JP2007023626A - 制震免震構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 地震によって構造物に作用する力に対して制震機能だけでなく免震機能も発揮する制震免震構造を提供すること。
【解決手段】 高さを有する建築物の柱部材3に対して設けられ、地震等による横揺れが生じた場合の運動エネルギを吸収し、柱部材3に作用する曲げモーメントや軸力を減少させる制震作用とともに、基礎部分1から柱部材3へ伝わる曲げモーメントや軸力を遮断して免震させるものであって、建築物の柱部材3が支承部又は柱の途中で軸方向に分割され、その分割上部21と分割下部22とが、軸方向に沿って複数配置された低降伏点鋼製の制震免震ロッド26によって連結された制震免震構造。
【選択図】 図1
【解決手段】 高さを有する建築物の柱部材3に対して設けられ、地震等による横揺れが生じた場合の運動エネルギを吸収し、柱部材3に作用する曲げモーメントや軸力を減少させる制震作用とともに、基礎部分1から柱部材3へ伝わる曲げモーメントや軸力を遮断して免震させるものであって、建築物の柱部材3が支承部又は柱の途中で軸方向に分割され、その分割上部21と分割下部22とが、軸方向に沿って複数配置された低降伏点鋼製の制震免震ロッド26によって連結された制震免震構造。
【選択図】 図1
Description
本発明は、橋梁などの建築物の柱部材に対して設けられ、地震によって横揺れが生じた場合の運動エネルギを吸収し、柱部材に作用する曲げモーメントや軸力を減少させる制震作用とともに、基礎部分から柱部材へ伝わる曲げモーメントや軸力を遮断して免震させるようにした制震免震構造に関する。
近年、地震時等における建築・土木構造物の振動を抑制するため、様々な制震構造や免震構造が開発されおり、例えば次のようなものが提案されている。
先ず、特開2003−13614号公報には、既存の鉄筋コンクリート造架構を耐震補強するフレームが構成されている。それには、一方の柱の脚部と他方の柱の頭部との表面側にガセットプレートを有する脚部プレートと頭部プレートが固定され、脚部プレートと頭部プレートとの間にガセットプレートを介してブレースが架設される。こうしてブレースによる耐震補強を行い、梁より耐力が高い柱の脚部と頭部にブレースを接続するため、既存フレームの躯体に対する損傷を回避すると共に、格別な補強を要することなく、既存フレームの耐震性能が確保される。
先ず、特開2003−13614号公報には、既存の鉄筋コンクリート造架構を耐震補強するフレームが構成されている。それには、一方の柱の脚部と他方の柱の頭部との表面側にガセットプレートを有する脚部プレートと頭部プレートが固定され、脚部プレートと頭部プレートとの間にガセットプレートを介してブレースが架設される。こうしてブレースによる耐震補強を行い、梁より耐力が高い柱の脚部と頭部にブレースを接続するため、既存フレームの躯体に対する損傷を回避すると共に、格別な補強を要することなく、既存フレームの耐震性能が確保される。
そして、特開2002−276035号公報には、鉄骨構造や鉄骨鉄筋コンクリート構造の骨組みを構成する制震ブレースが提案されている。この制震ブレースは、十字形断面の軸部材に粘性高分子材料が貼り付けられ、それを包囲するようにして接着された角形鋼管が溶接されている。こうした制震ブレースは、柱や梁と組み合わせて建物を構築したとき、この建物に強風や大地震によって水平荷重が作用しても、その振動を制震ブレースが低減して居住性および構造安全性を改善することができる。
特開2003−13614号公報(第3−4頁、図1−図3)
特開2002−276035号公報(第2−3頁、図1)
しかしながら、こうした従来のブレースを使用する構造では、制震には効果を発揮するものの免震として機能するものではなかった。また、制震ブレースは、特許文献2に示されるように、鉄骨構造や鉄骨鉄筋コンクリート構造の骨組みとして使用される他、例えば橋脚に対する耐震補強材としても使用される。そこで、橋脚などの補強材として制震ブレースを使用する場合は、足場を組んで制震ブレースを取り付け或いは取り替えを行う必要があったため作業の困難性などが問題であった。
ここで、図6は、門型の橋脚に橋桁が搭載された橋梁を、長手方向に見た状態を概念的に示した図である。橋梁100に対して耐震補強を行う場合、制震ブレース200は、橋桁101を支える橋脚102に対して取り付けられる。すなわち、この橋梁100に対する耐震補強工事は、門型をした橋脚102の両方の柱(橋脚本体111,112)に対し、制震ブレース120が複数段にわたってクロスさせるようにして連結される。その際、数メートルの高さの橋脚100の周りには足場が組まれ、作業員がそこに上がって作業を行わなければならなかった。従って、従来の耐震補強工事では、橋脚102毎に足場を組むための手間を要し、高所作業となるめ作業の困難性もあった。
また、従来のこうした耐震構造に対して仮に地震による横揺れが発生した場合、門型の橋脚102には例えば地震力Fによるモーメントが働く。すると、下端の支承部121,122には、支点となる一方の支承部121側に圧縮力f1が作用し、他方の支承部122側に引張り力f2が作用することになる。そして、制震ブレース200を使用した従来の耐震構造では、制震ブレース200が橋脚102を変形させようとする力を減少させる。この点で、制震ブレース102は制震効果を発揮するものの、地震力F及びしれによるモーメントによって橋脚本体111,112に作用する曲げモーメント(M1,M2)、軸力(圧縮力f1、引張り力f2)は、支承部121,122を介し、橋梁100を支える基礎部分(フーチング125)が直接受けることになってしまう。
