JP6882071B2 - ダンパー - Google Patents

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本発明は、建物を制振するダンパーに関する。
建物の架構にブレースとして設けられ、この建物の小変形から大変形までの変形に対して制振効果を発揮するダンパーがある。
例えば、特許文献1には、軸方向中間部に耐力低減部が設けられたブレース材と、このブレース材を取り囲む補剛管と、補剛管の内側に耐力低減部とクリアランスをあけて設けられた座屈補剛材とを有して、建物の架構に設けられたダンパーが開示されている。
このダンパーは、建物が小地震等によって小変形するときは、耐力低減部が塑性変形しながら振動エネルギーを吸収することにより制振効果を発揮することができる。また、建物が大地震等によって大変形するときは、座屈補剛材によって座屈することなく耐力低減部が塑性変形するので、安定したエネルギー吸収能力を発揮することができる。
このようなダンパーは、一般に、建築基準法に謳われている大地震(以下、「レベル2の地震」とする)のような極稀に発生するレベルの地震に対して最大の制振効果を発揮するように設計が行われている。このため、レベル2の地震を上回る大きな地震においてはダンパーの耐力低減部の塑性化が進み過ぎてダンパーの等価剛性が小さくなり、これによって、建物の全層が大きく変形し過ぎたり、又は建物のある特定の層だけが大きく変形し過ぎたりしてしまうことが懸念される。
特開2014−47546号公報
本発明は係る事実を考慮し、ブレース材の塑性化によるダンパーの過大な軸変形を抑制することを課題とする。
第1態様の発明は、両端部に比べて引張耐力及び圧縮耐力が小さい耐力低減部を軸方向中間部に備えた鋼製のブレース材と、前記ブレース材を取り囲む補剛管と、前記補剛管に設けられ、前記ブレース材に軸力が作用することにより前記耐力低減部が塑性変形して前記ブレース材の軸変形量が所定値になると、前記補剛管を介して前記ブレース材の両端部の間で前記軸力を伝達させる力伝達部材と、を有するダンパーである。
第1態様の発明では、ダンパーが架構に設けられている建物が小地震等により小変形するときに、ブレース材に軸力が作用することにより、ブレース材の軸方向中間部に備えられた耐力低減部が塑性変形しながら振動エネルギーを吸収する。これによって、制振効果を発揮させることができる。
また、ダンパーが架構に設けられている建物が大地震等により大変形するときに、より大きな軸力がブレース材に作用することにより、ブレース材の軸方向中間部に備えられた耐力低減部は、補剛管により座屈(曲げ座屈及び局部座屈)することなく塑性変形しながら安定した振動吸収能力を発揮し、繰り返し変形に対しては耐力低減部が有する耐疲労能力をいかんなく発揮させることができる。
さらに、ダンパーが架構に設けられている建物が大地震を上回る地震等により過大変形するときに、より大きな軸力がブレース材に作用することによって耐力低減部が塑性変形してブレース材の軸変形量が所定値になると、ブレース材に作用する軸力が補剛管を介してブレース材の両端部の間で伝達される。これにより、耐力低減部の塑性化によるブレース材の過大な軸変形を抑制することができる。すなわち、ブレース材の塑性化によるダンパーの過大な軸変形を抑制することがきる。
第2態様の発明は、第1態様のダンパーにおいて、前記ブレース材と前記力伝達部材との間、又は前記補剛管と前記力伝達部材との間に、緩衝部材が設けられている。
第2態様の発明では、ブレース材と力伝達部材との間、又は補剛管と力伝達部材との間に、緩衝部材を設けることにより、緩衝部材による柔らかな剛性と、補剛管による硬い剛性との直列剛性がブレース材に付与され、補剛管と緩衝部材とはやや緩慢なストッパーとして機能する。よって、ブレース材に作用する軸力が、補剛管と緩衝部材とを介してブレース材の両端部の間で伝達されるときに、ダンパーが設けられた建物に生じる衝撃を和らげることができ、この衝撃に伴って建物に生じる振動の加速度増加を抑えることができる。
第3態様の発明は、第1又は第2態様のダンパーにおいて、前記力伝達部材は、前記補剛管に設けられた補剛管側連結部と前記ブレース材に設けられたブレース側連結部とにピン連結された鋼製の板状部材を有して構成され、前記ブレース材と前記板状部材は、前記ブレース側連結部に形成された孔と前記板状部材に形成された長孔とを貫通するピン部材によって連結されている。
第3態様の発明では、板状部材に形成された長孔の長さにより、ブレース材に作用する軸力が補剛管を介してブレース材の両端部の間で伝達されるタイミング(ブレース材の軸変形量の所定値)を設定することができる。
