JP2012062991A - 車両操舵装置用の動力伝達軸 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中間軸5は、内軸37と外軸38との間に介在するトレランスリング39を備える。内軸37の第1軸部41の一対の被規制部44,45は、外軸38の第1筒状部51の一対の規制部54,55と係合することにより、内軸37と外軸38との相対回転を規制する。トレランスリング39は、内軸37の第2軸部42および外軸38の第2筒状部52を、がたつきを生じないように、且つトルク伝達可能に連結している。
【選択図】図2
Description
中空軸の内周には、雌セレーションが形成されている。挿入軸の外周には、雌セレーションに嵌合する雄セレーションが形成されている。中空軸の雌セレーションの円周上の一カ所には、径方向内向きに突出する陥没部が設けられている。この陥没部は、挿入軸の雄セレーションに食い込んでいる。これにより、陥没部と180度対向する部分の雌セレーションが、挿入軸の雄セレーションに圧接されている。この構成により、中空軸と挿入軸とは、周方向に遊び(がたつき)が生じないようにされている。
また、本発明において、前記内軸は、前記第1軸部と前記第2軸部との間に配置された強度低減部(43)を含み、前記所定の摩擦トルクを超える所定の過大トルク(T2)より大きなトルクが前記内軸に作用したとき、前記強度低減部が破断可能とされている場合がある(請求項4)。この場合、例えば、路面から転舵輪および転舵機構等を介して動力伝達軸に大きなトルクが作用したときに、強度低減部が破断するようになっている。これにより、強度低減部がヒューズとして機能し、車両操舵装置の他の部分(転舵機構の歯車等)に大きな負荷が作用することを抑制できる。このように、操舵装置に過大なトルクが入力されたときに破損を生じる部分を確実に規定できる結果、上記他の部分の故障を抑制でき、車両操舵装置の故障箇所を最小限にできる。
この場合、所定の摩擦トルク以下のトルクに関しては、内軸と外軸との間で摩擦連結部材のみを介してトルクを伝達できる。これにより、所定の摩擦トルクを超えるトルクが内軸と外軸との間に作用して動力伝達軸が故障するまでは、一対の被規制部と一対の規制部との接触を抑制できる。したがって、一対の被規制部と一対の規制部との接触による接触音を抑制できる。また、所定の摩擦トルクを超えるトルクが内軸と外軸との間に作用したときには、摩擦連結部材が内軸や外軸に対して滑りを生じ、故障状態となる。しかしながら、このとき、一対の被規制部と一対の規制部との接触により、内軸と外軸との相対回転量が過大になることを抑制できる。したがって、摩擦連結部材の負荷を抑制でき、動力伝達軸の故障時でも、摩擦連結部材によるトルク伝達機能をより確実に維持できる。
この場合、動力伝達軸に、軸方向に沿う衝撃が入力し、内軸と外軸とが軸方向に相対移動したときに、摩擦連結部材が内軸および外軸の少なくとも一方に対して摺動する。これにより、衝撃吸収荷重を発生させることができる。したがって、例えば、動力伝達軸に連結された操舵部材に運転者が衝突したとき(2次衝突時)の運転者への衝撃を緩和することができる。
図1は本発明の一実施形態にかかる動力伝達軸としての中間軸を有する車両操舵装置としてのステアリング装置の概略構成図である。図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結された操舵軸3と、操舵軸3に自在継手4を介して連結された伝達軸としての中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有する転舵軸としてのラック軸8とを備えている。
操舵軸3は、車体側部材18,19に固定されたステアリングコラム20によって、図示しない軸受を介して回転可能に支持されている。
減速機構25は、電動モータ24の回転軸(図示せず)と同行回転可能に連結された駆動ギヤ26と、駆動ギヤ26に噛み合い出力軸16と同伴回転する被動ギヤ27とを有している。駆動ギヤ26は例えばウォーム軸からなり、従動ギヤ27は例えばウォームホイールからなる。
図2は、中間軸5の主要部の分解斜視図である。図1および図2を参照して、中間軸5は、内軸37と筒状の外軸38とを軸方向X1に沿って摺動可能に且つトルク伝達可能に嵌合させて形成されている。内軸37および外軸38の何れか一方がアッパーシャフトを構成し、他方がロアーシャフトを構成する。本実施形態では、外軸38がアッパーシャフトとして自在継手4に連結されており、内軸37がロアーシャフトとして自在継手6に連結されている。
内軸37は、金属材料を鍛造すること等により形成された一体成形品である。内軸37は、第1軸部41と、第2軸部42と、第1軸部41および第2軸部42間に配置された強度低減部43と、を含んでいる。第1軸部41は、内軸37のうち、外軸38に隣接する一端41aに形成されている。
