JP7338121B2 - ブレース及びブレース設置方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ブレース及びブレース設置方法に関する。
下記特許文献1には、既存建物の躯体にアンカーボルトを用いて圧縮ブレースを固定した耐震補強構造が示されている。
特開2015-183460号公報
上記特許文献1に示された耐震補強構造においては、圧縮ブレースを施工するために、躯体を穿孔してアンカーボルトを挿入する必要がある。このため施工手間がかかる。また、この圧縮ブレースでは、圧縮側と引張側の双方で安定してエネルギー吸収することができない。さらに、圧縮ブレースの圧縮降伏後に残留変形が生じることで、2度目以降の圧縮力に対するエネルギー吸収能力が低下する可能性がある。
本発明は上記事実を考慮して、ブレースと架構の接合構造を簡略化し、かつ、効果的に地震による建物の振動エネルギーを吸収できるブレース及びブレース設置方法を提供することを目的とする。
請求項1のブレースは、架構の構面内に配置されたブレース本体と、前記架構と前記ブレース本体との間に圧縮された状態で配置され、前記ブレース本体を前記架構へ圧着させる輪ばねと、前記架構に固定され、前記輪ばねを覆うと共に平常時において前記ブレース本体と隙間を空けて配置された鋼管と、を備えている。
請求項1に記載のブレースにおいては、ブレース本体と架構との間に、輪ばねが圧縮された状態で配置されている。このため、輪ばねの復元力によりブレース本体が架構へ圧着される。これにより、アンカーボルト等を用いずにブレース本体を架構に固定できる。すなわち、ブレースと架構の接合構造を簡略化できる。
また、ブレースに圧縮力が作用した際、輪ばねは圧縮荷重を受ける。このとき、輪ばねの外輪が内輪から押圧され、内輪が外輪から押圧される。この外輪と内輪との間の摩擦力により、地震による建物の振動エネルギーを吸収することができる。
さらに、ブレースに引張力が作用した際も同様に、外輪と内輪との間の摩擦力によるエネルギー吸収効果により、地震による建物の振動エネルギーを吸収することができる。
請求項2のブレースは、架構の構面内に配置されたブレース本体と、前記架構と前記ブレース本体との間に圧縮された状態で配置され、前記ブレース本体を前記架構へ圧着させる輪ばねと、前記輪ばねを覆うと共に、端部に径方向外側へ突出するフランジを有する鋼管と、を備え、平常時において前記ブレース本体は前記フランジと当接している。
請求項2に記載のブレースにおいては、輪ばねが鋼管に覆われており、ブレース本体が鋼管と当接している。このため、ブレースに圧縮力が作用した際、ブレースと鋼管によって圧縮力に抵抗できる。これにより耐震性能が発揮される。
また、ブレースに引張力が作用した際には、輪ばねの外輪と内輪との間の摩擦力によるエネルギー吸収効果により、地震による建物の振動エネルギーを吸収することができる。これにより、制振性能が発揮される。
請求項3のブレースは、請求項1又は2に記載のブレースにおいて、前記架構及び前記ブレース本体の端部にはそれぞれプレートが接合され、前記プレート同士は、前記輪ばねに取り囲まれて配置された弾性体の芯材で連結されている。
請求項4のブレース設置方法は、与圧を加えて輪ばねを圧縮する圧縮工程と、架構の構面に、圧縮された前記輪ばね及びブレース本体を配置する配置工程と、前記与圧を開放し前記ブレース本体を前記架構へ圧着させる開放工程と、を備え、前記開放工程の後における前記輪ばねの圧縮量は、ブレースに所定の設計引張力が作用した際における前記輪ばねの変形量より大きく、前記鋼管は、前記架構に固定され、前記輪ばねを覆うと共に平常時において前記ブレース本体と隙間を空けて配置される
請求項4に記載のブレース設置方法では、ブレース本体と架構との間に、与圧によって圧縮された輪ばねが配置される。この与圧を開放することで、ブレース本体が架構へ圧着される。また、輪ばねの圧縮量は、ブレースに所定の設計引張力が作用した際における輪ばねの変形量より大きい。これにより、地震時にブレースに所定の設計引張力が作用しても架構にブレース本体を設置した状態を維持し易い。したがって、アンカーボルト等を用いずにブレースを架構に固定できる。すなわち、ブレースと架構の接合構造を簡略化できる。
