JP2012062927A - 免震装置、及びその設置方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦ダンパーの設置時の調整作業を大幅に軽減でき、設置後も圧接力の調整を容易に実施できる。
【解決手段】上部構造体3と下部構造体1との間の上下方向隙間δに介装され、上部構造体3を免震支持するアイソレータと、前記上下方向隙間δに前記アイソレータと並列に介装され、上部構造体3と下部構造体1との間の水平振動を摩擦力を用いて減衰する摩擦ダンパー20とを備えた免震装置である。摩擦ダンパー20は、摩擦面22a及び滑動面24aを有する摩擦減衰力生成部21と、前記摩擦減衰力生成部21と直列に介装され、摩擦減衰力生成部21に弾発力を発生するばね部材30と、摩擦減衰力生成部21及び前記ばね部材30と直列に介装され、前記弾発力を上下方向に伝達する弾発力伝達部材40と、前記ばね部材30に対して前記弾発力を設定する際に使用され、前記ばね部材30に圧縮変形を付与及び解除可能な圧縮変形付与部材50とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、免震装置、及びその設置方法に関する。
建物、床、大型装置等を免震支持する免震装置が知られている。図9の概略側断面図に示すように、この免震装置は、積層ゴム等のアイソレータ7と、摩擦ダンパー110とを有する。アイソレータ7は、上部構造体3と下部構造体1との間の上下方向隙間δに介装され、上部構造体3を免震支持する。摩擦ダンパー110は、同上下方向隙間δにアイソレータ7と並列に介装され、上部構造体3と下部構造体1との間の水平振動を減衰する。
かかる摩擦ダンパー110の一例として、特許文献1には、(1)上下方向隙間δに介装され、摩擦面121a及び該摩擦面121aに圧接しつつ滑動する滑動面125aを有する摩擦減衰力生成部120と、(2)同上下方向隙間δに摩擦減衰力生成部120と直列に介装され、摩擦減衰力生成部120の圧接力に供される弾発力を発生する一群の皿ばね130,130…(以下、皿ばね群130Gとも言う)と、(3)同上下方向隙間δに摩擦減衰力生成部120及び皿ばね群130Gと直列に介装され、前記弾発力を上下方向に伝達する弾発力伝達部材140と、(4)皿ばね群130Gの前記弾発力の設定時に使用され、皿ばね群130Gに上下方向の圧縮変形を解除可能に付与する圧縮変形付与部材150と、を有した構成が開示されている。
そして、かかる摩擦ダンパー110の前記上下方向隙間δへの設置は、次のようにして行われる。先ず、圧縮変形付与部材150のナット155を締めることによって皿ばね群130Gを圧縮変形させておき、その圧縮の弾発力の大きさが前記圧接力の設計値になるようにする。そして、この摩擦ダンパー110を上下方向隙間δに介装する。そうしたら、摩擦ダンパー110の上面110aと上部構造体3の下面3aとの間の隙間Sに側方からフィラプレート190,190…を差し込み挿入して当該隙間Sを埋め、これにより、上部構造体3及び下部構造体1から皿ばね群130Gの弾発力の反力を取れるようにする。そして、最後に、圧縮変形付与部材150のナット155を緩めることにより、圧縮変形付与部材150による皿ばね群130Gの圧縮変形を解除し、これにより、上部構造体3及び下部構造体1から皿ばね群130Gの弾発力の反力を取りながら、当該弾発力を圧接力として、摩擦減衰力生成部110に設計値の圧接力を付与する。
特開平10−238164号公報
しかしながら、上述のフィラプレート190,190…の挿入は、フィラプレート190,190…の総厚みを上記隙間Sに合った厚みに調整しながら行わねばならず、そのためには、互いに厚みの異なるプレート190,190…を何枚か組み合わせる等の必要があって、甚だ面倒な作業であった。
また、同隙間Sの大きさが、フィラプレート190,190…では補えない程度に大きい場合には、フィラプレート190,190…の挿入後に更にグラウト充填を行うことになるが、その場合には、外周に型枠を組まねばならず、これは、フィラプレート190,190…の挿入以上に手間のかかる作業であった。
他方、上述から明らかなように、この種の摩擦ダンパー110は、上下方向隙間δに介装された状態において、その摩擦ダンパー110の全高(上下方向の全長)が、予め定められた計画値になっている場合に限り、皿ばね群130Gも上述の設計値だけ圧縮変形して所期の弾発力を生じ、その結果、当該弾発力を圧接力として計画通りの大きさの摩擦力を減衰力として発生し得るものである。
そのため、摩擦ダンパー110の設置後において、前記上下方向隙間δが経時変化した場合には、圧接力の大きさも変化してしまい、その結果、摩擦ダンパー110は所期の減衰能力を発揮しなくなる。よって、その場合には、フィラプレート190,190…の再調整が必要になる。すなわち、上下方向隙間δから摩擦ダンパー110を一旦取り外して、隙間S(δ)の変化分だけ挿入すべきフィラプレート190,190…の量を変更しながら、摩擦ダンパー110を再設置しなければならない。
しかし、かかる摩擦ダンパー110の取り外しや再設置作業も、かなり大掛かりな作業となり、手軽に行えるものではない。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、摩擦ダンパーの設置時の調整作業負荷を大幅に軽減でき、また、設置後においても圧接力の調整を容易に実施できて、計画通りの減衰力を確実に生じさせることにある。
かかる目的を達成するために請求項1に示す発明は、
