公報 米国特許出願公開第2010/0258175号明細書 国際公開第12/121236号パンフレット
特許文献1〜3に記載の各色素は、波長800〜900nmにおける長波長領域の分光感度特性や光電変換効率の点で必ずしも満足できるものではなく、耐久性にいたっては改善が望まれていた。
本発明は、上記状況を鑑み、金属錯体色素の吸収特性において、長波長領域の光吸収を増大させるとともに、この長波長領域での分光感度特性を向上させることで光電変換効率を向上させ、加えて耐久性にも優れた光電変換素子、色素増感太陽電池、これに使用する金属錯体および金属錯体色素、色素溶液、色素吸着電極の製造方法ならびに色素増感太陽電池の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、従来の金属錯体色素が、必ずしも長波長領域での分光感度特性に十分でないことから、長波長領域での分光感度特性、特に800〜900nmでの感度特性、すなわち量子収率(IPCE)の向上を種々検討した。
この結果、半導体微粒子表面に吸着する機能を有する3座の配位子と2座の所謂ドナー配位子とともに単座配位子を採用した場合に、この単座配位子の、配位する中心金属に対するπ供与性を高めることが、光電変換素子の長波長領域での分光感度特性向上に、重要であることを見出した。しかも、硫黄原子、酸素原子または窒素原子を配位原子として有する、π供与性を高めた単座配位子を上述の配位子と組み合せて採用することで、光電変換素子の耐久性をも改善できることを見出した。
これらの知見に基づき本発明者等はさらに研究を重ね、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
(1)導電性支持体、電解質を含む感光体層、電解質を含む電荷移動体層および対極を有する光電変換素子であって、
該感光体層が、下記式(I)で表される金属錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。
M(LD)(LA)(LX)・(Y)n 式(I)
[式中、Mは、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnおよびZnから選択される金属イオンを表す。
LDは下記式(2L−1)もしくは(2L−2’)で表される2座配位子または2−(N−メチル−フェニルアミノ)フェノールアニオンの2座配位子を表す。
LAは下記式(LA”)で表される3座配位子を表す。
LXは、−S(Rz1)、−O(Rz1)もしくは−N(Rz1)または下記式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子を表し、Rz1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基またはアルキルスルホニル基を表す。
Yは電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。nは0〜4の整数を表す。]
Figure 0006033144
[式中、*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表し、該芳香族環がピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環およびトリアゾール環のとき、これらの環は、無置換であるか、または、アルキル基もしくはアリール基が置換した環であり、該芳香族環がベンゼン環のとき、無置換であるか、または、ハロゲン原子が置換したベンゼン環である。環D’はベンゼン環を表し、このベンゼン環は、無置換であるか、または、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換したベンゼン環である。
111 は窒素アニオンまたは炭素アニオンを表し、A 121 は−N SO Ry、−O または−S のアニオンを表す。ここで、Ryはアルキル基を表す。
111 〜R 124 は水素原子、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。ただし、R 111 〜R 124 のアルケニル基、アリール基およびヘテロ環基は、下記式(LA”)で規定されるAnc1、Anc2およびAnc3を有しない。]
Figure 0006033144
[式中、環A、環Bおよび環Cは各々独立にピリジン環またはピリミジン環を表す。ここで、ZとN原子の間の結合、ZとN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。ZおよびZ は炭素原子を表す。
Anc1〜Anc3は各々独立に、−CO H、−SO H、−PO 、下記式(Acn−1)で表される基、下記(AncZ)で表される基およびこれらの塩から選択される酸性基を表す。X、XおよびX 各々独立に単結合、エテニレン基、エチニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。l1〜l3は各々独立に1〜5の整数を表す。m1およびm3は各々独立に0〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表す。ただし、m1〜m3の総和は1以上である。
〜Rは各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。ただし、該アルキル基およびアリール基は、上記Anc1〜Anc3を有しない。n1およびn3は各々独立に0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。]
Figure 0006033144
[式中、Xz1は、−ORz1、−SRz1、−N(Rz1)または−Rz1を表し、Zz1およびZz2は各々独立に5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。]
Figure 0006033144
[式中、Rzはシアノ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、パーフルオロアルキル基またはニトロ基を表す。]
(2)前記LDが、前記式(2L−1)もしくは(2L−2’)で表される2座配位子である(1)に記載の光電変換素子。
)前記半導体微粒子が、加えられた前記式(I)で表される金属錯体色素で吸着されてなる(1)または(2)に記載の光電変換素子。
)前記Mが、Fe2+、Ru2+またはOs2+である(1)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
)前記LXが、−S(Rz1)、−O(Rz1)もしくは−N(Rz1)または前記式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子であって、前記Rz1がアリール基、ヘテロ環基またはシリル基であり、前記Xz1がアリール基であり、前記Zz1およびZz2が各々独立に含窒素複素環基である(1)〜()のいずれか1項に記載の光電変換素子。
)前記LXが、下記式(Z1−4)〜(Z1−18)のいずれかの式で表される(1)〜()のいずれか1項に記載の光電変換素子。
Figure 0006033144
[式中、Xz2はO、S、NまたはNRz1を表し、Xz3はNまたはCRz1を表し、Xz4〜Xz7は各々独立にO、S、NRz1またはC(Rz1)を表す。nz1はXz2がNであるとき2を表し、Xz2がO、SおよびNRz1であるとき1を表す。Rz1は(1)のRz1と同義であり、Rz2〜Rz12およびRz16〜Rz45は各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、シアノ基またはニトロ基を表し、Rz13〜Rz15は各々独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。]
(7)前記式(LA”)の環A、環Bおよび環Cが、いずれもピリジン環である(1)〜(6)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(8)前記式(LA”)が、下記式(AL−1)〜(AL−4)のいずれかである(1)〜()のいずれか1項に記載の光電変換素子。
Figure 0006033144
[式中、式中、Anc1〜Anc3は各々独立に、前記式(LA”)におけるAnc1〜Anc3と同義である。ALアルキル基またはアリール基を表す。ただし、該アルキル基およびアリール基は、前記Anc1〜Anc3を有しない。b1は0〜4の整数を表す。X2aエテニレン基またはアリーレン基を表す。X 1aエテニレン基、エチニレン基またはヘテロアリーレン基を表し、Xは単結合、エテニレン基、エチニレン基またはヘテロアリーレン基を表す。m4は0または1を表す。]
(9)前記式(LA”)において、Anc1〜Anc3が、−CO H、−SO H、−PO またはこれらの塩である(1)〜(8)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(10)前記半導体粒子に、さらに酸性基を1つ以上有する共吸着剤が担持されている(1)〜(9)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(11)前記吸着剤が、下記式(CA)で表される(10)に記載の光電変換素子。
Figure 0006033144
[式中、RA1は酸性基を有する置換基を表す。RA2は置換基を表す。nAは0以上の整数を表す。]
(12)(1)〜(11)のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する色素増感太陽電池。
(13)下記式(I)で表される金属錯体色素。
M(LD)(LA)(LX)・(Y)n 式(I)
[式中、Mは、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnおよびZnから選択される金属イオンを表す。
LDは下記式(2L−1)もしくは(2L−2’)で表される2座配位子または2−(N−メチル−フェニルアミノ)フェノールアニオンの2座配位子を表す。
LAは下記式(LA”)で表される3座配位子を表す。
LXは、−S(Rz1)、−O(Rz1)もしくは−N(Rz1)または下記式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子を表し、Rz1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基またはアルキルスルホニル基を表す。
Yは電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。nは0〜4の整数を表す。]
Figure 0006033144
[式中、*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表し、該芳香族環がピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環およびトリアゾール環のとき、これらの環は、無置換であるか、または、アルキル基もしくはアリール基が置換した環であり、該芳香族環がベンゼン環のとき、無置換であるか、または、ハロゲン原子が置換したベンゼン環である。環D’はベンゼン環を表し、このベンゼン環は、無置換であるか、または、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換したベンゼン環である。
111 は窒素アニオンまたは炭素アニオンを表し、A 121 は−N SO Ry、−O または−S のアニオンを表す。ここで、Ryはアルキル基を表す。
111 〜R 124 は水素原子、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。ただし、R 111 〜R 124 のアルケニル基、アリール基およびヘテロ環基は、下記式(LA”)で規定されるAnc1、Anc2およびAnc3を有しない。]
Figure 0006033144
[式中、環A、環Bおよび環Cは各々独立にピリジン環またはピリミジン環を表す。ここで、ZとN原子の間の結合、ZとN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。ZおよびZ は炭素原子を表す。
Anc1〜Anc3は各々独立に、−CO H、−SO H、−PO 、下記式(Acn−1)で表される基、下記(AncZ)で表される基およびこれらの塩から選択される酸性基を表す。X、XおよびX 各々独立に単結合、エテニレン基、エチニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。l1〜l3は各々独立に1〜5の整数を表す。m1およびm3は各々独立に0〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表す。ただし、m1〜m3の総和は1以上である。
〜Rは各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。ただし、該アルキル基およびアリール基は、上記Anc1〜Anc3を有しない。n1およびn3は各々独立に0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。]
Figure 0006033144
[式中、Xz1は、−ORz1、−SRz1、−N(Rz1)または−Rz1を表し、Zz1およびZz2は各々独立に5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。]
Figure 0006033144
[式中、Rzはシアノ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、パーフルオロアルキル基またはニトロ基を表す。]
(14)前記LDが、前記式(2L−1)もしくは(2L−2’)で表される2座配位子である(13)に記載の金属錯体色素。
15)前記LXが、下記式(Z1−4)〜(Z1−18)のいずれかで表される(13)または(14)に記載の金属錯体色素。
Figure 0006033144
[式中、Xz2はO、S、NまたはNRz1を表し、Xz3はNまたはCRz1を表し、Xz4〜Xz7はO、S、NRz1またはC(Rz1)を表す。nz1はXz2がNであるとき2を表し、Xz2がO、SおよびNRz1であるとき1を表す。Rz1は(13)のRz1と同義であり、Rz2〜Rz12およびRz16〜Rz45は各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、シアノ基またはニトロ基を表し、Rz13〜Rz15は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。]
(16)前記Mが、Fe 2+ 、Ru 2+ またはOs 2+ である(13)〜(15)のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
17 (13)16のいずれか1項に記載の金属錯体色素を溶解してなる色素溶液。
18)有機溶媒中に、前記金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有し、かつ水の含有量が0.1質量%以下である17)に記載の色素溶液。
19)前記色素溶液が、さらに共吸着剤を含有する(17)または(18)に記載の色素溶液。
20)前記共吸着剤が、下記式(CA)で表される(19)に記載の色素溶液。
Figure 0006033144
[式中、RA1は酸性基を有する置換基を表す。RA2は置換基を表す。nAは0以上の整数を表す。]
21)半導体を導電性支持体に、(17)〜(20)のいずれか1項に記載の色素溶液から得られてなる組成物を塗布し、塗布後の該組成物を硬化させて感光体層としてなる色素増感太陽電池用の色素吸着電極の製造方法
22 21)に記載の製造方法で製造した色素吸着電極、電解質および対極を準備し、これらを用いて組み立てる色素増感太陽電池の製造方法。
23)下記式(III)で表される金属錯体。
M(LD)(LA’)(LX)・(Y)n 式(III)
[式中、Mは、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnおよびZnから選択される金属イオンを表す。
LDは下記式(2L−1’)もしくは(2L−2”)で表される2座配位子または2−(N−メチル−フェニルアミノ)フェノールアニオンの2座配位子を表す。
LAは下記式(LA’ で表される3座配位子を表す。
LXは、−S(Rz1’)、−O(Rz1’)もしくは−N(Rz1’または下記式(Z1−1’)、(Z1−2)または(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子を表し、Rz1’は水素原子、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基またはアルキルスルホニル基を表す。
Yは電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。nは0〜4の整数を表す。]
Figure 0006033144
[式中、*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
環D α はピラゾール環、ピロール環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表し、該芳香族環がピラゾール環およびピロール環のとき、これらの環は、無置換であるか、または、アルキル基もしくはアリール基が置換した環であり、該芳香族環がベンゼン環のとき、無置換であるか、または、ハロゲン原子が置換したベンゼン環である。環D β はベンゼン環を表し、このベンゼン環は、無置換であるか、または、ハロゲン原子が置換したベンゼン環である。
111 は窒素アニオンまたは炭素アニオンを表し、A 121 は−N SO Ry、−O または−S のアニオンを表す。ここで、Ryはアルキル基を表す。
111 〜R 124 は水素原子、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。ただし、R 111 〜R 124 のアルケニル基、アリール基およびヘテロ環基は、−CO H、−SO H、−PO 、下記式(Acn−1)で表される基、下記(AncZ)で表される基およびこれらの塩から選択される酸性基を有しない。]
Figure 0006033144
[式中、環A、環Bおよび環Cは各々独立にピリジン環またはピリミジン環を表す。ここで、ZとN原子の間の結合、ZとN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。ZおよびZ は炭素原子を表す。
Gは、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、または、下記式(k−1)もしくは(k−2)で表される基を表す。X10、X20およびX30は各々独立に単結合またはエテニレン基を表す。p1およびp3は各々独立に0〜4の整数を表し、p2は0〜3の整数を表す。ただし、p1〜p3の総和は1以上である。
