JP5901206B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は電子写真法、静電記録法、磁気記録法、及びトナージェット法の如き記録方法に用いられるトナーに関するものである。
従来、電子写真法においては光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷像を形成し、次いで静電荷像を、トナーを用いて現像し、紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱、加圧、加熱加圧或いは溶剤蒸気により定着し、画像を得る。
通常、画像形成に用いられるトナーには、定着性の向上を図るための添加剤として、離型剤が含有されている。しかしながら、離型剤を含有するトナーを、定着工程を含む画像形成方法で用いた場合には、トナーが高温条件下に曝されるために、離型剤に含まれる低分子量成分などの揮発しやすい成分が揮発して、定着装置が汚染されるなどの問題が生じる。
そこで、離型剤の加熱減量を規定したトナーが提案されている(特許文献1参照)。しかし、近年のトナーは、200℃以下の温度で定着が行われることが多く、300℃以上の高温下にトナーが曝されることはない。
そこで、離型剤の200℃での加熱減量を規定し、さらにはトナーの離型性を向上させるために、離型剤の溶融粘度を制御したトナーが提案されている(特許文献2参照)。だが、本発明者らの検討によると、高速プリント時の現像安定性を満足するためには、まだ改良の余地を有することが分かった。
特開2000−227674号公報 特開2003−195566号公報
本発明が解決しようとする課題は、定着装置の汚染を防止しつつ、現像性に優れたトナーを提供することにある。
上記目的を達成するため、本出願に係わる発明は、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有するトナーであって、前記ワックスは、i)パラフィンワックスまたはフィッシャートロプシュワックスであり、ii)0.2質量%減量温度が200℃以上、1.0質量%減量温度が250℃以上であり、iii)120℃における溶融粘度が3.0乃至15.0mPa・sであることを特徴とする。
本発明によれば、定着装置の汚染を防止しつつ、現像性に優れたトナーを得ることができる。
135℃におけるGPC−MALLS−粘度計分析によって測定される、絶対分子量の重量平均分子量(Mw)の常用対数〔log(Mw)〕を横軸に、粘度(Iv)の常用対数〔log(Iv)〕を縦軸にプロットした図である。
本発明者らは、上記課題を改善できるトナーについて鋭意検討を行った。特に、トナーに含有されるワックスについて検討を重ねた。その結果、ワックスの加熱減量、及び溶融粘度を制御することにより、上記効果が極めて有効に発現することを見出し、本発明に到った。
本発明では、熱重量分析(TGA)において、ワックスの0.2質量%減量温度が200℃以上であることが必要である。尚、“ワックスの0.2質量%減量温度”とは、ワックスを加熱して揮発や昇華させた時、揮発や昇華したワックスの累積量が加熱前のワックスを基準として0.2質量%になった時点の温度のことである。後述する“ワックスの1.0質量%減量温度”も同様である。通常、トナーの定着は200℃以下で行われるが、トナーの離型剤として用いられるワックスは低融点であるため、定着時の加熱の際、ワックスに含まれる低分子量成分が揮発或いは昇華し、定着装置を汚染することがある。そのため、ワックスの0.2質量%減量温度が200℃以上であれば、定着の際に揮発或いは昇華したワックスに含まれる低分子量成分に起因する、定着装置の汚染を良好に抑制でき、定着ムラの発生を抑えることができる。
また、ワックスの熱重量分析(TGA)において、200乃至300℃で減量する成分は、炭素数20乃至40の成分であると考えられる。これらの成分がトナー中に多く含まれると、トナーの帯電安定性を低下させ、カブリなどの画像弊害を生じることになる。このため、本発明ではワックスの1.0質量%減量温度が250℃以上であることが必要である。250℃での加熱減量が1.0質量%未満であれば、200乃至300℃で揮発或いは昇華するような成分の含有量が十分に少ないと考えられる。さらに、多数枚のプリント時でも帯電安定性が良好となるため、ワックスの1.0質量%減量温度が260℃以上であることがより好ましく、270℃以上であることが特に好ましい。
本発明のトナーに使用可能なワックスとしては、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス(所謂、フィッシャートロプシュワックス)及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコーンワックス。これらワックスは単独で、または2種以上を併せて用いられる。
本発明においては、ワックスは、120℃における溶融粘度が3.0乃至15.0mPa・sである必要がある。3.0Pa・s未満であると、トナーの堅牢性が低下し、トナーが現像装置内で割れやすくなるため、現像スジなどの弊害が発生しやすくなる。15.0mPa・sを超える場合には、ワックスと結着樹脂との相溶性が低下するために、トナー中でのワックスの分散性が低下し、現像装置内の部材を汚染し、現像スジなどの弊害が発生しやすくなる。ワックスの120℃における溶融粘度は5.0乃至10.0mPa・sであることがより好ましい。
