JP6026236B2 - 金属錯体色素、光電変換素子、色素増感太陽電池、色素溶液、色素吸着電極及び色素増感太陽電池の製造方法 - Google Patents
金属錯体色素、光電変換素子、色素増感太陽電池、色素溶液、色素吸着電極及び色素増感太陽電池の製造方法 Download PDFInfo
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Description
最近になって、太陽スペクトルの可視及び長波長領域内で強度の吸収を示す、エテニレン構造を有するアンカー基を分子構造内に含む色素が提案されている(特許文献1参照)。
したがって、本発明の課題は、光電変換効率(η)に対して優れた性能を示す金属錯体色素、この金属錯体色素を使用することで優れた性能の光電変換素子及び色素吸着電極、色素増感太陽電池及びその製造方法ならびに金属錯体色素を含有する色素溶液を提供することにある。
この想定に基づいて検討を行ったところ、半導体微粒子に吸着するアンカー基の配位子母核への置換方法及び置換母核を工夫した3座配位子と、1つ又は2つの配位原子がアニオン性である2座配位子又は3座配位子とを併用すると、電子状態が適正化されモル吸光係数が増大することを見出した。モル吸光係数の増大は、光電変換効率の向上に有効と考えられ、これらの知見に基づき本発明者等はさらに研究を重ね、本発明をなすに至った。
環A、環B及び環Cは各々独立にピリジン環を表す。Z1及びZ2 は炭素原子を表す。ここで、Z1とN原子の間の結合及びZ2とN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。
Xは、−O−、−S−、−NR’(R’は水素原子又は置換基を表す。)−、飽和脂肪族基、該環Bとπ共役しない不飽和基を有する不飽和脂肪族基、芳香族炭化水素環基若しくは非芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基若しくは非芳香族ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基を表す。Anc1〜Anc3は各々独立に酸性基を表す。l1及びl3は各々独立に1〜4の整数、l2は1〜5の整数をそれぞれ表す。mは0〜3の整数を表す。
L1〜L3は配位子を表す。但し、L1とL2が互いに結合して下記式(2L−1)〜(2L−5)のいずれかで表される2座の配位子を形成し、又は、L1、L2及びL3が互いに結合して下記式(3L−1)〜(3L−5)のいずれかで表される3座の配位子を形成している。ここで、L1 中の配位原子、L 2 中の配位原子及びL3 中の配位原子のうち1つ又は2つの配位原子はアニオンとなって配位している。
Yは電荷を中和させるのに必要な対イオンを表し、nは0〜2の整数を表す。)
*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チオフェン環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表す。
A 111 〜A 141 はアニオンとなって配位している窒素原子又は炭素原子を表し、A 151 はアニオンとなって配位している窒素原子、酸素原子又は硫黄原子のいずれかを表す。R 111 〜R 154 は水素原子、又は、Anc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基を表す。)
*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チオフェン環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表す。
A 211 〜A 242 は窒素原子又は炭素原子を表し、A 251 及びA 252 は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子のいずれかを表す。ただし、A 211 とA 212 、A 221 とA 222 、A 231 とA 232 、A 241 とA 242 のそれぞれにおいて少なくとも1つはアニオンとなって配位している窒素原子又は炭素原子であり、A 251 とA 252 の少なくとも1つはアニオンとなって配位している窒素原子、酸素原子又は硫黄原子である。R 211 〜R 253 は水素原子、又は、Anc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基を表す。)
(3)式(I)において、Anc1〜Anc3は、各々独立に、−COOH、−SO3H、−PO3H2、−OH又は−SHである(1)又は(2)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(5)式(I)において、L 3 がNCS配位子である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(6)L 1 とL 2 が互いに結合して式(2L−1)で表される2座の配位子を形成し、又は、L 1 、L 2 及びL 3 が互いに結合して式(3L−1)で表される3座の配位子を形成している(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(8)半導体微粒子に、吸着性基を有する基を少なくとも1つ有する共吸着剤が担持されている(1)〜(7)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
Mは金属イオンを表す。
環A、環B及び環Cはピリジン環を表す。Z 1 及びZ 2 は炭素原子を表す。ここで、Z 1 とN原子の間の結合及びZ 2 とN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。
