JP2014077229A - 免震建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】免震建物について建物と擁壁との衝突緩和
【解決手段】
免震建物10は、基礎11と、基礎11に配置された免震装置12と、免震装置12の上に配置された建物13とを備えている。ここで、免震装置12は、建物13が基礎11に対して水平に移動するのを許容する。基礎11には、建物13の側壁13aの少なくとも一部に対して、間隔を空けて対向した擁壁11aが設けられている。この免震建物10は、建物13の側壁13aと擁壁11aとが対向する部位において、建物13の側壁13aと擁壁11aとの少なくとも一方に、ゴムによって形成された衝撃吸収部材14が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、免震建物に関する。
免震建物は、例えば、基礎と、建物との間に、積層ゴムやダンパーなどを備えた免震装置が配置されている。免震建物では、建物と基礎との間に所定の間隔が設定されている。建物は、免震装置によって基礎に対して水平に揺れ動くことが許容されている。また、地震時には、基礎は激しく揺れる。これに対して、基礎と建物の間に免震装置が介在しているので、建物は慣性力によって基礎に対して揺れ動く。このため、免震建物の建物内では揺れは緩和される。
免震建物では、建物が敷地の外に迫り出すのを防止するため、建物の周囲に間隔を空けて擁壁が構築されている場合がある。特開2010−270569号公報では、かかる免震建物について想定を越える大きな揺れが建物に生じる場合に、建物と擁壁との衝突を回避するべく、免震装置の大変形を弾性的に拘束する変形制限装置を設けることが開示されている。ここでは、変形制限装置として、免震装置としての積層ゴムの周囲に所定の間隔を空けて積層ゴムを配置することが開示される。かかる変形制限装置によって、想定を越える大きな揺れに対して免震装置のせん断変形が抑制される。これにより、擁壁と建物との衝突が回避されるとされている。
特開2010−270569号公報
特許文献1には、変形制限装置として、免震装置としての積層ゴムの周囲に所定の間隔を空けて積層ゴムを配置することが開示されている。しかし、ここで開示された変形制限装置は、免震装置の周囲に、弾性体からなる変形制限装置が配置されただけなので、想定を超える揺れが生じた場合には、建物の外周部に設けられる擁壁と建物とが直接当たりうる。また、免震装置の周囲に変形制限装置が配置されるため、免震装置の損傷を検証する際に、変形制限装置が邪魔になる。
ここで提案される免震建物は、基礎と、基礎に配置された免震装置と、免震装置の上に配置された建物とを備えている。ここで、免震装置は、建物が基礎に対して水平に移動するのを許容する。基礎には、建物の側壁の少なくとも一部に対して、間隔を空けて対向した擁壁が設けられている。さらに、建物の側壁と擁壁とが対向する部位において、建物の側壁と擁壁との少なくとも一方に、ゴムによって形成された衝撃吸収部材が設けられている。かかる免震建物によれば、衝撃吸収部材によって、建物の側壁と擁壁とが衝突する際に、衝撃吸収部材から反力を受けるので建物に生じる衝撃が緩和される。
また、衝撃吸収部材は、建物の側壁と前記擁壁とのうち一方の壁に取り付けられる基部と、基部が取り付けられた一方の壁に対向する他方の壁に向けて、基部から立ち上がった柱部と、柱部の先端に、他方の壁に対向するように設けられた当接部とを備えていてもよい。
また、基部は、平行に配置された2本の直線に沿って延びた2本のフランジを備えていてもよい。この場合、柱部は、2本のフランジからそれぞれ立ち上がった板状の部位であってもよい。そして、当接部は、当該柱部の先端部に架け渡された平板状の部位であってもよい。また、基部は、環状に延びたフランジを備えていてもよい。この場合、柱部は、環状のフランジから筒状に延び、当接部は、筒状の柱部の先端に設けられた平板状の部位であってもよい。また、衝撃吸収部材は、20℃における等価粘性減衰定数heqが0.10以上の高減衰ゴムによって形成されていてもよい。
また、免震建物用の衝撃吸収装置は、20℃における等価粘性減衰定数heqが0.10以上の高減衰ゴムからなり、基部と、基部から立ち上がった柱部と、柱部の先端に設けられた当接部とを備えているとよい。ここで、基部は、互いに対向する免震建物の側壁と擁壁との少なくとも一方に取り付けられる取付部を備えているとよい。
図1は、免震建物の概略図である。 図2は、衝撃吸収部材を拡大した側面図である。 図3は、衝撃吸収部材の正面図である。 図4は、建物の側壁が衝撃吸収部材に当った状態を示す図である。 図5は、建物の側壁が衝撃吸収部材に衝突した状態を示す図である。 図6は、高減衰ゴムによって形成された衝撃吸収部材の履歴曲線を示す図である。 図7は、圧縮特性評価試験の概要を示す図である。 図8は、弾性ゴムによって形成された衝撃吸収部材の履歴曲線である。 図9は、他の形態に係る衝撃吸収部材の側面図である。 図10は、他の形態に係る衝撃吸収部材の正面図である。 図11は、他の形態に係る衝撃吸収部材の履歴曲線を示している。 図12は、高減衰ゴムからなる矩形のブロック(中実の成形体)の履歴曲線である。 図13は、高減衰ゴムの成形体の履歴ループを示す図である。 図14(A)〜(D)は、それぞれ履歴特性を測定する装置を説明する図である。
