JP2003213815A - 鉄骨構造の耐震構造物及び耐震改修方法 - Google Patents

鉄骨構造の耐震構造物及び耐震改修方法

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JP2003213815A
JP2003213815A JP2002016068A JP2002016068A JP2003213815A JP 2003213815 A JP2003213815 A JP 2003213815A JP 2002016068 A JP2002016068 A JP 2002016068A JP 2002016068 A JP2002016068 A JP 2002016068A JP 2003213815 A JP2003213815 A JP 2003213815A
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Kunihiro Morishita
邦宏 森下
Yasuo Okamoto
康男 岡本
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレースを増設することなく構造系の崩れを
防ぐことができる鉄骨構造の耐震構造物及び耐震改修方
法を提供する。 【解決手段】 本発明による耐震構造物及び耐震改修方
法では、トラス鉄骨構造10に設置された既存ブレース
14の端部側の両方又は一方の一部を切削して断面積を
既存ブレースの一般部より縮小し、この断面積縮小部1
4bに局部座屈防止用補剛具16を取り付ける。切削対
象個所を切削して断面積縮小部を形成する前に、既存ブ
レースに切削対象個所をバイパスするように軸力伝達材
を取り付けておくことが好ましい。本発明の別の側面に
よると、既存ブレースの端部側の両方又は一方を所定長
さだけ切除すると共に、同切除部に代わり、既存ブレー
スに生ずる変形エネルギの吸収機能を有する制震デバイ
スを既存ブレース及びトラス鉄骨構造間に取り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、既存又は新築の
鉄骨構造物に対して適用可能な耐震構造物及び耐震改修
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】三角形をユニットとしたトラス構造の鉄
骨構造物においては、図18に示す従来の代表的構造例
のように、一般に水平力を支持するために一対のブレー
ス4a,4bが逆方向に傾斜して設置されている。この
鉄骨構造物1が地震発生時に水平方向の力を受けると、
一方のブレースには圧縮力が、他方のブレースには引張
力が交互に作用して地震力に抵抗するようになってい
る。
【0003】図19は、上述したブレース4a,4bの
軸力−軸変位特性曲線を示したもので、この特性曲線か
ら分かるように、接合部及び接続部材等は、圧縮力につ
いてはブレースの座屈耐力Ncr(ブレースの降伏軸力−
Nyより小さい)に対して強度を維持し、引張力につい
てはブレースの降伏軸力Nyに対して強度を維持するよ
うに設計されている。従って、設計地震外力以上の力が
作用した場合には、引張力が作用するブレース側は、ブ
レース又は接合部が降伏し、圧縮力が作用するブレース
側は、ブレース又は接合部が座屈し、これによって構造
系が崩れて構造物の崩壊につながる虞がある。
【0004】上述したトラス構造物に対する従来の耐震
対策としては、図20に示すように、水平材(梁)2と
垂直材(柱)3よりなる構面にガセット7を介して対角
に取り付けられたブレース4に対し、その中央部と、ブ
レース4に対峙する他の隅角との間に別途補強用ブレー
ス5を挿設し、部材座屈長を短くして座屈耐力を高める
方法や、図21及び図22(図21のH−H断面を表わ
す)に示すように、水平材2と垂直材3よりなる構面に
ガセット7A,7Bを介して図示のように設置された一
対のブレース4Aの外周に矩形断面の座屈防止部材6を
被せ、ブレース4Aの座屈耐力,引張耐力,圧縮耐力を
高める方法などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たように、ブレース部材を補強したり、補強用ブレース
を追設したりする従来の方法では、部材や構造全体の強
度が増加したため、耐え得る地震力も増加する。このた
め、他の構造部分や基礎構造を補強する必要が生じ、補
強コストが増加するという問題点があった。
【0006】また、図20及び図21に示すようにブレ
