JP7224101B2 - 変位ストッパーと免震建物 - Google Patents

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本発明は、変位ストッパーと、この変位ストッパーを備えた免震建物に関する。
例えば、基礎と建物の間に免震装置を備えた免震建物では、地震時の振動が免震装置にて減衰もしくは吸収されるとともに、地震による建物振動の振動態様が水平方向に長周期化されることにより、建物の倒壊が抑制されるとともに、建物内の人が過度の地震加速度を受け難くなっている。
一般に、免震装置は、積層ゴム一体型の免震支承や滑り免震支承、転がり免震支承などの免震支承(アイソレーター)と、ダンパーと、復元材(建物を元の位置に戻す部材)と、から構成され、ダンパーを備えた免震支承も存在する。免震支承は、例えば建物の柱下に設置され、建物重量を支持するとともに、地震時には水平方向に変位して地震時のエネルギーを吸収する。一方、ダンパーは、免震支承によって建物が過度に水平変位するのを抑制するべく、建物が所定の変位量に達した段階で例えば自身が塑性変形することにより、建物の変位を抑制する。
基礎と建物の間に免震装置を備えた構造は基礎免震もしくは基礎免震構造と称されるが、この基礎免震では、基礎を構成する基礎梁等に連続するようにして建物から離間した位置に擁壁が設けられる場合がある。この擁壁により、建物が水平移動した際に敷地の外側に迫り出すことを防止することができる。
しかしながら、巨大地震等によって建物が想定外の水平変位量で変位した際に、ダンパーによる変位抑制作用が不十分な場合は建物と擁壁が衝突する恐れがある。そのため、建物側もしくは擁壁側において、双方が衝突した際の衝撃力を緩和する緩衝材とストッパーを取付ける技術が提案されている。具体的には、免震建物構造の立ち上がり壁と免震建物構造躯体との間にクリアランスが形成され、基礎構造と上部構造との間にピットが形成され、クリアランスの所要個所に変形制御装置が設けられている免震構造物である。この変形制御装置は、エネルギー吸収部材と変形ストッパー部材とを有する。地震後に、免震装置と共に変形制御装置が元の状態に復元され、さらに、巨大地震が生じた場合には、変形ストッパー部材がエネルギー吸収部材に当接して押圧し、エネルギー吸収部材が押し潰されて地震エネルギーを吸収し、免震装置が過大変形および破損しないように作用するものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-180292号公報
しかしながら、特許文献1に記載の免震構造物は、擁壁側にエネルギー吸収部材を取付け、上部構造側に変形ストッパー部材を取付けて変形制御装置の設置が完了することから、変形制御装置の取付けに手間がかかり、施工性に課題があるとともに、変形制御装置が2つの部材から構成されることから製造コストが嵩んでしまう。さらに、この変形制御装置を想定外の巨大地震に対応させようとした際に、エネルギー吸収部材も変形ストッパー部材も大きくなり過ぎることが懸念され、この場合には上記する施工性の問題が一層顕著になる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、エネルギー吸収性に優れ、良好な施工性を享受できる変位ストッパーと、この変位ストッパーを備えた免震建物を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による変位ストッパーの一態様は、上部構造体と下部構造体の間に免震装置を有する免震層が介在する免震建物において、該免震層に取付けられて該上部構造体の水平変位を抑制する変位ストッパーであって、
弾性材料からなる2つの立ち上がり片を備え、該2つの立ち上がり片はそれぞれの脚部から頭部に向かって傾斜するとともに頭部同士で連続し、該脚部および該頭部はともに平坦な端面を有している弾性体からなり、
前記立ち上がり片は、前記脚部において他方の前記立ち上がり片側に突出する凸部を備えていることを特徴とする。
