JP2013092009A - 構造物減震装置及び構造物減震方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造が簡単で、上部構造の地震時慣性力を低減する構造物減震装置を提供する。
【解決手段】下部構造側に固定される上部水平部4aと下部水平部4bの両端が垂直側壁部4c,4dで連結された断面ロ字形の下部鋼製枠部材4と、上部構造側に固定される上部水平部5aと下部水平部5bの両端が垂直側壁部5c,5dで連結された断面ロ字形の上部鋼製枠部材5と、を備え、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材とが互いに直交し、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材の交差部に、上部を下部鋼製枠部材の上部水平部下面に固定し、下部を上部鋼製枠部材の下部水平部上面に固定した弾性体8を配置し、地震時下部構造に作用する慣性力に対して弾性体の上部固定部と下部固定部とを相反する方向に変位させ上部構造の水平変位量を低減する。
【選択図】図1
【解決手段】下部構造側に固定される上部水平部4aと下部水平部4bの両端が垂直側壁部4c,4dで連結された断面ロ字形の下部鋼製枠部材4と、上部構造側に固定される上部水平部5aと下部水平部5bの両端が垂直側壁部5c,5dで連結された断面ロ字形の上部鋼製枠部材5と、を備え、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材とが互いに直交し、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材の交差部に、上部を下部鋼製枠部材の上部水平部下面に固定し、下部を上部鋼製枠部材の下部水平部上面に固定した弾性体8を配置し、地震時下部構造に作用する慣性力に対して弾性体の上部固定部と下部固定部とを相反する方向に変位させ上部構造の水平変位量を低減する。
【選択図】図1
Description
本発明は、建築物、橋梁等の構造物の上部構造と下部構造との間に設置される構造物減震装置と構造物減震方法に関する。
兵庫県南部地震以降、高減衰ゴム系の免震支承や鉛プラグ入り積層ゴム支承等を用いて長周期化と高減衰化により地震力の低減と耐震性の向上を図る免震構造が一般的に採用されるようになってきている。機能分離型の支承構造として、鉛直荷重を受け持つ鉛直荷重支持支承と水平力を受け持つ水平力分散支承を組み合わせた支承構造が採用される事例が増えつつある。
また、構造物の制震装置として、上部構造と下部構造の間に上下両面を滑り面とした弾性支承を配置し、上下両面の滑り面の摩擦力により地震時下部構造に作用する慣性力を低減して上部構造に伝達する構造物制震装置が提案されている。
従来の支承構造は、地震時に建築物や橋梁等の構造物には下部構造に慣性力が作用し、その慣性力が積層ゴムを有する支承装置を介して上部構造に伝達される。上部構造に伝達された地震エネルギーは、加速度成分が加わり大きな地震時慣性力として上部構造に作用する。上部構造に作用する地震時慣性力は、下部構造に大きな慣性力として作用する。その結果、上部構造の地震時慣性力により支承装置が破壊されるだけでなく、橋脚、橋台、基礎構造等の下部構造に作用する大きな慣性力により下部構造自体が損傷する恐れがある。また、上部構造には大きな水平変位が発生する。上部構造の大きな水平変位に対してはその変位を吸収するためのダンパーや変位制限装置、落橋防止装置等が必要となる。下部構造に負荷される大きな慣性力により下部構造に損傷を与えないために下部構造の設計強度を大きくする必要がある。下部構造の設計強度を大きくするためには、基礎杭の本数の増加や橋脚や橋台の各種寸法、配筋量等を増加する必要がある。そのため、既存橋梁又は既存建築物の耐震補強のケースにおいても、新設構造物の構築のケースにおいても多くの施工日数と多額の費用が必要となるという問題を有する。
また、上下両面を滑り面とした制震装置は、地震時に下部構造に作用する慣性力を上下両面の滑り面の摩擦力で減衰するものであるため減衰効果が大きくなく、変位制限のためのストッパを配置する必要があり、複雑な構成となるという問題を有する。また、従来の制震装置は、1方向の慣性力にのみ対応するものであり、下部構造に作用する全方向の慣性力には対応することができないという問題を有する。
本発明は、前記従来技術の持つ問題点を解決する、構造が簡単で、地震時の下部構造に作用する全方向の慣性力を大幅に減衰して上部構造に伝達し、上部構造の地震時慣性力を低減し、下部構造の地震時慣性力による負荷を軽減すると共に、上部構造の水平変位を抑制することが可能な構造物減震装置を提供することを目的とする。
