JP2012083440A - マゼンタトナー - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の顔料を用いたマゼンタトナーを懸濁重合法により製造する場合において、着色力を向上させ、長期にわたり現像スジ等の画像弊害を抑制したマゼンタトナーを提供する。
【解決手段】重合性単量体、ワックス、着色剤A、着色剤B、極性樹脂A及び極性樹脂Bを含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、水系媒体中で重合性単量体組成物を造粒して重合性単量体組成物の粒子を形成し、粒子中の重合性単量体を重合して得られるトナー粒子を含有するマゼンタトナーにおいて、着色剤Aがキナクリドン系顔料であり、着色剤Bがナフトール系顔料であり、極性樹脂Aがポリエステル樹脂であり、極性樹脂Bがカルボキシ基含有スチレン系樹脂であり、極性樹脂Bのテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量が8000乃至50000であるマゼンタトナー。
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真法、静電記録法、磁気記録法及びトナージェット法の如き記録方法に用いられるトナーに関するものである。
近年、電子写真法を用いた複写機やプリンターにおいて、地球温暖化問題への対応として、省エネルギー化の要望が高まっている。これらの機器において、紙やOHP(オーバーヘッドプロジェクタ)シート等のメディアに転写されたトナー像を、熱により永久定着させる定着プロセスは、特に大きな消費電力を必要とするため、低温定着化による消費電力の低減が望まれている。
定着プロセスとトナーの溶融特性は、画像品質に大きく関わるところであり、特にフルカラー画像形成装置においては、定着画像の溶融混色性や平滑性を高めて、高着色力、高光沢度、豊かな色再現性、OHPの高い透明性を表現できることが求められる。一般に、定着温度を低く設定すると、トナーの溶融熱量が不十分になり、画像光沢度や色再現性が低下傾向を示すと共に、定着画像の耐擦過性や耐剥離性能も劣ってくる。従って、低温定着プロセスに対応したトナーとしては、低熱量においても瞬時に溶融し、十分な定着性を示す性能が求められる。
一方で、プリンターの印字速度の高速化需要も年々高まってきており、トナーに対してはより一層の低熱量による定着品質の向上と、現像安定性をも兼ね備えるといった、厳しいスペックが要求される。これらの要求を満たすために、種々の機能性材料を添加した重合性単量体組成物を、水系媒体中で造粒し、重合反応を行うことで、トナーを製造する懸濁重合トナーが知られている。
懸濁重合トナーは、水系媒体中でトナーの油滴を形成するプロセスを経るため、連続相である水と分散相である油滴の界面特性の違いを利用することで、添加する機能性材料によるコア・シェル構造を形成できることが特徴である。特に、高い界面張力を有する離型剤を添加すると、油滴の中心に離型剤を存在させることができるため、定着性と現像性の両立に有利なトナーが得られる。
この様な特徴を有する懸濁重合トナーにおいて、更に低温定着特性を改良する目的で、結着樹脂を低分子量化、或いは低ガラス転移温度化したものや、定着補助材料を新たに添加したトナーが提案されている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。
しかし、本発明者らの検討によると、更なる低温定着特性を狙い、構成モノマーのアクリレート比率を高めた場合、特にマゼンタトナーにおいて、トナー粒子中の顔料分散性が劣り、着色力が損なわれるといった問題が生じることが分かった。
特開2006−215411号公報 特開2007−156298号公報 特開2008−268366号公報
本発明が解決しようとする課題は、複数の顔料を用いたマゼンタトナーを懸濁重合法により製造する場合において、着色力を向上させ、長期にわたり現像スジ等の画像弊害を抑制したトナーを提供することにある。
上記目的を達成するため、本出願に係る発明は、重合性単量体、ワックス、着色剤A、着色剤B、極性樹脂A及び極性樹脂Bを少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、前記水系媒体中で前記重合性単量体組成物を造粒して前記重合性単量体組成物の粒子を形成し、前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合して得られるトナー粒子を含有するマゼンタトナーにおいて、前記着色剤Aがキナクリドン系顔料であり、前記着色剤Bがナフトール系顔料であり、前記極性樹脂Aがポリエステル樹脂であり、前記極性樹脂Bがカルボキシ基含有スチレン系樹脂であり、前記極性樹脂Bのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量(Mw)が8000乃至50000であることを特徴とする。
本発明によれば、着色力を向上させ、長期にわたり現像スジ等の画像弊害を抑制したマゼンタトナーを得ることができる。
本発明は、懸濁重合トナーにおいて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂を添加することにより、複数のマゼンタ顔料の分散性を安定化させた、着色力の高いマゼンタトナーである。
本発明者らは、マゼンタ顔料の分散性が損なわれること無く、低温定着性を満足できるトナーについて鋭意検討を行った。特に顔料分散性については、水系媒体中で重合性単量体(モノマー)の油滴を造粒してから反応が進むにつれて低下する点と、重合性単量体中のアクリレート比率が高まる程低下する点に着目し、油滴内における材料間の相互作用について検討を重ねた。
その結果、油滴中で顔料の分散状態を安定化させるカルボキシ基含有スチレン系樹脂を存在させることにより、油滴の重合が完了するまで顔料分散状態を維持できることを見出し、本発明に至った。
本発明のマゼンタトナーは、重合性単量体、ワックス、着色剤A、着色剤B、極性樹脂A及び極性樹脂Bを少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、前記水系媒体中で前記重合性単量体組成物を造粒して前記重合性単量体組成物の粒子を形成し、前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合して得られるトナー粒子を含有するマゼンタトナーにおいて、前記着色剤Aがキナクリドン系顔料であり、前記着色剤Bがナフトール系顔料であり、前記極性樹脂Aがポリエステル樹脂であり、前記極性樹脂Bがカルボキシ基含有スチレン系樹脂であり、前記極性樹脂Bのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量(Mw)が8000乃至50000であることを特徴とする。
