JP2016076585A - 光電変換素子、色素増感太陽電池、ルテニウム錯体色素および色素溶液 - Google Patents

光電変換素子、色素増感太陽電池、ルテニウム錯体色素および色素溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換効率、耐久性に優れた光電変換素子及び色素増感太陽電池の提供。【解決手段】式(I)で表されるルテニウム錯体色素が担持された半導体微粒子を有する感光体層。(R1a〜R4aはH、−Si(ORS1)nRS23−nを有する基又は芳香族基;RS1及びRS2はアルキル基又は芳香族基;R1b〜R4bは置換基;Z1及びZ2は単座又はZ1とZ2が連結する2座の配位子)【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換素子、色素増感太陽電池、ルテニウム錯体色素および色素溶液に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等の光電気化学電池等に用いられている。この光電変換素子には、金属を用いた方式、半導体を用いた方式、有機顔料や色素を用いた方式、または、これらを組み合わせた方式等の様々な方式が実用化されている。特に、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、燃料が不要であり、無尽蔵のクリーンエネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。その中でも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められ、各国の政策的な配慮もあって普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループットおよびコスト等の改良には自ずと限界がある。
そこで、色素増感太陽電池の研究が精力的に行われている。特にその契機となったのは、スイス ローザンヌ工科大学のGraetzel等の研究成果である。彼らは、ポーラス酸化チタン膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した構造を採用し、アモルファスシリコン並の光電変換効率を実現した。これにより、高価な真空装置を使用しなくても製造できる色素増感太陽電池が一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
現在までに、色素増感太陽電池に使用される金属錯体色素として、一般的に、N3、N719、N749(ブラックダイともいう)、Z907、J2と呼ばれる色素等が開発されている。
金属錯体色素の配位子に吸着性基を導入することで、酸化チタン等の酸化物半導体表面への色素の吸着性が高まり、色素が酸化物半導体表面に安定的に担持され、色素から酸化物半導体への電子移動を効率化することができる。例えば特許文献1には、配位子に−Si(R)(Rは炭化水素基または炭化水素オキシ基)を導入することにより、金属錯体色素の酸化物半導体表面への吸着力が高まり、高効率、高耐久性の光電変換素子を得たことが記載されている。
特開2013−137963号公報
しかし、上記特許文献1に記載されるように、配位子に吸着性基として−Si(R)を導入した場合であっても、光電変換効率と耐久性の向上には制約がある。その原因は定かでないが、以下のように推定される。
半導体微粒子表面への色素の吸着は、実際には吸着と脱離の平衡状態の中にある。この平衡状態の中で色素が徐々に位置を変え、半導体微粒子表面に密に配置されていくと考えられる。しかし−Si(R)を介した半導体微粒子表面への色素の結合は強固であるため、半導体微粒子表面に色素が一度吸着すると剥がれにくい。すなわち、半導体微粒子表面に一度吸着した色素は、脱離・再吸着し難く、その結果、色素が半導体微粒子表面に密に配置できないことが一因と推定される。
本発明は、光電変換効率に優れ、且つ耐久性にも優れた光電変換素子、およびこの光電変換素子を用いた色素増感太陽電池を提供することを課題とする。また本発明は、光電変換素子ないし色素増感太陽電池の増感色素として用いることで、優れた光電変換性能とともに、優れた耐久性をも発現させることができるルテニウム錯体色素、およびこのルテニウム錯体色素を含む色素溶液を提供することを課題とする。
本発明の要旨は下記の通りである。
〔1〕
導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有する光電変換素子であって、感光体層が、下記一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。
Figure 2016076585
一般式(I)中、R1a〜R4aは水素原子、−Si(ORS1S2 3−nを有する基、または芳香族基を示す。但し、R1a〜R4aのうち少なくとも1つは−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、少なくとも1つは芳香族基である。RS1およびRS2はアルキル基または芳香族基を示し、nは1〜3の整数を示す。
1b〜R4bは置換基を示し、n1〜n4は0〜3の整数を示す。
およびZは単座の配位子であるか、またはZとZが互いに連結してなる2座の配位子である。
〔2〕
上記R1aおよびR2aのうち少なくとも1つが上記の−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、上記R3aおよびR4aのうち少なくとも1つが芳香族基である、〔1〕に記載の光電変換素子。
〔3〕
上記R3aおよびR4aが芳香族基であり、上記n3およびn4が0である、〔1〕または〔2〕に記載の光電変換素子。
〔4〕
上記R1aおよびR2aが上記の−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、上記n1およびn2が0である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
〔5〕
上記芳香族基がチエニル基である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
〔6〕
上記ZおよびZがイソチオシアネート基である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の光電変換素子を備えた色素増感太陽電池。
〔8〕
下記一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素。
Figure 2016076585
一般式(I)中、R1a〜R4aは水素原子、−Si(ORS1S2 3−nを有する基、または芳香族基を示す。但し、R1a〜R4aのうち少なくとも1つは−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、少なくとも1つは芳香族基である。RS1およびRS2はアルキル基または芳香族基を示し、nは1〜3の整数を示す。
1b〜R4bは置換基を示し、n1〜n4は0〜3の整数を示す。
およびZは単座の配位子であるか、またはZとZが互いに連結してなる2座の配位子である。
〔9〕
上記R1aおよびR2aのうち少なくとも1つが上記の−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、上記R3aおよびR4aのうち少なくとも1つが芳香族基である、〔8〕に記載のルテニウム錯体色素。
〔10〕
上記R3aおよびR4aが芳香族基であり、上記n3およびn4が0である、〔8〕または〔9〕に記載のルテニウム錯体色素。
〔11〕
上記R1aおよびR2aが上記の−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、上記n1およびn2が0である、〔8〕〜〔10〕のいずれか1つに記載のルテニウム錯体色素。
〔12〕
上記芳香族基がチエニル基である、〔8〕〜〔11〕のいずれか1つに記載のルテニウム錯体色素。
〔13〕
上記ZおよびZがイソチオシアネート基である、〔8〕〜〔12〕のいずれか1つに記載のルテニウム錯体色素。
〔14〕
〔8〕〜〔13〕のいずれか1つに記載のルテニウム錯体色素と溶媒とを含有する色素溶液。
本明細書において、特に断りがない限り、二重結合については、分子内にE型およびZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。
特定の符号や式で表示された置換基や連結基、配位子等(以下、置換基等という)が複数あるとき、または複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。
また、環、例えば、芳香族環または脂肪族環は、さらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
本発明において、芳香族環は、芳香族性を示す環をいい、芳香族炭化水素環と芳香族ヘテロ環とを含む意味に用いる。また、芳香族基は、芳香族性を示す基をいい、アリール基とヘテロアリール基とを含む意味に用いる。
脂肪族環は、芳香族環以外の環をいい、脂肪族炭化水素環および脂肪族ヘテロ環を包含する。脂肪族炭化水素環としては、飽和炭化水素環、および、芳香族性を示さない不飽和炭化水素環が挙げられ、例えば、飽和単環炭化水素環(シクロアルカン)、飽和多環炭化水素環、不飽和単環炭化水素環(シクロアルケン、シクロアルキン)および不飽和多環炭化水素環等が挙げられる。
芳香族ヘテロ環および脂肪族ヘテロ環を合わせてヘテロ環ということがある。ヘテロ環は、炭素原子とヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、セレン原子またはリン原子)とを環構成原子とする環をいう。
本明細書において、化合物(錯体、色素を含む)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。さらに、置換または無置換を明記していない化合物については、所望の効果を奏する範囲で、任意の置換基を有していてもよい意味である。このことは、置換基、連結基および配位子についても同様である。この任意の置換基は、後述する置換基群Tから選ばれる基を好ましい範囲とする。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、光電変換効率に優れ、且つ耐久性にも優れる。また、本発明のルテニウム錯体色素は、本発明の光電変換素子ないし色素増感太陽電池の増感色素として好適に用いることができる。また、本発明の色素溶液は、本発明のルテニウム錯体色素と溶媒とを含んでなり、本発明のルテニウム錯体色素が担持された半導体微粒子の調製に好適に用いることができる。