〜Rは各々独立にアルキル基を表す。ただし、該アルキル基は、前記酸性基を有しない。n1およびn3は各々独立に0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。]
Figure 0006033144
[式中、Rは各々独立にアルキル基を表す。*は、X10、X20およびX30、あるいは、環A、環Bまたは環Cとの結合位置を表す。]
Figure 0006033144
[式中、Xz1’は、−ORz1’、−SRz1’、−N(Rz1’または−Rz1’を表し、Zz1およびZz2は各々独立に5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。]
Figure 0006033144
[式中、Rzはシアノ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、パーフルオロアルキル基またはニトロ基を表す。]
本明細書において、特に断りがない限り、炭素−炭素二重結合については、分子内にE型およびZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。特定の符号で表示された置換基や連結基、配位子等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。また、環、例えば脂環、芳香族環、ヘテロ環、はさらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
本発明においては、各置換基は、特に断らない限り、さらに置換基で置換されていてもよい。
本発明により、金属錯体色素の吸収特性において、長波長領域の光吸収を増大させるとともに、この長波長領域での分光感度特性を向上させることで光電変換効率を向上させ、加えて耐久性にも優れた光電変換素子、色素増感太陽電池、これに使用する金属錯体および金属錯体色素、色素溶液、色素吸着電極の製造方法ならびに色素増感太陽電池の製造方法を提供することができる。
本発明の光電変換素子の一実施態様について、層中の円部分の拡大図も含めて模式的に示した断面図である。 本発明の光電変換素子の別の実施態様の色素増感太陽電池を模式的に示す断面図である。 実施例で合成した本発明の金属錯体色素Dye−1のTBAOH/メタノール溶媒中での可視吸収スペクトル図である。 実施例で合成した本発明の金属錯体色素Dye−2のTBAOH/メタノール溶媒中での可視吸収スペクトル図である。
本発明の光電変換素子は、導電性支持体、電解質を含む感光体層、電解質を含む電荷移動体層および対極を有する。この感光体層は下記式(I)で表される金属錯体色素が担持された半導体微粒子を有している。
<<金属錯体色素>>
属錯体色素は、下記式(I)で表される。
M(LD)(LA)(LX)・(Y)n 式(I)
[式中、Mは金属イオンを表す。
LDは1つのアニオンと1つの孤立電子対でMに配位する2座配位子を表す。
LAは下記式(LA)で表される3座配位子を表す。
LXは、−S(Rz1)、−O(Rz1)もしくは−N(Rz1)または下記式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子を表し、Rz1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基を表す。
Yは電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。nは0〜4の整数を表す。]
[式中、環A、環Bおよび環Cは各々独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。ここで、ZとN原子の間の結合、ZとN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。ZおよびZは各々独立に炭素原子または窒素原子を表す。
Anc1〜Anc3は各々独立に酸性基を表す。X、XおよびXは各々独立に単結合または連結基を表す。l1〜l3は各々独立に1〜5の整数を表す。m1およびm3は各々独立に0〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表す。ただし、m1〜m3の総和は1以上である。
〜Rは各々独立にAnc1〜Anc3以外の置換基を表す。n1およびn3は各々独立に0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。]
Figure 0006033144
[式中、Xz1は、−ORz1、−SRz1、−N(Rz1)または−Rz1を表し、Zz1およびZz2は各々独立に5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。]
− 金属イオンM −
Mは、金属錯体色素の中心金属イオンであり、これらの金属としては、長周期型周期律表の8〜10族の元素が挙げられる。
このような元素としては、具体的には、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnおよびZnが挙げられ、本発明においては、Mはこれらの元素から選択される。
本発明においては、Mは、Os2+イオン、Ru2+イオンまたはFe2+イオンが好ましく、なかでもRu2+イオンが好ましい。
なお、光電変換素子中に組み込まれた状態においては、Mの価数は、周囲の材料との酸化還元反応により変化することがある。
− 配位子LD −
本発明において、配位子LDは金属イオンMに2座で結合する配位子を表し、ドナー配位子に分類されるものであり、半導体微粒子表面に吸着する吸着基を有さない配位子が好ましい。
なお、配位子中に、吸着基に相当する基を含んだとしても、金属イオンに結合する基として含むものであり、半導体微粒子表面に吸着するものではない。
なお、半導体微粒子表面に吸着する吸着基は、後述の配位子LAにおけるAnc1〜Anc3で表される基またはこれらの基を含む基である。
このような配位子LDを後述の配位子LAおよび配位子LXと組み合わせて用いると、長波長領域の光電変換効率が大幅に増加する。
配位子LDは、2座の配位子であり、1つの配位原子が孤立電子対を有し、該孤立電子対で配位する原子であり、残りの1つの配位原子がアニオンである。
ここで、孤立電子対とは、原子の最外殻の電子対のうち共有結合に関与しない電子対(2個の電子の組)であり、該孤立電子対は、例えば、>N−では1対、−O−や−S−では2対、−Clでは3対有する。また窒素原子の場合、=N−、>N−、>N−Hのいずれであっても1対有する。
なお、これらの原子がアニオンの場合、>N、−O、−Sのいずれも孤立電子対をそのまま有したままでアニオンとなるが、金属イオンMに配位する原子は、孤立電子よりもアニオンが優先されるため、本発明では、配位原子がアニオンとみなす。
一方、例えば、>NH、−OH、−SHなども、水素原子が解離しないで、すなわち、アニオンとならない状態で、N、O、S原子の孤立電子対と配位するものが存在したとしても、本発明においては、その安定配位構造として、アニオンが配位原子であるものとみなす。すなわち、>NH、−OH、−SHの場合は、>N、−O、−Sのアニオンが配位したとみなす。ただし、炭素原子のアニオンの場合、孤立電子対を有さないことから、そもそも、安定状態で存在しうる錯体として、C−Hの状態で配位することはなく、強制的に炭素原子のアニオンを生成させてから配位させる必要があり、C−Hが存在していても炭素アニオンが結果的に生成して金属イオンMに配位しているものとは見なさない。また、炭素アニオンと孤立電子対が共存している原子団や環の場合も、優先的に炭素アニオンが配位することから、配位原子は炭素アニオンとなる。
上記に基づくと、孤立電子対で配位する原子は、水素原子を有さない原子であって、このような孤立電子対で配位する原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、3価のリン原子などが代表的に挙げられる。本発明においては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましく、窒素原子、酸素原子がより好ましく、窒素原子が特に好ましい。なお、硫黄原子の場合、酸化状態の違いで、−S(O)−、−S(=O)−が存在するが、前者のスルホンのみ孤立電子対を1対有し、後者のスルホキサイドは孤立電子対が存在しない。
孤立電子対で配位する原子は、これらの原子が環構成原子であっても、単なる基(置換基、好ましくは環構造に置換する置換基中の原子)に含まれる原子であっても構わない。特に、窒素原子の場合、ヘテロ芳香環の環を構成する原子となりえるものであり、このような原子であることが好ましい。
配位原子がアニオンである原子は、炭素原子、窒素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、3価のリン原子などが代表的に挙げられる。本発明においては、炭素アニオン、窒素アニオン、酸素アニオン、硫黄アニオンが好ましく、炭素アニオン、窒素アニオンがより好ましく、窒素アニオンが特に好ましい。
これらの原子は、環構成原子であっても、単なる基(置換基、好ましくは環構造に置換する置換基中の原子)に含まれる原子であっても構わない。特に、窒素原子の場合、ヘテロ芳香環の環を構成する原子となりえるものであり、このような原子であることが好ましい。
また、炭素原子、窒素原子は、芳香環、ヘテロ芳香環を形成することができ、本発明においては、芳香環、ヘテロ芳香環を構成する環構成原子である炭素アニオン、窒素アニオンが好ましい。
本発明においては、孤立電子対を有する原子とアニオンの原子はそれぞれ、環を構成する原子であるか、環上の置換基である場合が好ましい。またこれらの環は芳香環またはヘテロ芳香環であることが好ましく、ヘテロ芳香環は含窒素ヘテロ芳香環(含窒素芳香族環とも称す)がさらに好ましい。
以下に、本発明において、さらに好ましい2座配位子を説明する。
本発明では、下記の配位骨格(La)〜(Lf)の同種又は異種のうち、アニオンと孤立電子対を有する関係で、連結して2座配位子を形成するものが好ましい。
1)孤立電子対で配位する配位骨格
(La)金属イオンMに結合する原子が孤立電子対を有し、アニオン原子(>NHも含む)を有しない含窒素芳香族環基、
2)アニオンで配位する配位骨格
(Lb)金属イオンMに結合する環構成原子として窒素アニオン(NHを含む)を有する含窒素芳香族環基、
(Lc)金属イオンMに結合する環構成原子として炭素アニオンを有する、含窒素芳香族環基(Lb)以外の芳香環基
(Ld)窒素アニオン(NHを含む)、酸素アニオンまたは硫黄アニオンを有する官能基で置換された芳香族炭化水素環基、
(Le)窒素アニオン(NHを含む)、酸素アニオンまたは硫黄アニオンを有する官能基で置換された含窒素芳香族環基、及び、
3)孤立電子対かアニオンのいずれかで配位する配位骨格
(Lf)前記(La)〜(Le)以外の配位骨格
なお、これらの配位骨格は、各配位骨格の特性を阻害しない置換基を有していてもよい。このような置換基として、半導体微粒子表面に吸着する吸着基以外の置換基が挙げられ、例えば、後述する置換基Tが挙げられる。具体的には、含窒素芳香族環基(La)はアニオン原子(>NHも含む)を有しない置換基Tを有していてもよい。置換基Tのうち好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、ペルフルオロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、複数組み合わせてなる基等である。この置換基Tは隣接する2つの環それぞれに結合してこれらと縮環してもよい。
金属イオンMに結合する原子が孤立電子対を有し、アニオンを有しない含窒素芳香族環基(La)としては、環構成原子の少なくとも1つが孤立電子対を有する窒素原子を有し、環構成原子として、窒素原子のほかに、酸素原子、硫黄原子(−S−、−SO−、−SO−)、セレン原子等を含有していてもよい。ここで、孤立電子対を有する含窒素芳香族環基(La)における孤立電子対とは、芳香環上のπ電子ではなく、結合に関与しない孤立電子対である。
この含窒素芳香族環基(La)は、金属イオンMに結合する環構成原子としてアニオンの炭素原子又は窒素原子を有さず、かつアニオンの官能基を有していない含窒素芳香族環基である。なお、アニオンの炭素原子又は窒素原子及びアニオンの官能基については後述する。この含窒素芳香族環基(La)における環としては、5〜7員環が好ましく、縮環していてもよい。このような含窒素芳香族環基(La)の環としては、5員環の場合、オキサゾール環、チアゾール環、1位に置換基を有するピラゾール環、1位に置換基を有するイミダゾール環、1位に置換基を有するトリアゾール環、1位に置換基を有するテトラゾール環、もしくはこれらにベンゼンが縮環した環が挙げられ、6員環の場合、ピリジン環、キノリン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、もしくはこれらにベンゼンが縮環した環が挙げられる。本発明においては、ピリジン環が好ましい。この含窒素芳香族環基(La)は置換基Tを有していてもよく、配位子Lが含窒素芳香族環基(La)から選択される場合は置換基Tを有しているのが好ましい。含窒素芳香族環基(La)の置換基Tは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、1又は2以上のアルコキシ基で置換されたアリール基、1又は2以上のアルキル基を有するアリール基又はヘテロ環基、1又は2以上のアルキル基を有するアリール基又はヘテロ環基で置換されたアルケニル基等が好ましい。
金属イオンMに結合する環構成原子としてアニオンの窒素原子を有する含窒素芳香族環基(Lb)は金属錯体色素の配位子として組み込まれた場合に含窒素芳香族環基の少なくとも1つの窒素原子−NH−部分がアニオン−N−になる炭素環芳香族基である。そして、この含窒素芳香族環基(Lb)は、この−NH−部分がアニオン−N−になって金属イオンMと結合する、又は結合できるものが好ましい。すなわち、この含窒素芳香族環基(Lb)は金属イオンMに結合する環構成原子である窒素原子が活性水素を有する含窒素芳香族環基である。含窒素芳香族環基(Lb)における環としては、5〜7員環が好ましく、縮環していてもよい。このような含窒素芳香族環基(Lb)の環としては、環構成原子にNHを有するもので、5員環の場合、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ベンゾイミダゾール環、1H−インダゾール環、プリン環等が挙げられ、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピロール環が好ましい。
この含窒素芳香族環基(Lb)は、中でも、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環又はピロール環に由来する、下記式(a−1)〜(a−5)で表される基が好ましく、(a−1)、(a−2)又は(a−5)で表される基がより好ましく、(a−2)で表される基が特に好ましい。
Figure 0006033144
式中、Rdは置換基を表す。b1は0〜2の整数、b2は0〜3の整数、b3は0又は1をそれぞれ表す。b1が2のとき、又はb2が2以上のとき、複数のRd同士が互いに結合して環を形成してもよい。Rdとしては、例えば、前述の置換基Tが挙げられる。
ここで、式(a−1)〜(a−5)において、隣接するRd同士が環を形成した場合も含めると下記構造の基が挙げられる。
Figure 0006033144
式中、Rd、b1〜b3は前述の式(a−1)〜(a−5)中のRd、b1〜b3と同義であり、好ましい範囲も同じである。b4は0〜4、b5は0〜5の各整数を表す。なお、式(a−1a)、(a−1b)において、Rdはベンゼン環だけでなく、ピロール環にも有してもよいことを示すものである。
Rdとして好ましくは直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基及びこれらを組み合わせてなる基であり、さらに好ましくは直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルキル基、アリール基及びこれらを組み合わせてなる基であり、特に好ましくは直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルキル基及びこれらを組み合わせてなる基である。
金属イオンMに結合する環構成原子としてアニオンの炭素原子を有する、含窒素芳香族環基(Lb)以外の芳香環基(Lc)は、金属錯体色素の配位子として組み込まれた場合に芳香族環基の炭素原子−CH−部分がアニオン−C−になる芳香族環基である。このような芳香族環基(Lc)としては、金属イオンMに結合する環構成原子として炭素原子を有し、芳香族性を発揮する環であればよく、例えば、芳香族炭化水素環基、ヘテロ環基、金属イオンMに結合する環構成原子として窒素原子を有しない含窒素芳香族環基等が挙げられる。芳香族炭化水素環基としては、置換基Tのアリール基のうち環構成原子としてアニオンの炭素原子を有するもの、特にm,m−ジフルオロベンゼン環、o,p−ジフルオロベンゼン環、p−フルオロベンゼン環、p−シアノベンゼン環、p−ニトロベンゼン環、シクロペンタジエン環、ナフタレン環、無置換のベンゼン環等が挙げられる。なお、ベンゼン環の置換位置o、m及びpは金属イオンMに結合する炭素原子に対する位置を表す。また、ヘテロ環基としては、置換基Tのヘテロ環基のうち環構成原子として炭素原子がアニオンになるもの、例えば、フラン、チオフェン等が挙げられる。さらに、金属イオンMに結合する環構成原子が窒素原子でない含窒素芳香族環基としては、金属イオンMに結合する原子が5位の炭素原子であるピラゾール環基、金属イオンMに結合する原子が4位の炭素原子であるピリジン環基等が挙げられる。
アニオンの窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する官能基で置換された芳香族炭化水素環基(Ld)としては、金属錯体色素の配位子として組み込まれた場合に官能基の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子の少なくとも1つの−XH−部分(XはN、O又はSを表す。)がアニオン−X−になる芳香族炭化水素環基である。そして、この芳香族炭化水素環基(Ld)は、この−XH−部分がアニオン−X−になって金属イオンMと結合する、又は結合できるものが好ましい。すなわち、この芳香族炭化水素環基(Ld)は官能基を構成する少なくとも1つの窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が活性水素を有する芳香族炭化水素環基である。芳香族炭化水素環基(Ld)における環としては、置換基Tのアリール基からなる環が挙げられ、置換基Tを有していてもよい。
このような芳香族炭化水素環基(Ld)が有する官能基としては、例えば、水酸基、チオール基、アミノ基、置換アミノ基、ヒドロキシアルキル基、メルカプトアルキル基、アミノアルキル基等が挙げられ、水酸基、チオール基、アミノ基、置換アミノ基が好ましい。このような官能基を有する芳香族炭化水素環基(Ld)としては、具体的には、フェノール環基、チオフェノール環基、アニリン環基、置換アニリン環基、ヒドロキシアルキルベンゼン環基、メルカプトアルキルベンゼン環基、アミノアルキルベンゼン環基等が挙げられる。