カルボキシ基含有スチレン系樹脂を油滴中に存在させることにより顔料の分散安定性が高まる明確なメカニズムは明らかになっていないが、本発明者らは以下のように考えている。
トナーを製造する際、水系媒体中で重合性単量体(モノマー)の油滴を造粒してから反応が進むにつれて、着色剤が再凝集しやすくなる。しかしながら、構造が類似するキナクリドン系顔料とナフトール系顔料を混在させることによって共存作用が働き、それぞれの顔料の再凝集が抑制されるようになる。しかし、重合性単量体中のアクリレート比率が高まると、顔料の再凝集抑制効果が得られ難くなる。そこで、カルボキシ基含有スチレン系樹脂を油滴中に存在させることで、カルボキシ基含有スチレン系樹脂のカルボキシ基により顔料の再凝集が抑制されると考えている。
また、カルボキシ基含有スチレン系樹脂は、極性を有しつつ結着樹脂となじみやすいスチレン系樹脂であるので、内層を形成する結着樹脂との密着性を充分確保しながら外層を形成することが可能である。そして、その外層中に顔料が凝集することなく分散するので
、着色力が向上するものと考えている。
一方、トナー粒子の最外層がカルボキシ基含有スチレン系樹脂である場合、トナー粒子の最表層に顔料が露出しやすくなり、現像スジ等の画像弊害の原因となるが、ポリエステル樹脂が存在することでトナー粒子の最外層にポリエステル樹脂層が形成され、顔料の露出を防ぐことができると考えている。
本発明において用いられるキナクリドン系顔料としては、下記構造式[1]で示されるものが挙げられる。
Figure 2012083440
[上記構造式[1]中、X及びXは、水素原子、塩素原子又はメチル基を示す。]
上記構造式[1]で示される化合物のうち、特に、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202が好ましく用いられる。
一方、本発明において用いられるナフトール系顔料としては、下記構造式[2]で示されるものが挙げられる。
Figure 2012083440
[上記構造式[2]中、R〜Rは、水素原子若しくはハロゲン原子、又は、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アニリド基及び(ジエチルアミノ)スルホニル基からなる群より選ばれる置換基を示し、Rは、−OH、−NH
Figure 2012083440
、及び
Figure 2012083440
からなる群より選ばれる置換基を示し、R〜Rは、水素原子若しくはハロゲン原子、又はアルキル基、アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選ばれる置換基を示す。]
上記構造式[2]で示される化合物のうち、特に、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド147、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド269が好ましく用いられる。
さらに、本発明において用いられるキナクリドン系顔料とナフトール系顔料は、従来公知の方法により、その表面を処理することが出来る。好ましい処理剤としては、ロジン、ロジン酸、不均化ロジン及びマレイン酸エステル樹脂を挙げることが出来る。
また、着色剤は、重合性単量体100質量部に対し、総量として1乃至20質量部添加して用いられることが好ましい。また、キナクリドン系顔料とナフトール系顔料の含有量の質量比率が、キナクリドン系顔料:ナフトール系顔料=15:85乃至85:15の範囲である場合、より共存効果が増すため好ましい。
本発明において用いられるカルボキシ基含有スチレン系樹脂としては、スチレン、並びに、アクリル酸単量体及びメタクリル酸単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種を共重合体成分として含有していることが好ましい。
その他の共重合成分としては、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル;アクリル酸ヒドロキシアルキル及びメタクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられる。
本発明において用いられるカルボキシ基含有スチレン系樹脂は、スチレンと、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸ヒドロキシアルキル及びメタクリル酸ヒドロキシアルキルからなる群より選ばれる少なくとも一種とを含むカルボキシ基含有スチレン系樹脂が好ましい。より好ましくは、スチレンと、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種と、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルからなる群より選ばれる少なくとも一種とを含むカルボキシ基含有スチレン系樹脂である。
なお、さらに好ましいカルボキシ基含有スチレン系樹脂としては、上述した具体例において、酸価及び水酸基価を有するスチレン系の共重合体が挙げられる。
カルボキシ基含有スチレン系樹脂の酸価が5.0乃至30.0mgKOH/gである場
合、トナー粒子中のカルボキシ基含有スチレン系樹脂層が結着樹脂との密着性を充分確保しながらトナー粒子の外層を形成しやすくなる。
また、カルボキシ基含有スチレン系樹脂の水酸基価が5.0乃至20.0mgKOH/gである場合、トナーの帯電安定性が向上し、カブリの発生がさらに抑制される。
さらに、カルボキシ基含有スチレン系樹脂は、低分子量成分の酸価をα(mgKOH/g)、高分子量成分の酸価をβ(mgKOH/g)としたとき、0.80≦α/β≦1.20であることが好ましい。この範囲にある場合、カルボキシ基含有スチレン系樹脂層において、低分子量成分と高分子量成分が均一に存在するため、低温定着性がさらに良くなる。ここで、本発明におけるカルボキシ基含有スチレン系樹脂の低分子量成分とは、前記カルボキシ基含有スチレン系樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された分子量分布において、ピーク分子量(Mp)となる溶出時間より後に溶出される樹脂成分のことであり、高分子量成分とは、ピーク分子量(Mp)となる溶出時間より前に溶出される成分のことである。
また、本発明においては、カルボキシ基含有スチレン系樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量(Mw)は、8000乃至50000であることが必須である。この範囲を外れると、顔料の再凝集抑制効果が十分に得られない。