上部構造体と下部構造体との間の上下方向隙間に介装され、前記上部構造体を免震支持するアイソレータと、
前記上下方向隙間に前記アイソレータと並列に介装され、前記上部構造体と前記下部構造体との間の水平振動を、摩擦力を減衰力として用いて減衰する摩擦ダンパーと、を備えた免震装置であって、
前記摩擦ダンパーは、
前記上下方向隙間に介装され、摩擦面及び該摩擦面に圧接しつつ滑動する滑動面を有する摩擦減衰力生成部と、
前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部と直列に介装され、前記摩擦減衰力生成部に圧接力を生じさせるべく弾発力を発生するばね部材と、
前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部及び前記ばね部材と直列に介装され、前記弾発力を上下方向に伝達する弾発力伝達部材と、
前記ばね部材に対して前記圧接力に係る前記弾発力を設定する際に使用され、前記ばね部材に上下方向の圧縮変形を付与及び解除可能な圧縮変形付与部材と、を備え、
前記弾発力伝達部材は、該弾発力伝達部材を上下方向に伸縮する伸縮調整機構を有し、
前記水平振動に係る前記上部構造体と前記下部構造体との間の相対変位が、前記伸縮調整機構を介して前記摩擦減衰力生成部へ伝達されることを特徴とする。
上記請求項1に示す発明によれば、ばね部材と直列配置される弾発力伝達部材は、当該弾発力伝達部材を上下方向に伸縮する伸縮調整機構を有している。
よって、摩擦ダンパーの設置の際に、上下方向隙間の大きさが計画値からずれている場合であっても、当該計画値からのずれに応じて、適宜弾発力伝達部材の上下方向の長さを伸縮調整することにより、このずれを吸収可能である。そして、この伸縮調整後に、圧縮変形付与部材により予めばね部材に付与された圧縮変形を解除すれば、それにより、当該ばね部材に予め付与された弾発力を、圧接力として摩擦減衰力生成部に付与することができる。
すなわち、上記構成によれば、上下方向隙間のずれを補うべく当該隙間にフィラプレートの挿入やグラウト充填等を行わずとも、圧縮変形付与部材によりばね部材に予め付与された設計値の弾発力を、圧接力として摩擦減衰力生成部に付与することができ、その結果、計画通りの大きさの摩擦力を減衰力として発生することができる。
また、摩擦ダンパーの設置後に上下方向隙間の大きさが経時変化した場合についても、伸縮調整機構による弾発力伝達部材の伸縮調整によって、当該隙間の大きさの変化に対応可能である。つまり、当該変化分だけ弾発力伝達部材の上下方向の長さを変更することにより、ばね部材の圧縮変形量を摩擦ダンパーの設置当初の状態に戻すことができる。よって、摩擦ダンパーの設置後も、計画通りの大きさの摩擦力を減衰力として確実に発生させることができる。
更には、前記相対変位が、伸縮調整機構を介して摩擦減衰力生成部へ伝達されるので、当該相対変位を伝達するための部材の構成の一部を小さくすること等ができて、製造コストの削減を図れる。
請求項2に示す発明は、請求項1に記載の免震装置であって、
前記ばね部材は、上下方向の第1貫通孔を有し、
前記弾発力伝達部材は、第1プレートと、該第1プレートに上下方向の間隔をもって対向配置される第2プレートと、前記第1プレートと前記第2プレートとを連結し、前記伸縮調整機構として機能する連結部材と、を有し、
前記第2プレートは、前記第1プレートと前記摩擦減衰力生成部との間に位置しつつ、前記ばね部材に上下方向から当接し、
前記第2プレートは、上下方向の第2貫通孔を有し、
前記第1貫通孔に挿通された軸部材の一方の軸端部は、前記第2貫通孔に挿通されることにより前記第2プレートに対して水平方向の相対移動不能に係合し、前記軸部材の他方の軸端部は、前記摩擦減衰力生成部に対して相対移動不能に係合しており、
前記相対変位は、前記第1プレート、前記連結部材、前記第2プレート、前記軸部材を経由して、前記摩擦減衰力生成部へ伝達されることを特徴とする。
上記請求項2に示す発明によれば、前記相対変位は、伸縮調整機構たる連結部材を介して摩擦減衰力生成部へ伝達される。詳しくは、前記相対変位は、第1プレート、伸縮調整機構(連結部材)、第2プレート、及び軸部材経由で、摩擦減衰力生成部へ伝達される。つまり、第1プレートと第2プレートとの間については、連結部材が相対変位の伝達経路となっている。よって、摩擦減衰力生成部に係合する前記軸部材を、第1プレートに係合させずに第2プレートに係合させるだけで済み、これにより、軸部材の全長を短くすることができる。その結果、製造コストの削減を図れる。
請求項3に示す発明は、請求項2に記載の免震装置であって、
前記伸縮調整機構としての前記連結部材によって、前記第1プレートと前記第2プレートとの間の前記間隔の大きさを変更することにより、前記弾発力伝達部材を上下方向に伸縮調整することを特徴とする。
上記請求項3に示す発明によれば、第1プレート、第2プレート、及び連結部材という簡単な構成で、伸縮調整機構を有した弾発力伝達部材を実現している。よって、免震装置の設置コストを廉価にできる。
請求項4に示す発明は、請求項3に記載の免震装置であって、
前記連結部材は、上下方向に軸方向が向いた棒体を有し、
前記棒体の上端部及び下端部は、螺合構造によって前記第1プレート及び前記第2プレートに締結固定され、
前記第1プレートと前記第2プレートとの間に位置する前記棒体の部分の長さを変更することにより、前記間隔の大きさを変更することを特徴とする。