本態様によれば、免震層を構成する部材に対して弾性材料からなる弾性体を有する変位ストッパーを取付けるのみでよいことから、良好な施工性が得られる。さらに、変位ストッパーが、傾斜する2つの立ち上がり片の脚部において他方の立ち上がり片側に突出する凸部を備えていることにより、この凸部を備えていない場合に比べて高い衝撃エネルギー吸収性を得ることができる。
また、本発明による変位ストッパーの他の態様において、前記立ち上がり片は直線状に傾斜し、前記凸部は正面視形状が三角形であることを特徴とする。
本態様によれば、正面視形状が三角形の凸部を弾性体が2つの脚部の内側(相手の脚部側)に有することにより、特に変位ストッパーの最大荷重や初期剛性を高めることができる。
また、本発明による変位ストッパーの他の態様は、前記弾性体を形成する前記2つの立ち上がり片の前記脚部の前記端面が、前記免震層を構成する部材に取付けられる取付け用金属プレートに固定されていることを特徴とする。
本態様によれば、弾性体を形成する脚部に取付けボルト等が挿通されるボルト孔を開設する必要がないことから、このボルト孔等に起因する脚部の耐力低下の問題は生じない。また、変位ストッパーが水平変位して弾性体が上部構造体もしくは下部構造体に衝突して変形し、弾性体の脚部から作用荷重を構造体(自身が取り付けられている下部構造体もしくは上部構造体)に逃がす際に、弾性体の脚部にある取付け用金属プレートを介して分散された荷重を構造体に逃がすことができる。そのため、取付けられている下部構造体もしくは上部構造体に集中荷重が作用して損傷させるといった問題が生じない。
また、本発明による変位ストッパーの他の態様は、2つの前記弾性体の双方の脚部の端面同士が対向して双方の該端面間に介在する金属プレートに固定され、一方の前記弾性体の頭部の端面が、前記免震層を構成する部材に取付けられる取付け用金属プレートに固定されていることを特徴とする。
本態様によれば、既述する弾性体の半分程度の寸法の2つの小型の弾性体を金属プレートを介して一体とすることにより、同程度の衝撃エネルギー吸収性能を奏しながら、変位ストッパー全体の重量や体積を低減することが可能となり、より一層良好な施工性(運搬性や取付け性)を得ることができる。
また、本発明による免震建物の一態様は、前記変位ストッパーが、前記免震層において前記上部構造体と前記下部構造体のいずれか一方に取付けられており、前記上部構造体が所定の水平変位量で変位した際に、前記変位ストッパーが前記上部構造体と前記下部構造体の他方に当接することを特徴とする。
本態様によれば、免震層に本発明に係る変位ストッパーが備えられていることにより、免震性能に優れ、かつ過度の水平変位が抑制された免震建物を提供することができる。
また、本発明による免震建物の他の態様において、前記免震建物は、前記上部構造体が1階以上の建物部分であり、前記下部構造体が基礎である、基礎免震構造を有していることを特徴とする。
本態様によれば、免震性能に優れ、かつ過度の水平変位が抑制された基礎免震構造の免震建物を提供することができる。なお、この基礎には、基礎スラブや、基礎梁と基礎スラブの組み合わせ、基礎スラブと基礎スラブの外郭に沿って立ち上がる擁壁を備えた形態など、多様な形態の基礎がある。
また、本発明による免震建物の他の態様において、前記免震建物は、前記上部構造体が建物の上層階部分であり、前記下部構造体が建物の下層階部分と基礎部分である、中間免震構造を有していることを特徴とする。
本態様によれば、免震性能に優れ、かつ過度の水平変位が抑制された中間免震構造の免震建物を提供することができる。この中間免震構造の一例として、3階以上の建物において、上層階部分が2階以上の部分であり、下層階部分が基礎と1階部分である形態や、平面積の広い体育館やアリーナ、物流倉庫等の平屋の建物において、上層階部分が屋根であり、下層階部分が基礎と1階部分である形態などを挙げることができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の変位ストッパーによれば、エネルギー吸収性に優れ、良好な施工性を享受できる。