Xは、−O−、−S−、−NR’(R’は水素原子又は置換基を表す。)−、飽和脂肪族基、該環Bとπ共役しない不飽和基を有する不飽和脂肪族基、芳香族炭化水素環基若しくは非芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基若しくは非芳香族ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基を表す。Anc1〜Anc3は各々独立に酸性基を表す。l1及びl3は各々独立に1〜4の整数、l2は1〜5の整数をそれぞれ表す。mは0〜3の整数を表す。
L1〜L3 は配位子を表す。但し、L 1 とL 2 が互いに結合して下記式(2L−1)〜(2L−5)のいずれかで表される2座の配位子を形成し、又は、L 1 、L 2 及びL 3 が互いに結合して下記式(3L−1)〜(3L−5)のいずれかで表される3座の配位子を形成している。ここで、L 1 中の配位原子、L 2 中の配位原子及びL 3 中の配位原子のうち1つ又は2つの配位原子はアニオンとなって配位している。
Yは電荷を中和させるのに必要な対イオンを表し、nは0〜2の整数を表す。)
*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チオフェン環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表す。
A 111 〜A 141 はアニオンとなって配位している窒素原子又は炭素原子を表し、A 151 はアニオンとなって配位している窒素原子、酸素原子又は硫黄原子のいずれかを表す。R 111 〜R 154 は水素原子、又は、Anc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基を表す。)
*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チオフェン環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表す。
A 211 〜A 242 は窒素原子又は炭素原子を表し、A 251 及びA 252 は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子のいずれかを表す。ただし、A 211 とA 212 、A 221 とA 222 、A 231 とA 232 、A 241 とA 242 のそれぞれにおいて少なくとも1つはアニオンとなって配位している窒素原子又は炭素原子であり、A 251 とA 252 のそれぞれ少なくとも1つはアニオンとなって配位している窒素原子、酸素原子又は硫黄原子である。R 211 〜R 253 は水素原子、又は、Anc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基を表す。)
(13)有機溶媒中に、金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有させ、水を0.1質量%以下に抑えてなる(12)に記載の色素溶液。
(14)共吸着剤を含有する(12)又は(13)に記載の色素溶液。
(17)(16)に記載の製造方法により色素吸着電極を得、この色素吸着電極と電解質と対極とを用いて色素増感太陽電池を組み立てる、色素増感太陽電池の製造方法。
本発明の金属錯体色素は、下記式(I)で表される。
環A、環B及び環Cは各々独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z1及びZ2は各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。ここで、Z1とN原子の間の結合及びZ2とN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。
R1〜R3は各々独立にAnc1〜Anc3を有しない置換基を表す。n1〜n3は各々独立に0〜3の整数を表す。R1〜R3が各々においてそれぞれ複数存在する場合、これらは互いに結合して環を形成してもよい。
Xは、−O−、−S−、−NR’(R’は水素原子又は置換基を表す。)−、飽和脂肪族基、該環Bとπ共役しない不飽和基を有する不飽和脂肪族基、芳香族炭化水素環基若しくは非芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基若しくは非芳香族ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基を表す。Anc1〜Anc3は各々独立に酸性基を表す。l1及びl3は各々独立に1〜4の整数、l2は1〜5の整数をそれぞれ表す。mは0〜3の整数を表す。
L1〜L3は配位子を表し、L1とL2が互いに結合した2座の配位子であるか、L1、L2及びL3が互いに結合した3座の配位子である。ここで、L1〜L3の1つ又は2つの配位原子はアニオン性である。
Yは電荷を中和させるのに必要な対イオンを表し、nは0〜2の整数を表す。
Mは金属錯体色素の中心金属であり、長周期率表上8〜10族の元素が挙げられる。
このような元素としては、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn及びZnの各金属イオンが挙げられる。
本発明においては、MはOs2+イオン、Ru2+イオン、Fe2+イオン又はCu2+イオンが好ましく、なかでもRu2+イオンが好ましい。
なお、光電変換素子中に組み込まれた状態においては、Mの価数は、周囲の材料との酸化還元反応により変化することがある。
式(I)において、環A、環B及び環Cが互いに連結して形成される3座配位子は、半導体微粒子の表面に吸着する吸着基(酸性基ともいう。)を有する配位子である。この配位子を「アクセプター配位子」と称することがある。以下、このアクセプター配位子を説明する。