本発明で規定する加熱減量を満たしつつ、120℃における溶融粘度が所定の範囲となるようなワックスは、例えば、低分子量側の成分を低減した複数のワックスをブレンドすることによって達成することができる。
ワックスの含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、好ましくは3.0質量部乃至20.0質量部であり、より好ましくは6.0質量部乃至15.0質量部である。
本発明のトナーは、135℃で抽出したオルトジクロロベンゼン(ODCB)可溶成分が、特定の分子量分布及び分子鎖の分岐度分布を有することが好ましい。
135℃で抽出したGPC−MALLS−粘度計分析では、分子サイズに基づかない分子量を求めることができ、より実態に近い樹脂成分の分子量(この分子量を絶対分子量と称す)を計測することができ、また、樹脂成分に含まれる高分子の分岐情報も得られる。そして、トナーについてオルトジクロロベンゼン(ODCB)を用いて高温(135℃)で抽出操作を行った場合には、常温ではODCB不溶成分として存在しているゲル成分も一部がODCB可溶成分として溶出してくる。そのため、ゲル成分の一部も含めたトナー粒子全体の分子量分布に近い分子量分布を知ることができる。
また、135℃という温度は目標とする定着温度に近いため、実際の定着時における樹脂成分の分子鎖の構造や絡み具合を直接的に把握することができる。
本発明のトナーに含まれるODCB可溶成分は、絶対分子量の重量平均分子量(Mw)が2.0×104乃至1.4×105であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)がこの範囲内であるということは、トナーの樹脂成分の組成としては比較的低分子量である。この場合、定着時の樹脂成分の粘度が比較的低いために、画像の光沢度が向上する。
GPC−MALLS−粘度計分析においては、直鎖型ポリマーと分岐型ポリマーの分布情報も得られる。一般に、高分子は分子量が大きくなるに従って、その構造の嵩高さの影響で粘度が上昇する。また、同一分子量の高分子で分岐度の異なる高分子の粘度を比較した場合、分岐度が高くなる程分子の広がりが抑制され、回転半径も小さくなるためその粘度が低下する。上記関係は、粘度(Iv)の常用対数〔log(Iv)〕を、絶対分子量(M)の常用対数〔log(M)〕に対してプロットした場合、構成モノマーに固有のリニアな直線関係を示すことが知られている。また、分岐度の高い成分を多く含む分布である程、直鎖状の成分のみからなる高分子の分布と比べて低粘度を示すため、この直線の傾きが小さくなる。
本発明のトナーは、GPC−MALLS−粘度計分析によって測定される、絶対分子量(M)の常用対数〔log(M)〕を横軸に、粘度(Iv)の常用対数〔log(Iv)〕を縦軸にプロットした際(図1に示す)に、全体の傾きをa、絶対分子量(M)の常用対数〔log(M)〕が5.00以上の領域の傾きをbとしたとき、b/aが0.30乃至0.95であることが好ましい。b/aが0.30乃至0.95にあるということは、高分子量側における分岐度が高いということを意味しており、この場合には、耐ホットオフセット性や低温定着性が良化し、トナーの定着可能な温度領域が広がる。
なお、本発明のトナーを構成する樹脂成分の分子量及び分岐度分布を制御し、上記aやbを調整するには、予め分子量と分岐度を制御した複数種の樹脂成分を、必要に応じて相溶化剤を用いて、ブレンドする方法や、重合法によってモノマーを重合して直接トナー粒子を製造する場合に、水素引き抜き効果の高い開始剤を選択し、添加方法や活性条件を調整することで架橋反応やグラフト重合をコントロールして分岐度を制御する方法を挙げることができる。また、モノマー種の選択や、架橋剤の添加によっても制御することができる。
本発明のさらに好ましい形態としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量(Mw)が10000乃至30000であるカルボキシル基含有スチレン系樹脂をトナー粒子が有することが好ましい。トナー粒子中に前記カルボキシル基含有スチレン系樹脂が存在することで、トナーが適度な柔軟性を有し、定着安定性や転写性が向上する。
本発明に使用することのできるカルボキシル基含有スチレン系樹脂としては、アクリル酸やメタクリル酸を少なくとも共重合体成分として用いて合成した、スチレン系の共重合体が挙げられる。さらに好ましくは、酸価と水酸基価を有するスチレン系の共重合体が挙げられる。
本発明における、カルボキシル基含スチレン系有樹脂の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、5乃至30質量部である。
次にトナーの製造方法について説明する。
本発明に用いられるトナー粒子は、どのような手法を用いて製造されても構わないが、懸濁重合法、乳化重合法、懸濁造粒法の如き、水系媒体中で造粒する製造法によって製造されることが好ましい。一般的な粉砕法により製造する場合、ワックス成分を多量にトナー粒子に含有させることは、技術的難易度が非常に高い。水系媒体中で造粒してトナー粒子を得る製造法は、ワックス成分を多量にトナー粒子に添加しても、トナー粒子表面にワックス成分を存在させず、内包化することができる。そのため、定着工程において、定着部材にトナーがオフセットし、加熱源を汚染することを極力防止することができる。その結果、長期にわたって、安定かつ高精細な画像を得ることができる。これら製造法の中でも懸濁重合法はワックス成分をトナー粒子中へ内包化し、カプセル構造となるため最適であり、現像ローラへのフィルミングなどの耐久性や保存性を飛躍的に向上させるのに適している。
