JP6780632B2 - 複合ダンパー - Google Patents

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Description

本発明は、構造物に取り付けられる複合ダンパーであって、特に鋼材ダンパーと粘弾性ダンパーとを組み合わせた複合ダンパーに関する。
鋼材を用いた弾塑性ダンパーは、構造物の柱及び梁などの主架構より先に弾塑性ダンパーの塑性化部を降伏させ、エネルギーを吸収することにより主架構の損傷を防止する制振装置である。弾塑性ダンパーは、近年の超高層建物の多くに採用されている。また、粘弾性ダンパーは、ゴムなどの高分子材料を主成分とする粘弾性材料がせん断変形することにより抵抗力が発生し、エネルギー吸収し構造物の振動を減衰させる制振装置である。これらのダンパーを組み合わせることにより、風及び中小地震などによる構造物の微小変形から大地震時の構造物の大変形まで効率的にエネルギー吸収できる複合ダンパーが検討されている。
特許文献1によれば、鋼製の座屈拘束ブレースと粘弾性ダンパーとから構成されている複合制振ブレースが開示されている。複合制振ブレースは、粘弾性ダンパーの軸材及び外側フレームのうち一方を、座屈拘束ブレースの軸材に接合させ、他方を座屈拘束ブレースの座屈補剛材に接合した並列型の複合ダンパーになっている。
特許文献2によれば、帯鋼板からなる芯材の両側に、軸力を伝達しないように絶縁材を介して第1の鋼板を積層し、第1の鋼板に粘弾性体を介して第2の鋼板を積層させ、第2の鋼板に対して粘弾性体を介して積層させた溝形鋼を有する、鋼材ダンパー及び粘弾性ダンパーとして機能する複合型ブレースダンパーが開示されている。複合型ブレースダンパーは、第1の鋼板と溝形鋼とが芯材の一端に固定され、第2の鋼板が芯材の他端に固定されていることにより、粘弾性体の伸縮により中小地震等の振動に対して振動エネルギーを吸収する。また、芯材の両側に設置されている第1の鋼板、第2の鋼板により芯材の座屈を拘束し、大地震時には芯材が鋼材ダンパーとして機能する。
特許文献3によれば、外管を軸力材、内管を座屈補剛材とした二重鋼管型の座屈拘束ブレースが開示されている。座屈拘束ブレースは、軸力材の損傷状態を目視で確認することが可能となっている。近年の想定地震の極大化に伴い、大規模地震発生後も構造物を継続的に使用できるように、制振ダンパーにはこれまで以上の高耐震性が求められており、同時に制振ダンパーの損傷状態を適切に把握することが重要となっている。座屈拘束ブレースは、上記の構造により適切な継続使用可否判断が可能となっている。
特開2002−357013号公報 特開2004−244833号公報 特開2004−34983号公報
特許文献1に開示されている複合制振ブレースは、鋼材からなる座屈拘束型ブレースと粘弾性ダンパーとがそれぞれ単体で機能するようになっている。そのため、座屈拘束型ブレースのブレース軸材の変形は、粘弾性ダンパーの性能に影響を及ぼさない。しかし、座屈拘束ブレースの軸材と座屈補剛材との相対変位を利用した粘弾性ダンパーが、座屈拘束ブレースに付加的に取りついている構造となっているため、複合制振ブレースは構成する部材が多くなり、また、複合ダンパーとしての外径も大きくなる。従って、特許文献1に開示されている複合制振ブレースは、柱及び梁との干渉を避けて設置する必要があり、構造物に大きな設置スペースが必要となる、という課題があった。
特許文献2に開示されている複合型ブレースダンパーは、芯材となる帯鋼板と粘弾性ダンパー部とを絶縁材で切り離すことにより、軸材の面外変形が粘弾性体の変形に直接影響しない構造となっている。また、複合型ブレースダンパーは、粘弾性体と座屈補剛材とを兼用することにより、小型軽量化を図っている。しかし、芯材となる帯鋼板は、弱軸の剛性が小さいため、面外変形が生じやすい。また、面外変形する芯材を補剛するための第1の鋼板及び第2の鋼板自体も同じく帯状となっているため、鋼材ダンパーとなる芯材の面外変形を抑え、かつ芯材の面外変形により粘弾性体が圧縮されることを防止するためには、第1の鋼板及び第2の鋼板の厚みを相当量大きくする必要がある。従って、複合型ブレースダンパーは、性能を確保するためには、重量が大きくなり、それに従い製造コストとも増加する、という課題があった。
特許文献3に開示されている二重管型耐震性構造材は、外管の弾塑性により耐震性を確保し、継続使用可否の判断が目視で可能な構成になっているが、風及び中小地震などによる構造物の微小変形に対しては外管の弾性のみで制振するため、微小な変形に対し効果的に制振する構造になっていない、という課題があった。
本発明は上記の課題を解決するものであって、構造物の微小な振動から大きな振動に至るまでの振動を効果的に制振しつつ、鋼材ダンパーの変形により粘弾性体に与える影響を抑え、かつ施工が容易で設置スペースが小さくて済む複合ダンパーを提供することを目的とする。
本発明に係る複合ダンパーは、両端を結ぶ軸方向にかかる荷重を受ける複合ダンパーにおいて、前記軸方向に垂直な断面において閉鎖断面形状の軸力材と、前記軸力材の内部に配置される複数の座屈補剛材と、複数の前記座屈補剛材の間に配置され前記軸方向の荷重によりせん断変形する粘弾性体と、を備えたものである。
本発明に係る複合ダンパーによれば、軸力材が鋼材ダンパーとして機能し、そして粘弾性体がブレース端部の変位により変形して粘弾性ダンパーとして機能することにより、構造物の微小変形から大変形までに効率的にエネルギーを吸収できる。また、鋼材ダンパーの軸力材を軸方向に垂直な断面において閉鎖断面形状としたので、軸力材の面外剛性が大きく、必要な補剛力も小さくて済む。さらに、軸力材を座屈補剛材より外側とした構造としたので、軸力材の面外変形状態を目視で確認することが可能となり、構造物に設置された複合ダンパーの取り替えの判断が容易になる。