以下、本発明の一実施形態に係る免震建物を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、同じ作用を奏する部材または部位には、適宜に同じ符号を付している。また、各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。
《免震建物10》
図1は、ここで提案される免震建物10の概略図である。免震建物10は、図1に示すように、基礎11と、免震装置12と、建物13と、衝撃吸収部材14とを備えている。
基礎11は、例えば、建物13を支える構造体であり、建物が建てられる敷地に施工される。基礎11は、例えば、配筋にコンクリートを流し込むことによって構築される。免震装置12は、基礎11に配置されている。免震装置12の上には建物13が配置されている。免震装置12は、建物13が基礎11に対して水平に移動するのを許容する装置である。
《免震装置12》
免震装置12は、詳細な図示は省略するが、例えば、建物13を支承する支承装置(滑り支承装置や転がり支承装置など)、建物13の揺れを早期に減衰させる減衰装置(積層ゴムやダンパーなど)、地震時に建物13と基礎11との縁切りを行い、建物13が基礎11に対して揺れ出すタイミングを制御するトリガー装置などが適当に組み合わされうる。かかる免震装置12は、種々提案されている。
《擁壁11a》
基礎11には、擁壁11aが設けられている。擁壁11aは、建物13の側壁13aの少なくとも一部に対して間隔を空けて対向している。建物13の側壁13aと擁壁11aとの間には、建物13が揺れ動くのを許容するべく、所要の空間(空隙)が確保されている。擁壁11aは、建物13が基礎11に対して過度に揺れ動く際に、建物13が敷地の外へ迫り出すのを防止する部位である。
《衝撃吸収部材14》
衝撃吸収部材14は、ゴム製の部材であり、建物13の側壁13aと擁壁11aとが対向する部位において、建物13の側壁13aと擁壁11aとの少なくとも一方(図1に示す例では、擁壁11a)に設けられている。
図2は、衝撃吸収部材14を拡大した側面図である。図3は、衝撃吸収部材14の正面図(対向する建物13の側壁13a側から見た図)である。衝撃吸収部材14は、図2および図3に示すように、基部21と、柱部22と、当接部23とを備えている。
基部21は、建物13の側壁13aと擁壁11aとのうち一方の壁(この実施形態では、擁壁11a)に取り付けられる部位である。この実施形態では、基部21は、図3に示すように、平行に配置された2本の直線に沿って延びた2本のフランジ21a、21bを備えている。図示は省略するが、この実施形態では、フランジ21a、21bには、鋼板(内部鋼板)が埋め込まれており、擁壁11aに取り付けるための複数の取付穴が設けられている。フランジ21a、21bに埋め込まれた内部鋼板は、ショットブラストや化学的処理によって表面が粗く加工されている。これにより、衝撃吸収部材14を加硫成形する時に内部鋼板と衝撃吸収部材14を構成するゴム素材との接着面積が広く確保されており、両者に所要の接着強度が確保されている。
柱部22は、対向する他方の壁(この実施形態では、建物13の側壁13a)に向けて、基部21から立ち上がっている。当接部23は、柱部22の先端において、建物13の側壁13aに対向するように設けられている。
この実施形態では、柱部22は、2本のフランジ21a、21bからそれぞれ立ち上がった板状の部位である。2本のフランジ21a、21bからそれぞれ立ち上がった柱部22の間隔は、基部21側が広く先端側(当接部23側)に向かうにつれて狭くなっている。また、この実施形態では、柱部22の内壁は、中間部22aにおいて僅かに屈曲している。柱部22の内側面は、基部21から中間部22aまでは緩やかに内側に傾きつつ立ち上がっているが、中間部22aよりも先端側ではテーパがきつくなっている。この実施形態では、柱部22は、擁壁11aに平行に配置された2本のフランジ21a、21bからそれぞれ建物13の側壁13aに向けて間隔が徐々に狭くなるように立ち上がっている。かかる柱部22の内側面は、中間部22aを起点として外側に膨らんでいる。なお、図示例は、柱部22の内壁は、中間部22aにおいて僅かに屈曲しているが、柱部22の内壁は、中間部22aにおいて僅かに湾曲していてもよい。
また、柱部22の先端に設けられた当接部23は、柱部22の先端部に架け渡された平板状の部位である。この実施形態では、当接部23は、長方形の板状の部位になっている。図2に示すように、基部21のフランジ21a、21bが擁壁11aに取り付けられ、柱部22が建物13の側壁13aに向けて立ち上がり、当接部23が建物13の側壁13aに対向している。
