JP2016072395A - 光電変換素子、色素増感太陽電池、金属錯体色素および色素溶液 - Google Patents

光電変換素子、色素増感太陽電池、金属錯体色素および色素溶液 Download PDF

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直幸 花木
渡辺 康介
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康介 渡辺
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Abstract

【課題】光電変換効率に優れ、耐久性にも優れた光電変換素子、およびこの光電変換素子を用いた色素増感太陽電池の提供。【解決手段】式(I)で表される金属錯体色素を増感色素として、担持した半導体微粒子を有する光電変換素子及び色素増感太陽電池。式(I)で表される金属錯体色素を含む色素溶液。M(LA)(LD)(LX)mX・(CI)mY式(I)[Mは金属イオン;LAは3つの含窒素芳香族複素環を持つ3座の配位子;LDは2座又はLAとは異なる3座の配位子;LXは単座の配位子;CIは対イオン;mXはLDが2座配位子の場合mX=1、LDが3座の場合mX=0;mYは0〜3の整数]【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換素子、色素増感太陽電池、金属錯体色素および色素溶液に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等の光電気化学電池等に用いられている。この光電変換素子には、金属を用いた方式、半導体を用いた方式、有機顔料や色素を用いた方式、または、これらを組み合わせた方式等の様々な方式が実用化されている。特に、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、燃料が不要であり、無尽蔵のクリーンエネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。その中でも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められ、各国の政策的な配慮もあって普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループットおよびコスト等の改良には自ずと限界がある。
そこで、色素増感太陽電池の研究が精力的に行われている。特にその契機となったのは、スイス ローザンヌ工科大学のGraetzel等の研究成果である。彼らは、ポーラス酸化チタン膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した構造を採用し、アモルファスシリコン並の光電変換効率を実現した(例えば特許文献1)。これにより、高価な真空装置を使用しなくても製造できる色素増感太陽電池が一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
現在までに、色素増感太陽電池に使用される金属錯体色素として、一般的に、N3、N719、N749(ブラックダイともいう)、Z907、J2と呼ばれる色素等が開発されている。
さらに特許文献2には、可視光域のみならず赤外域にも高い吸収を示す金属錯体色素が記載され、この色素を増感色素として作製した色素増感太陽電池の光電変換効率が向上したことが記載されている。この特許文献2には、金属錯体色素の配位子としてヒドロキシ基を有するターピリジン化合物やカルボキシ基を有するターピリジン化合物が開示されている。
特開平5−504023号公報 特開2001−59062号公報
太陽電池には、高い光電変換効率に加え、太陽電池が実際に使用される現場環境において、初期性能を長期に渡って維持できる高度な耐久性が求められる。しかし、特許文献1および2に記載の色素を用いた色素増感太陽電池は、光電変換効率が従来より良化するものの、耐久性が未だ十分とはいえない。
本発明は、光電変換効率に優れ、且つ、耐久性にも優れた光電変換素子、およびこの光電変換素子を用いた色素増感太陽電池を提供することを課題とする。また本発明は、光電変換素子ないし色素増感太陽電池の増感色素として用いることで、優れた光電変換性能に加え、優れた耐久性をも発現させることができる金属錯体色素、およびこの金属錯体色素を含む色素溶液を提供することを課題とする。
本発明者らは、長波長領域における量子収率を高めて優れた光電変換効率を示す光電変換素子を創出すべく鋭意検討を重ねた。その結果、特定構造の含窒素芳香族ヘテロ環が3つ、単結合で連なり、且つ中央の環が特定の吸着性基を持つ3座配位子を有する金属錯体色素を、色素増感太陽電池の増感色素として用いた場合に、光電変換効率が高まり、且つ耐久性(耐熱性)も向上することを見い出した。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至った。
本発明の要旨は下記の通りである。
〔1〕
導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有する光電変換素子であって、上記感光体層が、下記式(I)で表される金属錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。

M(LA)(LD)(LX)mX・(CI)mY 式(I)

式中、Mは金属イオンを表す。
LAは、下記式(AL)で表される3座の配位子を表す。
LDは、2座の配位子または上記LAとは異なる3座の配位子を表す。LDは、金属イオンMと結合する配位原子の少なくとも1つがアニオンである。
LXは、単座の配位子を表す。LDが2座の配位子の場合、mXは1であり、LDが3座の配位子の場合、mXは0である。
CIは電荷を中和するための対イオンを表し、mYは0〜3の整数である。
Figure 2016072395
式(AL)中、環A、環Bおよび環Cは含窒素芳香族ヘテロ環を表す。
およびZは炭素原子または窒素原子を表す。ZとN原子の間の結合、およびZとN原子の間の結合は単結合または二重結合である。
Anc1およびAnc3はカルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、またはホウ酸基を表し、l1およびl3は1〜4の整数である。
Anc2は構成原子の数が3以下の吸着性基を表し、l2は1〜3の整数である。
およびXは単結合または連結基を表す。m1およびm3は0〜4の整数を表す。但し、m1とm3が同時に0となることはない。
〜RはAnc1〜Anc3を有しない置換基を表す。n1およびn3は0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。
〔2〕
上記式(AL)において、環A、環Bおよび環Cのうち少なくとも1つの環がピリジン環である、〔1〕に記載の光電変換素子。
〔3〕
上記LAが下記式(AL−1)で表される、〔1〕または〔2〕に記載の光電変換素子。
Figure 2016072395
式(AL−1)中、環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3は、それぞれ上記式(AL)における環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3と同義である。l2aは1〜3の整数であり、n2aは0〜2の整数である。但し、l2aとn2aの合計は1〜3である。
〔4〕
上記LAが下記式(AL−2)で表される、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 2016072395
式(AL−2)中、環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3は、それぞれ上記式(AL−1)における環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3と同義である。n2bは0〜2の整数である。
〔5〕
上記LAが下記式(AL−3)で表される、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 2016072395
式(AL−3)中、X、X、Anc1〜Anc3、l1、l3、R〜Rおよびn2bは、それぞれ上記式(AL−2)におけるX、X、Anc1〜Anc3、l1、l3、R〜Rおよびn2bと同義である。n1cおよびn3cは0〜3の整数である。
〔6〕
上記LAが下記式(AL−4)で表される、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 2016072395
式(AL−4)中、X、Anc1〜Anc3、l3、R、Rおよびn2bは、それぞれ上記式(AL−3)におけるX、Anc1〜Anc3、l3、R、Rおよびn2bと同義である。
〜Aは−CRAL1=、−CRAL2AL3−、−O−、−N=、−NRAL4−または−S−を表す。RAL1、RAL2、RAL3およびRAL4は水素原子、またはAnc1もしくはRとの連結部位を示す。A〜Aのうち少なくとも1つは−CRAL1=である。AとAの結合およびAとAの結合は単結合または二重結合である。n1dは0または1である。
〔7〕
上記LAが下記式(AL−5)で表される、〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 2016072395
式(AL−5)中、Anc1〜Anc3、R、R、n1d、n2b、およびA〜Aは、それぞれ上記式(AL−4)におけるAnc1〜Anc3、R、R、n1d、n2b、およびA〜Aと同義である。
1a〜A3aは−CRAL5=、−CRAL6AL7−、−O−、−N=、−NRAL8−または−S−を表す。RAL5、RAL6、RAL7およびRAL8は水素原子、またはAnc3との連結部位を示す。A1a〜A3aのうち少なくとも1つは−CRAL5=である。A1aとA2aの結合およびA2aとA3aの結合は単結合または二重結合である。
〔8〕
上記Aが−C(−Anc1)=であり、且つ、上記A2aが−C(−Anc3)=である、〔7〕に記載の光電変換素子。
〔9〕
上記Anc2が水酸基である、〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
〔10〕
〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の光電変換素子を備えた色素増感太陽電池。
〔11〕
下記式(I)で表される金属錯体色素。

M(LA)(LD)(LX)mX・(CI)mY 式(I)

式中、Mは金属イオンを表す。
LAは、下記式(AL)で表される3座の配位子を表す。
LDは、2座の配位子または上記LAとは異なる3座の配位子を表す。LDは、金属イオンMと結合する配位原子の少なくとも1つがアニオンである。
LXは、単座の配位子を表す。LDが2座の配位子の場合、mXは1であり、LDが3座の配位子の場合、mXは0である。
CIは電荷を中和するための対イオンを表し、mYは0〜3の整数である。
Figure 2016072395
式(AL)中、環A、環Bおよび環Cは含窒素芳香族ヘテロ環を表す。
およびZは炭素原子または窒素原子を表す。ZとN原子の間の結合、およびZとN原子の間の結合は単結合または二重結合である。
Anc1およびAnc3はカルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、またはホウ酸基を表し、l1およびl3は1〜4の整数である。
Anc2は構成原子の数が3以下の吸着性基を表し、l2は1〜3の整数である。
およびXは単結合または連結基を表す。m1およびm3は0〜4の整数を表す。但し、m1とm3が同時に0となることはない。
〜RはAnc1〜Anc3を有しない置換基を表す。n1およびn3は0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。
〔12〕
上記式(AL)において、環A、環Bおよび環Cのうち少なくとも1つの環がピリジン環である、〔11〕に記載の金属錯体色素。
〔13〕
上記LAが下記式(AL−1)で表される、〔11〕または〔12〕に記載の金属錯体色素。
Figure 2016072395
式(AL−1)中、環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3は、それぞれ上記式(AL)における環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3と同義である。l2aは1〜3の整数であり、n2aは0〜2の整数である。但し、l2aとn2aの合計は1〜3である。
〔14〕
上記LAが下記式(AL−2)で表される、〔11〕〜〔13〕のいずれか1つに記載の金属錯体色素。
Figure 2016072395
式(AL−2)中、環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3は、それぞれ上記式(AL−1)における環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3と同義である。n2bは0〜2の整数である。
〔15〕
上記LAが下記式(AL−3)で表される、〔11〕〜〔14〕のいずれか1つに記載の金属錯体色素。
Figure 2016072395
式(AL−3)中、X、X、Anc1〜Anc3、l1、l3、R〜Rおよびn2bは、それぞれ上記式(AL−2)におけるX、X、Anc1〜Anc3、l1、l3、R〜Rおよびn2bと同義である。n1cおよびn3cは0〜3の整数である。
〔16〕
上記LAが下記式(AL−4)で表される、〔11〕〜〔15〕のいずれか1つに記載の金属錯体色素。
Figure 2016072395
式(AL−4)中、X、Anc1〜Anc3、l3、R、Rおよびn2bは、それぞれ上記式(AL−3)におけるX、Anc1〜Anc3、l3、R、Rおよびn2bと同義である。
〜Aは−CRAL1=、−CRAL2AL3−、−O−、−N=、−NRAL4−または−S−を表す。RAL1、RAL2、RAL3およびRAL4は水素原子、またはAnc1もしくはRとの連結部位を示す。A〜Aのうち少なくとも1つは−CRAL1=である。AとAの結合およびAとAの結合は単結合または二重結合である。n1dは0または1である。
〔17〕
上記LAが下記式(AL−5)で表される、〔11〕〜〔16〕のいずれか1つに記載の金属錯体色素。
Figure 2016072395
式(AL−5)中、Anc1〜Anc3、R、R、n1d、n2b、およびA〜Aは、それぞれ上記式(AL−4)におけるAnc1〜Anc3、R、R、n1d、n2b、およびA〜Aと同義である。
1a〜A3aは−CRAL5=、−CRAL6AL7−、−O−、−N=、−NRAL8−または−S−を表す。RAL5、RAL6、RAL7およびRAL8は水素原子、またはAnc3との連結部位を示す。A1a〜A3aのうち少なくとも1つは−CRAL5=である。A1aとA2aの結合およびA2aとA3aの結合は単結合または二重結合である。
〔18〕
上記Aが−C(−Anc1)=であり、且つ、上記A2aが−C(−Anc3)=である、〔17〕に記載の金属錯体色素。
〔19〕
前記Anc2が水酸基である、〔11〕〜〔18〕のいずれか1つに記載の金属錯体色素。

〔20〕
〔11〕〜〔19〕のいずれか1つに記載の金属錯体色素と溶媒とを含有する色素溶液。
本明細書において、特に断りがない限り、二重結合については、分子内にE型およびZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。
特定の符号や式で表示された置換基、連結基、配位子、環、原子等(以下、置換基等という)が複数あるとき、または複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。
また、環、例えば、芳香族環または脂肪族環は、さらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
本発明において、芳香族環は、芳香族性を示す環をいい、芳香族炭化水素環と芳香族ヘテロ環とを含む意味に用いる。また、芳香族基は、芳香族性を示す基をいい、アリール基とヘテロアリール基とを含む意味に用いる。
脂肪族環は、芳香族環以外の環をいい、脂肪族炭化水素環および脂肪族ヘテロ環を包含する。脂肪族炭化水素環としては、飽和炭化水素環、および、芳香族性を示さない不飽和炭化水素環が挙げられ、例えば、飽和単環炭化水素環(シクロアルカン)、飽和多環炭化水素環、不飽和単環炭化水素環(シクロアルケン、シクロアルキン)および不飽和多環炭化水素環等が挙げられる。
芳香族ヘテロ環および脂肪族ヘテロ環を合わせてヘテロ環ということがある。ヘテロ環は、炭素原子とヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、セレン原子またはリン原子)とを環構成原子とする環をいう。