本発明の構造物減震装置は、前記課題を解決するために、建築物、橋梁等の構造物の上部構造と下部構造の間に配置される構造物減震装置であって、下部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の下部鋼製枠部材と、上部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の上部鋼製枠部材と、を備え、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材とが互いに直交し、下部鋼製枠部材の上部水平部上面と上部鋼製枠部材の上部水平部下面と、下部鋼製枠部材の下部水平部上面と上部鋼製枠部材の下部水平部下面とが互いに一定の間隔を介して向き合うように配置し、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材の交差部に、上部を下部鋼製枠部材の上部水平部下面に固定し、下部を上部鋼製枠部材の下部水平部上面に固定した弾性体を配置し、地震時下部構造に作用する慣性力に対して弾性体の上部固定部と下部固定部とを相反する方向に変位させ上部構造の水平変位量を大幅に低減することを特徴とする
また、本発明の構造物減震装置は、弾性体をウレタン、ゴム、ゴムと補強鋼板を鉛直方向に積層した積層ゴム、高減衰性ゴム、積層ゴムに鉛プラグを挿入した鉛プラグ入り積層ゴムのいずれかとすることを特徴とする。
また、本発明の構造物減震装置は、全方向の相対変位に対して対応可能とすることを特徴とする。
また、本発明の構造物減震装置は、一定の間隔を介して互いに向き合う下部鋼製枠部材の上部水平部上面と上部鋼製枠部材の上部水平部下面、下部鋼製枠部材の下部水平部上面と上部鋼製枠部材の下部水平部下面の少なくともいずれかに一方の方向の移動を阻止するガイド溝或いはストッパを形成し、一方向の相対変位に対して対応可能とすることを特徴とする。
また、本発明の構造物減震装置は、弾性体の上下に上下連結鋼板を加硫一体成形により配置することを特徴とする。
また、本発明の構造物減震方法は、構造物の下部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の下部鋼製枠部材と、構造物の上部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の上部鋼製枠部材と、を備え、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材とが互いに直交し、下部鋼製枠部材の上部水平部上面と上部鋼製枠部材の上部水平部下面と、下部鋼製枠部材の下部水平部上面と上部鋼製枠部材の下部水平部下面とが互いに一定の隙間を介して向き合うように配置し、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材との交差部に、上部を下部鋼製枠部材の上部水平部下面に固定し、下部を上部鋼製枠部材の下部水平部上面に固定した弾性体を配置し、地震時の上下構造の相対変位に対して弾性体の上部と下部とが相反する方向に変形させ、上部構造の水平変位量を大幅に低減ことを特徴とする。
下部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の下部鋼製枠部材と、上部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の上部鋼製枠部材と、を備え、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材とが互いに直交し、下部鋼製枠部材の上部水平部上面と上部鋼製枠部材の上部水平部下面と、下部鋼製枠部材の下部水平部上面と上部鋼製枠部材の下部水平部下面とが互いに一定の間隔を介して向き合うように配置し、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材の交差部に、上部を下部鋼製枠部材の上部水平部下面に固定し、下部を上部鋼製枠部材の下部水平部上面に固定した弾性体を配置し、地震時下部構造に作用する慣性力に対して弾性体の上部固定部と下部固定部とを相反する方向に変位させ上部構造の水平変位量を大幅に低減することで、構造が単純であり製造が容易であると共に、上部構造と下部構造の間への取付作業を容易にすることが可能となる。また、地震時に下部構造に作用する慣性力に対して弾性体の上下固定部で相反する方向に変形させ、上部構造に伝達される水平変位量を低減し、弾性体の上部と下部で異なる方向の変形で地震エネルギーを低減して上部構造に伝達することが可能となる。その結果、下部構造の地震時慣性力による負荷を軽減し下部構造の耐震設計強度を低く抑えることが可能となる。また、上部構造及び下部構造の水平変位量を抑えることができるため伸縮装置遊間が狭くすることができ、したがって装置のメンテナンス期間を長くすることが可能となる。また、上部構造の水平変位量を低減することで上部構造に取り付ける照明灯、案内板、防音壁等の取付構造物の取付強度を低く抑えることが可能となる。
