JP2012069762A - ナノインプリント方法およびそれを利用した基板の加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インクジェット法を用いてレジスト材料からなる液滴を塗布しナノインプリントを行う方法において、インクジェット法における主走査方向Smとライン状凹凸パターンP2のライン方向Ldとの交差角度であって、モールド2を押し付ける際の交差角度が30〜90°となるように、レジスト材料の粘度が8〜20cPであり、レジスト材料の表面エネルギーが25〜35mN/mであり、複数の液滴Dそれぞれの液滴量が1〜10plであり、複数の液滴Dの配置間隔が10〜1000μmである条件の下で、上記液滴Dを塗布し、雰囲気がHe雰囲気および/または減圧雰囲気である条件の下で、上記モールド2を押し付ける。
【選択図】図1B
Description
インクジェット法により基板上にレジスト材料からなる複数の液滴を塗布し、モールドのライン状凹凸パターンを基板の液滴が塗布された面に押し付けて基板上に液滴を拡張して、拡張した複数の液滴の結合からなるレジスト膜を形成するとともにレジスト膜にライン状凹凸パターンを転写するナノインプリント方法において、
液滴を塗布する際のインクジェット法における主走査方向とライン状凹凸パターンのライン方向との交差角度であって、モールドを押し付ける際の交差角度が30〜90°となるように、
レジスト材料の粘度が8〜20cPであり、レジスト材料の表面エネルギーが25〜35mN/mであり、複数の液滴それぞれの液滴量が1〜10plであり、複数の液滴の配置間隔が10〜1000μmである条件の下で、上記液滴を塗布し、
雰囲気がHe雰囲気および/または減圧雰囲気である条件の下で、上記モールドを押し付けることを特徴とするものである。
請求項1に記載のナノインプリント方法により、凹凸パターンが転写されたレジスト膜を基板上に形成し、
該レジスト膜をマスクとしてドライエッチングを行って、該レジスト膜に転写された凹凸パターンに対応した凹凸パターンを前記基板上に形成して、所定のパターンを有する基板を得ることを特徴とするものである。
本発明のナノインプリント方法の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、レジスト材料として光硬化性樹脂を用いてレジスト膜を光硬化させる光硬化方式のナノインプリントを例として説明する。
本実施形態で使用するSiモールドは、例えば以下の手順により製造することができる。まず、Si基材上に、スピンコートなどでノボラック系樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のアクリル樹脂などを主成分とするフォトレジスト液を塗布し、フォトレジスト層を形成する。その後、Si基材にレーザ光(又は電子ビーム)を所望の凹凸パターンに対応して変調しながら照射し、フォトレジスト層表面に凹凸パターンを露光する。その後、フォトレジスト層を現像処理し、露光部分を除去して、除去後のフォトレジスト層のパターンをマスクにしてRIEなどにより選択エッチングを行い、所定のパターンを有するSiモールドを得る。
光硬化性樹脂は、特に制限されるものではないが、本実施形態では例えば重合性化合物に、光重合開始剤(2質量%程度)、フッ素モノマー(0.1〜1質量%)を加えて調製された光硬化性樹脂を用いることができる。また、必要に応じて酸化防止剤(1質量%程度)を添加することもできる。上記の手順により作成した光硬化性樹脂は波長360nmの紫外光により硬化することができる。溶解性の悪いものについては少量のアセトンまたは酢酸エチルを加えて溶解させた後、溶媒を留去することが好ましい。
Siモールドに対しては、光硬化性樹脂の露光を可能とするために石英基板が好ましい。石英基板は、光透過性を有し、厚みが0.3mm以上であれば、特に制限されることなく、目的に応じて適宜選択される。例えば、石英基板表面をシランカップリング剤で被覆したものや、石英基板上にCr、W、Ti、Ni、Ag、Pt、Auなどからなる金属層を積層したものや、石英基板上にCrO2、WO2、TiO2などからなる金属酸化膜層を積層したものや、前記積層体の表面をシランカップリング剤で被覆したもの、などが挙げられる。金属層または金属酸化膜層の厚みは、通常30nm以下、好ましくは20nm以下、にする。30nmを超えるとUV透過性が低下し、光硬化性樹脂の硬化不良が起こりやすいためである。
Siモールドには転写するパターンとして直線状凹凸パターンが形成されている。「直線状凹凸パターン」とは、前述したライン状凹凸パターンであって、特にパターンを液滴に押し付けた際に、複数の液滴の楕円形状の長軸方向が一定の方向を向くような凹凸パターンを意味する。