環A、環B及び環Cは、ぞれぞれ、含窒素芳香族ヘテロ環であり、それぞれ連結基などを介することなく互いに環構成原子同士が連結して、アクセプター配位子としての3座配位子を形成する。ここで、環A、環B及び環Cを構成し、金属イオンMに結合する窒素原子は、アニオンでもよいが、孤立電子対を有するのが好ましい。また、環A及び環CにおいてZ1及びZ2は炭素原子又は窒素原子を表し、環AにおけるZ1とN原子の間の結合、及び、環CにおけるZ2とN原子の間の結合は、各々独立に、単結合でも二重結合でもよい。これらZ1及びZ2によって環A及び環Cは環Bに連結している。Z1及びZ2は共に炭素原子であるのが特に好ましい。
6員環の含窒素芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環が挙げられ、5員環の含窒素芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、インドール環、ベンゾピロール環、イソインドール環、ベンゾトリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環が挙げられる。
環Bは、非縮合の6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環がより好ましく、ピリジン環又はピリミジン環が特に好ましい。
環A、環B及び環CはそれぞれAnc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基R1、R2及びR3を有していてもよい。これらの環A〜Cが各々独立に有する置換基R1、R2及びR3としては置換基Tが挙げられる。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。なお、本明細書において、単に置換基としてしか記載されていないは、この置換基Tを参照するものであり、また、各々の基、例えば、アルキル基、が記載されているのみの時は、この置換基Tの対応する基における好ましい範囲、具体例が適用される。
等が挙げられる。
式(I)において、n1〜3は各々独立に0〜3の整数を表す。n1〜n3はいずれも0又は1であるのが好ましい。
連結基Xは、環B及びAnc2を連結する基であり、例えば、−O−、−S−、−NR’(R’は水素原子又は置換基を表す。)−、飽和脂肪族基、環Bとπ共役しない不飽和基を有する不飽和脂肪族基、芳香族炭化水素環基若しくは非芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基若しくは非芳香族ヘテロ環基又はこれらの組み合わせにより形成される基である。ここで、R’は水素原子又は前述の置換基Tを挙げることができる。なお、連結基Xは置換基Tを有していてもよい。
式(I)中、Anc1、Anc2及びAnc3で示される酸性基は、解離性のプロトンを有する置換基であり、pKaが11以下の基である。例えば、−COOH、−SO3H、−PO3H2、−OH又は−SH等の酸性を示す酸性基が挙げられる。また酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。酸性基としては、COOH、−SO3H、−PO3H2もしくは−OH若しくは−SH又はこれらの塩のいずれかであることが好ましい。酸性基が塩である場合、その塩となるときの対イオンとしては特に限定されないが、例えば、式(I)における対イオンYで示す正のイオンの例が挙げられる。Anc1、Anc2及びAnc3としては、それぞれ、吸着安定性と電子注入の観点から−COOH又は−OHであるのが好ましい。
式(I)において、l1及びl3は各々独立に1〜4の整数、l2は1〜5の整数を表す。l1及びl3は各々独立に1又は2であるのが好ましく、l2は0、1又は2であるのが好ましい。
式(I)において、mは、0〜3の整数を表し、モル吸光係数増大の観点からは0又は1であるのが好ましく、吸着安定性及び性能の均質性の観点からは1であるのが特に好ましい。
本発明において、L1、L2及びL3は、それらの2つ又は3つが互いに直接結合した2座又は3座の配位子である。これらの配位子L1〜L3は、いずれも、酸性基を有しない配位子であり、「ドナー配位子」とも称される。このような2座又は3座の配位子L1、L2及びL3をアクセプター配位子と組み合わせて用いると、金属錯体色素のモル吸光係数が増大することによって光電変換効率(η)が大幅に増加する。これらL1、L2及びL3は、それぞれ、金属イオンMに結合する配位子を表し、L1〜L3の1つ又は2つがアニオン性の配位原子を持つ配位子である。例えば、L1〜L3が2座の配位子である場合には、それらの配位原子のうち少なくとも一方はアニオン性であるのが好ましく、L1〜L3が3座の配位子である場合には、それらの配位原子のうち1つ又は2つがアニオン性であるのが好ましい。配位子の1つ又は2つがアニオン性の配位原子を持つ配位子であると、金属錯体色素のモル吸光係数が増大して光電変換素子の光電変換効率が改善される。また、配位子L1、L2及びL3が共役構造を有していると光電変換素子の光電変換効率が増大する点で好ましい。
(La)金属イオンMに結合する原子が孤立電子対を有し、アニオン性を有しない含窒素芳香族環基、
(Lb)金属イオンMに結合する環構成原子としてアニオン性の窒素原子を有する含窒素芳香族環基、
(Lc)金属イオンMに結合する環構成原子としてアニオン性の炭素原子を有する、含窒素芳香族環基(Lb)以外の芳香環基
(Ld)アニオン性の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する官能基で置換された芳香族炭化水素環基、
(Le)アニオン性の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する官能基で置換された含窒素芳香族環基、及び、
(Lf)(La)〜(Le)以外の配位子
等が挙げられる。
