JP2007332665A - 変位調整機能付き落橋防止装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上部ストッパ部材3と下部ストッパ部材1のいずれか一方に係止用突起2を設け、他方に係止用凹部4を設け、係止用突起2が係止用凹部4内に配置され、上部ストッパ部材3および下部ストッパ部材1を上部構造物22および下部構造物23にそれぞれ取付けるようにした落橋防止装置において、下部ストッパ部材1の下面または上部ストッパ部材3の上面のいずれか一方に、橋軸方向のせん断変形により抵抗する弾性層5を一体に固着する。また、弾性層5の下面にベースプレート6が固着され、下部ストッパ部材1のボルト挿通孔と、下部ストッパ部材1を下部構造物23に取付けるアンカーボルト8との間に、弾性層5をせん断変形させるための橋軸方向の変位調整間隙が設けられている。
【選択図】図1
Description
また、前記従来の場合には、外観上において大きく目立つ、ケーブルや鋼棒などのPC鋼材を上下の構造物間に介在させたり、鋼製ブラケットを上部構造物に間隔をおいて対向するように下部構造物に設けたりしているため、景観上問題があった。
また、従来の橋梁では、地震時において上部構造物(桁)が、橋台上部のパラペット部に衝突して、パラペットを損傷する場合が多く、その修復作業に工期が長くかかると共に修復費用が多大になるという問題があり、上部構造物がパラペットに衝突しない構造の落橋防止装置が望まれる。
本発明は、落橋防止装置と変位制限装置とを一つの装置にコンパクトとに組み込んだ変位調整機能付き落橋防止装置を提供することを目的とする。
また、第2発明の変位調整機能付き落橋防止装置においては、上部ストッパ部材と下部ストッパ部材のいずれか一方に係止用突起を設け、他方に係止用凹部を設け、前記係止用突起を係止用凹部内に配置し、上部ストッパ部材および下部ストッパ部材を上部構造物および下部構造物にそれぞれ取付けるようにした落橋防止装置において、下部ストッパ部材の下面に弾性層が固着され、その弾性層の下面にベースプレートが固着され、下部ストッパ部材のボルト挿通孔と、そのボルト挿通孔に挿通され下部ストッパ部材を下部構造物に取付けるためのアンカーボルト等のボルト軸部との間に、地震時における上部構造物の橋軸方向の変位により前記弾性層をせん断変形させるための橋軸方向の変位調整間隙が設けられていることを特徴とする。
また、第3発明では、第2発明の変位調整機能付き落橋防止装置において、前記弾性層をせん断変形させた状態で、橋軸方向に上部ストッパ部材と下部ストッパ部材とアンカーボルト等のボルト軸部を接触させて、上部構造物の橋軸方向の移動に対して抵抗させるようにしたことを特徴とする。
また、第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかの変位調整機能付き落橋防止装置において、前記弾性層の橋軸方向のせん断変形抵抗による変位制限機能と、前記係止用突起が係止用凹部内面に係合して橋軸方向に全体が一体となって抵抗する落橋防止機能の両方の機能を備えていることを特徴とする。
また、第5発明では、第4発明の変位調整機能付き落橋防止装置において、変位制限機能による変位完了後に落橋防止機能が機能する2段式とされていることを特徴とする。
また、第6発明では、第1〜第5発明のいずれかの変位調整機能付き落橋防止装置において、前記係止用突起と係止用凹部との間の第1の間隙寸法と、前記下部ストッパ部材を下部構造物に固定するボルト軸部との間の第2の間隙寸法との和は、上部構造物と下部構造物としての橋台のパラペットとの間または橋軸方向に直列に隣り合う上部構造物間の第3の間隙寸法よりも小さくされていることを特徴とする。
また、第7発明では、第2発明〜第6発明のいずれかの変位調整機能付き落橋防止装置において、前記下部ストッパ部材とベースプレートに渡って下部構造物側に固定されるアンカーボルト等のボルトが挿通され、前記下部ストッパ部材のボルト挿通孔は、橋軸方向の変位調整間隙が設けられている長孔とされ、ベースプレートのボルト挿通孔内面と前記ボルト軸部外面とは近接して配置されていることを特徴とする。
また、第8発明では、第2発明〜第7発明のいずれかの変位調整機能付き落橋防止装置において、前記下部ストッパ部材のボルト挿通孔とこれに挿通されるボルト軸部との間隙は、前記係止用突起が係止用凹部の内面に係合した状態において、上部構造物と橋台側のパラペットとの間または橋軸方向に直列に隣り合う上部構造物間の橋軸方向の間隙以下の寸法とされていることを特徴とする。