《高減衰ゴム》
この実施形態では、衝撃吸収部材14は、高減衰ゴム(「粘弾性体」とも称されうる)によって成形されている。高減衰ゴムは、柔軟性とエネルギー吸収性能とを併せ持つ機能性材料である。高減衰ゴムは、繰返し荷重に対して、弾性ゴムに比べて、描かれるヒステリシスループの面積が大きく、格段に大きなエネルギーを吸収し得る。また、高減衰ゴムは、比較的小さな歪(例えば、1%〜5%程度の歪)で降伏が生じ、その後、クリープが生じつつ変形する。このため、変位が大きくなっても反力の上昇が小さく抑えられる。かかる高減衰ゴムには、例えば、天然ゴム,スチレンブタジエンゴム(SBR),ニトリルブタジエンゴム(NBR),ブタジエンゴム素材(BR),イソプレンゴム(IR),ブチルゴム(IIR),ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR),クロロプレンゴム(CR)のゴム素材に、高減衰性を発揮する添加剤を加えて生成された高減衰性ゴム組成物を用いることができる。高減衰性を発揮させうる添加剤としては、例えば、カーボンブラックやシラン化合物など、種々の添加剤が知られている。
建物13は、地震時に、基礎11に対して揺れ動く。図4は、図1に示された免震建物10において、建物13が基礎11に対して揺れ動き、建物13の側壁13aが衝撃吸収部材14に当った状態を示す図である。図5は、建物13が基礎11に対して過度に揺れ動く際に、建物13の側壁13aが衝撃吸収部材14に衝突した状態を示している。この実施形態では、図4に示すように、建物13が基礎11に対して過度に揺れ動く際に、建物13の側壁13aが衝撃吸収部材14に衝突する。
その際、図5に示すように、建物13の側壁13aは、衝撃吸収部材14の当接部23に押し当たる。建物13の側壁13aが衝撃吸収部材14の当接部23に押し当たると、衝撃吸収部材14の柱部22は変形し、衝撃を緩和する。この実施形態では、衝撃吸収部材14の柱部22は、図2に示すように、中間部22aを起点として若干外側に膨らんでいる。建物13の側壁13aが衝撃吸収部材14の当接部23に押し当たると、柱部22は、図5に示すように、その形状のために中間部22aを起点として外側に膨らむ。
このように、この免震建物10は、建物13の側壁13aと擁壁11aとの間に衝撃吸収部材14が介在している。このため、建物13が基礎11に対して過度に揺れ動いた場合でも、建物13の側壁13aと擁壁11aとが直接衝突しない。
また、建物13の側壁13aが衝撃吸収部材14の当接部23に押し当たると、図5に示すように、衝撃吸収部材14の柱部22は外側に膨らむ。建物13が擁壁11aに当たるような大きな地震時には、建物13は基礎11に対して揺れ動き、建物13の側壁13aは衝撃吸収部材14に繰返し押し当たりうる。この実施形態では、衝撃吸収部材14は高減衰ゴムで成形されている。このため、衝撃吸収部材14の柱部22が繰り返し変形することによって相当のエネルギーが吸収される。
《圧縮特性評価》
ここで、図6は、高減衰ゴムによって形成された衝撃吸収部材14に、柱部22が外側に膨らむように当接部23を繰返し押圧した際の押圧荷重と当接部23の変位との関係を示している。この衝撃吸収部材14は、当接部23を押圧する荷重と変位との関係において、図6に示すような履歴曲線(「ヒステリシスループ」とも称される)を示す。衝撃吸収部材14は、このように押圧荷重を繰返し受けると、一周期毎に、当該履歴曲線で囲まれた面積に相当するエネルギーを吸収し得る。
《圧縮特性評価試験》
図6に示す圧縮特性を評価する履歴曲線は、オートグラフ試験機100(島津製作所製 最大荷重:1000kN、最大速度:1000mm/min)を用いて測定した。図7は、圧縮特性評価試験の概要を示す図である。オートグラフ試験機100は、図7に示すように、固定台102と、可動台104とを備えている。固定台102は、固定的に配置されており、衝撃吸収部材14を設置するための台座106が設置されている。可動台104は、固定台102に対して上下に対向しており、アクチュエータ108が取り付けられており、固定台102に対して近づいたり離れたり上下に移動する。可動台104は、変位計と荷重計を備えている。
衝撃吸収部材14は、図7に示すように、当接部23を可動台104に向けて固定台102に設置する。そして、可動台104を近づけたり離れさせたり上下に繰返し駆動させる。この際、可動台104の変位量と、可動台104の荷重(衝撃吸収部材14から可動台104に作用する反力)を測定し、図6に示す履歴曲線を得る。
図6に示す例では、基部21の基端から当接部23の先端までの距離H(高さ)が100mm(図2参照)の衝撃吸収部材14を用意した。そして、可動台104によって衝撃吸収部材14を圧縮しつつ、基部21の基端から当接部23の先端までの距離Hが50mm(50%歪)になる程度の変形を繰返し加え、変位と荷重との履歴曲線を得た。