本発明の第1の実施形態に係る変位ストッパーの一例を示す斜視図である。 上部構造体が水平変位する前の状態から、上部構造体が水平変位して第1の実施形態に係る変位ストッパーが下部構造体に当接し、変形している状態を説明する模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る変位ストッパーの一例を示す斜視図である。 基礎免震構造を有する本発明の第1の実施形態に係る免震建物の一例を示す正面図である。 中間免震構造を有する本発明の第2の実施形態に係る免震建物の一例を示す正面図である。 動的載荷試験の結果を示すヒステリシスループを示す図である。
以下、本発明の各実施形態に係る変位ストッパーと免震建物について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
[第1の実施形態に係る変位ストッパー]
はじめに、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る変位ストッパーの一例を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る変位ストッパーの一例を示す斜視図である。変位ストッパー30は、弾性体10と取付け用金属プレート20とを有する。弾性体10は、2つの直線状で傾斜した立ち上がり片1を備え、2つの立ち上がり片1はそれぞれの脚部から頭部に向かって傾斜するとともに頭部同士で連続し、頭部には平坦な頭部端面2を有し、脚部には平坦な脚部端面3を有している。弾性体10は、正面視V字形状の平面形状を有し、奥行き方向に所定長さを有する多角柱状のブロック体からなる。
取付け用金属プレート20は2つの立ち上がり片1よりも側方に突出しており、取付け用金属プレート20の左右の突出部にはそれぞれ複数のボルト孔20aが開設されている。変位ストッパー30は、免震装置の上部構造体や、上部構造体が対向する下部構造体の擁壁の側面等に対して、取付け用金属プレート20のボルト孔20aに挿通される不図示のボルトを介して取付けられる。そして、変位ストッパー30が水平変位した際に、弾性体10の頭部端面2が非取付け部材に当接し、さらに水平変位することにより押圧力を受けてエネルギー吸収性を発揮するものである。
直線状に傾斜する立ち上がり片1の脚部には、他方の立ち上がり片1側に突出する凸部4が一体に設けられている。図示例の凸部4は、正面視三角形状を呈し、奥行き方向に所定長さを有する三角柱状のブロック体である。
2つの立ち上がり片1と、各立ち上がり片1の脚部の内側の凸部4とは一体に成形されて、弾性体10を構成している。ここで、弾性体10の形成材料としては、粘弾性体を形成し得る減衰ゴム(高減衰ゴム)を挙げることができる。この減衰ゴムは、エネルギー吸収性と変形性(可撓性)を有する機能性材料であり、地震時等における繰返し荷重を受けた際のヒステリシスループの面積が大きく、大きなエネルギー吸収性を有している材料から形成されるのが好ましい。また、この減衰ゴムは、例えば数%の歪で降伏強度に達し、その後はクリープを生じながら変形する性能を有しているのが好ましい。このような材料から形成される場合は、弾性体10の変位が大きくなっても反力の上昇を低く抑えることが可能になる。このような減衰ゴムの具体例としては、例えば、天然ゴムやニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)またはその一部をハロゲン化したもの、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、ウレタンゴム(U)、アクリルゴム(ACM)、ポリノルボルネンゴム(PNR)等が挙げられる。さらに、これらのゴムに対して、高減衰性を奏する添加剤を加えて生成された高減衰性ゴムの組成物であってもよく、このような添加剤としては、カーボンブラック等を挙げることができる。
弾性体10と取付け用金属プレート20とは、接着強度の高い接着剤や加硫接着剤、粘着剤、接着テープ等を介して相互に固定される。この接着強度は、特に、引張せん断接着強さ(JISK6850)や圧縮せん断接着強さ(JISK6852)などであり、構造用接着剤(JISK6800)やエンジニアリング接着剤などを適用するのが好ましい。より具体的には、エポキシ系接着剤(常温硬化型エポキシ系構造用接着剤やエポキシ系弾性接着剤)、変性アクリル系接着剤(アクリル系構造用接着剤)、シアノアクリレート、ウレタン系接着剤、シリコーン接着剤などが挙げられる。