本発明の実施の形態1に係る複合ダンパーの外観を示す模式図である。 図1の複合ダンパーの内部構造を示す説明図である。 本発明の実施の形態1の複合ダンパーの組み立て手順の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態1の複合ダンパーの一方の端部の拡大図である。 本発明の実施の形態1の複合ダンパーの一方の端部の拡大図である。 図1の複合ダンパーの軸方向に圧縮力が加わったときの複合ダンパーの動作を示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係る複合ダンパーの変形例である複合ダンパーの内部構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係る複合ダンパーの変形例である複合ダンパーの内部構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態2に係る複合ダンパーの内部構造を示す説明図である。 図9の複合ダンパーの軸方向に垂直な断面図である。 本発明の実施の形態3に係る複合ダンパーの内部構造を示す説明図である。 図11の複合ダンパーの軸方向に垂直な断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。各図は模式的に示すものであって、各部材の相対的な大きさ及び板厚等は図示する寸法に限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図において各部分に付された符号について、添え字(a、b等)を付していない場合は、添え字が付された符号を総称しているものとする。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る複合ダンパー100の外観を示す模式図である。図1(a)は、複合ダンパー100を中心軸方向から見た図であり、図1(b)は、円筒形状の複合ダンパー100を側面から見た図である。なお、図1(b)における左側を「長手方向の一方」と、右側を「長手方向の他方」と称する。
複合ダンパー100は、両端が構造物に接続されるものである。構造物が変形することにより複合ダンパー100の両端部が相対変位し、複合ダンパー100は、長手方向に荷重を受ける。言い換えると、複合ダンパー100は、構造物に接続された両端部分の間をつなぐ軸方向に荷重を受ける。そして、複合ダンパー100は、変形することにより構造物が地震等により受けたエネルギーを吸収し、構造物の制振を行うものである。
複合ダンパー100は、外観が軸力材10から構成されている。軸力材10は、例えば円筒形状をしており、円筒形状の端部は塞がれブレース端部12a、12bとなっている。図1において、複合ダンパー100は模式的に表されており、実際にはブレース端部12a、12bから軸方向外側に突出してクレビス50等(後述の図4、図5で説明する)を備えるが、省略されている。クレビス50は、複合ダンパー100を構造物に接続するための部材である。
図2は、図1の複合ダンパー100の内部構造を示す説明図である。図2(a)は、図1のB−B断面を示しており、図2(b)は、図1のA−A断面を示している。軸力材10の内部には2つの座屈補剛材20a、20bが配置されている。座屈補剛材20aは、軸力材10の一方の端部であるブレース端部12aに取り付けられたエンドプレート23に接合されている。座屈補剛材20bは、軸力材10の他方の端部であるブレース端部12bに接合されている。座屈補剛材20a、20bの端部は、一方のみが軸力材10に接合され、他方は固定されていない。
図2(a)に示されるように、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間には粘弾性体30が配置されている。粘弾性体30は、座屈補剛材20a及び座屈補剛材20bの双方に接合されている。従って、粘弾性体30は、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの相対位置が変わると変形する。
図2(b)に示されるように、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間にはスペーサー40が配置されている。スペーサー40は、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間隙に粘弾性体30と並列に配置されている。スペーサー40は、座屈補剛材20a及び座屈補剛材20bの何れか一方に接合されている。座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間隙にスペーサー40が配置されているため、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間隙は、所定以上に狭くならない様になっている。なお、スペーサー40は、必ずしも座屈補剛材20a又は座屈補剛材20bに接合されていなくても良く、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間隙に配置されていれば良い。
(軸力材10)
軸力材10は、筒部11と、筒部11の両端に接合されているブレース端部12a、12bと、を有する。実施の形態1において筒部11は、円筒形状の部材であって、円筒形状の両端開口部にブレース端部12a、12bがそれぞれ接合されている。筒部11は、例えば円筒形状の鋼管である。筒部11は、円筒形状であれば平板の両端を溶接して製造されるものであっても、シームレス鋼管であっても良い。筒部11の材質は、望ましくは低降伏点鋼が用いられる。複合ダンパー100の両端から受ける筒部11の中心軸に沿った方向に働く荷重により筒部11が塑性変形することによって、複合ダンパー100は、構造物の振動エネルギーを吸収し、構造物の制振を行う。例えば柱及び梁で構成された建築物の主架構において、主架構より先に軸力材10の筒部11を降伏させ主架構を変形させるエネルギーを吸収させることにより、主架構の損傷を防止させることができる。
(座屈補剛材20)