図6に示すように、高減衰ゴム(粘弾性体)によって形成された衝撃吸収部材14では、建物13が最初に衝突した際に、降伏kを伴って大きく変形する。つまり、建物13が衝撃吸収部材14に衝突して直ぐは、衝撃吸収部材14の荷重(反力)が大きくなる。しかし、衝撃吸収部材14は、変形の初期(例えば、凡そ1%〜5%の歪)に降伏kが生じ、クリープが生じる。加えて、衝撃吸収部材14の柱部22は外側に変形し得る形状である。このため衝撃吸収部材14は、降伏k後、変位が大きくなっても荷重がほとんど大きくならない。衝撃吸収部材14は、図6に示すように、1回目の変位で、大きな履歴曲線R1を描く。また、衝撃吸収部材14は1回目の変形で降伏kとクリープが生じるので完全には復元しない。その後、2回目以降の繰返しの変位に対しては、衝撃吸収部材14は1回目よりも少し小さい変位にて履歴曲線Rnを描く。
このように、大きな地震時に基礎11に対して建物13が過度に揺れ動く場合には、建物13の側壁13aが衝撃吸収部材14に繰返し衝突する。この際、衝撃吸収部材14は、建物13に押圧されて圧縮変形する。衝撃吸収部材14は、圧縮変形する際に建物13に対して反力を作用させる。この反力によって、建物13の振動エネルギー(建物13の運動エネルギー)を吸収することができる。特に、1回目の変位では、衝撃吸収部材14は大きな反力を作用させ、履歴曲線R1に相当する比較的大きなエネルギーを吸収することができる。衝撃吸収部材14は、2回目以降の変位においても履歴曲線Rnに相当するエネルギーを吸収し続ける。その結果、高減衰ゴムによって形成された衝撃吸収部材14は、建物13が擁壁11aに衝突する際の衝撃を緩和することができるとともに、建物13の揺れを早期に減衰させることができる。
図8は、天然ゴムなどの弾性ゴムによって形成された、同形状の衝撃吸収部材を用意して、同様に圧縮特性を評価した履歴曲線である。天然ゴムなどの弾性ゴムによって形成された衝撃吸収部材は、図8に示すように、弾性ゴムは面積が大きな履歴曲線を描かない。つまり、変位と荷重の関係が凡そ比例しており、建物13に押圧された際に反力を作用させつつ圧縮変形するが、復元する際に建物13を押し戻す。このため、建物の側壁と擁壁とが衝突する際に、建物に生じる衝撃を緩和することはできるが、建物13の振動エネルギーを吸収する機能は高減衰ゴムに比べて格段に小さい。このため、建物に生じる衝撃を緩和し、さらに建物13の揺れを早期に減衰させるのには、衝撃吸収部材14は、エネルギーを吸収する機能を奏する高減衰ゴムによって成形されていることが好ましい。
《衝撃吸収部材の他の形態》
図9は、他の形態に係る衝撃吸収部材14Aの側面図である。図10は、衝撃吸収部材14Aの正面図である。衝撃吸収部材14Aは、高減衰ゴムの成形体であり、図9および図10に示すように、基部21Aと、柱部22Aと、当接部23Aとを備えている。
基部21Aは、建物13の側壁13aと擁壁11aとのうち(図1参照)一方の壁に取り付けられる部位である。この実施形態では、基部21Aは、環状に延びたフランジを備えている。基部21Aには、周方向に均等に複数(この実施形態では、3つ)の取付孔が形成されている。
柱部22Aは、基部21Aが取り付けられた一方の壁に対向する他方の壁に向けて、基部21Aから立ち上がっている。この実施形態では、柱部22Aは、環状のフランジで構成された基部21Aから筒状に延びている。柱部22Aは、筒の外径および内径が先端部から基端部に向けて徐々に大きくなるように成形されている。柱部22Aの内周面と外周面には、それぞれ段差22A1が設けられている。柱部22Aには、周方向に複数のスリット22A2が設けられている。
当接部23Aは、柱部22Aの先端に、他方の壁に対向するように設けられている。この実施形態では、当接部23Aは、筒状の柱部22Aの先端に設けられた平板状(ここでは、円板状)の部位である。当接部23Aは、中央に開口23A1が設けられている。
図示は省略するが、この衝撃吸収部材14Aは、例えば、当接部23Aを建物13(図1参照)の側壁13aに向けた状態で基部21Aを擁壁11aに取り付けるとよい。これにより、建物13に大きな揺れを伴う地震時には、建物13の側壁13aが衝撃吸収部材14Aの当接部23Aに衝突する。この衝撃吸収部材14Aでは、建物13の側壁13aが当接部23Aに押し当たると柱部22Aが外側に膨らむ。詳しくは、衝撃吸収部材14Aの柱部22Aに形成されたスリット22A2が開き、柱部22Aが全体として外側に大きく膨らむ。
地震時は、建物13は、基礎11に対して揺れ動くので、建物13の側壁13aは、衝撃吸収部材14Aに繰返し押し当たる。図11は、衝撃吸収部材14Aの履歴曲線を示している。ここでは、高さH(基部21Aの基端から当接部23Aの先端までの距離)が100mmの衝撃吸収部材14Aを用意した。そして、基部21Aの基端から当接部23Aの先端までの距離H(高さ)が50mm(50%歪)になる程度の変形を繰返し加え、変位と荷重との履歴曲線を得た。
