JP5566737B2 - 制振ブレース - Google Patents

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Description

本発明は、柱および梁で囲まれた架構面内に斜めに設けられる制振ブレースに関する。
従来、建物の制振構造の一例として、特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載の制振構造は、柱と梁に囲まれた架構の内部空間に取付用ガセット等を介して設置されるブレースの途中に、ダンパ(制振部材)を介在させて、このダンパーによって、地震等の際の振動エネルギーを吸収するものであり、ブレース型制振装置と称されている。
特開2003−049557号公報
しかし、特許文献1の制振装置では、地震などによる建物の変形が小さい場合には制振部材(エネルギー吸収材料)に伝えられる変形も小さいため、制振部材のエネルギー吸収量が小さく、建物の振動を減衰する減衰力も小さくなり、制振構造があまり有効に働かない。そのため、制振装置の配置箇所を多くしなければならかった。
本発明の課題は、地震などによる建物躯体の変形が小さい場合にも大きなエネルギー吸収を可能とし、大きな減衰力を発揮することができる制振ブレースを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図7に示すように、柱2,2および梁3,4で囲まれた架構面内に斜めに設けられる制振ブレース10において、
所定の間隔をもって互いに平行にかつ先端部が軸方向と直交する方向に重ねて配置される一対のブレース材10a,10bと、
長手方向がこれら一対のブレース材10a,10bの軸方向に向けられるようにして設けられるとともに、これら一対のブレース材10a,10bの軸方向と直交する方向の二箇所で、該一対のブレース材10a,10bの双方に枢結される振り子部材11と、
この振り子部材11の長手方向端部の近傍に位置するとともに、前記一対のブレース材10a,10bの軸方向と直交する方向の二箇所で、該一対のブレース材10a,10bの双方に枢結される揺動部材12とを備えており、
これら振り子部材11の長手方向端部と揺動部材12とは振動減衰手段13を介して連結されており、
前記ブレース材10a,10bは、一側面15,16に、長手方向に沿う開口部15a,16aを有する溝形鋼によって構成されており、
この溝形鋼で構成された一対のブレース材10a,10bの先端部を、開口部15a,16aが互いに対向するようにして重ねて配置することによって空洞部17が形成されており、
この空洞部17内に、前記振り子部材11と、揺動部材12と、振動減衰手段13とが設けられていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、振り子部材11は一対のブレース材10a,10bにそれぞれ枢結されているので、地震等で柱2,2および梁3,4で囲まれた架構面に変形が生じることによって、一対のブレース材10a,10bに引張りや圧縮力が作用すると、振り子部材11は、一対のブレース材10a,10bとの枢結位置14,14の中央部を支点として回転するようにして振れる。したがって、振り子部材11はてこの原理によって振れが増幅される。
これによって、振り子部材11の長手方向端部と連結された振動減衰手段13の変形を増幅することができるので、建物躯体の小さな変形から振動エネルギーを吸収でき、減衰機能を有効に働かせることができる。
また、揺動部材12も、振り子部材11と同様に架構面に生じる変形に伴って揺動するので、架構面の変形に伴う一対のブレース材10a,10bの引張り方向や圧縮方向への変位を阻害することがなく、振り子部材11と振動減衰手段13とによる減衰機能を確実に働かせることができる。
さらに、このような制振ブレース10であれば、地震だけでなく風や交通振動等にも影響を受けやすい木造住宅であっても、同様に建物躯体の小さな変形から振動エネルギーを吸収でき、減衰機能を有効に働かせることができる。
また、空洞部17を形成し、この空洞部17内に、前記振り子部材11と、揺動部材12と、振動減衰手段13とを収納できるので、これら振り子部材11と、揺動部材12と、振動減衰手段13を取り付けるスペースを確保するために、例えば柱2および梁3,4の壁厚方向の長さを極端に長くしたり、ブレース材10a,10bの壁厚方向の長さを極端に短くしたりする必要がない。
これによって、制振ブレース10を導入するにあたり、特に設計変更や部材寸法の変更を行う必要がないので、部材強度の低下やコストの増加を防ぐことができる。
請求項2に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項1に記載の制振ブレース10において、
前記振り子部材11の枢結位置14と、前記振動減衰手段13の中心部との間の、前記ブレース材10a,10bの軸方向と直交する方向における距離L1よりも、