座屈補剛材20は、軸力材10の内側に配置され、筒部11の内周面側の面外変形を抑えるためのものである。実施の形態1においては、筒部11の内周面側に2つの座屈補剛材20a、20bが配置されている。座屈補剛材20aは、円筒を中心軸に沿った方向に分割した形状になっている。言い換えると、座屈補剛材20aは、複合ダンパー100の軸方向に垂直な断面において、軸力材10の筒部11に沿った円弧形状の部分である補剛部21aと、円弧形状の両端を繋いだ弦の部分である粘弾性体接合部22aと、を有する。実施の形態1においては、補剛部21aと粘弾性体接合部22aとは、それぞれ板状の部材であり、複合ダンパー100の軸方向に垂直な断面において、端部同士を接合されて、中空の筒状に形成されている。なお、座屈補剛材20aは、2つの部材を接合して形成されるものに限られず、引き抜き加工等により一体に形成されるものでもよい。
補剛部21aの外周面は、軸力材10の筒部11の内周面に対し所定の隙間を持って位置している。補剛部21aの外周面と筒部11の内周面との隙間は、製作上問題の無い範囲で小さく設定するのが望ましい。このように構成されることにより、軸力材10の筒部11が内周面側に面外変形した際に、補剛部21aの外周面は、筒部11の内周面と接触し、筒部11の面外変形を抑制する。そのため、座屈補剛材20aは、軸力材10の筒部11よりも降伏点の高い鋼材を使用するのが望ましい。
実施の形態1においては、座屈補剛材20は2つ配置されている。一方の座屈補剛材20aは、一方の端部がエンドプレート23を介してブレース端部12aに接合されており、他方の端部が固定されていない状態である。他方の座屈補剛材20bは、一方の端部がブレース端部12bに接合されており、他方の端部が固定されていない状態である。従って、座屈補剛材20aが接合されているブレース端部12aと座屈補剛材20bが接合されているブレース端部12bとが相対的に移動すると、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとが相対的に移動する。よって、軸力材10の筒部11が複合ダンパー100の軸方向に変形すると、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとが相対変位する。
また、座屈補剛材20bも、座屈補剛材20aと同様な構成であり、補剛部21bと粘弾性体接合部22bとを有する。座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとは、粘弾性体接合部22aと粘弾性体接合部22bとを対向させ、粘弾性体接合部22aと粘弾性体接合部22bとの間に所定の距離をもって配置されている。すなわち、実施の形態1に係る複合ダンパー100は、閉鎖断面形状の複数の座屈補剛材20を備える。複合ダンパー100は、2つの座屈補剛材20a、20bを備えるが、さらに多くの座屈補剛材20を備えていてもよい。更に多くの座屈補剛材20を備える変形例については後述する。
(粘弾性体30)
座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間隙には、粘弾性体30が配置されている。詳しくは粘弾性体30は、座屈補剛材20aの粘弾性体接合部22aと座屈補剛材20bの粘弾性体接合部22bとの間に配置されている。粘弾性体30は、粘弾性体接合部22a及び粘弾性体接合部22bに接合されており、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間の相対変位によりせん断変形するものである。
粘弾性体30は、例えばゴムなどの高分子材料を主成分とする粘弾性材料から構成されるものである。粘弾性体30が座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間の相対変位によりせん断変形するものである。
(スペーサー40)
座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間隙には、スペーサー40が配置されている。スペーサー40は、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bと間隙の粘弾性体30が配置されていない箇所に設けられている。実施の形態1においては、複合ダンパー100の軸方向において、粘弾性体30の両端にスペーサー40が設けられている。スペーサー40と粘弾性体30の端部との距離は、粘弾性体30がせん断変形したときに、スペーサー40と粘弾性体30との接触が生じないように設定されている。
スペーサー40は、座屈補剛材20a及び座屈補剛材20bのうち一方に接合されている。スペーサー40の座屈補剛材20に接合されていない側の面は、他方の座屈補剛材20の粘弾性体接合部22に固定されておらず、粘弾性体接合部22に接触し摺動自在に構成されている。スペーサー40の座屈補剛材20に接合されていない側の面は、例えば低摩擦処理を施してある。スペーサー40は、固定されていない側の粘弾性体接合部22に対し摺動自在で摩擦力が低く構成されることで、複合ダンパー100の軸方向にかかる力の伝達を抑え、粘弾性体接合部22の面に垂直方向の力を主に受けることができる。
(複合ダンパー100の製造方法)
図3は、本発明の実施の形態1の複合ダンパー100の組み立て手順の一例を示す説明図である。初めに、2つの座屈補剛材20a、20bをそれぞれ溶接等の手段により組み立てる。次に、座屈補剛材20aの粘弾性体接合部22aと座屈補剛材20bの粘弾性体接合部22bとの間に粘弾性体30とスペーサー40とを設置する。このとき、座屈補剛材20aの一方の端部24aが座屈補剛材20bの一方の端部24bから突出する位置関係になるように取り付けられる。また、座屈補剛材20bの他方の端部25bは、座屈補剛材20aの他方の端部25aから突出するような位置関係になっている。
次に、座屈補剛材20aの一方の端部24aにエンドプレート23を接合する。また、座屈補剛材20bの他方の端部24bにブレース端部12bを接合する。エンドプレート23の外径は、座屈補剛材20aの外径以下に設定されているのが望ましい。以上のように、ブレース端部12bに座屈補剛材20a、20bが取り付けられた部材81が組み立てられる。