これらの官能基のうち、置換アミノ基は、その水素原子の1つ又は2つが置換されたアミノ基であり、例えば、−NHSORy(Ryは置換基を表す。)等が挙げられる。Ryとして後述する置換基Tが挙げられ、中でもアルキル基が好ましい。−NHSORyとしては、具体的には、−NHSOCH、−NHSO、−NHSO等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基は、その水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換されたアルキル基であり、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。メルカプトアルキル基は、その水素原子の少なくとも1つがチオール基で置換されたアルキル基であり、例えば、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基等が挙げられる。アミノアルキル基は、その水素原子の少なくとも1つがアミノ基で置換されたアルキル基であり、例えば、アミノメチル基、アミノエチル基等が挙げられる。ここで、ヒドロキシアルキル基、メルカプトアルキル基及びアミノアルキル基において、ヒドロキシ基、メルカプト基又はアミノ基が結合するアルキル基の炭素原子は特に限定されないが、金属イオンMとの配位容易性を考慮すると、アルキル基の末端炭素原子であるのがよい。
アニオンの窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する官能基で置換された含窒素芳香族環基(Le)としては、金属錯体色素の配位子として組み込まれた場合に官能基の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子の少なくとも1つの−XH−部分(XはN、O又はSを表す。)がアニオン−X−になる含窒素芳香族環基である。そして、この含窒素芳香族環基(Le)は、この−XH−部分がアニオン−X−になって前記金属イオンMと結合する、又は結合できるものが好ましい。すなわち、この含窒素芳香族環基(Le)は官能基を構成する少なくとも1つの窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が活性水素を有する含窒素芳香族環基である。この含窒素芳香族環基(Le)は、芳香族炭化水素環基の代わりに含窒素芳香族環基を有していること以外は芳香族炭化水素環基(Ld)と同義である。すなわち、含窒素芳香族環基(Le)の官能基は芳香族炭化水素環基(Ld)の官能基と同義であり、好ましいものも同じである。含窒素芳香族環基(Le)の含窒素芳香族環基は、含窒素芳香族環基(La)の環又は含窒素芳香族環基(Lb)の環と同様の環であればよいが、活性水素のない含窒素芳香族環基(La)の環と同様の環が好ましい。この含窒素芳香族環基(Le)は例えば置換基Tを有していてもよい。
配位骨格(Lf)としては、(La)〜(Le)以外の配位骨格であればよく、例えば無機配位骨格、又は、含窒素芳香族環基若しくは配位骨格(Ld)及び(Le)の官能基を有しない有機配位骨格等が挙げられる。本発明において、無機化合物又は無機化合物に由来するアニオン、原子若しくは化合物を無機配位骨格と称し、含窒素芳香族環基若しくはこの官能基以外で金属イオンMに結合する有機化合物又はこの有機化合物に由来するアニオンを有機配位骨格と称する。このような配位骨格としては、公知の配位骨格を特に限定されることなく挙げることができ、例えば、アシルオキシアニオン、アシルチオアニオン、チオアシルオキシアニオン、チオアシルチオアニオン、アシルアミノオキシアニオン、チオカルバメートアニオン、ジチオカルバメートアニオン、チオカルボネートアニオン、ジチオカルボネートアニオン、トリチオカルボネートアニオン、アシルアニオン、アルキルチオアニオン、アルコキシアニオン、アルキルアミドアニオンからなる群から選択されるアニオンもしくはこれらの基で結合する単座の配位骨格、又は、エーテル、チオエーテル、スルホキシド、カルボニル、ジアルキルケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミド及びチオ尿素からなるアニオン、原子もしくは化合物(アニオンに水素原子が置換された化合物を含む)の群より選ばれる単座の配位骨格を表す。なお、この配位子(Lf)がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基等を含む場合、それらは直鎖状でも分岐状でも環状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また配位子(Lf)がアリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基等を含む場合、それらは置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。
配位子LDは、(La)〜(Lf)から選択される配位骨格同士が直接結合して2座配位子を形成する。これら配位骨格のうち(La)は孤立電子対で配位する配位骨格、(Lb)〜(Le)はアニオン配位原子で配位する配位骨格であり、(Lf)は孤立電子対またはアニオン配位原子で配位する配位骨格である。この配位子LDは1つの孤立電子対と1つのアニオン配位原子で配位する2座配位子であり、すなわち、(Lb)〜(Lf)から選択されたアニオン配位原子で配位する配位骨格と、(La)または(Lf)の孤立電子対で配位する配位骨格同士が直接結合した2座配位子である。このような配位子LDを用いることにより、金属錯体色素の最高被占軌道と最低空軌道のレベルが適度になり好ましい吸収特性を示し、及び/又は、電圧が高くなるという効果が期待できる。結果、光電変換素子の光電変換効率が改善される。
配位子LDとしては、下記式(2L−1)または(2L−2)で表される2座配位子が好ましい。
Figure 0006033144
式中、*は金属イオンMへの結合位置を表す。環Dは芳香族環を表す。A111は窒素アニオンまたは炭素アニオンを表し、A121は窒素アニオン、酸素アニオンまたは硫黄アニオンのいずれかを表す。R111〜R124は水素原子、又は、Anc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基を表す。
111は環Dを構成する窒素原子又は炭素原子に結合した水素原子が脱離した炭素アニオン又は窒素アニオンである。A121は芳香族炭化水素環基(Ld)及び含窒素芳香族環基(Le)における官能基のうち(置換)アミノ基、水酸基又はチオール基から活性水素を除去した残基と同義である。式(2L−1)において、D環は、A111と炭素原子又は2つの炭素原子を含む芳香族環である。この芳香族環は、例えば、含窒素芳香族環基(Lb)から構成される含窒素芳香族環、又は、(Lc)の芳香族炭化水素環基から構成される芳香族炭化水素環、(Lc)のヘテロ環基から構成されるヘテロ環、若しくは、(Lc)の、金属イオンMに結合する環構成原子として窒素原子を有しない含窒素芳香族環基から構成される含窒素芳香族環等が挙げられ、それぞれ、好ましいものも同様である。式(2L−1)においてA111がアニオン化する前のD環及び式(2L−2)においてA121が置換する環Dは、例えば、ベンゼン環、m,m−ジフルオロベンゼン環、o,p−ジフルオロベンゼン環、p−フルオロベンゼン環、p−シアノベンゼン環、p−ニトロベンゼン環若しくはチオフェン環、フラン環、又は、式(a−1)〜(a−5)、(a−1a)、(a−2a)、(a−1b)及び(a−4a)で表される基からなる環等が挙げられ、ピラゾール環、トリアゾール環またはベンゼン環が好ましい。
111〜R124の置換基としては例えば置換基Tが挙げられ、その中でも特に好ましいものは含窒素芳香族環基(La)の置換基として好ましいもの、及び、ハロゲン原子、ニトロ基である。
特に、R111〜R124の置換基が、例えば後に掲げる「LD No.LD−6−15〜LD−6−18」のように、含窒素芳香族環基(La)に直接又は他の基を介して結合する芳香族環の環構成原子に対して2位(オルト位)又は3位(メタ位)の環構成原子に置換基、特に炭素数4以上のアルキル基等を有していると、光電変換素子の耐久性が向上する点で、好ましい。
なお、本発明においては、LDは、前記式(2L−1)もしくは前記式(2L−2)で表される2座配位子または2−(N−メチル−フェニルアミノ)フェノールアニオンの2座配位子である。
ただし、前記式(2L−1)において、環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環およびベンゼン環から選択される芳香族環であり、該芳香族環がピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環およびトリアゾール環のとき、これらの環は、無置換であるか、または、アルキル基もしくはアリール基が置換した環であり、該芳香族環がベンゼン環のとき、無置換であるか、または、ハロゲン原子が置換したベンゼン環である。
前記式(2L−2)において、環Dはベンゼン環であり、このベンゼン環は、無置換であるか、または、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換したベンゼン環である。
前記式(2L−1)において、A 111 は窒素アニオンまたは炭素アニオンであり、前記式(2L−2)において、A 121 は−N SO Ry、−O または−S のアニオンである。ここで、Ryはアルキル基である。
前記式(2L−1)および前記式(2L−2)において、R 111 〜R 124 は水素原子、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基である。ただし、R 111 〜R 124 のアルケニル基、アリール基およびヘテロ環基は、後述のAnc1、Anc2およびAnc3を有しない。
以下に、配位子LDの具体例を示すが、これによって、本発明が、これらに限定されるものではない。
ただし、これらの配位子のうち、LD−6−25、LD−2−5、LD−2−7〜LD−2−9、LD−5−7、LD−5−10、LD−8−2〜LD−8−4は参考例である。
Figure 0006033144
Figure 0006033144
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Figure 0006033144
Figure 0006033144
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Figure 0006033144
Figure 0006033144
Figure 0006033144
上記以外の単環性の配位子LDとして、下記配位子LD−8−1〜LD8−4が挙げられる。
Figure 0006033144
これらの配位子LDは、例えば、米国特許出願公開第2010/0258175号明細書、特許第4298799号公報、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,2054−2058に記載の方法、該文献で挙げられている参照文献に記載されている方法、もしくはこれらの方法に準じた方法で合成することができる。
− 配位子LA −
配位子LAは、本発明では、前記式(LA)で表される3座の配位子である。
配位子LAは半導体微粒子表面に吸着する吸着基を有する配位子である。
環A〜環Cにおける芳香族ヘテロ環は、環構成のヘテロ原子に窒素原子を有し、かつ芳香族環であればどのような環でも構わない。
環A〜環Cにおける芳香族ヘテロ環は、5または6員環が好ましく、これらの芳香族ヘテロ環は、芳香族炭化水素環、芳香族ヘテロ環、芳香族でないヘテロ環、脂環が縮環しても構わない。また、芳香族ヘテロ環の環構成ヘテロ原子は、2〜4個の窒素原子であっても、窒素原子に加えて、他のヘテロ原子、例えば、酸素原子、硫黄原子を含んでもよい。
本発明においては、芳香族ヘテロ環は非縮環の6員環またはベンゼン環が縮環した5員環が好ましい。
芳香族ヘテロ環としては、例えば、6員環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環が挙げられ、5員環としては、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、インドール環、ベンゾピロール環、イソインドール環、ベンゾトリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾールが挙げられる。
環Aおよび環Bは、非縮合の5または6員環、縮環(好ましくはベンゾ縮環)した5員環が好ましく、上記の芳香族ヘテロ環で例示した環が好ましい。
環Bは、非縮合の6員環が好ましく、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環がより好ましく、ピリジン環がなかでも好ましい。
これらの環A〜環Cの組合せにおいて、本発明では環Bがピリジン環であり、環Aおよび環Cがピリジン環、キノリン環またはピリミジン環が好ましく、環A〜環Cのいずれもがピリジン環が特に好ましい。
およびZは、少なくとも一方が、炭素原子が好ましく、両方が炭素原子の場合がより好ましい。
Anc1〜Anc3は半導体微粒子表面に吸着する吸着基であり、該半導体微粒子表面に少なくともこれらの1つの吸着基で吸着される。
Anc1〜Anc3は各々独立に酸性基を表す。ここで酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、pKaが11以下である。酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。酸性基は、−COH、−SOH、−PO、−OH、−SHもしくはこれらの塩が好ましく、−COH、−OHもしくはこれらの塩が特に好ましい。
、XおよびXは各々独立に単結合または連結基を表す。
連結基としては、結合する含窒素芳香ヘテロ環とπ共役して連結する連結基が好ましい。このような連結基としては、置換基Tを2価にした基が挙げられる。
例えば、エテニレン基、エチニレン基、アリーレン基、ヘテロ芳香環基およびこれらを組み合わせた基が好ましい。これらの基は置換基を有してもよく、該置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
、XおよびXは、環A、環B又は環Cと共役するようにこれらの環に結合する、不飽和結合を含有する基、例えばエテニレン基であると、光電変換素子の光電変換効率を向上させることができる。
ここで、Anc1〜Anc3が−OHの場合、Anc1−X−、Anc2−X−、Anc3−X−、または、これらの連結基X〜Xの一部を含んだ部分構造が下記式(AncX)であるものが好ましい。
Figure 0006033144
式中、Zxは単結合または−〔C(=W)〕nx−を表す。ここでnxは1〜3の整数を表す。=W、=Wおよび=Wは各々独立に=Oまたは=C(Ra1)(Ra2)を表す。Ra1およびRa2は各々独立に置換基を表す。なお、上記式中の−OHは塩を形成していてもよい。
式(AncX)において、W〜Wにおける=C(Ra1)(Ra2)中のRa1およびRa2の置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。Ra1およびRa2はアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基がより好ましく、アルキル基、アリール基、シアノ基がさらに好ましい。
式(AncX)で表される基もしくは部分構造は、下記式(Anc−1)〜(Anc−5)のいずれかで表される基もしくは部分構造が好ましい。
Figure 0006033144
式中、Ra1〜Ra4は各々独立に置換基を表す。上記式中の−OHは塩を形成していてもよい。
Ra1〜Ra4における置換基は、前述のRa1およびRa2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
式(Anc−1)〜(Anc−5)で表される基のうち、式(Anc−1)、(Anc−5)で表される基が好ましく、式(Anc−1)で表される基が特に好ましい。
また、Anc1〜Anc3が−OHである場合、Anc1−X−、Anc2−X−、Anc3−X−、または、これらの連結基X〜Xの一部を含んだ部分構造が下記式(AncY)であるものが好ましい。
Figure 0006033144
式中、Wは、前記式(AncX)におけるW〜Wと同義であり、好ましい範囲も同じである。
Anc1〜Anc3が−COHである場合、Anc1−X−、Anc2−X−、Anc3−X−または、これらの連結基X〜Xの一部を含んだ部分構造が下記式(AncZ)であるものも好ましい。
Figure 0006033144
式中、Rzはハメット則におけるσp値が0.30以上の置換基を表す。
このような基としては、例えば、シアノ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、パーフルオロアルキル基、ニトロ基が挙げられる。
Rzは、シアノ基、アシル基(好ましくはアセチル基)、パーフルオロアルキル基(好ましくはトリフルオロメチル基)が好ましく、シアノ基が特に好ましい。
l1〜l3は1〜5の整数を表すが、1または2が好ましく、1がより好ましい。
m1およびm3は、0〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表し、m1〜m3の総和は1以上である。m1〜m3の総和は1〜3が好ましく、2または3が好ましく、3が特に好ましい。なかでも、m1〜m3のいずれか2つまたは3つが1である場合が好ましく、m1〜m3のいずれもが1である場合が特に好ましい。
〜Rは、置換基を表すが、該置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。R〜Rは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、およびハロゲン原子、シアノ基、スルホニル基等のハメットのσp値が正の電子求引性基が好ましく、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基がより好ましい。
n1およびn3は0または1が好ましく、n2は0が好ましい。さらに好ましくはn1〜n3がいずれも0である。
式(LA)で表される配位子は、下記式(AL−1)〜(AL−4)で表される配位子が好ましい。
Figure 0006033144
式中、Anc1〜Anc3は各々独立に、−COH、−SOH、−PO、−SHもしくはこれらの塩を表す。RALはAnc1〜Anc3以外の置換基を表し、b1は0〜4の整数を表す。
2aは、−O−、−S−、−NR’−、飽和脂肪族基、芳香族炭化水素環基、非芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基、非芳香族ヘテロ環基またはこれらの組み合わせにより形成される連結基を表す。ここで、R’は水素原子または置換基を表す。X1aは連結基を表し、Xは単結合または連結基を表す。m4は0または1を表す。