ここで、本発明に好適に用いられるカルボキシ基含有スチレン系樹脂の製法に関して説明する。
本発明に用いるカルボキシ基含有スチレン系樹脂は溶液重合で作製することが好ましく、その際の重合温度は165℃以上200℃以下とすることが好ましい。重合温度を上記範囲とすることで、重合時の解重合が適度に進行し、α/βの値やカルボキシ基含有スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)を適切な値とすることができる。また、カルボキシ基含有スチレン系樹脂の単量体組成物中に含有される重合開始剤の種類及び量によってもカルボキシ基含有スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)を適切な値とすることができる。具体的には、重合開始剤の量を多くすることによりカルボキシ基含有スチレン系樹脂の重量平均分子量を低くすることができ、重合開始剤の量を少なくすることにより重量平均分子量を高くすることができる。
また、本発明に用いるカルボキシ基含有スチレン系樹脂の酸価は、当該カルボキシ基含有スチレン系樹脂の単量体組成物中に含有されるアクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の量により適切な値とすることができる。
また、本発明に用いるカルボキシ基含有スチレン系樹脂の水酸基価は、当該カルボキシ基含有スチレン系樹脂の単量体組成物中に含有されるアクリル酸ヒドロキシアルキル及びメタクリル酸ヒドロキシアルキルからなる群より選ばれる少なくとも一種の量により適切な値とすることができる。
本発明におけるカルボキシ基含有スチレン系樹脂の含有量は、重合性単量体100質量部に対して5乃至30質量部であることが好ましい。
また、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1.0質量部に対して、着色剤A及びBの総量が0.1乃至3.0質量部含有されていることが好ましい。
本発明において用いられるポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂は、スチレンやアクリレートモノマーを主成分とする分散質の油滴中で、重合が進むにつれて層分離し易いため、最表層に安
定したシェル層が形成される。均一なシェル層が形成はされると、耐久性が向上する。
また、ポリエステル樹脂の酸価がカルボキシ基含有スチレン系樹脂の酸価よりも小さいと、シェル層であるポリエステル樹脂とその内層であるカルボキシ基含有スチレン系樹脂の密着性が増し、耐久後半の転写性がより良くなる。
前記ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分と酸成分を以下に例示する。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA及びビスフェノール誘導体、さらには、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン及びノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコール等が挙げられる。
二価のカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及び無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸又はその無水物;炭素数6乃至18のアルキル又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸及びイタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物;トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4?ブタンテトラカルボン酸及びベンゾフェノンテトラカル
ボン酸の如き多価カルボン酸やその無水物が挙げられる。
本発明におけるポリエステル樹脂の含有量は、重合性単量体100質量部に対して1乃至10質量部であることが好ましい。
次に、本発明のマゼンタトナーを得る上で、必須の技術となる懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法を説明する。
重合性単量体、キナクリドン系顔料、ナフトール系顔料、ポリエステル樹脂、カルボキシ基含有スチレン系樹脂、及び必要に応じた他の添加物を、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル又は超音波分散機の如き分散機によって均一に溶解又は分散させる。得られた溶解物又は分散物に重合開始剤を加え、重合性単量体組成物を調製する。次に、前記重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に分散して粒子を形成(造粒)し、粒子中の重合性単量体を重合させることによってトナー粒子を製造する。前記重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に前記重合性単量体組成物を分散する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
本発明のマゼンタトナーに用いられる結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、エポキシ樹脂及びスチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。上記結着樹脂を構成する重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。前記ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体又は多官能性重合性単量体を使用することができる。
結着樹脂を生成するための重合性単量体としては、スチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン及びm−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、
メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル及びメタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体又はメタクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド及びメタクリル酸アミドの如きエン系単量体が挙げられる。
