JP5240338B2 - 免振装置 - Google Patents
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Description
この免振装置の一例として、特許文献1には、上下一対の摩擦板の下に、積層ゴムを直列配置した構成が開示されている。そして、この構成によれば、中規模以上の地震に対しては、前記一対の摩擦板同士が水平方向に摺動して免振し、その摺動時の摩擦力を建物の振動の減衰力として用いる一方、前記摩擦板同士が摺動しないような小規模の地震に対しては、積層ゴムが水平方向に変形することによって、建物の振動を所期の免振周期に長周期化して免振しつつ、その振動エネルギーを吸収して振動を減衰する(特許文献1を参照)。
免振対象物の水平移動を許容しつつ該免振対象物の重量を支持する支承部と、前記免振対象物の水平移動を抑制する摩擦ダンパー部とが、前記免振対象物とその下方の下部構造体との間の上下方向隙間に並列に介装されてなる免振装置であって、
前記摩擦ダンパー部は、
前記免振対象物と前記下部構造体との水平方向の相対変位に応じて水平方向に摺動する上下一対の摩擦部材と、
該一対の摩擦部材に対して直列に配置されて、水平力に応じて上端と下端とが水平方向に相対変位する弾性体と、
前記一対の摩擦部材に対して直列に配置されて、前記一対の摩擦部材に鉛直方向の圧接力を付与する皿ばねと、
該皿ばねのたわみ量を調節することにより前記圧接力の大きさを調節する調節機構と、を備え、
前記弾性体は、前記上下一対の摩擦部材同士が摺動しないような小さな水平力の作用下において、前記免振対象物の振動を所定の免振周期に長周期化しつつ、その振動を減衰させ、
前記皿ばねが付与する前記圧接力は、鉛直荷重として前記弾性体にも作用し、
前記弾性体による前記所定の免振周期が、前記調節機構によって前記皿ばねのたわみ量を調節することにより調整可能に構成されていることを特徴とする。
前記免振対象物の下面にボルト止めされ、鉛直方向に沿って形成された挿入孔を有する加圧部と、
前記皿ばねを上下に挟んで配置される上加圧板及び下加圧版と、
前記下加圧板から突出し、前記皿ばねの中央の貫通孔に挿通され、更に、前記上加圧板の中央の貫通孔にも挿通された円柱シャフトと、
前記上加圧板から突出し、前記加圧部に設けられた前記挿入孔に螺合する円筒部と、
を備え、
前記上加圧板を前記加圧部に対して相対的に螺合回転させると、その螺合回転によって前記上加圧板が上下方向に送られるように構成されていることを特徴とすることとしてもよい。
前記下フランジ板は、前記上摩擦部材に固定され、
前記上フランジ板は、前記下加圧板に固定されていることを特徴とすることとしてもよい。
第1に示す免振装置は、
免振対象物の水平移動を許容しつつ該免振対象物の重量を支持する支承部と、前記免振対象物の水平移動を抑制する摩擦ダンパー部とが、前記免振対象物とその下方の下部構造体との間の上下方向隙間に並列に介装されてなる免振装置であって、
前記摩擦ダンパー部は、
前記免振対象物と前記下部構造体との水平方向の相対変位に応じて水平方向に摺動する上下一対の摩擦部材と、
該一対の摩擦部材に対して直列に配置されて、水平力に応じて上端と下端とが水平方向に相対変位する弾性体と、
前記一対の摩擦部材に対して直列に配置されて、前記一対の摩擦部材に鉛直方向の圧接力を付与する皿ばねと、
該皿ばねのたわみ量を調節することにより前記圧接力の大きさを調節する調節機構と、を備えたことを特徴とする。
上記第1に示す発明によれば、先ず、免振対象物の重量を、概ね前記支承部の方で支持し、前記摩擦ダンパー部の方では支持しないので、前記一対の摩擦部材の摩擦力は、これら摩擦部材同士の間の摩擦係数と、前記皿ばねの圧接力とに基づいて定まる。そして、摩擦部材の摩擦係数は既知であるし、皿ばねの圧接力は前記調節機構によって調節できるので、摩擦ダンパー部の摩擦力を、所期の目標値に容易に設定可能となる。
更には、地震時に免振対象物にロッキング振動が生じても、免振対象物の重量は概ね前記支承部が支持していることから、摩擦ダンパー部の方には、ロッキング振動による荷重変動の影響は殆ど顕れず、つまり前記圧接力の変動は小さいので、前記摩擦ダンパー部の前記摩擦力及び免振周期も概ね目標値に維持される。
前記弾性体に並列して補助摩擦ダンパーが設けられており、
該補助摩擦ダンパーが水平方向に摺動する際の摩擦力の大きさは、前記一対の摩擦部材が水平方向に摺動する際の摩擦力の大きさよりも小さく、