Anc1〜Anc3は−COHもしくはその塩が好ましい。
ALにおける置換基は、後述の置換基Tが挙げられるが、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基(好ましくはヘテロ芳香環基で、チオフェン環、フラン環基が好ましい)である。
b1は0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1がより好ましい。
2aにおいて、R’の置換基は後述の置換基Tが挙げられる。R’は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましい。
また、飽和脂肪族基、芳香族炭化水素環基、非芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基、非芳香族ヘテロ環基は、2価の基であり、これらの基は、置換基を有してもよく、該置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
2aにおける、飽和脂肪族基は、直鎖または分岐鎖のいずれでもよい。特に好適な飽和脂肪族基はアルキレン基であり、具体的には、メチレン、エチレン、プロペニレン、ブチレニン等の炭素数1〜6のアルキレン基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基は、例えば、置換基Tのアリール基に対応する基等が挙げられ、具体的には、ベンゼン環基、ナフタレン環基等が挙げられる。
非芳香族炭化水素環基としては、飽和炭化水素基(シクロアルキル基)、不飽和炭化水素基で、例えば、ヒュッケル則を満たさないように炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を1つもしくは2つ以上有する炭化水素環基が挙げられる。なお、環構成原子がオキソ基(>C=O)を含む場合、互変異性体としてエノール構造を取り得、形式上、例えば6π共役となるが、これらは非芳香族炭化水素環基に分類する。
芳香族ヘテロ環基としては、環A〜環Cの含窒素芳香族ヘテロ環で挙げた環の2価の基が挙げられる。芳香族ヘテロ環基における芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、トリアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環が挙げられる。
非芳香族ヘテロ環基としては、飽和のヘテロ環基(例えば、該環としては、ピロリジン環基、モルホリン環基、ピペリジン環)、不飽和でヒュッケル則を満たさない炭素−炭素二重結合および/または炭素−ヘテロ二重結合を含むヘテロ環基(例えば、該環としては、2H−ピロール環、ピロリン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環)、環構成原子に−SO−、−SO−、−C(=O)−を含むヘテロ環基(例えば、該環としては、チオフェン−1−オキシド環、チオフェン−1,1−ジオキシド環、ピロリドン環)が挙げられる。
エテニレン基又はエチニレン基で置換されたベンゼン環基又はチオフェン環構造を有する基、2以上のチオフェン環構造を有する基を組み合わせた基等が挙げられる。
2aは、金属錯体色素がより一層高い光電変換効率(η)を発揮する点で、直鎖または分岐鎖の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基であるのが好ましく、芳香族炭化水素環基がより好ましく、特にベンゼン環が好ましい。
1aは連結基を表す。ここで、連結基は単結合を含まない。
1a、Xにおける連結基は、X2aにおける連結基や、エテニレン基、エチニレン基等の不飽和炭化水素基を好ましく含む。
1a、Xにおける連結基は、Anc〜Ancが結合する原子とピリジン環とがπ共役で連結する連結基が好ましい。これにより、π共役系の延長による吸収特性の改善効果が期待できる。このような連結基としては、エテニレン基、エチニレン基、アリーレン基、2価の芳香族ヘテロ環基、またこれらの基が組み合わされた連結基が挙げられる。
なお、非芳香族炭化水素環や非芳香族ヘテロ環基でも、π共役系の延長できるものは好ましく、例えば非芳香族ヘテロ環基では下記のような不飽和ヘテロ環基(環構成原子がオキソ基(>C=O)と炭素−炭素二重結合を有す環の基は好ましい。ここで、π共役に係る環中の炭素−炭素二重結合は、炭素−ヘテロ原子二重結合(例えば、C=N)であってもヘテロ原子−ヘテロ原子二重結合(例えば、N=N)であっても構わない。
Figure 0006033144
式中、*および**はピリジン環、またはAncもしくはAncとの結合位置を表し、R11およびR12は各々独立に置換基を示す。R11の置換基としては、後述の置換基Tが挙げられ、R12の置換基としては後述の置換基Tのうち電子求引性基が挙げられ、例えばシアノ基等が好ましい。
1a、Xは、X2aにおける連結基を含み、上記のように、π共役する基が好ましいが、このような基としてより好ましくは、エテニレン基、エチニレン基、アリーレン基(好ましくはフェニレン基)、2価のチオフェン環およびこれらの基の組合せであり、例えば、−エテニレン−フェニレン−、−エチニレン−フェニレン−、−エテニレン−2価のチオフェン環−、−エチニレン−2価のチオフェン環−、−2価のチオフェン環−2価のチオフェン環−を挙げることができる。
なお、連結基には後述の置換基Tが置換されていてもよく、なかでも電子求引性の置換基で置換されていていることが好ましい。電子吸引性の置換基が置換することによって、金属錯体色素のモル吸光係数が増大し、光電変換効率が改善され、さらには性能のばらつきが低減される。このような電子求引性基としては、例えば、フルオロアルキル基、ハロゲン原子、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、置換もしくは無置換のアミノスルホニル基、ニトロ基、置換もしくは無置換アミド基およびシアノ基が好適である。
1a、Xは、金属錯体色素がより一層高い光電変換効率(η)を発揮する点で、置換基を有してもよいエチニレン基、2価のチオフェン環基、チオフェン骨格を有する不飽和ヘテロ環基またはこれらが組み合わされた連結基であるのが好ましい。
置換基を有してもよいエチニレン基もしくは2〜5個連結した共役基、特に下記式(3)〜(6)で表される基、または、2価のチオフェン環基もしくは2価のチオフェン環骨格の不飽和ヘテロ環基、特に下記式(3)、(7)〜(9)で表される基が好ましい。
Figure 0006033144
式中、*はピリジン環との結合位置を表し、**はAnc1またはAnc3との結合位置を表す。sは0〜2の整数を表す。R31〜R102は各々独立に、水素原子または置換基を表し、複数の置換基は直接もしくは連結基を介して結合し環を形成してもよい。ここで、R31〜R102は後述の置換基Tが挙げられ、なかでも電子吸引性基が好ましい。
m4は0または1を表すが、耐久性の観点から、1が好ましい。
また、式(LA)で表される配位子は、下記式(AL−5)で表される配位子が好ましい。
Figure 0006033144
式中、Ancx、X〜X、l1〜l3、m1〜m4、R〜R、n1〜n3は式(LA)におけるAncx、X〜X、l1〜l3、m1〜m4、R〜R、n1〜n3と同義であり、好ましい範囲も同じである。式中の−OHは塩を形成していてもよい。
なお、本発明においては、LAは、前記式(LA)において、環A、環Bおよび環Cは各々独立にピリジン環またはピリミジン環であり、Z およびZ は炭素原子である。
また、X 、X およびX は各々独立に単結合、エテニレン基、エチニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、l1〜l3は各々独立に1〜5の整数であり、m1およびm3は各々独立に0〜4の整数であり、m2は0〜3の整数である。ただし、m1〜m3の総和は1以上である。R 〜R は各々独立にアルキル基またはアリール基である。ただし、該アルキル基およびアリール基は、下記のAnc1〜Anc3を有しない。n1およびn3は各々独立に0〜4の整数であり、n2は0〜3の整数である。
Anc1〜Anc3は、各々独立に、−CO H、−SO H、−PO 、前記式(Acn−1)で表される基、前記(AncZ)で表される基およびこれらの塩から選択される酸性基である。ただし、前記(AncZ)で表される基において、Rzはシアノ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、パーフルオロアルキル基またはニトロ基である。
以下に、配位子LAの具体例を示すが、これによって、本発明が、これらに限定されるものではない。
配位子LAのシリーズ1
Figure 0006033144
配位子LAのシリーズ2
3つの環のいずれかが、Anc1〜Anc3が−OHであり、かつ該−OHが下記式(AncX)に連結した−OHである配位子
ただし、これらの配位子のうち、LA−2−10は参考例である。
Figure 0006033144
Figure 0006033144
配位子LAのシリーズ3
ただし、これらの配位子のうち、LA−9−8、LA−9−9、LA−9−12、LA−9−27〜LA−9−29、LA−9−34〜LA−9−38、LA−9−50、LA−9−62、LA−9−64は参考例である。
Figure 0006033144
Figure 0006033144
Figure 0006033144
Figure 0006033144
Figure 0006033144
Figure 0006033144
配位子LAは、金属-ハロゲン交換反応、クロスカップリング反応、クネーフェナーゲル縮合反応などにより合成することができる。
− 配位子LX −
配位子LXは、単座の配位子を表す。この配位子LXは、−S(Rz1)、−O(Rz1)もしくは−N(Rz1)または上述の式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子を表す。
これらの配位子LXは、上述の配位子LDおよび配位子LAと相俟って、長波長領域での分光感度特性および耐久性を改善することに貢献する。この効果が奏される機構の詳細についてはまだ定かではないが、吸収極大波長(λmax)のみならず、吸収長波端が長波化することで長波長領域での分光感度特性を向上させる。これは、π供与性の強い配位子LXを配位子LDおよび配位子LAと共に用いると金属イオンMの最高被占軌道(HOMO)を浅くするために奏されると、考えられる。しかも、この配位子LXは、Rz1の存在によって嵩高くなっており、立体的に中心金属を保護して耐久性をも改善させることができると推定される。
配位子LXとしては、−S(Rz1)、−O(Rz1)または−N(Rz1)が挙げられる。
ここで、Rz1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基を表す。これらの中でも、Rz1は、金属中心を立体的に保護して耐久性を高める点で、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基が好ましい。特に、Rz1は、−S(Rz1)において、アリール基、ヘテロ環基、シリル基が好ましく、−O(Rz1)において、アリール基が好ましく、−N(Rz1)において、アリール基、シリル基、アルキルスルホニル基が好ましい。
なお、配位子LXが−N(Rz1)である場合、2つのRz1は互いに結合して環構造をとらない。
Rz1のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基は、ぞれぞれ、置換基Tと同義であり、好ましいものも同じである。特に、−S(Rz1)において、ベンゼン環基、チオフェン環基、4,5−デヒドロチアゾール環基およびベンゾチアゾール環基が好ましい。
配位子LXとして、上述の配位子の他に、式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子を挙げることができる。
Figure 0006033144
式中、Xz1は、−ORz1、−SRz1、−N(Rz1)または−Rz1を表し、Zz1およびZz2は各々独立に5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
式(Z1−1)におけるXz1が表す、−ORz1、−SRz1、−N(Rz1)および−Rz1は、それぞれ、上述したものと同義であり、好ましいものも同じである。なお、Xz1が−Rz1であるとき、2つのRz1は互いに結合して環構造をとらない。
Xz1は、金属中心を立体的に保護して耐久性を高める点で、アルキル基、アリール基およびヘテロ環基が好ましく、アリール基がさらに好ましい。
式(Z1−2)におけるZz1は、5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群であって、この非金属原子群を構成する原子として、炭素原子、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子など)が好適に挙げられる。
したがって、式(Z1−2)で表される配位子LXは、金属イオンMに配位する窒素原子に結合する炭素原子を含む5〜7員の環構造を有している。この環構造としては、例えば、後述する式(Z2−2)の環構造が挙げられる。
式(Z1−3)におけるZz2は、金属イオンMに配位する窒素原子を含んで5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群であって、この非金属原子群を構成する原子として、炭素原子、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子など)が好適に挙げられる。
したがって、式(Z1−3)で表される配位子LXは、金属イオンMに配位する窒素原子を含む5〜7員の含窒素複素環基(飽和および不飽和(芳香族および非芳香族を含む))を有している。この含窒素複素環基としては、例えば、後述する式(Z2−3)の環構造が挙げられる。
単座配位子LXとしては、下記式(Z2−1)〜(Z2−3)のいずれかの式で表される単座配位が好適に挙げられる。
Figure 0006033144
式(Z2−1)中、Xz2は、O、SまたはNRz1を表し、長波長領域の分光感度特性や光電変換効率の点でSが好ましい、Xは炭素原子または窒素原子を表す。Wは、Xz2に結合する炭素原子を含んで5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。非金属原子群を構成する原子として、炭素原子、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子など)が好適に挙げられる。
式(Z2−1)における環構造は、炭化水素環でもよく複素環でもよく、また芳香族環でも非芳香族不飽和複素環でもよい。芳香族炭素環としては、ベンゼン環が挙げられ、他の環が縮合したベンゼン環など、例えばナフタレン環を含む。芳香族複素環としては、チオフェン環基、フラン環基、ピロール環基、チアゾール環基、ピリジン環基などが挙げられる。芳香族複素環は、ベンゼン環などが縮合したものを含み、例えば、ベンゾチアゾール環などが好適に挙げられる。これらの中でも、チオフェン環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基がさらに好ましい。非芳香族不飽和複素環としては、ピロリン環基、4,5−デヒドロチアゾール環基などが挙げられ、4,5−デヒドロチアゾール環基が好ましい。
式(Z2−2)および(Z2−3)中、X1、X2及びYは、各々独立に、O、S、NRz1、>C=O、>C=S、C(Rz1)を表す。Rz1は上述の通りである。X1およびX2は、いずれも、Oまたは>C=Oが好ましい。Yは>C=Sが好ましい。
式(Z2−2)における環構造は、飽和環でも不飽和環でもよく、また炭化水素環基でもよく複素環基でもよい。好適な飽和環としては、シクロペンタン環基、シクロペンタンジオン環基などの炭化水素環基、ジオキソラン環基などの複素環基などが挙げられる。これらのなかでも、シクロペンタンジオン環基、ジオキソラン環基が好ましい。一方、好適な不飽和環としては、シクロペンテン環基、シクロペンテンジオン環基などの不飽和炭化水素環基、デヒドロジオキソラン環基などの不飽和複素環基などが挙げられ、これらはベンゼン環などが縮合したものを含む。これらの中でも、シクロペンテンジオン環基、デヒドロジオキソラン環基、ベンゼン環が縮合したシクロペンテンジオン環基、ベンゼン環が縮合したデヒドロジオキソラン環基が好ましい。
式(Z2−3)における含窒素複素環基は、飽和環でも不飽和環でもよい。好適な飽和環としては、ピロリジン環基、ピロリジン−2−チオン環基などが挙げられる。これらの中でも、ピロリジン−2−チオン環基が好ましい。一方、好適な不飽和環としては、ジヒドロピロリジン環基、ジヒドロピロリジン−2−チオン環基などが挙げられ、これらはベンゼン環などが縮合したものを含む。これらの中でも、ジヒドロピロリジン−2−チオン環基、ベンゼン環が縮合したジヒドロピロリジン−2−チオン環基が好ましい。
Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、シアノ基またはニトロ基を表す。これらのうち、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基は置換基Tと同義であり、好ましいものも同じである。
nは、0以上の整数であり、各式における環構造に応じて適宜決定され、好ましくは、0、1または2である。nが2以上、すなわちRが複数存在する場合、これらが互いに連結して環を形成してもよい。
単座配位子LXとしては、具体的には、下記式(Z2−4)〜(Z2−18)のいずれかの式で表される単座配位が好適に挙げられる。
Figure 0006033144
式中、Xz2は、O、S、NまたはNRz1を表し、Xz3はNまたはCRz1を表し、Xz4〜Xz7は各々独立にO、S、NRz1またはC(Rz1)を表す。nz1はXz2がNであるとき2を表し、Xz2がO、SおよびNRz1であるとき1を表す。Rz1は請求項1のRz1と同義であり、Rz2〜Rz12およびRz16〜Rz45は各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、シアノ基またはニトロ基を表し、Rz13〜Rz15は各々独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
Rz2〜Rz45は、水素原子およびアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。Rz2〜Rz45は、互いに結合して環を形成してもよく、ぞれぞれ、置換基Tと同義であり、その好ましいものも同じである。
式(Z1−4)〜(Z1−8)において、Xz2は、長波長領域での分光感度特性および耐久性の点で、S及びNが好ましく、Sがより好ましい。同様に、式(Z1−5)〜(Z1−7)において、Xz3はN及びC(Rz1)(特にRz1は水素原子)が好ましく、Xz4はSが好ましい。
式(Z1−9)において、Rz14およびRz15は、いずれも、中心金属を立体的に保護して耐久性を向上させる点で、アリール基、特にフェニル基が好ましい。
式(Z1−10)〜(Z1−12)において、Xz5は、いずれも、Oが好ましい。