図1において、各寸法の相関の一例を示すと、頭部端面2の一辺の長さをB1、弾性体10の左右の脚部間の幅をB2、三角形状の凸部4の幅をB3とし、弾性体10の高さをH1、弾性体10の頭部下から脚部までの高さをH2、三角形状の凸部4の高さをH3とする。その際に、H1=2×B1、H2=1.5×B1、H3=0.1605×B1、B2=2.5×B1、B3=0.134×B1に設定できる。
図2は、上部構造体が水平変位する前の状態から、上部構造体が水平変位して第1の実施形態に係る変位ストッパーが下部構造体に当接し、変形している状態を説明する模式図である。ここで、図2(a)は、上部構造体が水平変位する前の状態を示す図であり、図2(b)は、上部構造体が水平変位して第1の実施形態に係る変位ストッパーが下部構造体に当接し、変形している状態を示す図である。図2(a)は、図4に示すII部を拡大して示す図であり、変位ストッパー30が上部構造体40の外壁の側面に取付けられ、上部構造体40の外壁の側面から隙間G1離れた位置に下部構造体50を構成する擁壁が対向している構成を示している。
図2に戻り、上部構造体40の外壁に対し、変位ストッパー30を形成する取付け用金属プレート20のボルト孔20aを介して高力ボルト20bがねじ込まれ、変位ストッパー30が上部構造体40に固定されている。図示するように、鉛直面をなす上部構造体40の外壁に対し、平坦な取付け用金属プレート20を介して弾性体10の脚部端面3と凸部4の端面が平行な状態で取付けられている。図2(a)の水平変位前(常時)の状態において、上部構造体40と下部構造体50の擁壁との間の隙間G1に変位ストッパー30が配設された状態において、変位ストッパー30頭部端面2と下部構造体50の擁壁の間にはクリアランスG2がある。
例えば極めて稀にしか発生しない巨大地震時などにおいて、図2(b)に示すように、上部構造体40が水平方向であるX方向にクリアランスG2だけ水平変位することにより、変位ストッパー30の頭部端面2が擁壁に当接する。そして、上部構造体40がさらに擁壁側へ水平変位しようとした際に、変位ストッパー30は頭部端面2から擁壁からの押し返し力Pを受ける。この押し返し力Pにより、弾性体10の2つの立ち上がり片1は側方に湾曲状に変形量δで変形し、この変形によって地震時のエネルギーを弾性体10が吸収しながら上部構造体40の水平変位を所定値内に留めることができる。
本発明者等による検証によれば、変位ストッパー30を形成する弾性体10が立ち上がり片1の脚部の内側(他方の立ち上がり片1側)に正面視三角形状の凸部4を有していることにより、この地震時のエネルギー吸収性が向上する。これは、弾性体10の立ち上がり片1の脚部端面3の面積が凸部4によって広くなることに加えて、傾斜した立ち上がり片1の脚部の内側(他方の立ち上がり片1側)に凸部4が設けられていることにより、弾性体10の弾性変形初期の初期剛性と降伏強度の双方が高められることに起因している。この初期剛性及び降伏強度の向上に加えて、凸部4を具備しない形態の弾性体と同程度かそれ以上の変形性能(降伏荷重以降の変形量)を有することより、変位-荷重グラフにおけるヒステリシスループの面積が大きくなり、エネルギー吸収性が高められることが実証されている。なお、このことは、以下の動的載荷試験とその結果の説明箇所にて詳説する。
また、変位ストッパー30が取付け用金属プレート20を介して上部構造体40にボルト固定されることにより、弾性体に直接ボルト孔を開設してボルト固定する形態に比べて、弾性体10の初期の剛性を保持することができ、ボルト孔を開設したことによる弾性体の剛性低下を解消できる。
また、図2(b)に示す変形状態の弾性体10から上部構造体40側へ伝達される押し返し力Pは、取付け用金属プレート20によって弾性体10の脚部から取付け用金属プレート20の全面を介して分布荷重qとして上部構造体40に伝達される。そのため、押し返し力Pが上部構造体40に集中的に作用して上部構造体40が局所的に損傷することを抑制することができる。
