JP6055231B2 - 橋梁および橋梁用制振ダンパー - Google Patents
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図1は、本発明の一実施形態に係る橋梁100を示す図である。橋梁100は、図1に示すように、上部構造体102と、支持構造体104と、可動支承106と、制振ダンパー108とを備えている。ここで、上部構造体102には、橋桁や床版などが含まれる。また、支持構造体104は、上部構造体102(橋桁や床版など)を支持する部材である。支持構造体104には、橋脚121、122や橋台123、124が含まれる。橋脚121、122は、橋梁の中間に設置されて上部構造体102を支える橋の下部構造であり、橋台123、124は、橋梁の端部に設置されて上部構造体102を支える橋の下部構造である。
この実施形態では、橋脚121、122は、基礎部121a,122aを有している。基礎部121a,122aは地面10に埋設されている。橋脚121、122は、地面10に埋設された基礎部121a、122aから立った状態で設置されている。橋脚121、122の上端には、上部構造体102を直接支持する支承を設置する支承設置部121b、122bが設けられている。橋台123、124は、概ね地面10に埋設されている。地面10から露出した橋台123、124の上部には、上部構造体102を直接支持する支承を設置する支承設置部123a、124aが設けられている。
ここで、上部構造体102のうち、例えば、橋桁は、一般的な鋼橋やコンクリート橋などでは、長さが数メートルから数十メートルに達する鋼板製の長軸の部材であり、温度環境の変化に伴う熱膨張と熱収縮によって伸縮する。伸縮量としては、数センチ、場合によっては、数十センチに達する。かかる上部構造体102の熱による伸縮を吸収するため、上部構造体102と、支持構造体104(橋台123、124または橋脚121、122)とは、剛結せず、支持構造体104に対する上部構造体102の変位を許容しうる構造としている。この実施形態では、支持構造体104が上部構造体102の変位を許容できるように、上部構造体102と支持構造体104との間に、図2および図3に示すように、可動支承106と制振ダンパー108とが設けられている。図2は、この実施形態における橋梁100に取り付けられた制振ダンパー108の側面図である。また、図3は、制振ダンパー108が取り付けられた部位について、橋軸Lに対して直交する断面図である。ここでは、可動支承106は、特に模式的に描かれている。
ここで、可動支承106は、上部構造体102と支持構造体104との間に介在し、上部構造体102の鉛直荷重を支承する部材である。この実施形態では、可動支承106は、支持構造体104(ここでは、橋脚121、122と橋台123、124)に対して上部構造体102が変位するのを許容する部材である。この実施形態では、上部構造体102は、橋脚121、122と橋台123、124に対して、橋軸Lの方向のみならず、橋軸Lに対して幅方向に移動することが許容されている。上部構造体102は、橋軸Lの方向および幅方向に、斜めに移動することも許容されている。なお、上部構造体102の支承構造によって、上部構造体102が支持構造体104に対して橋軸Lの方向に移動することが許容されているが、幅方向には移動が規制されている場合もある。かかる可動支承106は、滑り支承や転がり支承などで構成するとよい。なお、支持構造体104に対する上部構造体102の可動領域を拘束するため、支持構造体104と上部構造体102との間には、適宜に固定支承(図示省略)やストッパ(図示省略)が設けられている。
図4は、制振ダンパー108の横断平面図である。図4は、制振ダンパー108について、図2中のIV−IV断面矢視図である。図4は、制振ダンパー108について描かれている。図4では、図示の便宜上、締結ボルトは省略されている。また、図5は、制振ダンパー108の縦断面図である。ここでは、図4中のV−Vに示すように、各部材の締結構造が分かるように断面が設定されている。図6は、図5中のVI−VI断面を示す図である。図6でも、各部材の締結ボルトは図示の便宜上省略されている。