ースを追加設置する方法は、既に設置されている配管,
配線等により場所的制約を受けて適切な補強ができない
虞があるという問題点があった。
【0007】そこで、この発明は、上記に鑑みてなされ
たものであって、ブレースを増設することなく構造系の
崩れを防ぐことができる鉄骨構造の耐震構造物及び耐震
改修方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、請求項1に記載の本発明による鉄骨構造の耐震構造
物は、少なくとも一方の端部に断面積が残りの一般部よ
りも縮小された断面積縮小部を有するブレースと、前記
断面積縮小部に取り付けられた局部座屈防止用補剛具と
を含むことを特徴としている。
【0009】また、請求項2に記載のように、断面積縮
小部の降伏軸力は、前記局部座屈防止用補剛具を取り付
ける前の前記ブレースの全体座屈耐力より低く設定され
ていることが好ましい。
【0010】また、請求項3に記載のように、前記局部
座屈防止用補剛具の両端と前記ブレースとはボルト結合
部により結合されており、前記局部座屈防止用補剛具の
一端側のボルト結合部におけるボルト孔が前記ブレース
の軸線方向に長い長孔に形成されていることが好まし
い。
【0011】また、請求項4に記載の鉄骨構造物の耐震
改修方法は、トラス鉄骨構造に設置された既存ブレース
の端部側の両方又は一方の一部を切削して断面積を前記
既存ブレースの一般部より縮小し、この断面積縮小部に
局部座屈防止用補剛具を取り付けることを特徴とする。
【0012】また、請求項5に記載のように、前記既存
ブレースに、切削対象個所をバイパスするように軸力伝
達材を取り付けた後、前記切削対象個所を切削して前記
断面積縮小部に形成することが好ましい。
【0013】また、請求項6に記載の鉄骨構造物の耐震
構造物は、トラス鉄骨構造に設置される既存ブレースよ
りも短いブレースと、該ブレースの少なくとも一方の端
部及び前記トラス鉄骨構造に設けられたガセットに接続
される制震デバイスとを有することを特徴とする。
【0014】また、請求項7に記載の鉄骨構造物の耐震
改修方法は、トラス鉄骨構造に設置された既存ブレース
の端部側の両方又は一方を所定長さだけ切除すると共
に、同切除部に代わり、既存ブレースに生ずる変形エネ
ルギの吸収機能を有する制震デバイスを前記既存ブレー
ス及び前記トラス鉄骨構造間に取り付けたことを特徴と
する。
【0015】また、請求項8に記載のように、前記制震
デバイスが、前記切除部を跨いで既存ブレースの両端部
にそれぞれ固定されたせん断パネルと、同せん断パネル
同士を結合する結合材とよりなることが好ましい。
【0016】また、請求項9に記載のように、前記制震
デバイスのせん断降伏荷重が、該制震デバイスの取付け
前の既存ブレースの全体座屈耐力より低く設定されてい
ることが有利である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明につき図面を参照
しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこ
の発明が限定されるものではない。また、下記実施の形
態における構成要素には、当業者が容易に想定できるも
の或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0018】(実施の形態1)先ず、本発明の実施の形
態1に係る鉄骨構造物の耐震改修構造の構成について、
トラス鉄骨構造を例に説明する。図1及び図2に示すよ
うに、実施の形態1に係る鉄骨構造物の耐震改修構造1
0は、水平材(梁)2及び垂直材(柱)3よりなる構面
に、ガセット7Cを介して対角線状に取り付けられたブ
レース14の両端部側に断面積縮小部14bを形成する
と共に、この断面積縮小部14bの外周面に局部座屈防
止用補剛具16を取り付けた構成である。局部座屈防止
用補剛具16の構成については、図5を参照して後から
説明する。
【0019】なお、図1及び図2の相違は、ブレース1
4の軸線回りの取付角度が90度異なっている点であ
る。即ち、図1は、ブレース14を面内弱軸(ブレース
に作用する曲げモーメントが図4の(a)のx−x軸回
り)に、図2は、面内強軸(同じくy−y軸回り)に取
り付けた場合を示す。この実施の形態1では、ブレース
14はH型鋼であるが、その他の型でもよく、また、ブ
レース14の両端部側に断面積縮小部14bを設けてい
るが、片側のみに設けてもよい。
【0020】断面積縮小部14bは、図3と図4の