図4を参照して、第1軸部41の外周41bは、中間軸5(内軸37)の軸方向X1に沿って見たときに小判形形状に形成されており、中間軸5の径方向R1に対向する一対の被規制部44,45と、径方向R1に対向する一対の円弧状部46,47と、を含んでいる。被規制部44,45と、円弧状部46,47は、中間軸5の周方向C1に交互に配置されている。
第2軸部42は、第1軸部41に隣接するテーパ状部49と、テーパ状部49から軸方向X1に沿って延びる主体部50とを含んでいる。テーパ状部49は、軸方向X1に沿って第1軸部41から離れるほど直径が大きくなる円錐台形状を有している。テーパ状部49の一端は、強度低減部43に接続されている。テーパ状部49の他端は、主体部50に接続されている。主体部50は、直径が一定の円柱形形状に形成されている。
強度低減部43は、第1軸部41よりも細く形成されている。軸方向X1に沿って見たときの面積(軸方向X1と直交する断面積)は、強度低減部43のほうが、第1軸部41よりも小さくされている。強度低減部43は、略円柱形状に形成されている。強度低減部43の曲率半径は、第1軸部41の円弧状部46,47の曲率半径よりも小さい。強度低減部43は、第1軸部41および第2軸部42と同軸上に配置されている。
外軸38は、金属材料を鍛造すること等により形成された一体成形品であり、第1筒状部51と、第2筒状部52と、を含んでいる。第2筒状部52は、外軸38のうち、内軸37に隣接する一端38aに形成されている。第1筒状部51は、第2筒状部52に対して外軸38の他端側に配置されている。第1筒状部51と第2筒状部52とは、軸方向X1に隣接している。
一対の規制部54,55は、それぞれ、軸方向X1と平行な平坦面に形成されている。一対の規制部54,55と、第1軸部41の対応する被規制部44,45とは、周方向C1の隙間がわずか(例えば、数μm程度)であり、実質的にゼロとされている。なお、第1筒状部51に第1軸部41を挿入するために、第1筒状部51の内周51bの形状は、第1軸部41の外周41bの形状よりもわずかに大きくされている。初期状態(車両の工場出荷時の状態)において、中間軸5にトルクが作用したときには、一対の規制部54,55と対応する被規制部44,45との接触により、内軸37と外軸38との間でトルクを伝達可能となっている。
図3を参照して、第1筒状部51には、第1軸部41が軸方向X1に相対移動可能に挿通されている。軸方向X1に関して、第1筒状部51の長さは、第1軸部41の長さよりも長い。初期状態において、第1筒状部51には、第1軸部41のうち、先端側の一部が挿通されている。第1筒状部51の開口の周縁部51cは、軸方向X1と直交する円環状に形成されている。
凸部60は、主体部59から例えば径方向R1の外方に突出するように形成されている。凸部60は、周方向C1に等間隔に複数配置されて、凸部列61を形成している。凸部列61は、例えば、少なくとも4つの凸部60を含んでいる。凸部列61は、軸方向X1に沿って複数(本実施形態において2つ)配置されている。各凸部60は、外軸38の第2筒状部52の内周52bに摩擦接触している。
ステアリング装置1の主要部の模式図である図5(A)に示すように、車両が直進走行しているとき、操舵部材2は、操舵中立位置P1に位置している。操舵中立位置P1は、例えば、操舵部材2のスポーク2aが車両の上下方向に沿って延びているときの操舵部材2の回転方向の位置をいう。このとき、転舵輪62L,62Rは、車両の略前後方向に沿う向きE1を向いている。
これにより、操舵部材2を操舵中立位置P1に位置させていても、転舵輪62L,62Rは、車両の直進時の向きE1からずれた向きE2を向いており、車両は直進走行しない。したがって、中間軸5に破断が生じて故障状態にあることを運転者に報知できる。このときには、車両を、積載車に載せる等して整備工場に運ぶ必要がある。このとき、内軸37と外軸38とは、トレランスリング39によってトルク伝達可能に連結されている。したがって、操舵部材2を操作することで、操舵部材2の操舵トルクを、中間軸5等を介して転舵機構A1に伝達できる。これにより、転舵輪62L,62Rの向きを操作し、車両を自走によって積載車に載せることが可能である。
したがって、内軸37と外軸38との間でスムーズなトルク伝達が可能である。また、内軸37と外軸38との間に大きなトルクが入力されることで、内軸37および外軸38の少なくとも一方がトレランスリング39に対して滑り、中間軸5が故障状態に陥ることがある。しかしながら、トレランスリング39は、内軸37と外軸38との間に挟まれているので、内軸37と外軸38とによって確実に挟持された状態が維持される。その結果、中間軸5が故障状態にあっても、トレランスリング39によって、内軸37と外軸38との間でトルク伝達可能な状態が維持される。したがって、中間軸5が故障状態にあっても、少なくとも一時的に操舵機能を維持できる。