本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めると共に、トナーのTHF可溶成分の分子量を制御するために、結着樹脂を合成する時に架橋剤を用いてもよい。
二官能の架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び前記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤の添加量は、重合性単量体100.00質量部に対して、好ましくは0.05質量部乃至3.00質量部であり、より好ましくは0.10質量部乃至1.50質量部である。
本発明のマゼンタトナーに使用可能なワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレン及びポリプロピレンの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス及びキャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体(誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる);エステルワックス;ケトン;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス;シリコ−ンワックスが挙げられる。これらワックスは単独で、又は2種以上を併せて用いられる。
本発明に用いられるワックスの含有量は、重合性単量体100.0質量部に対して好ましくは3.0質量部乃至20.0質量部であり、より好ましくは6.0質量部乃至15.0質量部である。
更に、前記ワックスは、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時のDSC曲線において、最大吸熱ピーク温度が60℃乃至120℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは70℃乃至110℃である。
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化し、現像システムに応じて最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
トナーを負荷電性に制御する荷電制御剤としては、有機金属化合物及びキレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。また、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類なども挙げられる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン及び樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
また、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩の如きによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物などが挙げられる);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤が挙げられる。
本発明のマゼンタトナーにおいては、これら荷電制御剤を単独で又は2種類以上組み合わせて含有させることができる。
上記荷電制御剤の配合量は、重合性単量体100.0質量部に対して0.1質量部乃至20.0質量部が好ましく、より好ましくは0.5質量部乃至10.0質量部である。しかしながら、本発明のマゼンタトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナー規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含有させる必要はない。
本発明のマゼンタトナーに用いられる重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド及びtert−ブチル−パーオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
これらの重合開始剤の使用量は目的とする重合度により変化するが、一般的には、重合性単量体100質量部に対して3質量部乃至20質量部である。
用いられる重合開始剤の種類は重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合して使用される。
本発明において、水系媒体調製時に使用する分散安定剤としては、公知の無機系及び有機系の分散安定剤を用いることができる。
無機系の分散安定剤の例としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ及びアルミナが挙げられる。
また、有機系の分散安定剤の例としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩及びデンプンが挙げられる。
また、市販のノニオン型、アニオン型又はカチオン型の界面活性剤も使用することができる。この様な界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム及びオレイン酸カルシウムが挙げられる。
本発明のトナーに用いられる水系媒体調製時に使用する分散安定剤としては、無機系の難水溶性の分散安定剤が好ましく、さらに酸に可溶性である難水溶性無機分散安定剤を用いることが好ましい。
また、本発明においては、水系媒体を調製する場合におけるこれらの分散安定剤の使用量は、重合性単量体100.0質量部に対して0.2質量部乃至20.0質量部であることが好ましい。
また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部乃至3,000質量部の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
上記のような分散安定剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散安定剤の粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、分散安定剤を生成させて水系媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定剤を得ることができる。
本発明のマゼンタトナーは、トナー粒子と無機微粉体等の外添剤とを有するトナーであることが好ましい。
