JP6237847B1 - 制震リフォーム方法 - Google Patents

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【課題】既存の建物の基礎に対する負担の増加を抑えつつ建物の制震性能を改善することが可能な制震リフォーム方法を提供する。【解決手段】制震リフォーム方法は、第1制震壁要素40と、第1制震壁要素40よりも低いダンパー性能を有する第2制震壁要素50と、を準備する準備ステップと、交換対象となる1階壁要素3を選定する選定ステップと、1階壁要素3と制震壁要素10とを交換した場合に、制震壁要素10の柱と2階耐力壁要素30の柱31とが鉛直方向に互いに重なると共に、建物1に水平方向の震動力が加わることにより両柱に対して同じ向きに鉛直方向の力が加わる、という条件が満たされるか否かを判断する判断ステップと、判断ステップにおいて上記条件が満たされると判断した場合、第2制震壁要素50と1階壁要素3とを交換する交換ステップと、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、制震リフォーム方法に関する。
従来、基礎と、基礎上に配置された1階壁と、1階壁上に配置された2階壁と、を備えた建物の制震リフォームにおいて、ダンパーを有する制震壁と建物の壁の一部とを交換することが知られている。これにより、地震時における建物の揺れを抑え、躯体や内外装への被害を軽減することが可能になるため、地震に強い建物を実現することができる。このような建物の制震リフォームの例が下記特許文献1〜3に開示されている。
下記特許文献1には、その図1に示されるように、既存の建物の低層階における耐震要素1を撤去し、そこにダンパー3,4を有する制震機構2を新たに設置する方法が開示されている。下記特許文献2には、その図1,4,5に示されるように、既存の建物1において1階と2階との間の梁2aを撤去し、そこにダンパー8を有する制震装置4を設置する方法が開示されている。下記特許文献3には、その図11に示されるように、建物の躯体1の耐力壁3bと耐震壁11とを交換することが開示されている。
特開2010−261240号公報 特開2005−139722号公報 特開2001−90352号公報
上記のような既存の建物の制震リフォームにおいては、基本的に1階壁の一部に制震壁を設置することにより、建物の揺れを抑制する効果を高めることができる。上記特許文献1〜3の制震リフォームでは、既存の建物の制震性能を向上させることができる一方、制震壁を介して2階壁から基礎へ伝わる力が増加し、その結果基礎に対してリフォーム前よりも大きな負荷が加わる場合がある。このため、リフォーム後においても既存の基礎がそのまま用いられる場合には、基礎の耐久性が不足し、基礎が破壊される危険性が高くなるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、既存の建物の基礎に対する負担の増加を抑えつつ建物の制震性能を改善することが可能な制震リフォーム方法を提供することである。
本発明の一局面に係る制震リフォーム方法は、基礎と、水平方向に並べられた複数の1階壁要素を有すると共に前記基礎上に配置された1階壁と、2階耐力壁要素を含むと共に水平方向に並べられた複数の2階壁要素を有し、前記1階壁上に配置された2階壁と、を備えた既存の建物において、ダンパーを有する制震壁要素と前記1階壁要素とを交換する建物の制震リフォーム方法である。上記制震リフォーム方法は、第1制震壁要素と、前記第1制震壁要素よりも低いダンパー性能を有する第2制震壁要素と、を前記制震壁要素として準備する準備ステップと、前記複数の1階壁要素から交換対象となる前記1階壁要素を選定する選定ステップと、前記選定ステップにおいて選定された前記1階壁要素と前記制震壁要素とを交換した場合に、前記制震壁要素の柱と前記2階耐力壁要素の柱とが鉛直方向に互いに重なると共に、前記建物に水平方向の震動力が加わることにより両柱に対して同じ向きに鉛直方向の力が加わる、という条件が満たされるか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップにおいて前記条件が満たされると判断した場合、前記第2制震壁要素と前記1階壁要素とを交換する交換ステップと、を備える。
