以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明に係る籾摺り処理システムを適用した穀物調製設備のフローシートであり、図2は同穀物調製設備の正面右側から見た斜視図であり、図3は、同穀物調製設備の正面左側から背面側に回り込んで見た斜視図である。
図1に示すように、穀物調整設備1は、原料昇降機10、ロールタンク11、脱ぷ風選装置12、混合粒昇降機13、一番物ホッパー14、揺動選別装置15、玄米昇降機16などが備えられており、籾を原料として供給することで、設備制御装置18(図2参照)にて各部の制御を行いながら脱ぷ、選別を行い、玄米を製造するための設備である。
穀物調整設備1は、図2及び図3に示すように、脱ぷ風選装置12を揺動選別装置15上に載設して構成しており、揺動選別装置15上部の外周囲に作業フロア2aが横外方への張出し状に設けられるとともに、作業フロア2aへの昇降移動用の階段2bが設けられている。
先ず、図1のフローに沿って各図面を参照しながら、各部の構成について説明する。図1に示すように、原料昇降機10は、前工程の粗精選処理を終えた原料籾を供給口10aに供給することで、籾を上昇搬送する。搬送された籾は、原料昇降機10の上端に形成された原料出口10bから流出し、ロールタンク11内へ落下する。
ロールタンク11は、籾を一時貯留するためのものであり、その取出し口11aに設けられた原料供給機構11bにより、脱ぷ風選装置12へ籾を定量供給する機能を有している。
また、原料供給機構11bは、設備制御装置18に電気的に接続されており、設備制御装置18から送信される原料供給量制御信号に応じた量の籾を脱ぷ風選装置12へ供給するよう構成している。
脱ぷ風選装置12は、供給された籾の脱ぷ処理を行うロール式脱ぷ部25と、脱ぷ処理後の処理物から籾殻を除去する風選部26とを備えている。
ロール式脱ぷ部25は、内蔵した一対の脱ぷロール20L,20R間の圧着により籾摺り処理を行う部位である。
具体的に説明すると、ロールタンク11から供給された籾は、図4に示す原料通路21を通じて、ロール式脱ぷ部25内の一対の脱ぷロール20L,20R上に落下される。脱ぷロール20L,20Rは、脱ぷロールモータ20a(図5参照)の駆動により互いに異なるスピードで内巻き方向へ回転しており、落下した籾を挟み付けてロールに圧着させ、摩擦することにより脱ぷ処理を行う。
また図5に示すように、ロール式脱ぷ部25には、固定されている脱ぷロール20Rに対して脱ぷロール20Lを接近させたり離隔させる脱ぷロール圧着力調整機構20bが配設されており、脱ぷロール20L,20R間を通過する籾への圧着力を調整可能としている。この脱ぷロール圧着力調整機構20bは、エア圧力調整部28aと、エアシリンダ28bと、ロール揺動部28c(図7(a)参照)とを備えている。
エア圧力調整部28aは、設備制御装置18と電気的に接続されており、設備制御装置18から送信される圧着力調整信号を受信することにより、内部に備えられたレギュレータ(図示せず)を調節し、エアシリンダ28bに供給する圧搾空気の圧力制御を行う。
エアシリンダ28bは、エア圧力調整部28aとエアチューブ20cを介して接続されており、送給される圧搾空気の圧力に応じてピストンロッド28dを伸縮させる。
ロール揺動部28cは、エアシリンダ28bのピストンロッド28dの伸縮により、脱ぷロール軸17Lを、図6に示す揺動軸29aを中心とする回動軌跡周りに移動させるための機構である。
ロール揺動部28cは、図6及び図7(a)に示すように、揺動軸29aと、同揺動軸29aを挿通させた円筒状の揺動軸外筒体29bと、脱ぷロール20Lを回転させる脱ぷロール軸17Lを挿通させた円筒状の脱ぷロール軸外筒体29dと、両外筒体29b,29dを接続する外筒体連結片29eとを備えている。
また、脱ぷロール軸外筒体29dの外周面には、前述のピストンロッド28dの先端が連結されており、同ピストンロッド28dが伸縮することにより、図7(a)及び(b)に示すように、脱ぷロール軸17Lを、揺動軸29aを中心とする円弧軌跡上で揺動させ、脱ぷロール20L,20R間を通過する籾への圧着力を調整可能に構成している。