なお、これらの配位子は、各配位子の特性を阻害しない置換基を有していてもよい。このような置換基として、半導体微粒子表面に吸着する吸着基以外の置換基が挙げられ、例えば、置換基Tが挙げられる。具体的には、含窒素芳香族環基(La)はアニオン性でない置換基Tを有していてもよい。置換基Tのうち好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ハロゲン原子、複数組み合わせてなる基等であり、特に好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、複数組み合わせてなる基である。この置換基Tは隣接する2つの環それぞれに結合してこれらと縮環してもよい。
この含窒素芳香族環基(La)は、金属イオンMに結合する環構成原子としてアニオン性の炭素原子又は窒素原子を有さず、かつアニオン性の官能基を有していない含窒素芳香族環基である。なお、アニオン性の炭素原子又は窒素原子及びアニオン性の官能基については後述する。この含窒素芳香族環基(La)における環としては、5〜7員環が好ましく、縮環していてもよい。このような含窒素芳香族環基(La)の環としては、例えば、環A等で説明した含窒素芳香族ヘテロ環のうち金属イオンMに結合する環構成原子としてアニオン性の炭素原子又は窒素原子を有していないものが挙げられる。具体的には、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、キノリン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、金属イオンMに結合する原子が2位の窒素原子であるピラゾール環基等が挙げられ、ピリジン環が好ましい。この含窒素芳香族環基(La)は置換基Tを有していてもよく、配位子L2が含窒素芳香族環基(La)から選択される場合は置換基Tを有しているのが好ましい。含窒素芳香族環基(La)の置換基Tは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、1又は2以上のアルコキシ基で置換されたアリール基、1又は2以上のアルキル基を有するアリール基又はヘテロ環基、1又は2以上のアルキル基を有するアリール基又はヘテロ環基で置換されたアルケニル基等が好ましい。
このような芳香族炭化水素環基(Ld)が有する官能基としては、例えば、水酸基、チオール基、アミノ基、置換アミノ基、ヒドロキシアルキル基、メルカプトアルキル基、アミノアルキル基等が挙げられ、水酸基、チオール基、アミノ基、置換アミノ基が好ましい。このような官能基を有する芳香族炭化水素環基(Ld)としては、具体的には、フェノール環基、チオフェノール環基、アニリン環基、置換アニリン環基、ヒドロキシアルキルベンゼン環基、メルカプトアルキルベンゼン環基、アノミアルキルベンゼン環基等が挙げられる。
これらの官能基のうち、置換アミノ基は、その水素原子の1つ又は2つが置換されたアミノ基であり、例えば、−NHSO2Ry(Ryは置換基を表す。)等が挙げられる。Ryとして前述の置換基Tが挙げられ、中でもアルキル基が好ましい。−NHSO2Ryとしては、具体的には、−NHSO2CH3、−NHSO2C2H5、−NHSO2C3H7等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基は、その水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換されたアルキル基であり、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。メルカプトアルキル基は、その水素原子の少なくとも1つがチオール基で置換されたアルキル基であり、例えば、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基等が挙げられる。アノミアルキル基は、その水素原子の少なくとも1つがアミノ基で置換されたアルキル基であり、例えば、アミノメチル基、アミノエチル基等が挙げられる。ここで、ヒドロキシアルキル基、メルカプトアルキル基及びアノミアルキル基において、ヒドロキシ基、メルカプト基又はアミノ基が結合するアルキル基の炭素原子は特に限定されないが、金属イオンMとの配位容易性を考慮すると、アルキル基の末端炭素原子であるのがよい。
本発明において、配位子(Lf)は、これらの中でも、シアネートアニオン、イソシアネートアニオン、チオシアネートアニオン、イソチオシアネートアニオン等のアニオンが好ましく、イソシアネートアニオン、イソチオシアネートアニオンがより好ましく、イソチオシアネートアニオンが特に好ましい。
A111〜A141は環Dを構成する窒素原子又は炭素原子に結合した水素原子が脱離した炭素アニオン又は窒素アニオンである。A151は芳香族炭化水素環基(Ld)及び含窒素芳香族環基(Le)における官能基のうち(置換)アミノ基、水酸基又はチオール基から活性水素を除去した残基と同義である。式(2L−1)〜(2L−5)において、D環は、A111〜A141のいずれか1つと炭素原子又は2つの炭素原子を含む芳香族環である。この芳香族環は、例えば、含窒素芳香族環基(Lb)から構成される含窒素芳香族環、又は、(Lc)の芳香族炭化水素環基から構成される芳香族炭化水素環、(Lc)のヘテロ環基から構成されるヘテロ環、若しくは、(Lc)の、金属イオンMに結合する環構成原子として窒素原子を有しない含窒素芳香族環基から構成される含窒素芳香族環等が挙げられ、それぞれ、好ましいものも同様である。式(2L−1)〜(2L−4)においてA111〜A141がアニオン化する前のD環及び式(2L−5)においてA151が置換する環Dは、例えば、ベンゼン環、m,m−ジフルオロベンゼン環、o,p−ジフルオロベンゼン環、p−フルオロベンゼン環、p−シアノベンゼン環、p−ニトロベンゼン環若しくはチオフェン環、フラン環、又は、式(a−1)〜(a−5)、(a−1a)、(a−2a)、(a−1b)及び(a−4a)で表される基からなる環等が挙げられる。
R111〜R154の置換基としては例えば置換基Tが挙げられ、その中でも特に好ましいものは含窒素芳香族環基(La)の好ましいもの、及び、フルオロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基である。