従って、従来の耐震構造による橋梁100では、フーチング125や柱部材115が地震の際に発生する大きな圧縮力f1や引張り力f2に耐えられるものである必要があり、そのフーチング125や柱部材115が大きくなってしまっていた。そして、フーチング125や柱部材115が大きくなることにより、橋梁施工にかかるコストが高くなることに加え、施工面積が広くなるため一般道の上に高架橋を通すような場合、大幅な車線規制や施工期間が長くなることによる交通渋滞などの影響も大きかった。
また、地震で損傷を受けた制震ブレース120は残留変形が生じているため、これを矯正して取り替えることが困難であった。
また、地震で損傷を受けた制震ブレース120は残留変形が生じているため、これを矯正して取り替えることが困難であった。
よって、本発明は、かかる課題を解決すべく、地震によって構造物に作用する力に対して制震機能だけでなく免震機能も発揮する制震免震構造を提供することを目的とする。
本発明に係る制震免震構造は、高さを有する建築物の柱部材に対して設けられ、地震等による横揺れが生じた場合の運動エネルギを吸収し、柱部材に作用する曲げモーメントや軸力を減少させる制震作用とともに、基礎部分から柱部材へ伝わる軸力を遮断して免震させるものであって、前記建築物の柱部材が支承部又は柱の途中で軸方向に分割され、その分割上部と分割下部とが、軸方向に沿って複数配置された低降伏点鋼製の制震免震ロッドによって連結されたものであることを特徴とする。
また、本発明に係る制震免震構造は、前記柱部材の分割上部と分割下部には軸方向に直交するフランジが形成され、そこに固定されたロッドと前記制震免震ロッドとがカップラーによって連結されたものであることが好ましい。
また、本発明に係る制震免震構造は、前記柱部材の分割上部と分割下部との間に弾性部材が挟み込まれたものであることが好ましい。
また、本発明に係る制震免震構造は、前記柱部材の分割上部と分割下部が、支承部に設けられた前記柱部材下端面に固定された上沓部材と、前記基礎部分に固定された下沓部材であって、前記弾性部材は、その上沓部材と下沓部材の周りを被い、前記柱部材下端面と基礎部分との間に挟み込まれたゴム材であることが好ましい。
また、本発明に係る制震免震構造は、前記柱部材の分割上部と分割下部との間に弾性部材が挟み込まれたものであることが好ましい。
また、本発明に係る制震免震構造は、前記柱部材の分割上部と分割下部が、支承部に設けられた前記柱部材下端面に固定された上沓部材と、前記基礎部分に固定された下沓部材であって、前記弾性部材は、その上沓部材と下沓部材の周りを被い、前記柱部材下端面と基礎部分との間に挟み込まれたゴム材であることが好ましい。
一方、本発明に係る門型橋脚は、橋桁を搭載して橋梁を構成するものであって、起立した2本の橋脚本体の基礎部となるフーチング上に、上沓部材と下沓部材とによって分割された支承部が設けられ、下沓部材のフランジから突き出されたアンカーボルトと、橋脚本体に形成されたフランジに固定されたロッドとが、橋脚本体の軸方向に沿って複数配置された低降伏点鋼製の制震免震ロッドによって連結された制震免震構造を有するものであることを特徴とする。
また、本発明に係る門型橋脚は、前記上沓部材は前記橋脚本体の下端面に固定され、前記下沓部材は前記基礎部分の上に固定され、その上沓部材と下沓部材の周りを被い、前記橋脚本体の下端面と前記基礎部分との間にゴム材が挟み込まれたものであることが好ましい。
また、本発明に係る門型橋脚は、前記上沓部材は前記橋脚本体の下端面に固定され、前記下沓部材は前記基礎部分の上に固定され、その上沓部材と下沓部材の周りを被い、前記橋脚本体の下端面と前記基礎部分との間にゴム材が挟み込まれたものであることが好ましい。
また、本発明に係る門型橋脚は、橋桁を搭載して橋梁を構成するものであって、起立した2本の橋脚本体は、下部又は中間部分に軸方向に分割された分割部が形成され、その分割上部と分割下部は、軸方向に直交するフランジが形成され、そこに固定された複数のロッドと、橋脚本体の軸方向に沿って複数配置された低降伏点鋼製の制震免震ロッドとがカップラーによって連結された制震免震構造を有することを特徴とする。
また、本発明に係る門型橋脚は、前記橋脚本体の分割上部と分割下部との間に弾性部材が挟み込まれたものであることが好ましい。
また、本発明に係る門型橋脚は、前記橋脚本体の分割上部と分割下部との間に弾性部材が挟み込まれたものであることが好ましい。
よって、本発明では、橋梁を構成する門型橋脚など、建築物の柱部材に地震などの揺れによって圧縮力や引張り力(軸力)が作用した場合、大きな引張り力によって分割上部が上方へ引っ張られると、分割下部との間で連結されている制震免震ロッドが塑性変形を起こして延び、分割下部に対する分割上部の浮き上がりが許容される。従って、橋脚などに形成された分割部分では、制震免震ロッドが粘りのある塑性変形を起こすことにより、運動エネルギを吸収し、柱部材の軸力や曲げモーメントを減少させるとともに、引張り力や圧縮力が大きな力のまま基礎部分から柱部材へ伝わらないようにして柱部材や基礎部分の構造を小さくすることができ、その分コストを抑えることもできる。また、従来の制震ブレースのように高い位置に取り付けるための足場が必要なくなり、この点でもコストを抑えることができ、高所作業でなくなったことで安全性を高めることにもなる。
次に、本発明に係る制震免震構造の一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。本実施形態の制震免震構造は、例えば、図6に示す門型の橋梁100における橋脚102の支承部121,122や橋脚本体111,112などに設けられるものである。図1は、そうした橋脚本体121,122の支承部121,122に対応する位置に設けられた制震免震構造の第1実施形態を簡略化して示した図である。
