JP2002241733A - 電荷輸送材料及び光電変換素子 - Google Patents

電荷輸送材料及び光電変換素子

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JP2002241733A
JP2002241733A JP2001035954A JP2001035954A JP2002241733A JP 2002241733 A JP2002241733 A JP 2002241733A JP 2001035954 A JP2001035954 A JP 2001035954A JP 2001035954 A JP2001035954 A JP 2001035954A JP 2002241733 A JP2002241733 A JP 2002241733A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた変換効率を示す色素増感光電変換素子
及び光電池、並びにそれらに用いる電荷輸送材料を提供
する。 【解決手段】 下記一般式(I): 【化1】 (ただし、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNR3
を表し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族炭
化水素基、アリール基、ヘテロ環基、-OR4、-N(R 5)
(R6)、-C(=O)R7、-C(=S)R8又はSO2R9を表し、Yは水素原
子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、-O
R4、-N(R5)(R6)又は-SR10を表す。また、R3は水素原
子、脂肪族炭化水素基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基
を表し、R4は水素原子又は脂肪族炭化水素基を表し、R5
及びR6はR1及びR2と同義であり、R7、R8及びR9はYと同
義であり、R10はR4と同義である。)により表される化
合物を含有する電荷輸送材料、並びにこの電荷輸送材料
からなる電荷輸送層を有する光電変換素子及び光電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電荷輸送材料、光電
変換素子及び光電池に関し、詳しくは、溶融塩電解質組
成物、電解液、ゲル電解質組成物、固体電解質組成物等
のようなイオン又は固体中のキャリアー移動が関わる電
荷輸送材料、並びに該電荷輸送材料からなる電荷輸送層
と色素で増感した半導体微粒子の層とを有する光電変換
素子及び光電池に関する。
【0002】
【従来の技術】光電変換素子は各種の光センサー、複写
機、光発電装置等に用いられている。光電変換素子には
金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色
素を用いたもの、或いはこれらを組み合わせたもの等の
様々な方式が実用化されている。
【0003】Nature,353巻,737〜740頁 (1991年)、米
国特許4927721号等は、色素により増感した半導体微粒
子を用いた光電変換素子(以下、色素増感光電変換素子
と称する)及びこれを用いた光電池を開示している。こ
れらにおいては電荷輸送材料としてヨウ素塩を含む液状
電解質を用いている。また、電解液の漏洩及び枯渇を防
止し光電変換素子の耐久性を向上させるために、低融点
化合物であるイミダゾリウム塩からなる溶融塩電解質を
電荷輸送材料に用いる方法が知られている(WO95/18456
号)。しかしながら、これらの電荷輸送材料を電荷輸送
層に用いた光電変換素子は、変換効率が必ずしも十分高
いとはいえず、なお一層の変換効率向上が望まれてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た変換効率を示す色素増感光電変換素子及び光電池、並
びにそれらに用いる電荷輸送材料を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は下記の構成により本発明の目的が達
成できることを見出した。
【0006】(1) 下記一般式(I):
【化2】 により表される化合物を含有することを特徴とする電荷
輸送材料。一般式(I)中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレ
ン原子又はNR3を表し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素
原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、-O
R4、-N(R5)(R6)、-C(=O)R7、-C(=S)R8又はSO2R9を表
し、Yは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘ
テロ環基、-OR4、-N(R5)(R6)又は-SR10を表す。また、R
3は水素原子、脂肪族炭化水素基、ヒドロキシ基又はア
ルコキシ基を表し、R4は水素原子又は脂肪族炭化水素基
を表し、R5及びR6はR1及びR2と同義であり、R7、R8及び
R9はYと同義であり、R10はR4と同義である。 (2) (1)に記載の電荷輸送材料において、電荷輸送材料
が溶融塩電解質組成物又は電解液であることを特徴とす
る電荷輸送材料。 (3) (1)又は(2)に記載の電荷輸送材料において、Xが酸
素原子を表し、且つYが-N(R5)(R6)を表すことを特徴と
する電荷輸送材料。 (4) (3)に記載の電荷輸送材料において、Xが酸素原子
を表し、R1が水素原子を表し、且つYが-NH2を表すこと
を特徴とする電荷輸送材料。 (5) (1)〜(4)のいずれかに記載の電荷輸送材料におい
て、一般式(I)により表される化合物の分子量が500以下
であることを特徴とする電荷輸送材料。 (6) 導電性支持体、少なくとも一種の色素が吸着した
半導体微粒子の層、電荷輸送層及び対極を有する光電変
換素子において、電荷輸送層が(1)〜(5)のいずれかに記
載の電荷輸送材料からなることを特徴とする光電変換素
子。 (7) (6)に記載の光電変換素子において、半導体微粒子
が一般式(I)により表される化合物で処理されているこ
とを特徴とする光電変換素子。ただし、該処理に用いる
一般式(I)により表される化合物と、電荷輸送材料が含
有する一般式(I)により表される化合物は同じであって
も異なっていてもよい。 (8) (6)又は(7)に記載の光電変換素子において、色素
として金属錯体色素を用いることを特徴とする光電変換
素子。 (9) (6)〜(8)のいずれかに記載の光電変換素子を用い
た光電池。
【0007】
【発明の実施の形態】[1]電荷輸送材料 本発明の電荷輸送材料は、下記一般式(I):
【化3】 により表される化合物を含有する。以下、本発明の電荷
輸送材料が含有する一般式(I)により表される化合物を
「化合物(I)」と称する。
【0008】一般式(I)中、Xは酸素原子、硫黄原子、セ
レン原子又はNR3を表す。R3は水素原子、脂肪族炭化水
素基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を表し、R3で表さ
れる脂肪族炭化水素基としては炭素数1〜10の置換又は
無置換の直鎖、分岐、又は環状のアルキル基(例えばメ
チル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シク
ロヘキシル基、カルボキシメチル基等)等が挙げられ、
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、i-プロ
ピルオキシ基等が挙げられる。
【0009】一般式(I)中、R1及びR2はそれぞれ独立に
水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環
基、-OR4、-N(R5)(R6)、-C(=O)R7、-C(=S)R8又はSO2R9
を表す。ここで、R4及びR10はそれぞれ水素原子又は脂
肪族炭化水素基を表し、R5及びR 6はR1及びR2と同義であ
り、R7、R8及びR9は後に述べるYと同義である。
【0010】R1及びR2が脂肪族炭化水素基を表す場合、
その例としては炭素数1〜30の直鎖又は分岐の無置換ア
ルキル基(例えばメチル基、エチル基、i-プロピル基、
n-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、2-ペンチル
基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、t-オクチル基、2-エ
チルヘキシル基、1,5-ジメチルヘキシル基、n-デシル
基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル
基、n-オクタデシル基等)、炭素数1〜30の直鎖又は分
岐の置換アルキル基(例えばN,N-ジメチルアミノプロピ
ル基、トリフルオロエチル基、トリ-n-ヘキシルアンモ
ニムプロピル基、ピリジルプロピル基、トリエトキシシ
リルプロピル基、トリメトキシシリルプロピル基、トリ
クロロシリルメチル基、カルボキシメチル基、スルホエ
チル基、スルホメチル基、ホスホプロピル基、ジメトキ
シホスホプロピル基、n-ブトキシプロピル基、メトキシ
エトキシエチル基、ポリエトキシエチル基、アセチルオ
キシエチル基、メチルチオプロピル基、3-(N-エチルウ
レイド)プロピル基等)、炭素数3〜18の置換又は無置
換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロ
ペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ア
ダマンチル基、シクロドデシル基等)、炭素数2〜16の
アルケニル基(例えばアリル基、2-ブテニル基、3-ペン
テニル基等)、炭素数2〜10のアルキニル基(例えばプ
ロパルギル基、3-ペンチニル基等)、炭素数6〜16のア
ラルキル基(例えばベンジル基等)等が挙げられる。R1
及びR2がアリール基を表す場合、その例としては炭素数
6〜30の置換又は無置換のフェニル基(例えば無置換フ
ェニル基、メチルフェニル基、オクチルフェニル基、シ
アノフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ジエ
チルホスホメチルフェニル基、スルホフェニル基、ジメ
チルアミノフェニル基、トリメトキシシリルフェニル
基、トリフルオロメチルフェニル基、カルボキシフェニ
ル基、ブトキシフェニル基等)、ナフチル基(例えば無
置換ナフチル基、4-スルホナフチル基等)等が挙げられ
る。R1及びR2がヘテロ環基を表す場合、その例としては
置換又は無置換の含窒素ヘテロ5員環(例えばイミダゾ
リル基、ベンゾイミダゾリル基、ピロール基等)、置換
又は無置換の含窒素ヘテロ6員環(例えばピリジル基、
キノリル基、ピリミジル基、トリアジノ基、モルホリノ
基等)、フリル基、チオフリル基等が挙げられる。ま
た、R1及びR2が-OR4を表す場合、R4で表される脂肪族炭
化水素基の例としては、上述したR1及びR2が表す脂肪族
炭化水素基の例と同様のものが挙げられる。R1及びR2
-N(R5)(R6)を表す場合のR5及びR6はR1及びR2と同義であ
り、-C(=O)R7、-C(=S)R8及びSO2R9を表す場合のR7、R8
及びR9は以下に示すYと同義である。
【0011】一般式(I)中、Yは水素原子、脂肪族炭化水
素基、アリール基、ヘテロ環基、-OR4、-N(R5)(R6)又は
-SR10を表す。Yで表される脂肪族炭化水素基、アリール
基、ヘテロ環基、-OR4、-N(R5)(R6)の例としては、上記
R1及びR2の場合と同様のものが挙げられる。-SR10を表
す場合のR10は上記R4と同義である。
【0012】一般式(I)中のX、R1及び/又はR2は互いに
連結して環を形成してもよいが、YはR1又はR2と連結し
て環を形成しない。
【0013】化合物(I)の好ましい態様においては、Xが
酸素原子を表し、R1及びR2がそれぞれ独立に水素原子、
炭素数1〜16の置換又は無置換のアルキル基、炭素数6
〜16の置換又は無置換のフェニル基、含窒素ヘテロ環
基、-N(R5)(R6)、-C(=O)R7或いは-SO2R9を表し、Yが水
素原子、炭素数1〜16の置換又は無置換のアルキル基、
炭素数6〜16の置換又は無置換のフェニル基、含窒素ヘ
テロ環基或いは-N(R5)(R 6)を表す。ここで、R5及びR6
それぞれ独立に該好ましい態様におけるR1及びR2と同様
のものを表し、R7及びR9はそれぞれ独立に該好ましい態
様におけるYと同様のものを表す。
【0014】化合物(I)のより好ましい態様において
は、Xが酸素原子を表し、R1及びR2がそれぞれ独立に水
素原子、炭素数1〜14の置換又は無置換のアルキル基、