前記補助摩擦ダンパーが摺動しない時には、該補助摩擦ダンパーは、前記弾性体の上端と下端との水平方向の相対変位を不能に拘束することを特徴とする。
上記第2に示す発明によれば、風荷重などの小さな水平力が作用しただけで免振対象物が水平方向に振動してしまうことを、有効に防ぐことができる。詳しくは次のとおりである。
但し、ここで、上述の免振装置は補助摩擦ダンパーを備えており、この補助摩擦ダンパーは、自身が摺動を開始するまでは、前記弾性体の上端と下端との水平方向の相対変位を不能に拘束する。そして、摺動する際の摩擦力の大きさは、前記一対の摩擦部材が摺動する際の摩擦力の大きさよりも小さく設定されている。よって、風荷重などの小さな水平力が作用しただけで建物が水平方向に振動してしまうことを、有効に防ぐことができる。
前記一対の摩擦部材と前記弾性体とは上下に連接されており、
前記補助摩擦ダンパーは、前記一対の摩擦部材のうちの一方の摩擦部材に水平方向の摺動可能に設けられた補助摩擦部材と、該補助摩擦部材に直列に配置されて前記補助摩擦部材に鉛直方向の圧接力を付与するばね部材と、を備えていることを特徴とする。
上記第3に示す発明によれば、前記一対の摩擦部材のうちの一方の摩擦部材を、前記補助摩擦ダンパーの構成部品として兼用するので、前記補助摩擦ダンパーの補助摩擦部材を一つ削減できて、結果、コスト削減を図れる。
前記弾性体は、粘弾性体であることを特徴とする。
上記第4に示す発明によれば、粘弾性体の上端と下端とが水平方向に相対変位する際の粘弾性体自身の剪断変形に伴うエネルギー吸収作用によって、免振対象物の振動エネルギーを吸収する。よって、免振対象物の振動の減衰性を更に高めることができる。
前記圧接力を受ける支持部材は、前記弾性体に並列して配置されず、
前記皿ばねのたわみ量の変化に対する弾発力の変化の割合は、第1範囲のたわみ量よりも第2範囲のたわみ量の方が小さく、
前記調節機構によって、前記皿ばねのたわみ量は前記第2範囲に収まるように調節されていることを特徴とする。
上記第5に示す発明によれば、前記弾発力の変化の割合の小さい前記第2範囲に、前記皿ばねのたわみ量が収まるように調節されている。よって、ロッキング振動等により前記免振装置が介装されている前記上下方向隙間の大きさが変化し、これに起因して皿ばねのたわみ量が変動したとしても、前記第2範囲における皿ばねの弾発力の変化は小さいので、当該皿ばねの圧接力の変動は抑えられ、もって、前記摩擦ダンパー部の摩擦力及び免振周期を前記目標値に概ね維持することができる。
前記弾性体の上端と下端との水平方向の相対変位を許容しつつ、前記弾性体の上端と下端との間の間隔を、前記弾性体の自然長の大きさに保持する保持部材が、前記弾性体に並列して設けられていることを特徴とする。
上記第6に示す発明によれば、前記保持部材によって、前記弾性体は前記皿ばねからの圧接力が作用しない自然長の状態に保持されている。よって、当該弾性体の水平剛性の大きさは概ね一定値に維持されるため、前記摩擦ダンパー部による免振周期を、所期の目標値に容易に設定できるとともに、免振対象物にロッキング振動が生じても前記目標値に維持可能である。
図1に、第1実施形態の免振装置10が適用された建物1の概念図を示す。免振装置10は、免振対象物としての建物1と、その下方の下部構造体としての基礎3との間の上下方向隙間Gに介装される。そして、この上下方向隙間Gには、上記の免振装置10が複数並列配置されており、もって、これら複数の免振装置10は、建物1の平面内の各支持位置において建物1の重量を分担支持している。
図9は第2実施形態の免振装置10bの側断面図である。第1実施形態の免振装置10では、小さい地震荷重に対しては、弾性ゴム部50が水平方向に剪断変形して免振するようになっていた。但し、その構成では、小さい地震荷重だけでなく、それよりも更に小さい風荷重によっても、弾性ゴム部50が剪断変形してしまい、その結果、風により建物1が揺れ易くなり居住性が悪くなる虞がある。
図11は第3実施形態の免振装置10cの側断面図である。第1実施形態の免振装置10では、皿ばね部40の圧接力が弾性ゴム部50の積層ゴム51にも作用していたが、この第3実施形態では、弾性ゴム部50cの積層ゴム51cに対しては転がり支承部材81が並列に配置されており、この転がり支承部材81の方が前記積層ゴム51cの代わりに前記圧接力を受けるようになっている。よって、前記積層ゴム51cには前記圧接力が作用せず、つまり、積層ゴム51cの高さは、鉛直荷重の作用しない自然長にほぼ保持されるので、その水平剛性Khは所定値(積層ゴム51cの固有値)のまま変動せず、もって、弾性ゴム部50cによる免振周期を所期の目標値に確実に維持可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