本明細書において、化合物(錯体、色素を含む)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。さらに、置換または無置換を明記していない化合物については、所望の効果を奏する範囲で、任意の置換基を有していてもよい意味である。このことは、置換基、連結基および配位子についても同様である。この任意の置換基は、後述する置換基群Tから選ばれる基を好ましい範囲とする。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、光電変換効率に優れ、且つ、耐久性にも優れる。また、本発明の金属錯体色素は、本発明の光電変換素子ないし色素増感太陽電池の増感色素として好適に用いることができる。また、本発明の色素溶液は、本発明の金属錯体色素と溶媒とを含んでなり、本発明の金属錯体色素が担持された半導体微粒子の調製に好適に用いることができる。
本発明の第1態様の光電変換素子を、電池用途に応用したシステムにおいて、層中の円部分の拡大図も含めて、模式的に示した断面図である。 本発明の第2態様の光電変換素子からなる色素増感太陽電池を模式的に示した断面図である。
[光電変換素子および色素増感太陽電池]
本発明の光電変換素子は、導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極(対向電極)とを有する。感光体層と電荷移動体層と対極とがこの順で導電性支持体上に設けられている。
本発明の光電変換素子において、その感光体層を形成する半導体微粒子の少なくとも一部は、増感色素として後述する式(I)で表される金属錯体色素を担持している。ここで、金属錯体色素が半導体微粒子22の表面に担持される態様は、半導体微粒子22の表面に吸着する態様、半導体微粒子22の表面に堆積する態様、および、これらが混在した態様等を包含する。なお、吸着は、化学吸着と物理吸着とを含み、化学吸着が好ましい。
半導体微粒子は、後述する式(I)の金属錯体色素と併せて、他の金属錯体色素を担持していてもよい。
半導体微粒子は、上記金属錯体色素とともに後述する共吸着剤を担持していることが好ましい。
また、感光体層は電解質を含む。感光体層に含まれる電解質は、電荷移動体層が有する電解質と同種でも異種であってもよいが、同種であることが好ましい。ここで、「電解質が同種」とは、感光体層の電解質に含まれる成分と電荷移動体層の電解質に含まれる成分が同じであり、且つ、各成分の含有量も同じである態様、および、感光体層の電解質に含まれる成分と電荷移動体層の電解質に含まれる成分が同じであるが、各成分の含有量が異なる態様、の両態様を含む意味である。
本発明の光電変換素子は、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する上記各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。また、必要により上記各層以外の層を有してもよい。
本発明の色素増感太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いてなる。
以下、本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池の好ましい実施形態について説明する。
図1に示されるシステム100は、本発明の第1態様の光電変換素子10を、外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したものである。
光電変換素子10は、導電性支持体1と、色素(金属錯体色素)21が担持されることにより増感された半導体微粒子22、および、半導体微粒子22間に電解質を含む感光体層2と、正孔輸送層である電荷移動体層3と、対極4とからなる。
光電変換素子10において、受光電極5は、導電性支持体1および感光体層2を有し、作用電極として機能する。
光電変換素子10を応用したシステム100において、感光体層2に入射した光は、金属錯体色素21を励起する。励起された金属錯体色素21はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が金属錯体色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このとき金属錯体色素21は酸化体となっている。導電性支持体1に到達した電子が外部回路6で仕事をしながら、対極4、電荷移動体層3を経由して金属錯体色素21の酸化体に到達し、この酸化体を還元することで、システム100が太陽電池として機能する。
図2に示される色素増感太陽電池20は、本発明の第2態様の光電変換素子により構成されている。
色素増感太陽電池20となる光電変換素子は、図1に示す光電変換素子に対して、導電性支持体41および感光体層42の構成、および、スペーサーを有する点で異なるが、それらの点以外は図1に示す光電変換素子10と同様に構成されている。すなわち、導電性支持体41は、基板44と、基板44の表面に成膜された透明導電膜43とからなる2層構造を有している。また、感光体層42は、半導体層45と、半導体層45に隣接して成膜された光散乱層46とからなる2層構造を有している。導電性支持体41と対極48との間にはスペーサーが設けられている。色素増感太陽電池20において、40は受光電極であり、47は電荷移動体層である。
色素増感太陽電池20は、光電変換素子10を応用したシステム100と同様に、感光体層42に光が入射することにより、太陽電池として機能する。
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、上記の好ましい態様に限定されず、各態様の構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各態様間で適宜組み合わせることができる。
本発明において、光電変換素子または色素増感太陽電池に用いられる材料および各部材は常法により調製することができる。例えば、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
<式(I)で表される金属錯体色素>
本発明の金属錯体色素は、下記式(I)で表される。
M(LA)(LD)(LX)mX・(CI)mY 式(I)
上記式(I)の金属錯体色素の構成について以下に説明する。
− 金属イオンM −
式(I)において、Mは金属イオンを表す。Mは金属錯体色素の中心金属であり、長周期律表上6〜12族の各元素のイオンが挙げられる。このような金属イオンとしては、例えば、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnおよびZnの各イオンが挙げられる。本発明の光電変換素子ないし色素増感太陽電池において、金属イオンMが異なる2種以上の金属錯体色素を用いてもよい。
本発明においては、金属イオンMは、Os2+、Ru2+またはFe2+が好ましく、Os2+またはRu2+がより好ましく、なかでもRu2+が特に好ましい。
なお、光電変換素子中に組み込まれた状態においては、Mの価数は、周囲の材料との酸化還元反応により変化することがある。
− 配位子LA −
式(I)中、LAは下記式(AL)で表される3座の配位子を表す。
Figure 2016072395
式(AL)中、環A、環Bおよび環Cは含窒素芳香族ヘテロ環を表す。含窒素芳香族ヘテロ環は、環構成ヘテロ原子に窒素原子を有し、かつ芳香族環であればどのような環でも構わない。式(AL)において、環A、環Bおよび環Cは単環である(環A、環Bおよび環C自体が単環であることを意味し、環A、環Bまたは環Cが有する置換基が環を形成し、形成された環が環A、環Bまたは環Cに縮合して縮環を形成した形態は式(AL)に含まれる)。
環A、環Bおよび環Cとして採りうる含窒素芳香族ヘテロ環に含まれる窒素原子の数は1〜3個が好ましく、1または2個が好ましく、1個が好ましい。環A、環Bおよび環Cとして採りうる含窒素芳香族ヘテロ環は5員環または6員環が好ましい。また、この含窒素芳香族ヘテロ環の環構成ヘテロ原子として、窒素原子に加えて他のヘテロ原子を含んでもよい。他のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子が挙げられる。
およびZは炭素原子または窒素原子を表す。上記式(AL)に示された、Zと、Zに隣接するN原子との結合、および、Zと、Zに隣接するN原子との結合は、いずれも単結合または二重結合である。ZおよびZは長波長化の観点から、少なくとも一方が、炭素原子が好ましく、両方が炭素原子であることがより好ましい。
環A、環Bおよび環Cとして採りうる上記含窒素芳香族ヘテロ環が6員環の場合、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、およびトリアジン環から選ばれる環が好ましい。
また、環A、環Bおよび環Cとして採りうる上記含窒素芳香族ヘテロ環が5員環の場合、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、およびチアゾール環から選ばれる環が好ましい。
環Bとして採りうる上記含窒素芳香族ヘテロ環は6員環が好ましく、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環およびトリアゾール環から選ばれる環がより好ましく、ピリジン環またはピリミジン環であることがさらに好ましく、ピリジン環であることが特に好ましい。
環Aおよび環Cとして採りうる上記含窒素芳香族ヘテロ環は、5員環または6員環が好ましく、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびトリアジン環から選択される環がより好ましく、なかでもイミダゾール環、ピリジン環またはピリミジン環であることがさらに好ましく、ピリジン環であることが特に好ましい。
上記式(AL)において、環A、環Bおよび環Cのうち少なくとも1つの環がピリジン環であることが好ましく、2つ以上の環がピリジン環であることがより好ましく、3つの環すべてがピリジン環であることがさらに好ましい。
上記式(AL)中、Anc1、Anc2およびAnc3は、半導体微粒子表面に対して吸着性の、下記で説明する基(吸着性基)である。
Anc1およびAnc3が採りうる吸着性基はカルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基またはホウ酸基である。Anc1およびAnc3は好ましくは電子注入の観点からカルボキシ基あるいはこれを有する基である。
式(AL)で表される配位子中のカルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基およびホウ酸基から選ばれる基の数の合計は少なくとも1個であり、1〜4個であることが好ましく、2〜4個であることがより好ましく、2個であることがさらに好ましい。
また、Anc1およびAnc3はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。
Anc1およびAnc3が塩の場合、その塩となるときの対イオンとしては特に限定されないが、例えば、後述の式(I)における対イオンCIで示す正の対イオンの例が挙げられる。
Anc1の数を示すl1およびAnc3の数を示すl3は、いずれも1〜4の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましく、1がさらに好ましい。
Anc2として採りうる吸着性基は構成原子の数が3以下の吸着性基である。Anc2は好ましくは、水酸基、チオール基およびアミノ基(−NH)から選ばれる基である。水酸基、チオール基およびアミノ基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。Anc2が塩の形態を採る場合、対イオンとしては特に限定されないが、例えば、後述の対イオンCIで説明する正の対イオンの例が挙げられる。
Anc2は、酸性度および立体的な要因を考慮すると、水酸基であることが特に好ましい。
Anc2の数を示すl2は1〜3であり、1または2が好ましく、1がより好ましい。
Anc2はAnc1および/またはAnc2の酸性基の吸着能と相俟って、金属錯体色素を半導体微粒子表面に強固に吸着させる作用を発現しうる。
式(AL)におけるXおよびXは単結合または連結基を表す。
およびXとして採りうる連結基に特に制限はないが、共役系の連結基であることが好ましい。この場合において、XおよびXは−CH=CH−、−C≡C−、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜18、さらに好ましくは炭素数6〜15のアリーレン基、さらに好ましくはフェニレン)、ヘテロアリーレン基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜15、さらに好ましくは炭素数3〜12、さらに好ましくは5員環または6員環のヘテロアリーレン基)、もしくはこれらを組み合わせた基であることが好ましい。ここでいうアリーレン基およびヘテロアリーレン基は2価の基に限られず、芳香族環に複数のAnc1あるいはAnc3が連結した形態(すなわち(l1+1)価あるいは(l3+1)価の形態)も含む意味に用いる。
なお、XおよびXとして採りうる連結基中には、非共役系の連結基が含まれていてもよい。
式(AL)において、Xが環を形成し、形成された環Xが環Aに縮合して縮環を形成した構造であることも好ましい。この場合において、Xとして採りうる環構造は単環であっても縮合多環構造であってもよく、好ましくは単環である。Xが採りうる環構造としては、芳香族環(好ましくは5員環もしくは6員環の芳香族環、または、5員環の芳香族環1つと6員環の芳香族環1つが縮合して縮環を形成した構造)が好ましく、より好ましくは芳香族ヘテロ環(好ましくは5員環または6員環)である。
また、Xが環を形成し、形成された環Xが環Cに縮合して縮環を形成した構造であることも好ましい。この場合において、Xとして採りうる環構造は単環であっても縮合多環構造であってもよく、好ましくは単環である。Xが採りうる環構造としては、芳香族環(好ましくは5員環もしくは6員環の芳香族環、または、5員環の芳香族環1つと6員環の芳香族環1つが縮合して縮環を形成した構造)が好ましく、より好ましくは芳香族ヘテロ環(好ましくは5員環または6員環)である。
式(AL)において、XおよびXが共に環を形成し、形成した環Xおよび環Xが、それぞれ環Aおよび環Cに縮合して縮環を形成していることが好ましい。
およびXが環を形成する場合の環構造は、ベンゼン環、シクロペンタジエン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、およびインダゾール環から選ばれる環構造が好ましい。なかでもベンゼン環、チオフェン環およびチアゾール環から選ばれる環がより好ましく、チオフェン環が特に好ましい。
m1およびm3はいずれも0〜4の整数であり、0または1が好ましい。但し、m1とm3が同時に0となることはない。光電変換効率および吸着安定性の観点からm1とm3の少なくとも一方が1であることが好ましく、m1とm3の両方が1であることがより好ましい。
式(AL)中、R〜Rは、置換基を表す。この置換基としては後述の置換基Tから選ばれる基が挙げられる。R〜Rは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、およびスルホニル基から選ばれる基(すなわちハメットのσp値が正の電子求引性基)が好ましく、アルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)およびシアノ基から選ばれる基がより好ましい。
n1およびn3は0〜4の整数であり、0または1が好ましい。また、n2は0〜3の整数であり、0または1が好ましく、0がより好ましい。
環Aが複数のRを有する場合、環Bが複数のRを有する場合、および環Cが複数のRを有する場合において、複数のR同士、複数のR同士、および複数のR同士が互いに連結して環を形成してもよい。
上記LAは、好ましくは下記式(AL−1)で表される。
Figure 2016072395
式(AL−1)中、環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3は、それぞれ上記式(AL)における環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3と同義であり、好ましい形態も同じである。
l2aは1〜3の整数であり、好ましくは1または2、さらに好ましくは1である。
n2aは0〜2の整数であり、好ましくは0または1であり、さらに好ましくは0である。但し、l2aとn2aの合計は1〜3である。
上記LAは、さらに好ましくは下記式(AL−2)で表される。
Figure 2016072395
式(AL−2)中、環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3は、それぞれ上記式(AL−1)における環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3と同義であり、好ましい形態も同じである。