また、下部ストッパ部材の下面または上部ストッパ部材の上面にせん断変形が可能な弾性層を一体に設けているので、変位制限が必要な震度法レベルの地震力には、繰り返し機能が担保できる弾性層のせん断変形で対応することができ、前記弾性層のせん断変形による変位制限機能を超える地震力に対しては、下部ストッパ部材(または上部ストッパ部材)における係止突起を上部ストッパ部材(下部ストッパ部材)に係合させて、上部構造物の落橋を防止することができる。
また、下部ストッパ部材の下側または上部ストッパ部材の上側に弾性層とベースプレートを配置する構造であるので、従来のように、景観を大きく阻害することがない等の効果が得られる。
第3発明によると、弾性層をせん断変形させた状態で、橋軸方向に上部ストッパ部材と下部ストッパ部材とアンカーボルト等のボルト軸部を接触させて、上部構造物の橋軸方向の移動に対して抵抗させるようにしたので、弾性層のせん断変形抵抗による上部構造物の変位制限をする変位調整機能と、上部ストッパ部材と下部ストッパ部材とアンカーボルト等のボルトの直接接触により、強固に上部構造物の橋軸方向の移動に抵抗できる構造になり、上部構造物が下部構造物から落橋するのを確実に防止することができる。
第4発明によると、弾性層の橋軸方向のせん断変形抵抗による変位制限機能と、前記係止用突起が係止用凹部内面に係合して橋軸方向に全体が一体となって抵抗する落橋防止機能の両方の機能を備えているので、一つの装置に、弾性層のせん断変形抵抗による変位制限機能と、落橋防止機能との2つの機能を備えた装置とすることができると共に、独立してそれぞれの装置を設置する場合に比べて安価な装置になると共に設置場所も小スペースですむ。
第5発明によると、変位制限機能による変位完了後に落橋防止機能が機能する2段式とされているので、弾性層のせん断変形抵抗による変位制限機能により確実に上部構造物を緩衝支承した後に、落橋防止装置を機能させるので、変位調整機能付き落橋防止装置に上部構造物あるいは下部構造物に入力される橋軸方向の水平力を低減させることができる。
第6発明によると、前記係止用突起と係止用凹部との間の第1の間隙寸法と、前記下部ストッパ部材を下部構造物に固定するボルト軸部との間の第2の間隙寸法との和は、上部構造物と下部構造物としての橋台のパラペットとの間または橋軸方向に直列に隣り合う上部構造物間の第3の間隙寸法よりも小さくされているので、上部構造物が直接パラペットに衝突したり、上部構造物相互が衝突することはなく、下部構造物としての橋台または橋脚から地盤にあるいは下部構造物としての橋台におけるパラペット部からその背面土に水平力を伝達することができ、地盤による緩衝支承作用を期待することができる。
第7発明によると、下部ストッパ部材のボルト挿通孔は、橋軸方向の変位調整用間隙が設けられている長孔とされ、ベースプレートのボルト挿通孔内面と前記ボルト軸部外面とは近接して配置されているので、下部ストッパ部材に長孔を設けるだけで、容易に変位調整用間隙を形成することができる。
第8発明によると、下部構造物のパラペットに、桁等の上部構造物が衝突する前または上部構造物相互が衝突する前に、落橋防止機能が作用するので、桁等の上部構造物が、橋台におけるパラペットに衝突して、パラペットを損傷する恐れを排除することができ、また、上部構造物相互が衝突して構造物相互が衝突して、上部構造物が損傷する恐れを排除することができる。そのため、パラペットの修復作業あるいは上部構造物の修復作業がなくなるので、橋梁の復旧作業が容易になる。
前記下部ストッパ部材1と弾性層5の4隅部には、橋軸方向に延長するように同じ位置において長孔13が設けられ、その各長孔13には、下部構造物23側に固定されるボルトまたはアンカーボルト(図示の場合)8の上部軸部が挿通配置されている。
また、ベースプレート6の4隅部の孔は円形孔とされ、下部構造物23側に固定されるボルトまたはアンカーボルト(図示の場合)8の上部軸部が近接して挿通配置されている。
前記のスライド座金15は、鋼材との摩擦係数が小さい四フッ化エチレン板からなる滑り支承板20が介在されているので、下部ストッパ部材1はアンカーボルト8に対して、相対的に橋軸方向に移動可能にされている。
したがって、地震時において橋軸方向の水平力が作用して、上部構造物22と下部構造物23が相対的に橋軸方向に変位した場合には、上部構造物(桁)22が橋台上部のパラペット25に衝突する前に、アンカーボルト8に下部ストッパ部材1における長孔13の内面が接触して、弾性層5のせん断変形を起こし、弾性層5のせん断変形により緩衝支承するようにされている。