(a),(b)とから了解されるように、ブレース14の
断面積縮小部が設けられていない部分もしくは残部であ
る一般部14aの上下フランジ部(H型鋼の上下腕部分
の端部)を一部切削し、一般部14aより断面積を縮小
することにより形成されている。縮小された断面積は、
縮小部断面の降伏軸力Nd=σy(A−ΔA)が既存ブレ
ースの全体座屈軸力Ncrより小さくなるように設計され
る。ここで、Aは既存ブレースの断面積,ΔAは切削分
の断面積である。
【0021】局部座屈防止用補剛具16は、例えば、図
5の(a)及び(b)に示すように、複数のI形及びL
形補剛板16a,16bを断面積縮小部14bのフラン
ジ部の両面及びウェブの両面に添わせて設置し、その各
端部を一般部14aにボルト17で結合して構成しても
良く、あるいは、図5の(c)に示すように、複数のI
形及びコ形補剛板16a,16cを断面積縮小部14b
のフランジ部の両面及びウェブの両面に添わせて設置
し、その各端部を一般部14aにボルト17で結合して
構成しても良い。なお、好適な実施例において、局部座
屈防止用補剛具16と一般部14aとのボルト結合部
は、局部座屈防止用補剛具16の一方の端部側(図5に
おいて左側)がブレース14の軸線方向に長いボルト孔
17aを介して結合されており、ブレース14の軸変位
を許容し、局部座屈防止用補剛具には軸力が伝達されな
いようになっている。
【0022】図6は、上述した断面積縮小部14bを形
成する際の切削手順を説明するための図で、切削する
前、軸力伝達部材18を、切削対象個所である断面積縮
小部に該当する部分を跨ぐようにブレース一般部14a
に予め取り付けることにより、ブレース14に作用する
軸力がこの軸力伝達部材18をバイパスしてガセット7
Cに伝達するようにした後、対象個所の切削を行うよう
にしており、軸力伝達部材18は切削作業時の足場とし
て利用することもできる。軸力伝達部材18は切削作業
が終わったら撤去するので、撤去に都合の良い方法で取
り付けられる。また、軸力伝達部材18は、実施の形態
1では、ブレース14の軸線に沿った長手部材18a
と、横断部材18bとからなっているが、軸力を伝達で
きる構成なら任意のものでも良い。
【0023】以上のように、この実施の形態1において
は、既存ブレース14に断面積縮小部14bを形成する
場合、切削に先立って、軸力伝達部材18を、切削対象
個所を跨ぐようにブレース一般部14aに取り付けた
後、作業員がこの軸力伝達部材18上から切削対象個所
を切削するので、既存ブレース14に作用している軸力
の一部は、軸力伝達部材18を介して伝達され、構造系
には、断面積縮小による影響は生じない。
【0024】次に、上述した実施の形態1に係る耐震改
修構造を適用したトラス鉄骨構造に地震力が作用した場
合の応答を、図7及び図8を参照して説明する。図7は
ブレース14の復元力特性を表したもので、地震力を受
けると、ブレース14には引張軸力Nと圧縮軸力−Nが
交互に作用してこの地震力を支持する。この際、断面積
縮小部14bは、ブレース14を面内弱軸に取り付けた
場合も、面内強軸に取り付けた場合も、局部座屈防止用
補剛具16の作用によって局部座屈が拘束され、ブレー
ス14は図7に実線で示されるように安定した応答を示
す。そして、地震力が大きくなり、軸力が増加すると、
局部座屈防止用補剛具16の取付け前の既存ブレース1
4の座屈耐力Ncr及び一般部断面降伏軸力Ny,−Ny
より低い断面積縮小部降伏軸力Nd,−Ndに達すると、
まず断面積縮小部14bが降伏する。
【0025】図8は、この際の断面積縮小部14bの変
位応答特性(エネルギ吸収特性)を表したもので、繰返
し軸力を受けて断面積縮小部14bは点a(降伏軸力N
d)で降伏した後、点b−c−d−e−aの履歴を繰り
返し描いて応答し、この断面積縮小部の塑性仕事によっ
て地震エネルギが吸収され、鉄骨構造物の震動が抑制さ
れる。
【0026】このように、上述した実施の形態1の耐震
改修構造及び方法によると、トラス鉄骨構造に設置され
た既存ブレース14の端部側の両方又は一方の断面の一
部を切削して断面積を一般部より縮小し、同断面積縮小
部14bの周りに局部座屈防止用補剛具16を取り付
け、その際、断面積縮小部14bの降伏軸力を、局部座
屈防止用補剛具16取付け前の既存ブレースの全体座屈
耐力より低く設定し、また局部座屈防止用補剛具16の
両端とブレース14とをボルト結合して、そのボルト結
合部の一方のボルト孔を軸方向に長い長孔に形成し、更
に、ブレース14に、切削対象個所をバイパスするよう