炭素数6〜14の置換又は無置換のフェニル基、或いは含
窒素ヘテロ6員環を表し、Yが-N(R5)(R6)を表す。この
とき、R5及びR6はそれぞれ独立に該より好ましい態様に
おけるR1及びR2と同様のものを表す。
【0015】化合物(I)の特に好ましい態様において
は、Xが酸素原子を表し、R1が水素原子を表し、R2が水
素原子、炭素数1〜14の置換又は無置換のアルキル基或
いは炭素数6〜14の置換又は無置換のフェニル基を表
し、Yが-NH2を表す。
【0016】化合物(I)はX、R1、R2及び/又はY上に置
換基を有していてもよい。該置換基の好ましい例として
は、-C(=O)OR'、-P(=O)(OR')2、-S(=O)2OR'、-OR'、-B
(OR') 2、-Si(R11)(R12)(R13)等が挙げられる。R'はそれ
ぞれ独立に水素原子又は脂肪族炭化水素基(例えばメチ
ル基、エチル基等)を表し、R11、R12及びR13はそれぞ
れ独立にヒドロキシ基、アルキルオキシ基(例えばメト
キシ基、エトキシ基、i-プロピル基等)、ハロゲン原子
(例えば塩素原子等)又は脂肪族炭化水素基(例えばメ
チル基、エチル基等)を表し、R11、R12及びR13のうち
少なくとも1つはアルキルオキシ基又はハロゲン原子で
ある。また、より好ましい置換基としては、-C(=O)O
R'、-P(=O)(OR')2及び-Si(R11)(R12)(R13)が挙げられ、
特に好ましくは-Si(R11)(R12)(R13)である。
【0017】また、化合物(I)の分子量は、好ましくは1
000以下であり、より好ましくは500以下であり、特に好
ましくは350以下である。分子量が1000を超えると、電
荷輸送層に同時に含有されるイオン物質の溶解性が悪く
なったり、電荷輸送層の粘度が増すことによって、イオ
ン物質の拡散が遅くなるため好ましくない。
【0018】化合物(I)が電荷を有する場合には、電荷
を中和するための対イオンとしてアニオン又はカチオン
を有してもよい。該アニオン又はカチオンは特に制限さ
れず、有機イオンであっても無機イオンであってもよ
い。代表的なアニオンの例としては、ハロゲン化物イオ
ン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨ
ウ化物イオン)、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ
酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、酢酸イオン、
トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、パ
ラトルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスル
ホン酸イオン、ビス(トリフルオロエタンスルホニル)イ
ミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メ
チドイオン等が挙げられ、カチオンの例としてはアルカ
リ金属イオン(リチウムカチオン、ナトリウムカチオ
ン、カリウムカチオン等)、アルカリ土類金属イオン
(マグネシウムイオン、カルシウムイオン等)、置換又
は無置換のアンモニウムイオン(無置換アンモニウムイ
オン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラメチルア
ンモニウムイオン等)、置換又は無置換のピリジニウム
イオン(無置換ピリジニウムイオン、4-フェニルピリジ
ニウムイオン等)、置換又は無置換のイミダゾリウムイ
オン(N-メチルイミダゾリウムイオン等)等が挙げられ
る。
【0019】以下に本発明で好ましく用いられる化合物
(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されな
い。
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】本発明の電荷輸送材料中の化合物(I)の含
有量は、電荷輸送材料の種類によって異なるが、通常、
好ましくは1×10-8〜2mol/lであり、より好ましくは
1×10-6〜1×10-1mol/lである。
【0024】本発明の電荷輸送材料は化学反応、金属メ
ッキ等の反応溶媒、CCD(電荷結合素子)カメラ、種々
の光電変換素子、電池等に用いることができる。
【0025】化合物(I)を含有する本発明の電荷輸送材
料は、(i)イオンが関わる電荷輸送材料であっても、(i
i)固体中のキャリアー移動が関わる電荷輸送材料であっ
てもよい。(i)イオンが関わる電荷輸送材料としては、
溶融塩電解質組成物、酸化還元対のイオンが溶解した溶
液(電解液)、酸化還元対の溶液をポリマーマトリクス
のゲルに含浸したいわゆるゲル電解質組成物、固体電解
質組成物等が挙げられ、(ii)固体中のキャリアー移動が
関わる電荷輸送材料としては、電子輸送材料や正孔(ホ
ール)輸送材料等が挙げられる。本発明の電荷輸送材料
は、これらのいずれの形態にも適用可能である。中で
も、本発明の電荷輸送材料はイオンが関わる電荷輸送材
料として好ましく使用でき、溶融塩を含む電解質組成物
又は電解液としてより好ましく使用できる。以下、各形
態について詳述する。
【0026】(A)溶融塩電解質組成物 溶融塩電解質は、光電変換効率と耐久性の両立という観
点から、電荷輸送材料に好ましく使用される。溶融塩電
解質とは、室温において液状であるか、又は低融点の電
解質であり、例えばWO95/18456号、特開平8-259543号、
電気化学, 第65巻, 11号, 923頁 (1997年)等に記載され
ているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリ
ウム塩等を挙げることができる。溶融塩の融点は100℃
以下であるのが好ましく、室温付近において液状である
のが特に好ましい。
【0027】本発明では、下記一般式(Y-a)、(Y-b)及び
(Y-c)のいずれかにより表される溶融塩が好ましく使用
できる。
【0028】
【化7】
【0029】一般式(Y-a)中のQy1は窒素原子と共に5又
は6員環の芳香族カチオンを形成する原子団を表す。Q
y1は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄
原子からなる群から選ばれる原子により構成されるのが
好ましい。Qy1が形成する5員環はオキサゾール環、チ
アゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソオキ
サゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、
トリアゾール環、インドール環又はピロール環であるの
が好ましく、オキサゾール環、チアゾール環又はイミダ
ゾール環であるのがより好ましく、オキサゾール環又は
イミダゾール環であるのが特に好ましい。Qy1が形成す
る6員環はピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、
ピラジン環又はトリアジン環であるのが好ましく、ピリ
ジン環であるのが特に好ましい。
【0030】一般式(Y-b)中のAy1は窒素原子又はリン原
子を表す。
【0031】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のRy1〜R
y11はそれぞれ独立に置換又は無置換のアルキル基(好
ましくは炭素原子数1〜24であり、直鎖状であっても分
岐状であっても、また環式であってもよく、例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチ
ル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、
t-オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル
基、2-ヘキシルデシル基、オクタデシル基、シクロヘキ
シル基、シクロペンチル基等)、或いは置換又は無置換
のアルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜24であり、
直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えばビニル
基、アリル基等)を表す。Ry1〜Ry11はそれぞれ独立
に、より好ましくは炭素原子数2〜18のアルキル基又は
炭素原子数2〜18のアルケニル基であり、特に好ましく
は炭素原子数2〜6のアルキル基である。
【0032】一般式(Y-b)中のRy2〜Ry5のうち2つ以上
が互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形成してもよ
く、一般式(Y-c)中のRy6〜Ry11のうち2つ以上が互いに
連結して環を形成してもよい。
【0033】上記Qy1及びRy1〜Ry11は置換基を有してい
てもよい。この置換基の好ましい例としては、ハロゲン
原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子
等)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ
基、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基
等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチ
オ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アルコキシカ
ルボニル基(エトキシカルボニル基等)、炭酸エステル
基(エトキシカルボニルオキシ基等)、アシル基(アセ
チル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、スルホニ
ル基(メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基
等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、ベンゾイルオキ
シ基等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキ
シ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、ホスホニル基
(ジエチルホスホニル基等)、アミド基(アセチルアミ
ノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カルバモイル基(N,N-
ジメチルカルバモイル基等)、アルキル基(メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピ
ル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基
等)、アリール基(フェニル基、トルイル基等)、複素
環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基等)、
アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、シリル
基、シリルオキシ基等が挙げられる。
【0034】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)のいずれか
により表される溶融塩は、Qy1及びRy 1〜Ry11のいずれか
を介して多量体を形成してもよい。
【0035】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中、X-はア
ニオンを表す。X-の好ましい例としてはハロゲン化物イ
オン(I-、Cl-、Br-等)、SCN-、BF4 -、PF6 -、ClO4 -
(CF3SO2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、CF3
COO-、Ph4B-、(CF3SO2)3C-、等が挙げられる。X-はSC
N-、CF3SO3 -、CF3COO-、(CF3SO2)2N-又はBF4 -であるの
がより好ましい。
【0036】本発明で好ましく用いられる溶融塩の具体
例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるわけ
ではない。
【0037】
【化8】
【0038】
【化9】
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】溶融塩は単独で使用しても2種以上混合し
て使用してもよい。また、LiI等の他のヨウ素塩やCF3CO
OLi、CF3COONa、LiSCN、NaSCN等のアルカリ金属塩を併
用することもできる。アルカリ金属塩の添加量は、組成
物全体に対して0.02〜2質量%であるのが好ましく、0.