さらに、弾性体10が傾斜した立ち上がり片1の内側(他方の立ち上がり片1側)の脚部に凸部4を有することにより、弾性体10が脚部の外側に寸法が大きくなることが解消される。仮に、立ち上がり片1の脚部の外側に凸部が突出していると、ボルト孔を確保するべく、取付け用金属プレートの寸法が凸部の分だけ大きくなる。このように、傾斜した立ち上がり片1の内側に凸部4を有することにより、上記するエネルギー吸収性等の性能向上のみならず、全体寸法が大きくなることを解消できる効果を有している。
なお、弾性体10は、傾斜した立ち上がり片1の脚部の外側に凸部を有しておらず、内側(他方の立ち上がり片1側)に凸部4を有するものであれば、その正面視形状は、図示例の三角形に限定されず、正面視が矩形状のものや、湾曲状の輪郭を有する形状などであってもよい。
[第2の実施形態に係る変位ストッパー]
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施形態に係る変位ストッパーの一例を説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係る変位ストッパーの一例を示す斜視図である。変位ストッパー30Aは、2つの弾性体10Aの双方の脚部端面3同士が対向して双方の脚部端面3間に介在する金属プレート20Bに固定され、一方の弾性体10Aの頭部端面2に取付け用金属プレート20Aが固定され、全体が形成されている。弾性体10Aの脚部端面3と金属プレート20Bとの固定や、弾性体10Aの頭部端面2と取付け用金属プレート20Aとの固定はいずれも、上記する接着剤等にて接着固定される。
弾性体10Aの正面視形状は、図1に示す第1の実施形態に係る弾性体10の正面視形状と相似であり、かつ、縦横比は弾性体10の1/2となっている。すなわち、高さはH1/2であり、横幅はB2/2である。従って、取付け用金属プレート20Aを除く全体高さは、2つの弾性体10Aの高さの合計であるH1と、金属プレート20Bの厚みの総計であり、弾性体10の全体高さとほぼ同じである。従って、変位ストッパー30Aを図2に示す態様にて上部構造体40に取り付けた際に、クリアランスG2に近似したクリアランスを確保することができる。
一方、弾性体10に比べて弾性体10Aの横幅はB2/2と半分であることから、弾性体10Aの奥行き方向の長さを弾性体10と同程度であると仮定して、弾性体10Aの全体の体積は弾性体10に比べて格段に小さくなる。具体的には、弾性体10と弾性体10Aの正面視形状の相似比が2であることより、弾性体10Aは弾性体10の1/4の面積となる。弾性体10,10Aの奥行き方向の長さが同じである場合、変位ストッパー30Aは弾性体10Aを2体有していることから、弾性体10Aは弾性体10に対して、体積比で1/2となり、重量比でも同様に1/2となる。
このように、弾性体10Aの重量は弾性体10の重量の1/2となり、変位ストッパー30に対して変位ストッパー30Aの重量は格段に軽量化されることより、運搬性や施工性をより一層向上させることができる。なお、本発明者等による動的載荷試験の結果、変位ストッパー30Aは変位ストッパー30と同程度のエネルギー吸収性能を有することが確認されている。
[第1の実施形態に係る免震建物]
次に、図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る免震建物の一例を説明する。図4は、基礎免震構造を有する本発明の第1の実施形態に係る免震建物の一例を示す正面図である。図4に示す免震建物100は、地盤を掘り込んで構築された下部構造体50と、複数の免震装置60を介して下部構造体50の上に搭載された2階建ての上部構造体40とを有する。なお、基礎免震構造を有する免震建物は、平屋建ての免震建物であってもよいし、3階以上の免震建物であってもよい。
図示例において、下部構造体50は、平板状の基礎スラブ51と、基礎スラブ51から立ち上がる擁壁52とを有する。一方、上部構造体40は、1階床スラブ41と外壁42と中壁43とを有しており、外壁42と中壁43は、図4の奥行方向に不図示の柱を所定間隔ごとに有している。