低降伏点鋼が用いられたシームレス鋼管である筒部11とブレース端部12aとを、溶接等の手段により組み立てる。これにより、有底筒状の部材80ができあがる。
図3に示されるように、有底筒状の部材80の内部に部材81を挿入する。部材81は、外径の小さいエンドプレート23側から挿入される。部材80の内部に部材81の座屈補剛材20a、20bが収まり、ブレース端部12bが部材80の開口部に当接する。その後、ブレース端部12bと部材80の開口部とを溶接等の手段により接合する。
図4及び図5は、本発明の実施の形態1の複合ダンパー100の一方の端部の拡大図である。図1〜図3においては、複合ダンパー100の端部に設置されるクレビス50は表示を省略していたが、実際に構造物に複合ダンパー100を取り付ける際には、クレビス50と構造物とを接続して取り付けられる。また、図4及び図5は、ブレース端部12aとエンドプレート23の接合方法の一例を示している。
図3に示されている状態では、ブレース端部12aとエンドプレート23とが一体化した構造が示されていない。しかし、複合ダンパー100に引張軸力が作用した場合にはブレース端部12aとエンドプレート23とが離間しないような構成になっており、軸力材10の両端部のそれぞれに固定された座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの相対変位により、粘弾性体30のせん断変形が生じさせるような構成になっている。具体的な構成としては、図4にされるように、ブレース端部12a及びエンドプレート23の中心に孔を開け、ブレース端部12aの中心の孔及びエンドプレート23の中心の孔にねじ切り加工を施しておき、ねじ51が設けられたクレビス50aをブレース端部12aとエンドプレート23とに螺着することで一体化される。または、ブレース端部12aの中心の孔にはねじ切り加工は施さず、エンドプレート23の中心の孔にのみねじ切り加工を施しておき、クレビス50aに設けられたねじ51をエンドプレート23の中心の孔に螺着させても良い。
また、図5においては、エンドプレート23に予めボルト52を固定しておき、ねじ部をエンドプレート23の端面から突出させておく。そして、ブレース端部12aに設けられた孔にボルト52のねじ部を通し、孔から突出したねじ部に外側からナット53を締めつける。これにより、ブレース端部12aとエンドプレート23とが一体化する。または、ブレース端部12aに孔を設け、エンドプレート23にはねじ切り加工施した孔を設けておく。そして、ブレース端部12aの外側からボルトをブレース端部12aの孔に通し、エンドプレート23のねじ切り加工を施した孔に螺着させることにより、外側からボルトを締め付けてブレース端部12aとエンドプレート23とを接合することも可能である。
図4においては、構造物との連結部をクレビス50としているが、図5に示されるように、構造物との連結部は、ボルトにより連結する固定部50bでも良い。
(複合ダンパー100の動作)
図6は、図1の複合ダンパー100の軸方向に圧縮力90、91が加わったときの複合ダンパー100の動作を示す説明図である。図6(a)は、軸力材10の筒部11が弾性域の範囲内で変形している状態を示しており、図6(b)は、軸力材10の筒部11が面外変形を生じた状態を示している。図6(a)において、複合ダンパー100にかかる軸方向の圧縮力90は、軸力材10に伝達されている。しかし、圧縮力90は、軸力材10の筒部11の弾性域の範囲内となっており、筒部11に面外変形は生じていない。また、軸力材10が軸方向に縮むことにより、内部に配置された座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとが互いに逆方向に移動し、その相対変位分だけ粘弾性体30はせん断変形が生じる。粘弾性体30の変形により、複合ダンパー100は、構造物に加わったエネルギーを吸収することが可能となる。
図6(b)においては、図6(a)に対し軸方向に圧縮力91が加わることにより、軸力材10が塑性変形している。圧縮力91は、図6(a)に示される圧縮力90よりも大きい。圧縮力91が複合ダンパー100に加わると、筒部11は、徐々に円筒面に対し面外の局部変形を生じる。筒部11に面外変形が生じると、筒部11の内周面側に変形した部分は、座屈補剛材20aの補剛部21a及び座屈補剛材20bの補剛部21bと接触する。補剛部21a、21bには面外力が加わるが、補剛部21a、21bは、半円筒形状の面外剛性の高い部材であるため、薄肉の鋼材により構成されていても、筒部11の変形による面外力に対し十分に耐えうる。
座屈補剛材20aは、一方の端部をエンドプレート23に固定され、エンドプレート23との接合部が支点となる片持ち梁になっている。座屈補剛材20bは、一方の端部がブレース端部12bに固定され、ブレース端部12bとの接合部が支点となる片持ち梁になっている。軸力材10の筒部11から加わる面外力により、座屈補剛材20a、20bは、弾性変形内でエンドプレート23との接合部又はブレース端部12bとの接合部を支点とした曲げ変形が生じる可能性がある。しかし、実施の形態1においては、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間に設置されたスペーサー40が配置されているため、座屈補剛材20a及び座屈補剛材20bに加わった面外力はスペーサー40を圧縮する方向に加わる。つまり、座屈補剛材20aの粘弾性体接合部22aと座屈補剛材20bの粘弾性体接合部22bとの間が狭くなる方向に力が加わるが、その力92はスペーサー40により支持され、粘弾性体30には伝達しない。よって、軸力材10が変形し座屈補剛材20a、20bに面外力がかかっても、粘弾性体30は、圧縮されることがなく厚みが変わらないため、設計通りにせん断変形し、構造物に加わった地震等による振動のエネルギーを吸収することが可能となる。複合ダンパー100は、軸力材10の筒部11が有する鋼材ダンパーとしての機能と、粘弾性体30による粘弾性ダンパーとしての機能により、高いエネルギー吸収能力を発揮できる。
(変形例1)