1〜1質量%がさらに好ましい。
【0044】溶融塩電解質は常温で溶融状態であるのが
好ましく、これを含有する組成物には溶媒を用いない方
が好ましい。後述する溶媒を添加しても構わないが、溶
融塩の含有量は組成物全体に対して50質量%以上である
のが好ましく、90質量%以上であるのが特に好ましい。
また、組成物が含む塩のうち50質量%以上がヨウ素塩で
あることが好ましい。
【0045】溶融塩電解質組成物にはヨウ素を添加する
のが好ましく、この場合、ヨウ素の含有量は、組成物全
体に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5
質量%であるのがより好ましい。
【0046】(B)電解液 電解液は電解質、溶媒及び添加物から構成されることが
好ましい。電解液には、電解質としてI2とヨウ化物(Li
I、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、テトラアル
キルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイ
ド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化
合物ヨウ素塩等)の組み合わせ、Br2と臭化物(LiBr、N
aBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物、テトラアルキ
ルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等
の4級アンモニウム化合物臭素塩等)の組み合わせのほ
か、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン
−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリ
ウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイ
オウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等
を用いることができる。この中でもI2とLiI又はピリジ
ニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級
アンモニウム化合物ヨウ素塩を組み合わせた電解質が好
ましい。上述した電解質は混合して用いてもよい。
【0047】電解液中の電解質濃度は好ましくは0.1〜1
0Mであり、より好ましくは0.2〜4Mである。また、電解
液にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度
は0.01〜0.5Mである。
【0048】電解液に使用する溶媒は、粘度が低くイオ
ン移動度を向上したり、若しくは誘電率が高く有効キャ
リアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発
現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒
としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネ
ート等のカーボネート化合物、3-メチル-2-オキサゾリ
ジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテ
ル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキル
エーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、
ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロ
ピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル
類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノ
アルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキル
エーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等
のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトニト
リル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、
プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合
物、ジメチルスルホキシド、スルフォラン等の非プロト
ン極性物質、水等が挙げられ、これらを混合して用いる
こともできる。
【0049】また、J. Am. Ceram. Soc., 80 (12) 3157
-3171 (1997)に記載されているようなtert-ブチルピリ
ジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基性化合物を
前述の溶融塩電解質組成物や電解液に添加することが好
ましい。塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度範
囲は0.05〜2Mである。
【0050】(C)ゲル電解質組成物 本発明では、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官
能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法
により、前述の溶融塩電解質組成物や電解液をゲル化
(固体化)させて使用することもできる。ポリマー添加
によりゲル化させる場合は、“Polymer Electrolyte Re
views-1及び2”(J. R. MacCallumとC. A. Vincentの
共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載された化合物
を使用することができるが、特にポリアクリロニトリル
及びポリフッ化ビニリデンが好ましく使用できる。オイ
ルゲル化剤添加によりゲル化させる場合は工業科学雑誌
(J. Chem. Soc. Japan, Ind. Chem. Sec.), 46, 779
(1943)、J. Am. Chem. Soc., 111, 5542 (1989)、J. Ch
em. Soc., Chem. Commun., 1993, 390、Angew. Chem. I
nt. Ed. Engl., 35, 1949 (1996)、Chem. Lett., 1996,
885、及びJ. Chem. Soc., Chem. Commun., 1997, 545
に記載されている化合物を使用することができるが、好
ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物
である。電解液をゲル化した例は特開平11-185863に、
溶融塩電解質をゲル化した例は特開2000-58140にも記載
されており、これらも本発明に適用できる。
【0051】また、ポリマーの架橋反応によりゲル化さ
せる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマー及び
架橋剤を併用することが望ましい。この場合、好ましい
架橋可能な反応性基は、アミノ基、含窒素複素環(ピリ
ジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール
環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピ
ペラジン環等)であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に
対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(ハロゲン化
アルキル類、ハロゲン化アラルキル類、スルホン酸エス
テル類、酸無水物、酸クロライド類、イソシアネート化
合物、α,β-不飽和スルホニル化合物、α,β-不飽和カ
ルボニル化合物、α,β-不飽和ニトリル化合物等)であ
り、特開2000-17076及び同2000-86724に記載されている
架橋技術も適用できる。
【0052】(D)正孔輸送材料 本発明では、溶融塩等のイオン伝導性電解質のかわり
に、有機又は無機或いはこの両者を組み合わせた固体の
正孔輸送材料を使用することができる。
【0053】(a)有機正孔輸送材料 本発明に適用可能な有機正孔輸送材料としては、J. Hag
en, et al., Synthetic Metal, 89, 215-220 (1997)、N
ature, Vol.395, 8 Oct., p583-585 (1998)及びWO97/10
617、特開昭59-194393号、特開平5-234681号、米国特許
第4,923,774号、特開平4-308688号、米国特許第4,764,6
25号、特開平3-269084号、特開平4-129271号、特開平4-
175395号、特開平4-264189号、特開平4-290851号、特開
平4-364153号、特開平5-25473号、特開平5-239455号、
特開平5-320634号、特開平6-1972号、特開平7-138562
号、特開平7-252474号、特開平11-144773号等に示され
る芳香族アミン類や、特開平11-149821号、特開平11-14
8067号、特開平11-176489号等に記載のトリフェニレン
誘導体類を好ましく用いることができる。また、Adv.Ma
ter., 9, No.7, p557 (1997)、Angew. Chem. Int. Ed.