また、ブレースに圧縮力が作用すると、輪ばねは圧縮荷重を受けて、外輪が内輪から押圧され、内輪が外輪から押圧される。この外輪と内輪との間の摩擦力により、地震による建物の振動エネルギーを吸収することができる。
さらに、ブレースに引張力が作用した際にも、外輪と内輪との間の摩擦力によるエネルギー吸収効果により、地震による建物の振動エネルギーを吸収することができる。これにより、制振性能が発揮される。
本発明によると、ブレースと架構の接合構造を簡略化し、かつ、効果的に地震による建物の振動エネルギーを吸収できる。
本発明の第1実施形態に係るブレースが配置された架構を示す断面図である。 (A)は本発明の第1実施形態に係るブレースを2つの構面にそれぞれ逆向きに配置した状態を示す立面図であり(B)は1つの構面に2つのブレースを逆向きに配置した状態を示す立面図である。 (A)は本発明の実施形態に係るブレースに用いられる輪ばねを示した断面図であり(B)は輪ばねに作用する圧縮力と軸縮みとの関係を示したグラフである。 本発明の第1実施形態に係る輪ばねの設計ストロークを地震時に想定されるストロークより大きく設定した例において、輪ばねに作用する圧縮力と軸縮みとの関係を示したグラフである。 本発明の第1実施形態に係るブレースが、鋼管とブレース本体が当接するまで圧縮される場合において、輪ばね、ブレース本体及び鋼管に作用する圧縮力と軸縮みとの関係を示したグラフである。 (A)は架構に取り付けられる前のブレースを示した立面図であり(B)はブレースに与圧部材を固定した状態を示す立面図であり(C)は与圧部材を用いてブレースの輪ばねを圧縮した状態を示す立面図である。 本発明の第2実施形態に係るブレースが配置された架構を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る輪ばね、ブレース本体及び鋼管に作用する圧縮力と軸縮みとの関係を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態に係るブレース及びブレース設置方法について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において構成を省略する、又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
<第1実施形態>
(架構)
図1には、本発明の第1実施形態に係るブレース20が示されている。ブレース20は、柱12及び梁14を備えた建物の架構10において、柱12及び梁14によって形成された構面Hに適用される耐震構造体である。
本実施形態において柱12及び梁14は鉄筋コンクリート製とされているが、これらは鉄骨鉄筋コンクリート製や鉄骨製等とすることができる。なお、図1は平常時の状態を示しており、架構10には地震等による水平力は生じていないものとする。
(ブレースの配置)
ブレース20は、構面Hにおいて、柱12と梁14との接合部(仕口部)間に亘って斜めに掛け渡されている。図2(A)に示すように、同一階の異なる構面H(構面H1、H2)において、複数のブレース20が異なる方向に沿って架け渡されていることが好ましい。
また、図2(B)に示すように、一つの構面Hにおいて複数のブレース20を異なる方向に沿って架け渡してもよい。この場合、ブレース20における一方の端部を、梁14の中央部に接合する。他方の端部は、柱12と梁14との接合部に接合する。
(ブレースの構造)
図1に示すように、ブレース20は、ブレース本体22、プレート24、26及び芯材28を備えている。また、ブレース20は、輪ばね30及び鋼管40を備えている。
ブレース本体22はプレキャストコンクリートで形成され、一方の端部がグラウト材Gを介して柱12と梁14との接合部に接合(固定)されている。なお、ブレース本体は、H型鋼、角型鋼管等の鋼材を用いて形成してもよい。