図7は、本発明の実施の形態1に係る複合ダンパー100の変形例である複合ダンパー200の内部構造を示す断面図である。図7は、変形例の複合ダンパー200の軸方向に垂直な断面を示している。複合ダンパー200は、複合ダンパー100に対し、断面形状を変更したものである。複合ダンパー200の外側の軸力材10の筒部11は、角形鋼管で構成されている。筒部11は、断面形状が角形であれば平板の両端を溶接して製造されるものであっても、シームレス角形鋼管であっても良い。筒部11の材質は、望ましくは低降伏点鋼が用いられる。また、筒部11の内部に設置されている座屈補剛材220a、220bは、複合ダンパー200の軸方向に垂直な断面において長方形の角形鋼管である。この2つの座屈補剛材220a、220bの粘弾性体接合部222a、222bの間に粘弾性体30が設置されることにより、座屈補剛材220aと座屈補剛材220bとの相対変位により粘弾性体30にせん断変形が生じる。これにより、複合ダンパー100と同様に、複合ダンパー200は、軸力材10の筒部11が有する鋼材ダンパーとしての機能と、粘弾性体30による粘弾性ダンパーとしての機能により、高いエネルギー吸収能力を発揮できる。
なお、変形例として、角形鋼管により構成された軸方向に垂直な断面が四角形の複合ダンパー200を示したが、変形例は複合ダンパー200のみに限定されない。軸力材10の筒部11の軸方向に垂直な断面が閉鎖断面形状であり、その内側に配置された座屈補剛材20a、20bが筒部11の内周面に沿った形状であれば、軸方向に垂直な断面形状は適宜変更することができる。
(変形例2)
図8は、本発明の実施の形態1に係る複合ダンパー100の変形例である複合ダンパー300の内部構造を示す断面図である。複合ダンパー300は、複合ダンパー100に対し、内部の座屈補剛材20の数量を変更したものである。複合ダンパー300は、複合ダンパー100と同様に軸力材10の筒部11が低降伏点鋼シームレス鋼管により構成されている。筒部11の内部には、4つの座屈補剛材320a〜320dが配置されている。座屈補剛材320aは、実施の形態1に係る座屈補剛材20aと同様に、円筒を中心軸に沿った方向に分割した形状になっている。座屈補剛材320aの補剛部321aは、円弧状になっており、直角に曲げられた断面L字形の平板である粘弾性体接合部322aが円弧形状の両端に接合されている。なお、粘弾性体接合部322aは、2つの平板を溶接によりL字形に接合したものでもよい。他の3つの座屈補剛材320b〜320dも同様に構成されている。4つの座屈補剛材320a〜320dは、それぞれの粘弾性体接合部322a〜322dの面同士を対向させた配置されている。そして、粘弾性体接合部322aと粘弾性体接合部322bとの間の隙間には粘弾性体330aが配置されている。また、同様に粘弾性体接合部322bと粘弾性体接合部322cとの間の隙間には粘弾性体330b、粘弾性体接合部322cと粘弾性体接合部322dとの間の隙間には粘弾性体330c、粘弾性体接合部322dと粘弾性体接合部322aとの間の隙間には粘弾性体330dが配置されている。
複合ダンパー200において、隣合った座屈補剛材220a、220bは、軸力材10の端部のうち異なる端部に固定されている。例えば、座屈補剛材320aが図2に示されるエンドプレート23に固定されている場合は、座屈補剛材320bと座屈補剛材320dとはブレース端部12bに固定されている。軸力材10の中心軸に対し座屈補剛材320aと対称な位置に配置されている座屈補剛材320cは、座屈補剛材320aと同様にエンドプレート23に固定されている。このように構成されることにより、4か所すべての粘弾性体30にせん断変形を与えることが可能となる。
(実施の形態1の効果)
(1)実施の形態1に係る複合ダンパー100、200、300によれば、両端を結ぶ軸方向にかかる荷重を受ける複合ダンパー100、200、300において、軸方向に垂直な断面において閉鎖断面形状の軸力材10、210と、軸力材10の内部に配置される複数の座屈補剛材20a、20b、220a、220b、320a〜320dと、複数の座屈補剛材20a、20b、220a、220b、320a〜320dの間に配置され軸方向の荷重により変形する粘弾性体30、330a〜330dと、を備える。
このように構成されることにより、複合ダンパー100、200、300は、軸力材10、210が鋼材ダンパーとして機能し、そして粘弾性体30、330a〜330dがブレース端部12aとブレース端部12bとの相対変位により変形して粘弾性ダンパーとして機能する。これにより、複合ダンパー100、200、300が設置された構造物の微小変形から大変形までに効率的にエネルギーを吸収できる。また、鋼材ダンパーの軸力材10、210を軸方向に垂直な断面において閉鎖断面形状としたので、軸力材10、210の面外剛性が大きく、必要な補剛力も小さくて済む。さらに、軸力材10、210を座屈補剛材20a、20b、220a、220b、320a〜320dより外側とした構造としたので、軸力材10、210の変形状態を目視で確認することが可能となり、構造物に設置された複合ダンパー100、200、300の取り替えの判断が容易になる。
(2)実施の形態1に係る複合ダンパー100、200、300によれば、粘弾性体30、330a〜330dは、軸力材10の両端部のうち異なる端部に固定された一対の座屈補剛材20a、20b、220a、220b、320a〜320dの間に設置されたものである。なお、軸力材10の両端部は、実施の形態1においては、ブレース端部12a及びブレース端部12bを指す。
このように構成されることにより、粘弾性体30は、軸力材10の両端部の相対変位に従って変形し、複合ダンパー100、200、300は粘弾性ダンパーとしての機能を発揮できる。