Engl., 34, No.3, p303-307 (1995)、JACS, Vol.120, N
o.4, p664-672 (1998)等に記載されているオリゴチオフ
ェン化合物、K. Murakoshi, et al., Chem. Lett. p471
(1997)に記載のポリピロール、“Handbook of Organic
Conductive Molecules and Polymers, Vol. 1,2,3,4”
(NALWA著、WILEY出版)に記載されているポリアセチレ
ン及びその誘導体、ポリ(p-フェニレン)及びその誘導
体、ポリ(p-フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ
チエニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及
びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリトル
イジン及びその誘導体等の導電性高分子を好ましく使用
することができる。
【0054】正孔輸送材料にはNature, Vol.395, 8 Oc
t., p583-585 (1998)に記載されているようにドーパン
トレベルをコントロールするためにトリス(4-ブロモフ
ェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのよう
なカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸
化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補
償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添加して
も構わない。
【0055】(b)無機正孔輸送材料 無機正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体を用
いることができる。この目的のp型無機化合物半導体
は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、
2.5eV以上であることがより好ましい。また、p型無機化
合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元
できる条件から、色素吸着電極のイオン化ポテンシャル
より小さいことが必要である。使用する色素によってp
型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい
範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下であ
ることが好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下であるこ
とが好ましい。好ましいp型無機化合物半導体は1価の
銅を含む化合物半導体であり、1価の銅を含む化合物半
導体の例としてはCuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)S
e 2、CuGaSe2、Cu2O、CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2
が挙げられる。この中でもCuI及びCuSCNが好ましく、Cu
Iが最も好ましい。このほかのp型無機化合物半導体とし
ては、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi2O3、MoO2、Cr2O3等を用
いることができる。
【0056】[2]光電変換素子 本発明の光電変換素子は、導電性支持体、少なくとも一
種の色素が吸着した半導体微粒子の層(以下、感光層と
称する)、電荷輸送層及び対極を有する。電荷輸送層は
上述した本発明の電荷輸送材料からなる。上記一般式
(I)で表される化合物を用いることにより、光電変換素
子の変換効率が改善できる。
【0057】本発明の光電変換素子は、好ましくは図1
に示すように、導電層10、下塗り層60、感光層20、電荷
輸送層30、対極導電層40の順に積層してなり、感光層20
を色素22によって増感した半導体微粒子21と当該半導体
微粒子21の間の空隙に浸透した電荷輸送材料23とから構
成する。電荷輸送材料23は電荷輸送層30に用いる本発明
の材料と同じものである。また光電変換素子に強度を付
与するため、導電層10及び/又は対極導電層40の下地と
して基板50を設けてもよい。本発明では、導電層10及び
任意で設ける基板50からなる層を「導電性支持体」、対
極導電層40及び任意で設ける基板50からなる層を「対
極」と呼ぶ。なお、図1中の導電層10、対極導電層40、
基板50は、それぞれ透明導電層10a、透明対極導電層40
a、透明基板50aであってもよい。この光電変換素子を外
部負荷に接続して電気的仕事をさせる目的(発電)で作
られたものが光電池であり、光学的情報のセンシングを
目的に作られたものが光センサーである。光電池のう
ち、電荷輸送材料23が主としてイオン輸送材料からなる
場合を特に光電気化学電池と呼び、また、太陽光による
発電を主目的とする場合を太陽電池と呼ぶ。
【0058】図1に示す本発明の光電変換素子におい
て、半導体微粒子がn型である場合、色素22により増感
された半導体微粒子21を含む感光層20に入射した光は色
素22等を励起し、励起された色素22等中の高エネルギー
の電子が半導体微粒子21の伝導帯に渡され、さらに拡散
により導電層10に到達する。このとき色素22等の分子は
酸化体となっている。光電池においては、導電層10中の
電子が外部回路で仕事をしながら対極導電層40及び電荷
輸送層30を経て色素22等の酸化体に戻り、色素22が再生
する。感光層20は負極(光アノード)として働き、対極
導電層40は正極として働く。それぞれの層の境界(例え
ば導電層10と感光層20との境界、感光層20と電荷輸送層
30との境界、電荷輸送層30と対極導電層40との境界等)
では、各層の構成成分同士が相互に拡散混合していても
よい。以下各層について詳細に説明する。
【0059】(A)導電性支持体 導電性支持体は、(1)導電層の単層、又は(2)導電層及び
基板の2層からなる。(1)の場合は、導電層として強度
や密封性が十分に保たれるような材料、例えば、金属材
料(白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、
これらを含む合金等)を用いることができる。(2)の場
合、感光層側に導電剤を含む導電層を有する基板を使用
することができる。好ましい導電剤としては金属(白
金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、インジ
ウム、これらを含む合金等)、炭素、及び導電性金属酸
化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素
又はアンチモンをドープしたもの等)が挙げられる。導
電層の厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0060】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲は50Ω/□以下であり、さらに好
ましくは20Ω/□以下である。
【0061】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは、可視〜近赤外領域(400〜120
0nm)の光の一部又は全域において透過率が10%以上で
あることを意味し、50%以上であるのが好ましく、80%
以上がより好ましい。特に、感光層が感度を有する波長
域の透過率が高いことが好ましい。
【0062】透明導電性支持体としては、ガラス又はプ
ラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物から
なる透明導電層を塗布又は蒸着等により形成したものが
好ましい。透明導電層として好ましいものは、フッ素若
しくはアンチモンをドーピングした二酸化スズ或いはイ
ンジウム−スズ酸化物(ITO)である。透明基板にはコ
スト及び強度の点で有利なソーダガラス、アルカリ溶出
の影響のない無アルカリガラス等のガラス基板のほか、
透明ポリマーフィルムを用いることができる。透明ポリ
マーフィルムの材料としては、トリアセチルセルロース
(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリ
スチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、
ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポ
リスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PE
S)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、
環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ樹脂等があ
る。十分な透明性を確保するために、導電性金属酸化物
の塗布量はガラス又はプラスチックの支持体1m2当たり
0.01〜100gとするのが好ましい。
【0063】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金
属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質は白
金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀等の
金属が好ましい。金属リードは透明基板に蒸着、スパッ
タリング等で設置し、その上に導電性の酸化スズ、ITO
膜等からなる透明導電層を設けるのが好ましい。金属リ
ード設置による入射光量の低下は、好ましくは10%以
内、より好ましくは1〜5%とする。
【0064】(B)感光層 感光層において、半導体は感光体として作用し、光を吸
収して電荷分離を行い電子と正孔を生ずる。色素増感し
た半導体では、光吸収及びこれによる電子及び正孔の発
生は主として色素において起こり、半導体微粒子はこの
電子(又は正孔)を受け取り、伝達する役割を担う。本
発明で用いる半導体は光励起下で伝導体電子がキャリア
ーとなり、アノード電流を与えるn型半導体であること
が好ましい。
【0065】(1)半導体 半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体
半導体、III-V族系化合物半導体、金属のカルコゲナイ
ド(酸化物、硫化物、セレン化物、それらの複合物
等)、ペロブスカイト構造を有する化合物(チタン酸ス
トロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウ
ム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用
することができる。
【0066】好ましい金属のカルコゲナイドとして、チ
タン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、
ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、
イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ又はタン
タルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン
又はビスマスの硫化物、カドミウム又は鉛のセレン化
物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合
物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミ
ウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素又は銅−インジウム
のセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げられ
る。さらには、MxOySz又はM1xM2yOz(M、M1及びM2はそ
れぞれ金属元素、Oは酸素、x、y、zは価数が中性になる
組み合わせの数)のような複合物も好ましく用いること
ができる。
【0067】本発明に用いる半導体の好ましい具体例
は、Si、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、Z
nS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、SrTiO3、GaP、InP、GaA
s、CuInS2、CuInSe2等であり、より好ましくはTiO2、Zn
O、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、SrTi
O3、InP、GaAs、CuInS2又はCuInSe2であり、特に好まし
くはTiO2又はNb2O5であり、最も好ましくはTiO2であ
る。TiO2の中でもアナターゼ型結晶を70%以上含むTiO2
が好ましく、100%アナターゼ型結晶のTiO2が特に好ま
しい。また、これらの半導体中の電子伝導性を上げる目