橋脚の基礎部分は、地盤に鉄筋コンクリートからなるフーチング1が構築され、内部にはアンカーフレーム2が埋設されている。そして、フーチング1上に設置された支承部5がアンカーフレーム2に連結され、その支承部5を介して橋脚本体3(図6における橋脚本体111,112に相当する。以下同じ)が立設されている。本実施形態の制震免震構造は、こうした支承部5に構成されている。
橋脚の基礎部分は、地盤に鉄筋コンクリートからなるフーチング1が構築され、内部にはアンカーフレーム2が埋設されている。そして、フーチング1上に設置された支承部5がアンカーフレーム2に連結され、その支承部5を介して橋脚本体3(図6における橋脚本体111,112に相当する。以下同じ)が立設されている。本実施形態の制震免震構造は、こうした支承部5に構成されている。
アンカーフレーム2は、複数のアンカーボルト11が垂直方向に起立し、橋脚本体3の外側を囲むような位置に配置されており、こうした複数のアンカーボルト11は、上下に配置されたアンカービーム12,13によって筒状に束ねられている。そして、アンカーフレーム2は、アンカーボルト11の上端を地面から突き出すようにして地中に据え付けられ、型枠や鉄筋を設置したうえでコンクリートが打設され、アンカーフレーム2を埋設したフーチング1が構築される。そして、フーチング1から地上に突設されたアンカーボルト11に対し、本実施形態の制震免震構造を備える支承部5が構成されている。
橋脚本体3の下端に設けられた支承部5は、図示するように、上沓部材21と下沓部材22が上下に重ね合わされている。橋脚本体3の下端にはフランジ23が形成され、上沓部材21は、そのフランジ23から下方に溶接して突設し、橋脚本体3と一体に形成されている。一方、支承部5は、支承台24がフーチング1上に配置され、地上に現れるようにして設置されている。そして、下沓部材22は、その支承台24に重なるようにして設けられている。すなわち、フーチング1からは、埋設されたアンカーボルト11の上端部が地上に突き出され、支承台24はそうしたアンカーボルト11に対応して複数の貫通孔が穿設され、下沓部材22には、フランジ22aが形成され、やはりそこにもアンカーボルト11に対応した貫通孔が穿設されている。
従って、支承台24と下沓部材22は、その貫通孔にアンカーボルト11の先端部が通るようにして重ねられ、下沓部材22のフランジ22aから突き出したアンカボルト11に対し、ワッシャを介してナット25が締め付けられる。こうしてフーチング1に固定されたアンカーフレーム2に対し、支承台24及び下沓部材22が一体に取り付けられる。
上沓部材21と下沓部材22は、ともに四角いブロック体であって、その下沓部材22には中心に半球状の位置決め突起22bが突設され、もう一方の上沓部材21には、中心に半球状の位置決め穴21bが形成されている。そのため、この位置決め突起22bが位置決め穴21bに入るようにして上沓部材21と下沓部材22が重ねられ、橋脚本体3がアンカーフレーム2の中心に位置するように設置される。よって、本実施形態の橋脚の支承部5は、上沓部材21と下沓部材22とによって橋脚本体3とアンカーフレーム2とが切り離された状態になっており、この分割部分に制震免震構造を設けることによって連結されている。
本実施形態の制震免震構造は、上沓部材21が一体になったフランジ23と下沓部材22のフランジ22aとが、短尺な制震免震ロッド26によって連結されている。それには、先ず、前述したように下沓部材22側のフランジ22aからはアンカーボルト11が突設され、他方、上沓部材21側のフランジ23には、橋脚側ボルト27が、フランジ23を挟んで螺設された上下一対のナット28によって固定されている。そのナット28は、フランジ23に対して金属ワッシャ28aとゴム材等からなる弾性ワッシャ28bとが上下それぞれに重ねられ、それらを挟み込んで締め付けられている。なお、フランジ23に固定された複数の橋脚側ボルト27は、橋脚本体3の外側を囲む位置に配置したアンカーボルト11と同軸上に位置するように同じ数だけ設けられている。
そして、こうした同軸上のアンカーボルト11と橋脚側ボルト27の間に制震免震ロッド26が配置され、互いがカップラー29によって締め付けられ一連のロッドが構成される。従って、制震免震ロッド26もアンカーボルト11と同じ数だけ用意され、橋脚本体3の外側を囲む位置において連結されている。カップラー29は、内周面に雌ねじが刻設されており、他方、アンカーボルト11、橋脚側ボルト27および制震免震ロッド26には雄ネジが刻設されてそれぞれが螺設される。
よって、支承部5は、上沓部材21と下沓部材22で分割される一方、アンカーボルト11、橋脚側ボルト27および制震免震ロッド26によって、フーチング1に埋設されたアンカーフレーム2に橋脚本体3が支持される構造となっている。そして、例えば、アンカーボルト11及び橋脚側ボルト27の材質にS35CN等が使用され、制震免震ロッド26の材質には低降伏点鋼のLY225等が使用される。こうした支承部5の制震免震ロッド26は、橋脚本体3の地震による運動エネルギを吸収し、橋脚本体3に作用する曲げモーメントや軸力を減少させる制震材として機能するとともに、その反作用としてフーチング1に制震免震効果により減少した曲げモーメントや軸力が伝達されることを目的としている。
そこで、地震によって図6に示す門型をした橋脚102の橋梁100に横揺れが生じて地震力Fが働くと、橋脚本体111,112には圧縮力f1と引張り力f2、更に曲げモーメントM1,M2が作用し、図1に示す本実施形態で構成されたものの場合にも、橋脚本体3に圧縮力や引張り力f2といった軸力が作用することになる。特に軸力として引張り力f2が作用した橋脚本体3側の支承部5では、その橋脚本体3に固定された上沓部材21が下沓部材22から引き離される方向に軸力が作用する。なお、本実施形態では、上沓部材21と下沓部材22とが半球状の位置決め突起22bと位置決め穴21bで重なり合い、橋脚本体3が基礎のフーチング1と切り離された状態で傾くため、図6に示すような曲げモーメントM1,M2は働かない。