(3)実施の形態1に係る複合ダンパー100、200、300によれば、座屈補剛材20a、20b、220a、220b、320a〜320dは、軸力材10の変形を軸力材10の内部で支持する補剛部21a、21b、221a、221b、321a、321bと、粘弾性体30、330a〜330dが接合された粘弾性体接合部22a、22b、222a、222b、322a、322bと、を備える。補剛部21a、21b、221a、221b、321a、321bは、軸力材10の内周面に沿って所定の隙間を持って配置され、粘弾性体30は、対向する粘弾性体接合部22a、22b、222a、222b、322a、322bの間に設置されたものである。
このように構成されることにより、座屈補剛材20a、20b、220a、220b、320a〜320dは、軸力材10の筒部11が複合ダンパー100、200、300にかかる荷重により変形した際に軸力材10の端部のブレース端部12aとブレース端部12bとの間の相対変位に連動して動く。そして、座屈補剛材20a、20b、220a、220b、320a〜320dの動きに従い、粘弾性体30、330a〜330dがせん断変形し、複合ダンパー100、200、300は、粘弾性ダンパーとしての機能を発揮することができる。また、軸力材10が、低降伏鋼管である筒部11と、筒部11の両端部に接合されたブレース端部12a、12bから構成されるため、複合ダンパー100、200、300は、鋼材ダンパーとしての機能も発揮でき、製造も容易な構成になっている。
(4)実施の形態1に係る複合ダンパー100、200、300によれば、対向する座屈補剛材20a、20b、220a、220b、320a〜320dの距離が所定以上に近づかないようにスペーサー40が設置されている。
このように構成されることにより、片持ち梁形式で軸力材10に固定されている座屈補剛材20a、20b、220a、220b、320a〜320dは、軸力材10の筒部11の面外変形により面外力がかかり、弾性変形内で曲げを生じる可能性があるが、座屈補剛材20a、20b、220a、220b、320a〜320dに設置されたスペーサー40によって、面外力がスペーサー40に圧縮力として伝わり、粘弾性体30には圧縮力が伝達しない。よって、複合ダンパー100、200、300の軸方向に圧縮力が加わり、軸力材10の筒部11が変形し座屈補剛材20a、20b、220a、220b、320a〜320dに荷重がかかっても、粘弾性体30は、所定の厚さを保持でき、せん断変形により地震エネルギーを吸収することが可能となる。従って、複合ダンパー100、200、300は、鋼材ダンパーと粘弾性ダンパーのそれぞれで高いエネルギー吸収能力を発揮できる。
(5)実施の形態1に係る複合ダンパー100、300によれば、軸力材10は、円筒形状であり、座屈補剛材20a、20b、320a〜320dは、円筒を中心軸に平行に分割した形状である。
このように構成されることにより、複合ダンパー100、300は、体積が小さく構造物に効率的に配置でき、簡易な構成で高いエネルギー吸収能力を発揮できる。
[実施の形態2]
実施の形態2は、実施の形態1に係る複合ダンパー100に対し、座屈補剛材20aと座屈補剛材20bとの間に板状の粘弾性体支持部材480を追加し、粘弾性体30を多層にしたものである。実施の形態2では、実施の形態1に対する変更部を中心に説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る複合ダンパー400の内部構造を示す説明図である。図10は、図9の複合ダンパー400の軸方向に垂直な断面図である。複合ダンパー400は、実施の形態1に係る複合ダンパー100と同様に円筒形状の軸力材10の筒部11の内部に座屈補剛材420a及び座屈補剛材420bが設置されている。座屈補剛材420a、420bは、実施の形態1に係る座屈補剛材20a、20bと同様な構成になっている。
座屈補剛材420aの粘弾性体接合部422aと座屈補剛材420bの粘弾性体接合部422bとは対向して配置されている。実施の形態1においては、粘弾性体接合部22aと粘弾性体接合部22bとの間に1層の粘弾性体30が設けられていたが、実施の形態2においては、粘弾性体430が2層設けられている。
粘弾性体接合部422aと粘弾性体接合部422bとの間には粘弾性体支持部材480が配置されている。そして、粘弾性体支持部材480と座屈補剛材420aの粘弾性体接合部422aとの間に粘弾性体430aが配置されている。粘弾性体支持部材480と座屈補剛材420bの粘弾性体接合部422bには粘弾性体430bが配置されている。
また、粘弾性体支持部材480と粘弾性体接合部422aとの間隙及び粘弾性体支持部材480と粘弾性体接合部422bとの間隙には、粘弾性体430が配置されていない部分にスペーサー40が配置されている。スペーサー40は、粘弾性体支持部材480又は粘弾性体接合部422a、422bのどちらか一方に固定されており、他方に摺動自在に構成されている。
実施の形態2においては、粘弾性体430は2層に直列に構成され、座屈補剛材420の相対変位は、2つの粘弾性体430に分散する。従って、2層の粘弾性体430の厚さを合わせた厚さの1層の粘弾性体で複合ダンパーを構成した場合と比較して、1つあたりの粘弾性体430のせん断変形量は1/2になる。よって、1つあたりの粘弾性体430の厚さを薄くすることができる。なお、実施の形態2において、粘弾性体430は2層で構成されているが、更に多層に構成されていても良い。また、実施の形態2の粘弾性体430の多層構造は、実施の形態1の複合ダンパー200のように軸方向に垂直な断面形状が異なる複合ダンパーにも適用することができる。さらに、実施の形態2の粘弾性体430の多層構造は、実施の形態1の複合ダンパー300のように座屈補剛材320a〜320dをさらに多数備えた複合ダンパーにも適用することができる。実施の形態2に係る複合ダンパー400によれば、粘弾性体430が多層で構成されているため、実施の形態1の複合ダンパー100と軸方向の最大変形量が同じであれば、1つの粘弾性体430を薄くすることができる。また、実施の形態2に係る複合ダンパー400において、それぞれの粘弾性体430の厚みを実施の形態1に係る複合ダンパー100の粘弾性体30と同じ厚みとすれば、複合ダンパー400は、複合ダンパー100よりも大きな軸方向変形に対しても粘弾性体430が追従できる。よって、複合ダンパー400は、より大きなエネルギー吸収効果を発揮できる。