に軸力伝達材18を取り付けた後、断面積縮小部14b
を切削・形成するようにしたので、地震力が作用した
際、断面積縮小部14bは他部より早期に降伏し、局部
座屈防止用補剛具16の作用によって局部座屈が拘束さ
れて安定した応答を示し、安定した繰返し軸変位応答を
行って地震エネルギを吸収し、これによって構造全体の
震動が抑制され、地震荷重が低減される。従って、既存
のブレース接合部、接続部材及び基礎構造を補強する必
要がないなどの効果がある。なお、この実施の形態1に
係る耐震改修構造は、言うまでもなく新築の鉄骨構造に
対しても適用可能であり、同様の作用・効果を発揮する
ことができる。
【0027】(実施の形態2)次に、本発明の実施の形
態2に係る鉄骨構造物の耐震改修構造の構成について説
明する。図9〜図11及び図13〜図15から了解され
るように、実施の形態2の耐震改修構造は、既存ブレー
ス14の端部側の両方又は一方を所定長さだけ切除する
と共に、その切除個所の両端部を繋ぐように制震デバイ
ス20を取り付けたものである。図9〜図11は、面内
弱軸に取り付けた既存ブレース14に制震デバイス20
を設けた場合を示し、図13〜図15は、同じく面内強
軸に取り付けた既存ブレース14に制震デバイス20を
設けた場合を示している。実施の形態2では、面内弱軸
に取り付けた既存ブレースに対しては、既存ガセット7
のボルト孔を利用してボルト21で結合し、また、面内
強軸に取り付けた既存ブレースに対しては、プレート2
6及びボルト27を介して面内弱軸に取り付る際は、既
存のガセット7のボルト孔を利用できるという利点があ
る。ただし、別途加工を施してボルト結合することもで
きることは言うまでもない。
【0028】制震デバイス20は、せん断パネル20a
を切除個所の両端部にボルト結合又は溶接結合のような
適当な手段で結合すると共に、両端のせん断パネル20
a同士を結合材20bで繋いだ構成のものである。せん
断パネル20aは、図12の(a)に示すように、1面
せん断でも良いし、図12の(b)に示すように、2面
せん断でも良い。また、制震デバイス20の降伏荷重S
dは、既存ブレース14の全体座屈軸力Ncrより小さく
なるように設計されている。
【0029】この制震デバイス20を設置する場合、既
存ブレース14の設置個所を跨いで制震デバイス20を
ボルト結合又は溶接結合した後、対象位置を所定長さだ
け切除することにより、既存ブレース14に作用してい
る軸力は制震デバイス20を介してガセットに伝達され
るので、補強部材などを別途取り付ける必要がなくな
る。
【0030】次に、実施の形態2の耐震改修構造を適用
したトラス鉄骨構造に地震力が作用した場合の応答につ
いて、図16及び図17を参照して説明する。図16
は、ブレース14の復元力特性を表したもので、地震力
を受けて、ブレース14に発生する引張軸力N及び圧縮
軸力−Nは、せん断パネル20aのせん断力により支持
される。そして軸力が、既存ブレース14の全体座屈耐
力Ncr及び一般部断面降伏軸力Ny,−Nyより低い制
震デバイス降伏荷重Sd,−Sdに達すると、まず、せん
断パネル20aが降伏することが分かる。
【0031】図17は、この際の制震デバイス20(せ
ん断パネル20a)のせん断変位応答特性(エネルギ吸
収特性)を表したもので、繰り返しせん断力Sを受けて
制震デバイス20(せん断パネル20a)はせん断変形
Dsして、点a(せん断降伏軸力Sd)で降伏した後、
点b−c−d−e−aの履歴を繰り返し描いて応答す
る。この制震デバイスの塑性仕事によって地震エネルギ
が吸収され、鉄骨構造物の震動が抑制される。
【0032】このように、実施の形態2の耐震改修構造
によると、既存ブレースの端部側の両方又は一方を所定
長さだけ切除し、この両切除部を繋ぐように、せん断パ
ネルよりなる制震デバイスを取り付けたので、地震力が
作用した際、制震デバイスが既存ブレースの他部より早
期にせん断降伏し、安定した繰り返しせん断変位応答を
行って地震エネルギを吸収し、これによって構造全体の
震動が抑制され、地震荷重が低減される。従って、既存
のブレース接合部,接続部材及び基礎構造を補強する必
要がないなどの効果がある。なお、この実施の形態2に
係る耐震改修構造は、言うまでもなく新築の鉄骨構造に
対しても適用可能であり、同様の作用・効果を発揮する
ことができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1及び請求
項4に記載の本発明の耐震構造物及び耐震改修方法によ