本発明の第1態様の光電変換素子を、電池用途に応用したシステムにおいて、層中の円部分の拡大図も含めて、模式的に示した断面図である。 本発明の第2態様の光電変換素子からなる色素増感太陽電池を模式的に示した断面図である。
[光電変換素子および色素増感太陽電池]
本発明の光電変換素子は、導電性支持体、電解質を含む感光体層、電解質を含む電荷移動体層、および、対極(対向電極)を有し、感光体層、電荷移動体層および対極がこの順で導電性支持体上に設けられている。
本発明の光電変換素子において、その感光体層を形成する半導体微粒子の少なくとも一部は、増感色素(以下、単に「色素」ともいう。)として後述する一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素を担持してなる。ここで、ルテニウム錯体色素が半導体微粒子22の表面に担持される態様は、半導体微粒子22の表面に吸着する態様、半導体微粒子22の表面に堆積する態様、および、これらが混在した態様等を包含する。なお、吸着は、化学吸着と物理吸着とを含み、化学吸着が好ましい。
また、感光体層は電解質を含む。本発明において半導体微粒子は下記一般式(I)のルテニウム錯体色素と併せて、他の金属錯体色素を担持していてもよいが、光電変換効率および耐久性向上の観点から、下記一般式(I)のルテニウム錯体色素のみを担持してなる形態が好ましい。半導体微粒子は、上記ルテニウム錯体色素とともに後述する共吸着剤を担持していることが好ましい。
感光体層に含まれる電解質は、電荷移動体層が有する電解質と同種でも異種であってもよいが、同種であることが好ましい。ここで、電解質が同種とは、感光体層の電解質に含まれる成分と電荷移動体層の電解質に含まれる成分が同じであり、且つ、各成分の含有量も同じである態様、並びに、感光体層の電解質に含まれる成分と電荷移動体層の電解質に含まれる成分が同じであるが、各成分の含有量が異なる態様、の両態様を含む意味である。
本発明の光電変換素子は、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する上記各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。また、必要により上記各層以外の層を有してもよい。
本発明の色素増感太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いてなる。
以下、本発明の光電変換素子ないし色素増感太陽電池の好ましい実施形態について説明する。
図1に示されるシステム100は、本発明の第1態様の光電変換素子10を、外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したものである。
光電変換素子10は、導電性支持体1と、色素21(すなわち一般式(I)のルテニウム錯体色素)が担持されることにより増感された半導体微粒子22、および、半導体微粒子22間に電解質を含む感光体層2と、正孔輸送層である電荷移動体層3と、対極4とからなる。
光電変換素子10において、受光電極5は、導電性支持体1および感光体層2よりなり、作用電極として機能する。
光電変換素子10を応用したシステム100において、感光体層2に入射した光は、色素21を励起する。励起された色素21はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このとき色素21は酸化体となっている。導電性支持体1に到達した電子が外部回路6で仕事をしながら、対極4を経由して、色素21の酸化体および電解質が存在する感光体層2に戻ることで、システム100が太陽電池として機能する。
図2に示される色素増感太陽電池20は、本発明の第2態様の光電変換素子により構成されている。
色素増感太陽電池20となる光電変換素子は、図1に示す光電変換素子に対して、導電性支持体41および感光体層42の構成ならびにスペーサーを有する点で異なるが、それらの点以外は図1に示す光電変換素子10と同様に構成されている。すなわち、導電性支持体41は、基板44と、基板44の表面に成膜された透明導電膜43とからなる2層構造を有している。また、感光体層42は、半導体層45と、半導体層45に隣接して成膜された光散乱層46とからなる2層構造を有している。導電性支持体41と対極48との間にはスペーサーが設けられている。色素増感太陽電池20において、40は受光電極であり、47は電荷移動体層である。
色素増感太陽電池20は、光電変換素子10を応用したシステム100と同様に、感光体層42に光が入射することにより、太陽電池として機能する。
本発明において、光電変換素子ないし色素増感太陽電池に用いられる材料および各部材は常法により調製することができる。例えば米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
<一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素>
本発明のルテニウム錯体色素は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2016076585
一般式(I)中、R1a、R2a、R3aおよびR4aは水素原子、−Si(ORS1S2 3−nを有する基、または芳香族基を示す。但し、R1a〜R4aのうち少なくとも1つは−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、且つ、R1a〜R4aのうち少なくとも1つは芳香族基である。
S1およびRS2はアルキル基または芳香族基を示す。RS1およびRS2として採りうるアルキル基は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチルまたはエチルである。
S1およびRS2として採りうる芳香族基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ジュリル基、フリル基、チエニル基が挙げられ、フェニル基、トリル基、またはキシリル基であることが好ましい。
nは1〜3の整数を示し、2または3が好ましく、3がさらに好ましい。
上記の−Si(ORS1S2 3−nは、上記一般式(I)中に示されたピリジン環(配位原子である窒素原子を環構成原子として有するピリジン環)に直接連結(単結合で連結)していてもよいし、連結基(以下、連結基(Z)という。)を介して上記ピリジン環に連結していてもよい。連結基(Z)は半導体微粒子への電子注入効率の観点から、共役構造であることが好ましい。
連結基(Z)が共役構造である場合、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−CH=CH−、−C≡C−、および−NH−C(=O)−から選ばれる1種の基であるか、または、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−CH=CH−、−C≡C−、および−NH−C(=O)−から選ばれる2種以上を組み合わせてなる基で構成される連結基であることが好ましい。共役構造の連結基中にはアリーレン基が2つ以上組み込まれていてもよく、ヘテロアリーレン基が2つ以上組み込まれていてもよく、−CH=CH−が2つ以上組み込まれていてもよく、−C≡C−が2つ以上組み込まれていてもよく、−NH−C(=O)−が2つ以上組み込まれていてもよい。なお、−NH−C(=O)−が連結基(Z)中に組み込まれる向きは特に制限されない。
なかでも、連結基(Z)は、*−L−NH−C(=O)−が好ましい(Lはフェニレン基であり、このフェニレン基は置換基を有してもよい。このこのフェニレン基が有する置換基としては後述する置換基群Tから選ばれる基が挙げられる。Lは無置換のフェニレンであることが好ましい。*はSiとの連結部位を示す)。上記*−L−NH−C(=O)−において、LのSiとの連結部位と、LのNHとの連結部位は、互いにメタ位またはパラ位であることが好ましい。
また、連結基(Z)が共役構造でない場合、連結基(Z)はアルキレン基であることが好ましい。このアルキレン基は、その炭素鎖を構成する炭素原子の一部がO原子、S原子、NR(Rは水素原子、または炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、さらに好ましくはメチルまたはエチル)、およびC(=O)から選ばれる2価の基で置き換えられていてもよい。連結基(Z)がアルキレン基の場合、連結基(Z)は**−C(=O)NH−または**−C(=O)O−で、配位原子である窒素原子を環構成原子として有するピリジン環に連結していることが好ましい(**はピリジン環との連結部位である)。
連結基(Z)がアルキレン基の場合、その炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。
1a〜R4aとして採りうる芳香族基に特に制限はなく、好ましくは5員環または6員環構造の芳香族基である。R1a〜R4aとして採りうる芳香族基の好ましい例としては、アリール基(好ましくはベンゼンまたはナフタレンから水素原子を1つ除いた基)、ヘテロアリール基(好ましくはチオフェン、フラン、チエノチオフェン、ベンゾジチオフェン、またはジチエノチオフェンから水素原子を1つ除いた基が挙げられ、なかでもレドックス系からの還元効率の観点からチエニル基が好ましい。
1a〜R4aとして採りうる芳香族基は、置換基を有する形態も好ましい。R1a〜R4aとして採りうる芳香族基が有しうる置換基としては、後述する置換基群Tから選ばれる基が挙げられ、なかでもアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数2〜6のアルキニル基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基)、および芳香族基(好ましくは5員環または6員環の芳香族基、より好ましくはチエニル基、フリル基、またはチエノチエニル基)から選ばれる基が好ましく、アルキル基、アルキニル基、、アルキルチオ基および芳香族基から選ばれる基であることがより好ましく、特に好ましくはアルキニル基または芳香族基である。
1a〜R4aは、色素の吸収特性の観点から、ピリジン環の配位原子である窒素原子に対してパラ位に置換していることが好ましい。
1b、R2b、R3bおよびR4bは置換基を示す。この置換基の例としては後述する置換基群Tから選ばれる基が挙げられる。R1b、R2b、R3bおよびR4bはカルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基、およびハロゲン原子から選ばれる基、またはこれらの基を有する基が好ましく、より好ましくはカルボキシ基である。