n2bは0〜2の整数であり、0または1が好ましく、0がより好ましい。
上記LAは、さらに好ましくは下記式(AL−3)で表される。
Figure 2016072395
式(AL−3)中、X、X、Anc1〜Anc3、l1、l3、R〜Rおよびn2bは、それぞれ上記式(AL−2)におけるX、X、Anc1〜Anc3、l1、l3、R〜Rおよびn2bと同義であり、好ましい形態も同じである。
n1cおよびn3cは0〜3の整数であり、0〜2の整数が好ましく、0または1がより好ましく、さらに好ましくは0である。
式(AL−3)において、Xが環を形成し、形成された環Xが、Xが結合するピリジン環と縮合して縮環した形態を採ることが好ましい。また、Xが環を形成し、形成された環Xが、Xが結合するピリジン環と縮合して縮環した形態を採ることが好ましい。
より好ましくは、上記環Xが、Xが結合するピリジン環と縮合して縮環を形成し、且つ上記環Xが、Xと結合するピリジン環と縮合して縮環を形成している。この場合において、l1およびl3が共に1であることが好ましい。さらにこの場合、n1c、n2bおよびn3cは0であることが好ましい。さらにこの場合、Anc2は水酸基が好ましい。
上記LAは、さらに好ましくは下記式(AL−4)で表される。
Figure 2016072395
式(AL−4)中、X、Anc1〜Anc3、l3、R、Rおよびn2bは、それぞれ上記式(AL−3)におけるX、Anc1〜Anc3、l3、R、Rおよびn2bと同義であり、好ましい形態も同じである。
〜Aは−CRAL1=、−CRAL2AL3−、−O−、−N=、−NRAL4−または−S−を表す。RAL1、RAL2、RAL3およびRAL4は水素原子、またはAnc1もしくはRとの連結部位を示す。A〜Aのうち少なくとも1つは−CRAL1=である。
とAの結合およびAとAの結合は単結合または二重結合である。
なかでも、Aが−CRAL1=であり、且つRAL1がAnc1との連結部位であることが好ましい(すなわち、Aが−C(−Anc1)=であることが好ましい)。この場合において、Aが−CH=または=N−であり、Aが−O−または−S−(好ましくは−S−)であることがより好ましい。
n1dは0または1であり、0が好ましい。
上記LAは、さらに好ましくは下記式(AL−5)で表される。
Figure 2016072395
式(AL−5)中、Anc1〜Anc3、R、R、n1d、n2b、A、AおよびAは、それぞれ上記式(AL−4)におけるAnc1〜Anc3、R、R、n1d、n2b、A、AおよびAと同義であり、好ましい形態も同じである。
1a〜A3aは−CRAL5=、−CRAL6AL7−、−O−、−N=、−NRAL8−または−S−を表す。RAL5、RAL6、RAL7およびRAL8は水素原子、またはAnc3との連結部位を示す。A1a〜A3aのうち少なくとも1つは−CRAL5=である
1aとA2aの結合およびA2aとA3aの結合は単結合または二重結合である。
なかでも、A2aが−CRAL5=であり、且つRAL5がAnc3との連結部位であることが好ましい(すなわち、A2aが−C(−Anc3)=であることが好ましい)。この場合において、A1aが−CH=または=N−であり、A3aが−O−または−S−(好ましくは−S−)であることがより好ましい。
配位子LAが式(AL−5)で表される構造であることにより、Anc1〜Anc3が直線に近い形で半導体微粒子表面に吸着することができ、これにより吸着性がより高まり、耐久性のさらなる向上に繋がる。
以下に、本発明の式(AL)で表される配位子(化合物)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。(下記具体例中に示される「−」は結合手を示す。)
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
配位子LAは、特開2012−508227号公報、特開2011−502965号公報、特開2011−502187号公報、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,1−6に記載の方法、該文献で挙げられている参照文献に記載されている方法、もしくはこれらの方法に準じた方法で合成することができる。
− 配位子LD −
LDは、2座の配位子、または上記配位子LAとは異なる3座の配位子である。
この配位子LDは、半導体微粒子の表面に吸着する酸性基を有しないことが好ましい。
配位子LDは、金属イオンMと結合する配位原子の少なくとも1つが窒素原子である。この窒素原子は孤立電子対で金属イオンMに配位することが好ましい。このような窒素原子は、環構成原子であって水素原子を持たない窒素原子が挙げられる。例えば、ピリジン環の窒素原子が挙げられる。
配位子LDにおいて、配位原子の少なくとも1つがアニオンである。「アニオンである」とは、分子内のいずれかの水素原子または配位原子に結合する水素原子が解離して金属イオンMと結合しうることを意味する。
ここで、アニオンとなる配位原子は、金属イオンMに配位する窒素原子でもよく、他の原子、例えば炭素原子でもよい。
金属錯体色素が、配位子LDを上記配位子LAとともに有していると、光電変換素子または色素増感太陽電池の熱安定性が改善し、高い光電変換効率に加え、特に高い耐久性を発揮する。
配位子LDは、下記式(DL)で表される配位子が好ましい。
Figure 2016072395
式中、環DDL、環EDLおよび環Fは5員環もしくは6員環の芳香族環を表す。R、Ra1およびRa4は酸性基を有しない置換基を表す。mbは0または1を表す。
ma1およびma4は0〜3の整数を表す。maはmbが0のとき、0〜4の整数を表し、mbが1のとき、0〜3の整数を表す。
ここで、ma、ma1およびma4の各々が2以上の整数であるとき、複数のR、複数のRa1および複数のRa4は同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。また、RとRa1、RとRa4が連結して環を形成してもよい。
環DDL、環EDLおよび環Fにおける5員環もしくは6員環の芳香族環は、芳香族炭化水素環および芳香族ヘテロ環が挙げられ、芳香族ヘテロ環が好ましい。芳香族環および脂肪族炭化水素環の少なくとも1つが縮環していてもよい。
環DDL、環EDLおよび環Fが芳香族炭化水素環である場合、ベンゼン環が好ましい。
芳香族ヘテロ環は、環構成原子として上記ヘテロ原子を含む芳香環でればよく、例えば、非縮環の6員環、5員環が縮環した6員環、ベンゼン環が縮環した5員環またはベンゼン環が縮環した6員環が好ましく、非縮環の6員環、5員環が縮環した6員環がより好ましく、非縮環の6員環がさらに好ましい。
このような芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環またはキナゾリン環等の各6員環が挙げられる。また、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環、トリアゾール環、チオフェン環、フラン環等の各5員環が挙げられる。
環DDLおよび環EDLは、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、またはベンゼン環が好ましく、ピラゾール環、トリアゾール環、またはベンゼン環がより好ましい。
環Fは、窒素原子を含む芳香族ヘテロ環が好ましく、ピリジン環およびピリミジン環、トリアジン環がより好ましく、ピリジン環およびピリミジン環がさらに好ましく、ピリジン環が特に好ましい。
ここで、環DDL、環EDLおよび環Fは、金属イオンMと結合する配位原子を含み、少なくとも1つはアニオンである。この配位原子としては、特に限定されないが、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子またはこれら原子のアニオンが好ましい。
金属イオンMと結合するアニオンとしては、特に限定されないが、=C−イオンのような炭素アニオン、>Nイオンのような窒素アニオンが好ましく挙げられる。
、Ra1およびRa4の置換基は、後述する置換基群Tより選ばれる基が挙げられる。
は、なかでも、芳香族ヘテロ環基、芳香族炭化水素環基、エテニル基、エチニル基、ハロゲン原子、アルキル基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基等を含む)、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはシリル基が好ましく、芳香族ヘテロ環基、芳香族炭化水素環基、エテニル基、エチニル基、アルキル基、アルコキシ基もしくはアミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基等を含む)がより好ましい。また、上記各基を組み合わせてなる基も好ましい。
a1およびRa4としては、それぞれ、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基(好ましくはエテニル基)、アルキニル基(好ましくはエチニル基)、アリール基、ヘテロ環基(好ましくは芳香族ヘテロ環基)、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン化アルキル基(例えば、フルオロアルキル基)、またはハロゲン化アリール基が好ましく、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基がより好ましく、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン原子、またはシアノ基がさらに好ましい。また、上記各基を組み合わせてなる基も好ましい。
、Ra1およびRa4は、それぞれ、置換基として、下記式(V−1)または式(V−2)で表される基RVUを有することが好ましく、特に、Rが下記基RVUを有することが特に好ましい。
Figure 2016072395
式(V−1)中、Tは、酸素原子、硫黄原子、NRCA、CRCA またはSiRCA を表し、RCAはそれぞれ水素原子または置換基を表す。RAA、RABおよびRACは各々独立に水素原子または置換基を表し、RAA〜RACの少なくとも1つは置換基を表す。RAAおよびRACの少なくとも一方が置換基であることが好ましく、RAAが置換基であることがより好ましい。
式(V−2)中、RBA〜RBEは水素原子または置換基を表し、RBA、RBB、RBDおよびRBEの少なくとも一つは置換基を表す。
配位子LDが有する基RVUの数は、1個以上であればよく、好ましくは1〜3個であり、より好ましくは1または2個である。
式(V−1)において、Tは、硫黄原子が好ましい。また、上記RCAは、水素原子が好ましい。RCAが置換基の場合、採りうる置換基としては後述する置換基群Tから選ばれる基が挙げられる。
AAが採りうる置換基としては、特に限定されず、後述する置換基群Tから選ばれる基が挙げられる。好ましくは、アルキル基、アルケニル基(好ましくはエテニル基)、アルキニル基(好ましくはエチニル基)、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、シリル基またはシリルオキシ基である。
AAは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基またはアリールアミノ基であることがより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基またはアリールアミノ基であることがさらに好ましく、アルキル基、アルコキシ基またはアルキルアミノ基であることが特に好ましく、アルキル基またはアルコキシ基であることが最も好ましい。
上記RAAの好ましい置換基は、いずれも、光電変換効率の点で、チオフェン環(Tが硫黄原子である場合)に結合するのが好ましい。
AAが採りうる上記置換基はさらに後述する置換基群Tから選ばれる基で置換されていてもよい。
AAとして採りうるアルキル基は、直鎖アルキル基および分岐アルキル基を含む。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、4〜30がより好ましく、5〜26がさらに好ましく、6〜20が特に好ましい。RAAとして採りうるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、3,7−ジメチルオクチル、イソデシル、s−デシル、n−ドデシル、2−ブチルオクチル、n−ヘキサデシル、イソへキサデシル、n−エイコシル、n−ヘキサコシル、イソオクタコシル、トリフルオロメチルまたはペンタフルオロエチルが挙げられる。
AAとして採りうるシクロアルキル基の炭素数は、3〜30が好ましく、5〜30がより好ましく、6〜26がさらに好ましく、6〜20が特に好ましい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルが挙げられる。これらのシクロアルキル基はヘテロ環で縮環されていてもよい。
AAとして採りうるアルコキシ基は、直鎖アルコキシ基および分岐アルコキシ基を含む。アルコキシ基のアルキル部分は上記アルキル基と同義であり、好ましいものも同じである。RAAとして採りうるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i―プロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシルオキシ、n−オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、n−デシルオキシ、イソデシルオキシ、s−デシルオキシ、2−ブチルオクチルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ、イソへキサデシルオキシ、n−エイコシルオキシ、n−ヘキサコシルオキシまたはイソオクタコシルオキシが挙げられる。
AAとして採りうるシクロアルコキシ基のシクロアルキル部分は上記シクロアルキル基と同義であり、好ましいものも同じである。シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシまたはシクロオクチルオキシが挙げられる。
AAとして採りうるアリールオキシ基は、アリール基が芳香族炭化水素環基である炭化水素環系アリールオキシ基と、アリール基が芳香族ヘテロ環基であるヘテロアリールオキシ基とを含む。RAAとして採りうるアリールオキシ基の炭素数は3〜30が好ましく、3〜25がより好ましく、3〜20がさらに好ましく、3〜16が特に好ましい。RAAとして採りうるアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、ナフトキシ、イミダゾイルオキシ、ベンゾイミダゾイルオキシ、ピリジン−4−イルオキシ、ピリミジニルオキシ、キナゾリニルオキシ、プリニルオキシまたはチオフェン−3−イルオキシ等が挙げられる。ヘテロアリールオキシ基のヘテロ環としてはチオフェン環が好ましい。
AAとして採りうるアルキルチオ基は、直鎖アルキルチオ基および分岐アルキルチオ基を含む。アルキルチオ基のアルキル部分は上記アルキル基と同義であり、好ましいものも同じである。RAAとして採りうるアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i-プロピルチオ、n−ブチルチオ、t−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、n−オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ、3,7−ジメチルオクチルチオ、n−デシルチオ、イソデシルチオ、s−デシルチオ、n−ドデシルチオ、2−ブチルオクチルチオ、n−ヘキサデシルチオ、イソへキサデシルチオ、n−エイコシルチオ、n−ヘキサコシルチオまたはイソオクタコシルチオが挙げられる。
AAとして採りうるシクロアルキルチオ基のシクロアルキル部分は上記シクロアルキル基と同義であり、好ましいものも同じである。RAAとして採りうるシクロアルキルチオ基としては、例えば、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、シクロヘプチルチオまたはシクロオクチルチオが挙げられる。
AAとして採りうるアリールチオ基は、アリール基が芳香族炭化水素環基である炭化水素環系アリールチオ基と、アリール基が芳香族ヘテロ環基であるヘテロアリールチオ基とを含む。RAAとして採りうるアリールチオ基の炭素数は3〜30が好ましく、3〜25がより好ましく、3〜20がさらに好ましく、3〜16が特に好ましい。アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ、イミダゾイルチオ、ベンズイミダゾイルチオ、ピリジン−4−イルチオ、ピリミジニルチオ、キナゾリニルチオ、プリニルチオまたはチオフェン−3−イルチオ等が挙げられる。ヘテロアリールチオ基のヘテロ環としてはチオフェン環が好ましい。