れば、トラス鉄骨構造に設置されるブレースの端部側の
両方又は一方の一部を切削して断面積をブレースの一般
部より縮小し、この断面積縮小部に局部座屈防止用補剛
具を取り付けるようにしているので、ブレースを増設す
ることなく構造系の崩れを防止することができる。即
ち、地震力が作用した際、局部座屈防止用補剛具の作用
によって局部座屈が拘束されて安定した応答を示し、安
定した繰返し軸変位応答を行って地震エネルギを吸収
し、これによって構造全体の震動が抑制され、地震荷重
が低減される。従って、既存のブレース接合部、接続部
材及び基礎構造を補強する必要がない。
【0034】また、請求項2に記載の本発明によると、
断面積縮小部の降伏軸力が、局部座屈防止用補剛具を取
り付ける前のブレースの全体座屈耐力より低く設定され
ているので、地震力が大きくなり、軸力が増加すると、
確実に断面積縮小部が他の部分よりも早期に降伏するこ
とができる。
【0035】また、請求項3に記載の本発明によると、
局部座屈防止用補剛具の両端とブレースとはボルト結合
部により結合されており、局部座屈防止用補剛具の一端
側のボルト結合部におけるボルト孔がブレースの軸線方
向に長い長孔に形成されているので、確実にブレースの
軸変位を許容することができる。
【0036】また、請求項5に記載の本発明によると、
既存ブレースに、切削対象個所をバイパスするように軸
力伝達材を取り付けた後、切削対象個所を切削して断面
積縮小部に形成すると、作業員がこの軸力伝達部材を足
場として切削対象個所を切削するので、既存ブレースに
作用している軸力の一部は、軸力伝達部材を介して伝達
され、構造系には、断面積縮小による影響は生じない。
【0037】また、請求項6及び7に記載の本発明によ
ると、トラス鉄骨構造に設置されるブレースの端部側の
両方又は一方を所定長さだけ切除すると共に、同切除部
に代わり、ブレースに生ずる変形エネルギの吸収機能を
有する制震デバイスをブレース及びトラス鉄骨構造間に
取り付けるようにしているので、請求項1及び4に記載
の本発明と同様に、ブレースを増設することなく構造系
の崩れを防止することができる。即ち、地震力が作用し
た際、制震デバイスが既存ブレースの他部より早期にせ
ん断降伏し、安定した繰り返しせん断変位応答を行って
地震エネルギを吸収し、これによって構造全体の震動が
抑制され、地震荷重が低減される。従って、既存のブレ
ース接合部,接続部材及び基礎構造を補強する必要がな
い。
【0038】また、請求項8に記載の本発明によると、
制震デバイスが、切除部を跨いで既存ブレースの両端部
にそれぞれ固定されたせん断パネルと、同せん断パネル
同士を結合する結合材とより形成されていると、簡単な
構成で所期のせん断変位応答特性を得ることができる。
【0039】また、請求項9に記載の本発明によると、
制震デバイスのせん断降伏荷重が、該制震デバイスの取
付け前の既存ブレースの全体座屈耐力より低く設定され
ているので、地震力が大きくなり、軸力が増加すると、
確実に制震デバイスが既存ブレースの他部より早期にせ
ん断降伏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブレースを面内弱軸に取り付けた場合の本発明
の実施の形態1に係る鉄骨構造物の耐震改修構造の全体
構成図である。
【図2】ブレースを面内強軸に取り付けた場合の本発明
の実施の形態1に係る鉄骨構造物の耐震改修構造の全体
構成図である。
【図3】局部座屈防止用補剛具を省略して示す図1にお
けるA部の詳細図である。
【図4】(a)は図3のB−B線に沿った断面図、
(b)は図3のC−C線に沿った断面図である。
【図5】(a)はブレースの断面積縮小部の詳細図、
(b)は図5の(a)におけるD−D線に沿った断面図
である。
【図6】実施の形態1におけるブレースに対する軸力伝
達部材の設置例を示す図である。
【図7】実施の形態1におけるブレースの軸力−軸変位
特性を示す図である。
【図8】実施の形態1におけるブレースのエネルギ吸収
特性を示す図である。
【図9】ブレースが面内弱軸に取り付けられた本発明の
実施の形態2に係る鉄骨構造物の耐震改修構造の全体構
成図である。
【図10】図9におけるE部の詳細図である。
【図11】実施の形態2におけるブレースに対する制震
デバイスの設置例を示す図である。
【図12】(a)は、図11のF−F線断面における制
震デバイスの構成例の図であり、(b)は、制震デバイ
スの他の構成例の図である。
【図13】ブレースが面内強軸に取り付けられた本発明