前記枢結位置14と、前記振動減衰手段13の中心部との間の、前記ブレース材10a,10bの軸方向における距離L2を長く設定したことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、振り子部材11はてこの原理によって振れが増幅されるが、この振れの増幅は、枢結位置14と振動減衰手段13の中心部との間のブレース材10a,10bの軸方向と直交する方向における距離L1より、枢結位置14と振動減衰手段13の中心部との間のブレース材10a,10bの軸方向における距離L2を長く設定することによって、大きくなる。つまり、増幅効果が大きくなる。したがって、より効果的に建物躯体の小さな変形から振動エネルギーを吸収でき、減衰機能を有効に働かせることができる。
請求項3に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項2に記載の制振ブレース10において、
前記振り子部材11は、この振り子部材11の枢結位置14付近が端部側より幅広となるように形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、振り子部材11の枢結位置14付近が端部側より幅広となるように形成されているので、この部分に荷重が集中しても十分耐え得るものとなるとともに、端部側は振り子部材11の枢結位置14付近より幅狭であるので、その分、振り子部材4の材料軽減を図ることができる。
請求項に記載の発明は、例えば図5に示すように、請求項1〜のいずれか一項に記載の制振ブレース10において、
前記一対のブレース材10a,10bの先端部の互いに対向する側面15,16とは反対の側面15,16には、前記振り子部材11が振れた際に、該振り子部材11の端部とブレース材10a,10bとの接触を防止するための接触防止用スリット18が形成されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、接触防止用スリット18を形成した分、振り子部材11の振れ幅を大きくすることができるので、さらに効果的に建物躯体の小さな変形から振動エネルギーを吸収でき、減衰機能を有効に働かせることができる。
請求項に記載の発明は、例えば図1〜図7に示すように、請求項1〜のいずれか一項に記載の制振ブレー10スにおいて、
前記振動減衰手段13は粘弾性体13aを備えていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、粘弾性体13aは、エネルギー吸収性能が変形量に比例するので、大きな減衰力を発揮できる。より一層効果的に建物躯体の小さな変形から振動エネルギーを吸収でき、減衰機能を有効に働かせることができる。
本発明によれば、振り子部材は一対のブレース材にそれぞれ枢結されているので、地震等で柱および梁で囲まれた架構面に変形が生じることによって、一対のブレース材に引張りや圧縮力が作用すると、振り子部材は、一対のブレース材との枢結位置の中央部を支点として回転するようにして振れる。したがって、振り子部材はてこの原理によって振れが増幅される。
これによって、振り子部材の長手方向端部と連結された振動減衰手段の変形を増幅することができるので、建物躯体の小さな変形から振動エネルギーを吸収でき、減衰機能を有効に働かせることができる。
また、揺動部材も、振り子部材と同様に架構面に生じる変形に伴って揺動するので、架構面の変形に伴う一対のブレース材の引張り方向や圧縮方向への変位を阻害することがなく、振り子部材と振動減衰手段とによる減衰機能を確実に働かせることができる。
さらに、このような制振ブレースであれば、地震だけでなく風や交通振動等にも影響を受けやすい木造住宅であっても、同様に建物躯体の小さな変形から振動エネルギーを吸収でき、減衰機能を有効に働かせることができる。
本発明に係る制振ブレースを備える制振構造を示す正面図である。 本発明に係る制振ブレースを示す縦断面図である。 図2に示す制振ブレースの動作状態の概要に示す縦断面図である。 図2に示す制振ブレースの横断面図である。 図2に示す制振ブレースの側面図である。 粘弾性体のせん断変形を生じさせる正弦波加振を行った際の履歴ループを示す図である。 粘弾性体のせん断ひずみ率γを説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る制振ブレースの実施の形態の一例を示す正面図である。
図1において符号1は、構造物の一例である建物の骨組体を示している。この骨組体1は柱2,2、上梁3、下梁4を備えており、これら柱2,2、上梁3、下梁4で囲まれた架構面内に本発明に係る制振ブレース10が斜めに設けられている。
制振ブレース10は、一対のブレース材10a,10bを備えている。一側面15,16に、長手方向に沿う開口部15a,16aを有する溝形鋼によって構成されており、所定の間隔をもって互いに平行にかつ先端部が軸方向と直交する方向に重ねて配置されている。
ブレース材10aの基端部(図1では上端部)は、図1中右側の柱2の上端部に固定されたブラケット(端部固定部材)19にピン結合されている。したがって、ブレース材10aはピンを支点として上下に回動可能となっている。
ブレース材10bの基端部(図1では下端部)は、図1中左側の柱2の下端部に固定されたブラケット(端部固定部材)20にピン結合されている。したがって、ブレース材10bはピンを支点として上下に回動可能となっている。