この衝撃吸収部材14Aは、衝撃吸収部材14Aに押圧荷重が入力されると、形状特性により、柱部22Aが外側に膨らむ。また、高減衰ゴムで成形されているので、1回目の変形の初期(例えば、凡そ1%〜5%の歪)において衝撃吸収部材14Aに降伏kが生じる。降伏k後、衝撃吸収部材14Aにはクリープが生じる。加えて、柱部22Aが外側に変形し得る形状特性のために、降伏k後は変位が大きくなっても荷重がほとんど大きくならない。衝撃吸収部材14Aは、図11に示すように、1回目の変位で、大きな履歴曲線R1を描く。また、衝撃吸収部材14Aは1回目の変形で降伏kとクリープが生じるので完全には復元しない。その後、2回目以降の繰返しの変位に対しては、衝撃吸収部材14Aは1回目よりも少し小さい変位にて履歴曲線Rnを描く。
大きな地震時に基礎11(図1参照)に対して建物13が過度に揺れ動く場合には、建物13の側壁13aが衝撃吸収部材14Aに繰返し衝突する。この際、衝撃吸収部材14Aは、建物13に押圧されて圧縮変形する。衝撃吸収部材14Aは、圧縮変形する際に建物13に対して反力を作用させる。この反力によって、建物13の振動エネルギー(建物13の運動エネルギー)は吸収される。特に、1回目の変位では、衝撃吸収部材14Aは大きな反力を作用させうるので、履歴曲線R1に相当する比較的大きなエネルギーを吸収することができる。衝撃吸収部材14Aは、2回目以降の変位においても履歴曲線Rnに相当するエネルギーを吸収し続ける。その結果、高減衰ゴムによって形成された衝撃吸収部材14Aは、建物13が衝突する際に衝撃を緩和することができるとともに、建物13の揺れを早期に減衰させることができる。
このように衝撃吸収部材14(図1参照)の形状は、上記の形態に限定されない。図示は省略するが、衝撃吸収部材14は、例えば、ブロック状の部材で構成してもよい。
図12は、衝撃吸収部材14を高減衰ゴムによって形成された矩形のブロック(高さ80mmの中実の成形体)について、同様に圧縮特性を評価して得られた履歴曲線である。衝撃吸収部材14が高減衰ゴムによって形成された矩形のブロックである場合、衝撃吸収部材14は、建物13に押圧され、1回目の変形において大きな履歴曲線R1を描く。また、1回目の変形の初期において降伏kが生じ、その後クリープが生じる。このため、衝撃吸収部材14は完全には復元しない。衝撃吸収部材14は、2回目以降の繰返し荷重に対して、1回目よりも小さくなるが履歴曲線Rnを描く。
なお、図12に示すように、高減衰ゴムによって形成された矩形のブロックによって形成された衝撃吸収部材14では、高減衰ゴムの特性として、凡そ1%〜5%程度の歪にて降伏kが生じ、その後、クリープが生じる。しかし、中実のブロック状の成形体であるため変形に対して抵抗(反力)が大きくなりやすい。つまり、降伏kが生じた後も圧縮変形に対して荷重(反力)が大きくなりやすい。このようにブロック状の衝撃吸収部材14では、建物13の振動エネルギ(運動エネルギ)を吸収する能力が高いものの、建物13が衝撃吸収部材14に衝突した際に生じる衝撃が比較的緩和されにくい。
これに対して、柱部22、22A(図2、図9参照)を有する衝撃吸収部材14、14Aでは、例えば、図5に示すように、柱部22、22Aが外側に膨らむ。このため、衝撃吸収部材14、14Aは、降伏k後も変位に対して荷重が大きくなりにくい。このように、建物13が衝撃吸収部材14、14Aに衝突した際に生じる衝撃が緩和するには、衝撃吸収部材14、14Aは基部21、21Aから立ち上がった柱部22、22Aと、当該柱部22、22Aの先端に設けられた当接部23、23Aとを備えているとよい。
かかる柱部22、22Aにより、衝撃吸収部材14、14Aは、当接部23、23Aが押圧された際に、柱部22、22Aが変形する。このため、建物13が衝撃吸収部材14、14Aに衝突した際に、建物13に生じる衝撃が格段に小さく抑えられる。このように、建物13に生じる衝撃を小さく抑えるためには、衝撃吸収部材14、14Aは、例えば、図2に示すように、基部21、21Aから立ち上がった柱部22、22Aを備えているとよい。
また、衝撃吸収部材14(図1参照)は、上述したように、高減衰ゴム(粘弾性体)が用いられているとよい。
≪粘弾性体(高減衰ゴム)の物性≫
ここで、衝撃吸収部材14として用いられる高減衰ゴムは、例えば、建物13の重量などの設計に応じて適当なゴムを採用するとよい。例えば、衝撃吸収部材14は、例えば、高減衰ゴム組成物から成形され、20℃における等価粘性減衰定数heq(1.0Hz/100%)が0.10以上であるとよい。これにより、免震建物10の衝撃吸収部材14として適度な硬さと柔軟性を有する衝撃吸収部材14が得られる。
≪等価粘性減衰定数heq(1.0Hz/100%)≫
ここで、等価粘性減衰定数heqは、高減衰ゴムについて下記方法で履歴特性の測定を行い、得られた履歴ループL(図13)から水平特性値を得て算出している。