上記請求項4に示す発明によれば、第1プレートと第2プレートとの間に位置する棒体の部分の長さの変更によって、容易に前記間隔の大きさを変更することができる。よって、摩擦ダンパーを廉価にしながらも、容易且つ確実に減衰力を計画値に設定可能となる。
請求項5に示す発明は、請求項3に記載の免震装置であって、
前記連結部材は、前記第1プレートに一体に固定された第1部材と、前記第2プレートに一体に固定された第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを互いの鉛直面同士において重合させて摩擦接合状態で締結固定する高力ボルトと、を有し、
前記第1部材及び前記第2部材に形成される前記高力ボルトのボルト孔は、少なくとも一方が上下方向に長い長孔に形成されていることを特徴とする。
上記請求項5に示す発明によれば、第1部材及び第2部材にボルト孔として形成された長孔によって、容易に前記間隔の大きさを変更することができる。よって、摩擦ダンパーを廉価にしながらも、容易且つ確実に減衰力を計画値に設定可能となる。
また、第1部材と第2部材とを、高力ボルトを用いた強固な摩擦接合で固定する。よって、ばね部材に高い弾発力が設定された場合にも、第1部材と第2部材の断面性能を上げたり、高力ボルトの本数を増やすことで、滑ることなく耐えて同弾発力を上下方向に確実に伝達可能である。その結果、大きな減衰力も設定可能となって、つまり、減衰力の大きさの調整範囲を拡大することができる。
請求項6に示す発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の免震装置の設置方法であって、
前記圧縮変形付与部材によって、前記ばね部材を、前記圧接力の大きさに対応する圧縮変形量まで圧縮変形する圧縮変形工程と、
前記摩擦ダンパーを前記下部構造体上に載置する載置工程と、
前記圧縮変形工程及び前記載置工程の後に、前記下部構造体上に載置された前記摩擦ダンパーの上面と前記上部構造体の下面との間の隙間がなくなるまで、前記伸縮調整機構によって前記弾発力伝達部材を上方に伸長する伸長工程と、
前記伸長工程の後に、前記圧縮変形付与部材による前記ばね部材の圧縮変形を解除する圧縮変形解除工程と、を有することを特徴とする。
上記請求項6に示す発明によれば、摩擦ダンパーの設置の際の上下方向隙間の大きさの計画値からのずれを、弾発力伝達部材の上方への伸長により吸収する。よって、上下方向隙間の計画値からのずれを補うべく、フィラプレート挿入やグラウト充填等を行わずに済み、結果、摩擦ダンパーの設置時の調整作業負荷を大幅に軽減可能となる。
本発明によれば、摩擦ダンパーの設置時の調整作業負荷を大幅に軽減でき、また、設置後においても圧接力の調整を容易に実施できて、計画通りの減衰力を確実に生じさせることができる。
第1実施形態の免震装置10の側面図である。 摩擦ダンパー20の概略中心縦断面図である。 摩擦ダンパー20の上面図である。 摩擦ダンパー20を斜め下方から見た斜視図である。 同分解斜視図である。 第2実施形態に係る摩擦ダンパー20aの側面図である。 同摩擦ダンパー20aを斜め下方から見た斜視図である。 その他の実施の形態の摩擦ダンパー20bの概略中心縦断面図である。 従来の免震装置に係る摩擦ダンパー110の概略側断面図である。
===第1実施形態===
<<<免震装置10>>>
図1乃至図5は、第1実施形態の免震装置10の説明図である。図1は免震装置10の側面図である。図2は摩擦ダンパー20の概略中心縦断面図であり、図3は同上面図である。また、図4は摩擦ダンパー20を斜め下方から見た斜視図であり、図5は同分解斜視図である。なお、以下の説明で用いる図においては、図の錯綜を防ぐべく、図によっては、本来断面線で示すべき断面部位の断面線を適宜省略したり、あるいは、同断面部位をグレーで着色して示したりしている。
図1に示すように、免震装置10は、建物3(上部構造体に相当)と、その下方の基礎コンクリート1(下部構造体に相当)との間の上下方向隙間δに介装されている。そして、これにより、建物3は、地震等の振動から水平免震されて保護される。
免震装置10は、建物3を免震支持するアイソレータ7と、上下方向隙間δにアイソレータ7と並列に介装され、建物3と基礎コンクリート1との間の水平振動を減衰する摩擦ダンパー20と、を備えている。
アイソレータ7は、例えば積層ゴムである。そして、積層ゴムの水平方向の剪断弾性変形によって、建物3と基礎コンクリート1との水平方向の相対変位(相対移動)を許容しながら建物3の自重を支持する。なお、このアイソレータとしては、上述の積層ゴム以外に、転がり支承や滑り支承等を適用できる。
図2に示すように、摩擦ダンパー20は、水平振動の減衰力として供される摩擦力を発生する摩擦減衰力生成部21と、摩擦力の垂直抗力となる圧接力に供される弾発力を発生するばね部材としての皿ばね群30Gと、前記弾発力を上下方向に伝達して、上方の建物3から弾発力の反力を取る弾発力伝達部材40とが、この順番で下から上へ直列に重ねて配置されたものを主体とする。
ここで、同図2には、この主体に加えて、皿ばね群30Gと並列に円筒シャフト60(軸部材に相当)が設けられているが、当該円筒シャフト60は、後述する上フランジ板42、伸縮調整機構の連結ボルト46、及び中間フランジ板44と協働することより、基礎コンクリート1に対する建物3の水平方向の相対変位を摩擦減衰力生成部21へ伝達する相対変位伝達機構として機能する。そして、この相対変位の伝達により、摩擦減衰力生成部21が滑動し、上記摩擦力を発生する。