また、地震時等において、上部構造物22または下部構造物23が橋軸方向に相対的に移動した場合には、係止用突起2と係止用凹部4の橋軸方向の内面とが接触し、一体に移動するようになると、ベースプレート6はアンカーボルト8に係止されて下部構造物23側に固定状態であるので、弾性層5を橋軸方向にせん断変形させるようになる。さらに、上部構造物22または下部構造物23が橋軸方向に相対的に移動した場合には、アンカーボルト8が、下部ストッパ部材1の長孔13の内面に係合して、上部構造物23の橋軸方向への移動を拘束するようになる(詳細は後記する。)
なお、図9に示す桁の掛け違い部においては、橋軸方向に直列に2つの上部構造物22が設置されるため、各上部構造物22と一つの下部構造物23との間に2つの変位調整機能付き落橋防止装置7が設置されることになり、この場合には、前記係止用突起2と係止用凹部4との間の第1の間隙寸法G2と、前記下部ストッパ部材1を下部構造物23に固定するボルト軸部との間の第2の間隙寸法Gとの和は、橋軸方向に直列に隣り合う上部構造物22間の第3の間隙寸法G1よりも小さく、より好ましくは、各上部構造物22に取付けられる各変位調整機能付き落橋防止装置7における前記係止用突起2と係止用凹部4との間の各第1の間隙G2の寸法と、前記下部ストッパ部材1を下部構造物23に固定するボルト軸部との間の各第2の間隙寸法Gとの和を、橋軸方向に直列に隣り合う上部構造物22間の第3の間隙G1の寸法よりも小さくすることで、上部構造物22相互が直接衝突する恐れを排除し、下部構造物22から地盤27に水平力を伝達することができ、地盤27による緩衝支承作用を発揮させることができる。
(1)間隙G2を、上部構造物22の温度変化時における伸縮量を見込んだ間隙寸法G2とし、間隙Gを、弾性層5のせん断力変形抵抗を伴う変位制限用の間隙とし、地震時にせん断変形による弾性抵抗機能を最大に発揮した状態では、アンカーボルト8と下部ストッパ部材1と上部ストッパ部材3とは鋼材相互の接触状態となり、その後、橋軸方向の動きに対しては、全体を一体化して落橋防止装置として作用させるようにする形態の変位調整機能付き落橋防止装置。
(2)間隙G2を、上部構造物22の温度変化時における伸縮量および地震時の上部構造物22の橋軸方向の変位の一部を見込んだ間隙寸法G2とし(この場合には、変位調整機能付き落橋防止装置7と共に使用され上部構造物22の鉛直荷重を負担している弾性支承装置の弾性層のせん断変形等により上部構造物22の橋軸方向の水平変位に抵抗している。)、間隙Gを、弾性層5のせん断力変形抵抗を伴う地震時の変位制限用あるいは落橋防止用の間隙とし、地震時にせん断変形による弾性抵抗機能を最大に発揮した状態では、アンカーボルト8と下部ストッパ部材1と上部ストッパ部材3とは鋼材相互の接触状態となり、その後、橋軸方向の動きに対しては、全体を一体化して落橋防止装置として作用させるようにする形態の変位調整機能付き落橋防止装置。
本発明を実施する場合、図示を省略するが、前記各実施形態におけるベースプレート6と弾性層5と下部ストッパ部材1側と、上部ストッパ部材3側とを上下反転配置して、上側となった下部ストッパ部材1すなわち上部ストッパ部材3の上面に弾性層5を、その弾性層5の上面にベースプレート6を一体に有する部材をアンカーボルト等のボルトにより上部構造物に取付け、下側となった上部ストッパ部材3を下部構造物に固定するようにしてもよい。
また、図示形態において、上部ストッパ部材3の上端部に、橋軸方向に張り出すフランジを一体に設け、上部ストッパ部材3と前記張り出しフランジの上面に弾性層5を固着し、その弾性層5に、前記ベースプレート6と同様な鋼板を固着し、前記弾性層5がせん断変形可能になるように上部構造物に取付け、下部ストッパ部材1の下面の弾性層5およびベースプレート6を省略して、下部ストッパ部材1を直接下部構造物23に固定するようにしてもよい。
すなわち、本発明では、上部ストッパ部材3と下部ストッパ部材1のいずれか一方に係止用突起2を設け、他方に係止用凹部4を設け、前記係止用突起2を係止用凹部4内に配置し、上部ストッパ部材3および下部ストッパ部材1をそれぞれ上部構造物22および下部構造物23に取付けるようにした落橋防止装置において、前記下部ストッパ部材1の下面または上部ストッパ部材3の上面のいずれか一方に、橋軸方向のせん断変形により抵抗する弾性層5を一体に固着するような変形形態の変位調整機能付き落橋防止装置でもよい。