図4の説明に戻ると、脱ぷロール20L,20Rにて脱ぷ処理された処理物は、案内板22a,22bに案内されて落下口23から風選部26へ落下する。なお、ここで処理物には、脱ぷ処理により生じた玄米、籾殻の他、未脱ぷ籾や、しいな(未熟米)等が含まれている。
風選部26では、脱ぷ風選装置12の下部に設けられた吸気ファン24(図1参照)の吸引力によって内部の空気が流動しており、この流動する空気によって、籾殻の除去を行う。
具体的には、風選部26は、図4に示すように、同風選部26の略中央部に開口した吸引口27から前述の吸気ファン24により風選部26内部の空気を吸引しつつ、脱ぷ風選装置12の下方に形成した空気入口37から空気を流入させることにより、風選部26内部に気流を発生させるようにしている。
また、風選部26の内部は、処理物を適正に分離できるよう、仕切を設けて空気流路を形成しており、分離された処理物を適宜搬出できるよう構成している。
すなわち、風選部26には、裏面壁30に複数の板状体を断続的に立設して内部空間31の左下側から右上方向へかけて形成した風選案内板32と、風選案内板32の右上側先端部に達した気流を下方へ向けて案内する円弧状案内板33と、同円弧状案内板33に沿って下方へ案内された気流を風選案内板32の下面側へ案内する吸引口案内板34とが備えられている。
風選案内板32は、大別して3つの部位から構成している。すなわち、図中左側端部の低い位置に配設された第1風選案内板32aと、風選案内板32の略中央位置に配設された第2風選案内板32bと、同中途部から右上端にかけて配設され先端部を下方へ向けて円弧状に湾曲させた第3風選案内板32cとがそれぞれ間隔を隔てて配設されている。
第1風選案内板32aは、空気入口37から流入する空気流を風選部26の左側へ案内するための案内板である。
第2風選案内板32b及び第3風選案内板32cは、案内板22bとの間に選別風路32dを形成して、気流とともに処理物を案内しながら風選するための案内板である。
また、第1風選案内板32aと第2風選案内板32bとの間には、気流に流されにくい玄米や未脱ぷ籾(以下、一番物ともいう。)を取出す一番取出部35が備えられており、同一番取出部35に配設された一番取出オーガ35aを駆動することにより、脱ぷ風選装置12の裏面から一番物を取り出すことができるよう構成している。また、一番取出部35の裏面側には、混合粒昇降機13の供給口13aが配置されており、取り出された一番物は、一番物ホッパー14に投入されるべく、混合粒昇降機13によって上方搬送される。
また、第2風選案内板32bと第3風選案内板32cとの間には、やや気流に流されやすいしいなを取出す二番取出部36が備えられており、同二番取出部36に配設された二番取出オーガ36aを駆動することにより、図4中紙面手前側に搬送されて二番落下路36bを介して穀物調整設備1の左側面部に設けた二番取出口36c(図2参照)より取り出されるよう構成している。
そして、最も気流に流されやすい籾殻は、風選案内板32の右上端部に至ると、円弧状案内板33に気流とともに案内されて、塵埃分離室38に至る。この塵埃分離室38は、第3風選案内板32cと、円弧状案内板33と、吸引口案内板34に囲まれた比較的広い断面積を有する空間であり、気流の速度を低下させて気流から籾殻を重力分離させるようにしている。
また、図4に示すように、塵埃分離室38の下部には、重力分離された籾殻を取出すための籾殻取出部39が備えられており、同籾殻取出部39に配設された籾殻取出オーガ39aを駆動することにより、脱ぷ風選装置12の裏面から取出すことができるように構成している。
籾殻が分離された気流は、第3風選案内板32cの湾曲先端部と吸引口案内板34との間の排風口40を通り、第3風選案内板32cの下面に沿いつつ吸引口27から吸引される。
図1に示すように、脱ぷ処理に供された一番物は、混合粒昇降機13により上昇搬送されて一番物ホッパー14に貯留される。