式(Z1−13)〜(Z1−15)において、Xz6は、いずれも、Oが好ましい。
式(Z1−16)〜(Z1−18)において、Xz6はSが好ましく、Xz7はC(Rz1)(特にRz1は水素原子)が好ましい。
なお、本発明においては、LXは、−S(Rz1)、−O(Rz1)もしくは−N(Rz1) または前記式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子であるが、ここで、Rz1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基またはアルキルスルホニル基である。
以下に、配位子LXの具体例を示すが、これによって、本発明が、これらに限定されるものではない。
Figure 0006033144
Figure 0006033144
Figure 0006033144
− 電荷中和対イオンY −
Yは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、色素が陽イオンまたは陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、金属錯体色素中の金属、配位子および置換基に依存する。
置換基が解離性基を有することなどにより、金属錯体色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、金属錯体色素全体の電荷はYにより電気的に中性とされる。
対イオンYが正の対イオンの場合、例えば、対イオンYは、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(例えば、テトラブチルアンモニウムイオンなどのテトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルベンジルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えば、テトラブチルホスホニウムイオンなどのテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン、トリエチルフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオン、金属錯体イオンまたはプロトンである。正の対イオンとしては、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(トリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムイオン等)、プロトンが好ましい。
対イオンYが負の対イオンの場合、例えば、対イオンYは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、水酸化物イオン、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換または無置換のアルキルカルボン酸イオン(酢酸イオン、トリフルオロ酢酸等)、置換または無置換のアリールカルボン酸イオン(安息香酸イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等)、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。負の対イオンとしては、ハロゲン陰イオン、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンが好ましく、ハロゲン陰イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンがより好ましい。
− n −
式(I)中のnは0〜4の整数を表し、0または1が好ましく、0がより好ましい。
<置換基T>
本明細書において化合物(錯体、色素を含む)の表示については、当該化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、本明細書において置換・無置換を明記していない置換基(連結基および配位子についても同様)については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
また、本明細書において、単に置換基としてしか記載されていない場合は、この置換基Tを参照するものであり、また、各々の基、例えば、アルキル基、が記載されているのみの時は、この置換基Tの対応する基における好ましい範囲、具体例が適用される。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル、トリフルオロメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20で、例えばシクロペンテニル、シクロヘキセニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20で、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル、チエニル基、4,5−デヒドロチアゾール環基、ベンゾチアゾール環基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニルオキシ、アリルオキシ等)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、2−プロペニルオキシ、4−ブチニルオキシ等)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、ヘテロ環オキシ基(例えば、イミダゾリルオキシ、ベンゾイミダゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、ベンゾチアゾリルオキシ、トリアジニルオキシ、プリニルオキシ)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20で、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20で、例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、N−アリルアミノ、N−(2−プロピニル)アミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N−シクロヘキセニルアミノ、アニリノ、ピリジルアミノ、イミダゾリルアミノ、ベンゾイミダゾリルアミノ、チアゾリルアミノ、ベンゾチアゾリルアミノ、トリアジニルアミノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルファモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基が好ましく、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルスルホンアミド、N−シクロヘキシルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、4−メチルシクロヘキシルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリル基が好ましく、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジエチルベンジルシリル、ジメチルフェニルシリル等)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリエチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ、ジエチルベンジルシリルオキシ、ジメチルフェニルシリルオキシ等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、カルボキシル基、スルホ基、ホスホニル基、ホスホリル基、ホウ酸基である。
化合物または置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
本発明の式(I)で表される金属錯体色素の具体例として、後述するDye−1〜Dye−38を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の金属錯体色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜1000nmの範囲であり、より好ましくは350〜950nmの範囲であり、特に好ましくは370〜900nmの範囲である。
本発明の式(I)で表される金属錯体色素は、上述の特許文献1および2に記載された方法に準じた方法で合成することができる。
その一例を簡単に説明する。まず、出発原料として、2位にハロゲン原子を有し、酸性基を導入する位置に直接又は置換基を介してハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、または、後述する式で表される基を有する含窒素芳香族ヘテロ環化合物を用いて、例えば式(LA’)で表される前駆体を合成する。この前駆体は、環A〜環Cに少なくとも1つの、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、または、後述する式で表される基を有する3座のアクセプター配位子の前駆体である。
Figure 0006033144
式中、環A、環B及び環Cは各々独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z及びZは各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。ここで、ZとN原子の間の結合及びZとN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。
〜Rは各々独立に置換基を表す。n1及びn3は各々独立に0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。
10〜X30は各々独立に単結合又は連結基を表す。Gは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、または、置換基を有していてもよい下記の基を表す。
p1およびp3は0〜4の整数、p2は0〜3の整数を表す。ただし、p1〜p3の総和は1以上である。
環A、環B及び環Cは各々式(I)における環A、環B及び環Cと同義であり、好ましいものも同じである。Z及びZは各々式(I)におけるZ及びZと同義である。
〜Rは各々式(I)におけるR〜Rと同義であり、好ましいものも同じである。n1〜n3は各々式(I)におけるn1〜n3と同義であり、好ましいものも同じである。
10〜X30はそれぞれ式(I)におけるX〜Xと同義であり、好ましいものも同じであり、特に好ましくは芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基又は単結合である。
Gは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、または、下記のいずれかの構造で表される、置換基を有していてもよい基を表す。アルコキシカルボニル基およびアリールオキシカルボニル基は、特に限定されないが、これらのアルキル基およびアリール基は、化合物の安定性が高く中でも反応中でも加水分解しにくい点で、後述する置換基Tのアルコキシカルボニル基およびアリールオキシカルボニル基と同義であり、好ましいものも同じである。
Figure 0006033144
式中、Rは各々独立にアルキル基を表す。*は、環A、環B又は環Cとの結合位置を表す。
は各々独立にアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1又は2のアルキル基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられる。
上述の基が有していてもよい置換基としては置換基Tが挙げられる。
p1〜p3は各々式(I)におけるm1〜m3と同義であり、好ましいものも同じである。
この前駆体を金属イオンMの化合物に配位させ、所望により別途合成した2座配位子LDおよび単座配位子LXを金属イオンMに配位させて、合成中間体として下記式(III)で表される金属錯体を合成する。
M(LD)(LA’)(LX)・(Y)n 式(III)
[式中、Mは金属イオンを表す。LDは1つのアニオンと1つの孤立電子対でMに配位する2座配位子を表す。LAは上述の式(LA’)で表される3座配位子を表す。LXは、−S(Rz1)、−O(Rz1)もしくは−N(Rz1)または下記式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子を表し、Rz1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基を表す。Yは電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。nは0〜4の整数を表す。]
Figure 0006033144
[式中、Xz1は、−ORz1、−SRz1、−N(Rz1)または−Rz1を表し、Zz1およびZz2は各々独立に5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。]
この式(III)で表される金属錯体は、具体的には、下記式(III’)で表される。
Figure 0006033144
(式中、LD、LX、環A〜環C、Z、Z、R〜R、n1〜n3、X10〜X30、G、p1〜p3、Y及びnは式(LA’)と同義であり、Mは式(I)と同義であり、それぞれ、好ましいものも同じである。)
金属イオンMの化合物としては、特に限定されず、例えば、金属イオンMのハロゲン化物等が挙げられる。
なお、本発明においては、前記式(III)で表される金属錯体は、以下の通りである。
Mは、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnおよびZnから選択される金属イオンである。
LDは前記式(2L−1)もしくは前記(2L−2)で表される2座配位子または2−(N−メチル−フェニルアミノ)フェノールアニオンの2座配位子であるが、前記式(2L−1)において、環Dはピラゾール環、ピロール環およびベンゼン環から選択される芳香族環であり、該芳香族環がピラゾール環およびピロール環のとき、これらの環は、無置換であるか、または、アルキル基もしくはアリール基が置換した環であり、該芳香族環がベンゼン環のとき、無置換であるか、または、ハロゲン原子が置換したベンゼン環である。
前記(2L−2)において、環Dはベンゼン環であり、このベンゼン環は、無置換であるか、または、ハロゲン原子が置換したベンゼン環である。
前記式(2L−1)において、A 111 は窒素アニオンまたは炭素アニオンであり、前記(2L−2)において、A 121 は−N SO Ry、−O または−S のアニオンである。ここで、Ryはアルキル基である。
前記式(2L−1)および前記式(2L−2)において、R 111 〜R 124 は水素原子、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基である。ただし、R 111 〜R 124 のアルケニル基、アリール基およびヘテロ環基は、−CO H、−SO H、−PO 、前記式(Acn−1)で表される基、前記(AncZ)で表される基およびこれらの塩から選択される酸性基を有しない。ただし、前記(AncZ)で表される基において、Rzはシアノ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、パーフルオロアルキル基またはニトロ基である。
LA’は前記式(LA’)で表される3座配位子であるが、ここで、環A、環Bおよび環Cは各々独立にピリジン環またはピリミジン環であり、Z およびZ は炭素原子である。また、Gは、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、または、下記式(k−1)もしくは(k−2)で表される基である。
Figure 0006033144
[式中、R は各々独立にアルキル基である。*は、X 10 、X 20 およびX 30 、あるいは、環A、環Bまたは環Cとの結合位置を示す。]
10 、X 20 およびX 30 は各々独立に単結合またはエテニレン基であり、p1およびp3は各々独立に0〜4の整数であり、p2は0〜3の整数である。ただし、p1〜p3の総和は1以上である。
〜R は各々独立にアルキル基である。ただし、該アルキル基は、前記酸性基を有しない。n1およびn3は各々独立に0〜4の整数であり、n2は0〜3の整数である。
LXは、−S(Rz1)、−O(Rz1)もしくは−N(Rz1) または前記式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子である。ただし、Rz1は水素原子、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基またはアルキルスルホニル基である。
Yは電荷を中和するのに必要な対イオンであり、nは0〜4の整数である。
式(III)で表される金属錯体の具体例として、後述するRu−III−1〜Ru−III−38、および、以下に示した金属錯体が挙げられる。ただし、Ru−III−17、Ru−III−22、Ru−III−23およびRu−III−34は参考例である。
Figure 0006033144
次いで、この金属錯体と連結基X〜X及び酸性基Anc1〜Anc3に対応する化合物とを反応させて、式(I)で表される金属錯体色素を合成できる。例えば、連結基のうち酸性基Ancが結合する部分がエテニレン基(結合連結基を含む。)である場合には、式(III’)で表される金属錯体と、例えばシアノ酢酸等の活性メチレン化合物とを、例えばKnoevenagel縮合反応に供することよって、X〜Xが連結基である式(I)で表される金属錯体色素を合成できる。ここで、式(III’)で表される金属錯体のGが上述の式で表される基である場合には加水分解等によって脱保護し、ホルミル基にしておくのがよい。
また、X〜Xが単結合である場合は、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、または、上述のであるGを常法により加水分解して、式(I)で表される金属錯体色素を合成できる。
<<光電変換素子および色素増感太陽電池>>
本発明の光電変換素子は、例えば、図1に示すように、光電変換素子10は、導電性支持体1、色素(金属錯体色素)21により増感された半導体微粒子を含む感光体層2、正孔輸送層である電荷移動体層3および対極4からなる。ここで本発明においては、半導体微粒子22に、色素(金属錯体色素)21とともに、共吸着剤が吸着されていることが好ましい。感光体層2を設置した導電性支持体1は光電変換素子10において作用電極として機能する。本実施形態においては、この光電変換素子10を外部回路6で動作手段Mに仕事をさせる電池用途に使用できるようにした色素増感太陽電池を利用したシステム100として示している。