的で金属をドープすることも有効である。ドープする金
属としては2又は3価の金属が好ましい。半導体から電
荷輸送層へ逆電流が流れるのを防止する目的で、半導体
に1価の金属をドープすることも有効である。
【0068】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶
でもよいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイ
バックタイム等の観点からは多結晶が好ましく、半導体
微粒子からなる多孔質膜が特に好ましい。また、一部ア
モルファス部分を含んでいてもよい。
【0069】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオ
ーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径か
ら求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好
ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半
導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜30μmが好
ましい。粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合し
てもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは25nm以下
であるのが好ましく、より好ましくは10nm以下である。
入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒径
の大きな、例えば100〜300nm程度の半導体粒子を混合す
ることも好ましい。
【0070】種類の異なる2種以上の半導体微粒子を混
合して用いてもよい。2種以上の半導体微粒子を混合し
て使用する場合、一方はTiO2、ZnO、Nb2O5又はSrTiO3
あることが好ましい。また他方はSnO2、Fe2O3又はWO3
あることが好ましい。さらに好ましい組み合わせとして
は、ZnOとSnO2、ZnOとWO3又はZnO、SnO2とWO3等の組み
合わせを挙げることができる。2種以上の半導体微粒子
を混合して用いる場合、それぞれの粒径が異なっていて
もよい。特に上記TiO2、ZnO、Nb2O5又はSrTiO3の粒径が
大きく、SnO2、Fe2O3又はWO3が小さい組み合わせが好ま
しい。好ましくは大きい粒径の粒子を100nm以上、小さ
い粒径の粒子を15nm以下とする。
【0071】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫
の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技
術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法や、杉本忠夫の
「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」、まてりあ, 第35巻, 第9号, 1012〜1018
頁(1996年)等に記載のゲル−ゾル法が好ましい。また
Degussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分
解により酸化物を作製する方法も好ましく使用できる。
【0072】半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾ
ル-ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高
温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の
「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)
に記載の硫酸法又は塩素法を用いることもできる。さら
にゾル−ゲル法として、Barbeらのジャーナル・オブ・
アメリカン・セラミック・ソサエティー, 第80巻, 第12
号, 3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、Burnside
らのケミストリー・オブ・マテリアルズ, 第10巻, 第9
号, 2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0073】(2)半導体微粒子層 半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体
微粒子の分散液又はコロイド溶液を導電性支持体上に塗
布する方法の他に、前述のゾル−ゲル法等を使用するこ
ともできる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子液の
物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式の
製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法として
は、塗布法、印刷法、電解析出法及び電着法が代表的で
ある。また、金属を酸化する方法、金属溶液から配位子
交換等で液相にて析出させる方法(LPD法)、スパッタ等
で蒸着する方法、CVD法、或いは加温した基板上に熱分
解する金属酸化物プレカーサーを吹き付けて金属酸化物
を形成するSPD法を利用することもできる。
【0074】半導体微粒子の分散液を作製する方法とし
ては、前述のゾル−ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方
法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、半導体を
合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使
用する方法等が挙げられる。
【0075】分散媒としては、水及び各種の有機溶媒
(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、シトロネロール、ターピネオール、ジクロロメタ
ン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が使用
できる。分散の際、必要に応じてポリエチレングリコー
ル、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸、キレート
剤等を分散助剤として用いてもよい。ポリエチレングリ
コールの分子量を変えることで、分散液の粘度が調節可
能となり、さらに剥がれにくい半導体層を形成したり、
半導体層の空隙率をコントロールできるので、ポリエチ
レングリコールを添加することは好ましい。
【0076】塗布方法としては、アプリケーション系と
してローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエ
アーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションと
メータリングを同一部分にできるものとして特公昭58-4
589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許26812
94号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホ
ッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ま
しい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好まし
い。湿式印刷方法としては、凸版、オフセット及びグラ
ビアの三大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン
印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット
厚さに応じて製膜方法を選択してよい。
【0077】半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の
違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が
異なる半導体微粒子(或いは異なるバインダー、添加
剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもでき
る。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効
である。
【0078】一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚
さと同じ)が厚くなるほど、単位投影面積当たりの担持
色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した
電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大き
くなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは
0.1〜100μmである。光電池に用いる場合、半導体微粒
子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好
ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たりの塗布量は0.
5〜100gが好ましく、3〜50gがより好ましい。
【0079】半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した
後で半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、
塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるため
に、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度の範
囲は40℃以上700℃以下であり、より好ましくは100℃以
上600℃以下である。また加熱時間は10分〜10時間程度
である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い
支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くた
め好ましくない。またコストの観点からもできる限り低
温(例えば50℃〜350℃)であるのが好ましい。低温化
は5nm以下の小さい半導体微粒子や鉱酸、金属酸化物プ
レカーサーの存在下での加熱処理等により可能となり、
また、紫外線、赤外線、マイクロ波等の照射や電界、超
音波を印加することにより行うこともできる。同時に不
要な有機物等を除去する目的で、上記の照射や印加のほ
か加熱、減圧、酸素プラズマ処理、純水洗浄、溶剤洗
浄、ガス洗浄等を適宜組み合わせて併用することが好ま
しい。
【0080】加熱処理後、半導体微粒子の表面積を増大
させたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半
導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四
塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理や三塩化チタ
ン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよ
い。また、半導体微粒子から電荷輸送層へ逆電流が流れ
るのを防止する目的で、粒子表面に色素以外の電子伝導
性の低い有機物を吸着させることも有効である。吸着さ
せる有機物としては疎水性基を持つものが好ましい。
【0081】半導体微粒子層は、多くの色素を吸着する
ことができるように大きい表面積を有することが好まし
い。半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表
面積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好まし
く、さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は
特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0082】(3)色素 感光層に用いる増感色素は、可視域や近赤外域に吸収を
有し、半導体を増感しうる化合物なら任意に用いること
ができるが、金属錯体色素、メチン色素、ポルフィリン
系色素又はフタロシアニン系色素が好ましく、金属錯体
色素がより好ましい。また、光電変換の波長域をできる
だけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の
色素を併用又は混合して使用することができる。この場
合、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるよう
に、併用又は混合する色素とその割合を選ぶことができ
る。
【0083】こうした色素は半導体微粒子の表面に対し