ここで、履歴特性の測定は、図14(A)に示すように、衝撃吸収部材14と同じ素材の試験片となる円板状の高減衰ゴム210の両側に、金属板211,212を接着した試験体213を用意する。そして、図14(B)に示すように、2つの試験体213の一方の金属板212を対向させ、その間に中央固定治具214を挟む。さらに、2つの試験体213の両側の金属板211に固定治具215を配置する。2つの試験体213の金属板211、212と、これと隣接する中央固定治具214および固定治具215をそれぞれ固定する。図14(C)および(D)に示すように、2個の試験体213を固定した中央固定治具214および固定治具215のうち、両側の固定治具215を一軸せん断試験機の下部222に連結する。他方、中央固定治具214を当該一軸せん断試験機の上部221にジョイント216を介して連結する。そして、図14(D)に示すように、かかるせん断試験機の上部221を固定し、せん断試験機の下部222を上下方向に変位させることによって、試験体213の高減衰ゴム210にせん断変形を生じさせことができる。図14(D)のΔdは、せん断試験機の下部222の変位量を示している。
ここでは、せん断試験機の下部222に上下方向にせん断変形を生じさせる繰り返し載荷(正弦波加振)を4回行い、3波目の履歴特性を測定している。かかる履歴特性の測定によって得られた図13の履歴ループLから下記の特性値(W,ΔW,Keq)を得る。
W:ひずみエネルギー(図13の斜線部にて示される1つの三角形の面積。単位はN・mm);
ΔW:吸収エネルギーの合計(図13において示される履歴ループLで囲まれた面積。単位はN・mm);
Keq:等価剛性(変位最大点における履歴ループLの傾き。単位はN/mm);
ここで、「等価粘性減衰定数heq」は、上記の特性値から下記の式(数1)で計算される数値である。
heq=(1/4π)・(ΔW/W) (数1);
なお、いわゆる「等価せん断弾性係数(Geq)」は、下記の式(数2)で計算される数値である。
Geq=Keq×(d/S) (数2);
d:試験体213の高減衰ゴム210の高さ(mm)
S:試験体213の高減衰ゴム210の断面積(mm
ここで、等価粘性減衰定数heqは、一般的には値が大きい程減衰性能に優れることを示す。ここでは、等価粘性減衰定数heq(1.0Hz/100%)を採用した。等価粘性減衰定数heq(1.0Hz/100%)は、履歴特性の測定において、せん断変形を入力する速度を1.0Hzの周波数とし、かつ、せん断変形の変位量を、高減衰ゴムの厚さの100%(高減衰ゴムの厚さを同じ距離)とした場合の等価粘性減衰定数を示している。
上述したように、免震建物10の衝撃吸収部材14として好適な高減衰ゴムは、例えば、20℃の温度環境における等価粘性減衰定数heq(1.0Hz/100%)が0.10以上、より好ましくは、等価粘性減衰定数heq(1.0Hz/100%)が0.20以上、さらに好ましくは0.30以上であるとよい。
《高減衰ゴムの例示》
次に、上述した衝撃吸収部材14に好適な高減衰ゴムを例示する。高減衰ゴムは、所定の材料を所定の配合で混ぜ合わせ、バンバリーやニーダーなどで混練りすることで練りゴムを得る。かかる練りゴムを成形金型に入れて加硫成形するとよい。また、基部21などに装着される鋼板などを接着する場合は、鋼板に接着剤を塗り、金型に装着し、加硫成形する際に接着するとよい。ここで、加硫は、練りゴムを所定の温度、圧力にて所定時間処理することで、架橋反応を行うことである。衝撃吸収部材14に好適な高減衰ゴムの配合は、以下のように例示され得る。
《高減衰ゴムの例1》
高減衰ゴムは、例えば、表1に示すように、ハロゲン化ブチルゴム(例えば、ブロモブチル、クロロブチル)を100重量部に対して、カーボンブラックを凡そ40〜80重量部、パラフィンオイルを凡そ3〜30重量部、フェノール樹脂を凡そ2〜10重量部、ステアリン酸(加硫促進剤)を凡そ0.1〜2重量部、酸化マグネシウムを凡そ0.1〜1.0重量部、硫黄を凡そ0.5〜3重量部、チアゾール系促進剤を凡そ0.1〜2重量部、酸化亜鉛を凡そ1〜8重量部を混ぜて練りゴムを得ると良い。
Figure 2014077229
ここで、ハロゲン化ブチルゴムには、例えば、ブロモブチル、クロロブチルを用いることができる。カーボンブラックには、例えば、グレードGPF、FEF、HAFを用いることができる。このようなカーボンブラックとしては、例えば、何れも東海カーボン株式会社のシーストV、シーストSO、シースト3などを用いることができる。パラフィンオイルには、例えば、出光興産株式会社のダイアナプロセスオイルPW380や同PW90などを用いることができる。また、フェノール樹脂には、例えば、株式会社日本触媒のフェノールレジンSP1068を用いることができる。また、チアゾール系促進剤には、例えば、大内新興化学工業株式会社製のチアゾール系促進剤を用いることができる。これにより、等価粘性減衰定数heqが凡そ0.17の高減衰ゴムが得られる。
《高減衰ゴムの例2》
高減衰ゴムは、他の例として、例えば、表2に示すように、天然ゴムを100重量部に対して、シリカを凡そ100〜180重量部、シリル化剤を凡そ15〜30重量部、カーボンブラックを凡そ1〜30重量部、軟化材を凡そ15〜50重量部、DCPD樹脂を凡そ10〜30重量部、クマロンインデンを凡そ5〜20重量部、酸化亜鉛を凡そ1〜8重量部、ステアリン酸を凡そ0.1〜2重量部、老化防止剤を凡そ1〜10重量部、硫黄を凡そ0.5〜3重量部、加硫促進剤NSを凡そ0.1〜2重量部、加硫促進剤TBTを凡そ0.1〜2重量部を混ぜて練りゴムを得ると良い。