基板上に光硬化性樹脂の液滴を配置する際は、インクジェットプリンターを用いる。光硬化性樹脂をノズルから吐出するインクジェットヘッドには、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式などが挙げられる。これらの中でも、液適量(配置された液滴1つ当たりの量)や吐出速度の調整が可能なピエゾ方式が好ましい。基板上に光硬化性樹脂の液滴を配置する前には、あらかじめ液滴量や吐出速度を設定及び調整する。例えば、液適量は、凹凸パターンの凹部の空間体積が大きい領域では多くしたり、凹部の空間体積が小さい領域や凹部がない領域では少なくしたりして調整することが好ましい。このような調整は、液滴吐出量(吐出された液滴1つ当たりの量)に応じて適宜制御される。具体的には、液滴量を5plと設定する場合には、液滴吐出量が1plであるインクジェットヘッドを用いて同じ場所に5回吐出するように、液滴量を制御する。本発明において、複数の液滴それぞれの液滴量は1〜10plである。液滴量は、例えば事前に同条件で基板上に吐出した液滴の3次元形状を共焦点顕微鏡等により測定し、その形状から体積を計算することで求められる。
モールドと基板間の雰囲気を減圧または真空雰囲気にした後に、モールドを押し付けることで残留気体を低減する。ただし、高真空雰囲気下では硬化前の光硬化性樹脂が揮発し、均一な膜厚を維持することが困難となる可能性がある。そこで、好ましくはモールドと基板間の雰囲気を、He雰囲気または減圧He雰囲気にすることで残留気体を低減する。Heは石英基板を透過するため、取り込まれた残留気体(He)は徐々に減少する。Heの透過には時間を要すため減圧He雰囲気とすることがより好ましい。減圧雰囲気は、1〜90kPaであることが好ましく、1〜10kPaが特に好ましい。
モールドを押し付けて光硬化性樹脂膜を形成した後、剥離させる方法としては、モールドまたは基板のどちらかの外縁部を保持し、他方の基板またはモールドの裏面を吸引保持した状態で、外縁の保持部もしくは裏面の保持部を押圧と反対方向に相対移動させることで剥離させる工程を少なくとも含んでなる。
なお、上記ナノインプリント方法の実施形態では、光硬化性樹脂を用いた光硬化方式のナノインプリントについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂を用いた熱硬化方式でもよい。
次に、本発明の基板の加工方法の実施形態について説明する。本実施形態では、Siモールドを原盤として、前述したナノインプリント方法を用いて基板の加工を行う。
まず、Si基材上に、スピンコートによりPMMAなどを主成分とするフォトレジスト液を塗布し、フォトレジスト層を形成した。その後、Si基材をXYステージ上で走査しながら、線幅100nm、ピッチ200nmの直線状凹凸パターンに対応して変調した電子ビームを照射し、10mm角(10×10mm)の範囲のフォトレジスト層全面に上記直線状凹凸パターンを露光した。その後、フォトレジスト層を現像処理し、露光部分を除去して、除去後のフォトレジスト層のパターンをマスクにしてRIEにより溝深さが80nmになるように選択エッチングを行い、直線状凹凸パターンを有するSiモールドを得た。
重合性化合物に、光重合開始剤およびフッ素モノマーを下記表1のように加えてそれぞれ調製された光硬化性樹脂R1〜R9を用いた。
石英基板の表面に、光硬化性樹脂との密着性に優れるシランカップリング剤であるKBM−5103(信越化学工業株式会社製)により表面処理をした。KBM−5103をPGMEA(Propylene Glycol Methyl Ether Acetate)で1質量%に希釈し、スピンコート法により基板表面に塗布した。続いて、塗布基板をホットプレート上で120℃、20分の条件でアニールし、シランカップリング剤を基板表面に結合させた。
ピエゾ方式のインクジェットプリンターであるFUJIFILM Dimatix社製DMP−2831を使用した。インクジェットヘッドには専用の、1plヘッドであるDMC−11601および10plヘッドであるDMC−11610を使用した。なお、これらのヘッドを用いて、所定の液滴量が得られるように、あらかじめ吐出条件を設定及び調整した。例えば、液滴量が5plの液滴は、1plの液滴を同じ場所に5回吐出することにより調整した。所定の領域内における上記直線状凹凸パターンの凹部の空間体積から残膜の厚みが約10nmとなるように液滴配置の密度を計算し、正方格子からなる液滴配置パターンを作成した。なお、本発明の効果を検証するため、この液滴配置パターンは、液滴配置欠陥として走査方向の液滴の配列のうち液滴が吐出されない列を1列分含むように敢えて作成した。この液滴配置パターンにおける格子間隔は、液滴1つ当たりの液滴量に応じて適宜変更され、液滴量が1plの場合は141μm、5plの場合は315μm、10plの場合は446μm、そして20plの場合は631μmとした。そして、以上のようにあらかじめ吐出条件を設定及び調整し、この液滴配置パターンに従い直線転写領域に液滴を配置した。
液滴配置パターンに対してSiモールド上の凹凸パターンを位置合わせするため、Siモールドと石英基板をギャップが0.1mm以下になる位置まで近接させ、石英基板の背面から顕微鏡で液滴配置パターンとモールド上の凹凸パターンを観察しながら、Siモールドまたは石英基板のステージを回転および移動させることにより、本発明における上記交差角度が所定の値となるように位置合わせをした。