上記制震リフォーム方法によれば、既存の建物の1階壁要素とダンパーを有する制震壁要素とを交換することにより、建物の制震性能を向上させることができる。ここで、上記制震リフォーム方法では、制震壁要素による交換を行った場合に上記条件(制震壁要素の柱と2階耐力壁要素の柱とが鉛直方向に互いに重なると共に、建物に水平方向の震動力が加わることにより両柱に対して同じ向きに鉛直方向の力が加わる)が満たされるか否かを判断する。上記条件が満たされる場合には、2階耐力壁要素がそれより上の部分から受ける力を負担し、この力が2階耐力壁要素の柱及び制震壁要素の柱を介して基礎に伝わるため、制震壁要素による交換後に基礎に加わる負荷が過大になる。このため、上記条件が満たされると判断した場合には、第1制震壁要素よりもダンパー性能が低く、基礎に対する負荷が第1制震壁要素よりも小さい第2制震壁要素と1階壁要素とを交換する。これにより、第1制震壁要素と1階壁要素とを交換した場合と異なり、制震壁要素の柱の傾きが許容されることで基礎に対する負荷が軽減されるため、リフォーム後において建物の基礎に対する負担の増加を抑えることができる。
上記制震リフォーム方法において、「制震壁要素の柱と2階耐力壁要素の柱とが鉛直方向に互いに重なる」とは、両柱が鉛直方向において完全に重なる場合に限定されず、少なくとも一部において鉛直方向に重なっていればよい。また、第1及び第2制震壁要素の「ダンパー性能」とは、地震時に発生するエネルギーを吸収する能力を意味する。
上記制震リフォーム方法では、前記判断ステップにおいて前記条件が満たされないと判断した場合、前記交換ステップでは前記第1制震壁要素と前記1階壁要素とを交換してもよい。
上記条件が満たされず、リフォーム後に基礎に対して過大な負担が加わる虞が少ない場合には、ダンパー性能がより高い第1制震壁要素と1階壁要素とを交換することで、建物の制震性能をさらに改善することができる。
上記制震リフォーム方法において、前記1階壁は、前記建物の外周を構成する前記1階壁要素である1階外周壁要素と、前記1階外周壁要素の内側に配置された前記1階壁要素である1階内側壁要素と、を含んでいてもよい。前記交換ステップでは、前記制震壁要素と前記1階外周壁要素とを交換してもよい。
制震壁要素による建物の揺れ抑制の効果は、制震壁要素を建物の外周に設置した場合により高くなる。このため、制震壁要素と1階外周壁要素とを交換することにより、建物の制震性能を一層改善することができる。
上記制震リフォーム方法において、前記1階壁は、1階耐力壁要素と、前記1階耐力壁要素よりも耐震性が低い1階低耐震壁要素と、を含んでいてもよい。前記交換ステップでは、前記制震壁要素と前記1階低耐震壁要素とを交換してもよい。
これにより、リフォーム前後において1階耐力壁要素の数を維持することができるため、既存の建物の耐震性を維持することができる。
上記制震リフォーム方法において、前記1階壁は、少なくとも1つの前記1階壁要素により構成され、水平方向に互いに対向する一対の1階壁部を有していてもよい。前記選定ステップでは、前記一対の1階壁部の各々において交換対象となる前記1階壁要素を選定してもよい。前記判断ステップでは、前記一対の1階壁部の各々において前記条件が満たされるか否かを判断してもよい。前記交換ステップでは、前記一対の1階壁部の少なくとも一方において前記条件が満たされる場合には、前記一対の1階壁部の両方において前記第2制震壁要素と前記1階壁要素とを交換してもよい。また前記交換ステップでは、前記一対の1階壁部の両方において前記条件が満たされない場合には、前記一対の1階壁部の両方において前記第1制震壁要素と前記1階壁要素とを交換してもよい。
これにより、1階壁において水平方向に互いに対向する部分に同じ種類の制震壁要素を設置することができる。その結果、制震リフォーム後における建物の偏心(即ち、水平方向に互いに対向する壁部において耐震性が異なることに起因する捻じれ)を抑制することができる。
上記制震リフォーム方法において、前記交換ステップでは、前記基礎における前記制震壁要素の取付部の構造を維持したまま前記制震壁要素と前記1階壁要素とを交換してもよい。これにより、リフォーム施工をより簡易化することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、既存の建物の基礎に対する負担の増加を抑えつつ建物の制震性能を改善することが可能な制震リフォーム方法を提供することができる。