n1〜n4は0〜3の整数である。n1〜n4の数の合計は0〜3であることが好ましく、0〜2であることより好ましく、0または1であることがさらに好ましく、さらに好ましくは0である。
一般式(I)において、R1aおよびR2aのうち少なくとも1つが上記の−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、R3aおよびR4aのうち少なくとも1つが芳香族基であることが好ましい。この場合において、R1aおよびR2aのうちいずれかの基が−Si(ORS1S2 3−nを有する基でない場合には、この−Si(ORS1S2 3−nを有する基でない基は芳香族基でないことが好ましく、且つ、R3aおよびR4aのうちいずれかの基が芳香族基でない場合には、この芳香族基でない基は−Si(ORS1S2 3−nを有しないことが好ましい。
一般式(I)のさらに好ましい構造は、R3aおよびR4aが共に芳香族基であり、n3およびn4が0であり、且つ、R1aおよびR2aのうち少なくとも1つが上記の−Si(ORS1S2 3−nを有する基である構造である。この場合、R1aおよびR2aのうちいずれかの基が−Si(ORS1S2 3−nを有する基でない場合には、この−Si(ORS1S2 3−nを有する基でない基は芳香族基でないことが好ましい。さらに好ましくはR1aおよびR2aの両方が上記の−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、且つ、n1およびn2が0である。
上述した、一般式(I)の好ましい形態において、R3aおよびR4aが採りうる芳香族基はチエニル基であることが好ましい。
上記一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素を用いることで、光電変換効率と耐久性とをより高度なレベルで両立した光電変換素子ないし色素増感太陽電池を得ることができる。その理由は定かではないが、以下のように推定される。
上記一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素は、半導体微粒子表面に対して吸着性の強い−Si(ORS1S2 3−nを有する配位子を有し、半導体微粒子表面に強固に吸着して半導体微粒子表面から脱離しにくい。そのため、このルテニウム錯体色素を増感色素として用いた光電変換素子は優れた耐久性を示す。さらに、上記一般式(1)で表されるルテニウム錯体色素は、配位原子である窒素原子を環構成原子とするピリジン環に対して直接結合した芳香族基を有する。この構造により、ルテニウム錯体色素間のπ−π相互作用が高まり、色素同士がより近接した状態で半導体微粒子表面に高密度に配置することができ、その結果、光電変換素子は優れた光電変換効率を示し、耐久性もさらに向上するものと推定される。
一般式(I)中、ZおよびZは単座の配位子であるか、またはZとZが互いに連結してなる2座の配位子である。
とZが単座の配位子の場合、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、およびアリールチオ基から選ばれる基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトンおよびチオ尿素から選ばれる配位子が挙げられる。なかでもZはイソチオシアネート基またはシアノ基が好ましく、イソチオシアネート基がより好ましい。
とZが互いに連結してなる2座の配位子の場合、5員環または6員環構造を有する2つの芳香族環が連結してなる2座の配位子であることが好ましい。この場合、5員環の芳香族環としては、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、およびチアゾール環から選ばれる環が好ましい。また、6員環の芳香族環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、およびトリアジン環から選ばれる環が好ましい。
なかでもZとZが互いに連結してなる2座の配位子は、ピリジン環およびベンゼン環から選ばれる2つの環が連結してなる2座の配位子であることがさらに好ましい。
また、ZとZが互いに連結してなる2座の配位子は酸性基を有さないことが好ましい。ZとZは置換基としてハロゲン原子、シアノ基等の電子求引性基を有することが好ましく、フッ素原子またはフッ素原子を有する基を置換基として有することが好ましく、なかでもフッ素原子を置換基として有することが好ましい。フッ素原子を有する基は、フッ素原子を有するアルキル基が好ましく、トリフルオロメチルがより好ましい。
また、ZとZが互いに連結してなる2座の配位子としては、例えば、アシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれる基が連結してなる2座の配位子を挙げることもできる。
他にも、ZとZが互いに連結してなる2座の配位子として例えば、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドまたはチオ尿素、キノリノール等の配位子も挙げられる。1,3−ジケトンとしては、特に限定されないが、好ましくは、炭素原子数3〜20の1,3−ジケトン、例えば、アセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、トリフルオロアセチルトリフルオロアセトン、4−フルオロベンゾイルトリフルオロアセトン、ジピバロイルメタン、ジベンゾイルメタン、3−クロロアセチルアセトン等が挙げられる。
本明細書において、上記一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素には、ルテニウム錯体色素の電荷を中和するための対イオン(CI)が含まれる形態も包含される。ルテニウム錯体色素が正味のイオン電荷を有するかどうかは、配位子および置換基に依存する。
置換基が解離性基を有すること等により、ルテニウム錯体色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、金属錯体色素全体の電荷はCIにより電気的に中性とされる。
対イオンCIが正の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えばテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオン、金属錯体イオンまたはプロトンである。正の対イオンとしては、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(トリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムイオン等)、プロトンが好ましい。
対イオンCIが負の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、水酸化物イオン、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン(酢酸イオン、トリフルオロ酢酸等)、置換もしくは無置換のアリールカルボン酸イオン(安息香酸イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等)、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオンが挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。負の対イオンとしては、ハロゲン陰イオン、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンが好ましく、ハロゲン陰イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンがより好ましい。
一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素は、例えば、特開2013−084594号公報に記載の方法、特許第4298799号公報に記載の方法、米国特許出願公開第2013/0018189A1、米国特許出願公開第2012/0073660A1、米国特許出願公開第2012/0111410A1および米国特許出願公開第2010/0258175A1号の各明細書に記載の方法、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,2054−2058に記載の方法、Chem.Commun.,2014,50,6379−6381に記載の方法、この文献で挙げられている参照文献に記載の方法、太陽電池に関する上記特許文献、公知の方法、または、これらに準じた方法で調製することができる。
一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜900nmの範囲であり、より好ましくは350〜850nmの範囲であり、特に好ましくは370〜800nmの範囲である。また、一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素の吸収波長領域は300〜900nmの全体にわたっていることが好ましい。
以下に、一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、−C2m+1(mは自然数)で表される各アルキル基は、直鎖でも分岐構造を有してもよいが、直鎖アルキル基が好ましい。また、Etはエチル、Phはフェニルである。
Figure 2016076585
Figure 2016076585
<置換基群T
本発明において、好ましい置換基としては、下記置換基群Tから選ばれる基が挙げられる。
また、本明細書において、単に置換基としてしか記載されていない場合は、この置換基群Tを参照するものであり、また、各々の基、例えば、アルキル基、が記載されているのみの場合は、この置換基群Tの対応する基における好ましい範囲、具体例が適用される。