また、当該皿ばね群30Gの近傍には、圧縮変形付与部材50も設けられているが、当該部材50は、皿ばね群30Gに上述の弾発力を設定する際に使用される。
以下、摩擦ダンパー20に係る各構成21,30G,40,50,60等について説明する。
摩擦減衰力生成部21は、摩擦材22と、摩擦材22の下面たる摩擦面22aに圧接しつつ滑動する滑り面24aを有した滑り材24と、摩擦材22の上方に配置され、下面に同摩擦材22が固定された平面視正円形状の下フランジ板26と、を有する。
滑り材24は、建物3の基礎コンクリート1の上面に固定される。一方、摩擦材22は、皿ばね群30Gの下に隣接配置された前記下フランジ板26の下面に重ね合わせられてボルト止めされており、この状態で、滑り材24の上面たる滑り面24aに載置されている。よって、これら摩擦材22と滑り材24とが水平方向に相対変位(相対移動)すると、摩擦面22aと滑り面24aとの間に摩擦力が発生する。
この例では、滑り材24としてステンレス板を用い、摩擦材22として超高分子量ポリエチレンを用いているが、これらの素材は、必要な摩擦力の大きさ等に基づいて適宜選定される。また、この摩擦力は、摩擦材22の摩擦面22aと滑り材24の滑り面24aとに付与される垂直抗力たる圧接力に応じて変化するが、この圧接力は、皿ばね群30Gの弾発力によって付与される。
皿ばね群30Gは、複数枚の皿ばね30,30…を上下に積層した皿ばね積層体である。そして、基本的に圧縮変形した際には、その圧縮変形量に応じた大きさの弾発力を摩擦減衰力生成部21に付与し、当該弾発力を圧接力として摩擦減衰力生成部21は滑動時に摩擦力を発生する。但し、圧縮変形付与部材50により付与された圧縮変形(以下、圧縮拘束とも言う)の弾発力については、圧縮変形付与部材50のセットボルト51の軸力と釣り合うので、この弾発力については、圧縮変形付与部材50の圧縮拘束が解除されるまでは、摩擦減衰力生成部21には作用しない。このことは、摩擦減衰力生成部21に設計値の圧接力を設定する際に関係し、このあと「摩擦ダンパー20の設置手順」のところで述べる。
図2に示すように、皿ばね積層体をなす各皿ばね30,30…の平面中心には、互いに同形の貫通孔30hが正円状に形成されており、これら貫通孔30h,30h…の円心は互いに揃っている。よって、これら貫通孔30h,30h…は互いに上下に繋がって、皿ばね群30Gの平面中心の孔部30Ghをなし、当該孔部30Ghに、前述の相対変位伝達機構の一部をなす円筒シャフト60が上下方向に沿って串刺し状に挿通されている。そして、円筒シャフト60の下端部60bは、上述の下フランジ板26の上面の嵌合凹部26aに嵌合されつつ相対移動不能にボルト止めされているとともに、同円筒シャフト60の上端部60aは、後述する弾発力伝達部材40の中間フランジ板44の貫通孔44hに、上下方向の相対移動可能且つ水平方向の相対移動不能に通されて係合しつつ、同上端縁60eは同貫通孔44hから上方に突出している。そして、詳細には後述するが、この中間フランジ板44は、連結ボルト46や上フランジ板42を介して、建物3の下面3aに一体に固定されている。
よって、これら中間フランジ板44等を介して、円筒シャフト60は、基礎コンクリート1に対する建物3の水平方向の相対変位を、摩擦減衰力生成部21の摩擦材22に伝達する。そして、これにより、摩擦材22は、基礎コンクリート1に固定された滑り材24に対して相対変位し、かかる相対変位と、上述の皿ばね群30Gの弾発力とに基づいて、摩擦減衰力生成部21は摩擦力を発生する。
弾発力伝達部材40は、図2及び図3に示すように、平面視正円形状の上フランジ板42(第1プレートに相当)と、その下方に配置された平面視正円形状の中間フランジ板44(第2プレートに相当)と、これらフランジ板42,44同士の間の間隔Gを一定に維持しつつこれらフランジ板42,44同士を連結する連結部材としての連結ボルト46,46…(棒体に相当)と、を有する。
上フランジ板42は、建物3の下面3aに接着材やボルト等により相対移動不能に固定されている。なお、この例では、高さ調整時の円筒シャフト60の収納空間、かつ減量目的で上フランジ板42には、その平面中心と同芯に貫通孔42hが形成されているが、この貫通孔42hは無くても良い。
一方、中間フランジ板44も、円筒シャフト60と同芯の貫通孔44hを有し、この貫通孔44hには、前述の如く円筒シャフト60の上端部60aが、上下方向の相対移動可能、且つ水平方向の相対移動不能に係合している。そして、この中間フランジ板44の下面44aには、前述の皿ばね群30Gの上端が当接し、当該中間フランジ板44とその下方の下フランジ板26との挟み込みによって皿ばね群30Gが圧縮変形した分だけ、皿ばね群30Gは弾発力を生じ、当該弾発力が、前述の摩擦減衰力生成部21の圧接力となる。
連結ボルト46,46…は、それぞれ、ボルト軸方向を上下方向に向けつつ、フランジ板42,44の外周縁に沿って等ピッチで複数本配置されている。そして、各連結ボルト46は、これに螺合するナット48a,48bと協働することにより、弾発力伝達部材40の上下方向の全長Lを伸縮調整する伸縮調整機構としても機能する。すなわち、上フランジ板42と中間フランジ板44との間の間隔Gの大きさの変更を通して、フランジ板42の上面42aと中間フランジ板44の下面44aとの間の距離Lを伸縮変更し、当該距離Lを所定値に固定することができる。