3 下部構造体(基礎)、3a 上面、
10 免振装置、10a 免振装置、10b 免振装置、
10c 免振装置、10d 免振装置、10e 免振装置、
20 支承部、21a 受け座、21b 受け座、
23 転がり板、24 転がり板、25 鋼球、
30 摩擦ダンパー部、30a 摩擦ダンパー部、30b 摩擦ダンパー部、
30c 摩擦ダンパー部、30d 摩擦ダンパー部、30e 摩擦ダンパー部、
40 皿ばね部、41 皿ばね積層体、
42 皿ばね、42U 皿ばねユニット、42a 貫通孔、
44 圧接力調節機構(調節機構)、
45 上加圧板、45a 貫通孔、45b 円筒部、
46 下加圧板、46a シャフト、
47 加圧部、47a 挿入孔、50 弾性ゴム部、
50a 弾性ゴム部、50c 弾性ゴム部、50e 弾性ゴム部、
51 積層ゴム(弾性体)、51a 鋼板、51b ゴム層、
51c 積層ゴム(弾性体)、52 上フランジ板、53 下フランジ板、
55 粘弾性ゴム(弾性体)、60 摩擦減衰部、
61 上摩擦板(摩擦部材)、62 下摩擦板(摩擦部材)、
70 補助摩擦ダンパー、71 取り付け用ロッド、
71a 上端部、71b 下端部、72 補助摩擦部材、72a 貫通孔、
73 加圧板、74 ナット部材、75 皿ばね(ばね部材)、
81 転がり支承部材(保持部材)、82 鋼球、
83 転がり板、84 転がり板、
85 円環状ガイド部材、85a 面取り部、
86 円環状ガイド部材、86a 面取り部、
91 粘弾性ゴム(弾性体)、92 転がり支承部材(保持部材)、
93 転がり板、 93a 鉛直壁部、
94 転がり板、94a 鉛直壁部、95 鋼球、
101 メカストッパー、102 円筒体、103 緩衝材、
G 上下方向隙間、Gc 上下方向隙間、S 所定隙間
Claims (3)
- 免振対象物の水平移動を許容しつつ該免振対象物の重量を支持する支承部と、前記免振対象物の水平移動を抑制する摩擦ダンパー部とが、前記免振対象物とその下方の下部構造体との間の上下方向隙間に並列に介装されてなる免振装置であって、
前記摩擦ダンパー部は、
前記免振対象物と前記下部構造体との水平方向の相対変位に応じて水平方向に摺動する上下一対の摩擦部材と、
該一対の摩擦部材に対して直列に配置されて、水平力に応じて上端と下端とが水平方向に相対変位する弾性体と、
前記一対の摩擦部材に対して直列に配置されて、前記一対の摩擦部材に鉛直方向の圧接力を付与する皿ばねと、
該皿ばねのたわみ量を調節することにより前記圧接力の大きさを調節する調節機構と、を備え、
前記弾性体は、前記上下一対の摩擦部材同士が摺動しないような小さな水平力の作用下において、前記免振対象物の振動を所定の免振周期に長周期化しつつ、その振動を減衰させ、
前記皿ばねが付与する前記圧接力は、鉛直荷重として前記弾性体にも作用し、
前記弾性体による前記所定の免振周期が、前記調節機構によって前記皿ばねのたわみ量を調節することにより調整可能に構成されていることを特徴とする免振装置。 - 前記調節機構は、
前記免振対象物の下面にボルト止めされ、鉛直方向に沿って形成された挿入孔を有する加圧部と、
前記皿ばねを上下に挟んで配置される上加圧板及び下加圧版と、
前記下加圧板から突出し、前記皿ばねの中央の貫通孔に挿通され、更に、前記上加圧板の中央の貫通孔にも挿通された円柱シャフトと、
前記上加圧板から突出し、前記加圧部に設けられた前記挿入孔に螺合する円筒部と、
を備え、
前記上加圧板を前記加圧部に対して相対的に螺合回転させると、その螺合回転によって前記上加圧板が上下方向に送られるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の免振装置。 - 前記弾性体は、上フランジ板と、下フランジ板と、当該上フランジ板及び下フランジ板に挟まれた積層ゴムとを有し、
前記下フランジ板は、前記上摩擦部材に固定され、
前記上フランジ板は、前記下加圧板に固定されていることを特徴とする、請求項2に記載の免振装置。
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