本発明の実施形態1に係る制震リフォーム方法の対象となる建物の外観を示す模式図である。 上記建物の1階平面図である。 制震壁要素の構成を示す模式図である。 制震壁要素の柱と2階耐力壁要素の柱とが鉛直方向に重なると共に、両柱に対して同じ向きに鉛直方向の力が加わる様子を示す模式図である。 制震壁要素の柱と2階耐力壁要素の柱とが鉛直方向に重なると共に、両柱に対して逆向きに鉛直方向の力が加わる様子を示す模式図である。 本発明の実施形態2における建物の1階平面図である。 本発明のその他実施形態における2階耐力壁要素と制震壁要素との位置関係を示す模式図である。 本発明のその他実施形態における2階耐力壁要素と制震壁要素との位置関係を示す模式図である。 本発明のその他実施形態における2階耐力壁要素と制震壁要素との位置関係を示す模式図である。 本発明のその他実施形態における2階耐力壁要素と制震壁要素との位置関係を示す模式図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る制震リフォーム方法について詳細に説明する。
(実施形態1)
まず、本発明の一実施形態である実施形態1に係る制震リフォーム方法について説明する。図1は、この制震リフォーム方法の対象となる既存の建物1の外観を模式的に示している。まず、この建物1の全体構造について説明する。図1に示すように、建物1は、基礎2と、基礎2上に配置された1階壁7と、1階壁7上に配置された2階壁8と、2階壁8上に配置された屋根6と、を備える。
基礎2は、1階壁7、2階壁8及び屋根6を支持するための部分であり、例えば鉄筋コンクリートなどからなる。1階壁7は、水平方向に並べられると共に互いに連結され、矩形の枠体からなる1階壁要素3を複数有する。各1階壁要素3は、アンカーボルト91により基礎2上に固定されている。
2階壁8は、水平方向に並べられると共に互いに連結され、矩形の枠体からなる2階壁要素4を複数有する。各2階壁要素4は、図略のボルトなどにより梁9上に固定されている。図1に示すように、本実施形態に係る制震リフォーム方法においては、ダンパーを有する制震壁要素10と1階壁要素3とを交換することにより、建物1の制震性能を向上させる。
1階壁要素3及び2階壁要素4は、低耐震壁要素20(空軸又は開口軸)及び耐力壁要素30のいずれか一方である。低耐震壁要素20は、耐力壁要素30よりも耐震性が低くなっている。また開口軸は、建物1の窓部分に設置されるものであり、窓の開口部分に対応した開口形状を有する。
図1に示すように、低耐震壁要素20は、鉛直方向に延びる2本の柱21と、水平方向に延びると共に柱21に組み付けられた2本の梁22と、2本の柱21及び2本の梁22よりなる矩形の枠体の内側において水平に配置された中間梁23と、を有する。また耐力壁要素30は、鉛直方向に延びる2本の柱31と、水平方向に延びると共に柱31に組み付けられた2本の梁32と、2本の柱31及び2本の梁32よりなる矩形の枠体の対角線上に配置された2本のブレース33と、を有する。
図1に示すように、1階壁7は、耐力壁要素30(1階耐力壁要素30とも称する)と、1階耐力壁要素30よりも耐震性が低い低耐震壁要素20(1階低耐震壁要素20とも称する)と、を含む。また2階壁8は、耐力壁要素30(2階耐力壁要素30とも称する)と、2階耐力壁要素30よりも耐震性が低い低耐震壁要素20(2階低耐震壁要素20とも称する)と、を含む。
図2は、建物1の1階平面図である。図2に示すように、1階壁7は、建物1の外周を構成する1階壁要素3である1階外周壁要素3Aと、1階外周壁要素3Aの内側に配置された1階壁要素3である1階内側壁要素3Bと、を含む。1階内側壁要素3Bは、建物1における間仕切壁などである。
次に、本実施形態に係る制震リフォーム方法について順に説明する。
まず、制震壁要素10を準備する準備ステップが行われる。制震壁要素10は、地震動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収する機能を有する。図3に示すように、制震壁要素10は、2本の柱11と、2本の柱11に組み付けられた2本の梁12と、2本の柱11及び2本の梁12よりなる矩形の枠体の内側に配置された複数(2つ)のダンパー13と、を有する。