置換基群Tに含まれる基としては、下記の基が挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチルまたはトリフルオロメチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル、アリル、ブテニルまたはオレイル)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル、ブチニルまたはフェニルエチニル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたは4−メチルシクロヘキシル)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20で、例えばシクロペンテニルまたはシクロヘキセニル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル、ジフルオロフェニルまたはテトラフルオロフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20で、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5員環または6員環のヘテロ環基がより好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリルまたは2−オキサゾリル)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシまたはベンジルオキシ)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニルオキシまたはアリルオキシ)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、2−プロピニルオキシまたは4−ブチニルオキシ)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシまたは4−メチルシクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシまたは4−メトキシフェノキシ)、ヘテロ環オキシ基(例えば、イミダゾリルオキシ、ベンゾイミダゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、ベンゾチアゾリルオキシ、トリアジニルオキシまたはプリニルオキシ)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エトキシカルボニルまたは2−エチルヘキシルオキシカルボニル)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20で、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニルまたはシクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20で、例えば、フェニルオキシカルボニルまたはナフチルオキシカルボニル)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、N−アリルアミノ、N−(2−プロピニル)アミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N−シクロヘキセニルアミノ、アニリノ、ピリジルアミノ、イミダゾリルアミノ、ベンゾイミダゾリルアミノ、チアゾリルアミノ、ベンゾチアゾリルアミノまたはトリアジニルアミノ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルファモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイルまたはN−フェニルスルファモイル)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチル、シクロヘキシルカルボニルまたはベンゾイル)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシまたはベンゾイルオキシ)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイルまたはN−フェニルカルバモイル)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノまたはベンゾイルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基が好ましく、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−シクロヘキシルスルホンアミドまたはN−エチルベンゼンスルホンアミド)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ペンチルチオまたはベンジルチオ)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオまたは4−メチルシクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオまたは4−メトキシフェニルチオ)、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニルまたはベンゼンスルホニル)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリル基が好ましく、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、ジエチルベンジルシリルまたはジメチルフェニルシリル)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリエチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ、ジエチルベンジルシリルオキシまたはジメチルフェニルシリルオキシ)、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)が挙げられる。
置換基群Tから選ばれる基は、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはシアノ基が挙げられる。
化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
次に、光電変換素子および色素増感太陽電池の主たる部材の好ましい態様について説明する。
<導電性支持体>
導電性支持体は、導電性を有し、感光体層2等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された導電性支持体1、または、ガラスもしくはプラスチックの基板44とこの基板44の表面に成膜された透明導電膜43とを有する導電性支持体41が好ましい。
なかでも、基板44の表面に導電性の金属酸化物を塗設して透明導電膜43を成膜した導電性支持体41がさらに好ましい。プラスチックで形成された基板44としては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。また、基板44を形成する材料は、ガラスおよびプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、基板44の表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体41を用いる場合、光は基板44側から入射させることが好ましい。
導電性支持体1および41は、実質的に透明であることが好ましい。「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
導電性支持体1および41の厚みは、特に限定されないが、0.05μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明導電膜43を設ける場合、透明導電膜43の厚みは、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることがさらに好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体1および41は、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、表面に、特開2003−123859号公報に記載の高屈折膜および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
<感光体層>
感光体層は、上記色素21が担持された半導体微粒子22および電解質を有していれば、その他の構成は特に限定されない。好ましくは、上記感光体層2および上記感光体層42が挙げられる。
− 半導体微粒子(半導体微粒子が形成する層) −
半導体微粒子22は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイト型結晶構造を有する化合物の微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブもしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物としては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、またはルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドは、単独で、または、チタニア微粒子に混合して、用いることができる。
半導体微粒子22の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として0.001〜1μm、分散物の平均粒径として0.01〜100μmであることが好ましい。半導体微粒子22を導電性支持体1または41上に塗設する方法として、湿式法、乾式法、その他の方法が挙げられる。
半導体微粒子22は多くの色素21を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子22を導電性支持体1または41上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。一般に、半導体微粒子22が形成する半導体層45(光電変換素子10においては感光体層2と同義)の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素21の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。
半導体層45(光電変換素子10においては感光体層2)の好ましい厚みは、光電変換素子の用途によって一義的なものではないが、典型的には0.1〜100μmである。色素増感太陽電池として用いる場合は、1〜50μmがより好ましく、3〜30μmがさらに好ましい。
半導体微粒子22は、導電性支持体1または41に塗布した後に、100〜800℃の温度で10分〜10時間焼成して、粒子同士を密着させることが好ましい。成膜温度は、導電性支持体1または基板44の材料としてガラスを用いる場合、60〜600℃が好ましい。
なお、半導体微粒子22の、導電性支持体1または41の表面積1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。