本発明は上記構成としたので、ブレース材の塑性化によるダンパーの過大な軸変形を抑制することができる。
本発明の実施形態に係るダンパーを示す平面図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の実施形態に係るブレース材の側面図である。 本発明の実施形態に係るブレース材の平面図である。 本発明の実施形態に係る補剛管の側面図である。 本発明の実施形態に係る補剛管の平面図である。 本発明の実施形態に係るダンパーを示す側面図である。 本発明の実施形態に係るダンパーを示す平面図である。 本発明の実施形態に係る連結部材を示す側面図である。 本発明の実施形態に係る力伝達プレートを示す平面図である。 本発明の実施形態に係るゴム部材を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る力伝達プレートを示す平面図である。 図13(a)、図13(b)、及び図13(c)は、本発明の実施形態に係る力伝達機構を示す平面断面図である。 本発明の実施形態に係るダンパーと従来のダンパーとにおける、ダンパーに作用する軸力に対するダンパーの軸変位の値を示した線図である。 従来のダンパーを示した側面図である。 本発明の実施形態に係るダンパーを示した側面図である。
図を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。まず、本発明の実施形態に係るダンパーについて説明する。
図1の平面図、及び図1のA−A断面図である図2に示すように、本実施形態のダンパー10は、鋼製のブレース材12、鋼製の補剛管14、及び力伝達機構16を有して構成されている。
ダンパー10は、鉄骨造の建物の有する柱梁架構(不図示)の構面内に、ブレースとして機能するように取り付けられている。図1には、柱梁架構に設けられた接合部18、20に、ダンパー10の端部(ブレース材12の端部24、26)が添え板22を用いてボルト接合されている様子が示されている。
説明の都合上、図1では、ダンパー10が水平に配置されているように描かれているが、ダンパー10は、ダンパー10の一方の端部(ブレース材12の端部24)が他方の端部(ブレース材12の端部26)よりも高くなるようにして、又はダンパー10の他方の端部(ブレース材12の端部26)が一方の端部(ブレース材12の端部24)よりも高くなるようにして斜めに配置されて柱梁架構に取り付けられている。
図3の側面図、及び図4の平面図には、補剛管14が設けられる前の状態のブレース材12が示されている。図1、図2、図3、及び図4に示すように、ブレース材12は、端部24、26が、下フランジ部28、上フランジ部30、及び下フランジ部28と上フランジ部30との間に配置されたウェブ部32を一体化したH形状の横断面を有するH形鋼によって構成され、中間部34が、下フランジ部36、上フランジ部38、及び下フランジ部36と上フランジ部38との間に配置されたウェブ部40を一体化したH形状の横断面を有するH形鋼によって構成されている。
ブレース材12の端部24、26には、上下左右へ張り出すようにして、ブレース側連結部としての鋼板からなるガセットプレート44が設けられている。すなわち、ブレース材12の端部24、26には、4つのガセットプレート44がそれぞれ設けられている。 ブレース材12の端部24、26から上方へ張り出すように設けられたガセットプレート44は、上フランジ部30の上面に端部が接合され、ブレース材12の端部24、26から下方へ張り出すように設けられたガセットプレート44は、下フランジ部28の下面に端部が接合され、ブレース材12の端部24、26から左方へ張り出すように設けられたガセットプレート44は、下フランジ部28と上フランジ部30との間に取り付けられた鋼板からなる接合用プレート46の側面に端部が接合され、ブレース材12の端部24、26から右方へ張り出すように設けられたガセットプレート44は、下フランジ部28と上フランジ部30との間に取り付けられた鋼板からなる接合用プレート48の側面に端部が接合されている。
ガセットプレート44には、後に説明するピン部材としてのボルト70が挿入可能な貫通孔72が、ダンパー10の軸方向64に対して等間隔に並んで3つ形成されている。
なお、図3及び図4は、ブレース材12の端部24の構成を示したものであるが、ブレース材12の端部26も同じ構成になっている。
中間部34の横断面(横断面積)は、端部24、26の横断面(横断面積)よりも小さくなっている。これによって、中間部34は、端部24、26に比べて引張耐力及び圧縮耐力が小さいH形断面の耐力低減部42を構成している。すなわち、ブレース材12は、軸方向中間部(中間部34)に耐力低減部42を備えている。
