JP4881017B2 - 制振構造 - Google Patents

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Description

本発明は、建物等の構造物に設けられる制振構造に関する。
建物の制振構造の一例として、特許文献1に記載の技術が知られている。この特許文献1に記載の制振構造は、建物の骨組体の接合部位間に亘って架設されるブレース本体と、互いに平行状に対向するプレート間に粘弾性体を挟在させるとともに両プレートの相対変位方向に向けての相対移動のみを許容し案内する相対移動案内機構を備えた制振装置とを独立分離させ、両接合部位に制振装置を取り付けた後にそれら制振装置間に亘ってブレース本体を架設するものである。
そして、前記建物の制振構造では、地震力に起因する建物の変形に伴いブレース本体に圧縮や引張り力が加わったとき、制振装置における両対向プレートが粘弾性体を介して相互に平行移動して粘弾性体にせん断変形を加え、相対変位エネルギーを良好に吸収することによって、制振性能を発揮させるようになっている。
特開2001−207677号公報
ところで、前記建物の制振構造では、建物の骨組体の接合部位間に亘って架設されるブレース本体の両端部において、対向するプレート間に粘弾性体を挟在させているが、つまり、ブレース本体の両端部にそれぞれ粘弾性体を備えているが、これら二つの粘弾性体は等しい制振性能を有しているので、地震力の大きさによって、建物等の構造物に生じる振動の大きさ等が異なる場合に、効果的に制振するのが困難である。例えば、地震によって建物に発生する振動は、初期では、比較的小さい振幅でかつ周期が短い小さな振動であるのに対し、それ以降は振幅や周期が比較的大きい振動となる。
したがって、上記従来の制振構造では、これらの異なる振動に対して効果的に機能し難いという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、異なる振動に対して効果的に制振できる制振構造を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、構造物1に架設材6が架設されており、
この架設材6の軸方向に離間した2箇所に第1制振部10と第2制振部11が設けられており、これら2つの制振部10,11はそれぞれ異なる制振性能を有し、
前記架設材6は、同軸に配置された一対のロッド6a,6bによって構成されており、
前記第1制振部10は、一対のロッド6a,6bの端部どうしを連結するリンク機構12と、このリンク機構12に設けられて、一対のロッド6a,6bどうしが接離するような振動を制振する粘弾性体13とを備えており、
前記リンク機構12は一対のリンク14,15を備え、
一方の前記リンク14の前記ロッド6aに近い端部が一方の前記ロッド6aに設けられたブラケット17に回動自在に連結され、他方の前記リンク15の前記ロッド6bに近い端部が他方の前記ロッド6bに設けられたブラケット18に回動自在に連結され、
前記一対のリンク14,15はその厚さ方向に一部重なっており、この重なった部分が回動自在に連結され、
前記一対のリンク14,15の重なった部分の前記ロッド6a,6bから遠い端部に、前記粘弾性体13が前記一対のリンク14,15に挟持されるようにして設けられていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、地震により構造物1に振動が発生した場合、架設材6を構成する一対のロッド6a,6bに圧縮や引張り力が作用して該ロッド6a,6bが接近離間するように振動するが、初期では、比較的小さい振幅でかつ周期が短い小さな振動であるので、この振動を第1制振部10で制振するが、その際、ロッド6a,6bの振動によってこれらを連結するリンク機構12が動き、このリンク機構12に設けられた粘弾性体13によって、ロッド6a,6bの変位エネルギーを吸収し、これによって、ロッド6a,6bどうしが接離するような振動を制振する。また、それ以降は振幅や周期が比較的大きい振動となるので、この振動を第2制振部11で制振する。
また、リンク機構12によって一対のロッド6a,6bの変形(一対のロッドが接近離間するように振動する際の振幅)を増幅できるので、小さな変形、つまり小さな振動から効率的に制振できる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の制振構造において、
前記リンク機構12は、前記一対のロッド6a,6bの端部どうしが所定距離だけ離間した際に、それ以上の離間を防止するストッパ部14a,15aを備えていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、地震により構造物に振動が発生して、架設材6を構成する一対のロッド6a,6bに圧縮や引張り力が作用して該ロッド6a,6bが接近離間するように振動した場合において、振動の幅が大きくなって、ロッド6a,6bの端部どうしが当接したときは、ロッド6a,6bどうしのそれ以上の振動が防止され、一方、振動の幅が大きくなって、ロッド6a,6bの端部どうしが所定距離だけ離間したときは、ストッパ部14a,15aによってそれ以上の離間が防止される。したがって、それ以降の振幅や周期が比較的大きい振動の制振を第2制振部11へとスムーズに移行できる。