地震力Fが働き、橋脚本体3の引張り力f2が支承部5を構成する制震免震ロッド26の降伏応力以下の場合には、制震免震ロッド26は弾性変形し、橋脚本体3にかかる引張り力f2はアンカーフレーム2にまで伝えられ、フーチング1で受け止められることになる。一方、大きな地震によって橋脚本体3に作用する引張り力f2が低降伏点鋼の降伏応力を超えるような場合には、塑性変形した制震免震ロッド26が塑性流れを起こして引き延ばされる。このとき支承部5は、上沓部材21と下沓部材22とが分離しているため、引張り力f2に応じて制震免震ロッド26は十分延びる。そして、低降伏点鋼からなる制震免震ロッド26は、塑性変形するものの粘りが大きい性質を有するものであるため容易に破断することはない。
従って、支承部5の制震免震ロッド26では、こうした粘りのある塑性変形を起こすことにより、橋梁100に対して生じた地震による横揺れの運動エネルギを吸収し、橋脚本体3に作用する引張り力f2を減少させることによって制震させ、更には基礎であるフーチング1から橋脚本体3へ伝わる引張り力f2を遮断して免震が行われることになる。よって、支承部5を構成する本実施形態の制震免震構造では、地震によって大きな引張り力f2が作用するような場合でも、制震を行うとともに免震によって引張り力f2がそのまま橋脚本体3とアンカフレーム2及びフーチング1との間で伝わることがなくなった。そのため、引張り力f2がほぼそのまま伝えられていた従来のものに比べ、橋梁100のフーチングを小さくすることができるようになった。それ故、フーチング1ひいては橋梁100全体の施工に伴うコストを抑えることができ、基礎部分の施工面積を小さくすることによって渋滞を緩和させることになる。
また、本実施形態の制震免震構造は、橋脚本体3の下端に設けられた支承部5を構成するものであるため、従来の制震ブレースのように高い位置で作業を行うための足場を組む必要がない。従って、制震免震構造を備える支承部5の設置作業や、その制震免震ロッド26の交換作業が容易になり、高所作業でなくなったことで安全性が高まるとともに、足場を組む必要がなくなったことでコストを抑えることにもなった。
また、本実施形態の制震免震ロッド26は、応力集中の起きる部位を無くすように円柱形状をしているので、大きな引張り力f2が作用した場合にでも粘りがあって延性的であることに加え更に破断し難くなっている。
また、本実施形態の制震免震ロッド26は、応力集中の起きる部位を無くすように円柱形状をしているので、大きな引張り力f2が作用した場合にでも粘りがあって延性的であることに加え更に破断し難くなっている。
次に、本発明に係る制震免震構造の第2実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図2は、橋脚下部に設けた制震免震構造を簡略化して示した図である。第1実施形態のものと同じ構成については同じ符号を付して説明する。
本実施形態では、第1実施形態と同様に橋脚の下端には上沓部材31と下沓部材32とが重ね合わされた支承部30が構成されているが、その上沓部材31と下沓部材32とは図示するように断面がコの字の嵌合材33によって連結されている。そして、この上沓部材31と下沓部材32とは、半球状の位置決め穴内に同じ半球状の位置決め突起が嵌め合わされている。こうした下沓部材32には、アンカーボルト11が通され、支承台24と共にナット25によって締め付けられ、支承部30全体がフーチング1に固定されている。
本実施形態では、第1実施形態と同様に橋脚の下端には上沓部材31と下沓部材32とが重ね合わされた支承部30が構成されているが、その上沓部材31と下沓部材32とは図示するように断面がコの字の嵌合材33によって連結されている。そして、この上沓部材31と下沓部材32とは、半球状の位置決め穴内に同じ半球状の位置決め突起が嵌め合わされている。こうした下沓部材32には、アンカーボルト11が通され、支承台24と共にナット25によって締め付けられ、支承部30全体がフーチング1に固定されている。
そして、本実施形態の橋脚本体3には、分離された分割下部3aが設けられ、その上に橋脚本体3を重ねた構成がとられている。橋脚本体3は、その下端面と分割下部3aの上端面とが突き合わされ、分割下部3aに形成された突起部34aが橋脚本体3に形成された凹部34bに嵌め合わされて位置決めされている。そして、橋脚本体3には、下端面から離れた上方にフランジ35が形成され、分割下部3aにも、その下端面に下沓部材31が一体になったフランジ36が形成されている。
両方のフランジ35,36には、橋脚本体3を囲むように複数の貫通孔が形成され、そこに上ボルト37と下ボルト38がそれぞれ同じ数、そして同じ位置にナットの締め付けにより固定されている。複数の上ボルト37と下ボルト38は、上下に同じ位置にあるもの同士が同軸上に配置され、その同軸上にある上ボルト37と下ボルト38に対して制震免震ロッド26がカップラー29によって連結されている。本実施形態では、橋脚本体41と分割下部3aとの連結部6に、こうした制震免震ロッド26を設けることによって制震免震構造が構成されている。