弾性体をウレタン、ゴム、ゴムと補強鋼板を鉛直方向に積層した積層ゴム、高減衰性ゴム、積層ゴムに鉛プラグを挿入した鉛プラグ入り積層ゴムのいずれかとすることで、入手が容易な弾性変形可能な弾性体であれば適用可能であり、高減衰性ゴム、積層ゴムに鉛プラグを挿入した鉛プラグ入り積層ゴムを用いることで免震性能を向上することが可能となる。
全方向の相対変位に対して対応可能とすることで、設置高さが低く単純な構造で全方向の変位への対応が可能となる。
一定の間隔を介して互いに向き合う下部鋼製枠部材の上部水平部上面と上部鋼製枠部材の上部水平部下面、下部鋼製枠部材の下部水平部上面と上部鋼製枠部材の下部水平部下面の少なくともいずれかに一方の方向の移動を阻止するガイド溝或いはストッパを形成し、一方向の相対変位に対して対応可能とすることで、鋼製の一部を変えるだけで全方向対応可能な装置から一方向対応可能な装置への変換が可能となる。
弾性体の上下に上下連結鋼板を加硫一体成形により配置することで、弾性体を容易に製造できると共に、弾性体の上部鋼製枠部材と下部鋼製枠部材への取付を容易にすることが可能となる。
構造物の下部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の下部鋼製枠部材と、構造物の上部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の上部鋼製枠部材と、を備え、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材とが互いに直交し、下部鋼製枠部材の上部水平部上面と上部鋼製枠部材の上部水平部下面と、下部鋼製枠部材の下部水平部上面と上部鋼製枠部材の下部水平部下面とが互いに一定の隙間を介して向き合うように配置し、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材との交差部に、上部を下部鋼製枠部材の上部水平部下面に固定し、下部を上部鋼製枠部材の下部水平部上面に固定した弾性体を配置し、地震時の上下構造の相対変位に対して弾性体の上部と下部とが相反する方向に変形させ上部構造の水平変位量を大幅に低減することで、上部構造に伝達される水平変位量と地震エネルギーを低減することが可能となり、下部構造の地震時慣性力による負荷を軽減し下部構造の耐震設計強度を低く抑えることが可能となる。
弾性体をウレタン、ゴム、ゴムと補強鋼板を鉛直方向に積層した積層ゴム、高減衰性ゴム、積層ゴムに鉛プラグを挿入した鉛プラグ入り積層ゴムのいずれかとすることで、入手が容易な弾性変形可能な弾性体であれば適用可能であり、高減衰性ゴム、積層ゴムに鉛プラグを挿入した鉛プラグ入り積層ゴムを用いることで免震性能を向上することが可能となる。
全方向の相対変位に対して対応可能とすることで、設置高さが低く単純な構造で全方向の変位への対応が可能となる。
一定の間隔を介して互いに向き合う下部鋼製枠部材の上部水平部上面と上部鋼製枠部材の上部水平部下面、下部鋼製枠部材の下部水平部上面と上部鋼製枠部材の下部水平部下面の少なくともいずれかに一方の方向の移動を阻止するガイド溝或いはストッパを形成し、一方向の相対変位に対して対応可能とすることで、鋼製の一部を変えるだけで全方向対応可能な装置から一方向対応可能な装置への変換が可能となる。
弾性体の上下に上下連結鋼板を加硫一体成形により配置することで、弾性体を容易に製造できると共に、弾性体の上部鋼製枠部材と下部鋼製枠部材への取付を容易にすることが可能となる。
構造物の下部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の下部鋼製枠部材と、構造物の上部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の上部鋼製枠部材と、を備え、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材とが互いに直交し、下部鋼製枠部材の上部水平部上面と上部鋼製枠部材の上部水平部下面と、下部鋼製枠部材の下部水平部上面と上部鋼製枠部材の下部水平部下面とが互いに一定の隙間を介して向き合うように配置し、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材との交差部に、上部を下部鋼製枠部材の上部水平部下面に固定し、下部を上部鋼製枠部材の下部水平部上面に固定した弾性体を配置し、地震時の上下構造の相対変位に対して弾性体の上部と下部とが相反する方向に変形させ上部構造の水平変位量を大幅に低減することで、上部構造に伝達される水平変位量と地震エネルギーを低減することが可能となり、下部構造の地震時慣性力による負荷を軽減し下部構造の耐震設計強度を低く抑えることが可能となる。