以下、本発明に用いられるトナー粒子を得る上で好適な懸濁重合法を例示して、トナー粒子の製造方法を説明する。結着樹脂、着色剤、ワックス及び必要に応じた他の添加物を、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機に依って均一に溶解または分散させ、これに重合開始剤を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。次に、前記重合性単量体組成物を分散安定剤含有の水系媒体中に懸濁して重合を行うことによって、トナー粒子は製造される。上記重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、スチレン系樹脂及びアクリル系樹脂からなるビニル系共重合体や、ポリエステル樹脂等を使用することが可能であるが、分岐構造の再現性と現像性に特に優位なビニル系共重合体を用いた場合、現像安定性が更に高まるため好ましい。
ビニル系樹脂の中でも、スチレンとアクリル酸系モノマー(メタクリル酸系モノマーも含む)とを共重合して得られるスチレン−アクリル系樹脂が、本発明の分岐構造を精密に制御し易いため好ましい。
結着樹脂を生成するための重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。スチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体或いはメタクリル酸エステル系単量体。
本発明のトナーの製造時には、結着樹脂成分の分子量及び分岐度を制御する手段として、結着樹脂の合成時に架橋剤を用いることが好ましい。
本発明に用いられる架橋剤としては、2官能の架橋剤として、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたもの。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテート。これらの架橋剤の添加量は、前記重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下である。
結着樹脂の分子量及び分岐度を制御するために用いることのできる重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。好ましくは、重合反応時の反応温度における半減期が0.5時間以上30時間以下のものである。また重合性単量体100質量部に対し0.5質量部以上20質量部以下の添加量で用いればよい。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル如きのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド如きの過酸化物系重合開始剤等が例示できる。
結着樹脂の分岐度を好適な範囲に制御するためには、水素引き抜き効果の高い開始剤を重合反応初期から存在させればよく、反応性の高い雰囲気で重合する方法が挙げられる。水素引き抜き能の高い開始剤としては、有機過酸化物系の開始剤が好ましく、t−ブトキシラジカルを発生するパーブチル系の有機過酸化物の使用が最も好ましい。また、反応性の高い雰囲気とは、例えば開始剤の10時間半減期温度より10℃以上高い雰囲気である。
本発明においては、結着樹脂を構成する重合性単量体の重合度を制御する為に、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が好適である。例えば、モノアゾ金属化合物;アセチルアセトン金属化合物;芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸の金属化合物が挙げられる。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類などが挙げられる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
また、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩の如きによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。
荷電制御剤の好ましい配合量は、結着樹脂100.0質量部に対して0.1質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。しかしながら、本発明のトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナー規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含ませる必要はない。