そこで、こうした橋脚本体3からなる図6に示すような橋梁100に地震による横揺れが生じた場合、橋脚本体3に圧縮力f1と引張り力f2や曲げモーメントM1,M2とが作用する。そこで、大きな地震によって橋脚本体3に作用する引張り力f2が低降伏点鋼の降伏応力を超えるような場合には、本実施形態でも塑性変形した制震免震ロッド26が塑性流れを起こして引き延ばされる。そして、連結部6の制震免震ロッド26が粘りのある塑性変形を起こすことにより、橋梁100に生じる横揺れによる運動エネルギを吸収し、橋脚本体3に作用する引張り力f2を減少させて制震させ、更にはフーチング1から橋脚本体3へ伝わる引張り力f2を遮断して免震が行われる。
よって、連結部6を構成する本実施形態の制震免震構造でも、地震によって橋脚本体3に大きな引張り力f2が作用するような場合、制震を行うとともに免震によって引張り力f2がそのままアンカフレーム2及びフーチング1に伝わることがなくなった。そのため、引張り力f2がほぼそのまま伝えられていた従来のものに比べ、橋梁100のフーチングを小さくすることができるようになった。それ故、フーチング1ひいては橋梁100全体の施工に伴うコストを抑えることができ、基礎部分の施工面積を小さくすることによって渋滞を緩和させることになる。
また、本実施形態の制震免震構造は、橋脚本体3の下部に設けられた連結部6を構成するものであるため、従来の制震ブレースのように高い位置で作業を行うための足場を組む必要がない。従って、制震免震構造を備える連結部6の設置作業や、その制震免震ロッド26の交換作業が容易になり、高所作業でなくなったことで安全性が高まるとともに、足場を組む必要がなくなったことでコストを抑えることにもなった。
また、本実施形態の制震免震構造は、橋脚本体3の下部に設けられた連結部6を構成するものであるため、従来の制震ブレースのように高い位置で作業を行うための足場を組む必要がない。従って、制震免震構造を備える連結部6の設置作業や、その制震免震ロッド26の交換作業が容易になり、高所作業でなくなったことで安全性が高まるとともに、足場を組む必要がなくなったことでコストを抑えることにもなった。
次に、本発明に係る制震免震構造の第3実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図3は、橋脚中間部に設けた制震免震構造を簡略化して示した図である。第1及び第2実施形態のものと同じ構成については同じ符号を付して説明する。
本実施形態では、橋脚本体3が上方材41と下方材42とに分割され、突き合わせ部分には一方の突起部43aが他方の凹部43bに嵌め合わされて位置決めされている。ここでは、突起部43aと凹部43bとの間には多少のガタが生じるように隙間が形成されている。そして、上方材41と下方材42の間にはゴム材等からなる弾性シート49が挟み込まれている。
本実施形態では、橋脚本体3が上方材41と下方材42とに分割され、突き合わせ部分には一方の突起部43aが他方の凹部43bに嵌め合わされて位置決めされている。ここでは、突起部43aと凹部43bとの間には多少のガタが生じるように隙間が形成されている。そして、上方材41と下方材42の間にはゴム材等からなる弾性シート49が挟み込まれている。
上方材41には、下端面から離れた位置にフランジ45が形成され、下方材42にも、その下端面から離れたに位置にフランジ46が形成されている。両方のフランジ45,46には、橋脚本体3を囲むように複数の貫通孔が形成され、そこに上ボルト47と下ボルト48がそれぞれ同じ数、そして同じ位置にナットの締め付けにより固定されている。複数の上ボルト47と下ボルト48は、上下に同じ位置にあるもの同士が同軸上に配置され、その同軸上にある上ボルト47と下ボルト48に対して制震免震ロッド26がカップラー29によって連結されている。本実施形態では、上方材41と下方材42との連結部7に、こうした制震免震ロッド26を設けることによって制震免震構造が構成されている。
そこで、こうした橋脚本体3からなる図6に示すような橋梁100に地震による横揺れが生じた場合、この橋脚本体3には、地震力Fによって曲げモーメントM1,M2、圧縮力f1や引張り力f2が作用する(図6参照)。そのため、大きな地震によって橋脚本体3に作用する引張り力f2が低降伏点鋼の降伏応力を超えるような場合には、本実施形態でも塑性変形を起こした制震免震ロッド26が塑性流れを起こして引き延ばされる。そして、連結部7の制震免震ロッド26が粘りのある塑性変形を起こすことにより、橋梁100に対して生じた地震による横揺れの運動エネルギを吸収し、橋脚本体3に作用する曲げモーメントM2や引張り力f2を減少させることによって制震させ、更には基礎であるフーチング1から橋脚本体3へ伝わる引張り力f2を遮断して免震が行われることになる。
よって、連結部7を構成する本実施形態の制震免震構造でも、地震によって橋脚本体3に大きな曲げモーメントM2や引張り力f2が作用するような場合、制震を行うとともに免震によって曲げモーメントM2や引張り力f2がそのままアンカフレーム2及びフーチング1に伝わることがなくなった。そのため、曲げモーメントM2や引張り力f2がほぼそのまま伝えられていた従来のものに比べ、橋梁100のフーチングを小さくすることができるようになった。それ故、フーチング1や柱部材3ひいては橋梁100全体の施工に伴うコストを抑えることができ、基礎部分の施工面積を小さくすることによって渋滞を緩和させることになる。
次に、本発明に係る制震免震構造の第4実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図4は、橋脚下方に設けた制震免震構造を簡略化して示した図である。第1乃至第3実施形態のものと同じ構成については同じ符号を付して説明する。