一番物ホッパー14は、一番物を一時貯留するためのものであり、その取出し口14aに設けられた一番物供給機構14bにより、揺動選別装置15へ一番物を定量供給する機能を有している。
また、一番物供給機構14bは、設備制御装置18に電気的に接続されており、設備制御装置18から送信される一番物供給量制御信号に応じた量の一番物を揺動選別装置15へ供給する。
揺動選別装置15は、図8及び図9に示すように、外面ケーシング50により略密閉状に囲まれた空間内に、前後方向と左右方向の双方に傾斜された選別本体部51が配設されている。
この選別本体部51は、上面に凹凸が形成された平板状の揺動選別板51aを複数段に積み重ねて構成している。
また、選別本体部51は、同選別本体部51の下部に配設した揺動駆動部52に連結されており、同揺動駆動部52を駆動させることにより、選別本体部51(各揺動選別板51a)が揺動し、図10(a)に示すように、玄米からなる玄米層と、玄米と未脱ぷ籾とからなる混合物層と、未脱ぷ籾からなる籾層とに選別されるよう構成している。
また、選別本体部51には、同選別本体部51の下部に配設した選別本体角度調整機構(図示せず)が連結されており、図10(b)に示すように、選別本体部51(各揺動選別板51a)の左右方向への傾斜角度を調整可能に構成している。
この選別本体角度調整機構は、設備制御装置18に電気的に接続されており、同設備制御装置18から送信される角度調整信号に応じた角度で、選別本体部51の傾斜角度を調整する。
また、図9に示すように、選別本体部51の奥側である前後傾斜上流側には、供給タンク51bが固定されており、一番物ホッパー14から流下した一番物が、この供給タンク51bを介して複数の揺動選別板51aに分配されるよう構成している。
また、選別本体部51の前面側である前後傾斜下流側には、揺動選別板51a上で選別されながら流下した一番物を、それぞれ種類別に仕分ける玄米仕切板53aと、未脱ぷ籾仕切板53bとが配設されている。
玄米仕切板53aは、玄米と、玄米及び未脱ぷ籾の混合物とに仕分ける仕切板であり、また、未脱ぷ籾仕切板53bは、玄米及び未脱ぷ籾の混合物と未脱ぷ籾とに仕分ける仕切板である。また、玄米仕切板53aと未脱ぷ籾仕切板53bとは、両者間に架け渡した連結バー53cにて互いに連結されている(図9参照)。
また、玄米仕切板53aには、仕切位置調整機構54が連結されており、同仕切位置調整機構54を駆動させることにより、玄米仕切板53aと、連結バー53cにより連結されている未脱ぷ籾仕切板53bとの位置を調整可能に構成している。
この仕切位置調整機構54は、位置調整モータ54aと、同位置調整モータ54aの駆動軸に取り付けられた回転軸54bと、回転軸54b上に形成された雄ネジ領域に螺合させた状態で玄米仕切板53aに連結される連結片54cとで構成している。
位置調整モータ54aは、設備制御装置18に電気的に接続されており、同設備制御装置18からの位置調整信号を受信することにより、所定量だけ駆動軸を回転させる。回転軸54bは、54aの駆動軸の回動に伴って回転することにより、螺合させた連結片54cを左右方向へ移動させて、玄米仕切板53aと未脱ぷ籾仕切板53bとを共に移動させる。
また、未脱ぷ籾仕切板53bの上部先端には、未脱ぷ籾の選別状況を検出するための選別状況検出センサ55が配設されており、同選別状況検出センサ55は、設備制御装置18に電気的に接続されている。この選別状況検出センサ55は、選別されながら流下する混合物や未脱ぷ籾が反射する赤外線を受光して、その光量に応じた信号を生成し、選別状況信号として設備制御装置18へ送信する。
設備制御装置18は、選別状況検出センサ55から送信される選別状況信号から、混合物と未脱ぷ籾との境界位置を算出し、位置調整モータ54aを駆動させることにより、未脱ぷ籾仕切板53bの位置を境界位置まで移動させる。なお、以下の説明において、未脱ぷ籾仕切板53bが配置されている位置を単に「仕切位置」ともいう。また、高脱ぷ率の時の仕切位置を「高脱ぷ位置」、低脱ぷ率の時の仕切位置を「低脱ぷ位置」という。例えば、高脱ぷ位置は、脱ぷ率が9割を越えた時の、揺動選別板51aの下流端における混合物層と籾層との境界位置とすることができ、また、低脱ぷ位置は、脱ぷ率が8割を下回った時の境界位置とすることができる。