前記無機微粉体としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体及びアルミナ微粉体又はそれらの複酸化物微粉体の如き微粉体が挙げられる。前記無機微粉体の中でもシリカ微粉体及び酸化チタン微粉体が好ましい。
また、無機微粉体以外の外添剤として、各種樹脂粒子及び脂肪酸金属塩などが挙げられる。前記無機微粉体及びそれ以外の外添剤は単独で、又は複数を組み合わせて用いることが好ましい。
前記シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカ、ゾル−ゲル法により製造されるゾルゲルシリカなどが挙げられる。シリカ微粉体としては、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム及び塩化チ
タン等の如き金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体であっても良い。
また、前記無機微粉体を疎水化処理することによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上及び高湿環境下での特性の向上を達成できるので、疎水化処理された無機微粉体を用いることが好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナーとしての帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなり、耐久性が低下する傾向にある。
無機微粉体の疎水化処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物及び有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で、又は組み合わせて使用することができる。
上記疎水化処理された無機微粉体としては、シリコーンオイルにより疎水化処理された無機微粉体が好ましく、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時又は処理した後にシリコーンオイルにより疎水化処理した疎水化処理無機微粉体が、環境特性に優れるためより好ましい。
以下、本発明に係る各種測定方法について説明する。
<樹脂の重量平均分子量の測定>
樹脂又はトナーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
室温で24時間かけて、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.5質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で樹脂の分子量分布を測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の重量平均分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<樹脂の酸価の測定>
本発明における樹脂の酸価は、JIS K 0070−1992の方法に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998の方法に準じて作成されたものを用いる。
2)操作
(A)本試験
粉砕した測定試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定し、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときを滴定の終点とする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
3)酸価の算出
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<樹脂の水酸基価の測定>
本発明における樹脂の水酸基価(JIS水酸基価)は、以下の方法により求める。
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。結着樹脂の水酸基価はJIS K 0070−1992の方法に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
1)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム35gを20mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1リットル(l)とする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.5モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998の方法に準じて作成されたものを用いる。
2)操作
(A)本試験
粉砕した測定試料1.0gを200ml丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mlを、ホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mlで漏斗及びフラスコの壁を洗う。
指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときを滴定の終点とする。
(B)空試験
測定試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
3)水酸基価の算出
得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:結着樹脂の酸価(mgKOH/g)である。
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂の低分子量成分と高分子量成分の分取>
室温で24時間かけて、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.5質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の方法によりカルボキシ基含有スチレン系樹脂の低分子量成分と高分子量成分の分取を行う。
測定装置及び測定条件の具体例を以下に示す。
[装置構成]
LC−908(日本分析工業株式会社製)
JRS−86(同社製;リピートインジェクタ)
JAR−2(同社製;オートサンプラー)
FC−201(ギルソン社製;フラクッションコレクタ)
[カラム構成]
JAIGEL−1H〜5H(20φ×600mm:分取カラム)(日本分析工業株式会社製)
[測定条件]
温度:40℃
溶媒:THF
流量:5ml/min.