詳しく説明すると、連結ボルト46の上端部の雄ねじ46aは、上フランジ板42に上下に貫通形成された雌ねじ42mに螺着され、更にロックナット47により螺合回転不能に固定されているが、同連結ボルト46の下端部は、中間フランジ板44に上下に貫通形成されたボルト孔44Bhに適宜なクリアランスをもって通されている。そして、同連結ボルト46の下端部の外周面に形成された雄ねじ46bには、中間フランジ板44を上下から挟み込むように一対のナット48a,48bが螺合している。よって、これら一対のナット48a,48bの螺合位置を上下に移動することにより、中間フランジ板44を上フランジ板42に対して相対的に上下方向に移動可能であり、これにより、これらフランジ板42,44を本体とする弾発力伝達部材40の上下方向の全長Lを変更することができる。かかる機能は、摩擦ダンパー20を前記上下方向隙間δに設置する際に使用され、また、設置後における弾発力の大きさの再調整においても使用される。これについては後述する。なお、ナット48a,48bの移動を止めれば、当該全長Lは、その長さで変動不能に固定される。
また、連結ボルト46,46…は、上フランジ板42、中間フランジ板44、及び円筒シャフト60と協働することより、基礎コンクリート1と建物3との間の水平方向の相対変位を摩擦減衰力生成部21へ伝達する相対変位伝達機構としても機能する。すなわち、当該相対変位は、建物3→上フランジ板42→連結ボルト46→中間フランジ板44→円筒シャフト60経由で、摩擦減衰力生成部21の下フランジ板26の摩擦材22へ伝達され、そして、同摩擦材22が滑り材24上を滑動する。
ここで、円筒シャフト60については、その長さを図2の例よりも上方に延長して、上フランジ板42の貫通孔42hに嵌合させ、これにより、連結ボルト46を経ずに相対変位を伝達するようにした構成(以下、参考例と言う)も考えられるところ、本第1実施形態では、そのようにしていない。
すなわち、この第1実施形態では、円筒シャフト60を、その上端60eが上フランジ板42まで到達しないような短い長さにしており、これにより、上フランジ板42と中間フランジ板44との間については前記相対変位の伝達を、連結ボルト46,46…により行っている。そして、このような構成によれば、円筒シャフト60の全長を短くできるので、その減量化を通じて製造コストの削減を図れる。また、上述の参考例のように上フランジ板42の貫通孔42hに円筒シャフト60の上端部60aを嵌合させる場合には、上下方向に所定の嵌合代が必要になり、そのためには、上フランジ板42はある程度の厚みが必要になるが、この点についても、本第1実施形態によれば、設計時に上記嵌合代を考慮せずに済むので、上フランジ板42の厚みを薄くすることができて、製造コストの削減を図れる。
圧縮変形付与部材50は、皿ばね群30Gに圧縮変形を解除可能に付与する部材である。そして、基本的には、上述の伸縮調整機構と同様に、上下方向隙間δへの摩擦ダンパー20の設置の際などに使用される。よって、摩擦ダンパー20の作動状態(水平振動の減衰作用を奏する状態)においては基本的に機能しない。
すなわち、詳細には後述の「摩擦ダンパー20の設置手順」のところで述べるが、この圧縮変形付与部材50は、摩擦ダンパー20の圧接力を設計値に設定する際に、予めその圧接力の大きさに対応する圧縮変形量まで皿ばね群30Gを圧縮変形しておく作業に使用するものである。そして、かかる目的の圧縮変形付与部材50は、ここでは、中間フランジ板44を下フランジ板26に連結するセットボルト51及びナット52aとして構成されている。
詳しくは、セットボルト51の下端部は、下フランジ板26に貫通形成された雌ねじ26mに螺着され、更にロックナット54により螺合回転不能に固定されている一方、同セットボルト51の上端部は、中間フランジ板44に貫通形成されたボルト孔44Bh2に適宜なクリアランスをもって通されている。そして、同セットボルト51の上端部の外周面に形成された雄ねじ51aには、中間フランジ板44の位置よりも上方にナット52aが螺合している。よって、当該ナット52aの螺合位置を下方へ移動することにより、セットボルト51の引っ張りの軸力を反力として皿ばね群30Gに圧縮変形を付与することができる一方、上方へ移動すれば、同圧縮変形を解除することができる。
かかるセットボルト51は、図3に示すように、これらフランジ板26,44の外周縁に沿って等ピッチに複数本配置されており、これにより、皿ばね群30Gの全面に亘って均等に圧縮変形を付与することができる。また、中間フランジ板44上においては、前述の連結ボルト46も設けられているので、当該連結ボルト46との平面配置上の干渉を避けるべく、セットボルト51は、中間フランジ板44の円周方向において連結ボルト46と交互に配置されている。ちなみに、図3の例では、中間フランジ板44上においてセットボルト51と連結ボルト46とは互いに同一円周上に配置されているが、これに限るものではない。
<<<摩擦ダンパー20の設置手順>>>
ここで、建物3と基礎コンクリート1との間の上下方向隙間δへの摩擦ダンパー20の設置手順について説明する。なお、以下では、説明の都合上、摩擦ダンパー20から滑り材24を取り外した構成のことも、摩擦ダンパー20と言い、また、摩擦減衰力生成部21から滑り材24を取り外した構成のことも、摩擦減衰力生成部21と言う。
先ず、図2に示すように、基礎コンクリート1の上面に滑り材24を載置して移動不能に固定する(第1ステップ)。
次に、適宜な作業場において、ジャッキ等を用いて上フランジ板42の上面42aを加圧することにより、連結ボルト46を介して中間フランジ板44を下方に移動して皿ばね群30Gを圧縮変形し、これにより、皿ばね群30Gを、圧接力の設計値に対応する弾発力が生じた状態にする。そうして、この状態で、摩擦ダンパー20の圧縮変形付与部材50のナット52aを締め込む(第2ステップ、圧縮変形工程に相当)。