導電性支持体1または41と感光体層2または42との間には、感光体層2または42が含む電解質と導電性支持体1または41が直接接触することによる逆電流を防止するため、短絡防止層を形成することが好ましい。
また、受光電極5または40と対極4または48の接触を防ぐために、スペーサーS(図2参照)やセパレータを用いることが好ましい。
− 色素 −
光電変換素子10および色素増感太陽電池20においては、増感色素として少なくとも1種の上記一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素を使用する。一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素は上記の通りである。
本発明において、上記一般式(I)のルテニウム錯体色素と併用できる色素としては、上記一般式(I)以外のRu錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、有機色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
Ru錯体色素としては、例えば、特表平7−500630号公報に記載のRu錯体色素(特に第5頁左下欄5行目〜第7頁右上欄7行目の例1〜例19で合成された色素)、特表2002−512729号公報に記載のRu錯体色素(特に第20頁の下から3行目〜第29頁23行目の例1〜例16で合成された色素)、特開2001−59062号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0087〜0104に記載の色素)、特開2001−6760号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0093〜0102に記載の色素)、特開2001−253894号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0009〜0010に記載の色素)、特開2003−212851号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0005に記載の色素)、国際公開第2007/91525号パンフレットに記載のRu錯体色素(特に、[0067]に記載の色素)、特開2001−291534号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0120〜0144に記載の色素)、特開2012−012570号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0095〜0103に記載の色素)、特開2013−084594号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0072〜0081等に記載の色素)、国際公開第2013/088898号パンフレットに記載のRu錯体色素(特に、[0286]〜[0293]に記載の色素)、または、国際公開第2013/47615号パンフレットに記載のRu錯体色素(特に、[0078]〜[0082]に記載の色素)が挙げられる。
スクアリリウムシアニン色素としては、例えば、特開平11−214730号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0036〜0047に記載の色素)、特開2012−144688号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0039〜0046および段落番号0054〜0060に記載の色素)、または、特開2012−84503号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0066〜0076等に記載の色素)が挙げられる。
有機色素としては、例えば、特開2004−063274号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0017〜0021に記載の色素)、特開2005−123033号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0021〜0028に記載の色素)、特開2007−287694号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0091〜0096に記載の色素)、特開2008−71648号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0030〜0034に記載の色素)、または、国際公開第2007/119525号パンフレットに記載の有機色素(特に、[0024]に記載の色素)が挙げられる。
ポルフィリン色素としては、例えば、Angew.Chem.Int.Ed.,49,1〜5(2010)等に記載のポルフィリン色素が挙げられ、フタロシアニン色素としては、例えば、Angew.Chem.Int.Ed.,46,8358(2007)等に記載のフタロシアニン色素が挙げられる。
併用できる色素としては、Ru錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、または有機色素が好ましい。
色素の使用量は、全体で、導電性支持体1または41の表面積1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。また、色素21の半導体微粒子22に対する吸着量は1gの半導体微粒子22に対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。このような色素量とすることによって、半導体微粒子22における増感効果が十分に得られる。
一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素と他の色素を併用する場合、一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素の質量/他の色素の質量の比は、95/5〜10/90が好ましく、95/5〜50/50がより好ましく、95/5〜60/40がさらに好ましく、95/5〜65/35が特に好ましく、95/5〜70/30が最も好ましい。
色素を半導体微粒子22に担持させた後に、アミン化合物を用いて半導体微粒子22の表面を処理してもよい。好ましいアミン化合物としてピリジン化合物(例えば4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン)等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
− 共吸着剤 −
本発明においては、一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素または必要により併用する色素とともに共吸着剤を使用することが好ましい。このような共吸着剤としては酸性基(好ましくは、カルボキシ基またはその塩)を1つ以上有する共吸着剤が好ましく、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。
脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えば、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、さらに好ましくはケノデオキシコール酸である。
好ましい共吸着剤は、下記式(CA)で表される化合物である。
Figure 2016076585
式中、RA1は酸性基を表す。RA2は置換基を表す。nAは0以上の整数を表す。
ここで「酸性基」とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、pKaが11以下の置換基である。例えば、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基といった酸性を示す基である酸基、または、これらの酸基を有する基が挙げられる。酸基を有する基は、酸基と連結基とを有する基が挙げられ、例えば、カルボキシビニレン基、ジカルボキシビニレン基、シアノカルボキシビニレン基、カルボキシフェニル基を好ましいものとして挙げることができる。
上記酸性基は、好ましくはカルボキシ基またはカルボキシ基を有する基であり、より好ましくはカルボキシ基である。
本発明において酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。酸性基が塩となるときの対イオンとしては、特に限定されないが、無機もしくは有機のアンモニウムイオン、またはアルカリ金属イオンが好ましい。このアルカリ金属イオンの好ましい例としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、セシウムイオンが挙げられ、なかでもナトリウムイオンが好ましい。無機もしくは有機のアンモニウムイオンとしては、例えばアンモニウムイオンやピリジニウムイオンが挙げられ、好ましくはアンモニウムイオンであり、3級または4級アンモニウムイオンが好ましく、4級アンモニウムイオンがさらに好ましい。この4級アンモニウムイオンの好ましい例としては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、テトラデシルアンモニウムイオンが挙げられ、なかでもテトラブチルアンモニウムイオンまたはテトラヘキシルアンモニウムイオンが好ましく、テトラブチルアンモニウムイオンがより好ましい。
A1は、これらの中でも、カルボキシ基もしくはスルホ基またはこれらの塩が置換したアルキル基が好ましく、−CH(CH)CHCHCOH、−CH(CH)CHCHCONHCHCHSOHがさらに好ましい。
A2としては、上記の置換基群Tから選ばれる基が挙げられる。中でも、アルキル基、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、アルキルアミノカルボニルオキシ基またはアリールアミノカルボニルオキシ基が好ましく、アルキル基、ヒドロキシ基またはアシルオキシ基がより好ましい。
nAは2〜4が好ましい。
上記共吸着剤は、半導体微粒子22に吸着させることにより、金属錯体色素の非効率な会合を抑制する効果および半導体微粒子表面から電解質中のレドックス系への逆電子移動を防止する効果がある。共吸着剤の使用量は、特に限定されないが、上記の作用を効果的に発現させる観点から、上記金属錯体色素1モルに対して、好ましくは1〜200モル、さらに好ましくは10〜150モル、特に好ましくは20〜50モルである。
− 光散乱層 −
本発明において、光散乱層は、入射光を散乱させる機能を有する点で、半導体層と異なる。