の実施の形態2に係る鉄骨構造物の耐震改修構造の他の
全体構成図である。
【図14】図13におけるG部の詳細図である。
【図15】実施の形態2における制震デバイスの作用を
示す図である。
【図16】実施の形態2におけるブレースの軸力−軸方
向変位特性を示す図である。
【図17】実施の形態2における制震デバイスのエネル
ギ吸収特性を示す図である。
【図18】従来のトラス構造の代表的な鉄骨構造物を示
す全体構成図である。
【図19】図18の鉄骨構造物におけるブレースの軸力
−軸変位特性曲線を示す図である。
【図20】別の従来例における鉄骨構造物の耐震改修構
造の全体構成図である。
【図21】更に別の従来例における鉄骨構造物の耐震改
修構造の全体構成図である。
【図22】図21のH−H線に沿った断面図である。
【符号の説明】
7 ガセット 7C ガセット 10 耐震改修構造 14 ブレース 14a 一般部 14b 断面積縮小部 16 局部座屈防止用補剛具 17 ボルト 17a ボルト孔 18 軸力伝達材 20 制震デバイス 20a せん断パネル 20b 結合材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 DG01 EA06 FA01 FA02 FA03 GA52 HB02 KA03 LA01 LA11 2E002 EB13 FA02 FB15 GA02 HA04 HB02 LA03 LC02 MA12 2E176 AA07 BB27

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方の端部に断面積が残りの
    一般部よりも縮小された断面積縮小部を有するブレース
    と、前記断面積縮小部に取り付けられた局部座屈防止用
    補剛具とを含むことを特徴とする鉄骨構造の耐震構造
    物。
  2. 【請求項2】 前記断面積縮小部の降伏軸力が、前記局
    部座屈防止用補剛具を取り付ける前の前記ブレースの全
    体座屈耐力より低く設定されていることを特徴とする請
    求項1に記載の鉄骨構造の耐震構造物。
  3. 【請求項3】 前記局部座屈防止用補剛具の両端と前記
    ブレースとはボルト結合部により結合されており、前記
    局部座屈防止用補剛具の一端側のボルト結合部における
    ボルト孔が前記ブレースの軸線方向に長い長孔に形成さ
    れていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄骨
    構造の耐震構造物。
  4. 【請求項4】 トラス鉄骨構造に設置された既存ブレー
    スの端部側の両方又は一方の一部を切削して断面積を前
    記既存ブレースの一般部より縮小し、この断面積縮小部
    に局部座屈防止用補剛具を取り付けることを特徴とする
    鉄骨構造物の耐震改修方法。
  5. 【請求項5】 前記既存ブレースに、切削対象個所をバ
    イパスするように軸力伝達材を取り付けた後、前記切削
    対象個所を切削して前記断面積縮小部に形成することを
    特徴とする請求項4に記載の鉄骨構造の耐震改修方法。
  6. 【請求項6】 トラス鉄骨構造に設置される既存ブレー
    スよりも短いブレースと、該ブレースの少なくとも一方
    の端部及び前記トラス鉄骨構造に設けられたガセットに
    接続される制震デバイスとを有することを特徴とする鉄
    骨構造物の耐震構造物。
  7. 【請求項7】 トラス鉄骨構造に設置された既存ブレー
    スの端部側の両方又は一方を所定長さだけ切除すると共
    に、同切除部に代わり、既存ブレースに生ずる変形エネ
    ルギの吸収機能を有する制震デバイスを前記既存ブレー
    ス及び前記トラス鉄骨構造間に取り付けたことを特徴と
    する鉄骨構造物の耐震改修方法。
  8. 【請求項8】 前記制震デバイスが、前記切除部を跨い
    で既存ブレースの両端部にそれぞれ固定されたせん断パ
    ネルと、同せん断パネル同士を結合する結合材とよりな
    ることを特徴とする請求項7に記載の鉄骨構造の耐震改
    修方法。
  9. 【請求項9】 前記制震デバイスのせん断降伏荷重が、
    該制震デバイスの取付け前の既存ブレースの全体座屈耐
    力より低く設定されていることを特徴とする請求項8又
    は9に記載の鉄骨構造の耐震改修方法。
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