Figure 2014077229
ここで、シリカには、例えば、東ソー・シリカ株式会社のニシプルKQやニシプルVN3などを用いるとよい。また、シリル化剤には、例えば、フェニルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランを用いるとよい。また、カーボンブラックには、例えば、グレードFEF、HAFを用いることができる。このようなカーボンブラックとしては、例えば、何れも東海カーボン株式会社のシーストSO、シースト3などを用いることができる。また、軟化材には、例えば、株式会社クラレのLIR-50や、市販のアロマオイル、ナフテンオイル、パラフィンオイルを用いるとよい。また、DCPD樹脂には、例えば、丸善石油化学株式会社のマルカレッツM890、何れも日本ゼオン株式会社のクイントン1105、クイントン1325などを用いるとよい。また、クマロンインデンには、例えば、日塗化学株式会社のクマロンG90を用いるとよい。また、老化防止剤には、例えば、住友化学株式会社のアンチゲンFR、大内新興化学工業株式会社のノクラックMB、ノクラック6Cなどを用いるとよい。これにより、等価粘性減衰定数heqが凡そ0.40の高減衰ゴムが得られる。
図1に示すように、免震建物10は、基礎11と、基礎11に配置された免震装置12と、免震装置12の上に配置された建物13とを備えている。ここで、免震装置12は、建物13が基礎11に対して水平に移動するのを許容する。基礎11には、建物13の側壁13aの少なくとも一部に対して、間隔を空けて対向した擁壁11aが設けられている。この免震建物10は、建物13の側壁13aと擁壁11aとが対向する部位において、建物13の側壁13aと擁壁11aとの少なくとも一方に、ゴムによって形成された衝撃吸収部材14が設けられている。
この場合、免震建物10は、建物13の側壁13aと擁壁11aとの間に衝撃吸収部材14が介在しているので、建物13の側壁13aと擁壁11aとが直接衝突するのを防止できる。また、衝撃吸収部材14によって、建物13の側壁13aと擁壁11aとが衝突する際に、衝撃吸収部材14から反力を受けるので建物13に生じる衝撃が緩和される。なお、衝撃吸収部材14は、建物13の側壁13aと擁壁11aとが対向する部位において、建物13の側壁13aと擁壁11aとの少なくとも一方に設けられているとよい。例えば、図1および図2に示された形態では、衝撃吸収部材14は、擁壁11aに取り付けられているが、衝撃吸収部材14は、当接部23が擁壁11aに向くように基部21を建物13の側壁13aに取り付けてもよい。また、衝撃吸収部材14は、建物13の側壁13aと擁壁11aの両方に取り付けられていてもよい。
また、ここで、衝撃吸収部材14は、例えば、図2に示すように、基部21と、柱部22と、当接部23を備えていてもよい。ここで、基部21は、建物13の側壁13aと擁壁11aとのうち一方の壁に取り付けられる部位である。柱部22は、基部21が取り付けられた一方の壁に対向する他方の壁に向けて、基部21から立ち上がった部位である。当接部23は、柱部22の先端に、他方の壁に対向するように設けられた部位である。図2に示される形態では、基部21は、擁壁11aに取り付けられており、柱部22は、基部21から建物13の側壁13aに向けて立ち上がっており、当接部23は、柱部22の先端に建物13の側壁13aに対向するように設けられている。
かかる形態によれば、衝撃吸収部材14が中実の成形体でなく、当接部23が押圧された際に柱部22が変形する。このため、当接部23の変位に対して荷重(反力)高くなりにくい。このため、建物13に生じる衝撃を小さく抑えることができる。
例えば、図2に示すように、基部21は平行に配置された2本の直線に沿って延びた2本のフランジ21a、21bを備えていてもよい。この場合、柱部22は、2本のフランジからそれぞれ立ち上がった板状の部位で構成されうる。さらに、当接部23は、柱部22の先端部に架け渡された平板状の部位で構成されうる。かかる形態によれば、当接部23を押圧する荷重に対して柱部22が変形するので、建物13に作用する反力を小さく抑えることができ、建物13に生じる衝撃を小さく抑えることができる。ここで、図2では、好適な一例として、柱部22が外側に膨らむ形態を例示したが、柱部22は内側に変形するように構成してもよい。
また、他の形態として、基部21Aは、図9に示すように、環状に延びたフランジを備えていてもよい。この場合、柱部22Aは、環状のフランジから筒状に延びた部位として構成されうる。また、当接部23Aは、筒状の柱部22Aの先端に設けられた平板状の部位で構成されうる。かかる形態によれば、当接部23Aを押圧する荷重に対して柱部22Aが変形するので、建物13に作用する反力を小さく抑えることができ、建物13に生じる衝撃を小さく抑えることができる。ここで、図9では、好適な一例として、柱部22Aが外側に膨らむ形態を例示したが、柱部22Aは内側に変形するように構成してもよい。