また、未脱ぷ籾仕切板53bには、仕切位置を検出するための仕切位置検出センサ53dが配設されている。この仕切位置検出センサ53dもまた設備制御装置18に電気的に接続されており、設備制御装置18に対して未脱ぷ籾仕切板53bの左右方向における位置情報を含む仕切位置検出信号を送信する。この仕切位置検出信号に含まれる未脱ぷ籾仕切板53bの位置に関する情報は、後述する設備制御装置18の制御部80に備えられた記憶部(RAM)の所定領域に記憶される。
また、玄米仕切板53aの下部は、主に玄米などの高比重選別物を高比重選別物受部56へ案内するための高比重選別物案内板57aと、混合物を混合物ホッパー58へ案内するための混合物案内板57bとが、下方へ向けて拡開するY字状に取り付けられている。
また、未脱ぷ籾仕切板53bの下部は、混合物を混合物ホッパー58へ案内するための混合物案内板59aと、未脱ぷ籾を未脱ぷ籾ホッパー60へ案内するための未脱ぷ籾案内板59bとが、下方へ向けて拡開するY字状に取り付けられている。
これらの構成により、揺動選別板51aの左端から玄米仕切板53aまでの間に選別された高比重選別物は、玄米仕切板53aに仕分けられ、各揺動選別板51aの下流端部より落下して高比重選別物案内板57aに案内され、高比重選別物受部56内に収容される。高比重選別物受部56には、受け入れた高比重選別物を、玄米を回収するための玄米ホッパー61と、混合物ホッパー58とのいずれかに案内する切替案内板62が配設されている。
この切替案内板62は、支点p1を中心に揺動可能に構成しており、図示しない切替レバーにより、選別本体部51の選別状況に応じて作業者が適宜切替操作する。
例えば、高比重選別物が玄米である場合には、切替レバーを操作して玄米ホッパー61へ案内する一方、選別初期などのように高比重選別物が未脱ぷ籾が混入した玄米(混合物)である場合には切替レバーを操作して混合物ホッパー58へ案内する。なお、図9では、切替案内板62は、混合物ホッパー58へ混合物を案内する状態に切替られている。玄米ホッパー61へ案内された玄米は、玄米シュート63に落下し、玄米昇降機16によって次工程へ搬送される(図8及び図1参照)。また、混合物ホッパー58へ案内された混合物は、同混合物ホッパー58の下部に配設された混合物搬送装置64により、混合粒昇降機13の供給口13aへ送給されれ、再び一番物ホッパー14に投入される。
また、玄米仕切板53aから未脱ぷ籾仕切板53bまでの間に選別された混合物は、両仕切板53a,53bに仕分けられ、揺動選別板51aの下流端部より落下して混合物案内板57bと混合物案内板59aとに案内され、混合物ホッパー58に収容される。
また、図9に示すように、未脱ぷ籾仕切板53bから揺動選別板51aの右端までの間に選別された未脱ぷ籾等は、未脱ぷ籾仕切板53bに仕分けられ、揺動選別板51aの下流端部より落下して未脱ぷ籾案内板59bに案内され、未脱ぷ籾ホッパー60に収容される。未脱ぷ籾ホッパー60に投入された未脱ぷ籾は、未脱ぷ籾ホッパー60の下部に配設された未脱ぷ籾流量センサ66を通過して、未脱ぷ籾搬送装置65により、再びロールタンク11へ送給される。未脱ぷ籾流量センサ66は、設備制御装置18に電気的に接続されており、同設備制御装置18に対して未脱ぷ籾の量に関する情報を含む未脱ぷ籾量信号を送信する。この未脱ぷ籾量信号に含まれる未脱ぷ籾の量に関する情報は、後述する設備制御装置18の制御部80に備えられた記憶部(RAM)の所定領域に記憶される。
次に、上述してきた穀物調整設備1の電気的構成、及び、穀物調整設備1全体を制御する設備制御装置18の構成について説明する。図11は設備制御装置18を示した説明図である。