AAとして採りうるアルキルアミノ基は、N−アルキルアミノ基およびN,N−ジアルキルアミノ基を含み、アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、2〜30がより好ましい。アルキルアミノ基としては、例えば、エチルアミノ、ジエチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ビス(2−エチルヘキシル)アミノ、n−オクタデシルアミノまたはn−オクタデシルアミノが挙げられる。
AAとして採りうるシクロアルキルアミノ基は、N−シクロアルキルアミノ基およびN,N−ジシクロアルキルアミノ基を含む。RAAとして採りうるシクロアルキルアミノ基のシクロアルキル部分は上記シクロアルキル基と同義であり、好ましいものも同じである。シクロアルキルアミノ基としては、例えば、シクロプロピルアミノ、ジシクロプロピルアミノ、N−シクロプロピル−N−エチルアミノ、シクロペンチルアミノ、ジシクロペンチルアミノ、N−シクロペンチル−N−メチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、シクロヘプチルアミノまたはシクロオクチルアミノが挙げられる。
AAとして採りうるアリールアミノ基は、アリール基が芳香族炭化水素環基である炭化水素環系アリールアミノ基と、アリール基が芳香族ヘテロ環基であるヘテロアリールアミノ基とを含む。また、炭化水素環系アリールアミノ基は、N−アリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基およびN,N−ジアリールアミノ基を含む。ヘテロアリールアミノ基は、N−ヘテロアリールアミノ基、N−アルキル−N−ヘテロアリールアミノ基、N−アリール−N−ヘテロアリールアミノ基およびN,N−ジヘテロアリールアミノ基を含む。
AAとして採りうるアリールアミノ基の炭素数は、3〜30が好ましく、3〜25がより好ましく、3〜20がさらに好ましく、3〜16が特に好ましい。アリールアミノ基としては、例えば、フェニルアミノ、N−フェニル−N−エチルアミノ、ナフチルアミノ、イミダゾイルアミノ、ベンズイミダゾイルアミノ、ピリジン−4−イルアミノ、ピリミジニルアミノ、キナゾリニルアミノ、プリニルアミノまたはチオフェン−3−イルアミノ等が挙げられる。
AAとして採りうるヘテロ環アミノ基は、ヘテロアリールアミノ基以外のヘテロ環アミノ基(脂肪族ヘテロ環アミノ基)である。炭素数は、0〜30が好ましく、1〜25がより好ましく、2〜20がさらに好ましく、2〜16が特に好ましい。また、ヘテロ環としては、環構成ヘテロ原子が酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれるものが好ましく、環員数は5〜7員環が好ましく、5員または6員環がより好ましい。RAAとして採りうるヘテロ環アミノ基としては、例えば、ピロリジン−3−イルアミノ、イミダゾリジニルアミノ、ベンズイミダゾリジニルアミノ、ピペリジン−4−イルアミノまたはテトラヒドロチオフェン−3−イルアミノ等が挙げられる。
AAとして採りうるシリル基は、アルキルシリル基、シクロアルキルシリル基、アリールシリル基、アルキルオキシシリル基、シクロアルキルオキシシリル基およびアリールオキシシリル基を含む。好ましいシリル基は、アルキルシリル基、シクロアルキルシリル基またはアリールシリル基である。RAAとして採りうるシリル基の炭素数は、3〜30が好ましく、3〜24がより好ましく、3〜20がさらに好ましく、3〜18が特に好ましい。シリル基としては、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、シクロヘキシルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、メチルジメトキシシリル、フェニルジメトキシシリルまたはフェノキシジメチルシリルが挙げられる。
AAとして採りうるシリルオキシ基は、アルキルシリルオキシ基、シクロアルキルシリルオキシ基およびアリールシリルオキシ基を含む。RAAとして採りうるシリルオキシ基の炭素数は、3〜30が好ましく、3〜24がより好ましく、3〜20がさらに好ましく、3〜18が特に好ましい。RAAとして採りうるシリルオキシ基としては、例えば、トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、トリイソプロピルシリルオキシ、シクロヘキシルジメチルシリルオキシまたはt−ブチルジフェニルシリルオキシが挙げられる。
ABは、水素原子または置換基を表し、水素原子であることが好ましい。
ACは、水素原子または置換基を表す。
ABおよびRACが採りうる置換基は、上記RAAと同義であり、好ましいものも同じである。RABまたはRACが置換基である場合、この置換基はRAAと同一でも異なってもよい。
式(V−2)で表される基RVUにおいて、RBA〜RBEは水素原子または置換基を表す。RBA〜RBEそれぞれが採りうる置換基としては、上記RAAと同義であり、好ましいものも同じである。
ただし、RBA、RBB、RBDおよびRBEの少なくとも一つは置換基である。RBAおよびRBEの少なくとも一方または両方が置換基であり、RBB、RBCおよびRBDはいずれも水素原子であるか、RBBおよびRBDの少なくとも一方または両方が置換基であり、RBA、RBCおよびRBEはいずれも水素原子であることが特に好ましい。
BA〜RBEのうちの2つ以上が置換基である場合、2つ以上の置換基は互いに同一でも異なってもよい。
式(DL)において、ma、ma1およびma4は0〜2の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
上記式(DL)で表される配位子は、下記式(DL−1)または(DL−2)で表されることが好ましい。
Figure 2016072395
a2およびRa3は酸性基Ancを有さない置換基を表す。ma2は0〜3の整数を表し、ma3は0〜4の整数を表す。ma2およびma3は0〜2の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
X1およびX2はCRa5または窒素原子を表す。Ra5は、式(DL)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同じである。X1およびX2を含む環(環Fともいう)としては、上記式(DL)における環Fと同義であり、好ましい範囲も同じである。
a1、Ra4、ma1およびma4は、それぞれ上記式(DL)におけるRa1、Ra4、ma1およびma4と同義であり、好ましい範囲も同じである。
a2およびRa3で表される置換基は、上記式(DL)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
ma1〜ma4の各々が2以上の整数であるとき、複数のRa1同士、複数のRa2同士、複数のRa3同士、複数のRa4同士は、それぞれ、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
環Dおよび環Eは5員環または6員環の芳香族環を表す。このような芳香族環としては、上記式(DL)における環DDLおよび環EDLで挙げた環が挙げられ、好ましい芳香族環も環DDLおよび環EDLに挙げた環と同じである。
なお、環Dおよび環E中のDおよびDと、F環に結合する炭素原子との間の結合は、単結合でも二重結合でもよい。
およびDは炭素原子のアニオンまたは窒素原子のアニオンを表す。
環Dおよび環Eは、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環またはベンゼン環が好ましく、ピラゾール環、トリアゾール環またはベンゼン環が好ましい。
配位子LDが2座の配位子の場合、下記式(2L−1)〜(2L−4)のいずれかの式で表される2座の配位子が好ましい。
Figure 2016072395
式中、*は金属イオンMとの結合位置を表す。環D2Lは芳香族環を表す。A111〜A141は窒素原子のアニオンまたは炭素原子のアニオンを表す。R111〜R143は水素原子、または、酸性基を有しない置換基を表す。
ここで、A111〜A141は、環D2Lを構成する窒素原子または炭素原子に結合した水素原子が解離した炭素原子のアニオンまたは窒素原子のアニオンである。式(2L−1)〜(2L−4)において、環D2Lは、芳香族炭化水素環、酸素を含む芳香族へテロ環、硫黄を含む芳香族へテロ環、窒素を含む芳香族ヘテロ環が挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられ、ベンゼン環が好ましく、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、もしくはハロゲン化アリール基で置換されたベンゼン環がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、ハロゲン原子が置換したアルキル基であり、フッ化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基)が好ましい。ハロゲン化アリール基としては、1〜5個のハロゲン原子が置換したフェニル基が好ましい。
酸素を含む芳香族へテロ環としてはフラン環が好ましく、硫黄を含む芳香族へテロ環としてはチオフェン環が好ましい。窒素を含む芳香族ヘテロ環としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環が好ましい。
式(2L−1)〜(2L−4)においてA111〜A141がアニオン化する前の環D2Lは、例えば、ベンゼン環もしくはチオフェン環、フラン環、または、下記式(a−1)〜(a−5)、(a−1a)、(a−2a)、(a−1b)および(a−4a)で表される基のアニオン部分が水素原子で置換された環等が好ましく挙げられる。
Figure 2016072395
式中、Rdは酸性基を有さない置換基を表す。b1は0〜2の整数、b2は0〜3の整数、b3は0または1をそれぞれ表す。b1が2のとき、またはb2が2以上のとき、複数のRdは同一でも異なってもよい。また複数のRd同士が互いに結合して環を形成してもよい。Rdとしては、例えば、後述する置換基群Tより選ばれる基が挙げられる。
Figure 2016072395
式中、Rd、b1〜b3は、上記式(a−1)〜(a−5)中のRd、b1〜b3と同義であり、好ましい範囲も同じである。b4は0〜4、b5は0〜5の各整数を表す。なお、式(a−1a)、(a−1b)において、Rdはベンゼン環だけでなく、ピロール環にも有してもよいことを示すものである。
Rdとして好ましくは、直鎖または分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基およびこれらを組み合わせてなる基であり、より好ましくは直鎖または分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基およびこれらを組み合わせてなる基であり、さらに好ましくは直鎖または分岐のハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基である。
111〜R143で表される置換基としては、上記式(DL)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
111〜R114の少なくとも一つ、R121〜R123の少なくとも一つ、R131〜R133の少なくとも一つ、R141〜R143の少なくとも一つは置換基であることが好ましく、一つまたは二つが置換基あることがより好ましい。
配位子LDが3座の配位子の場合、下記式(3L−1)〜(3L−4)のいずれかの式で表される3座の配位子が好ましい。
Figure 2016072395
式中、*は金属イオンMとの結合位置を表す。環D2Lは芳香族環を表す。A211〜A242は各々独立に窒素原子または炭素原子を表す。ただし、A211とA212、A221とA222、A231とA232、A241とA242のそれぞれ少なくとも1つはアニオンである。R211〜R241は各々独立に水素原子、または、酸性基Ancを有しない置換基を表す。
211〜A242のうちアニオンであるものは、上記式(2L−1)〜(2L−4)のA111〜A141と同義である。A211〜A242のうちアニオンを有しないものは、水素原子を有しない炭素zz原子または窒素原子である。
式(3L−1)〜(3L−4)における環D2Lは、上記式(2L―1)〜(2L−4)の環D2Lと同義であり、好ましい範囲も同じである。環D2Lは、A211〜A242のいずれか1つと炭素原子または2つの炭素原子を含む芳香族環がより好ましい。このとき、各式において2つの環D2Lは同一でも異なってもよい。
置換基R211〜R241は、それぞれ、上記式(DL)におけるRと同義であり、好ましいものも同じである。
なお、本発明では、配位子LDにおける2座もしくは3座の配位子のうち、金属イオンMに配位する原子が窒素アニオンまたは炭素アニオンであって、置換基にアリールアミノ基もしくはジアリールアミノ基を有するものが、特に吸収が長波長化するために好ましい。
具体的には、上記の好ましい配位子は、金属イオンMに配位する原子が窒素アニオンまたは炭素アニオンであって、かつ下記式(SA)を部分構造に有する配位子である。
Figure 2016072395
式中、RDA1はアリール基を表し、RDA2はアルキル基またはアリール基を表す。RDA1とRDA2は互いに結合して環を形成してもよい。LLは、エテニル基、エチニル基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。aは0〜5の整数を表し、aが2以上のとき、複数存在するLLは同一であっても異なっていてもよい。
上記式(SA)で表される基は、金属イオンMに配位する芳香族炭化水素環または窒素を含む芳香族ヘテロ環に置換していることが好ましく、窒素を含む芳香族ヘテロ環に置換していることがより好ましい。
上記式(SA)で表される基のうち、RDA1およびRDA2の少なくとも一方がアリール基またはヘテロアリール基であることが好ましく、ともにアリール基であることがさらに好ましい。アリール基、ヘテロアリール基は置換基を有してもよく、このような置換基としては、後述する置換基群Zより選ばれる基が挙げられる。
アリール基としては特に限定されないが、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。ヘテロアリール基としては、特に限定されないが、フラニル基、チエニル基が好ましい。
LLは、配位子の配位原子を含む芳香族炭化水素環または含窒素芳香族ヘテロ環と一緒になって縮環構造を形成してもよい。例えば、LLがエテニル基で、このエテニル基が配位子の配位原子を含む含窒素芳香族ヘテロ環と結合してキノリン環を形成してもよい。
LLにおけるアリーレン基としてはフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、ヘテロアリーレン基としては、2価の5または6員環で、環構成原子として、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含むものが好ましく、ベンゼン環やヘテロ環で縮環していてもよい。
ヘテロアリーレン基のヘテロ環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環が挙げられ、フラン環、チオフェン環が好ましい。
LLにおけるエテニル基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基は置換基を有してもよく、置換基としては後述する置換基群Tより選ばれる基が挙げられる。
上記式(SA)において、aが0であるか、aが1でLLがエテニル基、エチニル基、フェニレン基またはヘテロアリーレン基であることが好ましく、aが0であるか、aが1でフェニレン基またはヘテロアリーレン基であることがより好ましく、aが0であるか、aが1でフェニレン基、2価のフラン環基、2価のチオフェン環基であることがさらに好ましく、aが0であることが特に好ましい。
本発明では、RDA1とRDA2が互いに結合して環を形成したものも好ましい。
形成する環としては、5または6員環が好ましく、RDA1とRDA2がともにアリール基である場合に結合したものが、より好ましい。
DA1とRDA2が互いに結合して形成された環としては、以下の環が好ましい。
Figure 2016072395
ここで、RDA3およびRDA4は各々独立にアルキル基を表す。
なお、上記環は、置換基を有してもよく、このような置換基としては後述する置換基群Tより選ばれる基が挙げられる。
上記式(DL)で表される配位子は、米国特許出願公開第2010/0258175A1号明細書、特許第4298799号公報、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,2054−2058に記載の方法、この文献で挙げられている参照文献に記載されている方法、もしくはこれらの方法に準じた方法で合成することができる。