色素増感太陽電池20において、光散乱層46は、好ましくは、棒状または板状の金属酸化物粒子を含有する。光散乱層46に用いられる金属酸化物粒子は、例えば、上記金属のカルコゲニド(酸化物)の粒子が挙げられる。光散乱層46を設ける場合、光散乱層の厚みは感光体層42の厚みの10〜50%とすることが好ましい。
光散乱層46は、特開2002−289274号公報に記載されている光散乱層が好ましく、特開2002−289274号公報の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
<電荷移動体層>
本発明の光電変換素子に用いられる電荷移動体層3および47は、色素21の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極5または40と対極4または48との間に設けられる。
電荷移動体層3および47は電解質を含む。ここで、「電荷移動体層が電解質を含む」とは、電荷移動体層が電解質のみからなる態様、および、電解質と電解質以外の物質を含有する態様の、両態様を含む意味である。
電荷移動体層3および47は、固体状、液体状、ゲル状またはこれら混合状態のいずれであってもよい。
− 電解質 −
電解質の例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体電解質、酸化還元対を含有する溶融塩および酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質等が挙げられる。なかでも、液体電解質が光電変換効率の点で好ましい。
酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(ヨウ化物塩、ヨウ化イオン性液体が好ましく、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムが好ましい)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体の組み合わせ(例えば赤血塩と黄血塩の組み合わせ)、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせ等が挙げられる。これらのうち、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせ、または2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが好ましく、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせが特に好ましい。
上記コバルト錯体は、特開2014−82189号公報の段落番号0144〜0156に記載の式(CC)で表される錯体が好ましく、特開2014−82189号公報の段落番号0144〜0156の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
電解質として、ヨウ素とヨウ化物との組み合せを用いる場合、5員環または6員環の含窒素芳香族カチオンのヨウ素塩をさらに併用するのが好ましい。
液体電解質およびゲル電解質に用いる有機溶媒としては、特に限定されないが、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)が好ましい。
特に、液体電解質に用いる有機溶媒としては、ニトリル化合物、エーテル化合物、エステル化合物等が好ましく、ニトリル化合物がより好ましく、アセトニトリル、メトキシプロピオニトリルが特に好ましい。
溶融塩としては、イミダゾリウムまたはトリアゾリウム型陽イオンを含むイオン性液体、オキサゾリウム型陽イオンを含むイオン性液体、ピリジニウム型陽イオンを含むイオン性液体、グアニジウム型陽イオンを含むイオン性液体およびこれらの組み合わせが好ましい。また、これら陽イオンに対して特定のアニオンを組み合わせてもよい。これらの溶融塩に対しては添加物を加えてもよい。溶融塩は液晶性の置換基を持っていてもよい。また、溶融塩として、四級アンモニウム塩の溶融塩を用いることもできる。
これら以外の溶融塩としては、例えば、ヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。この場合のポリマーの添加量は1〜50質量%である。また、γ−ブチロラクトンを電解液に含んでいてもよく、これによりヨウ化物イオンの拡散効率が高くなり光電変換効率が向上する。
ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマー(ポリマーマトリクス)としては、例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。
電解質と溶媒からなる電解液にゲル化剤を添加してゲル化させることにより、電解質を擬固体化してもよい(擬固体化された電解質を、以下、「擬固体電解質」ともいう。)。ゲル化剤としては、分子量1000以下の有機化合物、分子量500〜5000の範囲のSi含有化合物、特定の酸性化合物と塩基性化合物からできる有機塩、ソルビトール誘導体、ポリビニルピリジンが挙げられる。
また、ポリマーマトリクス、架橋型高分子化合物またはモノマー、架橋剤、電解質および溶媒を高分子中に閉じ込める方法を用いてもよい。
ポリマーマトリクスとして好ましくは、含窒素複素環を主鎖または側鎖の繰り返し単位中に持つ高分子およびこれらを求電子性化合物と反応させた架橋体、トリアジン構造を持つ高分子、ウレイド構造をもつ高分子、液晶性化合物を含むもの、エーテル結合を有する高分子、ポリフッ化ビニリデン、メタクリレート、アクリレート、熱硬化性樹脂、架橋ポリシロキサン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアルキレングリコールとデキストリン等の包接化合物、含酸素または含硫黄高分子を添加した系、天然高分子等が挙げられる。これらにアルカリ膨潤型高分子、一つの高分子内にカチオン部位とヨウ素との電荷移動錯体を形成できる化合物を持った高分子等を添加してもよい。
ポリマーマトリクスとして、2官能以上のイソシアネート基と、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基等の官能基とを反応させた架橋ポリマーを含む系を用いてもよい。また、ヒドロシリル基と二重結合性化合物による架橋高分子、ポリスルホン酸またはポリカルボン酸等を2価以上の金属イオン化合物と反応させる架橋方法等を用いてもよい。
上記擬固体電解質との組み合わせで好ましく用いることができる溶媒としては、特定のリン酸エステル、エチレンカーボネートを含む混合溶媒、特定の比誘電率を持つ溶媒等が挙げられる。固体電解質膜あるいは細孔に液体電解質溶液を保持させてもよい。液体電解質溶液を保持させる方法として好ましくは、導電性高分子膜、繊維状固体、フィルタ等の布状固体を使用する方法が挙げられる。
電解質は、添加物として、4−t−ブチルピリジン等のピリジン化合物のほか、アミノピリジン化合物、ベンゾイミダゾール化合物、アミノトリアゾール化合物およびアミノチアゾール化合物、イミダゾール化合物、アミノトリアジン化合物、尿素化合物、アミド化合物、ピリミジン化合物または窒素を含まない複素環を含有していてもよい。
また、光電変換効率を向上させるために、電解液の水分を制御する方法をとってもよい。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法や脱水剤を共存させる方法を挙げることができる。電解液の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
ヨウ素は、ヨウ素とシクロデキストリンとの包摂化合物として使用することもできる。また環状アミジンを用いてもよく、酸化防止剤、加水分解防止剤、分解防止剤、ヨウ化亜鉛を加えてもよい。
以上の液体電解質および擬固体電解質の代わりに、p型半導体あるいはホール輸送材料等の固体電荷輸送層、例えば、CuI、CuNCS等を用いることができる。また、Nature,vol.486,p.487(2012)等に記載の電解質を用いてもよい。固体電荷輸送層として有機ホール輸送材料を用いてもよい。有機ホール輸送材料として好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリシラン等の導電性高分子および2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心元素を共有するスピロ化合物、トリアリールアミン等の芳香族アミン誘導体、トリフェニレン誘導体、含窒素複素環誘導体、液晶性シアノ誘導体が挙げられる。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度で含有するのが好ましい。好ましい濃度としては合計で0.01モル/L以上であり、より好ましくは0.1モル/L以上であり、特に好ましくは0.3モル/L以上である。この場合の上限は特に制限はないが、通常5モル/L程度である。
<対極>
対極4および48は、色素増感太陽電池の正極として働くものであることが好ましい。対極4および48は、通常、上記導電性支持体1または41と同じ構成とすることもできるが、強度が十分に保たれるような構成では基板44は必ずしも必要でない。対極4および48の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光体層2および42に光が到達するためには、上記導電性支持体1または41と対極4または48との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の色素増感太陽電池においては、導電性支持体1または41が透明であって太陽光を導電性支持体1または41側から入射させるのが好ましい。この場合、対極4および48は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。色素増感太陽電池の対極4および48としては、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。色素増感太陽電池では、構成物の蒸散を防止するために、電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