ブレース本体22の他方の端部には、鋼製のプレート24が接合されている。すなわち、プレート24はブレース本体22と一体化され、ブレース本体22の一部となっている。プレート24には後述する芯材28の一方の端部が接合され、芯材28の他方の端部には鋼製のプレート26が接合されている。すなわち、プレート24、26で芯材28を挟み込んでいる。
芯材28はゴム材によって伸縮可能に形成されている。芯材28とプレート24、26とは、例えば加硫によって接合されている。これにより、プレート24及びプレート26が相対的に接離する方向に移動できる。
なお、芯材28は伸縮可能な素材であればゴム材に限らず、コイルバネなどの弾性体を用いて形成することができる。また、芯材28とプレート24、26との接合方法は加硫に限らず、ねじやボルト、接着剤による接着など適宜の方法を用いる事ができる。
プレート26は、グラウト材Gを介して柱12と梁14との接合部に接合されている。プレート26は、プレート26に溶接されたアンカー材26Aによってグラウト材Gに固定されている。
(鋼管)
鋼管40は円筒状の鋼材(丸型鋼管)であり、輪ばね30の外周を覆って配置されている。輪ばね30と鋼管40との間には、後述する輪ばね30の変形(径方向の変形)を妨げないように、隙間が形成されている。鋼管40は、溶接、ボルト及び接着などの方法を用いてプレート26に適宜接合しておくことが好ましい。
また、鋼管40は、プレート24と当接した際に、ブレース本体22からの圧縮力を伝えることができるように、端部に径方向に突出するフランジを設けることが好ましい。
(輪ばね)
輪ばね30は円筒状の弾性体であり、筒軸方向がブレース本体22の軸方向と略一致するように、かつ、芯材28を取囲んで配置されている。図3(A)に示すように、輪ばね30は、複数の内輪32と複数の外輪34とを組み合わせて形成されている。なお、以下の記載においては輪ばね30、内輪32及び外輪34の筒軸方向を「軸方向」と記載する。
内輪32は、円環状に形成され、外周面に2つの円錐面32A、32Bを備えている。円錐面32A、32Bは、それぞれ内輪32の軸方向(軸線CLに沿った方向)の中央部から端部に向って直径が漸減するように形成されている。また、内輪32は軸方向に沿って連ねて配置され、互いに隣接する内輪32同士の間には隙間W1が形成されている。
外輪34は、内輪32より直径が大きい円環状に形成され、内周面に2つの円錐面34A、34Bを備えている。円錐面32A、32Bは、それぞれ外輪34の軸方向の中央部から端部に向って直径が漸増するように形成されている。また、外輪34は、軸方向に沿って連ねて配置され、互いに隣接する外輪34同士の間には隙間W2が形成されている。
内輪32における円錐面32Aと外輪34における円錐面34Aとは互いに接して配置され、内輪32における円錐面32Bと外輪34における円錐面34Bとは互いに接して配置されている。換言すると、内輪32及び外輪34は、それぞれの円錐面32Bと円錐面34B、また、円錐面32Aと円錐面34Aとが接するように、交互に重ね合わせて配置されている。
この輪ばね30に圧縮力(圧縮荷重)Pを作用させると、隙間W1、W2を狭めるように内輪32及び外輪34が軸方向に沿って変位して、輪ばね30が軸方向に縮む。図3(B)には、作用させる圧縮力Pと軸縮みεとの関係が矢印L1に沿う直線で示されている。
このとき、内輪32における円錐面32Aが、外輪34における円錐面34Aから押圧され、内輪32は縮径する。同様に、外輪34における円錐面34Aが、内輪32における円錐面32Aから押圧され、外輪34は拡径する。円錐面32Aと円錐面34Aとの間には摩擦力が作用し、また、円錐面32Bと円錐面34Bとの間にも摩擦力が作用する。輪ばね30は、この摩擦力によりエネルギーを吸収することができる。
また、輪ばね30に作用させた圧縮力Pを除荷すると、図3(A)に示す隙間W1、W2を拡げるように内輪32及び外輪34が軸方向に沿って変位して、輪ばね30が軸方向に伸びる。図3(B)には、除荷する圧縮力Pと軸縮みεとの関係が矢印L2に沿う直線で示されている。