以下に、上記式(DL)で表される配位子の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、具体例中のMeはメチルを表す。*は環同士または環と置換基R201が互いに結合する結合位置を表す。
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
− 配位子LX −
上記式(I)中、LXは単座の配位子である。LXとしては例えば、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、およびアリールチオ基から選ばれる基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトンおよびチオ尿素から選ばれる配位子が挙げられる。なかでもLXはイソチオシアネート基またはシアノ基が好ましく、イソチオシアネート基がより好ましい。
LDが2座の配位子の場合、LXの数を示すmXは1であり、LDが3座の配位子の場合、mXは0である。
−電荷中和対イオンCI−
CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、金属錯体色素が陽イオンもしくは陰イオンであるか、または、正味のイオン電荷を有するかどうかは、金属錯体色素中の金属、配位子および置換基に依存する。
置換基が解離性基を有すること等により、金属錯体色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、金属錯体色素全体の電荷はCIにより電気的に中性とされる。
対イオンCIが正の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えばテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオン、金属錯体イオンまたはプロトンである。正の対イオンとしては、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(トリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムイオン等)、プロトンが好ましい。
対イオンCIが負の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、水酸化物イオン、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン(酢酸イオン、トリフルオロ酢酸等)、置換もしくは無置換のアリールカルボン酸イオン(安息香酸イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等)、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオンが挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。負の対イオンとしては、ハロゲン陰イオン、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンが好ましく、ハロゲン陰イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンがより好ましい。
式(I)において、CIの数を示すmYは0〜3の整数であり、0が好ましい。
式(I)で表される金属錯体色素は、例えば、特開2013−084594号公報に記載の方法、特許第4298799号公報に記載の方法、米国特許出願公開第2013/0018189A1、米国特許出願公開第2012/0073660A1、米国特許出願公開第2012/0111410A1および米国特許出願公開第2010/0258175A1号の各明細書に記載の方法、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,2054−2058に記載の方法、この文献で挙げられている参照文献に記載の方法、太陽電池に関する上記特許文献、公知の方法、または、これらに準じた方法で合成することができる。
式(I)で表される金属錯体色素は、長波長領域の量子収率に優れる。金属錯体色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜1000nmの範囲であり、より好ましくは350〜950nmの範囲であり、特に好ましくは370〜900nmの範囲である。
以下に、式(I)で表される金属錯体色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。これらの金属錯体色素は光学異性体、幾何異性体が存在する場合、これらの異性体のいずれであってもよく、またこれらの異性体の混合物であってもよい。下記具体例中、−C2m+1(mは自然数)で表される各アルキル基は、直鎖でも分岐構造を有してもよいが、直鎖アルキル基が好ましい。
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
Figure 2016072395
<置換基群T
本発明において、好ましい置換基としては、下記置換基群Tから選ばれる基が挙げられる。
また、本明細書において、単に置換基としてしか記載されていない場合は、この置換基群Tを参照するものであり、また、各々の基、例えば、アルキル基、が記載されているのみの場合は、この置換基群Tの対応する基における好ましい範囲、具体例が適用される。
置換基群Tに含まれる基としては、下記の基が挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチルまたはトリフルオロメチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル、アリル、ブテニルまたはオレイル)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル、ブチニルまたはフェニルエチニル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたは4−メチルシクロヘキシル)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20で、例えばシクロペンテニルまたはシクロヘキセニル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル、ジフルオロフェニルまたはテトラフルオロフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20で、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5員環または6員環のヘテロ環基がより好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリルまたは2−オキサゾリル)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシまたはベンジルオキシ)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニルオキシまたはアリルオキシ)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、2−プロピニルオキシまたは4−ブチニルオキシ)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシまたは4−メチルシクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシまたは4−メトキシフェノキシ)、ヘテロ環オキシ基(例えば、イミダゾリルオキシ、ベンゾイミダゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、ベンゾチアゾリルオキシ、トリアジニルオキシまたはプリニルオキシ)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エトキシカルボニルまたは2−エチルヘキシルオキシカルボニル)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20で、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニルまたはシクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20で、例えば、フェニルオキシカルボニルまたはナフチルオキシカルボニル)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、N−アリルアミノ、N−(2−プロピニル)アミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N−シクロヘキセニルアミノ、アニリノ、ピリジルアミノ、イミダゾリルアミノ、ベンゾイミダゾリルアミノ、チアゾリルアミノ、ベンゾチアゾリルアミノまたはトリアジニルアミノ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルファモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイルまたはN−フェニルスルファモイル)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチル、シクロヘキシルカルボニルまたはベンゾイル)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシまたはベンゾイルオキシ)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイルまたはN−フェニルカルバモイル)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノまたはベンゾイルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基が好ましく、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−シクロヘキシルスルホンアミドまたはN−エチルベンゼンスルホンアミド)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ペンチルチオまたはベンジルチオ)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオまたは4−メチルシクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオまたは4−メトキシフェニルチオ)、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニルまたはベンゼンスルホニル)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリル基が好ましく、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、ジエチルベンジルシリルまたはジメチルフェニルシリル)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリエチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ、ジエチルベンジルシリルオキシまたはジメチルフェニルシリルオキシ)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)が挙げられる。
置換基群Tから選ばれる基は、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはシアノ基が挙げられる。
化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
次に、光電変換素子および色素増感太陽電池の主たる部材の好ましい態様について説明する。
<導電性支持体>
導電性支持体は、導電性を有し、感光体層2等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された導電性支持体1、または、ガラスもしくはプラスチックの基板44とこの基板44の表面に成膜された透明導電膜43とを有する導電性支持体41が好ましい。
なかでも、基板44の表面に導電性の金属酸化物を塗設して透明導電膜43を成膜した導電性支持体41がさらに好ましい。プラスチックで形成された基板44としては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。また、基板44を形成する材料は、ガラスおよびプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、基板44の表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体41を用いる場合、光は基板44側から入射させることが好ましい。
導電性支持体1および41は、実質的に透明であることが好ましい。「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
導電性支持体1および41の厚みは、特に限定されないが、0.05μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明導電膜43を設ける場合、透明導電膜43の厚みは、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることがさらに好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体1および41は、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、表面に、特開2003−123859号公報に記載の高屈折膜および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
<感光体層>
感光体層は、上記色素21が担持された半導体微粒子22および電解質を有していれば、その他の構成は特に限定されない。好ましくは、上記感光体層2および上記感光体層42が挙げられる。
− 半導体微粒子(半導体微粒子が形成する層) −
半導体微粒子22は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイト型結晶構造を有する化合物の微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブもしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物としては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、またはルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドは、単独で、または、チタニア微粒子に混合して、用いることができる。
半導体微粒子22の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として0.001〜1μm、分散物の平均粒径として0.01〜100μmであることが好ましい。半導体微粒子22を導電性支持体1または41上に塗設する方法として、湿式法、乾式法、その他の方法が挙げられる。
半導体微粒子22は多くの色素21を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子22を導電性支持体1または41上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。一般に、半導体微粒子22が形成する半導体層45(光電変換素子10においては感光体層2と同義)の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素21の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。
半導体層45(光電変換素子10においては感光体層2)の好ましい厚みは、光電変換素子の用途によって一義的なものではないが、典型的には0.1〜100μmである。色素増感太陽電池として用いる場合は、1〜50μmがより好ましく、3〜30μmがさらに好ましい。
半導体微粒子22は、導電性支持体1または41に塗布した後に、100〜800℃の温度で10分〜10時間焼成して、粒子同士を密着させることが好ましい。成膜温度は、導電性支持体1または基板44の材料としてガラスを用いる場合、60〜600℃が好ましい。