粘弾性体145は、この実施形態では、第1プレート141と第2プレート142の間において、第1連結板143と第2連結板144を覆うように配置された矩形のゴム成形体である。粘弾性体145には、例えば、高減衰性を有する粘弾性ゴム(高減衰ゴム)を用いることができる。かかる高減衰ゴムには、例えば、天然ゴム,スチレンブタジエンゴム(SBR),ニトリルブタジエンゴム(NBR),ブタジエンゴム素材(BR),イソプレンゴム(IR),ブチルゴム(IIR),ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR),クロロプレンゴム(CR)のゴム素材に、高減衰性を発揮する添加剤を加えて生成された高減衰性ゴム組成物を用いることができる。高減衰性を発揮させうる添加剤としては、例えば、カーボンブラックやシラン化合物など、種々の添加剤が知られている。また、ここでは、粘弾性体145は、ある程度以上のせん断歪(せん断変位/厚さ(高さ))が許容されるとよく、例えば、150%以上、より好ましくは200%以上のせん断歪が許容される材料を選択するとよい。
ここで、粘弾性体145の厚さ(第1連結板143と第2連結板144の距離)は、10mm以上、好ましくは25mm以上、より好ましくは30mm以上、さらに好ましくは40mm以上、さらには60mm以上であるとよい。粘弾性体145は、同じ材料であれば厚さが厚い程、せん断変位を許容できる。つまり、例えば、粘弾性体145が200%程度のせん断歪(せん断変位/厚さ(高さ))が許容される場合には、粘弾性体145の厚さが25mm以上であれば、上部構造体102と支持構造体104の水平変位を50mm程度許容できる。また、粘弾性体145の厚さが30mm以上であれば60mmの水平変位を許容できる。さらに粘弾性体145の厚さが40mm以上であれば、80mmの水平変位が許容できる。このように、粘弾性体145の厚さは、厚いほど上部構造体102と支持構造体104の水平変位を許容できる。
また、図4および図5に示すように、粘弾性体145を覆う耐候性ゴム160を備えていてもよい。ここでは、耐候性ゴム160は、シート状のゴムであり、粘弾性体145の外周を覆うように、粘弾性体145の周囲に巻かれている。耐候性ゴム160は、粘弾性体145の挙動を阻害しない程度に、適度に軟らかいシート状のゴムを採用するとよい。ここで、耐候性ゴム160に用いられ得るゴムとしては、例えば、クロロプレンアクリロゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。
この制振ダンパー108は、図2に示すように、上下に対向する上部構造体102と支持構造体104との間に配置されている。そして、第1プレート141が上部構造体102に取り付けられ、第2プレート142が支持構造体104に取り付けられている。図2および図3に示すように、上部構造体102の鉛直荷重は、可動支承106によって支持されている。また、上部構造体102は、可動支承106によって支持構造体104に対して水平移動可能に支持されている。このように、上部構造体102の鉛直荷重は、可動支承106によって支持されているので、制振ダンパー108には、上部構造体102の鉛直荷重は作用しない。また、上部構造体102は、支持構造体104に対して水平移動すると、制振ダンパー108にせん断変形が生じる。
また、図1および図2に示すように、上述した実施形態では、制振ダンパー108は、上部構造体102と支持構造体104とが対向する部位に配置されている。制振ダンパー108を取り付ける構造は、かかる形態に限定されない。
ここで、粘弾性体145には、せん断変形に対して、所要の抗力を発揮し、振動を早期に減衰させる機能を奏する高減衰ゴムの成形体が用いられていると良い。かかる高減衰ゴム成形体としては、主鎖にC−C結合を有するポリマーからなる基材ゴム100重量部に対してシリカを100〜150重量部添加し、そのシリカに対してシラン化合物を10重量%〜30重量%配合したものを挙げることができる。
100 橋梁
102 上部構造体
104 支持構造体
104a 支持構造体の側壁
106 可動支承
108 制振ダンパー(橋梁用制振ダンパー)
121、122 橋脚
121a、122a 基礎部
121b、122b 支承設置部
123、124 橋台
123a、124a 支承設置部
141 第1プレート
142 第2プレート
143 第1連結板
143a、144a 第1連結板143と第2連結板144の対向する面
143b、144b 第1連結板143と第2連結板144の周側面
144 第2連結板
145 粘弾性体
147、148 キー
151 ボルト
152 ボルト装着穴
153 ボルト
154 ボルト穴
155 ボルト
156 ボルト穴
157、158 キー溝
160 耐候性ゴム
210 ブラケット(第2ブラケット)
211 板材
212 板材
213 リブ
220 ブラケット(第1ブラケット)
221 板材
222 板材
223 柱材