これら一対のブレース材10a,10bの重なっている先端部どうしは、これら一対のブレース材10a,10bの双方に枢結される振り子部材11と、同じく、これら一対のブレース材10a,10bの双方に枢結される揺動部材12,12とによって連結されている。
なお、本実施の形態のブレース材10a,10bは、上述のように溝形鋼によって構成されているが、特に、リップ溝形鋼によって構成されているものとする。そして、前記開口部15a,16aが形成された側面15,16を、これら開口部15a,16aとリップ片15b,16bとで構成している。
また、このように開口部15a,16aを有する溝形鋼を用いることで、一対のブレース材10a,10bの先端部を、開口部15a,16aが互いに対向するようにして重ねて配置することによって空洞部17を形成することができる。
振り子部材11は、図2に示すように、前記一対のブレース材10a,10bの軸方向に沿って長尺で略菱形に形成されており、その長手方向が前記一対のブレース材10a,10bの軸方向に向けられるようにして設けられている。
また、この振り子部材11は、中央部付近が幅広に形成されており、この幅広部分のうち、前記一対のブレース材10a,10bの軸方向と直交する方向の二箇所で、該一対のブレース材10a,10bの双方に、ボルト14a,14aによって枢結されている。なお、これらボルト14a,14aによって一対のブレース材10a,10bに枢結された位置を振り子部材11の枢結位置14,14とする。
したがって、図3に示すように、一対のブレース材10a,10bが圧縮や引張り力を受けて、軸方向に動くと、振り子部材11は、その中央部付近のボルト14a,14aの位置、つまり枢結位置14,14間の略中央部を支点として、左右に回動するようになっている。
なお、図4に示すように、振り子部材11は、ボルト14a,14aによってブレース材10a,10bの側壁に枢結された位置から離間しているため、この振り子部材11とブレース材10a,10bの側壁との間隔を保持するスペーサー14bが、予めボルト14a,14aの軸部に外挿されている。
また、揺動部材12は、前記振り子部材11の長手方向両端部の近傍に位置するとともに、前記一対のブレース材10a,10bの軸方向と直交する方向の二箇所で、該一対のブレース材10a,10bの双方に、ボルト12c,12c・ナット12d,12dによって枢結されている。
さらに、この揺動部材12は、図2〜図4に示すように、前記一対のブレース材10a,10bに枢結される枢結板部12a,12aと、これら枢結板部12a,12a間に一体形成されるとともに、前記一対のブレース材10,10のリップ片15,16を跨ぐようにして設けられる断面コ字状の跨設板部12bとを有する。
そして、図3に示すように、一対のブレース材10a,10bが圧縮や引張り力を受けて、軸方向に動くと、揺動部材12,12は、枢結板部12a,12aのボルト12c,12c間の略中央部、つまり跨設板部12bの略中央部を支点として、左右に回動するようになっている。
前記振り子部材11の長手方向両端部と、前記揺動部材12,12とは振動減衰手段13を介して連結されている。つまり、振り子部材11の長手方向両端部に振動減衰手段13が設けられている。
この振動減衰手段13は、図2〜図5に示すように、粘弾性体13aと、プレート13bとを備えており、このプレート13bの粘弾性体13a側面に、粘弾性体13aが接着剤や加硫接着によって接着固定されている。この粘弾性体13aは、正方形板状に形成されており、その四周の側端面にはそれぞれ被覆ゴム(図示せず)が貼着されている。
また、粘弾性体13aは、前記跨設板部12bの略中央部にも接着固定されている。つまり揺動部材12と振動減衰手段13とは、一体的に形成されていることになる。
プレート13bは、前記振り子部材11の長手方向両端部の幅寸法と略等しい幅寸法に設定されている。そして、これら振り子部材11とプレート13bとは、その表裏面においてこれら振り子部材11とプレート13bとに跨る連結プレート11aとボルト11bとによって連結されている。
また、図2に示すように、前記振り子部材11がブレース材10a,10bに連結されている位置を枢結位置14としている。この枢結位置14と、前記振動減衰手段13の中心部との間の、前記ブレース材10a,10bの軸方向と直交する方向における距離L1よりも、前記枢結位置14と、前記振動減衰手段13の中心部との間の、前記ブレース材10a,10bの軸方向における距離L2を長く設定されている。
このように、振り子部材11はてこの原理によって振れが増幅されるが、この振れの増幅は、枢結位置14と振動減衰手段13の中心部との間のブレース材10a,10bの軸方向と直交する方向における距離L1より、枢結位置14と振動減衰手段13の中心部との間のブレース材10a,10bの軸方向における距離L2を長く設定することによって、大きくなる。つまり、増幅効果が大きくなる。
さらに、このように振り子部材11の振れの増幅が大きくなった場合に、振り子部材11の長手方向両端部と、ブレース材10a,10bの側壁とが接触しないようにするため、図2,図3,図5に示すように、前記一対のブレース材10a,10bの先端部の互いに対向する側面15,16とは反対の側面15,16に、接触防止用スリット18が形成されている。