そうしたら、摩擦ダンパー20の上フランジ板42の上面42aに接着材を塗布する。接着材としては、高流動性モルタルや高流動性セメント等が使用される(第3ステップ)。
次に、摩擦ダンパー20を建物3と基礎コンクリート1との間の上下方向隙間δに介装する。すなわち、摩擦ダンパー20を、既に基礎コンクリート1上に固定した滑り材24の上面24aに載置する(第4ステップ、載置工程に相当)。
そうしたら、弾発力伝達部材40の伸縮調整機構の上下一対のナット48a,48bを螺合回転してこれらナット48a,48bを下方に移動する。すると、弾発力伝達部材40の中間フランジ板44に対して相対的に上フランジ板42が上方へスライド移動し、つまり、弾発力伝達部材40が上方に伸長される。そして、この伸長作業を、基礎コンクリート1上に載置された摩擦ダンパー20の上面20u、つまり弾発力伝達部材40の上フランジ板42の上面42aと、建物3の下面3aとの間の隙間が無くなるまで続ける(第5ステップ、伸長工程に相当)。
そして、当該隙間が無くなって建物3の下面3aに当接したら、弾発力伝達部材40の上フランジ板42を建物3の下面3aにボルト止めし、また、前述の接着材が固化するまで待つ(第6ステップ)。
そして、接着材が固化したら、圧縮変形付与部材50のナット52aを緩めて上方へ移動し、これにより、圧縮変形付与部材50による皿ばね群30Gの圧縮拘束を解除する。つまり、圧縮変形付与部材50のセットボルト51の軸力が完全に解放されるまで、ナット52aを緩める。
すると、皿ばね群30Gの弾発力の作用対象が、セットボルト51から弾発力伝達部材40へと移り、つまり、皿ばね群30Gは、弾発力伝達部材40を上方へ押圧し、その反力を建物3から得て、最終的には、摩擦減衰力生成部21の摩擦面22a及び滑り面24aに、皿ばね群30Gの弾発力が圧接力として付与される。ここで、この時には、弾発力の作用対象がセットボルト51から摩擦減衰力生成部21に切り替わっただけであり、当該弾発力の大きさは、第2ステップでセットされた設計値と略同値に維持されている。よって、摩擦減衰力生成部21には略設計値の圧接力が付与されており、もって、水平振動の減衰に必要な計画通りの大きさの摩擦力が、摩擦面22aと滑り面24aとの間に生じることとなる(第7ステップ、圧縮変形解除工程に相当)。
なお、緩めたナット52aは、セットボルト51の上端部に付けておいても良いし、セットボルト51から取り外して別途保管しても良い。
そして、以上説明したことから明らかなように、当該第1実施形態に係る摩擦ダンパー20の構成によれば、上下方向隙間δの寸法が、所期の計画値からずれている場合であっても、当該計画値からのずれを、伸縮調整機構による弾発力伝達部材40の上方への伸縮調整によって吸収することができる。よって、フィラプレート挿入やグラウト打設による調整は行わずに済み、結果、調整作業負荷の大幅な軽減を図れる。
なお、ここで望ましくは、上述の圧縮変形量の設定値は、皿ばね30の荷重−撓み関係における非線形領域内、つまり、皿ばね30の撓み量(圧縮変形量)の変動に対する弾発力の変動の小さい領域内に設定されるのが好ましい。そして、圧縮変形量の設定値がこの非線形領域内に収まっていれば、アイソレータ7のクリープ現象や気温変動による膨張収縮等の経時変化に起因して上述の上下方向隙間δが変化する場合であっても、皿ばね群30Gの弾発力変動を小さく抑えることができ、その結果、摩擦面22aと滑り面24aとの間の摩擦力をほぼ一定に維持できる。これにより摩擦ダンパー20は、安定した振動減衰作用を発揮することができる。
但し、詳細には後述するが、この第1実施形態の構成によれば、摩擦ダンパー20の設置後の弾発力の調整も容易に行えるので、設置後の上下方向隙間δが経時変化しても、手軽に再調整することができる。よって、必ずしも非線形領域を利用する必要は無い。つまり、場合によっては、皿ばね30に代えてコイルばね等の線形ばねを適用しても良い。
また、上述の摩擦ダンパー20の設置手順の説明では、既に構築済みの建物3の下面3aと基礎コンクリート1との間の上下方向隙間δに摩擦ダンパー20を挿入する場合を例に説明したが、摩擦ダンパー20の設置手順は何等これに限るものではない。
例えば、先ず、基礎コンクリート1を構築し、その後、第1ステップ及び第2ステップを行い、次に、建物3の下面3aを構築し、その後、第3ステップから第7ステップを行うようにしても良い。
<<<摩擦ダンパー20の設置後の圧接力の調整手順>>>
ところで、摩擦ダンパー20の設置後に上下方向隙間δの大きさが経時変化した場合に圧接力が変化する虞があるが、その場合についても、前記伸縮調整機構による弾発力伝達部材40の伸縮調整によって、前記隙間δの大きさの変化に対処可能である。つまり、当該変化分だけ弾発力伝達部材40の上下方向の全長Lを伸縮変更することにより、皿ばね群30Gの圧縮変形量を摩擦ダンパー20の設置当初の状態に戻すことができる。これにより、圧接力を速やかに設計値に戻すことができて、その結果、計画通りの大きさの摩擦力を減衰力として発生させることができる。
ここで、図2を参照しつつ、この圧接力の調整手順について詳しく説明する。なお、ここでは、上下方向隙間δが、摩擦ダンパー20の設置時と比べて広がってしまった場合を例に説明する。その場合には、隙間δが広がった分だけ皿ばね群30Gの弾発力が弱くなっているので、弾発力伝達部材40の全長Lを長くして弾発力を大きくすることにより、設計値へと戻すことになる。