A211〜A242のうちアニオン性であるものは式(2L−1)〜(2L−5)のA111〜A141と同義である。A211〜A242のうちアニオン性を有しないものは、水素原子を有しない炭素原子又は窒素原子である。A251及びA252は式(2L−5)のA151と同義である。式(3L−1)〜(3L−5)におけるD環は式(2L―1)〜(2L−5)の環Dと同義であり、具体的には、A211〜A242のいずれか1つと炭素原子又は2つの炭素原子を含む芳香族炭化水素環基又は含窒素芳香族環基から構成される芳香族炭化水素環又は含窒素芳香族環である。このとき、各式において2つのD環は同一でも異なってもよい。置換基R211〜R253は式(2L−1)〜(2L−5)の置換基R111〜R154と同義であり、好ましいものも同じである。
式(I)中のYは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の電荷中和対イオンを表す。一般に、色素が陽イオン又は陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、金属錯体色素中の金属、配位子及び置換基に依存する。
置換基が解離性基を有することなどにより、式(I)で表される金属錯体色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、式(I)で表される金属錯体色素全体の電荷はYにより電気的に中性とされる。
対イオンYが正の対イオンの場合、例えば、対イオンYは、無機又は有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えばテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオン又はプロトンである。
対イオンYが負の対イオンの場合、例えば、対イオンYは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
本発明において、Yは無機又は有機のアンモニウムイオン、特にテトラブチルアンモニウムイオン、ナトリウムイオン、プロトンが好ましい。
対イオンYは、電荷を中和させるのに必要な数であればよく、通常、0〜2の整数から選択される。
本発明の光電変換素子の一例として、例えば、図1に示す光電変換素子10が挙げられる。この光電変換素子10は、導電性支持体1、色素(金属錯体色素)21により増感された半導体微粒子を含む感光体層2、正孔輸送層である電荷移動体層3及び対極4からなる。ここで本発明においては、半導体微粒子22に、色素(金属錯体色素)21とともに、共吸着剤が吸着されていることが好ましい。感光体層2を設置した導電性支持体1は光電変換素子10において作用電極として機能する。本実施形態においては、この光電変換素子10を外部回路6で動作手段Mに仕事をさせる電池用途に使用できるようにした色素増感太陽電池を利用したシステム100として示している。
導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、又は表面に導電膜層を有するガラスもしくはプラスチックの支持体であるのが好ましい。支持体としては、ガラス及びプラスチックの他、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いてもよい。支持体上には、表面に光マネージメント機能を施してもよく、例えば、特開2003−123859号公報に記載の高屈折膜及び低屈性率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能が挙げられる。
半導体微粒子は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)又はペロブスカイトの微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
色素が塩である場合、特定の金属錯体色素の対イオンは特に限定されず、例えばアルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオン等が挙げられる。
併用する色素としては、特許第3731752号、特公表2002−512729号、特開2001−59062号、特開2001−6760号、特許第3430254号、特開2003−212851号、国際公開第2007/91525号パンフレット、特開2001−291534号、特願2010−127308号の各公報もしくは明細書などに開示のRu錯体色素、特開平11−214730号、特開2012−144688号、特開2012−84503号等の各公報に記載のスクアリリウムシアニン色素、特開2004−063274号、特開2005−123033号、特開2007−287694号、特開2008−71648号、特開2007−287694号、国際公開第2007/119525号パンフレットの各公報もしくは明細書に記載の有機色素、Angew.Chem.Int.Ed.,49,1〜5(2010)などに記載のポルフィリン色素、Angew.Chem.Int.Ed.,46,8358(2007)などに記載のフタロシアニン色素が挙げられる。併用する色素として好ましくは、Ru色素、スクアリリウムシアニン色素、又は有機色素が挙げられる。
本発明の光電変換素子に用いられる電荷移動体層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極と対極(対向電極)との間に設けられる。代表的な例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体電解質、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる(本明細書ではこれらを総称して電解質組成物ともいう。)効率を高めるためには液体電解質が好ましい。液体電解質の溶媒はニトリル化合物、エーテル化合物、エステル化合物等が用いられるが、ニトリル化合物が好ましく、アセトニトリル、メトキシプロピオニトリルが特に好ましい。