本発明は、例えば、特許第4260494号公報、特開2004−146425号公報、特開2000−340269号公報、特開2002−289274号公報、特開2004−152613号公報、特開平9−27352号公報に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。また、特開2004−152613号公報、特開2000−90989号公報、特開2003−217688号公報、特開2002−367686号公報、特開2003−323818号公報、特開2001−43907号公報、特開2000−340269号公報、特開2005−85500号公報、特開2004−273272号公報、特開2000−323190号公報、特開2000−228234号公報、特開2001−266963号公報、特開2001−185244号公報、特表2001−525108号公報、特開2001−203377号公報、特開2000−100483号公報、特開2001−210390号公報、特開2002−280587号公報、特開2001−273937号公報、特開2000−285977号公報、特開2001−320068号公報に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。
[光電変換素子および色素増感太陽電池の製造方法]
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、本発明のルテニウム錯体色素を含有する色素溶液(本発明の色素溶液)を用いて、製造することができる。
このような色素溶液には、本発明のルテニウム錯体色素が溶媒に溶解されてなり、必要により他の成分を含んでもよい。
使用する溶媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒を挙げることができるが、特にこれに限定されない。本発明においては有機溶媒が好ましく、さらにアルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、および、これらの2種以上の混合溶媒がより好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒または炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。さらに好ましくはアルコール溶媒とアミド溶媒、アルコール溶媒と炭化水素溶媒の混合溶媒、特に好ましくはアルコール溶媒とアミド溶媒の混合溶媒である。具体的にはメタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールの少なくとも1種と、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびアセトニトリルの少なくとも1種との混合溶媒が好ましい。
色素溶液は共吸着剤を含有することが好ましく、共吸着剤としては、上記の共吸着剤が好ましく、なかでも上記式(CA)で表される化合物が好ましい。
ここで、本発明の色素溶液は、光電変換素子や色素増感太陽電池を製造する際に、この溶液をこのまま使用できるように、ルテニウム錯体色素や共吸着剤の濃度が調整されている色素溶液が好ましい。本発明においては、本発明の金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。共吸着剤の使用量は上記した通りである。
色素溶液は、水分含有量を調整することが好ましく、本発明では水分含有量を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
本発明においては、上記色素溶液を用いて、半導体微粒子表面に一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素またはこれを含む色素を担持させることにより、感光体層を作製することが好ましい。すなわち、感光体層は、導電性支持体上に設けた半導体微粒子に上記色素溶液を塗布(ディップ法を含む)し、乾燥または硬化させて、形成することが好ましい。
このようにして作製した感光体層を備えた受光電極に、さらに電荷移動体層や対極等を設けることで、本発明の光電変換素子または色素増感太陽電池を得ることができる。
色素増感太陽電池は、上記のようにして作製した光電変換素子の導電性支持体1および対極4に外部回路6を接続して、製造される。
以下に実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がこれに限定されない。
実施例1 [ルテニウム錯体色素の調製]
本実施例で調製したルテニウム錯体色素D−1〜D−9と、比較例のルテニウム錯体色素の構造を以下に示す。下記色素中、−C2m+1(mは自然数)で表される各アルキル基は直鎖アルキル基である。
Figure 2016076585
(ルテニウム錯体色素D−1の調製)
以下のスキームに従って、ルテニウム錯体色素D−1を調製した。下記スキーム中の略語の意味は下記の通りである。
Ph :フェニル
TEA :トリエチルアミン
DMF :N,N−ジメチルホルムアミド
THF :テトラヒドロフラン
Et :エチル
Pr :イソプロピル
Figure 2016076585
(i)化合物d−1−3の合成
化合物d−1−1(2−ブロモチオフェン)20gをトリエチルアミン(TEA)80mlおよびDMF(N、N−ジメチルホルムアミド)120mlに溶解し、ヨウ化銅(I)2.33gおよびテトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(0)4.25gを添加した。窒素雰囲気下、攪拌しながら、ナトリウムエトキシド18.9gを添加し15分攪拌した。その後、d−1−2(1−ヘキチン)21.1mlを添加し、55℃で2時間攪拌した。室温に戻した後、4規定塩酸水溶液120mlを滴下し、さらにトルエン120mlを滴下し、分液した。次いで有機層に飽和重曹水120mlを添加し、分液した。さらに有機層に水120ml添加し、分液した。有機層を濃縮し、減圧蒸留を行ない、d−1−3の精製物15.6gを得た。
(ii)化合物d−1−5の合成
14.7gの化合物d−1−3をTHF334mlに溶解し、窒素雰囲気下、−78℃で攪拌しながら、1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液58.8mlを滴下し、その後30分攪拌した。その後、27.2mlの化合物d−1−4を滴下し、10分間攪拌した。ゆっくり室温に戻した後、水500mlおよび酢酸エチル500mlを添加し、分液した。次いで有機層に水400mlを添加し、分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、濃縮してd−1−5の粗精製物19.3gを得た。
(iii)化合物d−1−7の合成
18.6gの化合物d−1−5および8.1gの化合物d−1−6をTHF248mlおよび水62mlに溶解し、炭酸カリウム10.6gを添加した。窒素雰囲気下、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(0)1.3gを添加し、80℃で、3.5時間攪拌した。室温に戻して水450mlを添加し、ろ過後、ろ物を2−プロパノール400mlに分散させてろ過し、ろ物を再度2−プロパノール300mlに分散させた後、ろ過した。得られた結晶を40℃で減圧乾燥し、化合物d−1−7を9.8g得た。
(iv)化合物d−1−10の合成
15.3gの化合物d−1−8と15gの化合物d−1−9をエタノール500ml中で、外設100℃で4時間攪拌した。室温まで冷却後、減圧濃縮し、化合物d−1−10を30.3g得た。
(v)化合物d−1−12の合成
10gの化合物d−1−10、7.9gの化合物d−1−7をDMF(N、N−ジメチルホルムアミド)200mlに加え窒素雰囲気下、150℃で3時間攪拌した。その後、50gのチオシアン酸アンモニウムを加え130℃で2時間攪拌した。濃縮後、水を加えろ過した。ろ物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物d−1−12を6.0g得た。
(vi)化合物d−1−13の合成
6.0gの化合物d−1−12をDMF100mlおよび水5mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液5mlを添加し、外温30℃で3時間攪拌した。減圧濃縮後、メタノール30mlを添加し、塩酸でpH3.0に調整し、析出物をろ過し、化合物d−1−13を5.5g得た。
得られた化合物d−1−13の構造はNMRおよびMS測定により確認した。
H NMR(DMSO−d、400MHz):Aromatic reigion δ(ppm)=9.45(1H,J=6.0Hz,d),9.18(1H,J=6.0Hz,d),9.14(1H,s)、9.07(1H,s),8.99(1H,s),8.92(1H,s),8.34(1H,J=6.0Hz,1.6Hz,dd),8.23(1H,J=6.0Hz,1.6Hz,dd),8.18(1H,J=4.0Hz,d),7.97(1H,J=3.6Hz,d),7.96(1H,J=6.0Hz,d),7.64(1H,J=6.0Hz,1.6Hz,dd)、7.48(1H,J=3.6Hz,d),7.44(1H,J=6.0Hz,d),7.40−7.35(2H,m)
MS−ESI m/z=942.3(M+H)
(vii)ルテニウム錯体色素D−1の調製
1.0gの化合物d−1−13に窒素雰囲気下にて、クロロホルム200mlを添加し、オキザリルクロリドを2.1当量添加した。その後DMFを5ml滴下し、1時間攪拌した。エチルジイソプロピルアミンを4.2等量滴下した後、d−1−14を2.1当量滴下し、1時間攪拌した。水を200ml滴下し、分液し、有機層を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、D−1を440mg得た。
(ルテニウム錯体色素D−2の調製)
上記ルテニウム錯体色素D−1の調製において、化合物d−1−14に代えて下記化合物d−2−1を用いたこと以外は、上記ルテニウム錯体色素D−1の調製方法と同様にして、ルテニウム錯体色素D−2を調製した。
Figure 2016076585
(ルテニウム錯体色素D−3の調製)
上記ルテニウム錯体色素D−2の調製において、チオシアン酸アンモニウムに代えて下記化合物d−3−2を用いたこと以外は、上記ルテニウム錯体色素D−1の調製方法と同様にして、ルテニウム錯体色素D−3を調製した。化合物d−3−2は、下記スキームにより合成した。
Figure 2016076585
(ルテニウム錯体色素D−4の調製)
上記ルテニウム錯体色素D−1の調製において、化合物d−1−5に代えて下記化合物d−4−1を用いたこと、および、オキザリルクロリドを1.05当量に、また化合物d−1−14を1.05当量に変更したこと以外は、上記ルテニウム錯体色素D−1の調製方法と同様にして、ルテニウム錯体色素D−4を調製した。
Figure 2016076585
(ルテニウム錯体色素D−5の調製)
上記ルテニウム錯体色素D−2の調製において、化合物d−1−5に代えて下記化合物d−5−3を用いたこと以外は、上記ルテニウム錯体色素D−2の調製方法と同様にして、ルテニウム錯体色素D−5を調製した。