先ず、伸縮調整機構に係るナット48bを弾発力伝達部材40の調整分だけ下方へ移動する。次に、上フランジ板42と中間フランジ板44との間の間隔Gに、ジャッキ(不図示)を介装する。そして中間フランジ板44がナット48bに押し当たるまで、ジャッキを上下方向に伸長させる。
次に、中間フランジ板44が下方に移動した分だけ、伸縮調整機構に係る連結ボルト46のナット48aを螺合回転して下方に移動して当該ナット48aを上方から中間フランジ板44に押し付けた状態にし、これにより、連結ボルト46の軸力で皿ばね群30Gの弾発力を受けられるようにする。
そうしたら、ジャッキを短縮して摩擦ダンパー20から外す。すると、ジャッキに作用していた皿ばね群30Gの弾発力は、弾発力伝達部材40の方に作用して当該弾発力伝達部材40を上方へ押圧し、その反力を建物3から得て、最終的には、摩擦減衰力生成部21の摩擦面22a及び滑り面24aに皿ばね群30Gの弾発力が圧接力として付与される。以上をもって、摩擦ダンパー20の圧接力を設計値へ戻す調整が終了する。
なお、上述では、設計値からずれた圧接力を設計値に戻す調整を例示したが、当該調整の目的は何等これに限るものではない。例えば、実際の摩擦係数が想定値と違っていた場合には、圧接力を設計値どおりに設定しても、所期の減衰効果を期待できないが、その場合にも、上述と同じ手順により対応可能である。すなわち、摩擦係数の想定値と実績値との相違分だけ、圧接力を設計値からずらして設定すれば、所期の減衰力を得ることができる。
===第2実施形態===
図6は、第2実施形態に係る摩擦ダンパー20aの側面図であり、図7は、同摩擦ダンパー20aを斜め下方から見た斜視図である。
上述の第1実施形態との相違点は、弾発力伝達部材40(40a)の連結部材46(70)の構成にある。そして、これ以外の点は概ね上述の第1実施形態と同じである。よって、同じ構成については同じ符号を付し、その説明については省略する。
図6に示すように、この第2実施形態の弾発力伝達部材40aも上フランジ板42と中間フランジ板44とを有している。そして、これらフランジ板42,44同士は、互いの間に間隔Gをもたせつつ、連結部材70によって連結されている。
ここで、第1実施形態と同様に、この第2実施形態に係る連結部材70も、弾発力伝達部材40aを上下方向に伸縮する伸縮調整機構として機能する。
すなわち、連結部材70は、上フランジ板42の下面に溶接等により一体に固定された上側部材71(第1部材に相当)と、中間フランジ板44の上面に溶接等により一体に固定された下側部材72(第2部材に相当)と、これら上側部材71と下側部材72とを互いの鉛直面71a,72a同士において重合させて(面接触させて)摩擦接合状態で締結固定する高力ボルト73a及びナット73bと、を有する。そして、上側部材71及び下側部材72に形成される高力ボルト73aのボルト孔(不図示)は、少なくとも一方が上下方向に長い長孔に形成されている。よって、前記鉛直面71a,72aにおいて上側部材71を下側部材72に対して相対的に上方又は下方にスライド移動させた後に、高力ボルト73a及びナット73bによって相対移動不能な摩擦接合状態に締結固定すれば、上フランジ板42の上面42aと中間フランジ板44の下面44aとの距離Lたる弾発力伝達部材40aの上下方向の全長Lを変更することができる。よって、上述の第1実施形態と同様に、摩擦ダンパー20aの設置時の調整作業負荷を大幅に軽減可能となる。
また、この第2実施形態の場合には、高力ボルト73aを用いているので、上側部材71及び下側部材72の断面性能を高めれば、上述の鉛直面71a,72aは、高力ボルト73aの締結によって強固な摩擦接合状態を実現可能である。よって、上述の第1実施形態と比べて、弾発力伝達部材40aは、大きな上下方向の圧縮荷重の作用下においても耐えることができ、よって、摩擦力の計画値が大きい場合に好適である。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、摩擦ダンパー20の各構成要素のなかで、上下方向隙間δにおいて互いに直列に並ぶ構成要素たる弾発力伝達部材40、皿ばね群30G、及び摩擦減衰力生成部21を、この順番で上から下へと直列に並べた構成を例示したが(図2の概略中心縦断面図を参照)、この並び順は、何等これに限るものではない。例えば、図2の状態の摩擦ダンパー20を上下反転して、上下方向隙間δに介装しても良い。すなわち、図8の摩擦ダンパー20bの概略中心縦断面図に示すように、上から下へと、摩擦減衰力生成部21、皿ばね群30G、及び弾発力伝達部材40の順番で直列に配置しても良い。
上述の実施形態では、免震装置10を建物3と基礎コンクリート1との間の上下方向隙間δに介装したが、何等これに限るものではない。例えば、建物3が多層階からなる場合には、上部構造体としてのN+1階の躯体と、下部構造体としてのN階の躯体との間の上下方向隙間に免震装置10を介装しても良い。また、上部構造体として、嫌振装置である半導体製造設備等を設置する床、あるいは、大型装置等に適用してもよい。
1 基礎コンクリート(下部構造体)、3 建物(上部構造体)、3a 下面、
7 アイソレータ、10 免震装置、20 摩擦ダンパー、
20a 摩擦ダンパー、20b 摩擦ダンパー、20u 上面、
21 摩擦減衰力生成部、22 摩擦材、22a 摩擦面、
24 滑り材、24a 滑り面、26 下フランジ板、26a 嵌合凹部、
30 皿ばね(ばね部材)、30h 貫通孔、