本発明のトナーは、着色力を付与するために着色剤を必須成分として含有する。本発明に好ましく使用される着色剤として、以下の有機顔料、有機染料、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、C.I.15:3、15:4、60、62、66。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、282;C.I.ピグメントバイオレット19、23。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、C95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、上記イエロー系着色剤/マゼンタ系着色剤/シアン系着色剤を用い黒色に調色されたもの、或いは、磁性体が挙げられる。
これらの着色剤は、単独または混合し、更には固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
前記磁性体以外の着色剤の場合には、結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下添加して用いられることが好ましい。磁性体を着色剤として用いる場合には、結着樹脂100質量部に対し30質量部以上200質量部以下添加して用いられることが好ましい。
本発明に用いられるトナー粒子を水系媒体中で造粒する際、水系媒体調製時に使用する分散安定剤としては、公知の無機系及び有機系の分散安定剤を用いることができ、その中でも無機系の難水溶性の分散安定剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散安定剤を用いることが好ましい。
具体的には、無機系の分散安定剤の例としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。また、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。この様な界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。
上記のような分散安定剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散安定剤の粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、分散安定剤を生成させて水系媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定剤を得ることができる。
本発明のトナーは、トナー粒子と、無機微粉体等の外添剤とを有するトナーであることが好ましい。
前記無機微粉体としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体またはそれらの複酸化物微粉体の如き微粉体が挙げられる。前記無機微粉体の中でもシリカ微粉体及び酸化チタン微粉体が好ましい。また、無機微粉体以外の外添剤として、各種樹脂粒子、脂肪酸金属塩などが挙げられる。これらを単独で、あるいは複数を併用して用いることが好ましい。
前記シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカ、ゾル−ゲル法により製造されるゾルゲルシリカなどが挙げられる。無機微粉体としては、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他の如き金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体であっても良い。
前記無機微粉体を疎水化処理することによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成できるので、疎水化処理された無機微粉体を用いることが好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナーとしての帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなり、耐久性が低下する傾向にある。
無機微粉体の疎水化処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で或いは併用して用いられても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理無機微粉体が、環境特性に優れるため好ましい。
以下、本発明に係る各種測定方法について説明する。
<熱重量分析>
ワックスの熱重量分析は、熱重量測定装置TA−TGA2950(ティー・エー・インスツルメント社製)を用い、サンプルを入れたパンを40℃で1分間保持した後、酸素雰囲気下で、10℃/minの昇温スピードで600℃まで加熱することにより行った。
<溶融粘度>
ワックスの溶融粘度はE型回転粘度計を用いて測定される。粘度計としては、VT−500(HAAKE社製)を利用した。実施例においては、温度レギュレータ付きオイルバスにより測定温度を120℃にし、センサーにPK1,0.5°を使用し、シェアレート6,000s-1で測定した。
<GPC−MALLS−粘度計分析>
1.前処理
トナー0.1gを専用のろ過容器(例えば東ソー製溶解ろ過容器 ポアサイズ10μm)に入れ、ODCB 10mlとともに15ml試験管に入れる。これを溶液ろ過装置(例えば東ソー製DF−8020)を用い、135℃で24時間溶解させる。
24時間後、下記装置を用い、分析を行った。
2.分析条件
装置 :HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
DAWN EOS(Wyatt Technology社製)