図5の側面図、及び図6の平面図には、ブレース材12に設けられる前の状態の補剛管14が示されている。図1、図2、図5、及び図6に示すように、補剛管14は、角形鋼管により構成されている。補剛管14の端部50、52の上下左右には、スリット54が形成されている。すなわち、補剛管14の端部50、52には、4つのスリット54がそれぞれ形成されている。
図2に示すように、スリット54は、正面視にて、補剛管14の上壁部56、下壁部58、左壁部60、及び右壁部62の略中央部を内面から外面へ貫通するように形成されている。図1、図2、図5、及び図6に示すように、軸方向64に対してスリット54の両端部に位置するスリット54の縁部には、対向して配置された補剛管側連結部としての鋼板からなるガセットプレート66、68が接合されている。ガセットプレート66、68には、後に説明するピン部材としてのボルト70が挿入可能な貫通孔74が、軸方向64に対して並んで2つ形成されている。
図1及び図2に示すように、ブレース材12は、補剛管14内に配置されている。すなわち、補剛管14は、ブレース材12を取り囲むようにして設けられている。この状態で、ガセットプレート44は、スリット54を貫通して補剛管14の外周面から外側へ突出している。
なお、図5及び図6は、補剛管14の端部50の構成を示したものであるが、補剛管14の端部52も同じ構成になっている。
図1、図2、図7の側面図、及び図8の平面図に示すように、力伝達機構16は、補剛管14の端部50、52の上下左右に設けられている。すなわち、力伝達機構16は、補剛管14の端部50、52にそれぞれ4つ設けられている。全ての力伝達機構16の構成は同じなので、ここでは、補剛管14の端部50の上壁部56に設けられた力伝達機構16(以下、「力伝達機構16A」とする)について説明し、他の力伝達機構16についての説明は省略する。
図8に示すように、力伝達機構16Aは、補剛管側連結部としてのガセットプレート66、68と、ブレース側連結部としてのガセットプレート44と、連結部材76と、ピン部材としてのボルト70とを有して構成されている。
図9の側面図に示すように、連結部材76は、力伝達部材としての力伝達プレート78と、緩衝部材としてのゴム部材80と、力伝達プレート82とを、この順に積層して構成されている。ゴム部材80は、接着剤により力伝達プレート78、82に貼り付けられている。
図10の平面図に示すように、力伝達プレート82は、長方形状の鋼板により構成された鋼製の板状部材であり、力伝達プレート82を貫通する長孔84が長辺方向に対して等間隔に並んで3つ形成されている。長孔84は、ボルト70を挿入可能な大きさを有し、長い方の孔径は、例えば、ガセットプレート44に形成された貫通孔72(図3を参照のこと)の孔径よりも10mm大きい長さになっている。
図11の平面図に示すように、ゴム部材80は、力伝達プレート82と同じ大きさの長方形状のゴムシートにより構成された板状の部材であり、ゴム部材80を貫通する長孔86が長辺方向に対して等間隔に並んで3つ形成されている。長孔86は、長孔84の大きさと同じ大きさを有し、図9の状態において、長孔84と略一致して連通する位置に形成されている。
図12の平面図に示すように、力伝達プレート78は、長方形状の鋼板により構成された鋼製の板状部材であり、長辺方向の長さが力伝達プレート82よりも長くなっている。
力伝達プレート78の中央部には、力伝達プレート78を貫通する3つの長孔88が長辺方向に対して等間隔に並んで形成されている。長孔88は、ボルト70を挿入可能な大きさを有し、長い方の孔径は、例えば、ガセットプレート44に形成された貫通孔72(図3を参照のこと)の孔径よりも30mm大きい長さになっている。長孔88は、図9の状態において、長孔84、86の略中央で連通する位置に形成されている。
力伝達プレート78の両端部には、ボルト70が挿入可能な貫通孔90が長辺方向に対して並んでそれぞれ2つ形成されている。
図8に示すように、ガセットプレート66、68と連結部材76とは、ガセットプレート66、68に形成された貫通孔74と、力伝達プレート78に形成された貫通孔90とに、ボルト70を挿入し、このボルト70にナット92を固定してピン連結されている。
また、ガセットプレート44と連結部材76とは、力伝達プレート78に形成された長孔88と、ゴム部材80に形成された長孔86と、力伝達プレート82に形成された長孔84と、ガセットプレート44に形成された貫通孔72とに、ボルト70を挿入し、このボルト70にナット92を固定してピン連結されている。
