JP2010156125A - ブレース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブレース本体3の長手方向での両端部に、取付対象部2への当接取付部4を各別に設け、ブレース本体3の圧縮軸力を確保できる状態でブレース本体3の長さを伸縮調整自在な長さ調整部Lを、ブレース本体3の長手方向での一部に設け、両当接取付部4を取付対象部2に取り付けた状態で、ブレース本体3をその長手方向に沿って伸長付勢自在な伸長付勢機構12を、長さ調整部Lに設け、長さ調整部Lに対してその長手方向に沿った圧縮のプレストレスを導入する状態と、導入したプレストレスを解除する状態とに切替自在なプレストレス導入機構を長さ調整部Lに着脱自在な第1取付部10a,11aを、長さ調整部Lの長手方向での両端部にそれぞれ設けてある。
【選択図】図4
Description
この第1例のブレースは、図10〜12に示すように、ブレース本体3が、その長手方向に二分割された分割ブレース部材5で構成され、一方の分割ブレース部材5Aにバネ部材(伸長付勢機構に相当)12を装着することで伸縮自在に形成すると共に、その一方の分割ブレース部5A全長に圧縮のプレストレスを加えた状態で架構の取付対象部2間にわたって両分割ブレース部材5A,5Bを縦列設置した後、前記プレストレスを解除することで、前記両取付対象部2間にブレース本体3が突っ張る状態に設置できるものである。
具体的には、図11に示すように、プレストレスを加える方の分割ブレース部材5Aに、プレストレス導入用のPC鋼棒21と操作用ナット22とからなるプレストレス導入機構Pを分割ブレース部材の軸芯部に内装すると共に、鋼棒21によるプレストレス作用時には収縮しプレストレス解除時には伸長する前記バネ部材12を内装して構成してある
(図12参照)。
そして、前記一方の分割ブレース部材5Aのプレストレスを解除操作する前記操作用ナット22は、周りが覆われた状態で分割ブレース部材端部に設けてあり、プレストレス解除操作後は、モルタルやコンクリート等で前記覆われた空間を塞いで分割ブレースの補強を図り、操作用ナットが外部に露出しない状態になるように設置されていた。
但し、この第1例のブレースによれば、『手間を掛けずに迅速に設置作業を実施できる』という特徴を有するものの、一度設置したブレースを外す場合は、ブレースそのものを壊して除去する必要があり、取り外し作業に非常に手間が掛かるといった問題点があった。
ブレースの取り外しに関しては、例えば、ブレースを現状の設置箇所から他の箇所へ移設する場合や、ブレースのメンテナンスを行うのに必要に応じて実施されることがある。
そして、ブレースの移設に関する実用例を挙げると、室内レイアウトの変更が比較的頻繁に実施される倉庫やテナントビル等の建物が対象となり易く、レイアウト変更に伴って、ブレースを別の空間へ移設する必要が生じることがある。
この第2例のブレースは、図13に示すように、プレストレス導入機構Pをブレース本体3の外部に露出する状態に設けてあった。具体的には、ブレース本体3の両端部の両側面にそれぞれ着脱自在に取り付けられるL型フランジプレート20と、ブレース本体3の長手方向で対向する一対のL型フランジプレート20にわたって取り付けて引っ張ることでブレース本体3に圧縮方向のプレストレスを導入するPC鋼棒21、及び、ナット22とを備えて構成してあった。取付対象部2間に取り付ける前に、前記プレストレス導入機構Pによってブレース本体3の全長にわたって圧縮のプレストレスを導入しておき、取り付けた後にプレストレスを解除することで取付対象部2間に突っ張る状態に設置できるように構成されていた。
即ち、プレストレス導入機構によって、伸長付勢機構の付勢力を上回るプレストレスを長さ調整部に導入することでブレース本体の長さを前記取付対象部間の離間距離より短くなるように縮め、その状態で取付対象部間にブレース本体を配置し、プレストレスを解除するだけの簡単な手順によって、伸長付勢機構による付勢力が作用し、ブレース本体の両端部が取付対象部にそれぞれ押し当たる状態に取り付けることができる。また、取り外しに関しても、設置手順と逆の手順によって簡単に実施することができる。
