JP2012071517A - 不燃化粧板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易な構成でありながら良好な不燃性を有し、かつ表面平滑性に優れた不燃化粧板を提供する。
【解決手段】 セメント板又はケイ酸カルシウム板からなる無機基材上に、樹脂シーラー層、接着剤層及び化粧シートが順に積層された不燃化粧板であって、前記無機基材上の有機物の総量が260g/m以下であり、前記化粧シートが紙系基材の化粧シートであり、その坪量が40〜90g/mである不燃化粧板により、建築基準法上必要な不燃性を有しつつ、良好な表面平滑性の不燃化粧板を実現できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、住宅内装材、壁面材、天井材、リフォーム材、間仕切り板等に使用される不燃化粧板に関する。
建築物の壁面や天井等の住宅内装等に使用される化粧板には、火災等が生じた際の安全性確保のため不燃性の要請が高い。このような不燃性の化粧板の基材としては、不燃性や機械的強度に優れるケイ酸カルシウム板やセメント板が広く用いられてきた。しかし、ケイ酸カルシウム板やセメント板は表面平滑性が悪いため、凹凸表面への化粧シートの接着性や、凹凸表面が化粧シート表面へ反映されて化粧板の意匠性が悪化しやすい問題があった。これら問題に対し、例えば無機系基材の表面にシーラー層を設けて接着性を向上させる方法や、樹脂フィルム層を設けて表面平滑性を向上させる方法が用いられている。しかし、これらシーラー層や樹脂フィルム層は有機物であるため燃焼時の発熱量が多くなり、建築基準法による不燃認定の基準を満たすことが難しくなる。
このように、単純な構成では、ケイ酸カルシウム板やセメント板等の表面凹凸の大きな無機基材を使用した際に、不燃性を実現しつつ、かつ化粧シートの密着性や表面平滑性を確保することが困難であったことから、シーラー層や接着剤層等の有機材料中に無機系難燃材を含有させる手法が検討されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、これら無機系難燃材を使用すると当然に原料コストや製造コストが増大し、また、シーラー層や接着剤層の機能低下が生じる問題があった。
特開2008−62452号公報 特開2005−30022号公報 特開2008−143165号公報
本発明が解決しようとする課題は、簡易な構成でありながら良好な不燃性を有し、かつ表面平滑性に優れた不燃化粧板を提供することにある。
本発明の不燃化粧板は、セメント板又はケイ酸カルシウム板からなる無機基材上に、シーラー層、接着剤層及び化粧シートが順に積層し、無機基材上の有機物の総量を260g/m以下とすると共に、化粧シートに坪量が40〜80g/mである紙系基材の化粧シートを使用することで、建築基準法上必要な不燃性を有しつつ、良好な表面平滑性の不燃化粧板を実現できる。
本発明の不燃化粧板は、良好な不燃性と表面平滑性を有することから、建築物の壁紙や天井等の住宅内装に用いた際に、良好な意匠性を有しつつ高い安全性を実現できる。また、本発明の不燃化粧板は、高価な無機系難燃材を添加せず高い不燃性を実現でき、原料調達も容易であることから安価に製造可能である。さらに、無機系難燃材の添加による各層間の密着性低減や、各層の強度低下等を生じることがない。
本発明の不燃化粧板の構成例を示す概念断面図である。
本発明の不燃化粧板は、セメント板又はケイ酸カルシウム板からなる無機基材上に、シーラー層、接着剤層及び化粧シートが順に積層された不燃化粧板であって、無機基材上の有機物の総量が260g/m以下であり、化粧シートが坪量40〜80g/mである紙系基材の化粧シートの不燃化粧板である。
[無機基材]