(輪ばねの配置)
図1において、輪ばね30は圧縮された状態で(予圧を受けた状態で)配置されている。このため、輪ばね30は復元力によってプレート24を介してブレース本体22を架構10へ圧着している。
また、輪ばね30は軸方向に伸縮可能な状態で配置されている。つまり、ブレース20に圧縮力が作用した場合には輪ばね30は縮む方向に変位可能とされ、ブレース20に引張力が作用した場合には輪ばね30は伸びる方向に変位可能とされている。
(作用)
図1に示した状態(平常時)においては、図4に示すように、輪ばね30は予圧縮(圧縮力P0、軸縮みε0)が与えられた状態(状態S0)で配置されている。すわなち、ブレース本体22と架構10との間に、輪ばね30が圧縮された状態で配置されている。このため、輪ばね30の復元力によりブレース本体22が架構10へ圧着される。これにより、アンカーボルト等を用いずにブレース本体22を架構に固定できる。すなわち、ブレース20と架構10の接合構造を簡略化できる。
また、図1に矢印で示すように、地震時に架構10に水平力N1(構面Hにおいてブレース20が配置された対角線を縮める方向の水平力)が作用すると、ブレース20には「圧縮力」が作用する(圧縮荷重を受ける)。
このとき輪ばね30は圧縮されて縮み、図4において矢印L3に沿う実線で示されるように変形する。このとき、図3に示す輪ばね30の外輪34が内輪32から押圧され、内輪32が外輪34から押圧される。内輪32と外輪34とが互いに押圧することで輪ばね30には摩擦力が作用する。
次に、地震時に架構10に水平力N2(構面Hにおいてブレース20が配置された対角線を伸ばす方向の水平力、図1参照)が作用すると、ブレース20には「引張力」が作用する。これにより図4における軸縮みと圧縮力の関係は矢印L4のように推移する。
このように、本実施形態においては、地震時に架構10に繰り返し作用する水平力N1、N2に対して、輪ばね30が伸縮することで振動エネルギーが吸収される。これにより、制振性能を発揮できる。なお、水平力N1、N2の値は一定ではなく、地震の規模によって変化する値であり、また、振動の減衰に伴って変化する値である。
図4に示した実施形態においては、輪ばね30の設計ストロークΔε1(輪ばね30が状態S0から「変位可能」な長さ)を、地震時に想定される、想定ストロークΔε2より大きく設定している。
換言すると、輪ばね30が地震時に想定ストロークΔε2だけ変形した際に、当該変形量が設計ストロークΔε1より小さくなるように、輪ばね30の予圧縮力(圧縮力P0)、縮みε0及び輪ばね30の弾性が設定されている。
これにより、想定内の振幅範囲内においては、輪ばね30は継続して伸縮できる。このため、地震によって変位し易い柔構造の架構を備えた建物において、振動エネルギーの吸収効率を高めることができる。
すなわち、ブレース20では、圧縮側と引張側の双方で安定してエネルギー吸収することができる。さらに、繰り返し作用する圧縮力と引張力によってエネルギー吸収能力が低下し難い。
なお、図4には、輪ばね30が設計ストロークΔε1のストロークエンドまで圧縮された状態(状態S2)において輪ばね30に作用する圧縮力が、圧縮力P2として示されている。「ストロークエンド」とは、輪ばね30が摩擦力によってエネルギー吸収しながら圧縮変形できるストロークの限界点のことである。
図5には、輪ばね30に与えられる圧縮力が圧縮力P2以上になった場合、すなわち、輪ばね30がストロークエンドを超えて圧縮された場合の圧縮力と軸ひずみとの関係が矢印L5に沿う実線で示されている。
このとき、図1に示す鋼管40がプレート24と当接し、ブレース本体22から圧縮力を受けている。ブレース20は、鋼管40とブレース本体22により圧縮力に抵抗し、図5に矢印L5に沿う実線で示すように、輪ばねの剛性に比べ大きい剛性で地震力に抵抗し、耐震性能を発揮できる。すなわち、矢印L5に沿う実線は、鋼管40とブレース本体22による圧縮力と軸ひずみとの関係を示している。