また、取付対象部間に設置されたブレース本体に作用する圧縮力に対しては、長さ調整部によって軸耐力を発揮させる一方、取付対象部どうしが離れる方向に変位する場合には、伸長付勢機構によってブレース本体を伸長させて追従することができる。
これは、例えば、地震の揺れによって、前述の通り架構の取付対象部間に圧縮力と引張力とが交互に作用する場合においても、長さ調整部と伸長付勢機構による押付力の付与によって、外れ難い状態にブレースの取付状態を維持できると共に、充分な圧縮耐力をも発揮させることができる。
また、前記第1取付部は、長さ調整部の長手方向での両端部に設けてあるから、その第1取付部に取り付ける前記プレストレス導入機構は、長さ調整部の寸法に対応したコンパクトなものにすることができる。従って、プレストレス導入機構が大掛かりなものにならず、コストダウンを図れると共に、プレストレス導入機構の設置における省スペース化を叶えることが可能となる。
更には、プレストレス導入機構を使用しない時には、前記第1取付部によって取り外しておくことができ、ブレース周りの省スペース化を、より叶えやすくなる。
従って、例えば、軸力の作用で当該ブレースにクリープ変形が発生し、軸力の低下を来すような場合にも対応でき、ブレースの取付状態を、好ましい状態に維持することができる。
また、ブレース本体そのものも、長さ調整部からブレース本体の他端部までの部分を一連の部材として構成できるから、弱部ができ難い。更には、ブレース本体としての部品点数の削減を図れるから、よりコストダウンを叶えることができる。
また、前記ブレース1は、鉄筋コンクリート製のプレキャスト部材からなるブレース本体3と、そのブレース本体3の両端部と前記取付対象部2との間を一体的に連結する当接取付部4とを備えて構成してある。
具体的には、図1の正面図における、四つの分割ブレース部材5の内、左下部分に配置してある第1分割ブレース部材5Aと、右上部分に配置してある第2分割ブレース部材5Bとが同一軸芯上に連結配置されて一つのブレース本体3を構成していると共に、右下部分に配置してある第3分割ブレース部材5Cと、前記第1分割ブレース部材5Aの頭部5Aaと、左上部分に配置してある第4分割ブレース部材5Dとが同一軸芯上に連結配置されてもう一つのブレース本体3を構成している。
前記第1分割ブレース部材5Aの頭部5Aaには、前記第2〜第4の各分割ブレース部材5B,5C,5Dの端面と接当自在な状態に各別に接当面tが形成してあり、この接当面tから垂直に突出する状態に前記連結鉄筋6が埋設されている。
一方、これら接当面tに対応する前記第2〜第4の各分割ブレース部材5B,5C,5Dの一端部には、前記連結鉄筋6が進入自在な状態にシース7がそれぞれ埋設してあり、これらシース7の中空部に前記連結鉄筋6が嵌合するように各分割ブレース部材どうしを合わせることで、一体連結が図られる。尚、シース7内空部には、例えば、モルタル等の連結材を充填しておいた状態で前記連結鉄筋6を嵌合させれば、より連結強度が向上する。
前記第1・第3分割ブレース部材5A,5Cの他端部には、図3、図4に示すように、二枚の金属プレート10,11と、その間に介在させた複数の皿バネ12(伸長付勢機構Sの一例)と、一方の金属プレート10に一体に設けられた雌ネジ筒10cと、その雌ネジ筒10cに螺合自在な鋼管Kと、他方の金属プレート11に一体に設けられて前記皿バネ12が外嵌自在な支持軸11cとが設けてある。
前記複数の皿バネ12は、ブレース本体3の長手方向に沿って作用する引っ張り力を負担せずに、長手方向に沿って作用する圧縮力に対しては弾性的に抗力を発揮することができる。
前記鋼管Kは、両金属プレート10,11間に介在することで、ブレース本体3の長手方向に沿って作用する圧縮力を支持することができる。また、雌ネジ筒10cとの螺合の深さを調整することで、両金属プレート10,11にわたる状態に位置させることができる。