そして、これらにより、ガセットプレート66、68を介して補剛管14が力伝達プレート78に連結され、ガセットプレート44を介してブレース材12が力伝達プレート78に連結されることにより、力伝達プレート78を介して補剛管14とブレース材12とが連結されている。また、ゴム部材80は、ブレース材12に設けられたガセットプレート44と、力伝達プレート78との間に設けられている。
図13(a)の平面断面図には、ダンパー10に設けられたブレース材12に軸変形が生じていないときの力伝達機構16Aの初期の状態が示されている。図13(a)に示すように、ガセットプレート44に形成された貫通孔72に挿入されているボルト70は、軸方向64に対して長孔84、86、88の略中央に配置され、長孔84、86、88の内周面に接触していない。
ここで、軸力がブレース材12に作用することにより耐力低減部42が塑性変形してブレース材12の軸変形量が第1の所定値になると、図13(b)の平面断面図に示すように、力伝達機構16Aでは、ガセットプレート44に形成された貫通孔72に挿入されているボルト70が、長孔84、86の内周面に接触する。
これにより、ブレース材12に作用する軸力がゴム部材80と補剛管14とを介してブレース材12の両端部の間で伝達される。また、ブレース材12には、ゴム部材80による柔らかな剛性と、補剛管14による硬い剛性との直列剛性が付与され、力伝達機構16A(ゴム部材80と補剛管14)は、やや緩慢なストッパーとして機能する。力伝達機構16Aによるストッパー機能の緩慢具合は、ゴム部材80の面積、厚さ、硬度等を変えることによって調節することができる。
さらに、より大きな軸力がブレース材12に作用することにより耐力低減部42が塑性変形してブレース材12の軸変形量が第2の所定値になると、図13(c)の平面断面図に示すように、力伝達機構16Aでは、ガセットプレート44に形成された貫通孔72に挿入されているボルト70が、長孔88の内周面に接触する。
これにより、ブレース材12に作用する軸力が補剛管14を介してブレース材12の両端部の間で伝達される。また、ブレース材12には、補剛管14による硬い剛性が付与され、力伝達機構16Aは、高剛性なストッパーとして機能する。
なお、補剛管14に設けられている全ての力伝達機構16は、力伝達機構16Aと同様に作用する。
次に、本発明の実施形態に係るダンパーの作用と効果について説明する。
本実施形態のダンパー10では、図1に示すように、ダンパー10が柱梁架構に設けられている建物が小地震等により小変形するときに、ブレース材12に軸力が作用することにより、ブレース材12の軸方向中間部に備えられた耐力低減部42が塑性変形しながら振動エネルギーを吸収する。これによって、制振効果を発揮させることができる。
また、ダンパー10が柱梁架構に設けられている建物が大地震等により大変形するときに、より大きな軸力がブレース材12に作用することにより、ブレース材12の軸方向中間部に備えられた耐力低減部42は、補剛管14により座屈(曲げ座屈及び局部座屈)することなく塑性変形しながら安定した振動吸収能力を発揮し、繰り返し変形に対しては耐力低減部42が有する耐疲労能力をいかんなく発揮させることができる。
さらに、ダンパー10が柱梁架構に設けられている建物が大地震を上回る地震等により過大変形するときに、より大きな軸力がブレース材12に作用することによって耐力低減部42が塑性変形してブレース材12の軸変形量が第2の所定値になると、図13(c)に示すように、力伝達機構16によって、ブレース材12に作用する軸力が補剛管14を介してブレース材12の両端部の間で伝達される。
これにより、耐力低減部42の塑性化によるブレース材12の過大な軸変形を抑制することができる。すなわち、ブレース材12の塑性化によるダンパー10の過大な軸変形を抑制することがきる。
従来のダンパーは、一般に、建築基準法に謳われている大地震(以下、「レベル2の地震」とする)のような極稀に発生するレベルの地震に対して最大の制振効果を発揮するように設計が行われている。このため、レベル2の地震を上回る大きな地震においてはダンパーの耐力低減部の塑性化が進み過ぎてダンパーの等価剛性が小さくなり、これによって、建物の全層が大きく変形し過ぎたり、又は建物のある特定の層だけが大きく変形し過ぎたりしてしまうことが懸念される。
これに対して、本実施形態のダンパー10は、力伝達機構16を補剛管14に設けることにより、建物を構成する複数の層のうちの特定の層が大きく変形することを防ぐことができ、これによって建物を構成する複数の層の層間変形角の応答値を均一化させて複数の層に損傷を分散させ、これらの層の層崩壊を回避させることができる。