本実施形態の橋脚本体3は、不図示の支承部に固定された下弦材41上に連結されている。下弦材51には上端にフランジ52が形成され、その上に橋脚本体3が下端面を突き当てられている。その突き合わせ部分には下弦材51からの突起部53aが橋脚本体3の凹部53bに嵌め合わされて位置決めされている。ここでは、突起部53aと凹部53bとの間には多少のガタが生じるように隙間が形成されている。そして、橋脚本体3と下弦材51の間にはゴム材等からなる弾性シート59が挟み込まれている。そして、橋脚本体3には、下端面から離れた位置にフランジ55が形成されている。
本実施形態の橋脚本体3は、不図示の支承部に固定された下弦材41上に連結されている。下弦材51には上端にフランジ52が形成され、その上に橋脚本体3が下端面を突き当てられている。その突き合わせ部分には下弦材51からの突起部53aが橋脚本体3の凹部53bに嵌め合わされて位置決めされている。ここでは、突起部53aと凹部53bとの間には多少のガタが生じるように隙間が形成されている。そして、橋脚本体3と下弦材51の間にはゴム材等からなる弾性シート59が挟み込まれている。そして、橋脚本体3には、下端面から離れた位置にフランジ55が形成されている。
両方のフランジ52,55には、橋脚本体3を囲むように複数の貫通孔が形成され、そこに上ボルト56と下ボルト57がそれぞれ同じ数、そして同じ位置にナットの締め付けにより固定されている。複数の上ボルト56と下ボルト57は、上下に同じ位置にあるもの同士が同軸上に配置され、その同軸上にある上ボルト47と下ボルト48に対して制震免震ロッド26がカップラー29によって連結されている。本実施形態では、橋脚本体3と下弦材51との連結部8に、こうした制震免震ロッド26を設けることによって制震免震構造が構成されている。
そこで、こうした橋脚本体3からなる図6に示すような橋梁100に地震による横揺れが生じた場合、この橋脚本体3には、地震力Fによって曲げモーメントM1,M2、圧縮力f1や引張り力f2が作用する(図6参照)。そのため、大きな地震によって橋脚本体3に作用する引張り力f2が低降伏点鋼の降伏応力を超えるような場合には、本実施形態でも塑性変形を起こした制震免震ロッド26が塑性流れを起こして引き延ばされる。そして、連結部8の制震免震ロッド26が粘りのある塑性変形を起こすことにより、橋梁100に対して生じた地震による横揺れの運動エネルギを吸収し、橋脚本体3に作用する曲げモーメントM2や引張り力f2を減少させることによって制震させ、更には基礎であるフーチング1から橋脚本体3へ伝わる引張り力f2を遮断して免震が行われることになる。
よって、連結部8を構成する本実施形態の制震免震構造でも、地震によって橋脚本体3に大きな曲げモーメントM2や引張り力f2が作用するような場合、制震を行うとともに免震によって曲げモーメントM2や引張り力f2がそのままアンカフレーム2及びフーチング1に伝わることがなくなった。そのため、曲げモーメントM2や引張り力f2がほぼそのまま伝えられていた従来のものに比べ、橋梁100のフーチングを小さくすることができるようになった。それ故、フーチング1や柱部材3ひいては橋梁100全体の施工に伴うコストを抑えることができ、基礎部分の施工面積を小さくすることによって渋滞を緩和させることになる。
また、本実施形態の制震免震構造は、橋脚本体3を下弦材51に連結した連結部8を構成するものであるため、従来の制震ブレースのように高い位置で作業を行うための足場を組む必要がない。従って、制震免震構造を備える連結部6の設置作業や、その制震免震ロッド26の交換作業が容易になり、高所作業でなくなったことで安全性が高まるとともに、足場を組む必要がなくなったことでコストを抑えることにもなった。
また、本実施形態の制震免震構造は、橋脚本体3を下弦材51に連結した連結部8を構成するものであるため、従来の制震ブレースのように高い位置で作業を行うための足場を組む必要がない。従って、制震免震構造を備える連結部6の設置作業や、その制震免震ロッド26の交換作業が容易になり、高所作業でなくなったことで安全性が高まるとともに、足場を組む必要がなくなったことでコストを抑えることにもなった。
次に、本発明に係る制震免震構造の第5実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図5は、橋脚下方に設けた制震免震構造を簡略化して示した図である。本実施形態の制震免震構造は、前記第1実施形態と同様に橋脚本体の支承部に構成されているものである。従って、第1実施形態のものと同じ構成については同じ符号を付して説明する。
橋脚の基礎部であるフーチング1にはアンカーフレーム2及びアンカーボルト11が埋設され、そのフーチング1から地上に突設されたアンカーボルト11に対し、本実施形態の制震免震構造を備える支承部5が構成されている。そして、そのフーチング1上に設置された支承部5を介して橋脚本体3(図6における橋脚本体111,112に相当する。以下同じ)が立設されている。
橋脚の基礎部であるフーチング1にはアンカーフレーム2及びアンカーボルト11が埋設され、そのフーチング1から地上に突設されたアンカーボルト11に対し、本実施形態の制震免震構造を備える支承部5が構成されている。そして、そのフーチング1上に設置された支承部5を介して橋脚本体3(図6における橋脚本体111,112に相当する。以下同じ)が立設されている。
橋脚本体3の下端に設けられた支承部5は、図示するように、上沓部材61と下沓部材62が上下に重ね合わされている。上沓部材61は、橋脚の下端面に固定されて橋脚本体3と一体に形成され、その橋脚本体3には、下端面から離れた上方にフランジ63が形成されている。また、フーチング1からはアンカーボルト11が地上に突き出され、フーチング1上に重ねて配置された支承台24とベースプレート66が、ワッシャを介してナット25によって締め付けられている。そして、そのベースプレート66上に重なるようにして下沓部材62が固定されている。