て吸着能力の有る適当な結合基(interlocking group)
を有しているのが好ましい。好ましい結合基としては、
-COOH基、-OH基、-SO3H基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(O
H)2基のような酸性基、並びにオキシム、ジオキシム、
ヒドロキシキノリン、サリチレート及びα-ケトエノレ
ートのようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられ
る。中でも-COOH基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(OH)2基が
特に好ましい。これらの基はアルカリ金属等と塩を形成
していてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。
またポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム
環やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含
有するなら、この部分を結合基としてもよい。
【0084】以下、感光層に用いる好ましい増感色素を
具体的に説明する。 (a)金属錯体色素 色素が金属錯体色素である場合、金属フタロシアニン色
素、金属ポルフィリン色素又はルテニウム錯体色素が好
ましく、ルテニウム錯体色素が特に好ましい。ルテニウ
ム錯体色素としては、例えば米国特許4927721号、同468
4537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5
525440号、特開平7-249790号、特表平10-504512号、WO9
8/50393号、特開2000-26487号等に記載のものが挙げら
れる。
【0085】さらに本発明で用いるルテニウム錯体色素
は下記一般式(II): (A1)pRu(B-a)(B-b)(B-c) ・・・(II) により表されるのが好ましい。一般式(II)中、A1は1又
は2座の配位子を表し、好ましくはCl、SCN、H2O、Br、
I、CN、NCO、SeCN、β-ジケトン誘導体、シュウ酸誘導
体及びジチオカルバミン酸誘導体からなる群から選ばれ
た配位子である。pは0〜3の整数である。B-a、B-b及
びB-cはそれぞれ独立に下記式B-1〜B-10のいずれかによ
り表される有機配位子を表す。
【0086】
【化14】
【0087】式B-1〜B-10中、R11は水素原子又は置換基
を表し、該置換基の例としてはハロゲン原子、炭素原子
数1〜12の置換又は無置換のアルキル基、炭素原子数7
〜12の置換又は無置換のアラルキル基、炭素原子数6〜
12の置換又は無置換のアリール基、前述の酸性基(これ
らの酸性基は塩を形成していてもよい)及びキレート化
基が挙げられる。ここで、アルキル基及びアラルキル基
のアルキル部分は直鎖状でも分岐状でもよく、またアリ
ール基及びアラルキル基のアリール部分は単環でも多環
(縮合環、環集合)でもよい。B-a、B-b及びB-cは同一
でも異なっていてもよく、いずれか1つ又は2つでもよ
い。
【0088】金属錯体色素の好ましい具体例を以下に示
すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0089】
【化15】
【0090】
【化16】
【0091】(b)メチン色素 本発明に使用する色素の好ましいメチン色素は、シアニ
ン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等のポ
リメチン色素である。本発明で好ましく用いられるポリ
メチン色素の例としては、特開平11-35836号、特開平11
-67285号、特開平11-86916号、特開平11-97725号、特開
平11-158395号、特開平11-163378号、特開平11-214730
号、特開平11-214731号、特開平11-238905号、特開2000
-26487号、欧州特許892411号、同911841号及び同991092
号の各明細書に記載の色素が挙げられる。好ましいメチ
ン色素の具体例を下に示す。
【0092】
【化17】
【0093】
【化18】
【0094】(4)半導体微粒子への色素の吸着 半導体微粒子膜への色素の吸着は、色素の溶液中によく
乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸漬す
るか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法を用
いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、
ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。浸漬法
の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-
249790号に記載されているように加熱還流して行っても
よい。また後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、
スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン
法、スピン法、スプレー法等がある。また、インクジェ
ット法等によって色素を画像状に塗布し、この画像その
ものを光電変換素子とすることもできる。また、同時処
理法の場合、処理化合物(I)と色素を含む処理液を同様
な方法で吸着させることができる。
【0095】未吸着の色素は、吸着後速やかに洗浄によ
り除去するのが好ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニ
トリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶
媒で洗浄を行うのが好ましい。
【0096】色素の全吸着量は、多孔質半導体電極基板
の単位面積(1m2)当たり0.01〜100mmolとするのが好
ましい。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半
導体微粒子1g当たり0.01〜1mmolの範囲であるのが好ま
しい。このような色素の吸着量とすることにより半導体
における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素
が少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素が多
すぎると半導体に付着していない色素が浮遊し、増感効
果を低減させる原因となる。色素の吸着量を増大させる
ためには、吸着前に加熱処理を行うのが好ましい。加熱
処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるた
め、常温に戻さずに、半導体電極基板の温度が60〜150
℃の間で素早く色素の吸着操作を行うのが好ましい。
【0097】(5)半導体微粒子の処理 本発明の光電変換素子においては、感光層に用いる半導
体微粒子を上記一般式(I)により表される化合物で処理
するのが、変換効率向上の観点から好ましい。本発明で
いう「処理」とは、電荷輸送層を設置する前に、半導体
微粒子と一般式(I)により表される化合物をある時間接
触させる操作を意味し、接触後に半導体微粒子に一般式
(I)により表される化合物が吸着していても、吸着して
いなくても構わない。また「ある時間接触させる」と
は、後に詳細を示すような処理方法により0.1秒以上、
好ましくは1秒以上72時間以内、より好ましくは10秒以
上24時間以内の間、一般式(I)により表される化合物の
少なくとも1つの分子と半導体微粒子上の原子とを少な
くとも1度衝突させることを意味する。
【0098】以下、半導体微粒子の処理に用いる一般式
(I)により表される化合物を「処理化合物(I)」と称す
る。処理化合物(I)は、上記電荷輸送材料に用いる一般
式(I)により表される化合物(即ち化合物(I))と同義で
あり、処理化合物(I)の具体例としては、上記化合物(I)
の具体例と同様のものが挙げられる。処理化合物(I)と
化合物(I)は同じであっても異なっていてもよい。
【0099】処理化合物(I)の好ましい態様において
は、Xが酸素原子を表し、R1及びR2がそれぞれ独立に水
素原子、炭素数1〜20の置換又は無置換のアルキル基、
炭素数6〜20の置換又は無置換のフェニル基、含窒素ヘ
テロ環基、-N(R5)(R6)、-C(=O)R7或いは-SO2R9を表し、
Yが水素原子、炭素数1〜16の置換又は無置換のアルキ
ル基、炭素数6〜16の置換又は無置換のフェニル基、含
窒素ヘテロ環基或いは-N(R 5)(R6)を表す。ここで、R5
びR6はそれぞれ独立に該好ましい態様におけるR1及びR2
と同様のものを表し、R7及びR9はそれぞれ独立に該好ま
しい態様におけるYと同様のものを表す。
【0100】処理化合物(I)のより好ましい態様におい
ては、Xが酸素原子を表し、R1及びR2がそれぞれ独立に
水素原子、炭素数1〜18の置換又は無置換のアルキル
基、炭素数6〜18の置換又は無置換のフェニル基、或い
は含窒素ヘテロ6員環を表し、Yが水素原子、炭素数1
〜12の置換又は無置換のアルキル基、含窒素ヘテロ6員
環或いは-N(R5)(R6)を表す。ここで、R5及びR6はそれぞ
れ独立に該より好ましい態様におけるR1及びR2と同様の
ものを表す。
【0101】処理化合物(I)の特に好ましい態様におい
ては、Xが酸素原子を表し、R1及びR2がそれぞれ独立に
水素原子、炭素数1〜16の置換又は無置換のアルキル
基、或いは炭素数6〜16の置換又は無置換のフェニル基
を表し、Yが-N(R5)(R6)を表す。このとき、R5及びR6
それぞれ独立に該特に好ましい態様におけるR1及びR2
同様のものを表す。
【0102】処理化合物(I)の最も好ましい態様におい
ては、Xが酸素原子を表し、R1が水素原子を表し、R2
水素原子、炭素数1〜16の置換又は無置換のアルキル基
或いは炭素数6〜16の置換又は無置換のフェニル基を表
し、Yが-NH2を表す。
【0103】処理化合物(I)はX、R1、R2及び/又はY上
に置換基を有していてもよい。該置換基の好ましい例と
しては、-C(=O)OR'、-P(=O)(OR')2、-S(=O)2OR'、-O
R'、-B(OR')2、-Si(R11)(R12)(R13)等が挙げられる。R'
はそれぞれ独立に水素原子又は脂肪族炭化水素基(例え
ばメチル基、エチル基等)を表し、R11、R12及びR13
それぞれ独立にヒドロキシ基、アルキルオキシ基(例え
ばメトキシ基、エトキシ基、i-プロピル基等)、ハロゲ
ン原子(例えば塩素原子等)又は脂肪族炭化水素基(例
えばメチル基、エチル基等)を表し、R11、R12及びR13
のうち少なくとも1つはアルキルオキシ基又はハロゲン
原子である。また、より好ましい置換基としては、-C(=
O)OR'、-P(=O)(OR')2及び-Si(R11)(R12)(R13)が挙げら
れ、特に好ましくは-Si(R11)(R12)(R13)である。
【0104】処理を施す半導体微粒子は、光電変換素子
の作成の過程における如何なる状態であってもよいが、
半導体微粒子膜が形成された後に処理することが好まし
い。一方、処理化合物(I)は溶媒に溶解した溶液(以
後、処理溶液と記す)、若しくは分散させた分散液(以
後、処理分散液と記す)として用いることが好ましい
が、化合物自体が液体の場合は無溶媒で使用してもよ
い。より好ましくは処理溶液を用いた処理であり、その
溶媒は有機溶剤であることが好ましい。
【0105】処理溶液に用いる有機溶剤は、処理化合物
(I)の溶解性に応じて適宜選択できる。例えば、アルコ
ール類(メタノール、エタノール、t-ブタノール、ベン
ジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プ
ロピオニトリル、3-メトキシプロピオニトリル等)、ニ
トロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジ
クロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エ
ーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン
等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N-ジメチル
ホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド等)、N-メチル
ピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、3-メチル
オキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチ
ル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレ
ン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2-ブタ
ノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石
油エーテル、ベンゼン、トルエン等)、これらの混合溶
媒等が使用できる。このうちニトリル類、アルコール類
及びアミド類は特に好ましい溶媒である。