(実施の形態2の効果)
(6)実施の形態2に係る複合ダンパー400によれば、一対の座屈補剛材420a、420bの間に配置された粘弾性体支持部材480を更に備える。粘弾性体430は、座屈補剛材420a、420bと粘弾性体支持部材480との間に設置されたものである。
このように構成されることにより、座屈補剛材420aと座屈補剛材420bとの間に配置された粘弾性体430を多層に構成することができる。よって、粘弾性体430一つ当たりの厚さを厚くすることなく、複合ダンパー400を構成することができる。
(7)実施の形態2に係る複合ダンパー400によれば、座屈補剛材420a、420bと粘弾性体支持部材480との間に、座屈補剛材420a、420bと粘弾性体支持部材480との距離が所定以上に近づかないようにスペーサー40が設置されている。
このように構成されることにより、座屈補剛材420aと座屈補剛材420bとの間の粘弾性体430が多層構造になっても、スペーサー40により粘弾性体430は所定の厚さを保持でき、せん断変形により地震エネルギーを吸収することが可能となる。従って、複合ダンパー400は、鋼材ダンパーと粘弾性ダンパーのそれぞれで高いエネルギー吸収能力を発揮できる。
(8)実施の形態2に係る複合ダンパー400によれば、軸力材10は、両端部にブレース端部12a、12bを有し、一対の座屈補剛材420a、420bは、それぞれ異なるブレース端部12a、12bに接続され、粘弾性体430は、一対の座屈補剛材420a、420bのそれぞれと粘弾性体支持部材480との間に設置されたものである。
このように構成されることにより、粘弾性体430は2層に直列に構成され、座屈補剛材420a、420bの相対変位は、2つの粘弾性体430に分散する。従って、1つあたりの粘弾性体430のせん断変形量も分散する。よって、1つの粘弾性体430の厚さを薄くすることができる。また、それぞれの粘弾性体430の厚みを厚くすることにより、複合ダンパー400は、より大きな軸方向変形に対しても粘弾性体430が追従できる。よって、複合ダンパー400は、より大きなエネルギー吸収効果を発揮できる。
[実施の形態3]
実施の形態3は、実施の形態2に係る複合ダンパー400に対し、座屈補剛材420aと座屈補剛材420bとの間に設置されている板状の粘弾性体支持部材480の設置状態を変更し、さらに軸力材10の構造を変更したものである。実施の形態3では、実施の形態2に対する変更部を中心に説明する。
図11は、本発明の実施の形態3に係る複合ダンパー500の内部構造を示す説明図である。図12は、図11の複合ダンパー500の軸方向に垂直な断面図である。複合ダンパー500は、実施の形態2に係る複合ダンパー400と同様に円筒形状の軸力材510の筒部511の内部に座屈補剛材520a及び座屈補剛材520bが設置されている。座屈補剛材520a、520bは、実施の形態2と同様な構成になっているが、実施の形態2においては、座屈補剛材420aは一方の端部がエンドプレート23に固定され、座屈補剛材420bは一方の端部がブレース端部12bに固定され、座屈補剛材420aと座屈補剛材420bとが軸力材10の異なる端部に固定されている。しかし、実施の形態3においては、座屈補剛材520aと座屈補剛材520bとは同じブレース端部12bに一端が固定されている。そして、座屈補剛材520aと座屈補剛材520bとの間に配置されている粘弾性体支持部材480は、エンドプレート23に固定されている。また、粘弾性体支持部材480と座屈補剛材520aとの間隙及び粘弾性体支持部材480と座屈補剛材520bとの間隙には粘弾性体530及びスペーサー40が配置されている。
実施の形態3において、粘弾性体530は、粘弾性体支持部材480と座屈補剛材520aとの間及び粘弾性体支持部材480と座屈補剛材520bとの間の両方に並列して2つ設けられている。従って、複合ダンパー500の軸方向に圧縮力がかかり、軸力材510の筒部511が変形した場合、2つの粘弾性体530は同じ量だけせん断変形する。この場合、2つの粘弾性体530は、それぞれ実施の形態1と同程度の厚みに設定される。
上記の構成において、軸力材510の内部で粘弾性体530が占める領域が実施の形態1、2に比較して増加する。しかし、以下のような利点がある。複合ダンパー500においては、内部の座屈補剛材520a、520bがブレース端部12b側に寄って固定されているため、軸力材510の内部の座屈補剛材520a、520bが設置されていない領域が、エンドプレート23側に集中する。そこで、軸力材510の筒部511を、第1筒部511aと第2筒部511bとの2部材を溶接接合し、座屈補剛材520a、520bが配置されている側の第1筒部511aの方は変形によりエネルギーを吸収し易い低降伏点鋼等の材料で構成し、座屈補剛材520a、520bが設置されていない部分の第2筒部511bは、強度の高い鋼管で構成する。このように構成することにより、複合ダンパー500は、座屈補剛材520a、520bが内部に設置されていない部分で局所変形をすることが無く、第1筒部511aの面外変形を確実に座屈補剛材520a、520bで受けることができる。よって、複合ダンパー500は、軸力材510の第1筒部511aが有する鋼材ダンパーとしての機能と、粘弾性体530による粘弾性ダンパーとしての機能により、高いエネルギー吸収能力を発揮できる。
(実施の形態3の効果)
(9)粘弾性体30、330a〜330dは、軸力材510の一方の端部に固定された一対の座屈補剛材520a、520bの間に設置されたものである。
(10)実施の形態3に係る複合ダンパー500によれば、軸力材510は、両端部にブレース端部12a、12bを有し、一対の座屈補剛材520a、520bは、一方のブレース端部12bに接合され、粘弾性体支持部材480は、他方のブレース端部12aに接合され、粘弾性体530は、一対の座屈補剛材520a、520bのそれぞれと粘弾性体支持部材480との間に設置されたものである。