Figure 2016076585
(ルテニウム錯体色素D−6の調製)
上記ルテニウム錯体色素D−5の調製において、化合物d−5−3に代えて下記化合物d−6−2を用いたこと以外は、上記ルテニウム錯体色素D−5の調製方法と同様にして、ルテニウム錯体色素D−6を調製した。
Figure 2016076585
(ルテニウム錯体色素D−7の調製)
上記ルテニウム錯体色素D−2の調製において、化合物d−1−5に代えて下記化合物d−7−1を用いたこと以外は、上記ルテニウム錯体色素D−2の調製方法と同様にして、ルテニウム錯体色素D−7を調製した。
Figure 2016076585
(ルテニウム錯体色素D−8の調製)
上記ルテニウム錯体色素D−5の調製において、化合物d−5−3の使用量を半減することで調整した下記化合物d−8−1を、化合物d−1−7に代えて用いたこと、および、オキザリルクロリドを1.05当量に、また化合物d−2−1に代えて下記化合物d−8−2を1.05当量滴下したこと以外は、上記ルテニウム錯体色素D−5の調製方法と同様にして、ルテニウム錯体色素D−8を調製した。
Figure 2016076585
(ルテニウム錯体色素D−9の調製)
上記ルテニウム錯体色素D−2の調製において、化合物d−1−5に代えて下記化合物d−9−1を用いたこと以外は、上記ルテニウム錯体色素D−2の調製方法と同様にして、ルテニウム錯体色素D−9を調製した。
Figure 2016076585
合成したルテニウム錯体色素D−1〜D−9が目的の構造であることをMS分析により確認した(表1)。
Figure 2016076585
実施例2 [色素増感太陽電池の製造]
実施例1で調製したルテニウム錯体色素D−1〜D−9、上記比較例1〜4のルテニウム錯体色素のそれぞれを用いて、図2に示す色素増感太陽電池20(5mm×5mmのスケール)を製造した。この製造は、以下に示す方法で行った。製造した各色素増感太陽電池20について、下記性能を評価した。
(受光電極前駆体[A]の作製)
ガラス基板(基板44、厚み4mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明導電膜43、膜厚;500nm)を形成し、導電性支持体41を作製した。そして、このSnO導電膜上に、チタニアペースト「18NR−T」(DyeSol社製)をスクリーン印刷し、120℃で乾燥させた。次いで、チタニアペースト「18NR−T」を再度スクリーン印刷し、120℃で1時間乾燥させた。その後、乾燥させたチタニアペーストを、空気中、500℃で焼成し、半導体層45(層厚;10μm)を成膜した。さらに、この半導体層45上に、チタニアペースト「18NR−AO」(DyeSol社製)をスクリーン印刷し、120℃で1時間乾燥させた。その後、乾燥させたチタニアペーストを500℃で焼成し、半導体層45上に光散乱層46(層厚;5μm)を成膜した。
このようにして、SnO導電膜上に、感光体層42(受光面の面積;5mm×5mm、層厚;15μm、金属錯体色素は未担持)を形成し、金属錯体色素を担持していない受光電極前駆体[A]を作製した。
(色素吸着)
次に、金属錯体色素を担持していない感光体層42に、実施例1で調製したルテニウム錯体色素D−1〜D−9、および、比較例1〜4のルテニウム錯体色素を以下のようにして担持させた。先ず、t−ブタノールとアセトニトリルとの1:1(体積比)の混合溶媒に、上記ルテニウム錯体色素濃度が2×10−4モル/Lとなるように溶解し、さらにそこへ共吸着剤としてデオキシコール酸を上記金属錯体色素1モルに対して30モル加え、各色素溶液を調製した。次に、各色素溶液に受光電極前駆体[A]を25℃で45時間浸漬し、引き上げ後に乾燥させた。
このようにして、受光電極前駆体[A]にそれぞれ異なる金属錯体色素を担持させた13種類の受光電極40を作製した。
(色素増感太陽電池の組み立て)
対極48として、上記の導電性支持体41と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚み;100nm)を作製した。また、電解液として、ヨウ素0.1M(モル/L)、ヨウ化リチウム0.1M、4−t−ブチルピリジン0.5Mおよび1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド0.6Mをアセトニトリルに溶解して、液体電解質を調製した。さらに、感光体層42の大きさに合わせた形状を有するスペーサーS「サーリン」(商品名、デュポン社製)を準備した。
上記のようにして作製した受光電極40それぞれと対極48とを、上記スペーサーSを介して、対向させて熱圧着させた後に、感光体層42と対極48との間に電解液注入口から上記液体電解質を充填して電荷移動体層47を形成した。このようにして作製した電池の外周および電解液注入口を、レジンXNR−5516(ナガセケムテック製)を用いて、封止、硬化し、各色素増感太陽電池(試料番号101〜109、c01〜c04)を製造した。
<光電変換効率の評価>
電池特性試験を行い、色素増感太陽電池について、変換効率ηを測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルターを通したキセノンランプから1000W/mの疑似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定した。
− 光電変換効率の評価基準 −
A:初期の変換効率ηが7.5%以上
B:初期の変換効率ηが7.0%以上7.5%未満
C:初期の変換効率ηが6.5%以上7.0%未満
D:初期の変換効率ηが6.0%以上6.5%未満
E:初期の変換効率ηが6.0%未満
<耐久性の評価>
900時間連続光照射後の光電変換効率(η)を測定した。このηの初期の変換効率(η)に対する降下率(γL:下式)を求めた。
式: 降下率(γL)=100×(η−η)/(η
− 耐久性の評価基準 −
A:降下率γLが1%未満
B:降下率γLが1%以上3%未満
C:降下率γLが3%以上5%未満
D:降下率γLが5%以上7%未満
E:降下率γLが7%以上
Figure 2016076585
表2に示されるように、本発明で規定する色素を用いた色素増感太陽電池は、変換効率に優れ、且つ、連続光照射によっても性能が低下しにくく耐久性にも優れることがわかった。
1、41 導電性支持体
2、42 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3、47 電荷移動体層
4、48 対極
5、40 受光電極
6 外部回路
10 光電変換素子
100 光電変換素子を電池用途に応用したシステム
M 動作手段(例えば電動モーター)
20 色素増感太陽電池
43 透明導電膜
44 基板
45 半導体層
46 光散乱層
S スペーサー

Claims (14)

  1. 導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有する光電変換素子であって、該感光体層が、下記一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。
    Figure 2016076585

    一般式(I)中、R1a〜R4aは水素原子、−Si(ORS1S2 3−nを有する基、または芳香族基を示す。但し、R1a〜R4aのうち少なくとも1つは−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、少なくとも1つは芳香族基である。RS1およびRS2はアルキル基または芳香族基を示し、nは1〜3の整数を示す。
    1b〜R4bは置換基を示し、n1〜n4は0〜3の整数を示す。
    およびZは単座の配位子であるか、またはZとZが互いに連結してなる2座の配位子である。
  2. 前記R1aおよびR2aのうち少なくとも1つが前記の−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、前記R3aおよびR4aのうち少なくとも1つが芳香族基である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記R3aおよびR4aが芳香族基であり、前記n3およびn4が0である、請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記R1aおよびR2aが前記の−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、前記n1およびn2が0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記芳香族基がチエニル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記ZおよびZがイソチオシアネート基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えた色素増感太陽電池。
  8. 下記一般式(I)で表されるルテニウム錯体色素。
    Figure 2016076585

    一般式(I)中、R1a〜R4aは水素原子、−Si(ORS1S2 3−nを有する基、または芳香族基を示す。但し、R1a〜R4aのうち少なくとも1つは−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、少なくとも1つは芳香族基である。RS1およびRS2はアルキル基または芳香族基を示し、nは1〜3の整数を示す。
    1b〜R4bは置換基を示し、n1〜n4は0〜3の整数を示す。
    およびZは単座の配位子であるか、またはZとZが互いに連結してなる2座の配位子である。
  9. 前記R1aおよびR2aのうち少なくとも1つが前記の−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、前記R3aおよびR4aのうち少なくとも1つが芳香族基である、請求項8に記載のルテニウム錯体色素。
  10. 前記R3aおよびR4aが芳香族基であり、前記n3およびn4が0である、請求項8または9に記載のルテニウム錯体色素。
  11. 前記R1aおよびR2aが前記の−Si(ORS1S2 3−nを有する基であり、前記n1およびn2が0である、請求項8〜10のいずれか1項に記載のルテニウム錯体色素。
  12. 前記芳香族基がチエニル基である、請求項8〜11のいずれか1項に記載のルテニウム錯体色素。
  13. 前記ZおよびZがイソチオシアネート基である、請求項8〜12のいずれか1項に記載のルテニウム錯体色素。
  14. 請求項8〜13のいずれか1項に記載のルテニウム錯体色素と溶媒とを含有する色素溶液。
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