前記両金属プレート10,11どうしは、前記皿バネ12や鋼管Kを介在させてあることで、ブレース本体3の圧縮軸力を確保できる状態でブレース本体3の長さを伸縮調整自在に構成されており、ブレース1の全長の内、これらの区間を長さ調整部Lという。
また、両金属プレート10,11には、図に示すように、後述するプレストレス導入機構Pを着脱自在なボルト穴(第1取付部に相当)10a,11aが夫々形成してある。これらのボルト穴10a,11aに、前記プレストレス導入機構Pを取り付けて、ブレース1の長さ調整部Lに圧縮方向のプレストレスを導入することができる。
前記第2・第4分割ブレース部材5B,5Dの他端部は、図5に示すように、柱B1と梁B2とからなる入隅形状に沿う形状に成形してあり、端部保護用の金属薄板が一体に設けてある。
前記第1分割ブレース部材5A、及び、第3分割ブレース部材5Cと各取付対象部2間に設けられている当接取付部4は、図4、図6に示すように、前記柱B1、梁B2とで構成される入り隅部分に、金属製の二枚の型枠14(図6参照)を間隔をあけて配置し、それらの間に、前記前記第1分割ブレース部材5A・第3分割ブレース部材5Cの端部の金属プレート11が位置するように分割ブレース部材を配置し、両型枠14間の空間に高強度無収縮セメント15を打設して一体物を形成してある。
尚、前記金属プレート11は、下面側にアンカー鉄筋11bが溶接してあり(図4参照)、前記高強度無収縮セメント15と一体化することでアンカー効果が発揮される。また、前記金属プレート10についても、11の金属プレートと同様に、アンカー鉄筋10bによって一体化が図られている。
また、両型枠14どうしは、図6に示すように、貫通させた複数のネジ鉄筋16と、それに螺合するナット17とで連結されており、適切な離間寸法を確保できるものである。
プレストレス導入機構Pは、図3に示すように、前記両金属プレート10,11の両側面にそれぞれ着脱自在に取り付けられるフランジプレート20と、長さ調整部Lの長手方向に対向する一対のフランジプレート20にわたって取り付けられるPC鋼棒21と、PC鋼棒21の端部に螺合自在なナット22とを備えて構成してある。
即ち、前記ボルト穴10a,11aを利用してフランジプレート20を前記両金属プレート10,11にボルト固定し、それらフランジプレート20に挿通させたPC鋼棒21をジャッキ等によって緊張させると、その反力によって前記皿バネ12が収縮すると共に、長さ調整部Lの全長にわたって圧縮方向のプレストレスが加わる。そのプレストレス作用状態を維持させるためには、ナット22をPC鋼棒21に螺合させることで実施できる。
尚、プレストレスを導入した状態で、前記鋼管Kの端部が金属プレート11に当接しているように前記雌ネジ筒10cに対する前記鋼管Kの螺合深度を設定しておくことで、ブレース本体3に作用する圧縮力は、両金属プレート10,11間において雌ネジ筒10cと鋼管Kとで支持することができる。
また、上述のプレストレスを導入した状態のブレース本体3を架構B間に配置して、前記ナット22を緩めることで、前記皿バネ12の弾性復元力が作用し、所定の力で取付対象部2間に突っ張った状態に設置することができる。
因みに、前記爪付きジャッキ23を取り付ける金属プレート10,11の縁部を、第2取付部10d,11dという。
そして、例えば、図8に示すように、地震によって架構Bに揺れ振動が作用した場合、揺れの往復によって、対角線上の取付対象部2は、近接・離間を繰り返すわけであるが、当該実施形態でのブレース1によれば、取付対象部2どうしが近接する状態の時には、圧縮力を負担して揺れ低減を図る一方、取付対象部2どうしが離間する状態の時には、圧縮された状態に弾性変形している皿バネ12が復元側に伸びながら追従し、引っ張り力は負担しない。従って、引張強度が低いとされるコンクリートを使用しても、高い圧縮強度を発揮できることでブレースとしての機能を充分に発揮することができる。