本発明の不燃化粧板には、セメント板又はケイ酸カルシウム板を使用する。これら基材は難燃性が高いため良好な不燃性を有する不燃化粧板を実現できる。また、安価で加工性も良好であることから材料調達が容易であり、得られる不燃化粧板の取り回しも良好である。これらの基材は一般的に面が粗いため、シーラーなどの下地処理が必要となるが、本発明の構成をとることで必要な表面性能を確保できる。
また、これら基材の厚みは材質にもよるが、通常2〜15mmであり、発熱性や取り回し性、などの観点から2〜9mm以下のものが好ましい。
本発明に使用する基材には、他の層との密着性を高めるために、サンダー等の表面処理行われていても良い。特に化粧シートと積層する表面には、外観・物性の観点から、基準となる総発熱量を超過しない範囲内で、上記処理が施されていることが好ましい。
[樹脂シーラー層]
本発明の不燃化粧板は、樹脂シーラー層を使用することで、接着剤層や紙基材からなる化粧シート等の他層との組み合わせにおいて、好適な表面平滑性を実現できる。当該樹脂シーラー層としては、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂からなるシーラー層を使用でき、なかでもポリウレタン樹脂からなるシーラー層は生産性やコストに優れるため、好ましい。
樹脂シーラー層の塗布量は、不燃性及び表面平滑性を実現しやすいことから、30〜100g/mであることが好ましく、45〜85g/mであることがさらに好ましい。
なお、無機シーラーを使用した場合、発熱量を増大させずに表面性を向上させることができるが、高温での焼結などが必要など製造上の制約が多く、生産性に問題がある。
[接着剤層]
本発明に使用する接着剤層は、酢酸ビニル系、エチレン/酢酸ビニル共重合体系などのエマルジョン系接着剤や反応性ポリウレタンホットメルト接着剤などが使用できるが、生産性の観点から、反応性ポリウレタンホットメルト接着剤が好ましい。
接着剤層の塗布量は、不燃性及び表面平滑性を実現しやすく、反りを低減しやすいことから、40〜80g/mであることが好ましく、50〜70g/mであることがさらに好ましい。
また、接着剤層の厚さは不燃性及び表面平滑性を兼備するため、40〜80μm であることが好ましく、50〜70μmであることがさらに好ましい。
[化粧シート]
本発明の不燃化粧板に使用する化粧シートとしては、紙系基材を使用し、坪量が40〜80g/mである化粧シートを使用することで好適な表面平滑性と発熱量の低減を好適に実現できる。
当該紙質基材としては、建材用化粧紙として一般的に使用される紙質基材を適宜使用でき、例えば、上質紙、薄用紙、チタン紙、強化紙等を例示できる。なかでも、強度の優れる強化紙や、これらの紙に水性ラテックス、水性アクリル等の樹脂を含浸させたラテックス含浸紙等が好ましく、ラテックス含浸紙が特に好ましい。含浸紙の例としては、GFシリーズ、GFNシリーズ(興人製)、VCシリーズ(東海特種製紙製)、みなつき(リンテック製)などが挙げられる。本発明においては、これら紙質基材を化粧シートに使用することで、基材表面の不陸を隠蔽すると同時に、好適に発熱量を低減できる。
また、湿度に対する寸法安定性を向上させるために、上記紙基材に疎水性の合成繊維を含有するものや、不燃性を向上させるために、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤を含有するものも好ましく使用できる。
また、化粧板完成後の表面品位を確保するためには一定以上の厚みが求められ、一方で発熱量を抑制するために厚みが制限されることから、紙基材としての坪量が40〜80g/m以内であることが好ましく、45〜65g/mであることが好ましい。
本発明の化粧シートは、紙基材の表面に意匠面を有することが好ましい。当該意匠面は、グラビア印刷、オフセット、転写等の任意の方法により形成できる。なかでも、グラビアとすることで、高い意匠性を実現できる。また、印刷表面には、耐擦傷性や、耐汚染性等を付与するために、ウレタン樹脂等のトップコートを設けることが望ましい。