LLは下記式(LC)で表される配位子が好ましい。
マトリックス高分子として好ましくは、含窒素複素環を主鎖あるいは側鎖の繰り返し単位中に持つ高分子及びこれらを求電子性化合物と反応させた架橋体、トリアジン構造を持つ高分子、ウレイド構造をもつ高分子、液晶性化合物を含むもの、エーテル結合を有する高分子、ポリフッ化ビニリデン系、メタクリレート・アクリレート系、熱硬化性樹脂、架橋ポリシロキサン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアルキレングリールとデキストリンなどの包摂化合物、含酸素又は含硫黄高分子を添加した系、天然高分子などが挙げられる。これらにアルカリ膨潤型高分子、一つの高分子内にカチオン部位とヨウ素との電荷移動錯体を形成できる化合物を持った高分子などを添加しても良い。
本発明の光電変換素子においては、本発明の金属錯体色素又は必要により併用する色素とともに共吸着剤を使用することが好ましい。このような共吸着剤としては酸性基(好ましくは、カルボキシル基もしくはその塩の基)を1つ以上有する共吸着剤が好ましく、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えばブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、さらに好ましくはケノデオキシコール酸である。
酸性基は、先に示したものと同義である。
nAは2〜4であることが好ましい。
本発明においては、本発明の金属錯体色素を含有する色素溶液を使用して色素吸着電極を製造することが好ましい。
このような色素溶液には、本発明の金属錯体色素が溶媒に溶解されてなり、必要により共吸着剤や他の成分を含んでもよい。
使用する溶媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが特に限定されない。本発明においては有機溶媒が好ましく、さらにアルコール類、アミド類、ニトリル類、アルコール類、炭化水素類、及び、これらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混用溶媒としては、アルコール類と、アミド類、ニトリル類、アルコール類又は炭化水素類から選択される溶媒との混合溶媒が好ましい。さらに好ましくはアルコール類とアミド類、アルコール類と炭化水素類の混合溶媒、特に好ましくはアルコール類とアミド類の混合溶媒である。具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが好ましい。
ここで、本発明の色素溶液は、光電変換素子や色素増感太陽電池を作成する際に、この溶液をこのまま使用できるように、金属錯体色素や共吸着剤が濃度調整されているものが好ましい。本発明においては、本発明の金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。
同様に、光電変換素子や色素増感太陽電池における電解液の水分含有量の調整も、本発明の効果を効果的に奏するために重要であり、このため、この電解液の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。この電解液の調整は、色素溶液で行なうのが特に好ましい。
本発明においては、上記色素溶液を用いて、半導体電極が備える半導体微粒子表面に金属錯体色素を担持させてなる色素増感太陽電池用半導体電極が好ましい。
また、上記色素溶液を用いて、半導体電極が備える半導体微粒子表面に金属錯体色素を担持させることにより色素増感太陽電池を製造することが好ましい。
以下に、本発明の金属錯体色素の合成方法(調製方法)を詳しく説明するが、出発物質、色素中間体及び合成(調製)ルートについてはこれにより限定されるものではない。
〔金属錯体色素Dye−2の合成〕
金属錯体色素Dye−2の合成経路を以下に示す。
化合物4 65mg、化合物5 79mg、エタノール5mLを100mL三口フラスコに入れ、撹拌しながらN−メチルモルホリン40μLを加え、90℃で24時間加熱撹拌した。溶媒を留去し、塩化メチレン:酢酸エチル=2:1を溶離液としたシリカゲルカラムに供することで、化合物6 59mg(収率29%)を得た。
実施例2〔色素増感太陽電池〕
まず、金属錯体色素Dye−1〜Dye−4以外に下記比較化合物(1)及び(2)を準備した。比較化合物(1)は特開2005−162718号公報に記載の化合物No.2aであり、比較化合物(2)は同公報に記載の化合物No.2eである。
(ペーストA)
球形のTiO2粒子(アナターゼ、平均粒径;25nm以下、球形TiO2粒子Aという。)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
(ペースト1)
球形TiO2粒子Aと、球形のTiO2粒子(アナターゼ、平均粒径;200nm以下、球形TiO2粒子Bという。)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO2粒子Aの質量:TiO2粒子Bの質量=30:70)を調製した。
(ペースト2)
ペーストAに、棒状TiO2粒子(アナターゼ、直径;100nm、アスペクト比;5以下、棒状TiO2粒子Cという。)を混合し、棒状TiO2粒子Cの質量:ペーストAの質量=30:70のペーストを調製した。
ガラス基板44上にフッ素ドープされたSnO2導電膜(膜厚;500nm)43を形成した透明電極41を準備した。そして、このSnO2導電膜43上に、上述のペースト1をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、450℃の条件のもとで焼成した。更に、ペースト2を用いてこのスクリーン印刷と焼成とを繰り返すことにより、SnO2導電膜43上に図2に示す半導体電極42と同様の構成の半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層45の層厚;6μm、光散乱層46の層厚;4μm、光散乱層に含有される棒状TiO2粒子Cの含有率;30質量%)42を形成し、色素を含有していない光電極40を作製した。