また、プレストレス導入機構Pを軽微なものにすることができ、コストダウンを図れると共に、プレストレス導入機構Pの設置における省スペース化を叶えることが可能となる。
更には、プレストレス導入機構Pを使用しない時には、前記第1取付部10a,11aによって取り外しておくことができ、ブレース周りの省スペース化を、より叶えやすくなる。
以下に他の実施の形態を説明する。
また、取付対象となる架構の構造が限定されるものではなく、例えば、RC造、S造、SRC造を初めとして、各種構造に適用させることが可能である。
また、架構Bへのブレース1の設置状況は、先の実施形態で説明したように、架構の矩形空間に、交差する状態に二本のブレース1を設置するものに限らず、例えば、図9(a)に示すように、複数の架構Bの矩形空間に、それぞれ分散させて一本のブレース1を設置するものであったり、図9(b)に示すように、二本のブレース1を交差状に設置するものと、一本のブレース1のみを設置するものとの組合せであってもよい。但し、これらの場合、揺れの往復に対して同様の耐震性能を発揮できるようにバランス配置することが好ましい。
〈2〉 前記ブレース本体3は、先の実施形態で説明した二つの分割ブレース部材5から構成されるものに限るものではなく、例えば、単体のブレース本体3で構成してあってもよい。また、分割ブレース部材の構成を採用する場合でも、先に説明した連結構造を採用するものに限らず、公知の連結構造を採用することが可能である。
〈3〉 前記伸長付勢機構Sは、先の実施形態で説明した皿バネ12によって構成するものに限らず、例えば、コイルスプリングによる構成も可能である。
また、ブレース本体そのものが備えた弾性機能のみによる伸長付勢機能を発揮できる構成であってもよい。それらを含めて伸長付勢機構Sと総称する。
そして、ブレース本体の長手方向の一端部に伸長付勢機構Sを形成するものに限らず、例えば、ブレース本体の長手方向中間部に伸長付勢機構Sを形成するものであってもよい。
〈4〉 前記プレストレス導入機構Pは、先の実施形態で説明したようなフランジプレート20とPC鋼棒21とナット22との構成に限るものではなく、公知の他のプレストレス導入機構を採用することが可能である。
また、プレストレス導入機構Pを着脱自在な第1取付部は、先の実施形態で説明したボルト穴に限らず、他の取付手段を採用することができる。
また、第1取付部が、前記第2取付部と兼用するような構成とすることも可能である。
3 ブレース本体
4 当接取付部
10a ボルト穴(第1取付部に相当)
10d 第2取付部
11a ボルト穴(第1取付部に相当)
11d 第2取付部
12 皿バネ(伸長付勢機構Sの一例)
23 爪付きジャッキ
L 長さ調整部
P プレストレス導入機構
Claims (3)
- 架構の取付対象部間にわたって取付自在なブレース本体を設けて構成してあるブレースであって、
前記ブレース本体の長手方向での両端部に、前記取付対象部への当接取付部を各別に設け、
前記ブレース本体の圧縮軸力を確保できる状態で前記ブレース本体の長さを伸縮調整自在な長さ調整部を、前記ブレース本体の長手方向での一部に設け、
前記両当接取付部を前記取付対象部に取り付けた状態で、前記ブレース本体をその長手方向に沿って伸長付勢自在な伸長付勢機構を、前記長さ調整部に設け、
前記長さ調整部に対してその長手方向に沿った圧縮のプレストレスを導入する状態と、導入したプレストレスを解除する状態とに切替自在なプレストレス導入機構を前記長さ調整部に着脱自在な第1取付部を、前記長さ調整部の長手方向での両端部にそれぞれ設けてあるブレース。 - 前記両当接取付部を前記取付対象部に取り付けた状態で、前記両第1取付部どうしを離間させるジャッキを着脱自在な第2取付部を、前記長さ調整部の長手方向での両端部にそれぞれ設けてある請求項1に記載のブレース。
- 前記長さ調整部は、前記ブレース本体の一端部に設けてある請求項1又は2に記載のブレース。
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