以上のように、意匠面の印刷は、用途に応じて任意の構成にて設ければ良いが、不燃性能を損なわないよう、インキ及びトップコートの塗布量を調節する必要がある。発熱量と塗布量の相関関係は樹脂系により異なるが、グラビア印刷に一般的に使用されるアクリルインキ、硝化綿アルキドなどとウレタン樹脂のトップコートの組み合わせの場合、合計塗布量を30g/m以下ですることで、最終的な発熱量を抑制しやすくなるため好ましい。
本発明に使用する化粧シートは、坪量が、40〜90g/m以内であることが好ましく、50〜80g/mであることが好ましい。本発明に使用する化粧シートは、坪量を40〜90g/mとすることで、低い発熱量であっても良好な表面平滑性を実現できる。
本発明に使用する化粧シートの厚さは、表面平滑性確保のため、40〜90μmの厚さであることが好ましく、50〜80μmであることが、さらに好ましい。
[不燃化粧板]
本発明の不燃化粧板は、上記無機基材の表層に一定以上の厚みを持ちながら燃焼カロリーの少ない紙質基材の化粧シートを接着剤層と樹脂シーラー層とを介して設け、無機基材上の有機物量を260g/mとした不燃化粧板である。当該構成とすることで、化粧シートの厚みが基材層表面の不陸を緩和し、表面の平滑性が確保できる。また、化粧シートの基材を紙質基材とすることで、特に燃焼試初期の瞬間発熱量を低減することができる。好適な表面性と不燃性とを兼備できる。
上記基材と化粧シートとの積層はラミネートによる積層を好ましく使用でき、ラミネート手法としては、酢酸ビニル系、エチレン酢ビ共重合系水性ビニルウレタン系接着剤等の基材塗布による手法或いは反応性ホットメルト接着剤のシート塗布による手法が使用される。
[実施態様]
本発明の不燃化粧板の好ましい使用態様としては、住宅のキッチンパネルが例に挙げられる。同用途は日常空間の一部であり、頻繁に目にすることから高い表面意匠性が求められる。また、近距離で頻繁に火が使用される部位でもあり、十分な不燃性が求められる。
(実施例1)
<化粧シートの調製>
坪量60gの含浸紙(GFN−60 興人製)を基材とし、グラビア印刷方式でアクリルウレタンインキの絵柄層及びウレタンのトップコート層を塗布量15g/mになるように印刷を行うことで、坪量75g/m、厚さ65μmの化粧シートを得た。
<不燃基材の調製>
不燃基材繊維強化セメント板(ニューバームライト ノザワ製)の表面をサンダー後に樹脂シーラー(ミリオネートMR−100 日本ポリウレタン製)を塗布量60g/mで塗布・乾燥させることで基材表面を調整した。
<不燃化粧板の調整>
ダイコーターを使用してウレタン系反応性ホットメルト接着剤(FH−100 DIC製)を調整した化粧シートの面に50g/m塗布し、ラミネートすることで、化粧面を形成し、ロールにてプレスして厚さ3mmの不燃化粧板を得た。
(実施例2)
<化粧シートの調製>
坪量50gの含浸紙(PIP50 天間特殊製紙製)を基材とし、グラビア印刷方式でアクリルウレタンインキの絵柄層及びウレタンのトップコート層を塗布量15g/mになるように印刷を行うことで、坪量65g/m、厚さ55μmの化粧シートを得た。
<不燃基材の調製>
不燃基材繊維強化セメント板(ニューバームライト ノザワ製)の表面をサンダー後にシーラー(ミリオネートMR−100 日本ポリウレタン製)を塗布・乾燥させることで基材表面を調整した。
<不燃化粧板の調整>
上記にて得られた化粧シート及び不燃基材を使用し、実施例1と同様にして不燃化粧板を得た。
(比較例1)
<化粧シートの調製>
坪量23gの強化紙(サラシプリント23 天間特殊製紙製)を基材とし、グラビア印刷方式でアクリルウレタンインキの絵柄層及びウレタンのトップコート層を塗布量15g/mになるように印刷を行うことで、坪量48g/m、厚さ29μmの化粧シートを得た。
<不燃化粧板の調整>