ダンパー13は、伸縮可能な高減衰ゴムを有する。図3に示すように、地震時に制震壁要素10に対して水平方向に震動力F1が加わると、制震壁要素10の枠体が水平方向に変形する。これにより、ダンパー13に対して圧縮力又は引張力が加わることで高減衰ゴムが伸縮し、その結果ダンパー13において温度上昇(例えば2〜3℃)が起こる。このように、制震壁要素10によれば、ダンパー13が有する高減衰ゴムの伸縮により制震壁要素10に加わる地震動エネルギーを熱エネルギーに変換することができる。
この準備ステップでは、ダンパー性能が互いに異なる2種類の制震壁要素10(第1制震壁要素40及び第2制震壁要素50)がそれぞれ準備される。図3に示すように、第1制震壁要素40及び第2制震壁要素50は、互いに同じ大きさ及び形状を有するが、第2制震壁要素50のダンパー性能が第1制震壁要素40のそれよりも低くなっている。即ち、第2制震壁要素50による地震動エネルギーの吸収能力は、第1制震壁要素40のそれよりも低くなっており、具体的には第1制震壁要素40の1/2となっている。
次に、複数の1階壁要素3から交換対象となる1階壁要素3を選定する選定ステップが行われる。このステップでは、図1の矢印S1〜S4に示すように、複数の1階壁要素3のうち、建物1の外周を構成する1階外周壁要素3Aであり且つ1階低耐震壁要素20に相当する1階壁要素3を選定する。
次に、上記選定ステップにおいて選定された1階壁要素3と制震壁要素10とを交換した場合に、制震壁要素10の柱11と2階耐力壁要素30の柱31とが鉛直方向に互いに重なると共に、建物1に水平方向の震動力F1が加わることにより両柱11,31に対して同じ向きに鉛直方向の力が加わる、という条件が満たされるか否かを判断する判断ステップが行われる。
図4は、図1の矢印S1,S3に示すように、制震壁要素10と1階壁要素3とを交換した後の状態を示している。図5は、図1の矢印S2,S4に示すように、制震壁要素10と1階壁要素3とを交換した後の状態を示している。
図4では、制震壁要素10の左右の柱11と2階耐力壁要素30の左右の柱31とが、それぞれ鉛直方向において互いに重なっている。また図4に示すように、建物に水平方向の震動力F1が加わることにより、鉛直方向に重なる両柱11,31に対して同じ向きに鉛直方向の力F2,F3が加わる。具体的には、図4の左から右に向かって震動力F1が加わることにより、右側の両柱11,31に対して鉛直方向下向きの力F2が加わると共に、左側の両柱11,31に対して鉛直方向上向きの力F3が加わる。
一方、図5では、2階耐力壁要素30の左側の柱31と制震壁要素10の右側の柱11とが鉛直方向に互いに重なっているが、震動力F1が加わることにより両柱11,31に対して互いに逆向きに鉛直方向の力F2,F3が加わる。具体的には、2階耐力壁要素30の左側の柱31に対して鉛直方向上向きの力F2が加わると共に、制震壁要素10の右側の柱11に対して鉛直方向下向きの力F3が加わる。
この判断ステップでは、図4のような場合には「上記条件が満たされる」と判断し、図5のような場合には「上記条件が満たされない」と判断する。上記条件が満たされる場合には、2階耐力壁要素30がそれよりも上の部分(例えば屋根6(図1))から受ける力が、2階耐力壁要素30の柱31及び制震壁要素10の柱11を介して基礎2に伝わる。このため、上記条件が満たされない場合に比べて、制震壁要素10による交換後に基礎2に加わる負荷が大きくなる。そこで、本実施形態に係る制震リフォーム方法では、以下に説明する通り、上記条件が満たされる場合には、基礎2に対する負荷を軽減するため、ダンパー性能が相対的に低い第2制震壁要素50と1階壁要素3とを交換する。
次に、制震壁要素10と1階壁要素3とを交換する交換ステップが行われる。このステップでは、上記選定ステップにおいて選定された1階壁要素3(1階外周壁要素3Aであり且つ1階低耐震壁要素20であるもの)と、第1制震壁要素40及び第2制震壁要素50のうち一方の制震壁要素10と、を交換する。