検出器:RI
分取方法は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)においてカルボキシ基含有スチレン系樹脂のピーク分子量(Mp)となる溶出時間を予め測定し、その前後をそれぞれ高分子量成分及び低分子量成分として分取する。なお、分取したサンプルから溶剤を除去し酸価測定用試料とする。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、実施例中及び比較例中の「部」及び「%」の記載は特に断りがない場合、全て「質量部」及び「質量%」である。
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例>
フラスコ内にキシレン300質量部を投入し、撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換した後、昇温して還流させる。
・スチレン 92.53質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 2.50質量部・メタクリル酸 2.48質量部・パーブチルD(日本油脂製) 2.00質量部
上記混合液を添加した後、重合温度を175℃、圧力を0.10MPaとして5時間重合を行った。その後、減圧下にて脱溶剤工程を3時間行い、キシレンを除去して、粉砕することでカルボキシ基含有スチレン系樹脂1を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂1の物性を表1に示す。
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂2の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、重合時の圧力を0.01MPaに変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂2を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂2の物性を表1に示す。
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂3の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、重合時の圧力を0.50MPaに変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂3を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂3の物性を表1に示す。
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂4の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、重合時の圧力を非加圧に変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂4を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂4の物性を表1に示す。
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂5の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、重合時の圧力を0.55MPaに変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂5を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂5の物性を表1に示す。
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂6の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.50MPaに変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂6を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂6の物性を表1に示す。
・スチレン 91.68質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部
・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 5.00質量部・メタクリル酸 0.83質量部・パーブチルD(日本油脂製) 2.00質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂7の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.50MPa変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂7を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂7の物性を表1に示す。
・スチレン 91.30質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 1.25質量部・メタクリル酸 4.95質量部・パーブチルD(日本油脂製) 2.00質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂8の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.55MPaに変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂8を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂8の物性を表1に示す。
・スチレン 91.68質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 5.00質量部・メタクリル酸 0.83質量部・パーブチルD(日本油脂製) 2.00質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂9の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.55MPaに変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂9を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂9の物性を表1に示す。
・スチレン 90.43質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 6.25質量部・メタクリル酸 0.83質量部・パーブチルD(日本油脂製) 2.00質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂10の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.50MPa変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂10を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂10の物性を表1に示す。
・スチレン 90.80質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.75質量部・メタクリル酸 4.95質量部・パーブチルD(日本油脂製) 2.00質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂11の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重
合時の圧力を0.55MPaに変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂11を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂11の物性を表1に示す。