高温差圧粘度検出器(Viscotek社製)
カラム:
TSKgel GMHHR−H(30)HT 7.8cm(ID)×30.0cm(L)TSKgel GMHHR−H(20)HT 7.8cm(ID)×30.0cm(L)TSKgel GMHHR−H HT 7.8cm(ID)×30.0cm(L)
3連(東ソー社製)
検出器1:多角度光散乱検出器 Wyatt DAWN EOS
検出器2:高温差圧粘度検出器
検出器3:ブライス型デュアルフロー式示差屈折計
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(ジブチルヒドロキシトルエンを0.05質量%添加)
流速:1.0ml/min
注入量:400μl
上記の装置を用いた場合、絶対分子量に基づく分子量分布及び粘度が、直接出力される。データ処理には、ASTRA for Windows(登録商標) 4.73.04(Wyatt Technology Corp.)を用い、解析時、(dn/dc)としては、スチレン−アクリル系樹脂での値0.068ml/gを用いた。
本発明における絶対分子量の重量平均分子量、及び分岐度を表す粘度(Iv)の常用対数〔log(Iv)〕を絶対分子量(M)の常用対数〔log(M)〕に対してプロットした際の傾きa及びbは、装置付属の専用ソフト「TriSEC GPCSoftware GPC−LS−Viscometry Module Version3.0 Rev.B.05.15」(Viscotek社製)を用い、Mark−Houwink−Sakurada Plotsを行って求めた。
絶対分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−10」、東ソー社製)を用いて、既知の分子量及び粘度(例えば前記F−10を用いた場合、重量平均分子量(Mw)96400、固有粘度0.411dl/g)より校正を行って求めた。
なお、本発明におけるトナーの全樹脂成分(A)は、135℃におけるGPC−MALLS−粘度計分析の3元同時出力プロファイルにおいて、粘度計が検出したクロマトグラムの全樹脂成分である。また、本発明におけるトナーの全樹脂成分における高分子量側の成分(B)は、該分析における絶対分子量の重量平均分子量(Mw)の常用対数〔log(Mw)〕の値が5.00以上の樹脂成分である。さらに、本発明における、全樹脂成分(A)の分岐度に対する高分子量側の樹脂成分(B)の分岐度の比は、上記で定義した各成分の傾きの比b/aを計算することにより求めた値である。
<カルボキシル基含有スチレン系樹脂の分子量測定>
カルボキシル基含有スチレン系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.5質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量(メインピーク分子量)の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、実施例中及び比較例中の部および%は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<ワックス1の調製例>
HNP−9(日本精鑞社製)2.0部、FNP−0090(日本精鑞社製)8.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス1を調製した。ワックス1の物性を表1に示す。
<ワックス2の調製例>
FNP−0090(日本精鑞社製)2.0部、FT105(日本精鑞社製)8.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス2を調製した。ワックス2の物性を表1に示す。
<ワックス3の調製例>
HNP−9(日本精鑞社製)6.0部、FNP−0090(日本精鑞社製)4.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス3を調製した。ワックス3の物性を表1に示す。
<ワックス4の調製例>
HNP−10(日本精鑞社製)6.0部、FNP−0090(日本精鑞社製)4.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス4を調製した。ワックス4の物性を表1に示す。
<ワックス5の調製例>
HNP−10(日本精鑞社製)8.0部、FT105(日本精鑞社製)2.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス5を調製した。ワックス5の物性を表1に示す。
<ワックス6の調製例>
HNP−9(日本精鑞社製)2.0部、HNP−11(日本精鑞社製)8.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス6を調製した。ワックス6の物性を表1に示す。
<ワックス7の調製例>
FT105(日本精鑞社製)3.0部、FT115(日本精鑞社製)7.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス7を調製した。ワックス7の物性を表1に示す。
<ワックス8の調製例>
HNP−11(日本精鑞社製)2.0部、FT115(日本精鑞社製)8.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス8を調製した。ワックス8の物性を表1に示す。