設備制御装置18は、内部にCPU、ROM、RAM等を備えた制御部80を備えており、玄米の生成に必要なプログラムを実行可能としている。また、制御部80内のRAMは、仕切位置検出センサ53dから送信される仕切位置検出信号に含まれる位置情報や、未脱ぷ籾流量センサ66から送信される未脱ぷ籾量信号に含まれる未脱ぷ籾量の情報や、後述のロール圧力最大値やモード等が一時的に書き込まれて記憶される記憶部として機能する。これらの情報は、制御部80がプログラムを実行する際に参照される。
また、設備制御装置18の正面部にはタッチパネル81が備えられており、制御部80に接続されている。このタッチパネル81は、操作入力部82と表示部83とが重ねられた状態となっており、作業者が制御部80に対して指示を行うための操作手段と、作業者に対する表示を行う表示手段とを兼ねている。
このタッチパネル81には、例えば、図12示すような各種設定画面100が表示され、作業者による各種設定を可能としている。この各種設定画面100には、レギュレータ設定部101と、ロール圧力最大値設定部102と、ロール圧力設定部103と、ロール回転積算時間表示部104とが配置されている。
レギュレータ設定部101には、レギュレータ圧力昇圧ボタン101aと、レギュレータ圧力降圧ボタン101bと、レギュレータ圧力表示部101cとが備えられており、両ボタン101a,101bを操作することにより、レギュレータ圧力表示部101cの値が変化し、その値はレギュレータ圧力設定値として制御部80のRAMの所定アドレスに記憶される。このRAM上に記憶されたレギュレータ圧力設定値は、エア圧力調整部28aにより参照されて、同エア圧力調整部28a内に備えられたレギュレータの調整が行われる。
ロール圧力最大値設定部102は、ロール圧力最大値昇圧ボタン102aと、ロール圧力最大値降圧ボタン102bと、ロール圧力最大値表示部102cとを備えており、両ボタン102a,102bを操作することにより、ロール圧力最大値表示部102cの値が変化し、その値は最大ロール圧力設定値として制御部80のRAMの所定アドレスに記憶される。
ロール圧力設定部103は、自動制御ボタン103aと、手動ボタン103bと、ロール圧力昇圧ボタン103cと、ロール圧力降圧ボタン103dと、ロール圧力表示部103eとを備えている。
自動制御ボタン103aは、エアシリンダ28bに供給する圧搾空気の圧力を制御部80により制御して、脱ぷロール20L,20Rの間を通過する籾に与える圧着力を自動的に調整する圧着力自動調整モードを選択するためのボタンである。
また、手動ボタン103bは、エアシリンダ28bに供給する圧搾空気の圧力を作業者が自ら調整する圧着力手動調整モードを選択するためのボタンであり、ロール圧力昇圧ボタン103cと、ロール圧力降圧ボタン103dとによりロール圧力表示部103eの値を変化させて、エアシリンダ28bに供給する圧搾空気の圧力調整を行う。なお、作業者が自動制御ボタン103aや手動ボタン103bを操作した際には、RAMの所定アドレスに、いずれのモードが選択されたかが記憶される。
ロール回転積算時間表示部104は、ロール回転積算時間表示部104aと、クリアボタン104bとが備えられており、ロール回転積算時間表示部104aには、脱ぷロール20L,20Rの回転積算時間が表示される。この回転積算時間は、脱ぷロール20L,20Rの交換時期の目安となるものであり、交換を行った場合には、クリアボタン104bを押下することで、再び回転積算時間をリセットすることができる。
再び制御部80の説明に戻ると、制御部80には、図13に示すように、選別状況検出センサ55、仕切位置検出センサ53d、未脱ぷ籾流量センサ66、原料供給機構11b、脱ぷロールモータ20a、エア圧力調整部28a、吸気ファン24、一番物供給機構14b、選別本体角度調整機構、揺動駆動部52、位置調整モータ54aが接続されており、操作入力部82からの操作入力や、各センサからの信号入力に応じて、各部の制御を行うよう構成している。
特に、本実施形態に係る穀物調整設備1では、揺動選別装置15における揺動選別板51aを流下する籾量に対応してロール式脱ぷ部25の脱ぷロール20L,20Rでの圧着力を調節すべく構成すると共に、圧着力の調節にもかかわらず籾層と混合米層の仕切位置に変化がない場合は、ロール式脱ぷ部25への籾の供給量を減少する制御を行う点に特徴を有している。