このように、ブレース20においては、輪ばね30のストロークエンド(設計ストロークΔε1)を超えて圧縮されるように設定することもできる。これによりブレース20は、制振性能だけではなく耐震性能も発揮することができる。
なお、図4及び図5には、ブレース20に「引張力」が作用している状態において輪ばね30に作用する圧縮力P1が示されている。輪ばね30に作用する圧縮力が圧縮力P1未満の状態においては、輪ばね30の復元力が小さく、ブレース本体22を架構10に圧着する力が小さい。このため、ブレース本体22が自重によって架構10から脱落する虞がある。
このため、ブレース本体22が自重によって架構10から脱落しないように、輪ばね30には常に圧縮力P1以上の圧縮力が作用している状態を維持することが好ましい。すなわち、輪ばね30は、伸び側のストロークが最大値(伸びストロークΔε3)となった場合において作用している圧縮力P3が、圧縮力P1を下回らないように設定することが好ましい。なお、輪ばね30の「伸び側」とは、状態S0を基点として伸び変形している状態を示す。
(ブレースの設置方法)
図6(A)には、架構10(図1参照)に設置する前の状態のブレース20が示されている。架構10への設置に先立って、ブレース20には、図6(B)に示すように、与圧部材50を固定する。
与圧部材50は、固定部52、54と、ジャッキ56とを備えている。固定部52及び固定部54は、それぞれジャッキ56とPC鋼棒58で連結されている。固定部52は、ブレース本体22にボルト等で固定し、固定部54は、プレート26にボルト等で固定する。
この状態でジャッキ56を用いて、固定部52と固定部54とを互いに近づく方向へ移動させる。これにより、図6(C)に示すようにブレース20における輪ばね30が圧縮され、与圧が加えられる(圧縮工程)。
ブレース20に与圧部材50を固定した状態で、ブレース20(ブレース本体22及び圧縮された輪ばね30)を、図1に示す架構10の構面Hに配置する(配置工程)。
ブレース20が構面Hにおいて所定の位置に仮固定された後、ブレース20と架構10との間にグラウト材Gを充填する。グラウト材Gが硬化したら、ジャッキ56による圧縮力(与圧)を開放し、ブレース本体22を架構10へ圧着する(開放工程)。
このように、ブレース20の設置方法においては、ブレース20を施工するために、躯体(柱12や梁14)を穿孔してアンカーボルトを挿入する必要がない。このため、躯体を穿孔してアンカーボルトを挿入する必要がある構成と比較して、施工手間がかからない。
ジャッキ56による圧縮力を開放した後の輪ばね30の圧縮量(軸縮みε0、図4参照)は、ブレース20に引張力(本発明における所定の設計引張力)が作用した際に想定される、想定ストロークΔε2より大きい。
このため、ブレース20に引張力が作用して輪ばね30が最大限伸びた状態(想定ストロークΔε2だけ伸びた状態)においても、輪ばね30は圧縮された状態が維持される。このため、地震時にブレース20に引張力が作用しても架構10にブレース本体22を設置した状態を維持し易い。
さらに、図5に示すように、本実施形態においては、輪ばね30が最大限伸びた状態(図5においてストロークΔε3だけ伸びた状態)において受ける圧縮力P3が、ブレース本体22が自重によって架構10から脱落しないための圧縮力P1より大きい。
このため、架構10にブレース本体22を設置した状態を維持し易い効果を高めることができる。例えば図1に示す芯材28とプレート24又はプレート26との接合が破断された場合においても、ブレース本体22が架構10から脱落し難い。
<第2実施形態>
第2実施形態においては、図7に示すように、ブレース20における輪ばね30が、平常時において鋼管40とプレート24とが当接するように予圧縮されている。なお、本発明における「ブレース本体は鋼管と当接している」とは、鋼管40と、ブレース本体22と一体化されたプレート24とが当接している状態を含む。また、本発明における「平常時」とは、架構10が地震や強風、津波などによって外力を受けていない状態のことを指す。