<ワックス9の調製例>
HNP−5(日本精鑞社製)7.0部、FT105(日本精鑞社製)3.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス9を調製した。ワックス9の物性を表1に示す。
<ワックス10の調製例>
HNP−11(日本精鑞社製)5.0部、SP−1035(日本精鑞社製)5.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス10を調製した。ワックス10の物性を表1に示す。
<ワックス11の調製例>
HNP−10(日本精鑞社製)2.0部、FT115(日本精鑞社製)8.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス11を調製した。ワックス11の物性を表1に示す。
<ワックス12の調製例>
HNP−5(日本精鑞社製)1.0部、HNP−10(日本精鑞社製)2.0部、FT115(日本精鑞社製)7.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス12を調製した。ワックス12の物性を表1に示す。
<ワックス13の調製例>
HNP−5(日本精鑞社製)8.0部、FT115(日本精鑞社製)2.0部を混合し、減圧条件下で加熱することにより、低分子量成分を除去し、ワックス13を調製した。ワックス13の物性を表1に示す。
Figure 0005901206
<カルボキシル基含有スチレン系樹脂1の調製例>
・スチレン(St) 1.65部
・メチルメタクリレート(MMA) 2.50部
・メタクリル酸(MAA) 3.35部
・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2HEMA) 2.50部
・パーブチルD(10時間半減期温度54.6℃、日本油脂社製) 2.00部
上記各成分を、4つ口フラスコ内でキシレン200部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し、140℃に昇温させた後、2時間かけて滴下した。更に、キシレン還流下で10時間保持し、重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去した。このようにして得られたカルボキシル基含有スチレン系樹脂1の重量平均分子量(Mw)は14500、ガラス転移温度(Tg)は92℃、酸価(Av)は20.3mgKOH/g、水酸基価(OHv)は10.0mgKOH/gであった。
<カルボキシル基含有スチレン系樹脂2及び3の調製例>
カルボキシル基含有スチレン系樹脂1の調製例において、パーブチルDの添加量を変更することを除いては、カルボキシル基含有スチレン系樹脂1の調製例と同様にしてカルボキシル基含有スチレン系樹脂2及び3を製造した。得られたカルボキシル基含有スチレン系樹脂2の重量平均分子量(Mw)は30000、ガラス転移温度(Tg)は92℃、酸価(Av)は20.3mgKOH/g、水酸基価(OHv)は10.0mgKOH/gであり、カルボキシル基含有スチレン系樹脂3の重量平均分子量は10000、ガラス転移温度(Tg)は92℃、酸価(Av)は20.3mgKOH/g、水酸基価(OHv)は10.0mgKOH/gであった。
<ポリエステル樹脂の製造例>
・テレフタル酸 15.00部
・イソフタル酸 15.00部
・ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物 70.00部
・シュウ酸チタン酸カリウム 0.03部
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、上記各成分を仕込み、窒素雰囲気下、220℃で17時間反応を行い、更に10乃至20mmHgの減圧下で0.5時間反応させた。その後、180℃に降温し、無水トリメリット酸を0.10部添加して、175℃で2.0時間反応させ、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は9500、ガラス転移温度(Tg)は73℃、酸価(Av)は8.0mgKOH/gであった。
<トナー1の製造例>
60℃に加温したイオン交換水1300質量部に、リン酸三カルシウム9.0質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、塩酸を加えてpH5.2の水系媒体を得た。
また、別容器にて、下記材料をプロペラ式撹拌装置にて溶解して樹脂溶解液を調製した。
・スチレン 70.00部
・n−ブチルアクリレート 30.00部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.00部
・カルボキシル基含有スチレン系樹脂1 10.00部
・上記ポリエステル樹脂 5.00部
・荷電制御剤(ボントロンE−88;オリエント化学社製) 1.00部
・ワックス1 9.00部
・ジビニルベンゼン 0.25部