なお、半導体微粒子22の、導電性支持体1または41の表面積1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。
導電性支持体1または41と感光体層2または42との間には、感光体層2または42が含む電解質と導電性支持体1または41が直接接触することによる逆電流を防止するため、短絡防止層を形成することが好ましい。
また、受光電極5または40と対極4または48の接触を防ぐために、スペーサーS(図2参照)やセパレータを用いることが好ましい。
− 色素 −
光電変換素子10および色素増感太陽電池20においては、増感色素として少なくとも1種の上記式(I)で表される金属錯体色素を使用する。式(I)で表される金属錯体色素は上記の通りである。
本発明において、上記式(I)の金属錯体色素と併用できる色素としては、Ru錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、有機色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
Ru錯体色素としては、例えば、特表平7−500630号公報に記載のRu錯体色素(特に第5頁左下欄5行目〜第7頁右上欄7行目の例1〜例19で合成された色素)、特表2002−512729号公報に記載のRu錯体色素(特に第20頁の下から3行目〜第29頁23行目の例1〜例16で合成された色素)、特開2001−59062号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0087〜0104に記載の色素)、特開2001−6760号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0093〜0102に記載の色素)、特開2001−253894号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0009〜0010に記載の色素)、特開2003−212851号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0005に記載の色素)、国際公開第2007/91525号パンフレットに記載のRu錯体色素(特に、[0067]に記載の色素)、特開2001−291534号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0120〜0144に記載の色素)、特開2012−012570号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0095〜0103に記載の色素)、特開2013−084594号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0072〜0081等に記載の色素)、国際公開第2013/088898号パンフレットに記載のRu錯体色素(特に、[0286]〜[0293]に記載の色素)、または、国際公開第2013/47615号パンフレットに記載のRu錯体色素(特に、[0078]〜[0082]に記載の色素)が挙げられる。
スクアリリウムシアニン色素としては、例えば、特開平11−214730号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0036〜0047に記載の色素)、特開2012−144688号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0039〜0046および段落番号0054〜0060に記載の色素)、または、特開2012−84503号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0066〜0076等に記載の色素)が挙げられる。
有機色素としては、例えば、特開2004−063274号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0017〜0021に記載の色素)、特開2005−123033号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0021〜0028に記載の色素)、特開2007−287694号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0091〜0096に記載の色素)、特開2008−71648号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0030〜0034に記載の色素)、または、国際公開第2007/119525号パンフレットに記載の有機色素(特に、[0024]に記載の色素)が挙げられる。
ポルフィリン色素としては、例えば、Angew.Chem.Int.Ed.,49,1〜5(2010)等に記載のポルフィリン色素が挙げられ、フタロシアニン色素としては、例えば、Angew.Chem.Int.Ed.,46,8358(2007)等に記載のフタロシアニン色素が挙げられる。
併用できる色素としては、Ru錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、または有機色素が好ましい。
色素の使用量は、全体で、導電性支持体1または41の表面積1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。また、色素21の半導体微粒子22に対する吸着量は1gの半導体微粒子22に対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。このような色素量とすることによって、半導体微粒子22における増感効果が十分に得られる。
式(I)で表される金属錯体色素と他の色素を併用する場合、式(I)で表される金属錯体色素の質量/他の色素の質量の比は、95/5〜10/90が好ましく、95/5〜50/50がより好ましく、95/5〜60/40がさらに好ましく、95/5〜65/35が特に好ましく、95/5〜70/30が最も好ましい。
色素を半導体微粒子22に担持させた後に、アミン化合物を用いて半導体微粒子22の表面を処理してもよい。好ましいアミン化合物としてピリジン化合物(例えば4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン)等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
− 共吸着剤 −
本発明においては、式(I)で表される金属錯体色素または必要により併用する色素とともに共吸着剤を使用することが好ましい。このような共吸着剤としては酸性基(好ましくは、カルボキシ基またはその塩)を1つ以上有する共吸着剤が好ましく、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。
脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えば、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、さらに好ましくはケノデオキシコール酸である。
好ましい共吸着剤は、下記式(CA)で表される化合物である。
Figure 2016072395
式中、RA1は酸性基を有する置換基を表す。RA2は置換基を表す。nAは0以上の整数を表す。
本明細書において酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、pKaが11以下である。例えば、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基等の酸性を示す基である酸基、あるいはこれらのいずれかを有する基が挙げられ、好ましくはカルボキシ基あるいはこれを有する基である。また酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。
酸性基が塩の場合、その塩となるときの対イオンとしては特に限定されないが、例えば、後述の式(I)における対イオンCIで示す正の対イオンの例が挙げられる。
A1は、これらの中でも、カルボキシ基もしくはスルホ基またはこれらの塩が置換したアルキル基が好ましく、−CH(CH)CHCHCOH、−CH(CH)CHCHCONHCHCHSOHがさらに好ましい。
A2としては、上記の置換基群Tから選ばれる基が挙げられる。中でも、アルキル基、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、アルキルアミノカルボニルオキシ基またはアリールアミノカルボニルオキシ基が好ましく、アルキル基、ヒドロキシ基またはアシルオキシ基がより好ましい。
nAは2〜4が好ましい。
上記共吸着剤は、半導体微粒子22に吸着させることにより、金属錯体色素の非効率な会合を抑制する効果および半導体微粒子表面から電解質中のレドックス系への逆電子移動を防止する効果がある。共吸着剤の使用量は、特に限定されないが、上記の作用を効果的に発現させる観点から、上記金属錯体色素1モルに対して、好ましくは1〜200モル、さらに好ましくは10〜150モル、特に好ましくは20〜50モルである。
− 光散乱層 −
本発明において、光散乱層は、入射光を散乱させる機能を有する点で、半導体層と異なる。
色素増感太陽電池20において、光散乱層46は、好ましくは、棒状または板状の金属酸化物粒子を含有する。光散乱層46に用いられる金属酸化物粒子は、例えば、上記金属のカルコゲニド(酸化物)の粒子が挙げられる。光散乱層46を設ける場合、光散乱層の厚みは感光体層42の厚みの10〜50%とすることが好ましい。
光散乱層46は、特開2002−289274号公報に記載されている光散乱層が好ましく、特開2002−289274号公報の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
<電荷移動体層>
本発明の光電変換素子に用いられる電荷移動体層3および47は、色素21の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極5または40と対極4または48との間に設けられる。
電荷移動体層3および47は電解質を含む。ここで、「電荷移動体層が電解質を含む」とは、電荷移動体層が電解質のみからなる態様、および、電解質と電解質以外の物質を含有する態様の、両態様を含む意味である。
電荷移動体層3および47は、固体状、液体状、ゲル状またはこれら混合状態のいずれであってもよい。
− 電解質 −
電解質の例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体電解質、酸化還元対を含有する溶融塩および酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質等が挙げられる。なかでも、液体電解質が光電変換効率の点で好ましい。
酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(ヨウ化物塩、ヨウ化イオン性液体が好ましく、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムが好ましい)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体の組み合わせ(例えば赤血塩と黄血塩の組み合わせ)、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせ等が挙げられる。これらのうち、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせ、または2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが好ましく、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせが特に好ましい。
上記コバルト錯体は、特開2014−82189号公報の段落番号0144〜0156に記載の式(CC)で表される錯体が好ましく、特開2014−82189号公報の段落番号0144〜0156の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
電解質として、ヨウ素とヨウ化物との組み合せを用いる場合、5員環または6員環の含窒素芳香族カチオンのヨウ素塩をさらに併用するのが好ましい。
液体電解質およびゲル電解質に用いる有機溶媒としては、特に限定されないが、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)が好ましい。
特に、液体電解質に用いる有機溶媒としては、ニトリル化合物、エーテル化合物、エステル化合物等が好ましく、ニトリル化合物がより好ましく、アセトニトリル、メトキシプロピオニトリルが特に好ましい。
溶融塩としては、イミダゾリウムまたはトリアゾリウム型陽イオンを含むイオン性液体、オキサゾリウム型陽イオンを含むイオン性液体、ピリジニウム型陽イオンを含むイオン性液体、グアニジウム型陽イオンを含むイオン性液体およびこれらの組み合わせが好ましい。また、これら陽イオンに対して特定のアニオンを組み合わせてもよい。これらの溶融塩に対しては添加物を加えてもよい。溶融塩は液晶性の置換基を持っていてもよい。また、溶融塩として、四級アンモニウム塩の溶融塩を用いることもできる。
これら以外の溶融塩としては、例えば、ヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。この場合のポリマーの添加量は1〜50質量%である。また、γ−ブチロラクトンを電解液に含んでいてもよく、これによりヨウ化物イオンの拡散効率が高くなり光電変換効率が向上する。
ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマー(ポリマーマトリクス)としては、例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。
電解質と溶媒からなる電解液にゲル化剤を添加してゲル化させることにより、電解質を擬固体化してもよい(擬固体化された電解質を、以下、「擬固体電解質」ともいう。)。ゲル化剤としては、分子量1000以下の有機化合物、分子量500〜5000の範囲のSi含有化合物、特定の酸性化合物と塩基性化合物からできる有機塩、ソルビトール誘導体、ポリビニルピリジンが挙げられる。
また、ポリマーマトリクス、架橋型高分子化合物またはモノマー、架橋剤、電解質および溶媒を高分子中に閉じ込める方法を用いてもよい。
ポリマーマトリクスとして好ましくは、含窒素複素環を主鎖または側鎖の繰り返し単位中に持つ高分子およびこれらを求電子性化合物と反応させた架橋体、トリアジン構造を持つ高分子、ウレイド構造をもつ高分子、液晶性化合物を含むもの、エーテル結合を有する高分子、ポリフッ化ビニリデン、メタクリレート、アクリレート、熱硬化性樹脂、架橋ポリシロキサン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアルキレングリコールとデキストリン等の包接化合物、含酸素または含硫黄高分子を添加した系、天然高分子等が挙げられる。これらにアルカリ膨潤型高分子、一つの高分子内にカチオン部位とヨウ素との電荷移動錯体を形成できる化合物を持った高分子等を添加してもよい。
ポリマーマトリクスとして、2官能以上のイソシアネート基と、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基等の官能基とを反応させた架橋ポリマーを含む系を用いてもよい。また、ヒドロシリル基と二重結合性化合物による架橋高分子、ポリスルホン酸またはポリカルボン酸等を2価以上の金属イオン化合物と反応させる架橋方法等を用いてもよい。
上記擬固体電解質との組み合わせで好ましく用いることができる溶媒としては、特定のリン酸エステル、エチレンカーボネートを含む混合溶媒、特定の比誘電率を持つ溶媒等が挙げられる。固体電解質膜あるいは細孔に液体電解質溶液を保持させてもよい。液体電解質溶液を保持させる方法として好ましくは、導電性高分子膜、繊維状固体、フィルタ等の布状固体を使用する方法が挙げられる。
電解質は、添加物として、4−t−ブチルピリジン等のピリジン化合物のほか、アミノピリジン化合物、ベンズイミダゾール化合物、アミノトリアゾール化合物およびアミノチアゾール化合物、イミダゾール化合物、アミノトリアジン化合物、尿素化合物、アミド化合物、ピリミジン化合物または窒素を含まない複素環を含有していてもよい。
また、光電変換効率を向上させるために、電解液の水分を制御する方法をとってもよい。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法や脱水剤を共存させる方法を挙げることができる。電解液の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