本発明の実施の形態を図により説明する。図1は、本発明の構造物減震装置1の実施形態の概略図である。
構造物減震装置1は、下部構造2側に固定される下部鋼製枠部材4と、上部構造3側に固定される上部鋼製枠部材5を備えている。下部鋼製枠部材は、下部構造2側に固定される下部水平部4bと上部水平部4aの両端を垂直側壁部4c、4dで連結した断面ロ字形の部材である。上部鋼製枠部材5は、下部鋼製枠部材と相似形でほぼ同一寸法で形成され、上部構造3側に固定される上部水平部5aと下部水平部5bの両端を垂直側壁部5c、5dで連結した断面ロ字形の部材である。構造が単純であり製造が容易であり、上部構造3と下部構造2間への取付作業も容易となる。
下部鋼製枠部材4と上部鋼製枠部材5は、互いの中央部が交差する直交位置に配置され
る。下部鋼製枠部材4と上部鋼製枠部材5の上下の位置関係は、下部鋼製枠部材4の上部水平部4aの上面と上部鋼製枠部材5の上部水平部5aの下面が上部間隔6を介して平行に向き合うように配置し、下部鋼製枠部材4の下部水平部4bの上面と上部鋼製枠部
材5の下部水平部5bの下面が下部間隔7を介して平行に向き合うように配置する。
る。下部鋼製枠部材4と上部鋼製枠部材5の上下の位置関係は、下部鋼製枠部材4の上部水平部4aの上面と上部鋼製枠部材5の上部水平部5aの下面が上部間隔6を介して平行に向き合うように配置し、下部鋼製枠部材4の下部水平部4bの上面と上部鋼製枠部
材5の下部水平部5bの下面が下部間隔7を介して平行に向き合うように配置する。
下部鋼製枠部材4と上部鋼製枠部材5の交差部に弾性体8を配置する。弾性体8の上部を下部鋼製枠部材4の上部水平部4aの下面に固定し、弾性体8の下部を下部鋼製枠部材5の下部水平部5bの下面に固定する。弾性体8としては、ウレタン、ゴム、ゴムと補強鋼板を鉛直方向に積層した積層ゴム、高減衰性ゴム、積層ゴムに鉛プラグを挿入した鉛プラグ入り積層ゴム等の弾性変形可能なものを用いる。高減衰性ゴム、積層ゴムに鉛プラグを挿入した鉛プラグ入り積層ゴムを用いると免震性能が向上する。
図2、図3により、本発明の構造物減震装置1の上部構造3と下部構造2への取付状態を説明する。
下部鋼製枠部材4の下部水平部4bが下部構造2に埋設設置されたアンカーボルト11と固定ボルト12で着脱可能に固定される。上部構造3と上部鋼製枠部材5の上部水平部5aがセットボルト13で着脱可能に固定される。下部鋼製枠部材4と上部鋼製枠部材5は、上部間隔6と下部間隔7を介して中央で交差するように直交して配置される。
下部鋼製枠部材4と上部鋼製枠部材5の交差部に配置される弾性体8は、ウレタン、ゴム、ゴムと補強鋼板を鉛直方向に積層した積層ゴム、高減衰性ゴム、積層ゴムに鉛プラグを挿入した鉛プラグ入り積層ゴム等の弾性変形可能なものを用いる。図2、図3では、複数の補強鋼板14とゴムを鉛直方向に積層し、下部に下部連結鋼板15、上部に上部連結鋼板16を配置し加硫一体成形により形成される積層ゴムを用いた例を示している。弾性体8の上部連結鋼板16と下部鋼製枠部材4の上部水平部4aとが上部せん断キー19を介在させ上部連結ボルト18により固定される。弾性体8の下部連結鋼板15と上部鋼製枠部材5の下部水平部5bとが下部せん断キー20を介在させ下部連結ボルト17により固定される。上下のせん断キー19、20を弾性体8と上下鋼製枠部材の固定部に配置するのは、下部構造2からの慣性力を弾性体8を介して確実に上部構造5に伝達するためである。
図4、図5は、下部構造2に作用する全方向の慣性力に対して対応可能な構造物減震装置1を示す。上部構造3側に固定される上部鋼製枠部材5と下部構造2側に固定される下部鋼製枠部材4を図4のように配置することで、地震時に下部構造2に作用する全方向の慣性力に対して対応可能となる。