また、衝撃吸収部材14は、20℃における等価粘性減衰定数heqが0.10以上の高減衰ゴム(粘弾性体)によって形成されているとよい。ここで、衝撃吸収部材14が高減衰ゴムであると、当接部23が押圧されて変形する際に、比較的、早期に降伏し、クリープが生じる。このため、変位が大きくなっても荷重(反力)が大きくなり難く、建物13に生じる衝撃をより小さく抑えるのに好ましい。また、建物13の運動エネルギー(振動のエネルギー)を吸収し、建物13の揺れをより早期に減衰させることができる。
このように、免震建物用の衝撃吸収装置としては、例えば、図2に示すように、20℃における等価粘性減衰定数heqが0.10以上の高減衰ゴムからなり、基部21と、基部21から立ち上がった柱部22と、柱部22の先端に設けられた当接部23とを備えているとよい。ここで、基部21は、互いに対向する建物13の側壁13aと擁壁11aとの少なくとも一方に取り付けられる取付部が設けられているとよい。
なお、上述した実施形態では、衝撃吸収部材14の取り付けは、種々の取り付け構造を採用できるが、衝撃吸収部材14に高減衰ゴムを用いる場合には、ビスなどにより、交換可能に取り付けられているとよい。
また、衝撃吸収部材14は、基本的には、免震装置の変形性能を超えるような大きな揺れに備えるものである。このため、衝撃吸収部材14の高さH(図2参照)は、例えば、建物13の側壁13aと擁壁11aとの間隔Aの50%以下、より好ましくは30%以下の高さにするとよい。これにより、免震装置の変形性能内の揺れに対しては、建物13の側壁13aあるいは擁壁11aが衝撃吸収部材14に当たらないように、建物13の側壁13aあるいは擁壁11aとの距離を広く確保できる。また、衝撃吸収部材14の高さH(図2参照)は、建物13の運動エネルギを吸収するのに十分な変形量を確保できるとよく、例えば、建物13の側壁13aと擁壁11aとの間隔Aの20%程度、さらには10%程度としてもよい。
以上、免震建物10について例示したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。衝撃吸収部材の形状なども上述した実施形態に限定されない。
10 免震建物
11 基礎
11a 擁壁
12 免震装置
13 建物
13a 側壁
14、14A 衝撃吸収部材
21、21A 基部
21a フランジ
22、22A 柱部
22A1 段差
22A2 スリット
22a 中間部
23、23A 当接部
23A1 開口
100 オートグラフ試験機
102 固定台
104 可動台
106 台座
108 アクチュエータ
H 距離(高さ)
k 降伏点
R1 1回目の変形の履歴曲線
Rn 2回目以降の変形の履歴曲線

Claims (6)

  1. 基礎と、
    前記基礎に配置された免震装置と、
    前記免震装置の上に配置された建物と
    を備え、
    前記免震装置は、前記建物が前記基礎に対して水平に移動するのを許容し、
    前記基礎には、前記建物の側壁の少なくとも一部に対して、間隔を空けて対向した擁壁が設けられており、
    前記建物の前記側壁と前記擁壁とが対向する部位において、前記建物の側壁と前記擁壁との少なくとも一方に、ゴムによって形成された衝撃吸収部材が設けられた、
    免震建物。
  2. 前記衝撃吸収部材は、
    前記建物の側壁と前記擁壁とのうち一方の壁に取り付けられる基部と、
    前記基部が取り付けられた一方の壁に対向する他方の壁に向けて、前記基部から立ち上がった柱部と、
    前記柱部の先端に、前記他方の壁に対向するように設けられた当接部と
    を備えた、請求項1に記載された免震建物。
  3. 前記基部は、平行に配置された2本の直線に沿って延びた2本のフランジを備え、
    前記柱部は、前記2本のフランジからそれぞれ立ち上がった板状の部位であり、
    前記当接部は、前記柱部の先端部に架け渡された平板状の部位である、請求項2に記載された免震建物。
  4. 前記基部は、環状に延びたフランジを備え、
    前記柱部は、前記環状のフランジから筒状に延び、
    前記当接部は、筒状の前記柱部の先端に設けられた平板状の部位である、請求項2に記載された免震建物。
  5. 前記衝撃吸収部材は、20℃における等価粘性減衰定数heqが0.10以上の高減衰ゴムによって形成された、請求項1から4までの何れか一項に記載された免震建物。
  6. 20℃における等価粘性減衰定数heqが0.10以上の高減衰ゴムからなり、
    基部と、
    前記基部から立ち上がった柱部と、
    前記柱部の先端に設けられた当接部と
    を備え、
    前記基部は、互いに対向する免震建物の側壁と擁壁との少なくとも一方に取り付けられる取付部を備えた、
    免震建物用の衝撃吸収装置。
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