ヨウ素は、ヨウ素とシクロデキストリンとの包摂化合物として使用することもできる。また環状アミジンを用いてもよく、酸化防止剤、加水分解防止剤、分解防止剤、ヨウ化亜鉛を加えてもよい。
以上の液体電解質および擬固体電解質の代わりに、p型半導体あるいはホール輸送材料等の固体電荷輸送層、例えば、CuI、CuNCS等を用いることができる。また、Nature,vol.486,p.487(2012)等に記載の電解質を用いてもよい。固体電荷輸送層として有機ホール輸送材料を用いてもよい。有機ホール輸送材料として好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリシラン等の導電性高分子および2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心元素を共有するスピロ化合物、トリアリールアミン等の芳香族アミン誘導体、トリフェニレン誘導体、含窒素複素環誘導体、液晶性シアノ誘導体が挙げられる。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度で含有するのが好ましい。好ましい濃度としては合計で0.01モル/L以上であり、より好ましくは0.1モル/L以上であり、特に好ましくは0.3モル/L以上である。この場合の上限は特に制限はないが、通常5モル/L程度である。
<対極>
対極4および48は、色素増感太陽電池の正極として働くものであることが好ましい。対極4および48は、通常、上記導電性支持体1または41と同じ構成とすることもできるが、強度が十分に保たれるような構成では基板44は必ずしも必要でない。対極4および48の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光体層2および42に光が到達するためには、上記導電性支持体1または41と対極4または48との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の色素増感太陽電池においては、導電性支持体1または41が透明であって太陽光を導電性支持体1または41側から入射させるのが好ましい。この場合、対極4および48は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。色素増感太陽電池の対極4および48としては、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。色素増感太陽電池では、構成物の蒸散を防止するために、電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
本発明は、例えば、特許第4260494号公報、特開2004−146425号公報、特開2000−340269号公報、特開2002−289274号公報、特開2004−152613号公報、特開平9−27352号公報に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。また、特開2004−152613号公報、特開2000−90989号公報、特開2003−217688号公報、特開2002−367686号公報、特開2003−323818号公報、特開2001−43907号公報、特開2000−340269号公報、特開2005−85500号公報、特開2004−273272号公報、特開2000−323190号公報、特開2000−228234号公報、特開2001−266963号公報、特開2001−185244号公報、特表2001−525108号公報、特開2001−203377号公報、特開2000−100483号公報、特開2001−210390号公報、特開2002−280587号公報、特開2001−273937号公報、特開2000−285977号公報、特開2001−320068号公報に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。
[光電変換素子および色素増感太陽電池の製造方法]
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、本発明の金属錯体色素を含有する色素溶液(本発明の色素溶液)を用いて、製造することができる。
このような色素溶液には、本発明の金属錯体色素が溶媒に溶解されてなり、必要により他の成分を含んでもよい。
使用する溶媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒を挙げることができるが、特にこれに限定されない。本発明においては有機溶媒が好ましく、さらにアルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、および、これらの2種以上の混合溶媒がより好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒または炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。さらに好ましくはアルコール溶媒とアミド溶媒、アルコール溶媒と炭化水素溶媒の混合溶媒、特に好ましくはアルコール溶媒とアミド溶媒の混合溶媒である。具体的にはメタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールの少なくとも1種と、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびアセトニトリルの少なくとも1種との混合溶媒が好ましい。
色素溶液は共吸着剤を含有することが好ましく、共吸着剤としては、上記の共吸着剤が好ましく、なかでも上記式(CA)で表される化合物が好ましい。
ここで、本発明の色素溶液は、光電変換素子や色素増感太陽電池を製造する際に、この溶液をこのまま使用できるように、金属錯体色素や共吸着剤の濃度が調整されている色素溶液が好ましい。本発明においては、本発明の金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。共吸着剤の使用量は上記した通りである。
色素溶液は、水分含有量を調整することが好ましく、本発明では水分含有量を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
本発明においては、上記色素溶液を用いて、半導体微粒子表面に式(I)で表される金属錯体色素またはこれを含む色素を担持させることにより、感光体層を作製することが好ましい。すなわち、感光体層は、導電性支持体上に設けた半導体微粒子に上記色素溶液を塗布(ディップ法を含む)し、乾燥または硬化させて、形成することが好ましい。
このようにして作製した感光体層を備えた受光電極に、さらに電荷移動体層や対極等を設けることで、本発明の光電変換素子または色素増感太陽電池を得ることができる。
色素増感太陽電池は、上記のようにして作製した光電変換素子の導電性支持体1および対極4に外部回路6を接続して、製造される。
以下に実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がこれに限定されない。
実施例1 [金属錯体色素の合成]
下記スキームの通り金属錯体色素D−1を合成した。
本実施例で合成した色素名は、上述の例示色素名に対応する。本実施例で用いた化合物中の、−C2m+1(mは自然数)で表される各アルキル基は直鎖アルキル基である。 下記スキーム中の略語の意味は下記の通りである。
THF :テトラヒドロフラン
Et :エチル
Ph :フェニル
Me :メチル
Bu :ブチル
DMF :N,N−ジメチルホルムアミド
Figure 2016072395
(i)化合物2の合成
水素化ナトリウム(60%)176mgをTHF(テトラヒドロフラン)20mLに懸濁し、氷浴中で内温10℃以下を保ちながら1gの化合物1を添加し、得られた懸濁液を氷浴中で1時間攪拌した。クロロギ酸メチル0.42gのTHF1mL溶液を内温10℃以下に保ちながら添加し、得られた懸濁液を氷浴中で1時間反応させた。得られた懸濁液に冷水20mLと酢酸エチル20mLを添加し、分液抽出後、有機層を濃縮し、得られた粗生成物をヘキサンで懸濁洗浄して、1.3gの化合物2を得た。
(ii)化合物4の合成
1gの化合物3(Journal of Heterocyclic Chemistry 2009年、45巻、91〜96ページに記載の方法と同様にして3−フルオロ−4−ピリジンカルバルデヒドから合成した)、ヘキサメチル二スズ1.37g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム202mgをトルエン20mLに溶解し、窒素雰囲気下で6時間加熱還流させた。反応液を減圧濃縮し、得られた粗生成物と435mgの化合物2、酢酸パラジウム39mg、トリス(2−フリル)ホスフィン243mg、ヨウ化銅67mg、フッ化セシウム1.06gをトルエン30mLに懸濁し、窒素雰囲気下で3時間加熱還流させた。反応液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、144mgの化合物4を得た。
MSデータ [MH]=506
H NMRデータ (CDCl)δ1.30(3H)、1.45(3H)、4.30(2H)、4.45(2H)、7.55(1H)、7.80(1H)、7.93(1H)、8.04(2H)、8.16(1H)、8.60(1H)、8.78(1H)、9.40−9.80(1H)
(iii)化合物7の合成
1gの化合物5、2.08gの化合物6をTHF62mlに溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム371mgおよび2規定の炭酸カリウム12.5mL水溶液を添加後、80℃で一晩反応させた。得られた溶液に水100mL、ヘキサン40mL、酢酸エチル60mLを添加し、分液抽出後、有機層を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1.59gの化合物7を得た。
(iv)化合物8の合成
1.59gの化合物7、トリフルオロ酢酸エチルをトルエン16mLに溶解し、氷冷下、カリウムtert−ブトキシド 1.27gを窒素雰囲気下で添加した。室温で30分攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液40mLと酢酸エチル40mLを添加し、分液抽出後、有機層を濃縮した。得られた粗生成物にエタノール19mL、ヒドラジン一水和物305mgを加え、90℃で30分攪拌後、12規定塩酸水溶液を310μL添加して30分攪拌後、減圧濃縮した。
その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLと酢酸エチル20mLを加え、分液抽出後、有機層を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1.54gの化合物8を得た。
(v)金属錯体色素D−1の合成
192.4mgの化合物4に対して、塩化ルテニウム1.0当量をエタノール20mL中で加熱還流を5時間させ、室温まで冷却した後に、ろ過した。得られた残渣に1当量の化合物8、トリブチルアミン4当量を加え、ジエチレングリコールモノエチルエーテル5mL中で130℃4時間攪拌した。減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。得られた固体をチオシアン酸アンモニウムとDMF中で加熱攪拌し、減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。得られた固体をTHF10mLとメタノール10mLに完溶させ、3mol/L NaOH水溶液1mLを添加して室温で2.5時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、得られた固体をメタノール30mLに完溶させ、トリフルオロメタンスルホン酸溶液を加え、pH3に調整し、析出物をろ過し、254mgの金属錯体色素D−1を得た。
金属錯体色素D−1
MSデータ [MH]=988
色素D−1の合成方法に準じて、色素D−16、D−146、D−147、D−164、D−165、D−167、D−168、D−169、D−170、D−171、D−172、D−173、D−174をそれぞれ合成した。
合成した各金属錯体色素が目的の構造であることを質量分析により確認した。
Figure 2016072395
実施例2 [色素増感太陽電池の製造]
実施例1で合成した金属錯体色素、および下記比較化合物(1)〜(5)のそれぞれを用いて、図2に示す色素増感太陽電池20(5mm×5mmのスケール)を製造した。この製造は、以下に示す方法で行った。製造した各色素増感太陽電池20について、下記性能を評価した。
(受光電極前駆体[A]の作製)
ガラス基板(基板44、厚み4mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明導電膜43、膜厚;500nm)を形成し、導電性支持体41を作製した。そして、このSnO導電膜上に、チタニアペースト「18NR−T」(DyeSol社製)をスクリーン印刷し、120℃で乾燥させた。次いで、チタニアペースト「18NR−T」を再度スクリーン印刷し、120℃で1時間乾燥させた。その後、乾燥させたチタニアペーストを、空気中、500℃で焼成し、半導体層45(層厚;10μm)を成膜した。さらに、この半導体層45上に、チタニアペースト「18NR−AO」(DyeSol社製)をスクリーン印刷し、120℃で1時間乾燥させた。その後、乾燥させたチタニアペーストを500℃で焼成し、半導体層45上に光散乱層46(層厚;5μm)を成膜した。
このようにして、SnO導電膜上に、感光体層42(受光面の面積;5mm×5mm、層厚;15μm、金属錯体色素は未担持)を形成し、金属錯体色素を担持していない受光電極前駆体[A]を作製した。
(色素吸着)
次に、金属錯体色素を担持していない感光体層42に、実施例1で合成した各金属錯体色素および比較化合物(1)〜(5)のいずれかを以下のようにして担持させた。先ず、t−ブタノールとアセトニトリルとの1:1(体積比)の混合溶媒に、上記金属錯体色素濃度が2×10−4モル/Lとなるように溶解し、さらにそこへ共吸着剤としてデオキシコール酸を上記金属錯体色素1モルに対して30モル加え、各色素溶液を調製した。次に、各色素溶液に受光電極前駆体[A]を25℃で45時間浸漬し、引き上げ後に乾燥させた。
このようにして、受光電極前駆体[A]にそれぞれ異なる金属錯体色素を担持させた19種類の受光電極40を作製した。
(色素増感太陽電池の組み立て)
対極48として、上記の導電性支持体41と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚み;100nm)を作製した。また、電解液として、ヨウ素0.1M(モル/L)、ヨウ化リチウム0.1M、4−t−ブチルピリジン0.5Mおよび1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド0.6Mをアセトニトリルに溶解して、液体電解質を調製した。さらに、感光体層42の大きさに合わせた形状を有するスペーサーS「サーリン」(商品名、デュポン社製)を準備した。
上記のようにして作製した受光電極40それぞれと対極48とを、上記スペーサーSを介して、対向させて熱圧着させた後に、感光体層42と対極48との間に電解液注入口から上記液体電解質を充填して電荷移動体層47を形成した。このようにして作製した電池の外周および電解液注入口を、レジンXNR−5516(ナガセケムテック製)を用いて、封止、硬化し、各色素増感太陽電池(試料番号101〜114、c01〜c05)を製造した。
Figure 2016072395
ここで、比較化合物(1)は評価基準の金属錯体色素であり、公知の方法によって合成した。比較化合物(2)は特表平5−504023号公報に記載の錯体28である。比較化合物(3)は式(AL)におけるAnc2が水素原子である本発明の範囲外の金属錯体色素であり、化合物2の代わりに2,6−ジブロモピリジンを用いて実施例1と同様の方法によって合成した。比較化合物(4)は特開2001−6760号公報に記載のL−62からなる金属錯体色素である。比較化合物(5)は特開2014−139931号公報に記載のLA−2−10からなる金属錯体色素である。
<波長850nmにおける分光感度特性>
波長300〜1000nmにおける量子収率(IPCE)をペクセル社製のIPCE測定装置を用いて測定した。得られた測定値に基づき、波長850nmにおけるIPCEを下記評価基準により評価した。
− 評価基準 −
A:試料番号c01のIPCEに対して1.1倍以上のIPCEを示す。
B:試料番号c01のIPCEに対して1.0倍より大きく1.1倍未満のIPCEを示す。
C:試料番号c01のIPCEに対して1.0倍のIPCEを示す。
D:試料番号c01のIPCEに対して1.0倍未満のIPCEを示す。
<金属錯体色素の吸着安定性>
金属錯体色素の半導体微粒子表面への吸着安定性(吸着力)を評価した。この吸着性の評価では、半導体微粒子として二酸化チタンを使用し、この二酸化チタン表面からの金属錯体色素の脱離速度を指標とした。