また、図4および図5に示すように、以上のような前記振り子部材11と、揺動部材12と、振動減衰手段13とは、前記一対のブレース材10a,10bの先端部を、開口部15a,16aが互いに対向するようにして重ねて配置することによって形成された空洞部17内に設けられている。
また、図1に示すように、前記制振ブレース10のブレース材10bには、前記振動減衰手段13と異なる減衰性能を有する他の振動減衰手段21が設けられている。
すなわち、他の振動減衰手段21は、対向して設けられた一対のプレート21a,21aと、これらプレート21a,21aの対向する面にそれぞれ結合された粘弾性体21bと、プレート21a,21aどうしを連結する複数の連結ボルト21c・・・とを備えている。そして、一方のプレート21aに、ブレース材10bの基端部(図1では下端部)が結合されており、他方のプレート21aに、端部材10cが結合され、この端部材10cが前記ブラケット4aにピン結合されている。
そして、このような振動減衰手段21では、地震力によって、制振ブレース10に圧縮や引張り力が加わったとき、粘弾性体21bにせん断変形を加え、振動エネルギを吸収することによって、制振するようになっている。
前記減衰振動手段13と他の減衰振動手段21とは、それぞれ異なる減衰性能を有しており、減衰振動手段13は、骨組体1に小さい地震力が作用した際に主に機能し、減衰振動手段21は、大きい地震力が作用した際に主に機能するようになっている。
前記振動減衰手段13および、その他の振動減衰手段21に備えられている粘弾性体13a,21bは、主鎖にC−C結合を有する基材ゴム100重量部に対してシリカを100〜150重量部添加し、そのシリカに対してシラン化合物を10〜30重量%配合した高減衰ゴムによって形成されている。
以下に、粘弾性材料について説明する。
一般的な粘弾性材料は、振幅の増加に連れて剛性が増加し、抵抗力が大きくなる。振幅が大きくなるにつれて剛性が大きくなる性質を持つ粘弾性体を用いると、建物の加速度応答や各部応力の過大な上昇が生じる。そこで、振幅が増加しても剛性の増加が頭打ちになる性質を備えた粘弾性体を用いることが望ましい。特に、本発明では、建物に作用する振動の振幅に比べて、粘弾性体を大きくせん断変形させるものであるから、歪依存性について上記の性質を備えたものを用いることによる効果は大きい。
また、交通振動などの環境振動から台風時の風揺れ、大地震に至るまでの幅広い振幅領域で機能する必要があるため、歪依存性が小さい粘弾性体を用いる。すなわち、小歪から大歪まで安定した振動エネルギー吸収能力を発揮するものを用いる。
具体的には、0.01≦γ≦3.5の領域で、Heq>0.20の安定したエネルギー吸収能力が必要とされる。このため大振幅領域において抵抗力が大きくならないように、γ>1.0の領域において、γの増加とともにKeq/(S/D)が減少することを特徴とする、例えば、0.45≦{Keq/(S/D)(γ=3.0)}/{Keq/(S/D)(γ=1.0)}<0.75の粘弾性体を用いるとよい。
なお、ここで、γはせん断歪み率であり、図6に示すように、粘弾性体のせん断変形量dを粘弾性体の高さtで除したものである。また、動的粘弾性試験における等価粘性減衰係数(等価減衰定数)(Heq)および等価せん断弾性率(Geq=Keq/(S/D))とは、粘弾性材料のせん断変形を生じさせる正弦波加振を行い、その際の履歴ループ(ヒステリシス曲線)を測定し、その結果に基づいて計算されるものである。図7に基づいて説明すると、Heqは下記の式(数1)、Keq/(S/D)は下記の式(数2)にて計算される数値である。
Heq=ΔW/2πW (数1)、
W:剪断変形の弾性エネルギ(図7において示される2つの三角形の面積。単位はkgf・cm)、
ΔW=剪断変形により吸収するエネルギの合計(図7において示されるヒステリシス曲線で囲まれた面積。単位はkgf・cm)、
Keq/(S/D)=F/U/(S/D) (数2)、
F:最大変位を与えるときの荷重(単位はkgf)、
Be:最大変位(単位はcm)、
S/D:試験サンプルの形状係数(サンプル剪断面積/サンプル剪断隙間。単位はcm)
また、一般的な粘弾性材料は、振動周波数の増加に伴い、Geq(=Keq/(S/D))〔N/mm2〕が著しく増加する。例えば、一般的な粘弾性体では、20℃では、0.1Hzのときと2.0HzのときではGeqの値が2〜3倍に増加する。交通振動の卓越周波数は4Hz〜7Hzに分布し、地振動は0.1Hz〜20Hz程度に分布するので、これらの周波数に対して剛性や減衰性能の点で比較的安定した性質を備えた粘弾性体を用いることが望ましい。具体的には、より入力周波数分布領域が広範囲に及ぶ地震動に対応する必要がある。制振材が家屋に付与する減衰性能は、概ね制振材の有する剛性(ここでは等価せん断弾性率(Geq))と減衰定数(ここでは等価粘性減衰定数(等価減衰定数)Heq)との積で表現することができる。周波数依存性の評価は、一定の温度条件の下で、斯かる積の値がある周波数の時を基準として、上述した地振動の0.1Hz〜20Hzの範囲で±50%以内であればよい。
また、一般的に粘弾性体は、低温時に剛性が高くなり、高温時に剛性が低くなる。日本は一年を通じて気温の変化が大きく、−10℃〜40℃程度の温度範囲に対して剛性や減衰性能の点で比較的安定した性質を備えた粘弾性体を用いることが望ましい。