本実施形態において受光電極5は、導電性支持体1、および色素(金属錯体色素)21の吸着した半導体微粒子を含む感光体層2よりなる。感光体層2は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。一層の感光体層中の色素(金属錯体色素)21は一種類でも多種の混合でもよいが、そのうちの少なくとも1種は、上述した本発明の金属錯体色素を用いる。感光体層2に入射した光は色素(金属錯体色素)21を励起する。励起された色素はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素(金属錯体色素)21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このとき色素(金属錯体色素)21は酸化体となっているが、電極上の電子が外部回路6で仕事をしながら、対極4を経由して、色素(金属錯体色素)21の酸化体および電解質が存在する感光体層2に戻ることで太陽電池として働く。
本発明において光電変換素子もしくは色素増感太陽電池に用いられる材料および各部材の作成方法については、この種のものにおける通常のものを採用すればよく、例えば米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,0843,65号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
以下、主たる部材について概略を説明する。
− 導電性支持体 −
導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電膜層を有するガラスもしくはプラスチックの支持体であるのが好ましい。支持体としては、ガラスおよびプラスチックの他、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いてもよい。支持体上には、表面に光マネージメント機能を施してもよく、例えば、特開2003−123859号公報に記載の高屈折膜および低屈性率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能が挙げられる。
導電膜層の厚さは0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることが更に好ましく、特に好ましくは0.05〜20μmである。
導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。透明導電性支持体としては、ガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化物を塗設したものが好ましい。金属酸化物としてはスズ酸化物が好ましく、インジウム-スズ酸化物、フッ素ドープド酸化物が特に好ましい。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスもしくはプラスチックの支持体1m当たり0.1〜100gが好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
− 半導体微粒子 −
半導体微粒子は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、またはルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドをチタニア微粒子に混合するか、または半導体電極として用いてもよい。
半導体微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として0.001〜1μm、分散物の平均粒径として0.01〜100μmであることが好ましい。半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法として、湿式法、乾式法、その他の方法が挙げられる。
透明導電膜と半導体層(感光体層)の間には、電解液と電極が直接接触することによる逆電流を防止するため、短絡防止層を形成することが好ましい。光電極と対極の接触を防ぐために、スペーサーやセパレータを用いることが好ましい。半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子を支持体上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。一般に、半導体微粒子を含む層の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。半導体層である感光体層の好ましい厚みは素子の用途によって異なるが、典型的には0.1〜100μmである。色素増感太陽電池として用いる場合は1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。半導体微粒子は、支持体に塗布した後に粒子同士を密着させるために、100〜800℃の温度で10分〜10時間焼成してもよい。支持体としてガラスを用いる場合、製膜温度は400〜60℃が好ましい。
なお、半導体微粒子の支持体1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。色素の使用量は、全体で、支持体1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。この場合、本発明の金属錯体色素の使用量は5モル%以上とすることが好ましい。また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。このような色素量とすることによって、半導体微粒子における増感効果が十分に得られる。
前記色素が塩である場合、前記特定の金属錯体色素の対イオンは特に限定されず、例えばアルカリ金属イオンまたは4級アンモニウムイオン等が挙げられる。
このように、半導体微粒子は、加えられた上記式(I)で表される金属錯体色素で吸着されてなる。吸着する方法は後述する。色素を吸着させた後に、アミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてピリジン類(例えば4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン)等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
本発明の光電変換素子(例えば光電変換素子10)および色素増感太陽電池(例えば光電気化学電池20)においては、少なくとも上記の本発明の金属錯体色素を使用する。
本発明においては、本発明の金属錯体色素と他の色素を併用してもよい。
併用する色素としては、特許第3731752号、特公表2002−512729号、特開2001−59062号、特開2001−6760号、特許第3430254号、特開2003−212851号、国際公開第2007/91525号パンフレット、特開2001−291534号、特開2012−012570号の各公報もしくは明細書などに開示のRu錯体色素、特開平11−214730号、特開2012−144688号、特開2012−84503号等の各公報に記載のスクアリリウムシアニン色素、特開2004−063274号、特開2005−123033号、特開2007−287694号、特開2008−71648号、特開2007−287694号、国際公開第2007/119525号パンフレットの各公報もしくは明細書に記載の有機色素、Angew.Chem.Int.Ed.,49,1〜5(2010)などに記載のポルフィリン色素、Angew.Chem.Int.Ed.,46,8358(2007)などに記載のフタロシアニン色素が挙げられる。併用する色素として好ましくは、Ru錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、または有機色素が挙げられる。
本発明の金属錯体色素と他の色素を併用する場合、本発明の金属錯体色素の質量/他の色素の質量の比は、95/5〜10/90が好ましく、95/5〜50/50がより好ましく、95/5〜60/40がさらに好ましく、95/5〜65/35が特に好ましく、95/5〜70/30が最も好ましい。
− 電荷移動体層 −
本発明の光電変換素子に用いられる電荷移動体層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極と対極(対向電極)との間に設けられる。代表的な例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体電解質、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。効率を高めるためには液体電解質が好ましい。液体電解質の有機溶媒はニトリル化合物、エーテル化合物、エステル化合物等が用いられるが、ニトリル化合物が好ましく、アセトニトリル、メトキシプロピオニトリルが特に好ましい。
酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(ヨウ化物塩、ヨウ化イオン性液体が好ましく、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムが好ましい)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体の組み合せ(例えば赤血塩と黄血塩の組み合せ)、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせ、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが好ましい。
前記コバルト錯体は、なかでも下記式(CC)で表される錯体が好ましい。
Co(LL)ma(X)mb・CI 式(CC)
式(CC)において、LLは2座または3座の配位子を表す。Xは単座の配位子を表す。maは0〜3の整数を表す。mbは0〜6の整数を表す。CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。
CIは前記式(I)におけるYが挙げられる。
LLは下記式(LC)で表される配位子が好ましい。
Figure 0006033144
式(LC)において、ZLC1、ZLC2およびZLC3は各々独立に、5または6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ZLC1、ZLC2およびZLC3は置換基を有していてもよく、置換基を介して隣接する環と閉環していてもよい。XLC1およびXLC3は炭素原子または窒素原子を表す。qは0または1を表す。該置換基としては、前述の置換基Tが挙げられる。
Xはハロゲンイオンであることが好ましい。
上記式(LC)で表される配位子は、下記式(LC−1)〜(LC−3)で表される配位子がより好ましい。
Figure 0006033144
LC1〜RLC9は置換基を表す。q1、q2、q6およびq7は各々独立に、0〜4の整数を表す。q3およびq5は各々独立に、0〜3の整数を表す。q4は0〜2の整数を表す。
式(LC−1)〜(LC−3)において、RLC1〜RLC9の置換基としては例えば、脂肪族基、芳香族基、複素環基等が挙げられる。置換基の具体的な例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ヘテロ環等を挙げることができる。好ましい例としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)、アリール基(例えばフェニル、トリル、ナフチル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、n−ブチルチオ、n−ヘキシルチオ、2−エチルヘキシルチオ等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフトキシ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、ヘテロ環基(例えば、2−チエニル、2−フリル等)を挙げることができる。
式(LC)で表されるコバルト錯体の具体例としては、例えば以下の錯体が挙げられる。
Figure 0006033144
電解質として、ヨウ素とヨウ化物との組み合せを用いる場合、5員環または6員環の含窒素芳香族カチオンのヨウ素塩をさらに併用するのが好ましい。
酸化還元対を、これらを溶かす有機溶媒としては、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)が好ましい。ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマーとしては、例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。溶融塩としては、例えばヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。この場合のポリマーの添加量は1〜50質量%である。また、γ−ブチロラクトンを電解液に含んでいてもよく、これによりヨウ化物イオンの拡散効率が高くなり変換効率が向上する。
電解質への添加物として、前述の4−tert−ブチルピリジンのほか、アミノピリジン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、アミノトリアゾール系化合物およびアミノチアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、アミノトリアジン系化合物、尿素誘導体、アミド化合物、ピリミジン系化合物および窒素を含まない複素環を加えることができる。
また、効率を向上するために、電解液の水分を制御する方法をとってもよい。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法や脱水剤を共存させる方法を挙げることができる。ヨウ素の毒性軽減のために、ヨウ素とシクロデキストリンの包摂化合物の使用をしてもよく、逆に水分を常時補給する方法を用いてもよい。また環状アミジンを用いてもよく、酸化防止剤、加水分解防止剤、分解防止剤、ヨウ化亜鉛を加えてもよい。
電解質として溶融塩を用いてもよく、好ましい溶融塩としては、イミダゾリウムまたはトリアゾリウム型陽イオンを含むイオン性液体、オキサゾリウム系、ピリジニウム系、グアニジウム系およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらカチオン系に対して特定のアニオンと組み合わせてもよい。これらの溶融塩に対しては添加物を加えてもよい。液晶性の置換基を持っていてもよい。また、四級アンモニウム塩系の溶融塩を用いてもよい。
これら以外の溶融塩としては、例えば、ヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。
電解質と溶媒からなる電解液にゲル化剤を添加してゲル化させることにより、電解質を擬固体化してもよい。ゲル化剤としては、分子量1000以下の有機化合物、分子量500〜5000の範囲のSi含有化合物、特定の酸性化合物と塩基性化合物からできる有機塩、ソルビトール誘導体、ポリビニルピリジンが挙げられる。
また、マトリックス高分子、架橋型高分子化合物またはモノマー、架橋剤、電解質および溶媒を高分子中に閉じ込める方法を用いても良い。
マトリックス高分子として好ましくは、含窒素複素環を主鎖あるいは側鎖の繰り返し単位中に持つ高分子およびこれらを求電子性化合物と反応させた架橋体、トリアジン構造を持つ高分子、ウレイド構造をもつ高分子、液晶性化合物を含むもの、エーテル結合を有する高分子、ポリフッ化ビニリデン系、メタクリレート・アクリレート系、熱硬化性樹脂、架橋ポリシロキサン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアルキレングリールとデキストリンなどの包摂化合物、含酸素または含硫黄高分子を添加した系、天然高分子などが挙げられる。これらにアルカリ膨潤型高分子、一つの高分子内にカチオン部位とヨウ素との電荷移動錯体を形成できる化合物を持った高分子などを添加しても良い。
マトリックスポリマーとして2官能以上のイソシアネートを一方の成分として、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基などの官能基と反応させた架橋ポリマーを含む系を用いても良い。また、ヒドロシリル基と二重結合性化合物による架橋高分子、ポリスルホン酸またはポリカルボン酸などを2価以上の金属イオン化合物と反応させる架橋方法などを用いても良い。
上記擬固体の電解質との組み合わせで好ましく用いることができる溶媒としては、特定のリン酸エステル、エチレンカーボネートを含む混合溶媒、特定の比誘電率を持つ溶媒などが挙げられる。固体電解質膜あるいは細孔に液体電解質溶液を保持させても良く、その方法として好ましくは、導電性高分子膜、繊維状固体、フィルタなどの布状固体が挙げられる。
以上の液体電解質および擬固体電解質の代わりにp型半導体あるいはホール輸送材料などの固体電荷輸送層、例えば、CuI、CuNCSなどを用いることができる。また、Nature,vol.486,p.487,2012等に記載の電解質を用いてもよい。固体電荷輸送層として有機ホール輸送材料を用いても良い。ホール輸送層として好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリシランなどの導電性高分子および2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心元素を共有するスピロ化合物、トリアリールアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリフェニレン誘導体、含窒素複素環誘導体、液晶性シアノ誘導体が挙げられる。
酸化還元対は、電子のキャリアになる。好ましい濃度としては合計で0.01モル/1以上であり、より好ましくは0.1モル/1であり、特に好ましくは0.3モル/1以上である。この場合の上限には特に制限はないが、通常5モル/1程度である。
− 共吸着剤 −
本発明の光電変換素子においては、本発明の金属錯体色素または必要により併用する色素とともに共吸着剤を使用することが好ましい。このような共吸着剤としては酸性基(好ましくは、カルボキシル基もしくはその塩の基)を1つ以上有する共吸着剤が好ましく、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えばブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、さらに好ましくはケノデオキシコール酸である。
好ましい共吸着剤は、下記式(CA)で表される化合物である。
Figure 0006033144
式中、RA1は酸性基を有する置換基を表す。RA2は置換基を表す。nAは0以上の整数を表す。
酸性基は、先に示したものと同義である。
nAは2〜4であることが好ましい。
これらの具体的化合物は、上述のステロイド骨格を有する化合物として例示した化合物が挙げられる。
本発明の共吸着剤は、半導体微粒子に吸着させることにより、色素の非効率な会合を抑制する効果および半導体微粒子表面から電解質中のレドックス系への逆電子移動を防止する効果がある。共吸着剤の使用量は特に限定されないが、上記色素1モルに対して、好ましくは1〜200モル、さらに好ましくは10〜150モル、特に好ましくは20〜50モルであることが上記の作用を効果的に発現させられる観点から好ましい。