免震装置60は、積層ゴム一体型の免震支承であり、所定の水平変位量以上に変位した際に自身が塑性変形してエネルギー吸収する不図示の鋼製ダンパーが一体に設けられていてもよい。免震装置60は、外壁42の途中位置にある不図示の外柱の直下、及び、中壁43の途中位置にある不図示の中柱の直下に配設されている。
上部構造体40の外壁42の下端には、変位ストッパー30がボルト固定されている。なお、例えば、図示する上部構造体40が平面視矩形の場合、基礎スラブ51も相対的に大寸法の平面視矩形を呈し、この矩形の輪郭に沿うようにして枠状に擁壁52が構築され、枠状の擁壁52に1階床スラブ41が包囲される。
下部構造体50の基礎スラブ51と上部構造体40の1階床スラブ41の間の空間(免震装置60を有する空間)、及び、擁壁52と外壁42の間の空間は連続しており、この連続した空間を免震層70とする。
図2を参照して既に説明したように、外壁42と擁壁52の間の隙間G1に変位ストッパー30が配設された状態において、弾性体10の頭部端面2と擁壁52の間にはクリアランスG2がある。地震時等において上部構造体40が大きく水平変位した場合でも、図2(b)に示すように、下部構造体50(の擁壁52)に変位ストッパー30の弾性体10が当接し、さらに弾性体10が圧縮変形して衝突時のエネルギーを吸収しながら、上部構造体40のさらなる水平変位が抑止され、上部構造体40の水平変位は当初のクリアランスG2程度から徐々に減衰される。
なお、図示例の免震建物100は、上部構造体40の外壁42に変位ストッパー30がボルト固定された構成を有しているが、下部構造体50の擁壁52の内面に変位ストッパー30がボルト固定され、上部構造体40の外壁42が水平変位した際に擁壁52に固定されている変位ストッパー30にて水平変位が抑制される形態の免震建物であってもよい。
[第2の実施形態に係る免震建物]
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施形態に係る免震建物の一例を説明する。図5は、基礎免震構造を有する本発明の第2の実施形態に係る免震建物の一例を示す正面図である。図5に示す免震建物100Aは、地盤を掘り込んで構築された2階までの下部構造体50Aと、3階乃至8階までの上部構造体40Aとの間に、複数の免震装置60が介在する中間免震構造の免震建物である。なお、中間免震構造を有する免震建物は、8階以外の高層階の免震建物であってもよいし、平面積の広いアリーナ等であって、下部構造体が一階部分と基礎部分であり、上部構造体が屋根架構である免震建物であってもよい。
上部構造体40Aの中壁43の直下には、上部構造体40Aの下面から下部構造体50A側に取付け用突起44が突出しており、この取付け用突起44の両側に変位ストッパー30が取り付けられている。一方、下部構造体50Aの上面には、取付け用突起44から所定長さ離間した位置に変位ストッパー相手材53が設けられている。
地震時等において下部構造体50Aに対して上部構造体40Aが大きく相対変位した際に、変位ストッパー30が変位ストッパー相手材53に衝突してエネルギー吸収されながら、上部構造体40Aのさらなる相対変位が抑制される。
なお、図示例は、上部構造体40Aの取付け用突起44の両側に変位ストッパー30が取り付けられている形態であるが、下部構造体50Aの上面に取付け用突起が取付けられ、この取付け用突起に変位ストッパー30が取付けられるとともに、上部構造体40Aの下面に変位ストッパー相手材が取付けられている形態であってもよい。
[動的載荷試験とその結果]
本発明者等は、図1に示す変位ストッパー30(実施例)と、変位ストッパー30から凸部4を取り除いた従来構造の防舷材(比較例)を製作し、それぞれの変位ストッパーを振動台上に載置された柱部材に取付け、アクチュエータにて振動台を左右に水平振動自在に構成した試験装置を製作した。そして、変位ストッパーの振動方向において、変位ストッパーの水平移動によって当該変位ストッパーが当接して圧縮される位置に衝突壁を設けておき、振動台を振動させて変位ストッパーを衝突壁に衝突させ、その際の変位ストッパーを構成する弾性体の変位-荷重曲線(ヒステリシスループ)をオートグラフ試験機を用いて測定し、作成する実験を行った。この振動台は、変位計と荷重計を備えており、本実験では、実施例と比較例の弾性体の変位量が同程度になるようにアクチュエータを作動させた。図6に動的載荷試験の結果を示すヒステリシスループを示す図を示す。