これにより、トレランスリング39に作用する負荷をより低減できるので、トレランスリング39の耐久性をより高くできる。したがって、内軸37と外軸38との間のがたつきをより長期に亘って抑制できる。
図8は、本発明の別の実施形態の主要部の断面図である。図9は、図8のIX−IX線に沿う断面図である。なお、以下では、前述の実施形態と異なる点について主に説明し、同様の構成には図に同様の符号を付してその説明を省略する。また、操舵部材2が操舵中立位置P1に位置している状態を基準として説明する。
上記(1)の差異点に関して、内軸37の第1軸部41と第2軸部42とは、直接、接続されている。
次いで、中間軸5Aの動作について説明する。
図10(A)を参照して、例えば、車両が直進走行しているとき等に、一方の転舵輪26Lが縁石70に乗り上げた場合を考える。この場合に、転舵機構A1を介して中間軸5Aに、所定の摩擦トルクT1より大きいトルクが入力されることがある。このときには、内軸37は、外軸38に対して、トレランスリング39による摩擦トルクに抗して、周方向C1の一方C2に例えば所定角度D1相対回転し、トレランスリング39に滑りが生じ、中間軸5Aは、故障状態となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、通常時、所定の摩擦トルクT1以下のトルクに関しては、内軸37と外軸38との間でトレランスリング39のみを介してトルクを伝達できる。これにより、所定の摩擦トルクT1を超えるトルクが内軸37と外軸38との間に作用して中間軸5が故障するまでは、一対の被規制部44,45と一対の規制部54A,55Aとの接触を抑制できる。したがって、一対の被規制部44,45と一対の規制部54A,55Aとの接触による接触音を抑制できる。
例えば、トレランスリング39は、内軸37または外軸38と軸方向X1に一体移動可能に保持されていてもよい。この場合、トレランスリング39は、内軸37および外軸38のうち、軸方向X1に相対移動可能な軸に対して、衝撃吸収時に摺動する。
また、摩擦連結部材としてトレランスリング39を例示したけれども、これに限定されない。トレランスリング39に代えて、内軸37の第2軸部42の外周42bおよび外軸38の第2筒状部52の内周52bの双方に摩擦係合する他の部材を用いてもよい。
さらに、中間軸5Aに強度低減部43を設けてもよい。
また、本発明を、車両操舵装置のうち中間軸以外の他の動力伝達軸に適用してもよい。
Claims (6)
- 互いに嵌め合わされた内軸および筒状の外軸と、
前記内軸と前記外軸との間に介在する摩擦連結部材と、を備え、
前記内軸は、軸方向に並ぶ第1軸部および第2軸部を含み、
前記外軸は、前記第1軸部が挿通された第1筒状部と、前記第2軸部が挿通された第2筒状部と、を含み、
前記第1軸部は、前記内軸の径方向に対向する一対の被規制部を含み、
前記第1筒状部は、前記一対の被規制部との係合により前記内軸および前記外軸の相対回転量を規制可能な一対の規制部を含み、
前記摩擦連結部材は、前記第2軸部および前記第2筒状部を所定の摩擦トルクでトルク伝達可能に連結していることを特徴とする車両操舵装置用の動力伝達軸。 - 請求項1において、前記摩擦連結部材は、環状の波板形状をなすトレランスリングを含むことを特徴とする車両操舵装置用の動力伝達軸。
- 請求項1または2において、前記一対の被規制部および前記一対の規制部と、前記摩擦連結部材との協働により、前記内軸と前記外軸との間でトルクの伝達が可能とされていることを特徴とする車両操舵装置用の動力伝達軸。
- 請求項1〜3の何れか1項において、前記内軸は、前記第1軸部と前記第2軸部との間に配置された強度低減部を含み、
前記所定の摩擦トルクを超える所定の過大トルクより大きなトルクが前記内軸に作用したとき、前記強度低減部が破断可能とされていることを特徴とする車両操舵装置用の動力伝達軸。 - 請求項1〜4の何れか1項において、各前記被規制部と対応する前記規制部とは、前記内軸の周方向に離隔して配置されており、前記内軸および前記外軸が前記所定の摩擦トルクに抗して前記周方向に相対回転したときに、各前記被規制部と対応する前記規制部とが係合可能であることを特徴とする車両操舵装置用の動力伝達軸。
- 請求項1〜5の何れか1項において、前記摩擦連結部材は、前記内軸の軸方向に関して前記内軸および前記外軸の少なくとも一方に対して摺動可能に配置されていることを特徴とする車両操舵装置用の動力伝達軸。
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