例えば、本実施の形態で説明する図1に示すような制振構造の使用環境が−10℃〜40℃であれば、20℃のGeq(等価せん断弾性率)を基準として、低温側は−10℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=−10℃)と、20℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=20℃)の比、Geq(t=−10℃)/Geq(t=20℃)≦2.2とし、高温側は、40℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=40℃)と、20℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=20℃)の比、Geq(t=40℃)/Geq(t=20℃)≧0.6とするとよい。
本実施の形態では、粘弾性体は、上述した歪依存性、周波数依存性、温度依存性を持たせるため、例えば、主鎖にC−C結合を有する基材ゴム100重量部に対してシリカを100〜150重量部添加し、そのシリカに対してシラン化合物を10〜30重量%配合した高減衰ゴムを用いる。その好適な粘弾性体の一例を挙げると、基材ゴム100重量部に対してシリカ135重量部を添加し、さらにそのシリカに対してシラン化合物を17重量%配合したものを挙げることができる。この粘弾性体によれば、上述した歪依存性、周波数依存性、温度依存性を持たせることができ、上述した制振構造の機能を十分に発揮させることができる。
特に、20℃での性能がHeq≧0.2、0.35≦Geq≦6.0(N/mm2)の範囲にあって、かつ、Geqの温度依存性が−10℃/20℃≦2.2、40℃/20℃≧0.6(ともに、周波数0.1Hz、せん断歪±100%)を実現でき、上記のように、制振部材の粘弾性体を大きくせん断変形させるようにした制振構造の機能を十分に発揮させることができる。
なお、シラン化合物は、下記の一般式で、
Figure 0005566737
〔式中、R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはアルコキシ基、またはハロゲン原子を示し、他は同一または異なって水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。〕で表されるシラン化合物とを含有するゴム組成物の加硫成形により形成される。また、基材ゴムとしては、主鎖にC−C結合を有する種々のゴムがいずれも使用可能である。具体的には天然ゴム(NR)の他、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種類以上を併用することもできる。
上記の基材ゴムに添加されるシリカとしては、ゴムの補強剤として使用される、親水性あるいは疎水性の種々のシリカが使用可能である。上記シリカの添加量は、基材ゴム100重量部に対して10〜150重量部に限定される。この理由は前述したとおりである。
前記一般式(1)で表されるシラン化合物において、R1〜R4に相当するアルコキシ基としては、Cn2n+1Oで表される種々の炭素数のものがあげられるが、とくに炭素数が1〜2であるメトキシ、エトキシが好ましいものとしてあげられる。またハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などがあげられる。
アルキル基としては、Cn2n+1で表される種々の炭素数のものがあげられるが、とくにその炭素数は1〜20程度であるのが好ましい。かかるアルキル基としては、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第2級ブチル、第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどがあげられる。
また、アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、o−テルフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどがあげられる。かかるシラン化合物の具体例として、これに限定されないがたとえば、n−ヘキシルトリメトキシシラン、トリエトキシフェニルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルジクロロシランなどがあげられる。
ゴム組成物には上記以外にもたとえば、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、シリカ以外の補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、粘着性付与剤その他、各種の添加剤を添加してもよい。上記のうち加硫剤としては、例えば、硫黄、有機含硫黄化合物、有機過酸化物などがあげられ、このうち有機含硫黄化合物としては、例えば、N,N´−ジチオビスモルホリンなどがあげられ、有機過酸化物としては、例えばペンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシドなどがあげられる。