図6、図7、図8は、下部構造2に作用する一方向の慣性力に対して対応可能な構造物減震装置1を示す。図6は、下部鋼製枠部材4の上部水平部4a上面にガイド溝4eを形成し、ガイド溝4eに上部鋼製枠部材5の上部水平部5aをガイド溝4eの底面と上部間隔6を介在して嵌合し、一方の方向の移動を阻止し、下部構造2に作用する一方向の慣性力に対して対応可能としたものである。図7は、下部鋼製枠部材4の上部水平部4a上面に一対のストッパ4fを形成し、一対のストッパ4fに上部鋼製枠部材5の上部水平部5aを上部間隔6を介在して位置させ、一方の方向の移動を阻止し、下部構造2に作用する一方向の慣性力に対して対応可能としたものである。図6、図7では、ガイド溝4e、ストッパ4fを上部鋼製枠部材5の上部水平部5aに形成した例を示すが、上部鋼製枠部材5の上部水平部5a下面、下部鋼製枠部材4の下部水平部4b上面と上部鋼製枠部材5の下部水平部5b下面のいずれに形成しても良い。全方向の慣性力に対して可能な減震装置から簡単に一方向対応可能なものに変換することができる。
図9、図10により、本発明の構造物減震装置1の作用について説明する。
地震時、下部構造2に作用する慣性力は、下部鋼製枠部材4の上部水平部4aにその上部を固定された弾性体8に伝達される。本発明の構造物減震装置1は、上記のように上下構造3,2に取り付ける。下部構造に作用する慣性力は、下部鋼製枠部材4の上部水平部4aから弾性体9に伝達され、弾性体8の下部と固定された上部鋼製枠部材5の下部水平部5bに伝達される。
通常の弾性支承の場合、応力が作用すると弾性支承の上下が同じ方向に変形する。本発明の構造物減震装置1は、下部鋼製枠部材4、上部鋼製枠部材5及び弾性体8を上記のように配置することにより、下部構造2に作用する慣性力は、下部鋼製枠部材4の上部水平部4aに固定された弾性体8の上部に伝達される。弾性体8の上部に伝達された慣性力は、弾性体8の中心部9を境として逆方向の変位に変換され弾性体8の下部に固定された上部鋼製枠部材5の下部水平部5bに伝達される。弾性体8の上部に固定された下部鋼製枠部材4の上部水平部4aの変位方向と弾性体8の下部に固定された上部鋼製枠部材5の下部水平部5bの変位方向が逆方向であるため、上部構造3に伝達される水平変位量は、上部水平部4aの水平変位量が差し引かれるため大幅に軽減される。その結果、上部構造3に作用する地震時慣性力は大幅に軽減される。また、弾性体8は、上部固定部側と下部固定部側とで相反する方向に変形し地震エネルギーを軽減する。
地震時、下部構造2に作用する慣性力による水平変位量が大幅に低減されて上部構造3に伝達されるため、上部構造3に作用する地震時慣性力は大幅に軽減される。その結果、下部構造2の地震時慣性力による負荷を軽減し下部構造2の耐震設計強度を低く抑えることが可能となる。また、上部構造3及び下部構造2の水平変位量を抑えることができるため伸縮装置遊間が狭くすることができ、したがって装置のメンテナンス期間を長くすることが可能となる。また、上部構造3の水平変位量を低減することで上部構造3に取り付ける照明灯、案内板、防音壁等の取付構造物の取付強度を低く抑えることが可能となる。
以上のように、本発明の構造物減震装置1によれば、変位制限のストッパ等の部材を必要とせず構造が簡単で、取付作業が容易であり低コストの減震装置を提供することが可能になる。また、上部構造3の地震時慣性力を低減することで、下部構造2の水平耐力を低減することができ、従来の震度法で設計された下部構造、基礎等でもレベル2程度の地震に耐えることが可能となる。また、新規に下部構造を構築する場合でも大幅にコストダウンすることが可能になる。上部構造3及び下部構造2の水平変位量を抑えることができるため伸縮装置遊間が狭くすることができ、したがって装置のメンテナンス期間を長くすることが可能となる。上部構造3の水平変位量を抑えることができるため、上部構造3に取り付ける照明灯、案内板、防音壁等の取付構造物の取付強度を低く抑えることが可能となる。
1:構造物減震装置、2:下部構造、3:上部構造、4:下部鋼製枠部材、4a:上部水平部,4b:下部水平部、4c:垂直側壁部、4d:垂直側壁部、4e:ガイド溝、4f:ストッパ、5:上部鋼製枠部材、5a:上部水平部、5b:下部水平部、5c:垂直側壁部、5d:垂直側壁部、6:上部間隔、7:下部間隔、8:弾性体、9:弾性体の中心部、10:ソールプレート、11:アンカーボルト、12:固定ボルト、13:セットボルト、14:補強鋼板、15:下部連結鋼板、16:上部連結鋼板、17:下部連結ボルト、18:上部連結ボルト、19:上部せん断キー、20:下部せん断キー
Claims (6)
- 建築物、橋梁等の構造物の上部構造と下部構造の間に配置される構造物減震装置であって、
下部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の下部鋼製枠部材と、
上部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の上部鋼製枠部材と、を備え、