ここで、上記判断ステップにおいて上記条件が満たされると判断した場合(図4の場合)、ダンパー性能が低い第2制震壁要素50と1階壁要素3とを交換する。一方で、上記判断ステップにおいて上記条件が満たされないと判断した場合(図5の場合)、ダンパー性能が高い第1制震壁要素40と1階壁要素3とを交換する。即ち、図1の矢印S1,S3に示すように制震壁要素10を設置する場合には第2制震壁要素50が選択され、一方で図1の矢印S2,S4に示すように制震壁要素10を設置する場合には第1制震壁要素40が選択される。
またこの交換ステップでは、基礎2における制震壁要素10の取付部の構造(アンカーボルト91による固定部の構造)を維持したまま、制震壁要素10と1階壁要素3とを交換する。以上のような手順で制震壁要素10と1階壁要素3との交換が完了し、本実施形態に係る制震リフォーム方法が終了する。
以上のように、本実施形態に係る制震リフォーム方法によれば、既存の建物1の1階壁要素3とダンパー13を有する制震壁要素10とを交換することにより、建物1の制震性能を向上させることができる。ここで、制震壁要素10による交換を行った場合に上記条件(制震壁要素10の柱11と2階耐力壁要素30の柱31とが鉛直方向に互いに重なると共に、建物1に水平方向の震動力F1が加わることにより両柱11,31に対して同じ向きに鉛直方向の力F2,F3が加わる)が満たされるか否かを判断する。上記条件が満たされる場合には、2階耐力壁要素30がそれより上の部分(屋根6など)から受ける力を負担し、この力が2階耐力壁要素30の柱31及び制震壁要素10の柱11を介して基礎2に伝わるため、制震壁要素10による交換後に基礎2に加わる負荷が過大になる。このため、上記条件が満たされると判断した場合には、第1制震壁要素40よりもダンパー性能が低く、基礎2に対する負荷が第1制震壁要素40よりも小さい第2制震壁要素50と1階壁要素3とを交換する。これにより、第1制震壁要素40と1階壁要素3とを交換した場合と異なり、制震壁要素10の柱11の傾きが許容されることで基礎2に対する負荷が軽減されるため、リフォーム後において基礎2に過大な負担が加わるのを防止することができる。
上記制震リフォーム方法では、判断ステップにおいて上記条件が満たされないと判断した場合、交換ステップでは第1制震壁要素40と1階壁要素3とを交換する。上記条件が満たされず、リフォーム後において基礎2に対して過大な負担が加わる虞が少ない場合には、ダンパー性能がより高い第1制震壁要素40と1階壁要素3とを交換することで、建物1の制震性能をさらに改善することができる。なお、上記条件が満たされないと判断した場合でも、交換ステップにおいて第2制震壁要素50と1階壁要素3とを交換してもよい。
上記制震リフォーム方法において、1階壁7は、建物1の外周を構成する1階壁要素3である1階外周壁要素3Aと、1階外周壁要素3Aの内側に配置された1階壁要素3である1階内側壁要素3Bと、を含む。そして、交換ステップでは、制震壁要素10と1階外周壁要素3Aとを交換する。制震壁要素10による建物1の揺れ抑制の効果は、制震壁要素10を建物1の外周に設置した場合により高くなる。このため、制震壁要素10と1階外周壁要素3Aとを交換することにより、建物1の制震性能を一層改善することができる。
上記制震リフォーム方法において、1階壁7は、1階耐力壁要素30と、1階耐力壁要素30よりも耐震性が低い1階低耐震壁要素20と、を含む。そして、交換ステップでは、制震壁要素10と1階低耐震壁要素20とを交換する。これにより、リフォーム前後において1階耐力壁要素30の数を維持することができるため、既存の建物1の耐震性を維持することができる。
上記制震リフォーム方法において、交換ステップでは、基礎2における制震壁要素10の取付部の構造を維持したまま制震壁要素10と1階壁要素3とを交換する。これにより、リフォーム施工をより簡易化することができる。
(実施形態2)
次に、本発明の他の実施形態である実施形態2について、図6を参照して説明する。実施形態2に係る制震リフォーム方法は、基本的に上記実施形態1に係る制震リフォーム方法と同様の手順で行われるが、1階壁7において水平方向に互いに対向する壁部の各々に制震壁要素10を設置する点において上記実施形態1と異なっている。以下、上記実施形態1と異なる点について説明する。
図6は、実施形態2における建物1の1階平面図である。図6に示すように、1階壁7は、水平方向に互いに対向する北側壁部7A及び南側壁部7B(一対の1階壁部)を有する。また1階壁7は、同様に水平方向に互いに対向する東側壁部7C及び西側壁部7D(一対の1階壁部)を有する。