また、本実施形態のダンパー10では、図8に示すように、ガセットプレート44に形成された貫通孔72と、力伝達プレート78に形成された長孔88とに、ピン部材としてのボルト70を貫通させて、ブレース材12と力伝達プレート78とを連結しているので、長孔88の長さにより、ブレース材12に作用する軸力が補剛管14を介してブレース材12の両端部の間で伝達されるタイミング(ブレース材12の軸変形量の第2の所定値)を設定することができる。
さらに、本実施形態のダンパー10では、図8に示すように、ブレース材12(ガセットプレート44)と力伝達プレート78との間にゴム部材80を設けることによって、軸力がブレース材12に作用することにより耐力低減部42が塑性変形してブレース材12の軸変形量が第1の所定値になると、図13(b)に示すように、力伝達機構16によって、ブレース材12に作用する軸力がゴム部材80と補剛管14とを介してブレース材12の両端部の間で伝達される。
また、このときブレース材12には、ゴム部材80による柔らかな剛性と、補剛管14による硬い剛性との直列剛性が付与され、力伝達機構16A(ゴム部材80と補剛管14)は、やや緩慢なストッパーとして機能する。
これにより、ブレース材12に作用する軸力が、補剛管14とゴム部材80とを介してブレース材12の両端部の間で伝達されるときに、ダンパー10が設けられた建物に生じる衝撃を和らげることができ、この衝撃に伴って建物に生じる振動の加速度増加を抑えることができる。
図14に示すグラフには、ダンパーに作用する軸力(縦軸)に対するダンパーの軸変位(横軸)の関係が示されている。値94は、図15の側面図に示す従来のダンパー98での値であり、値96は、図16に示す本実施形態のダンパー10での値である。軸変位が0mmから5mmまでは、値94と値96との軸力は同じ値になっている。
図15及び図16に示すように、ダンパー98及びダンパー10は、柱梁架構100に取り付けられている。また、図15に示すように、ダンパー98は、ダンパー10に備えられている力伝達機構16が無いものであり、他の構成はダンパー10と同じになっている。
図14の値96から、ダンパー10の耐力低減部42が降伏し始めてからの力伝達機構16のゴム部材80の効果により、ブレース材12の剛性が緩慢に増加し始め、軸変位が15mmを超えてから補剛管14による高剛性なストッパー効果が発揮されていることがわかる。また、軸変位が20mmを超えてから補剛管14が軸降伏を起こし、耐力低減部42とともにエネルギー吸収していることがわかる。
さらに、本実施形態のダンパー10では、地盤卓越周期との非共振化による応答低減効果も期待することができる。軟弱な地盤は卓越周期が長いため、その軟弱な地盤に建てられた数秒の固有周期を持つ建物は、地盤によって増幅された地震の増幅成分に共振して大きな応答を生じてしまう。そして、大きな地震になるほど地盤が大きく塑性化し、地盤の卓越周期は長くなるので、軟弱な地盤に建てられた建物が塑性化して長周期化した場合、地盤との共振現象は留まることなく続いてしまう。
この建物の長周期化は、建物の有する柱梁架構に設けられたダンパーの塑性化(ダンパーに設けられた心材としての鋼製ブレース材の塑性化)によっても生じる。
これに対して、本実施形態のダンパー10では、補剛管14に設けられた力伝達機構16によりブレース材12に高剛性を付与することによって、大きな地震によるダンパーの塑性化によって長周期化した建物の周期を短くすることができる。
これにより、軟弱地盤に建てられた建物が、地盤によって増幅された地震の増幅成分と共振することを防ぎ、この建物に生じる応答を低減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、本実施形態では、図1に示すように、ブレース材12の中間部34の横断面(横断面積)を、端部24、26の横断面(横断面積)よりも小さくすることにより、中間部34を、端部24、26に比べて引張耐力及び圧縮耐力が小さい耐力低減部42とした例を示したが、耐力低減部42は、端部24、26に比べて引張耐力及び圧縮耐力が小さくなっていればよい。
例えば、中間部34を構成するH形鋼のウェブやフランジの厚さを、端部24、26を構成するH形鋼のウェブやフランジの厚さよりも薄くしてもよい。また、例えば、中間部34を低降伏点鋼によって形成してもよい。
また、本実施形態では、図1に示すように、補剛管14の端部50、52の上下左右に力伝達機構16を設けた例を示したが、力伝達機構16は、補剛管14の端部50、52にそれぞれ1つ以上設けられていればよい。例えば、補剛管14の端部50、52の上下に力伝達機構16を設けるようにしてもよいし、また例えば、補剛管14の端部50、52の左右に力伝達機構16を設けるようにしてもよい。