対向電極(対極ともいう)は、色素増感太陽電池(光電気化学電池)の正極として働くものであることが好ましい。対向電極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。対極の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層に光が到達するためには、前述の導電性支持体と対向電極との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の色素増感太陽電池においては、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。この場合、対向電極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。色素増感太陽電池の対向電極としては、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラス、またはプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。色素増感太陽電池では、構成物の蒸散を防止するために、電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。このようにして得られる本発明の色素増感太陽電池の特性は、好ましくはAM1.5Gで100mW/cmのとき、開放電圧0.01〜1.5V、短絡電流密度0.001〜20mA/cm、形状因子0.1〜0.9、変換効率0.001〜25%である。
本発明は、特許第4260494号公報、特開2004−146425号公報、特開2000−340269号公報、特開2002−289274号公報、特開2004−152613号公報、特開平9−27352号公報に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。また、特開2004-152613号公報、特開2000-90989号公報、特開2003−217688号公報、特開2002−367686号公報、特開2003−323818号公報、特開2001−43907号公報、特開2000−340269号公報、特開2005−85500号公報、特開2004−273272号公報、特開2000−323190号公報、特開2000−228234号公報、特開2001−266963号公報、特開2001−185244号公報、特表2001−525108号公報、特開2001−203377号公報、特開2000−100483号公報、特開2001−210390号公報、特開2002−280587号公報、特開2001−273937号公報、特開2000−285977号公報、特開2001−320068号公報等に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。
<<色素溶液、それを用いた半導体電極および色素増感太陽電池の製造方法>>
本発明においては、本発明の金属錯体色素を含有する色素溶液を使用して半導体電極(色素吸着電極ともいう)を製造することが好ましい。
このような色素溶液には、本発明の金属錯体色素が溶媒に溶解されてなり、必要により共吸着剤や他の成分を含んでもよい。
使用する溶媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが特に限定されない。本発明においては有機溶媒が好ましく、さらにアルコール類、アミド類、ニトリル類、炭化水素類、および、これらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混用溶媒としては、アルコール類と、アミド類、ニトリル類または炭化水素類から選択される溶媒との混合溶媒が好ましい。さらに好ましくはアルコール類とアミド類、アルコール類と炭化水素類の混合溶媒、特に好ましくはアルコール類とアミド類の混合溶媒である。具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが好ましい。
色素溶液は共吸着剤を含有することが好ましく、共吸着剤としては、前述の共吸着剤が好ましく、なかでも前記式(CA)で表される化合物が好ましい。
ここで、本発明の色素溶液は、光電変換素子や色素増感太陽電池を作成する際に、この溶液をこのまま使用できるように、金属錯体色素や共吸着剤が濃度調整されているものが好ましい。本発明においては、本発明の金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。
色素溶液は、水分含有量を調整することが特に好ましく、従って、本発明においては水の含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
同様に、光電変換素子や色素増感太陽電池における電解液の水分含有量の調整も、本発明の効果を効果的に奏するために好ましく、このため、この電解液の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。この電解液の調整は、色素溶液で行なうのが特に好ましい。
本発明においては、上記色素溶液を用いて、半導体電極が備える半導体微粒子表面に金属錯体色素を担持させてなる色素増感太陽電池用半導体電極が好ましい。
また、上記色素溶液を用いて、半導体電極が備える半導体微粒子表面に金属錯体色素を担持させることにより色素増感太陽電池を製造することが好ましい。
以下に実施例に基づき、本発明について更に詳細に説明するが、本発明がこれに限定して解釈されるものではない。
実施例1[金属錯体色素の合成]
下記のようにして、金属錯体色素Dye−1〜Dye−38を合成した。得られた化合物はESI−MSにより確認した。各金属錯体色素のMS測定結果を表1に示す。
Figure 0006033144
Figure 0006033144
1.Dye−1の合成
まず、金属錯体色素Dye−1の2座配位子LD−6−9は下記スキームに従って合成した。
Figure 0006033144
窒素雰囲気下、化合物LD−6−9A(2−アセチル−4−メチルピリジン)25gをTHF(テトラヒドロフラン)200mLに溶解し、0℃で攪拌しながら、ナトリウムエトキシド18.9gを添加し15分攪拌した。その後、トリフルオロ酢酸エチル28.9gを滴下し、外温70℃で20時間攪拌した。室温に戻した後、塩化アンモニウム水溶液を滴下、分液し、有機層を濃縮し、粗生成物LD−6−9Bを72.6g得た。これを窒素雰囲気下、エタノール220mLに溶解し室温で攪拌しながら、ヒドラジン1水和物5.6mLを添加し、外設90℃で12時間加熱した。その後、濃塩酸5mLを添加し、1時間攪拌した。濃縮後、重曹水150mLと酢酸エチル150mLで抽出・分液後、有機層を濃縮した。アセトニトリルで再結晶後、化合物LD−6−9Cを31.5g得た。
窒素雰囲気下、ジイソプロピルアミン4.1gとテトラヒドロフラン30mLを−40℃で攪拌しながら、1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液を23.1mL滴下した後、2時間攪拌した。その後、化合物LD−6−9Cを4.0g添加し、0℃で80分攪拌した後、5−ヘキシルチオフェン−1−カルボキシアルデヒド(d−1−4)3.45gのテトラヒドロフラン溶液15mLを滴下した。その後、0℃で80分攪拌し、室温で5時間攪拌した。その後、塩化アンモニウム溶液を添加し、酢酸エチルで抽出分液した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、化合物LD−6−9Dを5.7g得た。
窒素雰囲気下、化合物LD−6−9Dを5.0gとPPTS(ピリジニウムパラトルエンスルホン酸)5.9gを、トルエン50mLに溶解させ、5時間加熱還流を行った。濃縮後、飽和重曹水及び塩化メチレンで分液を行い、有機層を濃縮した。得られた結晶はメタノール及び塩化メチレンで再結晶することで配位子LD−6−9を4.3g得た。
配位子LD−6−9を用いて下記化合物2を下記スキームに従って合成した。
Figure 0006033144
窒素雰囲気下、50mLフラスコに、化合物1を152mg、配位子LD−6−9を101mgを導入し、溶媒としてエタノール/水の混合溶媒(5:1)を10mL加えた後、N−メチルモルホリンを67mg加え、3時間加熱還流した。室温に冷却し、溶媒を減圧留去した後、得られた黒色固体をアルミナカラムクロマトフラフィーで精製することで、化合物2を150mg得た。
金属錯体色素Dye−1は下記スキームに従って合成した下記化合物4を加水分解して合成した。
Figure 0006033144
窒素雰囲気下、ジクロロメタン10mLに、化合物2を237mg、トリフルオロメタンスルホン酸銀84mgを加え、3時間加熱還流した。室温に冷却し、生成した塩化銀の沈殿をセライト濾過により除去した。濾液に対し、窒素雰囲気下、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム244mgを導入し、5時間加熱還流した。室温に冷却し、溶媒を減圧留去した後、得られた黒色オイルをシリカゲルカラムクロマトフラフィーで精製することで、化合物4を132mg得た。
この化合物4 42mgを、テトラヒドロフラン/メタノールの混合溶媒(1:1)4mLに溶解させ、室温で攪拌しながら、3規定の水酸化ナトリウム水溶液を0.5mL滴下した。そのまま室温で1時間攪拌し、ここに1規定のトリフルオロメタンスルホン酸のメタノール溶液を、pHが3.0になるまでゆっくり滴下した。徐々に結晶が析出し、これを濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥させることで目的の金属錯体色素Dye−1を40mg得た。
Dye−1の合成において、上述の式(III)で表される金属錯体(以下において、Ru−IIIと表記する)である化合物4(Ru−III−1)をESI−MSにより確認した。各金属錯体のMS測定結果を表2に示す。
2.Dye−2〜Dye−38の合成の合成
金属錯体色素Dye−2〜Dye−38は、上記の金属錯体色素Dye−1の合成法と同様の方法により合成した。
これらの金属錯体色素Dye−2〜Dye−38の合成において、上述の式(III)で表される金属錯体Ru−III−1〜Ru−III−38をESI−MSまたはMALDI−MSにより確認した。各金属錯体のMS測定結果を表2に示す。
ここで、金属錯体Ru−III−17、Ru−III−22、Ru−III−23およびRu−III−34は参考例である。
Figure 0006033144
Figure 0006033144
Figure 0006033144
Figure 0006033144
実施例2〔色素増感太陽電池〕
以下の手順により、色素増感太陽電池を作製した。
特開2002−289274号公報に記載の図5に示されている光電極12と同様の構成を有する光電極を作製し、更に、光電極を用いて、同公報の図3に示されている光電極以外は色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する10mm×10mmのスケールの色素増感型太陽電池を作製した。具体的な構成は本願の図面に添付の図2に示した。本願の図2において、41が透明電極、42が半導体電極、43が透明導電膜、44が基板、45が半導体層、46が光散乱層、40が光電極、20が色素増感太陽電池、CEが対極、Eが電解質、Sがスペーサーである。
(ペーストの調製)
(ペーストA)球形のTiO粒子(アナターゼ、平均粒径;25nm、以下、球形TiO粒子Aという)を硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
(ペースト1)球形TiO粒子Aと、球形のTiO粒子(アナターゼ、平均粒径;200nm、以下、球形TiO粒子Bという)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO粒子Aの質量:TiO粒子Bの質量=30:70)を調製した。
(ペースト2)ペーストAに、棒状TiO粒子(アナターゼ、直径;100nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO粒子Cという)を混合し、棒状TiO粒子Cの質量:ペーストAの質量=30:70のペーストを調製した。
(光電極の作製)
ガラス基板上にフッ素ドープされたSnO導電膜(膜厚;500nm)を形成した透明電極を準備した。そして、このSnO導電膜上に、上記ペースト1をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、450℃の条件のもとで焼成した。更に、ペースト2を用いてこのスクリーン印刷と焼成とを繰り返すことにより、SnO導電膜上に本願図面の図2に示す半導体電極42と同様の構成の半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;16μm、色素吸着層の層厚;12μm、光散乱層の層厚;4μm、光散乱層に含有される棒状TiO粒子Cの含有率;30質量%)を形成し、色素を含有していない光電極を作製した。
(色素吸着)
次に、色素を含有していない半導体電極に色素を以下のようにして吸着させた。先ず、マグネシウムエトキシドで脱水した無水エタノールを溶媒として、これに下記表3に記載の金属錯体色素を、その濃度が3×10−4mol/Lとなるように溶解し、さらに共吸着剤として、ケノデオキシコール酸とコール酸の等モル混合物を金属錯体色素1モルに対して20モル加え、各色素溶液を調製した。この色素溶液をカール・フィッシャー滴定により水分量を測定したところ、水は0.01質量%未満であった。次に、この溶液に半導体電極を浸漬し、引き上げ後50℃で乾燥させることにより、半導体電極に色素が約1.5×10−7mol/cm吸着した光電極10を完成させた。
(太陽電池の組み立て)
次に、対極CEとして上記の光電極と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚さ;100nm)、電解質Eとして、ヨウ素およびヨウ化リチウムを含むヨウ素系レドックス溶液を調製した。更に、半導体電極の大きさに合わせた形状を有するデュポン社製のスペーサーS(商品名:「サーリン」)を準備し、特開2002−289274号公報に記載の図3に示されているように、光電極40と対極CEとスペーサーSを介して対向させ、内部に上記の電解質を充填して光電極を使用した色素増感太陽電池(試料No.1〜38およびc1〜c3)を完成させた。
このようにして作製した各色素増感太陽電池の性能を評価した。
<波長750nmでの吸光係数>
波長300〜900nmにおける吸収スペクトルを島津製作所製のUV−3600で測定した。溶媒としてはメタノールを用い、金属錯体色素に対して20当量のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAOH)を加えて測定した。このうち、750nmにおける吸光係数εを下記基準で評価した。
また、Dye−1およびDye−2の吸収スペクトルをそれぞれ図3および図4に示した。
評価基準
AA:比較化合物(1)に対して3倍以上
A:比較化合物(1)に対して2倍以上3倍未満
B:比較化合物(1)に対して1.5倍以上2倍未満
C:比較化合物(1)に対して1倍以上1.5倍未満
D:比較化合物(1)に対して1倍未満
<波長900nmでの分光感度特性>
波長300〜1000nmにおけるIPCE(量子収率)をペクセル社製のIPCE測定装置にて測定した。このうち、波長900nmにおけるIPCEを下記基準で評価した。
900nmでの評価基準
AA:比較化合物(1)に対して2倍以上
A:比較化合物(1)に対して1.7倍以上2倍未満
B:比較化合物(1)に対して1.5倍以上1.7倍未満
C:比較化合物(1)に対して1倍以上1.5倍未満
D:比較化合物(1)に対して1倍未満
<熱劣化の評価>
各色素増感太陽電池を40℃の恒温槽に入れて耐熱試験を行った。耐熱試験前の色素増感太陽電池および耐熱試験12時間後の色素増感太陽電池について電流を評価した。耐熱試験後の電流値の減少分を耐熱試験前の電流値で割った値を熱劣化率として、求められた熱劣化率が、下記の比較化合物(1)に対し、以下の基準で評価した。
評価基準
AA:比較化合物(1)に対して1.5倍以上
A:比較化合物(1)に対して1.3倍以上1.5倍未満
B:比較化合物(1)に対して1.2倍以上1.3倍未満
C:比較化合物(1)に対して1倍以上1.2倍未満
D:比較化合物(1)に対して1倍未満
なお、表3には耐久性として示す。
Figure 0006033144
Figure 0006033144
上記比較化合物(1)および(2)は、以下に記載の金属錯体色素である。
比較化合物(1):上述の特許文献1
比較化合物(2):上述の特許文献2
上記表3から明らかなように、単座配位子LXとしてπ供与性の高い上述の配位子を配位子LDおよびLAと共に有する、試料No.1〜38の本発明の各色素増感太陽電池は、比較化合物を用いた各色素増感太陽電池に対して、長波長領域での感度特性および耐久性に優れることがわかる。具体的には、本発明の各色素増感太陽電池は、いずれも、750nmでの吸光係数εはもちろん、波長900nmにおいても、比較化合物を用いた各色素増感太陽電池に対して、良好な光電変換効率を示した。
特に、試料No.1〜5および19〜38(36を除く)のように、配位子LXの配位原子が硫黄原子であると、波長900nmの光電変換効率および耐久性が、比較化合物を用いた各色素増感太陽電池に対して大幅に向上しており、750nmでの吸光係数εも優れていた。このように硫黄原子を配位原子とする上述の配位子LXは長波長領域での感度特性の改善および耐久性の改善を高い水準で両立できることが分かった。
また、図3および図4に示されているように、試料No.1(Dye−1)および試料No.2(Dye−2)の各色素増感太陽電池は、波長が350〜500nm付近だけでなく、特に700nmの波長を超えた長波長領域まで吸収ピークの裾が広がっていることが確認された。
1 導電性支持体
2 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3 電荷移動体層
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子
100 光電気化学電池を利用したシステム
M 電動モーター(扇風機)
20 色素増感太陽電池
40 光電極
41 透明電極
42 半導体電極
43 透明導電膜
44 基板
45 半導体層
46 光散乱層
CE 対極
E 電解質
S スペーサー

Claims (23)

  1. 導電性支持体、電解質を含む感光体層、電解質を含む電荷移動体層および対極を有する光電変換素子であって、
    該感光体層が、下記式(I)で表される金属錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。
    M(LD)(LA)(LX)・(Y)n 式(I)
    [式中、Mは、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnおよびZnから選択される金属イオンを表す。