また、加硫促進剤としては、たとえばテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム系加硫促進剤、ジブチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカーバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカーバミン酸テルルなどのジチオカーバミン酸類、2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのチアゾール類、トリメチルチオ尿素、N,N´−ジエチルチオ尿素などのチオウレア類などの有機促進剤や、あるいは消石灰、酸化マグネシウム、酸化チタン、リサージ(PbO)などの無機促進剤などがあげられる。
加硫促進助剤としては、たとえばステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸などの脂肪酸や、あるいは亜鉛華などの金属酸化物などがあげられる。加硫遅延剤としては、たとえばサリチル酸、無水フタル酸、安息香酸などの芳香族有機酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドキノン、N−ニトロソフェニル−β−ナフチルアミンなどのニトロソ化合物などがあげられる。
上記加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤および加硫遅延剤は、その合計の配合量が、基材ゴム100重量部に対して4〜15重量部程度であるのが好ましい。老化防止剤としては、たとえば2−メルカプトベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N´−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N´−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン類、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノールなどのフェノール類などがあげられる。
老化防止剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して1.5〜5重量部程度が好ましい。シリカ以外の補強剤としては主にカーボンブラックが使用される他、ケイ酸塩系のホワイトカーボン、亜鉛華、表面処理沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレーなどの無機補強剤や、あるいはクマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂(スチレン含有量の多いスチレン−ブタジエン共重合体)などの有機補強剤も使用できる。
また、充填剤としては、たとえば炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、珪藻土などがあげられる。上記シリカ以外の補強剤および/または充填剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して5〜50重量部程度が好ましい。軟化剤としては、たとえば脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸など)、綿実油、トール油、アスファルト物質、パラフィンワックスなどの、植物油系、鉱物油系、および合成系の各種軟化剤があげられる。
軟化剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して10〜100重量部程度が好ましい。可塑剤としては、たとえばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフェートなどの各種可塑剤があげられる。可塑剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して5〜20重量部程度が好ましい。
さらに、粘着性付与剤としては、たとえばクマロン・インデン樹脂、芳香族系樹脂、芳香族・脂肪族混合系樹脂、ロジン系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂などがあげられる。粘着性付与剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して5〜50重量部程度であるのが好ましい。
上記以外にも、ゴム組成物にはたとえば分散剤、溶剤などを適宜配合してもよい。ゴム組成物は、上記の各成分を、たとえば密閉式混練機などを用いて混練することで製造される。そして粘弾性体は、たとえば上記ゴム組成物をローラヘッド押出機などを用いてシート状に成形し、所定の形状を有するようにこのシートを打ち抜いた後、打ち抜いたシートを、所定の厚みを有するように複数枚、積層した状態で、所定の型内で加熱して加硫成形するなどして製造される。
上記のような粘弾性体13a,21bを備えた制振ブレース10は、その両端部をそれぞれ骨組体の一つの構成部材に端部固定部材(ブラケット)19,20を介して取り付け、かつ、建物に横揺れが生じたときに、端部固定部材19,20が、柱2,2と梁3,4の相対変形角を抑制しない取り付け構造になっている。