次に、上記水系媒体中に上記樹脂溶解液を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10,000rpmで撹拌した。続けてパーブチルNHP(10時間半減期温度50.6℃、日本油脂社製)2.00部、パーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃、日本油脂社製)8.00部を加え、30分間撹拌して造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70.0℃に昇温した。5時間反応させた後、更に80.0℃に昇温して3時間反応させた。冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、3時間撹拌した。トナー粒子を濾別し、水洗を行った後、温度40℃にて48時間乾燥し、トナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1の重量平均粒径(D4)は6.0μmであった。
トナー粒子1(100.0部)に対し、ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粉体1.5部(数平均一次粒子径:16nm)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で10分間乾式混合して、トナー1を得た。トナー1の各種物性を表3に示す。
<トナー2〜10、12〜20、22〜25の製造例>
トナー1の製造例からの変更点を表2に示す。表2に記載されるように変更する以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜10、12〜20、22〜25を製造した。得られたトナーの各種物性を表3に示す。
<トナー11の製造例>
トナー10の製造における外添前のトナー粒子を110℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕した。粗粉砕物をジェットミル衝突式ジェットミル(日本ニューマチック工業社製)で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級してトナー粒子11を得た。得られたトナー粒子11の重量平均粒径(D4)は6.0μmであった。
トナー粒子11(100.0部)に対し、ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粉体1.5部(数平均一次粒子径:16nm)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で10分間乾式混合して、トナー11を得た。トナー11の各種物性を表3に示す。
<トナー21の製造例>
トナー11の製造例において、溶融混錬するトナー粒子を、トナー20の製造における外添前のトナー粒子に変更することを除いて、トナー11の製造例と同様にしてトナー21を製造した。得られたトナー21の各種物性を表3に示す。
Figure 0005901206
Figure 0005901206
〔実施例1〕
上記トナー1を用いて、以下に詳細を示す評価を行った。
評価機としてLBP9500C(キヤノン社製)の改造機(プロセススピード:240mm/sec)を使用し、トナーカートリッジ322II(シアン)にトナー1を詰めた。常温常湿環境下(23℃、55%RH)において、光沢度、低温定着性、耐ホットオフセット性、定着安定性の評価を行い、高温高湿環境下(30℃、80%RH)において、定着ムラ、カブリ、現像スジ、転写性の評価を行い、低温低湿環境下(15℃、10%RH)において、現像ローラへのフィルミングの評価を行った。なお、高温高湿環境下および低温低湿環境下での各評価は、それぞれの環境下にて5%の印字比率の画像を15000枚印字後に行った。
尚、低温定着性の評価以外においては、評価紙にはA4サイズのCLCカラーコピー用紙(キヤノン社製、秤量80g/m2)を用いた。
また、55℃において保存性の評価を行った。
評価結果を表4に示す。
(1)光沢度
評価紙上のトナーの載り量を0.50mg/cm2に設定し、長手方向に対して、先端から5cmのところから縦5cm、幅20cmのベタ画像、それ以降がベタ白という画像を出力させた。「PG−3D」(日本電色工業株式会社製)を用いて、測定光学部角度75°における定着画像の光沢度を測定した。
A:35以上
B:25以上35未満
C:20以上25未満
D:20未満
(2)低温定着性
評価紙としてBusiness4200(秤量105g/m2、Xerox社製)を用い、トナーの載り量を0.50mg/cm2としたベタ画像を作像し、定着温度を130乃至200℃の範囲で10℃毎に変えながら定着を行った。4.9kPaの荷重をかけつつ柔和な薄紙(例えば、商品名「ダスパー」、小津産業(株)製)により、得られた定着画像を5往復摺擦し、下式により画像濃度の低下率(%)を算出し、低下率が10%以下となった温度を定着開始温度とした。なお、画像濃度はカラー反射濃度計(X−RITE 404A:X−Rite Co.製)で測定した。
濃度低下率=(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)×100/摺擦前の画像濃度
A:定着開始温度が160℃未満
B:定着開始温度が160℃以上180℃未満
C:定着開始温度が180℃以上200℃未満
D:定着開始温度が200℃以上
(3)耐ホットオフセット性
トナーの載り量0.3mg/cm2で、5cm×5cm面積のハーフトーン画像を作像し、定着器通過時の評価紙の通紙方向後端部に、ホットオフセット現象(定着画像の一部が定着器の部材表面に付着し、更に、次周回で記録材上に定着する現象)が生じた時点の定着加熱部表面の温度を測定し、高温オフセット現象発生温度とし、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:発生温度が220℃以上