2 上向きの係止用突起
3 上部ストッパ部材
4 下向き開口の係止用凹部
5 弾性層
6 ベースプレート
7 変位調整機能付き落橋防止装置
8 アンカーボルト
9 変位調整装置
10 上面
11 天板
12 雌ねじ孔
13 長孔
15 スライド座金
16 ナット
17 突出部
18 上部アンカー部材
19 下面
20 滑り支承板
22 上部構造物
23 下部構造物
23a 橋台
23b 中間橋脚
24 下向き係止突部
25 パラペット
26 支承装置
27 背面土
30 落橋防止装置
33 下部ストッパ部材
34 上向きの係止用突起
35 上部ストッパ部材
36 係止用下向き凹部
37 変位制限用ストッパ装置
Claims (8)
- 上部ストッパ部材と下部ストッパ部材のいずれか一方に係止用突起を設け、他方に係止用凹部を設け、前記係止用突起を係止用凹部内に配置し、上部ストッパ部材および下部ストッパ部材をそれぞれ上部構造物および下部構造物に取付けるようにした落橋防止装置において、前記下部ストッパ部材の下面または上部ストッパ部材の上面のいずれか一方に、橋軸方向のせん断変形により抵抗する弾性層を一体に固着したことを特徴とする変位調整機能付き落橋防止装置。
- 上部ストッパ部材と下部ストッパ部材のいずれか一方に係止用突起を設け、他方に係止用凹部を設け、前記係止用突起を係止用凹部内に配置し、上部ストッパ部材および下部ストッパ部材をそれぞれ上部構造物および下部構造物に取付けるようにした落橋防止装置において、下部ストッパ部材の下面に弾性層が固着され、その弾性層の下面にベースプレートが固着され、下部ストッパ部材のボルト挿通孔と、そのボルト挿通孔に挿通され下部ストッパ部材を下部構造物に取付けるためのアンカーボルト等のボルト軸部との間に、地震時における上部構造物の橋軸方向の変位により前記弾性層をせん断変形させるための橋軸方向の変位調整間隙が設けられていることを特徴とする変位調整機能付き落橋防止装置。
- 前記弾性層をせん断変形させた状態で、橋軸方向に上部ストッパ部材と下部ストッパ部材とアンカーボルト等のボルト軸部を接触させて上部構造物の橋軸方向の移動に対して抵抗させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の変位調整機能付き落橋防止装置。
- 前記弾性層の橋軸方向のせん断変形抵抗による変位制限機能と、前記係止用突起が係止用凹部内面に係合して橋軸方向に全体が一体となって抵抗する落橋防止機能の両方の機能を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変位調整機能付き落橋防止装置。
- 変位制限機能による変位完了後に落橋防止機能が機能する2段式とされていることを特徴とする請求項4に記載の変位調整機能付き落橋防止装置。
- 前記係止用突起と係止用凹部との間の第1の間隙寸法と、前記下部ストッパ部材を下部構造物に固定するボルト軸部との間の第2の間隙寸法との和は、上部構造物と下部構造物としての橋台のパラペットとの間または橋軸方向に直列に隣り合う上部構造物間の第3の間隙寸法よりも小さくされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の変位調整機能付き落橋防止装置。
- 前記下部ストッパ部材とベースプレートに渡って下部構造物側に固定されるアンカーボルト等のボルトが挿通され、前記下部ストッパ部材のボルト挿通孔は、橋軸方向の変位調整間隙が設けられている長孔とされ、ベースプレートのボルト挿通孔内面と前記ボルト軸部外面とは近接して配置されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の変位調整機能付き落橋防止装置。
- 前記下部ストッパ部材のボルト挿通孔とこれに挿通されるボルト軸部との間の間隙は、前記係止用突起が係止用凹部の内面に係合した状態において、上部構造物と橋台側のパラペットとの間または橋軸方向に直列に隣り合う上部構造物間の橋軸方向の間隙寸法よりも小さい寸法とされていることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の変位調整機能付き落橋防止装置。
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