このように構成されることにより、複数の粘弾性体530を並列にならべて粘弾性ダンパーを構成できる。粘弾性体530を並列に並べることができるため、粘弾性体530のせん断面積が2倍となるため、振動の減衰力も2倍になり、より大きな軸方向の荷重に対しても、高いエネルギー吸収性能を発揮できる。また、粘弾性体530の数、厚さ、及び硬度を適宜変更し、様々な振動に対応できる粘弾性ダンパーを構成することが可能となる。
(11)実施の形態3に係る複合ダンパー500によれば、軸力材510は、低降伏点鋼で構成される第1筒部511aと、第1筒部511aよりも降伏点の高い材料で構成された第2筒部511bと、を有する。第2筒部511bは、粘弾性体支持部材580が接合されている他方のブレース端部12aから座屈補剛材520a、520bまでの間の空間の外周側を覆っている。
このように構成されることにより、座屈補剛材520a、520bが設置されていない部分で軸力材510が局所変形することがなく、第1筒部511aの面外変形を確実に座屈補剛材520a、520bで受けることができる。よって、複合ダンパー500は、軸力材510の第1筒部511aが有する鋼材ダンパーとしての機能と、粘弾性体530による粘弾性ダンパーとしての機能により、高いエネルギー吸収能力を発揮できる。
10 軸力材、11 筒部、12a ブレース端部、12b ブレース端部、20 座屈補剛材、20a 座屈補剛材、20b 座屈補剛材、21a 補剛部、21b 補剛部、22 粘弾性体接合部、22a 粘弾性体接合部、22b 粘弾性体接合部、23 エンドプレート、24a 端部、24b 端部、25a 端部、25b 端部、30 粘弾性体、40 スペーサー、50 クレビス、50a クレビス、50b 固定部、51 ねじ、52 ボルト、53 ナット、80 部材、81 部材、90 圧縮力、91 圧縮力、92 力、100 複合ダンパー、200 複合ダンパー、210 軸力材、220a 座屈補剛材、220b 座屈補剛材、221a 補剛部、221b 補剛部、222a 粘弾性体接合部、222b 粘弾性体接合部、300 複合ダンパー、320a 座屈補剛材、320b 座屈補剛材、320c 座屈補剛材、320d 座屈補剛材、321a 補剛部、321b 補剛部、322a 粘弾性体接合部、322b 粘弾性体接合部、322c 粘弾性体接合部、322d 粘弾性体接合部、330a 粘弾性体、330b 粘弾性体、330c 粘弾性体、330d 粘弾性体、400 複合ダンパー、420 座屈補剛材、420a 座屈補剛材、420b 座屈補剛材、422a 粘弾性体接合部、422b 粘弾性体接合部、430 粘弾性体、430a 粘弾性体、430b 粘弾性体、480 粘弾性体支持部材、500 複合ダンパー、510 軸力材、511 筒部、511a 筒部、511b 筒部、520a 座屈補剛材、520b 座屈補剛材、530 粘弾性体、580 粘弾性体支持部材。

Claims (11)

  1. 両端を結ぶ軸方向にかかる荷重を受ける複合ダンパーにおいて、
    前記軸方向に垂直な断面において閉鎖断面形状の軸力材と、
    前記軸力材の内部に配置される複数の座屈補剛材と、
    複数の前記座屈補剛材の間に配置され前記軸方向の荷重によりせん断変形する粘弾性体と、を備えた、複合ダンパー。
  2. 前記粘弾性体は、
    前記軸力材の両端部のうち異なる端部に固定された一対の前記座屈補剛材の間に設置された、請求項1に記載の複合ダンパー。
  3. 前記粘弾性体は、
    前記軸力材の一方の端部に固定された一対の前記座屈補剛材の間に設置された、請求項1に記載の複合ダンパー。
  4. 前記座屈補剛材は、
    前記軸力材の変形を前記軸力材の内部で支持する補剛部と、
    前記粘弾性体が接合された粘弾性体接合部と、を備え、
    前記補剛部は、
    前記軸力材の内周面に沿って所定の隙間を持って配置され、
    前記粘弾性体は、
    対向する前記粘弾性体接合部の間に設置された、請求項1〜3の何れか1項に記載の複合ダンパー。
  5. 対向する前記座屈補剛材の距離が所定以上に近づかないようにスペーサーが設置されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の複合ダンパー。
  6. 一対の前記座屈補剛材の間に配置された粘弾性体支持部材を更に備え、
    前記粘弾性体は、
    前記座屈補剛材と前記粘弾性体支持部材との間に設置された、請求項1〜5の何れか1項に記載の複合ダンパー。
  7. 前記座屈補剛材と前記粘弾性体支持部材との間に、前記座屈補剛材と前記粘弾性体支持部材との距離が所定以上に近づかないようにスペーサーが設置されている、請求項6に記載の複合ダンパー。
  8. 前記軸力材は、
    両端部にブレース端部を有し、
    一対の前記座屈補剛材は、
    それぞれ異なる前記ブレース端部に接続され、
    前記粘弾性体は、
    一対の前記座屈補剛材のそれぞれと前記粘弾性体支持部材との間に設置された、請求項6又は7に記載の複合ダンパー。
  9. 前記軸力材は、
    両端部にブレース端部を有し、
    一対の前記座屈補剛材は、
    一方の前記ブレース端部に接合され、
    前記粘弾性体支持部材は、
    他方の前記ブレース端部に接合され、
    前記粘弾性体は、
    一対の前記座屈補剛材のそれぞれと前記粘弾性体支持部材との間に設置された、請求項6又は7に記載の複合ダンパー。
  10. 前記軸力材は、
    低降伏点鋼で構成される第1筒部と、
    前記第1筒部よりも降伏点の高い材料で構成された第2筒部と、を有し、
    前記第2筒部は、
    前記粘弾性体支持部材が接合されている他方の前記ブレース端部から前記座屈補剛材までの間の空間の外周側を覆っている、請求項9に記載の複合ダンパー。
  11. 前記軸力材は、
    円筒形状であり、
    前記座屈補剛材は、
    円筒を中心軸に平行に分割した形状である、請求項1〜10の何れか1項に記載の複合ダンパー。
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