上沓部材61と下沓部材62は、ともにブロック体であって、その上沓部材61には中心に半球状の位置決め突起61aが突設され、もう一方の下沓部材62には、中心に半球状の位置決め穴62aが形成されている。そのため、この位置決め突起61aが位置決め穴62aに入るようにして上沓部材61と下沓部材62が重ねられ、橋脚本体3がアンカーフレーム2の中心に位置するように設置される。本実施形態では、こうした橋脚本体3とアンカーフレーム2とが切り離された状態になっているが、上沓部材61と下沓部材62との周りには積層ゴム65が設けられ、橋脚本体3の下端面と支承台24との間に挟み込まれている。
本実施形態の制震免震構造では、橋脚本体3のフランジ63とフーチング1に固定されたベースプレート66が、短尺な制震免震ロッド26によって連結されている。それには、橋脚本体3のフランジ63に対し、複数の橋脚側ボルト27が上下一対のナット28によって固定されている。その橋脚側ボルト27は、フーチング1から突設されたアンカーボルト11と同軸上に位置するように同じ数だけ設けられている。そのため、アンカーボルト11と橋脚側ボルト27の間に制震免震ロッド26が配置され、互いがカップラー29によって締め付けられ一連のロッドが構成される。
本実施形態の支承部5は、上沓部材61と下沓部材62で分割されているが、その周りの積層ゴム65によって支えられ、更にはアンカーボルト11、橋脚側ボルト27および制震免震ロッド26によって橋脚本体3がフーチング1に埋設されたアンカーフレーム2に支持される構造となっている。こうした支承部5の制震免震ロッド26は、橋脚本体3の地震による運動エネルギを吸収し、橋脚本体3に作用する曲げモーメントや軸力を減少させる制震材として機能するとともに、その反作用としてフーチング1に制震免震効果により減少した曲げモーメント、や軸力が伝達されることを目的としている。また、本実施形態では、支承部5に設けた積層ゴム65によって上沓部材61及び下沓部材62を保護し、また積層ゴム65がいわゆる長周期化手段となって免震対象たる橋梁100(図6参照)など、構造物の固有周期を地盤から入力される主たる地震動の周期よりも長周期化し、これによって地盤から構造物へと入力される振動を低減することを目的としている。
そこで、地震によって図6に示す門型をした橋脚102の橋梁100に横揺れが生じて地震力Fが働くと、橋脚本体111,112には圧縮力f1と引張り力f2、更に曲げモーメントM1,M2が作用し、図1に示す本実施形態で構成されたものの場合にも、橋脚本体3に圧縮力や引張り力f2といった軸力が作用することになる。特に軸力として引張り力f2が作用した橋脚本体3側の支承部5では、その橋脚本体3に固定された上沓部材61が下沓部材62から引き離される方向に軸力が作用する。なお、本実施形態では、上沓部材61と下沓部材62とが半球状の位置決め突起61aと位置決め穴62aで重なり合い、水平荷重を伝達すると共に、積層ゴム65によって図6に示す曲げモーメントM1,M2を柔らかく弾性的に支えることになる。また、積層ゴム65を設置することで橋脚を自立させることが可能で、大地震により制震免震ロッド26が塑性変形した後もこの積層ゴム65を利用して制震免震ロッド26を取り替えることができる。
地震力Fが働き、橋脚本体3の引張り力f2が支承部5を構成する制震免震ロッド26の降伏応力以下の場合には、制震免震ロッド26は弾性変形し、橋脚本体3にかかる引張り力f2はアンカーフレーム2にまで伝えられ、フーチング1で受け止められることになる。一方、大きな地震によって橋脚本体3に作用する引張り力f2が低降伏点鋼の降伏応力を超えるような場合には、塑性変形した制震免震ロッド26が塑性流れを起こして引き延ばされる。このとき支承部5は、上沓部材61と下沓部材62とが分離しているため、引張り力f2に応じて制震免震ロッド26は十分延びる。そして、低降伏点鋼からなる制震免震ロッド26は、塑性変形するものの粘りが大きい性質を有するものであるため容易に破断することはない。
従って、支承部5の制震免震ロッド26では、こうした粘りのある塑性変形を起こすことにより、橋梁100に対して生じた地震による横揺れの運動エネルギを吸収し、橋脚本体3に作用する引張り力f2を減少させることによって制震させ、更には基礎であるフーチング1から橋脚本体3へ伝わる引張り力f2を遮断して免震が行われることになる。よって、支承部5を構成する本実施形態の制震免震構造では、地震によって大きな引張り力f2が作用するような場合でも、制震を行うとともに免震によって引張り力f2がそのまま橋脚本体3とアンカフレーム2及びフーチング1との間で伝わることがなくなった。そのため、引張り力f2がほぼそのまま伝えられていた従来のものに比べ、橋梁100のフーチングを小さくすることができるようになった。それ故、フーチング1ひいては橋梁100全体の施工に伴うコストを抑えることができ、基礎部分の施工面積を小さくすることによって渋滞を緩和させることになる。
また、本実施形態では、いわゆる長周期化手段である積層ゴム65が設けられているため、地震によって橋梁100(図6参照)に揺れが生じた場合でも、その固有周期を地盤から入力される振動の周期よりも長周期化し、橋脚本体3へ入る振動を低減させている。そのため、橋梁100の大きな揺れが抑えられ、地震の際の破損を防止するようになっている。そして、通常時は、支承部5に設けたその積層ゴム65が上沓部材61及び下沓部材62を保護している。
また、本実施形態の制震免震構造は、橋脚本体3の下端に設けられた支承部5を構成するものであるため、従来の制震ブレースのように高い位置で作業を行うための足場を組む必要がない。従って、制震免震構造を備える支承部5の設置作業や、その制震免震ロッド26の交換作業が容易になり、高所作業でなくなったことで安全性が高まるとともに、足場を組む必要がなくなったことでコストを抑えることにもなった。