金属錯体色素の脱着速度はQuartz Crystal microbalance
with Dissipation monitoring(QCM−D)分子間相互作用測定装置E1(メイワフォーシス株式会社製)を用いて算出した。
QCM−Dに用いる金センサー(メイワフォーシス株式会社製)に上記チタニアペースト「18NR−T」をスクリーン印刷により印刷した(膜厚:20μm)。印刷後の金センサーを空気中、450℃で1時間焼成することにより半導体層が吸着した金センサーを作製した。
作製したセンサーをQCM−D分子間相互作用測定装置にセットし、0.2mMの金属錯体色素溶液(DMF/t−BuOH=1/1)を流すことにより、半導体層へ色素を所定値(200μg/cm)となるように吸着させた。色素吸着量は水晶振動子の共振周波数シフト(△F)から、下記のSauerbreyの式により算出した。
△F=−2×F ×△m/A(μ×P)1/2
ここで、Fは水晶振動子の単独の周波数、△mは質量変化、AはAu電極の圧電活性面積、μとPは各々水晶の密度と剛性率を表す。
その後、上述した電解質を75℃で1時間流すことにより脱離した色素の量を測定した。脱離した色素量もSauerbreyの式により算出し、以下の評価基準で判断した。
− 評価基準 −
A:脱離速度が10μg/cm・hr未満
B:脱離速度が10μg/cm・hr以上〜15μg/cm・hr未満
C:脱離速度が15μg/cm・hr以上〜20μg/cm・hr未満
D:脱離速度が20μg/cm・hr以上〜25μg/cm・hr未満
E:脱離速度が25μg/cm・hr以上〜30μg/cm・hr未満
F:脱離速度が30μg/cm・hr以上〜35μg/cm・hr未満
G:脱離速度が35μg/cm・hr以上
上記評価基準A〜Eに該当すれば、実用的な吸着力を有しているといえる。
下記表2に上記結果をまとめて示す。
Figure 2016072395
表2から明らかなように、本発明の色素増感太陽電池は、いずれも850nmという長波長でのIPCEに優れ、しかも吸着安定性にも優れた色素であることがわかる。
<光電変換効率の評価>
光電変換効率の測定は、ソーラーシミュレーター(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率を求めた。得られた光電変換効率を、試料番号c01の光電変換効率を基準として、下記評価基準により相対評価した。
− 評価基準 −
A:試料番号c01の光電変換効率に対して1.5倍以上
B:試料番号c01の光電変換効率に対して1.3倍以上1.5倍未満
C:試料番号c01の光電変換効率に対して1.1倍以上1.3倍未満
D:試料番号c01の光電変換効率に対して1.0倍より大きく1.1倍未満
E:試料番号c01の光電変換効率に対して1.0倍以下
結果を下記表3に示す。
<熱劣化の評価>
色素増感太陽電池を40℃の恒温槽に入れて耐熱試験を行った。耐熱試験前の色素増感太陽電池および耐熱試験12時間後の色素増感太陽電池について、ソーラーシミュレーター(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射した際に発生する電流を評価した。耐熱試験後の電流値の減少分を耐熱試験前の電流値で割った値を熱劣化率とした。このようにして得られた熱劣化率を、試料番号c01の熱劣化率を基準として、下記評価基準により評価した。
A:試料番号c01の熱劣化率の0.80倍未満
B:試料番号c01の熱劣化率の0.80倍以上0.90倍未満
C:試料番号c01の熱劣化率の0.90倍以上0.95倍未満
D:試料番号c01の熱劣化率の0.95倍以上1.00倍未満
E:試料番号c01の熱劣化率の1.00倍以上
結果を下記表3に示す。
<ヒートサイクル試験>
色素増感太陽電池を−10℃の冷凍庫と40℃の恒温槽へ2時間毎に交互に入れて冷却と加温を繰り返し、ヒートサイクル試験を行った。ヒートサイクル試験前の色素増感太陽電池およびヒートサイクル試験24時間後の色素増感太陽電池について、ソーラーシミュレーター(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射した際に発生する電流を評価した。ヒートサイクル試験後の電流値の減少分をヒートサイクル試験前の電流値で割った値を劣化率とした。このようにして得られた劣化率を、試料番号c01の劣化率を基準として、下記評価基準により評価した。
A:試料番号c01の熱劣化率の0.80倍未満
B:試料番号c01の熱劣化率の0.80倍以上0.90倍未満
C:試料番号c01の熱劣化率の0.90倍以上0.95倍未満
D:試料番号c01の熱劣化率の0.95倍以上1.00倍未満
E:試料番号c01の熱劣化率の1.00倍以上
結果を下記表3に示す。
Figure 2016072395
上記表3から明らかなように、本発明の金属錯体色素を用いて作製した色素増感太陽電池はいずれも光電変換効率に優れ、しかも熱による性能の劣化が抑えられていた。さらにヒートサイクル試験においても、優れた性能を示すことがわかった。すなわち、本発明の色素増感太陽電池は、光電変換効率に優れ、耐久性にも優れることがわかった。
なかでも、式(AL−5)で表される3座の配位子を有する金属錯体色素を増感色素とする色素増感太陽電池は、光電変換効率に特に優れ、且つ色素の吸着力が強く耐久性も大きく向上することがわかった。
1、41 導電性支持体
2、42 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3、47 電荷移動体層
4、48 対極
5、40 受光電極
6 外部回路
10 光電変換素子
100 光電変換素子を電池用途に応用したシステム
M 動作手段(例えば電動モーター)
20 色素増感太陽電池
43 透明導電膜
44 基板
45 半導体層
46 光散乱層
S スペーサー

Claims (20)

  1. 導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有する光電変換素子であって、該感光体層が、下記式(I)で表される金属錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。

    M(LA)(LD)(LX)mX・(CI)mY 式(I)

    式中、Mは金属イオンを表す。
    LAは、下記式(AL)で表される3座の配位子を表す。
    LDは、2座の配位子または前記LAとは異なる3座の配位子を表す。LDは、金属イオンMと結合する配位原子の少なくとも1つがアニオンである。
    LXは、単座の配位子を表す。LDが2座の配位子の場合、mXは1であり、LDが3座の配位子の場合、mXは0である。
    CIは電荷を中和するための対イオンを表し、mYは0〜3の整数である。
    Figure 2016072395
    式(AL)中、環A、環Bおよび環Cは含窒素芳香族ヘテロ環を表す。
    およびZは炭素原子または窒素原子を表す。ZとN原子の間の結合、およびZとN原子の間の結合は単結合または二重結合である。
    Anc1およびAnc3はカルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、またはホウ酸基を表し、l1およびl3は1〜4の整数である。
    Anc2は構成原子の数が3以下の吸着性基を表し、l2は1〜3の整数である。
    およびXは単結合または連結基を表す。m1およびm3は0〜4の整数を表す。但し、m1とm3が同時に0となることはない。
    〜RはAnc1〜Anc3を有しない置換基を表す。n1およびn3は0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。
  2. 前記式(AL)において、環A、環Bおよび環Cのうち少なくとも1つの環がピリジン環である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記LAが下記式(AL−1)で表される、請求項1または2に記載の光電変換素子。
    Figure 2016072395
    式(AL−1)中、環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3は、それぞれ前記式(AL)における環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3と同義である。l2aは1〜3の整数であり、n2aは0〜2の整数である。但し、l2aとn2aの合計は1〜3である。
  4. 前記LAが下記式(AL−2)で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 2016072395
    式(AL−2)中、環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3は、それぞれ前記式(AL−1)における環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3と同義である。n2bは0〜2の整数である。
  5. 前記LAが下記式(AL−3)で表される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 2016072395
    式(AL−3)中、X、X、Anc1〜Anc3、l1、l3、R〜Rおよびn2bは、それぞれ前記式(AL−2)におけるX、X、Anc1〜Anc3、l1、l3、R〜Rおよびn2bと同義である。n1cおよびn3cは0〜3の整数である。
  6. 前記LAが下記式(AL−4)で表される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 2016072395
    式(AL−4)中、X、Anc1〜Anc3、l3、R、Rおよびn2bは、それぞれ前記式(AL−3)におけるX、Anc1〜Anc3、l3、R、Rおよびn2bと同義である。
    〜Aは−CRAL1=、−CRAL2AL3−、−O−、−N=、−NRAL4−または−S−を表す。RAL1、RAL2、RAL3およびRAL4は水素原子、またはAnc1もしくはRとの連結部位を示す。A〜Aのうち少なくとも1つは−CRAL1=である。AとAの結合およびAとAの結合は単結合または二重結合である。n1dは0または1である。
  7. 前記LAが下記式(AL−5)で表される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 2016072395
    式(AL−5)中、Anc1〜Anc3、R、R、n1d、n2b、およびA〜Aは、それぞれ前記式(AL−4)におけるAnc1〜Anc3、R、R、n1d、n2b、およびA〜Aと同義である。
    1a〜A3aは−CRAL5=、−CRAL6AL7−、−O−、−N=、−NRAL8−または−S−を表す。RAL5、RAL6、RAL7およびRAL8は水素原子、またはAnc3との連結部位を示す。A1a〜A3aのうち少なくとも1つは−CRAL5=である。A1aとA2aの結合およびA2aとA3aの結合は単結合または二重結合である。
  8. 前記Aが−C(−Anc1)=であり、且つ、前記A2aが−C(−Anc3)=である、請求項7に記載の光電変換素子。
  9. 前記Anc2が水酸基である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えた色素増感太陽電池。
  11. 下記式(I)で表される金属錯体色素。

    M(LA)(LD)(LX)mX・(CI)mY 式(I)

    式中、Mは金属イオンを表す。
    LAは、下記式(AL)で表される3座の配位子を表す。
    LDは、2座の配位子または前記LAとは異なる3座の配位子を表す。LDは、金属イオンMと結合する配位原子の少なくとも1つがアニオンである。
    LXは、単座の配位子を表す。LDが2座の配位子の場合、mXは1であり、LDが3座の配位子の場合、mXは0である。
    CIは電荷を中和するための対イオンを表し、mYは0〜3の整数である。
    Figure 2016072395
    式(AL)中、環A、環Bおよび環Cは含窒素芳香族ヘテロ環を表す。
    およびZは炭素原子または窒素原子を表す。ZとN原子の間の結合、およびZとN原子の間の結合は単結合または二重結合である。
    Anc1およびAnc3はカルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、またはホウ酸基を表し、l1およびl3は1〜4の整数である。
    Anc2は構成原子の数が3以下の吸着性基を表し、l2は1〜3の整数である。
    およびXは単結合または連結基を表す。m1およびm3は0〜4の整数を表す。但し、m1とm3が同時に0となることはない。
    〜RはAnc1〜Anc3を有しない置換基を表す。n1およびn3は0〜4の整数を表し、n2は0〜3の整数を表す。
  12. 前記式(AL)において、環A、環Bおよび環Cのうち少なくとも1つの環がピリジン環である、請求項11に記載の金属錯体色素。
  13. 前記LAが下記式(AL−1)で表される、請求項11または12に記載の金属錯体色素。
    Figure 2016072395
    式(AL−1)中、環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3は、それぞれ前記式(AL)における環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3と同義である。l2aは1〜3の整数であり、n2aは0〜2の整数である。但し、l2aとn2aの合計は1〜3である。
  14. 前記LAが下記式(AL−2)で表される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
    Figure 2016072395
    式(AL−2)中、環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3は、それぞれ前記式(AL−1)における環A、環C、X、X、Z、Z、Anc1〜Anc3、l1、l3、m1、m3、R〜R、n1およびn3と同義である。n2bは0〜2の整数である。
  15. 前記LAが下記式(AL−3)で表される、請求項11〜14のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
    Figure 2016072395
    式(AL−3)中、X、X、Anc1〜Anc3、l1、l3、R〜Rおよびn2bは、それぞれ前記式(AL−2)におけるX、X、Anc1〜Anc3、l1、l3、R〜Rおよびn2bと同義である。n1cおよびn3cは0〜3の整数である。
  16. 前記LAが下記式(AL−4)で表される、請求項11〜15のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
    Figure 2016072395
    式(AL−4)中、X、Anc1〜Anc3、l3、R、Rおよびn2bは、それぞれ前記式(AL−3)におけるX、Anc1〜Anc3、l3、R、Rおよびn2bと同義である。
    〜Aは−CRAL1=、−CRAL2AL3−、−O−、−N=、−NRAL4−または−S−を表す。RAL1、RAL2、RAL3およびRAL4は水素原子、またはAnc1もしくはRとの連結部位を示す。A〜Aのうち少なくとも1つは−CRAL1=である。AとAの結合およびAとAの結合は単結合または二重結合である。n1dは0または1である。
  17. 前記LAが下記式(AL−5)で表される、請求項11〜16のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
    Figure 2016072395
    式(AL−5)中、Anc1〜Anc3、R、R、n1d、n2b、およびA〜Aは、それぞれ前記式(AL−4)におけるAnc1〜Anc3、R、R、n1d、n2b、およびA〜Aと同義である。
    1a〜A3aは−CRAL5=、−CRAL6AL7−、−O−、−N=、−NRAL8−または−S−を表す。RAL5、RAL6、RAL7およびRAL8は水素原子、またはAnc3との連結部位を示す。A1a〜A3aのうち少なくとも1つは−CRAL5=である。A1aとA2aの結合およびA2aとA3aの結合は単結合または二重結合である。
  18. 前記Aが−C(−Anc1)=であり、且つ、前記A2aが−C(−Anc3)=である、請求項17に記載の金属錯体色素。
  19. 前記Anc2が水酸基である、請求項11〜18のいずれか1項に記載の金属錯体色素。
  20. 請求項11〜19のいずれか1項に記載の金属錯体色素と溶媒とを含有する色素溶液。
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