図8を用いて説明すると、輪ばね30は、予圧縮(圧縮力P2、軸縮みε4)が与えられた状態(状態S4)で配置されている。なお、状態S4における輪ばね30の状態は、第1実施形態における状態S2と略等しい。但し、第1実施形態における状態S2においてはブレース20に圧縮力が作用している一方で、第2実施形態における状態S4においてはブレース20に圧縮力及び引張力は作用していない。
第2実施形態においては、地震時に架構10に水平力N1(図7参照)が作用すると、ブレース20には「圧縮力」が作用する。このときブレース20は、鋼管40とブレース本体22により抵抗し、矢印L5に沿う実線で示すように、輪ばねの剛性に比べて大きい剛性を持つ部材として地震力に抵抗し、耐震性能を発揮できる。
次に、次に、地震時に架構10に水平力N2(構面Hにおいてブレース20が配置された対角線を伸ばす方向の水平力、図7参照)が作用すると、ブレース20には「引張力」が作用する。これにより図8における軸縮みと圧縮力の関係は矢印L6のように推移する。
このように、本実施形態においては、地震時に架構10に繰り返し作用する水平力N1、N2に対して、鋼管40とブレース本体22とにより耐震性能が発揮される。一方で、輪ばね30が伸縮することで振動エネルギーが吸収される。これにより、制振性能を発揮できる。
本実施形態においても、輪ばね30は、伸び側のストロークが最大値(伸びストロークΔε5)となった場合において作用している圧縮力P5が、圧縮力P1を下回らないように設定することが好ましい。
このように、第2実施形態においては、地震時にブレース20に圧縮力が作用している状態においては、輪ばね30により振動エネルギーを吸収させず、即座に耐震性能を発揮できる。このため、地震によって変位し難い剛性の高い架構を備えた建物(剛性耐力を付与したい建物)において、効率的に耐震性能を発揮することができる。一方で、ブレース20に引張力が作用している状態においては、制振性能を発揮できる。
なお、上記の各実施形態においてブレース20は鋼管40を備えているが本発明の実施形態はこれに限らない。例えば図4に示したように、輪ばねの設計ストロークを地震時に想定されるストロークより大きく設定する場合、地震時に鋼管40とプレート24は当接しない。このため鋼管40を省略することができる。このように、本発明は様々な態様で実施できる。
10 架構
20 ブレース
22 ブレース本体
30 輪ばね
40 鋼管
H 構面

Claims (4)

  1. 架構の構面内に配置されたブレース本体と、
    前記架構と前記ブレース本体との間に圧縮された状態で配置され、前記ブレース本体を前記架構へ圧着させる輪ばねと、
    前記架構に固定され、前記輪ばねを覆うと共に平常時において前記ブレース本体と隙間を空けて配置された鋼管と、
    を備えたブレース。
  2. 架構の構面内に配置されたブレース本体と、
    前記架構と前記ブレース本体との間に圧縮された状態で配置され、前記ブレース本体を前記架構へ圧着させる輪ばねと、
    前記輪ばねを覆うと共に、端部に径方向外側へ突出するフランジを有する鋼管と、を備え、
    平常時において前記ブレース本体は前記フランジと当接している、
    ブレース。
  3. 前記架構及び前記ブレース本体の端部にはそれぞれプレートが接合され、
    前記プレート同士は、前記輪ばねに取り囲まれて配置された弾性体の芯材で連結されている、
    請求項1又は2に記載のブレース。
  4. 与圧を加えて輪ばねを圧縮する圧縮工程と、
    架構の構面に、圧縮された前記輪ばねブレース本体及び鋼管を配置する配置工程と、
    前記与圧を開放し前記ブレース本体を前記架構へ圧着させる開放工程と、を備え、
    前記開放工程の後における前記輪ばねの圧縮量はブレースに所定の設計引張力が作用した際における前記輪ばねの変形量より大きく、
    前記鋼管は、前記架構に固定され、前記輪ばねを覆うと共に平常時において前記ブレース本体と隙間を空けて配置される、ブレース設置方法。
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