30G 皿ばね群(ばね部材)、30Gh 孔部、
40 弾発力伝達部材、40a 弾発力伝達部材、
42 上フランジ板(第1プレート)、42a 上面、42h 貫通孔、
44 中間フランジ板(第2プレート)、
44Bh ボルト孔、44Bh2 ボルト孔、
44a 下面、44h 貫通孔、46 連結ボルト(連結部材、棒体)、
47 ロックナット、48a ナット、48b ナット、
50 圧縮変形付与部材、51 セットボルト、52a ナット、
54 ロックナット、60 円筒シャフト(軸部材)、
60a 上端部(一方の軸端部)、60b 下端部(他方の軸端部)、
70 連結部材、71 上側部材(第1部材)、71a 鉛直面、
72 下側部材(第2部材)、72a 鉛直面、
73a 高力ボルト、73b ナット、
δ 上下方向隙間、G 間隔

Claims (6)

  1. 上部構造体と下部構造体との間の上下方向隙間に介装され、前記上部構造体を免震支持するアイソレータと、
    前記上下方向隙間に前記アイソレータと並列に介装され、前記上部構造体と前記下部構造体との間の水平振動を、摩擦力を減衰力として用いて減衰する摩擦ダンパーと、を備えた免震装置であって、
    前記摩擦ダンパーは、
    前記上下方向隙間に介装され、摩擦面及び該摩擦面に圧接しつつ滑動する滑動面を有する摩擦減衰力生成部と、
    前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部と直列に介装され、前記摩擦減衰力生成部に圧接力を生じさせるべく弾発力を発生するばね部材と、
    前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部及び前記ばね部材と直列に介装され、前記弾発力を上下方向に伝達する弾発力伝達部材と、
    前記ばね部材に対して前記圧接力に係る前記弾発力を設定する際に使用され、前記ばね部材に上下方向の圧縮変形を付与及び解除可能な圧縮変形付与部材と、を備え、
    前記弾発力伝達部材は、該弾発力伝達部材を上下方向に伸縮する伸縮調整機構を有し、
    前記水平振動に係る前記上部構造体と前記下部構造体との間の水平方向の相対変位が、前記伸縮調整機構を介して前記摩擦減衰力生成部へ伝達されることを特徴とする免震装置。
  2. 請求項1に記載の免震装置であって、
    前記ばね部材は、上下方向の第1貫通孔を有し、
    前記弾発力伝達部材は、第1プレートと、該第1プレートに上下方向の間隔をもって対向配置される第2プレートと、前記第1プレートと前記第2プレートとを連結し、前記伸縮調整機構として機能する連結部材と、を有し、
    前記第2プレートは、前記第1プレートと前記摩擦減衰力生成部との間に位置しつつ、前記ばね部材に上下方向から当接し、
    前記第2プレートは、上下方向の第2貫通孔を有し、
    前記第1貫通孔に挿通された軸部材の一方の軸端部は、前記第2貫通孔に挿通されることにより前記第2プレートに対して水平方向の相対移動不能に係合し、前記軸部材の他方の軸端部は、前記摩擦減衰力生成部に対して相対移動不能に係合しており、
    前記相対変位は、前記第1プレート、前記連結部材、前記第2プレート、前記軸部材を経由して、前記摩擦減衰力生成部へ伝達されることを特徴とする免震装置。
  3. 請求項2に記載の免震装置であって、
    前記伸縮調整機構としての前記連結部材によって、前記第1プレートと前記第2プレートとの間の前記間隔の大きさを変更することにより、前記弾発力伝達部材を上下方向に伸縮調整することを特徴とする免震装置。
  4. 請求項3に記載の免震装置であって、
    前記連結部材は、上下方向に軸方向が向いた棒体を有し、
    前記棒体の上端部及び下端部は、螺合構造によって前記第1プレート及び前記第2プレートに締結固定され、
    前記第1プレートと前記第2プレートとの間に位置する前記棒体の部分の長さを変更することにより、前記間隔の大きさを変更することを特徴とする免震装置。
  5. 請求項3に記載の免震装置であって、
    前記連結部材は、前記第1プレートに一体に固定された第1部材と、前記第2プレートに一体に固定された第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを互いの鉛直面同士において重合させて摩擦接合状態で締結固定する高力ボルトと、を有し、
    前記第1部材及び前記第2部材に形成される前記高力ボルトのボルト孔は、少なくとも一方が上下方向に長い長孔に形成されていることを特徴とする免震装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の免震装置の設置方法であって、
    前記圧縮変形付与部材によって、前記ばね部材を、前記圧接力の大きさに対応する圧縮変形量まで圧縮変形する圧縮変形工程と、
    前記摩擦ダンパーを前記下部構造体上に載置する載置工程と、
    前記圧縮変形工程及び前記載置工程の後に、前記下部構造体上に載置された前記摩擦ダンパーの上面と前記上部構造体の下面との間の隙間がなくなるまで、前記伸縮調整機構によって前記弾発力伝達部材を上方に伸長する伸長工程と、
    前記伸長工程の後に、前記圧縮変形付与部材による前記ばね部材の圧縮変形を解除する圧縮変形解除工程と、を有することを特徴とする免震装置の設置方法。
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