次に、半導体電極(色素吸着電極の前駆体)42に色素を以下のようにして吸着させた。先ず、マグネシウムエトキシドで脱水した無水ブタノールとジメチルホルムアミドの1:1(体積比)の混合物を溶媒として、下記表1に記載の色素を3×10−4モル/Lとなるように溶解し、さらに共吸着剤として、ケノデオキシコール酸とコール酸の等モル混合物を金属錯体色素1モルに対して20モル加え、各色素溶液を調製した。この色素溶液をカール・フィッシャー滴定により水分量を測定したところ、水は0.01質量%未満であった。この色素溶液には0.059質量%の金属錯体色素が含有していた。次に、この溶液に半導体電極42を数時間浸漬し、引き上げ後50℃で乾燥させることにより、半導体電極42に色素が吸着した光電極40をそれぞれ完成させた。
次に、対極CEとして上記の光電極40と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚さ;100nm)、電解液として、ヨウ素0.1M、ヨウ化リチウム0.05M、4−t−ブチルピリジン0.25Mを含むヨウ素系レドックスアセトニトリル溶液を調製した。更に、半導体電極42の大きさに合わせた形状を有するデュポン社製のスペーサーS(商品名:「サーリン」)を準備し、光電極40と対極CEを、スペーサーSを介して対向、熱圧着させ、内部に上記の電解質を充填して各色素増感太陽電池をそれぞれ完成させた。これらの色素増感太陽電池の性能を下記のようにして評価した。
電池特性試験を行い、上記色素増感太陽電池の光電変換効率(η(%))を測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルターを通したキセノンランプから1000W/m2の疑似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率(η(%))を求めた。光電変換効率(η(%))は、比較化合物(1)の光電変換効率(η(%))を基準にして、この光電変換効率(η(%))の1.10倍以上を「A」で表記し、1.01倍以上1.10倍未満を「B」、1.01倍未満を「C」とした。これらの結果をまとめて表1に示す。
2 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
23 CdSe量子ドット
3 電荷移動体層
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子
100 光電気化学電池を利用したシステム
M 電動モーター(扇風機)
40 光電極
41 透明電極
42 半導体電極
43 透明導電膜
44 基板
45 半導体層
46 光散乱層
CE 対極
E 電解質
S スペーサー
Claims (17)
- 導電性支持体、電解質を含む感光体層、電解質を含む電荷移動体層及び対極を有する光電変換素子であって、該感光体層が、下記式(I)で表される金属錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。
Mは金属イオンを表す。
環A、環B及び環Cはピリジン環を表す。Z1及びZ2 は炭素原子を表す。ここで、Z1とN原子の間の結合及びZ2とN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。
Xは、−O−、−S−、−NR’(R’は水素原子又は置換基を表す。)−、飽和脂肪族基、該環Bとπ共役しない不飽和基を有する不飽和脂肪族基、芳香族炭化水素環基若しくは非芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基若しくは非芳香族ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基を表す。Anc1〜Anc3は各々独立に酸性基を表す。l1及びl3は各々独立に1〜4の整数、l2は1〜5の整数をそれぞれ表す。mは0〜3の整数を表す。
L1〜L3は配位子を表す。但し、L1とL2が互いに結合して下記式(2L−1)〜(2L−5)のいずれかで表される2座の配位子を形成し、又は、L1、L2及びL3が互いに結合して下記式(3L−1)〜(3L−5)のいずれかで表される3座の配位子を形成している。ここで、L1 中の配位原子、L 2 中の配位原子及びL3 中の配位原子のうち1つ又は2つの配位原子はアニオンとなって配位している。
Yは電荷を中和させるのに必要な対イオンを表し、nは0〜2の整数を表す。)
*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チオフェン環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表す。
A 111 〜A 141 はアニオンとなって配位している窒素原子又は炭素原子を表し、A 151 はアニオンとなって配位している窒素原子、酸素原子又は硫黄原子のいずれかを表す。R 111 〜R 154 は水素原子、又は、Anc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基を表す。)
*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チオフェン環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表す。