B:発生温度が210℃以上220℃未満
C:発生温度が200℃以上210℃未満
D:発生温度が200℃未満
(4)定着安定性
評価紙上のトナーの載り量が0.50mg/cm2であるベタ画像を作像し、出力した。得られた定着画像を画像面が外側になる様に折り曲げ、画像の欠損の度合いを目視で判定した。判定基準は以下のとおりである。
A:定着画像に欠損は発生しない。
B:折り目に極微量の欠損が認められた。
C:目視ではっきりと確認できる程度の画像欠損が発生する。
D:折り目を中心に著しい画像欠落が発生する。
(5)定着ムラ
評価紙上のトナーの載り量が0.50mg/cm2であるベタ画像を作像し、出力した。「PG−3D」(日本電色工業株式会社製)を用いて、測定光学部角度75°における定着画像の光沢度を測定した。一枚の評価紙上における光沢度の最大値と最小値との差を求めて定着ムラを下記基準により評価した。
A:光沢度差2.0%未満
B:光沢度差2.0%以上4.0%未満
C:光沢度差4.0%以上6.0%未満
D:光沢度差6.0%以上
(6)カブリ
初期及び耐久後に、白地部分を有する画像を出力し、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定した出力画像の白地部分の白色度と記録材の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。フィルターはアンバーライトフィルターを用いた。
A:1.0%未満
B:1.0%以上2.0%未満
C:2.0%以上3.0%未満
D:3.0%以上
(7)現像スジ
トナーの載り量が0.3mg/cm2であるハーフトーン画像を作成し、画像上及び現像ローラを目視で評価した。
A:現像ローラ上にも、ハーフトーン画像上にも、縦スジは見られない。
B:現像ローラに周方向の細かいスジが1乃至3本あるものの、ハーフトーン画像上には縦スジは見られない。
C:現像ローラに周方向の細かいスジが数本あり、ハーフトーン画像上にも細かいスジが数本見られる。
D:現像ローラ上及びハーフトーン画像上に多数本の顕著なスジが見られる。
(8)転写性
トナーの載り量を0.50mg/cm2に設定したベタ画像を出力する際、感光体上のトナー量と評価紙上のトナー量との質量変化から転写効率を求めた(感光体上トナー量が全量評価紙上に転写された場合を転写効率100%とする)。
A:転写効率が95%以上
B:転写効率が90%以上95%未満
C:転写効率が80%以上90%未満
D:転写効率が80%未満
(9)現像ローラへのフィルミング
トナーの載り量が0.3mg/cm2であるハーフトーン画像において、5%印字画像部と非印字画像部で濃淡ムラが発生していないか目視で評価した。その後、現像ローラ表面のトナーをエアーで吹き、現像ローラ表面の観察を行った。
A:画像上に濃淡ムラの発生がなく、現像ローラ表面もフィルミングなし。
B:画像上に濃淡ムラの発生はないが、現像ローラ表面に若干のフィルミングが確認される。
C:画像上に軽度な濃淡ムラ発生。
D:画像上に醜い濃淡ムラ発生。
(10)保存性
5gのトナーを100mlのポリカップに入れ、55℃(±0.5℃以内)の恒温槽で3日間放置した後、目視および指で触って評価した。
A:変化がみられず、非常に優れた保存性を示す。
B:流動性が若干低下するものの、優れた保存性を示す。
C:凝集物が発生するが、容易に崩れる。
D:凝集物をつまむことができ、容易には崩れない。保存性に劣る。
〔実施例2乃至21、比較例1乃至4〕
トナー2乃至25を用いて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 0005901206

Claims (4)

  1. 結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子と、無機微粉体を有するトナーであって、
    前記ワックスは、
    i)パラフィンワックスまたはフィッシャートロプシュワックスであり、
    ii)0.2質量%減量温度が200℃以上、1.0質量%減量温度が250℃以上であり、
    iii)120℃における溶融粘度が3.0乃至15.0mPa・sである、
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記ワックスは、1.0質量%減量温度が270℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 135℃におけるGPC−MALLS−粘度計分析によって測定される絶対分子量に関し、前記トナーのオルトジクロロベンゼン(ODCB)可溶成分の重量平均分子量(Mw)が、2.0×104乃至1.4×105であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 絶対分子量(M)の常用対数〔log(M)〕を横軸に、粘度(Iv)の常用対数〔log(Iv)〕を縦軸にプロットした際に、全体の傾きをa、絶対分子量(M)の常用対数〔log(M)〕が5.00以上の領域の傾きをbとしたとき、b/aが0.30乃至0.95であることを特徴とする請求項3に記載のトナー。
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