L 橋軸
W 橋桁の幅方向
Claims (18)
- 上部構造体と、
前記上部構造体を支持する支持構造体と、
前記上部構造体と前記支持構造体との間に介在し、前記上部構造体の鉛直荷重を支持する可動支承と、
前記上部構造体と前記支持構造体との間に介在し、前記上部構造体に作用する水平力を減衰させる制振ダンパーとを備え、
前記制振ダンパーは、
前記上部構造体に取り付けられた第1プレートと、
前記支持構造体に取り付けられ、前記第1プレートに対向するように配置された第2プレートと、
前記第1プレートの、前記第2プレート側に向いた面に取り付けられた第1連結板と、
前記第2プレートの、前記第1プレート側に向いた面に取り付けられた第2連結板と、
前記第1プレートと前記第2プレートとの間において、前記第1連結板と前記第2連結板を覆うように配置され、前記第1連結板と前記第2連結板とに接着された粘弾性体と
を備え、
ここで、粘弾性体は、内部に鋼板を含まず、かつ、厚さが10mm以上である、橋梁。 - 前記第1連結板と前記第2連結板は、周縁部にR加工が施されている、請求項1に記載された橋梁。
- 前記第1プレートと前記第1連結板との間、および、前記第2プレートと前記第2連結板との間のうち、少なくとも一方にキーが取り付けられている、請求項1または2に記載された橋梁。
- 前記キーは、前記第1プレートと前記第1連結板、または、前記第2プレートと前記第2連結板に設けられた、キー溝に装着された、請求項3に記載された橋梁。
- 前記キーは円板であり、前記キー溝は前記キーが嵌る円形の窪みである、請求項4に記載された橋梁。
- 前記第1プレートを前記上部構造体に取り付ける第1ブラケットを備えた、請求項1から5までの何れか一項に記載された橋梁。
- 前記第2プレートを前記支持構造体に取り付ける第2ブラケットを備えた、請求項1から6までの何れか一項に記載された橋梁。
- 前記粘弾性体は、高減衰ゴム成形体である、請求項1から7までの何れか一項に記載された橋梁。
- 前記高減衰ゴム成形体は、主鎖にC−C結合を有するポリマーからなる基材ゴムに、該基材ゴム100重量部に対して100〜150重量部のシリカを添加し、該シリカに対してシラン化合物を10重量%〜30重量%の割合で配合したゴムである、請求項8に記載された橋梁。
- 第1プレートと、
前記第1プレートに対向するように配置された第2プレートと、
前記第1プレートの、前記第2プレート側に向いた面に取り付けられた第1連結板と、
前記第2プレートの、前記第1プレート側に向いた面に取り付けられた第2連結板と、
前記第1プレートと前記第2プレートとの間において、前記第1連結板と前記第2連結板を覆うように配置され、前記第1連結板と前記第2連結板とに接着された粘弾性体とを備え、
前記第1プレートは、橋梁の上部構造体に取り付けられる第1取付部を備え、
前記第2プレートは、前記橋梁の支持構造体に取り付けられる第2取付部を備え、
ここで、粘弾性体は、内部に鋼板を含まず、かつ、厚さが10mm以上である、
橋梁用制振ダンパー。 - 前記第1連結板と前記第2連結板は、周縁部にR加工が施されている、請求項10に記載された橋梁用制振ダンパー。
- 前記第1プレートと前記第1連結板との間、および、前記第2プレートと前記第2連結板との間のうち、少なくとも何れか一方にキーが取り付けられている、請求項10または11に記載された橋梁用制振ダンパー。
- 前記キーは、前記第1プレートと前記第1連結板、または、前記第2プレートと前記第2連結板に設けられた、キー溝に装着された、請求項12に記載された橋梁用制振ダンパー。
- 前記キーは円板であり、前記キー溝は前記キーが嵌る円形の窪みである、請求項13に記載された橋梁用制振ダンパー。
- 前記第1プレートを前記上部構造体に取り付ける第1ブラケットを備えた、請求項10から14までの何れか一項に記載された橋梁用制振ダンパー。
- 前記第2プレートを前記支持構造体に取り付ける第2ブラケットを備えた、請求項10から15までの何れか一項に記載された橋梁用制振ダンパー。
- 前記粘弾性体は、高減衰ゴム成形体である、請求項10から16までの何れか一項に記載された橋梁用制振ダンパー。
- 前記高減衰ゴム成形体は、主鎖にC−C結合を有するポリマーからなる基材ゴムに、該基材ゴム100重量部に対して100〜150重量部のシリカを添加し、該シリカに対してシラン化合物を10重量%〜30重量%の割合で配合したゴムである、請求項17に記載された橋梁用制振ダンパー。
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