また、脱ぷロール20L,20Rの圧着力の調節にもかかわらず、籾層と混合米層の仕切位置に変化がない場合には、揺動選別装置15への脱ぷ処理籾の供給量を減少し、それでも籾層と混合米層の仕切位置に変化がない場合には、ロール式脱ぷ部25への籾の供給量を減少する制御を行う点にも特徴を有している。以下、これらの制御について図14〜図16を参照しながら説明する。
まず、図14に示すメインフローにおいて制御部80のCPUは、RAMの所定アドレスを参照して、初期設定値の読み込みを行う(ステップS11)。具体的には、原料供給機構11bにおける原料供給量の初期値や、一番物供給機構14bにおける一番物供給量の初期値等の読み込みを行う。
次にCPUは、RAMの所定アドレスを参照して、圧着力自動調整モードであるか否かについて判断を行う(ステップS12)。ここで圧着力自動調整モードではないと判断した場合(ステップS12:No)には、CPUは処理をステップS13へ移す。
ステップS13においてCPUは、圧着力手動調整モード処理を行う。この圧着力手動調整モード処理では、作業者が各種設定画面100のロール圧力設定部103にて設定した値を参照して、脱ぷロール20L,20Rでの籾に対する圧着力の調整を行う。本ステップS13を終えるとCPUは、処理を再びステップS12へ移す。
一方、ステップS12において、圧着力自動調整モードであると判断した場合(ステップS12:Yes)には、CPUは処理をステップS14へ移す。
ステップS14においてCPUは、仕切板移動処理を実行する。この仕切板移動処理は、仕切位置検出センサ53dからの仕切位置検出信号や、選別状況検出センサ55からの選別状況信号に基づいて、位置調整モータ54aに対し位置調整信号信号を送信することにより、未脱ぷ籾仕切板53bの移動を行う。この仕切板移動処理については、後に図15を参照しながら更に説明する。
次にCPUは、ロール圧力調整処理を実行する(ステップS15)。このロール圧力調整処理は、籾量を反映する仕切板の位置に対応してロール式脱ぷ部25の脱ぷロール20L,20Rでの籾に対する圧着力を調整する処理であり、また、場合によって原料供給機構11bや一番物供給機構14bでの供給量を減少させる処理を行う。このロール圧力調整処理については、後に図16を参照しながら更に説明する。本ステップS15を終えるとCPUは、処理を再びステップS12へ移す。
次に、前述のステップS14にて実行される仕切板移動処理について、図15を参照しながら説明する。
仕切板移動処理においてCPUは、まず、RAMの所定アドレスを参照して仕切位置の読み込みを行う(ステップS21)。
次にCPUは、選別状況信号を受信し(ステップS22)、混合物と未脱ぷ籾との境界位置を算出する(ステップS23)。
そしてCPUは、位置調整モータ54aに対して、境界位置と仕切位置との差異情報を含んだ位置調整信号を送信する(ステップS24)。この位置調整信号を受信した位置調整モータ54aは、差異情報に基づいて駆動軸を回転させ、未脱ぷ籾仕切板53bを境界位置へと移動させることとなる。
次に、前述のステップS15にて実行されるロール圧力調整処理について、図16を参照しながら説明する。
ロール圧力調整処理においてCPUは、まず、RAMの所定アドレスを参照して、仕切位置の読み込みを行う(ステップS31)。
次にCPUは、仕切位置が高脱ぷ位置であるか否かについて判断を行う(ステップS32)。ここで仕切位置が高脱ぷ位置であると判断した場合(ステップS32:Yes)には、CPUは処理をステップS33へ移す。
ステップS33においてCPUは、未脱ぷ籾仕切板53bが高脱ぷ位置に位置して一定時間経過したか否かについて判断を行う。ここで一定時間が経過していると判断した場合(ステップS33:Yes)には、CPUは処理をステップS34へ移す。