すなわち、まず、制振ブレース10は、建物の骨組体1の柱2,2、上梁3、下梁4で囲まれた架構面内に、図1中右側の柱2と上梁3とを接合した隅部と、図1中左側の柱2と下梁4を接合した隅部を結ぶ対角線に沿って斜めに配設されている。
柱2と上梁3とを接合した隅部において、端部固定部材19が上梁3との間に所定の隙間S1を開けて柱2の上端部側面に固定されている。また、柱2と下梁4とを接合した隅部において、端部固定部材20が下梁4との間に所定の隙間S2を空けて柱2の下端部側面に固定されている。
そして、端部固定部材19に、制振ブレース10の上端部がピン結合によって取り付けられており、端部固定部材20に、制振ブレース10の下端部がピン結合によって取り付けられている。
このような制振ブレース10の取付構造では、制振ブレース10の一方の端部(上端部)は、骨組体1の図1中右側の柱2の上端部に端部固定部材19を介して取り付けられ、他方の端部(下端部)は骨組体1の図1中左側の柱2の下端部に端部固定部材20を介して取り付けられている。このため、建物の骨組体1の接合部で、柱と梁を跨ぐようにして固定したガセットプレートなどを介在させて制振ブレース10を取り付ける場合に比して、骨組体1の接合部の強度は高くならない。
また、制振ブレース10の両端部を取り付けている端部固定部材19,20は、骨組体1の接合部では固定されていない他方の構成部材(上梁3、下梁4)に隙間S1,S2を空けて取り付けられている。このため、地震時などの横揺れにより、建物に横揺れが生じたときでも、制振ブレース10の両端部にある端部固定部材19,20が柱2,2と梁3,4の相対変位角を抑制しない取付構造となっている。
したがって、地震時の横揺れなどにより、大きな水平力が骨組体1に作用し、骨組体1の上部(上梁3)が下部(下梁4)に対して水平に相対移動した場合に、骨組体1の構成部材の撓みを抑え、より直接的に制振ブレース10に圧縮または引張方向の力を作用させることができる。すなわち、地震時に骨組体1に作用する力が、骨組体1の構成部材の撓みにより吸収される割合よりも、制振ブレース10を圧縮したり引っ張ったりすることにより吸収される割合が多くなる。これにより、より効果的に制振ブレース10を機能させることができる。
なお、前記端部固定部材19,20はそれぞれ図1中右側の柱2の上端部、図1中左側の柱2の下端部に固定したが、これに限らず、端部固定部材19は、図1中右側の柱2の上端部または上梁3に固定し、端部固定部材20は図1中右側の柱2の上端部または下梁4に固定すればよい。
なお、本実施の形態の柱2,2と上梁3と下梁4とは木製であり、これら柱2,2と上梁3と下梁4とで構成される骨組体1は、木造住宅の建物躯体を構成する要素とされている。すなわち、本実施の形態の制振ブレース10は、木造住宅に導入されている。
また、これに限らるものではなく、本実施の形態の制振ブレース10を、鉄骨造の住宅にも導入してもよい。
さらに、前記下梁4は、制振ブレース10を建物の下階に設ける際には、土台や大引きに変更してもよいものとする。
次に前記制振ブレース10の作用効果について説明する。
まず、図1および図2に示す状態が地震が発生していない状態であり、制振ブレース10を構成するブレース材10a,10b間には所定の隙間Sが設けられている。また、制振ブレース10の粘弾性体13a,21bには変形が生じていない。
そして、地震によって建物に振動が発生した場合、柱2,2および梁3,4で囲まれた架構面に変形が生じることによって、一対のブレース材10a,10bに引張りや圧縮力が作用して、該ブレース材10a,10bが軸方向に往復動するとともに、軸方向と直交する方向に接近離間するように振動する。
振動初期では、比較的小さい振幅でかつ周期が短い小さな振動であるので、この振動を振動減衰手段13で制振する。すなわち、一対のブレース材10a,10bに引張りや圧縮力が作用すると、図3に示すように、振り子部材11が、ブレース材10a,10bとの枢結位置14,14を支点として回動する。
振り子部材11は一対のブレース材10a,10bにそれぞれ枢結されているので、この枢結位置14を支点として回動することによって、全体的には、枢結位置14,14の中央部を支点として回転するようにして振れる。したがって、振り子部材11はてこの原理によって振れが増幅されるとともに、互いに反対方向に回転するようにして振れる。
これによって粘弾性体13aにはせん断変形が生じ、この粘弾性体13aがブレース材10a,10bの振動エネルギを吸収することによって振動を制振する。
また、振り子部材11の長手方向両端部と揺動部材12,12とを連結している振動減衰手段13,13の変形を増幅することができるので、建物躯体の小さな変形から振動エネルギーを吸収でき、減衰機能(制振機能)を有効に働かせることができる。
そして、前記振り子部材11がブレース材10a,10bに連結されている枢結位置14と、前記振動減衰手段13の中心部との間の、前記ブレース材10a,10bの軸方向と直交する方向における距離L1よりも、前記枢結位置14と、前記振動減衰手段13の中心部との間の、前記ブレース材10a,10bの軸方向における距離L2を長く設定したので、振り子部材11の振れ増幅効果が大きくなる。