A 211 〜A 242 は窒素原子又は炭素原子を表し、A 251 及びA 252 は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子のいずれかを表す。ただし、A 211 とA 212 、A 221 とA 222 、A 231 とA 232 、A 241 とA 242 のそれぞれにおいて少なくとも1つはアニオンとなって配位している窒素原子又は炭素原子であり、A 251 とA 252 の少なくとも1つはアニオンとなって配位している窒素原子、酸素原子又は硫黄原子である。R 211 〜R 253 は水素原子、又は、Anc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基を表す。) - 前記式(I)において、前記MがFe2+、Ru2+又はOs2+である請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記式(I)において、前記Anc1〜Anc3は、各々独立に、−COOH、−SO3H、−PO3H2、−OH又は−SHである請求項1又は2に記載の光電変換素子。
- 前記式(I)において、前記L1〜L3は、いずれも、酸性基を有しない配位子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記式(I)において、前記L 3 がNCS配位子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記L 1 と前記L 2 が互いに結合して前記式(2L−1)で表される2座の配位子を形成し、又は、前記L 1 、前記L 2 及び前記L 3 が互いに結合して前記式(3L−1)で表される3座の配位子を形成している請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 式(I)において、前記Xは、ベンゼン環基である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記半導体微粒子に、吸着性基を有する基を少なくとも1つ有する共吸着剤が担持されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記共吸着剤が、下記式(CA)で表される請求項8に記載の光電変換素子。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換素子を具備する色素増感太陽電池。
- 下記式(I)で表される金属錯体色素。
Mは金属イオンを表す。
環A、環B及び環Cはピリジン環を表す。Z 1 及びZ 2 は炭素原子を表す。ここで、Z 1 とN原子の間の結合及びZ 2 とN原子の間の結合は単結合でも二重結合でもよい。
Xは、−O−、−S−、−NR’(R’は水素原子又は置換基を表す。)−、飽和脂肪族基、該環Bとπ共役しない不飽和基を有する不飽和脂肪族基、芳香族炭化水素環基若しくは非芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基若しくは非芳香族ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基を表す。Anc1〜Anc3は各々独立に酸性基を表す。l1及びl3は各々独立に1〜4の整数、l2は1〜5の整数をそれぞれ表す。mは0〜3の整数を表す。
L1〜L3 は配位子を表す。但し、L 1 とL 2 が互いに結合して下記式(2L−1)〜(2L−5)のいずれかで表される2座の配位子を形成し、又は、L 1 、L 2 及びL 3 が互いに結合して下記式(3L−1)〜(3L−5)のいずれかで表される3座の配位子を形成している。ここで、L 1 中の配位原子、L 2 中の配位原子及びL 3 中の配位原子のうち1つ又は2つの配位原子はアニオンとなって配位している。
Yは電荷を中和させるのに必要な対イオンを表し、nは0〜2の整数を表す。)
*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チオフェン環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表す。
A 111 〜A 141 はアニオンとなって配位している窒素原子又は炭素原子を表し、A 151 はアニオンとなって配位している窒素原子、酸素原子又は硫黄原子のいずれかを表す。R 111 〜R 154 は水素原子、又は、Anc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基を表す。)
*は前記金属イオンMへの結合位置を表す。
環Dはピラゾール環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チオフェン環およびベンゼン環から選択される芳香族環を表す。
A 211 〜A 242 は窒素原子又は炭素原子を表し、A 251 及びA 252 は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子のいずれかを表す。ただし、A 211 とA 212 、A 221 とA 222 、A 231 とA 232 、A 241 とA 242 のそれぞれにおいて少なくとも1つはアニオンとなって配位している窒素原子又は炭素原子であり、A 251 とA 252 のそれぞれ少なくとも1つはアニオンとなって配位している窒素原子、酸素原子又は硫黄原子である。R 211 〜R 253 は水素原子、又は、Anc1、Anc2及びAnc3を有しない置換基を表す。) - 請求項11に記載の金属錯体色素を溶解してなる色素溶液。
- 有機溶媒中に、前記金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有させ、水を0.1質量%以下に抑えてなる請求項12に記載の色素溶液。
- 共吸着剤を含有する請求項12又は13に記載の色素溶液。
- 前記共吸着剤が、下記式(CA)で表される請求項14に記載の色素溶液。
- 半導体を付与した導電性支持体に、請求項12〜15のいずれか1項に記載の色素溶液を塗布し、これを硬化させて感光体層とした色素増感太陽電池用の色素吸着電極の製造方法。
- 請求項16に記載の製造方法により色素吸着電極を得、この色素吸着電極と電解質と対極とを用いて色素増感太陽電池を組み立てる、色素増感太陽電池の製造方法。
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