    LDは下記式(2L−1)もしくは(2L−2’)で表される2座配位子または2−(N−メチル−フェニルアミノ)フェノールアニオンの2座配位子を表す。
    LAは下記式(LA”)で表される3座配位子を表す。
    LXは、−S(Rz1)、−O(Rz1)もしくは−N(Rz1)または下記式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子を表し、Rz1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基またはアルキルスルホニル基を表す。
    Yは電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。nは0〜4の整数を表す。]
    Figure 0006033144
    [式中、*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
    環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表し、該芳香族環がピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環およびトリアゾール環のとき、これらの環は、無置換であるか、または、アルキル基もしくはアリール基が置換した環であり、該芳香族環がベンゼン環のとき、無置換であるか、または、ハロゲン原子が置換したベンゼン環である。環D’はベンゼン環を表し、このベンゼン環は、無置換であるか、または、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換したベンゼン環である。
    111 は窒素アニオンまたは炭素アニオンを表し、A 121 は−N SO Ry、−O または−S のアニオンを表す。ここで、Ryはアルキル基を表す。
    111 〜R 124 は水素原子、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。ただし、R 111 〜R 124 のアルケニル基、アリール基およびヘテロ環基は、下記式(LA”)で規定されるAnc1、Anc2およびAnc3を有しない。]
    Figure 0006033144
    [式中、環A、環Bおよび環Cは各々独立にピリジン環またはピリミジン環を表す。ここで、ZとN原子の間の結合、ZとN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。ZおよびZ は炭素原子を表す。
    Anc1〜Anc3は各々独立に、−CO H、−SO H、−PO 、下記式(Acn−1)で表される基、下記(AncZ)で表される基およびこれらの塩から選択される酸性基を表す。X、XおよびX 各々独立に単結合、エテニレン基、エチニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。l1〜l3は各々独立に1〜5の整数を表す。m1およびm3は各々独立に0〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表す。ただし、m1〜m3の総和は1以上である。
    〜Rは各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。ただし、該アルキル基およびアリール基は、上記Anc1〜Anc3を有しない。n1およびn3は各々独立に0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。]
    Figure 0006033144
    [式中、Xz1は、−ORz1、−SRz1、−N(Rz1)または−Rz1を表し、Zz1およびZz2は各々独立に5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。]
    Figure 0006033144
    [式中、Rzはシアノ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、パーフルオロアルキル基またはニトロ基を表す。]
  2. 前記LDが、前記式(2L−1)もしくは(2L−2’)で表される2座配位子である請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記半導体微粒子が、加えられた前記式(I)で表される金属錯体色素で吸着されてなる請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記Mが、Fe2+、Ru2+またはOs2+である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記LXが、−S(Rz1)、−O(Rz1)もしくは−N(Rz1)または前記式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子であって、前記Rz1がアリール基、ヘテロ環基またはシリル基であり、前記Xz1がアリール基であり、前記Zz1およびZz2が各々独立に含窒素複素環基である請求項1〜のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記LXが、下記式(Z1−4)〜(Z1−18)のいずれかの式で表される請求項1〜のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 0006033144
    [式中、Xz2は、O、S、NまたはNRz1を表し、Xz3はNまたはCRz1を表し、Xz4〜Xz7は各々独立にO、S、NRz1またはC(Rz1)を表す。nz1はXz2がNであるとき2を表し、Xz2がO、SおよびNRz1であるとき1を表す。Rz1は請求項1のRz1と同義であり、Rz2〜Rz12およびRz16〜Rz45は各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、シアノ基またはニトロ基を表し、Rz13〜Rz15は各々独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。]
  7. 前記式(LA”)の環A、環Bおよび環Cが、いずれもピリジン環である請求項1〜のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  8. 前記式(LA”)が、下記式(AL−1)〜(AL−4)のいずれかである請求項1〜のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 0006033144
    [式中、Anc1〜Anc3は各々独立に、前記式(LA”)におけるAnc1〜Anc3と同義である。ALアルキル基またはアリール基を表す。ただし、該アルキル基およびアリール基は、前記Anc1〜Anc3を有しない。b1は0〜4の整数を表す。X2aエテニレン基またはアリーレン基を表す。X 1aエテニレン基、エチニレン基またはヘテロアリーレン基を表し、Xは単結合、エテニレン基、エチニレン基またはヘテロアリーレン基を表す。m4は0または1を表す。]
  9. 前記式(LA”)において、Anc1〜Anc3が、−COH、−SOH、−PO またはこれらの塩である請求項1〜のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  10. 前記半導体粒子に、さらに酸性基を1つ以上有する共吸着剤が担持されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  11. 前記吸着剤が、下記式(CA)で表される請求項10に記載の光電変換素子。
    Figure 0006033144
    [式中、RA1は酸性基を有する置換基を表す。RA2は置換基を表す。nAは0以上の整数を表す。]
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する色素増感太陽電池。
  13. 下記式(I)で表される金属錯体色素。
    M(LD)(LA)(LX)・(Y)n 式(I)
    [式中、Mは、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnおよびZnから選択される金属イオンを表す。
    LDは下記式(2L−1)もしくは(2L−2’)で表される2座配位子または2−(N−メチル−フェニルアミノ)フェノールアニオンの2座配位子を表す。
    LDは1つのアニオンと1つの孤立電子対でMに配位する2座配位子を表す。
    LAは下記式(LA”)で表される3座配位子を表す。
    LXは、−S(Rz1)、−O(Rz1)もしくは−N(Rz1)または下記式(Z1−1)〜(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子を表し、Rz1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基またはアルキルスルホニル基を表す。
    Yは電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。nは0〜4の整数を表す。]
    Figure 0006033144
    [式中、*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
    環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表し、該芳香族環がピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環およびトリアゾール環のとき、これらの環は、無置換であるか、または、アルキル基もしくはアリール基が置換した環であり、該芳香族環がベンゼン環のとき、無置換であるか、または、ハロゲン原子が置換したベンゼン環である。環D’はベンゼン環を表し、このベンゼン環は、無置換であるか、または、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換したベンゼン環である。
    111 は窒素アニオンまたは炭素アニオンを表し、A 121 は−N SO Ry、−O または−S のアニオンを表す。ここで、Ryはアルキル基を表す。
    111 〜R 124 は水素原子、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。ただし、R 111 〜R 124 のアルケニル基、アリール基およびヘテロ環基は、下記式(LA”)で規定されるAnc1、Anc2およびAnc3を有しない。]
    Figure 0006033144
    [式中、環A、環Bおよび環Cは各々独立にピリジン環またはピリミジン環を表す。ここで、ZとN原子の間の結合、ZとN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。ZおよびZ は炭素原子を表す。
    Anc1〜Anc3は各々独立に、−CO H、−SO H、−PO 、下記式(Acn−1)で表される基、下記(AncZ)で表される基およびこれらの塩から選択される酸性基を表す。X、XおよびX 各々独立に単結合、エテニレン基、エチニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。l1〜l3は各々独立に1〜5の整数を表す。m1およびm3は各々独立に0〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表す。ただし、m1〜m3の総和は1以上である。
    〜Rは各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。ただし、該アルキル基およびアリール基は、上記Anc1〜Anc3を有しない。n1およびn3は各々独立に0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。]
    Figure 0006033144
    [式中、Xz1は、−ORz1、−SRz1、−N(Rz1)または−Rz1を表し、Zz1およびZz2は各々独立に5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。]
    Figure 0006033144
    [式中、Rzはシアノ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、パーフルオロアルキル基またはニトロ基を表す。]
  14. 前記LDが、前記式(2L−1)もしくは(2L−2’)で表される2座配位子である請求項13に記載の金属錯体色素。
  15. 前記LXが、下記式(Z1−4)〜(Z1−18)のいずれかで表される請求項13または14に記載の金属錯体色素。
    Figure 0006033144
    [式中、Xz2は、O、S、NまたはNRz1を表し、Xz3はNまたはCRz1を表し、Xz4〜Xz7は、O、S、NRz1またはC(Rz1)を表す。nz1はXz2がNであるとき2を表し、Xz2がO、SおよびNRz1であるとき1を表す。Rz1は請求項13のRz1と同義であり、Rz2〜Rz12およびRz16〜Rz45は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、シアノ基またはニトロ基を表し、Rz13〜Rz15は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。]
  16. 前記Mが、Fe 2+ 、Ru 2+ またはOs 2+ である請求項13〜15のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
  17. 請求項13〜16のいずれか1項に記載の金属錯体色素を含有する色素溶液。
  18. 有機溶媒中に、前記金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有し、かつ水の含有量が0.1質量%以下である請求項17に記載の色素溶液。
  19. 前記色素溶液が、さらに共吸着剤を含有する請求項17または18に記載の色素溶液。
  20. 前記共吸着剤が、下記式(CA)で表される請求項19に記載の色素溶液。
    Figure 0006033144
    [式中、RA1は酸性基を有する置換基を表す。RA2は置換基を表す。nAは0以上の整数を表す。]
  21. 半導体を導電性支持体に、請求項1720のいずれか1項に記載の色素溶液から得られてなる組成物を塗布し、塗布後の該組成物を硬化させて感光体層としてなる色素増感太陽電池用の色素吸着電極の製造方法
  22. 請求項21に記載の製造方法で製造した色素吸着電極、電解質および対極を準備し、これらを用いて組み立てる色素増感太陽電池の製造方法。
  23. 下記式(III)で表される金属錯体。
    M(LD)(LA’)(LX)・(Y)n 式(III)
    [式中、Mは、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnおよびZnから選択される金属イオンを表す。
    LDは下記式(2L−1’)もしくは(2L−2”)で表される2座配位子または2−(N−メチル−フェニルアミノ)フェノールアニオンの2座配位子を表す。
    LAは下記式(LA’ で表される3座配位子を表す。
    LXは、−S(Rz1’)、−O(Rz1’)もしくは−N(Rz1’または下記式(Z1−1’)、(Z1−2)または(Z1−3)のいずれかの式で表される単座配位子を表し、Rz1’は水素原子、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基またはアルキルスルホニル基を表す。
    Yは電荷を中和するのに必要な対イオンを表す。nは0〜4の整数を表す。]
    Figure 0006033144
    [式中、*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
    環D α はピラゾール環、ピロール環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表し、該芳香族環がピラゾール環およびピロール環のとき、これらの環は、無置換であるか、または、アルキル基もしくはアリール基が置換した環であり、該芳香族環がベンゼン環のとき、無置換であるか、または、ハロゲン原子が置換したベンゼン環である。環D β はベンゼン環を表し、このベンゼン環は、無置換であるか、または、ハロゲン原子が置換したベンゼン環である。
    111 は窒素アニオンまたは炭素アニオンを表し、A 121 は−N SO Ry、−O または−S のアニオンを表す。ここで、Ryはアルキル基を表す。
    111 〜R 124 は水素原子、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。ただし、R 111 〜R 124 のアルケニル基、アリール基およびヘテロ環基は、−CO H、−SO H、−PO 、下記式(Acn−1)で表される基、下記(AncZ)で表される基およびこれらの塩から選択される酸性基を有しない。]
    Figure 0006033144
    [式中、環A、環Bおよび環Cは各々独立にピリジン環またはピリミジン環を表す。ここで、ZとN原子の間の結合、ZとN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。ZおよびZ は炭素原子を表す。
    Gは、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、または、下記式(k−1)もしくは(k−2)で表される基を表す。X10、X20およびX30は各々独立に単結合またはエテニレン基を表す。p1およびp3は各々独立に0〜4の整数を表し、p2は0〜3の整数を表す。ただし、p1〜p3の総和は1以上である。
    〜Rは各々独立にアルキル基を表す。ただし、該アルキル基は、前記酸性基を有しない。n1およびn3は各々独立に0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。]
    Figure 0006033144
    [式中、Rは各々独立にアルキル基を表す。*は、X10、X20およびX30、あるいは、環A、環Bまたは環Cとの結合位置を表す。]
    Figure 0006033144
    [式中、Xz1’は、−ORz1’、−SRz1’、−N(Rz1’または−Rz1’を表し、Zz1およびZz2は各々独立に5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。]
    Figure 0006033144
    [式中、Rzはシアノ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、パーフルオロアルキル基またはニトロ基を表す。]
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