・スチレン 90.76質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 6.25質量部・メタクリル酸 0.50質量部・パーブチルD(日本油脂製) 2.00質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂12の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.50MPa変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂12を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂12の物性を表1に示す。
・スチレン 90.98質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.75質量部・メタクリル酸 5.78質量部・パーブチルD(日本油脂製) 2.00質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂13の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.50MPa変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂13を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂13の物性を表1に示す。
・スチレン 91.30質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 1.25質量部・メタクリル酸 4.95質量部・パーブチルD(日本油脂製) 4.00質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂14の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.50MPaに変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂14を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂14の物性を表1に示す。
・スチレン 91.68質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 5.00質量部・メタクリル酸 0.83質量部・パーブチルD(日本油脂製) 1.00質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂15の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.50MPa変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂15を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂15の物性を表1に示す。
・スチレン 90.98質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.75質量部
・メタクリル酸 5.78質量部・パーブチルD(日本油脂製) 4.00質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂16の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.50MPaに変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂16を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂16の物性を表1に示す。
・スチレン 90.76質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 6.25質量部・メタクリル酸 0.50質量部・パーブチルD(日本油脂製) 1.00質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂17の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.50MPa変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂17を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂17の物性を表1に示す。
・スチレン 90.98質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.75質量部・メタクリル酸 5.78質量部・パーブチルD(日本油脂製) 4.50質量部
<カルボキシ基含有スチレン系樹脂18の製造例>
カルボキシ基含有スチレン系樹脂1の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.50MPaに変更することを除いて、カルボキシ基含有スチレン系樹脂1と同様にして製造し、カルボキシ基含有スチレン系樹脂18を得た。得られたカルボキシ基含有スチレン系樹脂18の物性を表1に示す。
・スチレン 90.76質量部・メタクリル酸メチル 2.50質量部・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 6.25質量部・メタクリル酸 0.50質量部・パーブチルD(日本油脂製) 0.85質量部
Figure 2012083440
(表1において、Mwは重量平均分子量、Avは酸価(mgKOH/g)、OHvは水酸基価(mgKOH/g)を表す。)
<ポリエステル樹脂1の製造例>
・テレフタル酸 15.00質量部・イソフタル酸 15.00質量部・ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物 70.00質量部・シュウ酸チタン酸カリウム 0.03質量部
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、上記各成分を仕込み、窒素雰囲気下、220℃で17時間反応を行い、更に10乃至20mmHgの減圧下で0.5時間反応させた。その後、180℃に降温し、無水トリメリット酸を0.10質量部添加して、175℃で2.0時間反応させ、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は9500、酸価(Av)は8.0mgKOH/gであった。
<ポリエステル樹脂2の製造例>
ポリエステル樹脂1の製造例において、無水トリメリット酸の添加量を0.05質量部に変更することを除いて、ポリエステル樹脂1と同様にして製造し、ポリエステル樹脂2を得た。得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は9500、酸価(Av)は4.0mgKOH/gであった。
<マゼンタトナー1の製造例>
スチレン60.0質量部に対して、C.I.ピグメントレッド122を6.0質量部、C.I.ピグメントレッド269を4.0質量部、荷電制御剤(ボントロンE88;オリエント化学工業社製)を1.0質量部用意した。これらを、アトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズを用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行い、顔料分散組成物を調製した。
一方、別容器に60℃に加温したイオン交換水900質量部及びリン酸三カルシウム2.5質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
また、下記材料をTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、5000rpmにて混合・分散した。
・顔料分散組成物 71.0質量部・スチレン 8.0質量部・n−ブチルアクリレート 32.0質量部・ポリエステル樹脂1 5.0質量部・カルボキシ基含スチレン系樹脂1 10.0質量部
上記混合分散物を60℃に加温した後、ワックス(HNP−9;日本精鑞社製)10.0質量部を投入し、30分間混合、分散を行い、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温した。5時間反応させた後85℃に昇温し、2時間反応させた。冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、2時間撹拌した。トナー粒子を濾別し、水洗を行った後、温度40℃にて48時間乾燥し、マゼンタトナー粒子1を得た。得られたマゼンタトナー粒子1の重量平均粒径(D4)をコールター・カウンターMultisizer3(ベックマン・コールター社製)で測定したところ、6.2μmであった。