石英基板およびSiモールドの外縁部を機械的に保持した状態、もしくはこれらの裏面を吸引保持した状態で、石英基板および/またはSiモールドを押圧と反対方向に相対移動させることでSiモールドを剥離し、凹凸パターン転写された光硬化性樹脂膜を得た。
凹凸パターンが転写された光硬化性樹脂膜をマスクにして、下記に示すようにドライエッチングを行い、光硬化性樹脂膜に形成された凹凸パターンに基づく凹凸形状を石英基板上に形成し、所定の凹凸パターンを有する石英モールドを得た。まず、パターン凹部に存在する残膜を酸素プラズマエッチングにより除去し、パターン凹部の石英基板を露出させた。その際、凹凸パターン領域内の最も厚い残膜を除去できる条件にあわせてエッチング量を設定した。次に、フッ素系ガスにより、パターン凸部をマスクにして石英基板のRIEを行った。エッチング深さが80nmになるようにRIEの条件を設定した。最後に、パターン凸部の残渣を酸素プラズマエッチングにより除去した。
得られた光硬化性樹脂膜の直線状凹凸パターンを光学顕微鏡(倍率50〜1500倍)の暗視野測定でインプリント欠陥の存否を検査した。まず、倍率50倍で2mm角(2×2mm)の視野を規定した。次に上記測定視野を維持しながら1cm角(1×1cm)の範囲を走査し、残留気体によるインプリント欠陥の存否を測定した。インプリント欠陥の存否の測定は、正常なパターンでは確認されない散乱光を検出することにより行った。以上のような手順により、インプリント欠陥の数を求め、上記1cm角中のインプリント欠陥数が0個の場合を1点、1個以上の場合を0点とした。
それぞれの光硬化樹脂膜について、液滴配置欠陥が生じた領域における凹凸パターン部の残膜の厚みを測定した。当該測定は、光硬性樹脂膜の液滴配置欠陥が生じた領域における光硬性樹脂膜の一部を、スクラッチおよびテープ剥離等により剥離して石英基板を露出させ、光硬性樹脂膜が存在する領域と当該膜を剥離した領域との境界部分を原子間力顕微鏡で測定することにより実施した。残膜の厚みの具体的な値は、液滴配置欠陥が生じた領域を横断するように、任意の10箇所を測定して得られた、それらの測定値の平均値とした。光硬性樹脂膜の残膜は基板の加工工程の前に結局は除去されるものであるが、液滴配置欠陥が生じた領域における残膜の厚みは、液滴配置欠陥が生じなかった領域における残膜の厚みとの関係から、ある程度の厚みを有することが好ましい。そこで、液滴配置欠陥が生じた領域における残膜の厚みhが、5≦h<15nmの場合を2点、0<h<5nmの場合を1点、h=0nmの場合を0点とした。
上記モールド押付け工程における上記接触から液滴間に存在する残留気体が縮小し消滅するまでの時間を、レジスト材料の充填時間として検討した。充填時間が、10秒未満の場合を2点、10秒以上1分未満の場合を1点、1分以上の場合および残留気体が消滅しない場合を0点とした。
下記表2に示すように、本発明の実施例1〜12によって得られた光硬化性樹脂膜は、Siモールドの直線状凹凸パターンを正確に反転し、残膜の厚みムラおよびインプリント欠陥のない膜であった。また、本発明の実施例1〜12によって得られた光硬化性樹脂膜は、短時間で得ることができた。
2 モールド
3 基板
10 インクジェットヘッド
21 液滴配置欠陥
22 インプリント欠陥
D 液滴
Ld ライン方向
P1 ライン状凹凸パターン
P2 直線状凹凸パターン
P5 液滴配置パターン
R ライン転写領域
R2 直線転写領域
Sm 主走査方向
Ta 周期
Tb 周期
U 基本単位格子
Claims (3)
- インクジェット法により基板上にレジスト材料からなる複数の液滴を塗布し、モールドのライン状凹凸パターンを前記基板の前記液滴が塗布された面に押し付けて該基板上に前記液滴を拡張して、拡張した複数の該液滴の結合からなるレジスト膜を形成するとともに該レジスト膜に前記ライン状凹凸パターンを転写するナノインプリント方法において、
前記液滴を塗布する際のインクジェット法における主走査方向と前記ライン状凹凸パターンのライン方向との交差角度であって、前記モールドを押し付ける際の交差角度が30〜90°となるように、
前記レジスト材料の粘度が8〜20cPであり、前記レジスト材料の表面エネルギーが25〜35mN/mであり、前記複数の液滴それぞれの液滴量が1〜10plであり、前記複数の液滴の配置間隔が10〜1000μmである条件の下で、前記液滴を塗布し、
雰囲気がHe雰囲気および/または減圧雰囲気である条件の下で、前記モールドを押し付けることを特徴とするナノインプリント方法。 - 前記レジスト材料が光硬化性樹脂であることを特徴とするナノインプリント方法。
- 請求項1または2に記載のナノインプリント方法により、凹凸パターンが転写されたレジスト膜を基板上に形成し、
該レジスト膜をマスクとしてドライエッチングを行って、該レジスト膜に転写された凹凸パターンに対応した凹凸パターンを前記基板上に形成して、所定のパターンを有する基板を得ることを特徴とする基板の加工方法。
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