ステップS34においてCPUは、降圧処理を実行する。この降圧処理では、現在のロール圧力値から所定圧力(例えば、0.1MPa)減算した圧力値の情報を含む圧着力調整信号をエア圧力調整部28aに対して送信する。この圧着力調整信号を受信したエア圧力調整部28aは、エアシリンダ28bへ供給する圧搾空気の圧力を所定圧力だけ下げることとなり、脱ぷロール20L,20Rでの籾に対する圧着力が若干減少することとなる。本ステップS34を終えると、CPUは処理をメインフローへ戻す。一方、ステップS33において一定時間が経過していないと判断した場合(ステップS33:No)には、CPUはメインフローへ処理を戻す。
説明をステップS32での処理に戻すと、ステップS32において高脱ぷ位置ではないと判断した場合(ステップS32:No)には、CPUは処理をステップS35へ移す。
ステップS35においてCPUは、仕切位置が低脱ぷ位置であるか否かについて判断を行う。ここで仕切位置が低脱ぷ位置ではないと判断した場合(ステップS35:No)には、CPUはメインフローへ処理を戻す。一方、仕切位置が低脱ぷ位置であると判断した場合(ステップS35:Yes)には、CPUは処理をステップS36へ移す。
ステップS36においてCPUは、未脱ぷ籾仕切板53bが低脱ぷ位置に位置して一定時間経過したか否かについて判断を行う。ここで一定時間が経過していないと判断した場合(ステップS36:No)には、CPUはメインフローへ処理を戻す。一方、一定時間経過した判断した場合(ステップS36:Yes)には、CPUは処理をステップS37へ移す。
ステップS37においてCPUは、現在のロール圧力値に所定圧力値(例えば、0.1MPa)を加算した値を試算する。そして、試算した値が、各種設定画面100のロール圧力最大値設定部102にて設定したロール圧力最大値以上であるか否かについて判断を行う(ステップS38)。ここで、試算した値がロール圧力最大値以上ではないと判断した場合(ステップS38:No)には、CPUは処理をステップS39へ移す。
ステップS39においてCPUは、昇圧処理を実行する。この昇圧処理では、現在のロール圧力値に所定圧力(例えば、0.1MPa)加算した圧力値(試算値)の情報を含む圧着力調整信号をエア圧力調整部28aに対して送信する。この圧着力調整信号を受信したエア圧力調整部28aは、エアシリンダ28bへ供給する圧搾空気の圧力を所定圧力だけ上げることとなり、脱ぷロール20L,20Rでの籾に対する圧着力が若干高まることとなる。本ステップS39を終えると、CPUは処理をメインフローへ戻す。
一方、ステップS38において、試算した値がロール圧力最大値以上であると判断した場合(ステップS38:Yes)には、CPUは処理をステップS40へ移す。
ステップS40においてCPUは、ロール圧力値がロール圧力最大値に達してから一定時間経過したか否か、すなわち、ロール圧力最大値の圧力で圧搾空気をエアシリンダ28bに供給するようになってから、一定時間が経過したか否かについて判断を行う。ここで、一定時間経過していないと判断した場合(ステップS40:No)には、CPUはメインフローへ処理を戻す。一方、一定時間経過したと判断した場合(ステップS40:Yes)には、CPUは処理をステップS41へ移す。
ステップS41においてCPUは、一番物ホッパー14から揺動選別装置15への一番物の供給量や、ロールタンク11からロール式脱ぷ部25への原料籾の供給量を減量させる供給量減量処理を行う。この供給量減量処理については、図17を参照しながら説明する。本ステップを終えると、CPUは、処理をメインフローへ戻す。
次に、前述のステップS41にて実行される供給量減量処理について、図17を参照しながら説明する。
供給量減量処理において、CPUは、一番物供給量の減量は既に行われたか否かについて判断を行う(ステップS51)。ここで一番物供給量の減量は、まだ行われていないと判断した場合(ステップS51:No)には、CPUは処理をステップS52へ移す。
ステップS52においてCPUは、一番物供給機構14bでの供給量を定める一番物供給量値を、所定値だけ減少させる処理を行う。この所定値については、穀物調整設備1の規模等に応じて適宜決定することができる。