まず、選定ステップでは、一対の1階壁部の各々において交換対象となる1階壁要素3を選定する。より具体的には、南北方向に互いに対向する北側壁部7A及び南側壁部7Bの各々において交換対象となる1階壁要素3を選定すると共に、東西方向に互いに対向する東側壁部7C及び西側壁部7Dの各々において交換対象となる1階壁要素3を選定する。図6に示すように、本実施形態では、北側壁部7A、南側壁部7B、東側壁部7C及び西側壁部7Dの各々において、1階低耐震壁要素20である1階壁要素3を選定する。
次に、判断ステップでは、一対の1階壁部の各々において上記条件が満たされるか否かを判断する。具体的には、北側壁部7A及び南側壁部7Bの各々において、図4,5を参照して説明した上記条件(制震壁要素10の柱11と2階耐力壁要素30の柱31とが鉛直方向に互いに重なると共に、建物1に水平方向の震動力F1が加わることにより両柱11,31に対して同じ向きに鉛直方向の力F2,F3が加わる)が満たされるか否かを判断する。また東側壁部7C及び西側壁部7Dの各々においても、上記条件が満たされるか否かを判断する。本実施形態では、北側壁部7A、南側壁部7B及び西側壁部7Dにおいては上記条件が満たされず、東側壁部7Cにおいてのみ上記条件が満たされる場合について説明する。
次に、交換ステップでは、上記選定ステップで選定された1階壁要素3と制震壁要素10とを交換する。実施形態2では、一対の1階壁部の少なくとも一方において上記条件が満たされる場合には、当該一対の1階壁部の両方において第2制震壁要素50と1階壁要素3とを交換する。また一対の1階壁部の両方において上記条件が満たされない場合には、当該一対の1階壁部の両方において第1制震壁要素40と1階壁要素3とを交換する。即ち、一対の1階壁部の各々に対して、第1制震壁要素40及び第2制震壁要素50から選択される同じ種類の制震壁要素10が設置される。
上述の通り、本実施形態では、東側壁部7Cにおいて上記条件が満たされる一方で、西側壁部7Dにおいて上記条件が満たされない。従って、上記基準に従い、東側壁部7C及び西側壁部7Dの両方において第2制震壁要素50と1階壁要素3とを交換する。
一方、本実施形態では、北側壁部7A及び南側壁部7Bの両方において上記条件が満たされない。このため、上記基準に従い、北側壁部7A及び南側壁部7Bの両方において第1制震壁要素40と1階壁要素3とを交換する。
以上のように、実施形態2では、1階壁7において水平方向に互いに対向する壁部に同じ種類の制震壁要素10を設置することができる。即ち、北側壁部7A及び南側壁部7Bには同じ第1制震壁要素40を設置し、東側壁部7C及び西側壁部7Dには同じ第2制震壁要素50を設置することができる。これにより、水平方向に互いに対向する壁部の各々に別の種類の制震壁要素10を設置する場合と異なり、制震リフォーム後における建物1の偏心を抑制することができる。
(その他実施形態)
最後に、本発明のその他実施形態について説明する。
上記実施形態1では、図4に示すように、制震壁要素10及び2階耐力壁要素30の水平方向の幅が同じであり、左右2つの柱11,31の両方が鉛直方向に重なる場合について説明したが、これに限定されない。
図7に示すように、制震壁要素10の方が2階耐力壁要素30よりも水平方向の幅が大きく、左側の柱11,31のみが鉛直方向に重なっていてもよい。この場合でも、建物に水平方向の震動力F1が加わることにより両柱11,31に対して同じ向き(上向き)に鉛直方向の力F3が加わるため、判断ステップにおいて上記条件が満たされると判断する。
また図8に示すように、2階耐力壁要素30の方が制震壁要素10よりも水平方向の幅が大きく、左側の柱11,31のみが鉛直方向に重なっていてもよい。この場合でも、建物に水平方向の震動力F1が加わることにより両柱11,31に対して同じ向き(上向き)に鉛直方向の力F3が加わるため、判断ステップにおいて上記条件が満たされると判断する。
また図9に示すように、制震壁要素10及び2階耐力壁要素30の水平方向の幅が互いに同じであり、且つ制震壁要素10の柱11と2階耐力壁要素30の柱31とが鉛直方向に重らなくてもよい。また図10に示すように、2階耐力壁要素30の方が制震壁要素10よりも水平方向の幅が大きく、且つ制震壁要素10の柱11と2階耐力壁要素30の柱31とが鉛直方向に重らなくてもよい。図9,図10の場合には、判断ステップにおいていずれも上記条件が満たされないと判断する。