したがって、より効果的に建物躯体の小さな変形から振動エネルギーを吸収でき、減衰機能を有効に働かせることができる。
また、前記ブレース材10a,10bに圧縮や引張り力が作用して該ブレース材10a,10bが接近離間するように振動した場合において、振動の幅が大きくなって、ブレース材10a,10bどうしが当接したときは、ブレース材10a,10bどうしのそれ以上の振動が防止される。したがって、それ以降の振幅や周期が比較的大きい振動の制振を他の振動減衰手段21へとスムーズに移行できる。
振動減衰手段21で制振する場合、ブレース材10a,10bが軸方向に振動することによって、粘弾性体21bがせん断変形して、ブレース材10a,10bの振動エネルギーを吸収して、振動を制振する。
また、本実施の形態では、振動減衰手段13が、粘弾性体13aとこの粘弾性体13aに接着固定されるプレート13bとを備えており、さらに粘弾性体13aに揺動部材12の跨設板部12bが接着固定されることによって、これら揺動部材12と振動減衰手段13とを一体化することができるので、これを部品化できる。
そして、この部品化された振動減衰手段13のプレート13bが振り子部材11に結合されているので、振動減衰手段13を容易に制振ブレース10に組み込むことができる。また、振動減衰手段13の取り替えや、補修も容易に行える。
また、粘弾性体13a,21bは、主鎖にC−C結合を有する基材ゴム100重量部に対してシリカを100〜150重量部添加し、そのシリカに対してシラン化合物を10〜30重量%配合した高減衰ゴムであるので、粘弾性体13a,21bに適切な、歪依存性、周波数依存性、温度依存性を持たせることができるので、振動減衰機能つまり制振機能を十分に発揮させることができる。
本実施の形態によれば、振り子部材11の長手方向端部と連結された振動減衰手段13の変形を増幅することができるので、建物躯体の小さな変形から振動エネルギーを吸収でき、減衰機能を有効に働かせることができる。
また、揺動部材12も、振り子部材11と同様に架構面に生じる変形に伴って揺動するので、架構面の変形に伴う一対のブレース材10a,10bの引張り方向や圧縮方向への変位を阻害することがなく、振り子部材11と振動減衰手段13とによる減衰機能を確実に働かせることができる。
さらに、このような制振ブレース10であれば、地震だけでなく風や交通振動等にも影響を受けやすい木造住宅であっても、同様に建物躯体の小さな変形から振動エネルギーを吸収でき、減衰機能を有効に働かせることができる。
1 骨組体
2 柱
3 上梁
4 下梁
10 制振ブレース
10a ブレース材
10b ブレース材
11 振り子部材
12 揺動部材
13 振動減衰手段
14 枢結位置
15 側面
15a 開口部
16 側面
16a 開口部
17 空洞部
18 接触防止用スリット

Claims (5)

  1. 柱および梁で囲まれた架構面内に斜めに設けられる制振ブレースにおいて、
    所定の間隔をもって互いに平行にかつ先端部が軸方向と直交する方向に重ねて配置される一対のブレース材と、
    長手方向がこれら一対のブレース材の軸方向に向けられるようにして設けられるとともに、これら一対のブレース材の軸方向と直交する方向の二箇所で、該一対のブレース材の双方に枢結される振り子部材と、
    この振り子部材の長手方向端部の近傍に位置するとともに、前記一対のブレース材の軸方向と直交する方向の二箇所で、該一対のブレース材の双方に枢結される揺動部材とを備えており、
    これら振り子部材の長手方向端部と揺動部材とは振動減衰手段を介して連結されており、
    前記ブレース材は、一側面に、長手方向に沿う開口部を有する溝形鋼によって構成されており、
    この溝形鋼で構成された一対のブレース材の先端部を、開口部が互いに対向するようにして重ねて配置することによって空洞部が形成されており、
    この空洞部内に、前記振り子部材と、揺動部材と、振動減衰手段とが設けられていることを特徴とする制振ブレース。
  2. 請求項1に記載の制振ブレースにおいて、
    前記振り子部材の枢結位置と、前記振動減衰手段の中心部との間の、前記ブレース材の軸方向と直交する方向における距離よりも、
    前記枢結位置と、前記振動減衰手段の中心部との間の、前記ブレース材の軸方向における距離を長く設定したことを特徴とする制振ブレース。
  3. 請求項2に記載の制振ブレースにおいて、
    前記振り子部材は、この振り子部材の枢結位置付近が端部側より幅広となるように形成されていることを特徴とする制振ブレース。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の制振ブレースにおいて、
    前記一対のブレース材の先端部の互いに対向する側面とは反対の側面には、前記振り子部材が振れた際に、該振り子部材の端部とブレース材との接触を防止するための接触防止用スリットが形成されていることを特徴とする制振ブレース。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の制振ブレースにおいて、
    前記振動減衰手段は粘弾性体を備えていることを特徴とする制振ブレース。
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