次にCPUは、減算がなされた一番物供給量値の情報を含む一番物供給量制御信号を一番物供給機構14bに対して送信する(ステップS53)。この処理により、一番物供給量制御信号を受信した一番物供給機構14bは、揺動選別装置15への一番物の供給量を減少させることとなる。
次にCPUは、原料籾の供給量や一番物の供給量の減少に伴い、選別本体部51(揺動選別板51a)の角度を適切な角度に調整する選別板角度制御処理を実行する(ステップS54)。具体的には、原料籾の供給量や一番物の供給量の減少量に応じた適正角度を算出し、同適正角度の情報を含む角度調整信号を、揺動選別装置15の選別本体角度調整機構に対して送信する。この角度調整信号を受信した選別本体角度調整機構は、同信号に含まれる適正角度の情報に応じて選別本体部51(揺動選別板51a)の角度を調整する。本ステップS54を終えると、CPUはロール圧力調整処理へ処理を戻す。
一方、ステップS51において、一番物供給量の減量が既に行われたと判断した場合(ステップS51:Yes)には、CPUは処理をステップS55へ移す。
ステップS55においてCPUは、一番物供給量の減量が行われてから、一定時間経過したか否かについて判断を行う。ここで、一定時間経過していないと判断した場合(ステップS55:No)には、CPUはロール圧力調整処理へ処理を戻す。また、一定時間経過したと判断した場合(ステップS55:Yes)には、CPUは処理をステップS56へ移す。
ステップS56においてCPUは、原料供給機構11bでの供給量を定める原料供給量値を、所定値だけ減少させる処理を行う。この所定値についても、前述の一番物供給量値と同様、穀物調整設備1の規模等に応じて適宜決定することができる。
次にCPUは、減算がなされた原料供給量値の情報を含む原料供給量制御信号を原料供給機構11bに対して送信する(ステップS57)。この処理により、原料供給量制御信号を受信した原料供給機構11bは、ロール式脱ぷ部25へ供給する原料籾の量を減少させることとなる。
次にCPUは、原料籾の供給量や一番物の供給量の減少に伴い、選別本体部51(揺動選別板51a)の角度を適切な角度に調整する選別板角度制御処理を実行する(ステップS58)。本ステップは、前述のステップS54と同様であるため、説明を省略する。本ステップS58を終えると、CPUはロール圧力調整処理へ処理を戻す。
上述してきたように、本発明に係る籾摺り処理システムでは、脱ぷロール20L,20R間の圧着により籾摺り処理を行うロール式脱ぷ部25と、ロール式脱ぷ部25の下手側にある風選部26と、ロール式脱ぷ部25で脱ぷ処理され風選部26で風選された穀粒と未脱ぷ籾とを選別する揺動選別装置15とを備え、しかも、揺動選別装置15における揺動選別板51aを流下する籾量に対応してロール式脱ぷ部25の脱ぷロール20L,20Rの圧着力を調節すべく構成すると共に、圧着力の調節にもかかわらず籾層と混合米層の仕切位置に変化がない場合は、ロール式脱ぷ部25への籾の供給量を減少すべく構成したため、原料籾の状態が変化した場合でも、肌ずれを起こしにくく、しかも、効率的な脱ぷを行うことができる。
また、脱ぷロール20L,20Rの圧着力の調節にもかかわらず、籾層と混合米層の仕切位置に変化がない場合には、揺動選別装置15への脱ぷ処理籾の供給量を減少し、それでも籾層と混合米層の仕切位置に変化がない場合には、ロール式脱ぷ部25への籾の供給量を減少することとしたため、より確実に、原料籾の状態が変化した場合でも、肌ずれを起こしにくく、しかも、効率的な脱ぷを行うことができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態に係る穀物調整設備1では、揺動選別板51aを流下する籾量に応じて移動する未脱ぷ籾仕切板53bの位置に対応して、脱ぷロール20L,20Rの圧着力の調整を行うよう構成したが、これに限定されるものではなく、未脱ぷ籾流量センサ66から未脱ぷ籾量を検出し、この未脱ぷ籾量に対応して脱ぷロール20L,20Rの圧着力の調整を行うよう構成しても良い。