【0106】光電変換素子の作成の過程における半導体
微粒子膜への色素の吸着工程と、処理化合物(I)による
処理工程の順序としては、色素の吸着の後に処理化合
物(I)で処理する方法(以後、後処理法と記す)、色
素の吸着と処理化合物(I)での処理を同時に行う方法
(以後、同時処理法と記す)、処理化合物(I)で処理
した後に色素の吸着を行う方法(以後、前処理法と記
す)等が挙げられるが、好ましくは後処理法又は同
時処理法である。更に、これらの処理方法を幾つか組み
合わせて連続的に処理してもよく、例えば同時処理した
半導体微粒子に後処理を施す2段階処理等が好ましい方
法として挙げられる。このように連続的に処理を行う場
合、処理化合物(I)は同じであっても異なっていてもよ
い。
【0107】処理溶液又は処理分散液(以後、両液をま
とめて処理液と記す)を用いて処理する好ましい方法と
しては、半導体微粒子膜を該処理液に浸漬する方法(以
後、浸漬処理法と記す)が挙げられる。また、後処理法
及び前処理法の場合は、処理液をスプレー状に一定時間
吹き付ける方法(以後、スプレー法と記す)も適用でき
る。浸漬処理法を行う際、処理液の温度や処理にかける
時間は任意に設定してよいが、20℃〜80℃の温度で、30
秒〜24時間浸漬処理することが好ましい。浸漬処理の後
には溶媒により洗浄するのが好ましい。洗浄に用いる溶
媒は処理液に用いた溶媒と同一の組成のものか、ニトリ
ル類、アルコール類、アミド類等の極性溶媒が好まし
い。
【0108】処理液は処理化合物(I)が少なくとも1種
と、適宜これ以外の物質を添加剤として含有してもよ
い。添加剤を使用する例としては、色素間の凝集などの
相互作用を低減するため、界面活性な性質、構造をもっ
た無色の化合物を色素に添加し、半導体微粒子に共吸着
させる場合等がある。添加剤の例としては、カルボキシ
ル基を有するステロイド化合物(例えばケノデオキシコ
ール酸、コール酸等)、紫外線吸収剤、界面活性剤等が
挙げられる。
【0109】後処理又は前処理を行う際の処理液には塩
基が共存していることが好ましく、該塩基の例としては
例えばピリジン類(4-メチルピリジン、4-t-ブチルピリ
ジン、4-メトキシピリジン等)、イミダゾール類(イミ
ダゾール、N-メチルイミダゾール等)、1,8-ジアザビシ
クロウンデセン、3級アミン類(トリエチルアミン、ジ
エチルイソプロピルアミン、1,4-ジアザビシクロオクタ
ン等)等が挙げられる。中でもピリジン類がより好まし
い。
【0110】処理液中の処理化合物(I)の濃度は、好ま
しくは1×10-6〜2mol/Lであり、より好ましくは1×10
-5〜5×10-1mol/Lである。
【0111】(C)電荷輸送層 電荷輸送層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有す
る。本発明の光電変換素子が有する電荷輸送層は、上述
した本発明の電荷輸送材料を含有する。電荷輸送層は複
数の電荷輸送材料を含有していてもよい。
【0112】電荷輸送層の形成方法に関しては2通りの
方法が可能である。1つは感光層の上に先に対極を貼り
合わせておき、その間隙に液状の電荷輸送層を挟み込む
方法である。もう1つは感光層上に直接、電荷輸送層を
付与する方法で、対極はその後付与することになる。
【0113】前者の方法の場合、電荷輸送層の挟み込み
方法として、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロ
セス、又は常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に
置換する真空プロセスを利用できる。
【0114】後者の方法の場合、湿式の電荷輸送層にお
いては未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防
止措置を施すことになる。またゲル電解質の場合には湿
式で塗布して重合等の方法により固体化する方法があ
り、その場合には乾燥、固定化した後に対極を付与する
こともできる。電解液のほか湿式有機正孔輸送材料やゲ
ル電解質を付与する方法としては、前述の半導体微粒子
層や色素の付与と同様の方法を利用できる。
【0115】固体電解質や固体の正孔輸送材料の場合に
は真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理で電荷輸送層
を形成し、その後対極を付与することもできる。有機正
孔輸送材料は真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピン
コート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等の手法
により電極内部に導入することができる。無機固体化合
物の場合も、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸
漬法、電解析出法、無電解メッキ法等の手法により電極
内部に導入することができる。
【0116】(D)対極 対極は前記の導電性支持体と同様に、導電性材料からな
る対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持
基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導
電剤としては、金属(白金、金、銀、銅、アルミニウ
ム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、及び導電性
金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドー
プ酸化スズ等)が挙げられる。この中でも白金、金、
銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムが好ましく使用
することができる。対極に用いる支持基板は、好ましく
はガラス基板又はプラスチック基板であり、これに上記
の導電剤を塗布又は蒸着して用いる。対極導電層の厚さ
は特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極
導電層の表面抵抗は低い程よい。好ましい表面抵抗の範
囲としては50Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω
/□以下である。
【0117】導電性支持体と対極のいずれか一方又は両
方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するた
めには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的
に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは、導
電性支持体を透明にして光を導電性支持体側から入射さ
せるのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性質
を有するのが好ましい。このような対極としては、金属
又は導電性酸化物を蒸着したガラス又はプラスチック、
或いは金属薄膜を使用できる。
【0118】対極は電荷輸送層上に直接導電剤を塗布、
メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基
板の導電層側を貼り付ければよい。また、導電性支持体
の場合と同様に、特に対極が透明の場合には対極の抵抗
を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。な
お、好ましい金属リードの材質及び設置方法、金属リー
ド設置による入射光量の低下等は導電性支持体の場合と
同じである。
【0119】(E)その他の層 対極と導電性支持体の短絡を防止するため、導電性支持
体と感光層の間には、緻密な半導体の薄膜層を下塗り層
として予め塗設しておくことが好ましい。この下塗り層
により短絡を防止する方法は、電荷輸送層に電子輸送材
料や正孔輸送材料を用いる場合は特に有効である。下塗
り層は好ましくはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO又はNb2
O5からなり、さらに好ましくはTiO2からなる。下塗り層
は、例えばElectrochim. Acta, 40, 643-652 (1995)に
記載されているスプレーパイロリシス法や、スパッタ法
等により塗設することができる。下塗り層の好ましい膜
厚は5〜1000nmであり、10〜500nmがさらに好ましい。
【0120】また、電極として作用する導電性支持体と
対極の一方又は両方の外側表面、導電層と基板の間又は
基板の中間に、保護層、反射防止層等の機能性層を設け
てもよい。これらの機能性層の形成には、その材質に応
じて塗布法、蒸着法、貼り付け法等を用いることができ
る。
【0121】(F)光電変換素子の内部構造の具体例 上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造
が可能である。図2〜図9に本発明に好ましく適用でき
る光電変換素子の内部構造を例示する。
【0122】図2に示す構造は、透明導電層10aと透明
対極導電層40aとの間に、感光層20と電荷輸送層30とを
介在させたものであり、両面から光が入射する構造とな
っている。図3に示す構造は、透明基板50a上に一部金
属リード11を設け、その上に透明導電層10aを設け、下
塗り層60、感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40を
この順で設け、更に支持基板50を配置したものであり、
導電層側から光が入射する構造となっている。図4に示
す構造は、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60
を介して感光層20を設け、更に電荷輸送層30と透明対極
導電層40aとを設け、一部に金属リード11を設けた透明
基板50aを金属リード11側を内側にして配置したもので
あり、対極側から光が入射する構造である。図5に示す
構造は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、更
に透明導電層10a(又は40a)を設けたもの1組の間に下
塗り層60、感光層20及び電荷輸送層30を介在させたもの
であり、両面から光が入射する構造である。図6に示す
構造は、透明基板50a上に透明導電層10a、下塗り層60、
感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40を設け、この
上に支持基板50を配置したものであり、導電層側から光
が入射する構造である。図7に示す構造は、支持基板50
上に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設
け、更に電荷輸送層30及び透明対極導電層40aを設け、
この上に透明基板50aを配置したものであり、対極側か
ら光が入射する構造である。図8に示す構造は、透明基
板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感
光層20を設け、更に電荷輸送層30及び透明対極導電層40
aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、
両面から光が入射する構造となっている。図9に示す構
造は、支持基板50上に導電層10を設け、下塗り層60を介
して感光層20を設け、更に固体の電荷輸送層30を設け、
この上に一部対極導電層40又は金属リード11を有するも
のであり、対極側から光が入射する構造となっている。
【0123】[3]光電池 本発明の光電池は、上記光電変換素子に外部負荷で仕事
をさせるようにしたものである。光電池のうち、電荷輸
送材料が主としてイオン輸送材料からなる場合を、特に
光電気化学電池と呼び、また、太陽光による発電を主目
的とする場合を太陽電池と呼ぶ。
【0124】光電池の側面は、構成物の劣化や内容物の
揮散を防止するためにポリマーや接着剤等で密封するの
が好ましい。導電性支持体及び対極にリードを介して接
続する外部回路自体は公知のものでよい。
【0125】本発明の光電変換素子を太陽電池に適用す
る場合も、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電
変換素子の構造と同じである。また、本発明の光電変換
素子を用いた色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モ
ジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりう
る。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミッ
ク等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹
脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取
り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材
料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板
側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体