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 建物
2 基礎
3 1階壁要素
3A 1階外周壁要素
3B 1階内側壁要素
4 2階壁要素
7 1階壁
7A 北側壁部(1階壁部)
7B 南側壁部(1階壁部)
7C 東側壁部(1階壁部)
7D 西側壁部(1階壁部)
8 2階壁
10 制震壁要素
11 柱
13 ダンパー
20 低耐震壁要素(1階低耐震壁要素、2階低耐震壁要素)
30 耐力壁要素(1階耐力壁要素、2階耐力壁要素)
31 柱
40 第1制震壁要素
50 第2制震壁要素

Claims (7)

  1. 基礎と、水平方向に並べられた複数の1階壁要素を有すると共に前記基礎上に配置された1階壁と、2階耐力壁要素を含むと共に水平方向に並べられた複数の2階壁要素を有し、前記1階壁上に配置された2階壁と、を備えた既存の建物において、ダンパーを有する制震壁要素と前記1階壁要素とを交換する建物の制震リフォーム方法であって、
    第1制震壁要素と、前記第1制震壁要素よりも低いダンパー性能を有する第2制震壁要素と、を前記制震壁要素として準備する準備ステップと、
    前記複数の1階壁要素から交換対象となる前記1階壁要素を選定する選定ステップと、
    前記選定ステップにおいて選定された前記1階壁要素と前記制震壁要素とを交換した場合に、前記制震壁要素の柱と前記2階耐力壁要素の柱とが鉛直方向に互いに重なると共に、前記建物に水平方向の震動力が加わることにより両柱に対して同じ向きに鉛直方向の力が加わる、という条件が満たされるか否かを判断する判断ステップと、
    前記判断ステップにおいて前記条件が満たされると判断した場合、前記第2制震壁要素と前記1階壁要素とを交換する交換ステップと、を備えることを特徴とする、制震リフォーム方法。
  2. 前記判断ステップにおいて前記条件が満たされないと判断した場合、前記交換ステップでは前記第1制震壁要素と前記1階壁要素とを交換することを特徴とする、請求項1に記載の制震リフォーム方法。
  3. 前記1階壁は、前記建物の外周を構成する前記1階壁要素である1階外周壁要素と、前記1階外周壁要素の内側に配置された前記1階壁要素である1階内側壁要素と、を含み、
    前記交換ステップでは、前記制震壁要素と前記1階外周壁要素とを交換することを特徴とする、請求項1又は2に記載の制震リフォーム方法。
  4. 前記1階壁は、1階耐力壁要素と、前記1階耐力壁要素よりも耐震性が低い1階低耐震壁要素と、を含み、
    前記交換ステップでは、前記制震壁要素と前記1階低耐震壁要素とを交換することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の制震リフォーム方法。
  5. 前記1階壁は、少なくとも1つの前記1階壁要素により構成され、水平方向に互いに対向する一対の1階壁部を有し、
    前記選定ステップでは、前記一対の1階壁部の各々において交換対象となる前記1階壁要素を選定し、
    前記判断ステップでは、前記一対の1階壁部の各々において前記条件が満たされるか否かを判断し、
    前記交換ステップでは、前記一対の1階壁部の少なくとも一方において前記条件が満たされる場合には、前記一対の1階壁部の両方において前記第2制震壁要素と前記1階壁要素とを交換することを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の制震リフォーム方法。
  6. 前記交換ステップでは、前記一対の1階壁部の両方において前記条件が満たされない場合には、前記一対の1階壁部の両方において前記第1制震壁要素と前記1階壁要素とを交換することを特徴とする、請求項5に記載の制震リフォーム方法。
  7. 前記交換ステップでは、前記基礎における前記制震壁要素の取付部の構造を維持したまま前記制震壁要素と前記1階壁要素とを交換することを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の制震リフォーム方法。
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