図6において、縦軸の降伏強度は、比較例の降伏強度Py2を1に正規化し、実施例の降伏強度Py1を比較例との比率で示している。比較例と実施例の各ヒステリシスループを比較すると、まず、比較例の降伏強度Py2に比べて、実施例の降伏強度Py1は14%増加することが実証されており、実施例の変位ストッパーの性能が優れていることが実証されている。
さらに、初期剛性(各ヒステリシスループの初期の曲線の接線方向の勾配)は、比較例の初期剛性K2に比べて実施例の初期剛性K1が12%高くなる(勾配が立つ)ことが実証されており、実施例の初期剛性も高くなることが分かった。
以上の結果より、ヒステリシスループで囲まれた面積、すなわちエネルギー吸収性に関しても、比較例の面積E2に比べて実施例の面積E1は格段に大きくなることが実証されており、実施例の変位ストッパーはエネルギー吸収性に優れていることが実証されている。
これらの結果は、変位ストッパーを構成する弾性体が、傾斜した立ち上がり片の内側において、他方の立ち上がり片側へ突出する凸部を有していることによるものであることが分かる。
なお、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
1:立ち上がり片、2:頭部端面(端面)、3:脚部端面(端面)、4:凸部、10,10A:弾性体、20,20A:取付け用金属プレート、20B:金属プレート、30,30A:変位ストッパー、40,40A:上部構造体、44:取付け用突起、50,50A:下部構造体、60:免震装置、70:免震層、100,100A:免震建物、G1:隙間、G2:クリアランス

Claims (6)

  1. 上部構造体と下部構造体の間に免震装置を有する免震層が介在する免震建物において、該免震層に取付けられて該上部構造体の水平変位を抑制する変位ストッパーであって、
    弾性材料からなる2つの立ち上がり片を備え、該2つの立ち上がり片はそれぞれの脚部から頭部に向かって直線状に傾斜するとともに頭部同士で連続し、該脚部および該頭部はともに平坦な端面を有し、前記直線状に傾斜するラインが該頭部の該端面の該平坦なラインに交差している弾性体からなり、
    前記立ち上がり片は、前記脚部において他方の前記立ち上がり片側に突出して、正面視形状が三角形であり、前記変位ストッパーの最大荷重と初期剛性を高める凸部を備えていることを特徴とする、変位ストッパー。
  2. 前記弾性体を形成する前記2つの立ち上がり片の前記脚部の前記端面が、前記免震層を構成する部材に取付けられる取付け用金属プレートに固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の変位ストッパー。
  3. 2つの前記弾性体の双方の脚部の端面同士が対向して双方の該端面間に介在する金属プレートに固定され、一方の前記弾性体の頭部の端面が、前記免震層を構成する部材に取付けられる取付け用金属プレートに固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の変位ストッパー。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の変位ストッパーが、前記免震層において前記上部構造体と前記下部構造体のいずれか一方に取付けられており、前記上部構造体が所定の水平変位量で変位した際に、前記変位ストッパーが前記上部構造体と前記下部構造体の他方に当接することを特徴とする、免震建物。
  5. 前記免震建物は、前記上部構造体が1階以上の建物部分であり、前記下部構造体が基礎である、基礎免震構造を有していることを特徴とする、請求項4に記載の免震建物。
  6. 前記免震建物は、前記上部構造体が建物の上層階部分であり、前記下部構造体が建物の下層階部分と基礎部分である、中間免震構造を有していることを特徴とする、請求項4に記載の免震建物。
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