上記方法で調整した化粧シートを使用し、実施例1と同様の手法で厚さ3mmの不燃化粧板を得、比較例1とした。
(比較例2)
<化粧シートの調製>
坪量80gの含浸紙(GF80 興人製)を基材とし、グラビア印刷方式でアクリルウレタンインキの絵柄層及びウレタンのトップコート層を塗布量15g/mになるように印刷を行うことで、坪量95g/m、厚さ85μmの化粧シートを得た。
<不燃化粧板の調整>
上記方法で調整した化粧シートを使用し、実施例1と同様の手法で厚さ3mmの不燃化粧板を得、比較例2とした。
(比較例3)
<化粧シートの調製>
坪量68gのPETフィルム(A4100 東洋紡製)を基材とし、グラビア印刷方式でアクリルウレタンインキの絵柄層及びウレタンのトップコート層を塗布量15g/mになるように印刷を行うことで、坪量83g/m、厚さ55μmの化粧シートを得た。
<不燃化粧板の調整>
上記方法で調整した化粧シートを使用し、実施例1と同様の手法で厚さ3mmの不燃化粧板を得、比較例3とした。
(比較例4)
<化粧シートの調製>
坪量98gのPETフィルム(A4100 東洋紡製)を基材とし、グラビア印刷方式でアクリルウレタンインキの絵柄層及びウレタンのトップコート層を塗布量15g/mになるように印刷を行うことで、坪量113g/m、厚さ80μmの化粧シートを得た。
<不燃化粧板の調整>
上記方法で調整した化粧シートを使用し、実施例1と同様の手法で厚さ3mmの不燃化粧板を得、比較例4とした。
上記実施例及び比較例の不燃化粧板につき、以下の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<発熱性試験>
上記実施例及び比較例の不燃化粧板を100mm×100mmのサイズにカットし、JISA5430:2008の附属書JAに記載されている、コーンカロリーメーターによる発熱性試験を行い、20分試験の発熱性試験・評価方法を行った。総発熱量が8MJ/m以下であり、最高発熱速度が10秒連続して200kw/mを超えないものを合格とした。
<表面性>
得られた不燃化粧板の表面を目視で観察し、表面が平滑に仕上がって入れば○で、凹凸があれば×で評価した。なお、平滑性の評価基準は、化粧板を床に平置きし、15センチ間隔の2本の蛍光灯を用いて高さ150cmから光を照射し、化粧板表面の2本の蛍光灯像に歪みが見られないものを平滑(○)とした。
Figure 2012071517
Figure 2012071517
上記表から明らかなとおり、実施例1、2の本願発明の化粧板は、表面平滑性と不燃性を兼備するものであった。しかし、比較例1の化粧シートで不燃性は確保できるものの、表面性能は低下しており、シートの坪量が表面性に与える影響が大きいことを示していた。また、比較例2、4では、十分な表面性能を確保できていても、坪量が大きいことにより不燃性能が確保できなかった。さらに、比較例3では、いずれの性能も満たすことができなかった。
1 化粧シート
2 接着剤層
3 シーラー層
4 無機質基材
5 意匠面

Claims (4)

  1. セメント板又はケイ酸カルシウム板からなる無機基材上に、樹脂シーラー層、接着剤層及び化粧シートが順に積層された不燃化粧板であって、
    前記無機基材上の有機物の総量が260g/m以下であり、
    前記化粧シートが紙系基材の化粧シートであり、その坪量が40〜90g/mであることを特徴とする不燃化粧板。
  2. 前記紙系基材が、ラテックス樹脂含浸紙である請求項1に記載の不燃化粧板。
  3. 前記化粧シートの厚さが40〜90μmであり、前記接着剤層を形成する接着剤の塗布量が40〜80g/mである請求項1又は2に記載の不燃化粧板。
  4. 前記接着剤層が、ウレタン系反応性ホットメルト接着剤である請求項1〜3のいずれかに記載の不燃化粧板。
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