マゼンタトナー粒子1(100.0質量部)に対し、ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粉体2.0質量部(数平均一次粒子径:16nm)をヘンシェ
ルミキサー(三井鉱山社製)で10分間乾式混合して、マゼンタトナー1を得た。マゼンタトナー1の各種物性を表3に示す。
<マゼンタトナー2の製造例>
マゼンタトナー1の製造例において、添加するC.I.ピグメントレッド122の量を8.5質量部に、C.I.ピグメントレッド269の量を1.5質量部に変更することを除いて、マゼンタトナー1の製造例と同様にしてマゼンタトナー2を製造した。得られたマゼンタトナー2の各種物性を表3に示す。
<マゼンタトナー3の製造例>
マゼンタトナー1の製造例において、添加するC.I.ピグメントレッド122の量を1.5質量部に、C.I.ピグメントレッド269の量を8.5質量部に変更することを除いて、マゼンタトナー1の製造例と同様にしてマゼンタトナー3を製造した。得られたマゼンタトナー3の各種物性を表3に示す。
<マゼンタトナー4乃至26の製造例>
マゼンタトナー1の製造例において、添加する着色剤及び極性樹脂の種類を、表2に示す組成に変更することを除いて、マゼンタトナー1の製造例と同様にしてマゼンタトナー4乃至26を製造した。得られたマゼンタトナーの各種物性を表3に示す。
Figure 2012083440
Figure 2012083440
(表3において、Mwは重量平均分子量、Avは酸価(mgKOH/g)、OHvは水酸基価(mgKOH/g)を表す。)
<実施例1>
上記マゼンタトナー1について、評価方法を具体的に示す。
評価機としてLBP7700C(キヤノン社製)の改造機を使用し、マゼンタカートリ
ッジにマゼンタトナー1を詰め替えた。常温常湿環境下(23℃、55%RH)において着色力、低温定着性の評価を行い、高温高湿環境下(30℃、80%RH)において現像スジ、カブリ、転写性の評価を行った。なお、現像スジ、カブリ、転写性の評価は、5%の印字比率の画像を8500枚印字後に行った。評価紙にはA4サイズのCLCカラーコピー用紙(キヤノン社製、秤量80g/m)を用いた。また、55℃において保存性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
(1)着色力
評価紙上のトナーの載り量が0.40mg/cm2であるベタ画像を作成し、その画像
濃度をカラー反射濃度計(X−RITE 404A:X−Rite Co.製)を用いて測定し、評価した。
(評価基準)
A:画像濃度が1.40以上(良好)
B:画像濃度が1.35以上、1.40未満(実用上問題なし)
C:画像濃度が1.20以上、1.35未満(実用限度)
D:画像濃度が1.20未満(実用上問題あり)
(2)現像スジ
トナーの載り量が0.2mg/cm2であるハーフトーン画像を作成し、画像上及び現
像ローラを目視で評価した。
(評価基準)
A:現像ローラ上にも、ハーフトーン画像上にも、縦スジは見られない。実用上全く問題ないレベル。
B:現像ローラに周方向の細かいスジが1〜3本あるものの、ハーフトーン画像上には、縦スジは見られない。実用上問題ないレベル。
C:現像ローラに周方向の細かいスジが数本あり、ハーフトーン画像上にも細かいスジが数本見られる。しかし、画像処理で消せるレベルで、実用上ほぼ問題ないレベル。
D:現像ローラ上及びハーフトーン画像上に多数本のスジが見られ、画像処理でも消せない。実用上問題のあるレベル。
(3)保存性
5gのトナーを100mlのポリカップに入れ、55℃(±0.5℃以内)の恒温槽で3日間放置した後、目視及び指で触って評価した。
(評価基準)
A:変化がみられず、非常に優れた保存性を示す。
B:流動性が若干低下するものの、優れた保存性を示す。
C:凝集物が発生するが、実用上問題ない保存性を示す。
D:凝集物をつまむことができ、容易には崩れない。保存性に劣る。
(4)カブリ
耐久後に白地部分を有する画像を出力し、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定した出力画像の白地部分の白色度と記録材の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。フィルターはグリーンフィルターを用いた。
(評価基準)
A: 1.0%未満(良好)
B: 1.0%以上2.0%未満(実用上問題なし)
C: 2.0%以上3.0%未満(実用限度)
D: 3.0%以上(実用上問題あり)
(5)転写性
トナーの載り量を0.45mg/cmに設定したベタ画像を出力する際、感光体上のトナー量と評価紙上のトナー量との重量変化から転写効率を求めた(感光体上トナー量が全量評価紙上に転写された場合を転写効率100%とする)。
(評価基準)
A:転写効率が95%以上(良好)
B:転写効率が90%以上95%未満(実用上問題なし)
C:転写効率が80%以上90%未満(実用限度)
D:転写効率が80%未満(実用上問題あり)
(6)低温定着性
評価紙としてBusiness4200(秤量105g/m、Xerox社製)を用
い、トナーの載り量を0.20mg/cmとしたハーフトーン画像を作像し、定着温度を150乃至200℃の範囲で変調して定着を行った。4.9KPaの荷重をかけつつ柔和な薄紙(商品名「ダスパー」、小津産業(株)製)により、得られた定着画像を5往復摺擦し、下式により画像濃度の低下率(%)を算出し、低下率が10%以下となった温度を定着開始温度とした。なお、画像濃度はカラー反射濃度計(X−RITE 404A:X−Rite Co.製)で測定した。
(式)
濃度低下率=(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)×100/摺擦前の画像濃度
(評価基準)
A: 160℃未満(良好)
B: 160℃以上、175℃未満(実用上問題なし)
C: 175℃以上、190℃未満(実用限度)
D: 190℃以上(実用上問題あり)
<実施例2乃至20、比較例1乃至6>
マゼンタトナー2乃至26を用いて、実施例1と同様の各評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 2012083440

Claims (5)

  1. 重合性単量体、ワックス、着色剤A、着色剤B、極性樹脂A及び極性樹脂Bを少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、前記水系媒体中で前記重合性単量体組成物を造粒して前記重合性単量体組成物の粒子を形成し、前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合して得られるトナー粒子を含有するマゼンタトナーにおいて、前記着色剤Aがキナクリドン系顔料であり、前記着色剤Bがナフトール系顔料であり、前記極性樹脂Aがポリエステル樹脂であり、前記極性樹脂Bがカルボキシ基含有スチレン系樹脂であり、前記極性樹脂Bのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量(Mw)が8000乃至50000であることを特徴とするマゼンタトナー。
  2. 前記極性樹脂Bの酸価が5.0乃至30.0mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載のマゼンタトナー。
  3. 前記極性樹脂Bの水酸基価が5.0乃至25.0mgKOH/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載のマゼンタトナー。
  4. 前記極性樹脂Aの酸価が前記極性樹脂Bの酸価よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマゼンタトナー。
  5. 前記極性樹脂Bにおいて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された分子量分布において、ピーク分子量(Mp)となる溶出時間より後に溶出される低分子量成分の酸価をα(mgKOH/g)、ピーク分子量(Mp)となる溶出時間より前に溶出される高分子量成分の酸価をβ(mgKOH/g)としたとき、0.80≦α/β≦1.20であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマゼンタトナー。
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