更に、本実施形態の制震免震ロッド26は、応力集中の起きる部位を無くすように円柱形状をしているので、大きな引張り力f2が作用した場合にでも粘りがあって延性的であることに加え更に破断し難くなっている。
また、本実施形態の制震免震構造は、橋脚本体3の下端に設けられた支承部5を構成するものであるため、従来の制震ブレースのように高い位置で作業を行うための足場を組む必要がない。従って、制震免震構造を備える支承部5の設置作業や、その制震免震ロッド26の交換作業が容易になり、高所作業でなくなったことで安全性が高まるとともに、足場を組む必要がなくなったことでコストを抑えることにもなった。
更に、本実施形態の制震免震ロッド26は、応力集中の起きる部位を無くすように円柱形状をしているので、大きな引張り力f2が作用した場合にでも粘りがあって延性的であることに加え更に破断し難くなっている。
以上、本発明の制震免震構造の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では図6に示す門型の橋脚102について制震免震構造を備えた場合について説明したが、本発明の制震免震構造は、耐震構造を必要とするその他の建築物についても適用することができる。
また、例えば制震免震構造を構成する制震免震ロッド26に対して、その軸方向の変形を妨げないようにした円筒体でカバーし、制震免震ロッド26が座屈しないようにするようにすることも有効である。
また、例えば、前記第4実施形態では、上沓部材61及び下沓部材62の周りにあって、橋脚本体3の下端面と支承台24との間に積層ゴム65が挟み込まれているが、この他の弾性部材としてコイルバネなどを設けるようにしてもよい。
例えば、前記実施形態では図6に示す門型の橋脚102について制震免震構造を備えた場合について説明したが、本発明の制震免震構造は、耐震構造を必要とするその他の建築物についても適用することができる。
また、例えば制震免震構造を構成する制震免震ロッド26に対して、その軸方向の変形を妨げないようにした円筒体でカバーし、制震免震ロッド26が座屈しないようにするようにすることも有効である。
また、例えば、前記第4実施形態では、上沓部材61及び下沓部材62の周りにあって、橋脚本体3の下端面と支承台24との間に積層ゴム65が挟み込まれているが、この他の弾性部材としてコイルバネなどを設けるようにしてもよい。
1 フーチング
2 アンカーフレーム
3 橋脚本体
5 支承部
11 アンカーボルト
12,13 アンカービーム
21 上沓部材
22 下沓部材
23 フランジ
26 制震免震ロッド
27 橋脚側ボルト
29 カップラー
2 アンカーフレーム
3 橋脚本体
5 支承部
11 アンカーボルト
12,13 アンカービーム
21 上沓部材
22 下沓部材
23 フランジ
26 制震免震ロッド
27 橋脚側ボルト
29 カップラー
Claims (8)
- 高さを有する建築物の柱部材に対して設けられ、地震等による横揺れが生じた場合の運動エネルギを吸収し、柱部材に作用する曲げモーメントや軸力を減少させる制震作用とともに、基礎部分から柱部材へ伝わる軸力を遮断して免震させる制震免震構造において、
前記建築物の柱部材が支承部又は柱の途中で軸方向に分割され、その分割上部と分割下部とが、軸方向に沿って複数配置された低降伏点鋼製の制震免震ロッドによって連結されたものであることを特徴とする制震免震構造。 - 請求項1に記載する制震免震構造において、
前記柱部材の分割上部と分割下部は、軸方向に直交するフランジが形成され、そこに固定されたロッドと前記制震免震ロッドとがカップラーによって連結されたものであることを特徴とする制震免震構造。 - 請求項1又は請求項2に記載する制震免震構造において、
前記柱部材の分割上部と分割下部との間に弾性部材が挟み込まれたものであることを特徴とする制震免震構造。 - 請求項3に記載する制震免震構造において、
前記柱部材の分割上部と分割下部は、支承部に設けられた前記柱部材下端面に固定された上沓部材と、前記基礎部分に固定された下沓部材であって、前記弾性部材は、その上沓部材と下沓部材の周りを被い、前記柱部材下端面と基礎部分との間に挟み込まれたゴム材であることを特徴とする制震免震構造。 - 橋桁を搭載して橋梁を構成する門型橋脚において、
起立した2本の橋脚本体の基礎部となるフーチング上に、上沓部材と下沓部材とによって分割された支承部が設けられ、下沓部材のフランジから突き出されたアンカーボルトと、橋脚本体に形成されたフランジに固定されたロッドとが、橋脚本体の軸方向に沿って複数配置された低降伏点鋼製の制震免震ロッドによって連結された制震免震構造を有するものであることを特徴とする門型橋脚。 - 請求項5に記載する門型橋脚において、
前記上沓部材は前記橋脚本体の下端面に固定され、前記下沓部材は前記基礎部分の上に固定され、その上沓部材と下沓部材の周りを被い、前記橋脚本体の下端面と前記基礎部分との間にゴム材が挟み込まれたものであることを特徴とする門型橋脚。 - 橋桁を搭載して橋梁を構成する門型橋脚において、
起立した2本の橋脚本体は、下部又は中間部分に軸方向に分割された分割部が形成され、その分割上部と分割下部は、軸方向に直交するフランジが形成され、そこに固定された複数のロッドと、橋脚本体の軸方向に沿って複数配置された低降伏点鋼製の制震免震ロッドとがカップラーによって連結された制震免震構造を有することを特徴とする門型橋脚。 - 請求項7に記載する門型橋脚において、
前記橋脚本体の分割上部と分割下部との間に弾性部材が挟み込まれたものであることを特徴とする門型橋脚。
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