下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材とが互いに直交し、下部鋼製枠部材の上部水平部上面と上部鋼製枠部材の上部水平部下面と、下部鋼製枠部材の下部水平部上面と上部鋼製枠部材の下部水平部下面とが互いに一定の間隔を介して向き合うように配置し、
下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材の交差部に、上部を下部鋼製枠部材の上部水平部下面に固定し、下部を上部鋼製枠部材の下部水平部上面に固定した弾性体を配置し、
地震時下部構造に作用する慣性力に対して弾性体の上部固定部と下部固定部とを相反する方向に変位させ上部構造の水平変位量を大幅に低減することを特徴とする構造物減震装置。 - 弾性体をウレタン、ゴム、ゴムと補強鋼板を鉛直方向に積層した積層ゴム、高減衰性ゴム、積層ゴムに鉛プラグを挿入した鉛プラグ入り積層ゴムのいずれかとすることを特徴とする請求項1に記載の構造物減震装置。
- 全方向の相対変位に対して対応可能とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物減震装置。
- 一定の間隔を介して互いに向き合う下部鋼製枠部材の上部水平部上面と上部鋼製枠部材の上部水平部下面、下部鋼製枠部材の下部水平部上面と上部鋼製枠部材の下部水平部下面の少なくともいずれかに一方の方向の移動を阻止するガイド溝或いはストッパを形成し、一方向の相対変位に対して対応可能とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物減震装置。
- 弾性体の上下に上下連結鋼板を加硫一体成形により配置することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の構造物減震装置。
- 構造物の下部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の下部鋼製枠部材と、構造物の上部構造側に固定される上部水平部と下部水平部の両端が垂直側壁部で連結された断面ロ字形の上部鋼製枠部材と、を備え、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材とが互いに直交し、下部鋼製枠部材の上部水平部上面と上部鋼製枠部材の上部水平部下面と、下部鋼製枠部材の下部水平部上面と上部鋼製枠部材の下部水平部下面とが互いに一定の間隔を介して向き合うように配置し、下部鋼製枠部材と上部鋼製枠部材との交差部に、上部を下部鋼製枠部材の上部水平部下面に固定し、下部を上部鋼製枠部材の下部水平部上面に固定した弾性体を配置し、地震時下部構造に作用する慣性力に対して弾性体の上部固定部と下部固定部とを相反する方向に変位させ上部構造の水平変位量を大幅に低減ことを特徴とする構造物減震方法。
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011235854A Pending JP2013092009A (ja) | 2011-10-27 | 2011-10-27 | 構造物減震装置及び構造物減震方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2013092009A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104612040A (zh) * | 2014-11-24 | 2015-05-13 | 北京工业大学 | 一种双向摇摆桥墩铰 |
CN106369104A (zh) * | 2016-11-25 | 2017-02-01 | 四川西南交大铁路发展股份有限公司 | 一种减震底座 |
-
2011
- 2011-10-27 JP JP2011235854A patent/JP2013092009A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104612040A (zh) * | 2014-11-24 | 2015-05-13 | 北京工业大学 | 一种双向摇摆桥墩铰 |
CN104612040B (zh) * | 2014-11-24 | 2016-08-17 | 北京工业大学 | 一种双向摇摆桥墩铰 |
CN106369104A (zh) * | 2016-11-25 | 2017-02-01 | 四川西南交大铁路发展股份有限公司 | 一种减震底座 |
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