的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタ
イプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、
アモルファスシリコン太陽電池等で用いられる基板一体
型モジュール構造等が知られており、本発明の色素増感
型太陽電池も使用目的や使用場所及び環境により、適宜
モジュール構造を選択できる。具体的には、特願平11-8
457に記載の構造や態様とすることが好ましい。
【0126】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0127】実施例1 1.二酸化チタン粒子含有塗布液の作製 オートクレーブ温度を230℃にしたこと以外はバルベら
のジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエ
ティ, 第80巻, 3157頁記載の方法と同様の方法で、二酸
化チタン濃度が11質量%の二酸化チタン分散物を得た。
得られた二酸化チタン粒子の平均サイズは約10nmであっ
た。この分散物に二酸化チタンに対して20質量%のポリ
エチレングリコール(分子量20000、和光純薬製)を添
加し、混合して塗布液を得た。
【0128】2.色素を吸着した二酸化チタン電極の作
成 (1)標準電極の作成 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした透明導
電性ガラス(日本板硝子製、表面抵抗:約10Ω/cm2
の導電面側に、上記塗布液をドクターブレードで120μm
の厚みで塗布し、25℃で30分間乾燥した後、電気炉(ヤ
マト科学製マッフル炉FP-32型)を用いて450℃で30分間
焼成した。二酸化チタンの塗布量は18g/m2であり、塗布
層の膜厚は12μmであった。焼成終了後、冷却し、ルテ
ニウム錯体色素シス-(ジチオシアネート)-N,N'-ビス(2,
2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシリックアシッド)ルテ
ニウム(II)錯体(R-1)の吸着液に16時間浸漬した。吸
着温度は25℃、吸着液の溶媒はエタノールとアセトニト
リルの1:1(体積比)混合物であり、色素の濃度は3×
10-4mol/lとした。色素の染着した二酸化チタン電極を
エタノール、アセトニトリルで順次洗浄し、標準電極T-
1を作成した。
【0129】(2)後処理電極の作成 上記(1)のように作成した標準電極T-1を、下記表1に示
す一般式(I)の化合物を含有した後処理液A-1又はA-2に4
0℃で1.5時間浸漬し、アセトニトリルで洗浄後、暗所、
窒素気流下で乾燥し、後処理を施した電極TA-1及びTA-2
を作成した。なお、処理液中の一般式(I)で表される化
合物の濃度は0.01mol/l、溶媒はアセトニトリルに統一
し、また処理液A-2には添加物としてt-ブチルピリジン
を添加した。
【0130】
【表1】
【0131】(3)同時処理電極の作成 色素の吸着液に、下記表2に示す一般式(I)で表される
化合物をそれぞれ加えたこと以外は上記標準電極T-1の
作成方法と同様に、同時処理を施した電極TD-1〜TD-3を
作成した。なお吸着液中の色素の濃度は3×10-4mol/
l、一般式(I)で表される化合物の濃度は0.01mol/l、溶
媒はエタノールとアセトニトリルの1:1(体積比)混
合物に統一した。
【0132】
【表2】
【0133】3.電荷輸送材料の調製 0.65mol/lの1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアイオダ
イド(Y6-1)及び0.05mol/lのヨウ素を含むアセトニト
リルの溶液に、下記表3に示す一般式(I)により表され
る各化合物を0.01mol/lの濃度になるように添加して溶
解し、電荷輸送材料PE-1〜PE-5を調液した。また、一般
式(I)により表される化合物に替えて下記に示す比較用
化合物1を用いて、電荷輸送材料PE-6を調製した。
【化19】
【0134】
【表3】
【0135】4.光電変換素子の作成 上述のように得られた色素増感電極T-1(2cm×2cm)
を、これと同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせ
た。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電荷
輸送材料PE-1をしみこませて電極中に導入して、比較用
の光電変換素子C-1を得た。また、電極及び電荷輸送材
料を下記表4に示すものに替えたこと以外は比較用光電
変換素子C-1と同様に、本発明の光電変換素子C-2〜C-12
を作成した。本実施例により、図10に示す導電性ガラス
1(ガラス2上に導電剤層3を設置したもの)、色素を
吸着させたTiO2層4、電解液5、白金層6及びガラス7
を順に積層した光電変換素子が作成された。
【0136】5.光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィルタ
ー(Oriel社製AM1.5)を通すことにより模擬太陽光を発
生させた。この光の強度は垂直面において100mW/cm2
あった。上記のように得られた各光電変換素子の導電性
ガラスの端部に銀ペーストを塗布して負極とし、この負
極と白金蒸着ガラス(正極)を電流電圧測定装置(ケー
スレーSMU238型)に接続した。模擬太陽光を垂直に照射
しながら、電流電圧特性を測定し、変換効率を求めた。
表4に各光電変換素子の変換効率を示す。
【0137】
【表4】
【0138】表4より明らかなように、一般式(I)で表
される化合物を添加した電荷輸送材料を用いることによ
って変換効率が向上することが、比較用光電変換素子C-
1及びC-6と本発明の光電変換素子C-2〜C-5の比較からわ
かる。また、光電変換素子C-2〜C-4とC-5の変換効率の
比較により、鎖状のウレイド化合物で、かつ分子量が50
0以下の化合物がより好ましいことがわかる。更に、光
電変換素子C-2とC-7及びC-9〜C-12の比較、並びにC-4と
C-8の比較から、半導体微粒子を本発明の一般式(I)で表
される化合物で処理することにより更に変換効率が向上
することがわかる。
【0139】実施例2 ルテニウム錯体色素R-1に替えてルテニウム錯体色素R-1
0、メロシアニン色素又はスクワリリウム色素を用いた
こと以外は上記実施例1と同様に、光電変換素子を作成
した。色素吸着液中の色素の濃度は1×10-4mol/lとし
た。得られた各光電変換素子の変換効率を上記実施例1
と同様に測定したところ、実施例1と同様の結果が得ら
れた。
【0140】実施例3 上記実施例1で得た電荷輸送材料PE-1〜PE-5のそれぞれ
に、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロ
ボレート(Y6-2)を0.65mol/lの濃度になるように添加
し、電荷輸送材料PE-1'〜PE-5'を調液した。この電荷輸
送材料PE-1'〜PE-5'を、上記実施例1のようにして作成
した色増感標準電極基板T-1(2cm×2cm)にそれぞれ
塗布し、60℃、減圧下で電極基板に染み込ませながら、
溶媒のアセトニトリルを留去した。これらに同じ大きさ
の白金蒸着ガラスを重ね合わせ、溶媒を含まない溶融塩
電解質組成物からなる電荷輸送材料を用いた光電変換素
子C-1'〜C-5'を得た。得られた各光電変換素子の変換効
率を上記実施例1と同様に測定したところ、下記表5に
示す結果が得られた。
【0141】
【表5】
【0142】表5より、電荷輸送材料として溶媒を含ま
ない溶融塩電解質組成物を用いた場合も、一般式(I)に
より表される化合物を添加することによって変換効率が
向上することがわかる。
【0143】
【発明の効果】以上詳述したように、一般式(I)により
表される化合物を含有する本発明の電荷輸送材料を電荷
輸送層に用いることによって、従来よりも変換効率が改
善された色素増感光電変換素子が得られる。また、感光
層に含まれる半導体微粒子を一般式(I)により表される
化合物で予め処理することによって、変換効率がより一
層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図2】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図3】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図4】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図5】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図6】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図7】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図8】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図9】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図10】 実施例で作成した光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【符号の説明】
10・・・導電層 10a・・・透明導電層 11・・・金属リード 20・・・感光層 21・・・半導体微粒子 22・・・色素 23・・・電荷輸送材料 30・・・電荷輸送層 40・・・対極導電層 40a・・・透明対極導電層 50・・・基板 50a・・・透明基板 60・・・下塗り層 1・・・導電性ガラス 2・・・ガラス 3・・・導電剤層 4・・・TiO2層 5・・・電解液 6・・・白金層 7・・・ガラス

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I): 【化1】 により表される化合物を含有することを特徴とする電荷
    輸送材料。一般式(I)中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレ
    ン原子又はNR3を表し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素
    原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、-O
    R4、-N(R5)(R6)、-C(=O)R7、-C(=S)R8又はSO2R9を表
    し、Yは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘ
    テロ環基、-OR4、-N(R5)(R6)又は-SR10を表す。また、R
    3は水素原子、脂肪族炭化水素基、ヒドロキシ基又はア
    ルコキシ基を表し、R4は水素原子又は脂肪族炭化水素基
    を表し、R5及びR6はR1及びR2と同義であり、R7、R8及び
    R9はYと同義であり、R10はR4と同義である。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電荷輸送材料におい
    て、前記電荷輸送材料が溶融塩電解質組成物又は電解液
    であることを特徴とする電荷輸送材料。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の電荷輸送材料に
    おいて、前記Xが酸素原子を表し、且つ前記Yが-N(R5)(R
    6)を表すことを特徴とする電荷輸送材料。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の電荷輸送材料におい
    て、前記Xが酸素原子を表し、前記R1が水素原子を表
    し、且つ前記Yが-NH2を表すことを特徴とする電荷輸送
    材料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の電荷輸
    送材料において、前記一般式(I)により表される化合物
    の分子量が500以下であることを特徴とする電荷輸送材
    料。
  6. 【請求項6】 導電性支持体、少なくとも一種の色素が
    吸着した半導体微粒子の層、電荷輸送層及び対極を有す
    る光電変換素子において、前記電荷輸送層が請求項1〜
    5のいずれかに記載の電荷輸送材料からなることを特徴
    とする光電変換素子。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の光電変換素子におい
    て、前記半導体微粒子が前記一般式(I)により表される
    化合物で処理されていることを特徴とする光電変換素
    子。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7に記載の光電変換素子に
    おいて、前記色素が金属錯体色素であることを特徴とす
    る光電変換素子。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8のいずれかに記載の光電変
    換素子を用いた光電池。
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