また、補剛管14の端部50、52のどちらか一方に力伝達機構16を設けるようにしてもよい。例えば、補剛管14の端部50の上下左右に力伝達機構16を設け、補剛管14の端部52をブレース材12に剛強に接合するようにしてもよいし、補剛管14の端部52の上下左右に力伝達機構16を設け、補剛管14の端部50をブレース材12に剛強に接合するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、図8に示すように、ガセットプレート44、66、68と力伝達プレート78とを連結するピン部材をボルト70とした例を示したが、ガセットプレート44、66、68と力伝達プレート78とを力の伝達が可能に連結できる部材であればよい。
また、本実施形態では、図12に示すように、力伝達プレート78の中間部に長孔88を形成した例を示したが、力伝達プレート78の中間部に、長孔84や貫通孔90と同じ大きさの孔を形成し、力伝達プレート78の両端部に、長孔88と同じ大きさの孔を形成するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、図10に示すように、力伝達プレート82に長孔84を形成し、図11に示すように、ゴム部材80に長孔86を形成した例を示したが、これらの孔を貫通孔90と同じ大きさにしてもよい。
また、本実施形態では、図8に示すように、ブレース材12に設けられたガセットプレート44と、力伝達プレート78との間に、緩衝部材としてのゴム部材80を設けた例を示したが、緩衝部材は、ブレース材12に柔らかな剛性を付与できるものであればよい。例えば、緩衝部材を粘弾性体により構成してもよい。また、緩衝部材は、補剛管14に設けられたガセットプレート66、68と力伝達プレート78との間に設けてもよい。この場合には、力伝達プレート78の中間部に長孔84や貫通孔90と同じ大きさの孔を形成し、力伝達プレート78の両端部に長孔88と同じ大きさの孔を形成すればよい。
さらに、本実施形態のダンパー10では、軸力がブレース材12に作用することにより耐力低減部42が塑性変形してブレース材12の軸変形量が第2の所定値になったときに、力伝達機構16によって、ブレース材12に作用する軸力が補剛管14を介してブレース材12の両端部の間で伝達される例を示したが、この後に、補剛管14の一部や、力伝達プレート78の一部を塑性変形させて、振動エネルギーを吸収するようにしてもよい。補剛管14の一部や、力伝達プレート78の一部を塑性変形させるためには、例えば、補剛管14や力伝達プレート78の塑性変形させる部分の厚さを薄くしたり、塑性変形し易い材料により形成したりすればよい。
また、本実施形態では、ダンパー10が鉄骨造の建物の有する柱梁架構に取り付けられている例を示したが、本実施形態のダンパー10は、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、CFT造(Concrete-Filled Steel Tube:充填形鋼管コンクリート構造)、それらの混合構造など、さまざまな構造や規模の建物に対して適用することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 ダンパー
12 ブレース材
14 補剛管
42 耐力低減部
44 ガセットプレート(ブレース側連結部)
66、68 ガセットプレート(補剛管側連結部)
70 ボルト(ピン部材)
72 貫通孔(孔)
78 力伝達プレート(板状部材、力伝達部材)
80 ゴム部材(緩衝部材)
88 長孔

Claims (2)

  1. 両端部に比べて引張耐力及び圧縮耐力が小さい耐力低減部を軸方向中間部に備えた鋼製のブレース材と、
    前記ブレース材を取り囲む補剛管と、
    前記補剛管に設けられ、前記ブレース材に軸力が作用することにより前記耐力低減部が塑性変形して前記ブレース材の軸変形量が所定値になると、前記補剛管を介して前記ブレース材の両端部の間で前記軸力を伝達させる力伝達部材と、
    を有し
    前記力伝達部材は、前記補剛管に設けられた補剛管側連結部と前記ブレース材に設けられたブレース側連結部とにピン連結された鋼製の板状部材を有して構成され、前記ブレース材と前記板状部材は、前記ブレース側連結部に形成された孔と前記板状部材に形成された長孔とを貫通するピン部材によって連結されている、
    ダンパー。
  2. 前記ブレース材と前記力伝達部材との間、又は前記補剛管と前記力伝達部材との間に、緩衝部材が設けられている請求項1に記載のダンパー。

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