請求項に記載の発明は、例えば図8に示すように、構造物に架設材6が架設されており、この架設材6の軸方向に離間した2箇所に第1制振部31と第2制振部11が設けられており、これら2つの制振部31,11はそれぞれ異なる制振性能を有し、
前記架設材6は、同軸に配置された一対のロッド6a,6bによって構成されており、
前記第1制振部31は、一対のロッド6a,6bの端部どうしを連結するようにして配置された一対のリンク32,33を備え、
前記リンク32,33の一端部は一方のロッド6bに回動自在に連結され、前記リンク32,33の他端部には、前記ロッド6a,6bの軸方向に対して傾斜する長穴32a,33aが形成されており、この長穴32a,33aに前記他方のロッド32aに設けられたピン35a,36aが摺動自在に挿入されており、
前記一対のリンク32,33に、前記一対のロッド6a,6bどうしが接離するような振動を制振する粘弾性体37が挟持されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、地震により構造物に振動が発生した場合、架設材6を構成する一対のロッド6a,6bに圧縮や引張り力が作用して該ロッド6a,6bが接近離間するように振動するが、初期では、比較的小さい振幅でかつ周期が短い小さな振動であるので、この振動を第1制振部31で制振するが、その際、ロッド6a,6bの振動によって、これらを連結する一対のリンク32,33がその一端部を軸として回動するとともに、この回動に伴ってリンク32,33の他端部の長穴32a,33a内をピン35a,36aが摺動する。そして、一対のリンク32,33によって粘弾性体37が挟持されているので、該一対のリンク32,33の回動によって粘弾性体37が変形して、リンク32,33の変位エネルギーを吸収し、これによって、ロッド6a,6bどうしが接離するような振動を制振する。
また、一対のリンク32,33によって一対のロッド6a,6bの変形(一対のロッドが接近離間するように振動する際の振幅)を増幅できるので、小さな変形、つまり小さな振動から効率的に制振できる。
さらに、リンク32,33、長穴32a,33a、ピン35a,36a、粘弾性体37という簡単な機構で第1制振部を構成できる。
請求項に記載の発明は、例えば図1および図4に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の制振構造において、
前記第2制振部11は、前記架設材6の端部に設けられた粘弾性体23と、この粘弾性体23に一端部が固定され、他端部が前記構造物1の一方の部位に連結される連結プレート24とを備えていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、第1制振部10で制振した以降において、振幅や周期が比較的大きい振動となった場合に、この振動を第2制振部11で制振するが、その場合、架設材6が振動することによって、粘弾性体23が変形して、架設材6の変位エネルギーを吸収して、振動を制振できる。また、連結プレート24によって架設材6を容易に構造物1に連結できるとともに、粘弾性体23を有効に効かせることができる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の制振構造において、
前記第1制振部10,31は、構造物1に小さい地震力が作用した際に主に機能し、
前記第2制振部11は、構造物1に大きい地震力が作用した際に主に機能することを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、地震初期の小さな地震力による振動を第1制振部10,31で制振し、その後の比較的大きな地震力による振動を第2制振部11で制振するので、効果的な制振となる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の制振構造において、前記粘弾性体13,23,37は、主鎖にC−C結合を有する基材ゴム100重量部に対してシリカを100〜150重量部添加し、そのシリカに対してシラン化合物を10〜30重量%配合したものであることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、粘弾性体13,23,37に適切な、歪依存性、周波数依存性、温度依存性を持たせることができるので、振動減衰機能つまり制振機能を十分に発揮させることができる。
本発明によれば、構造物に複数の制振部が設けられており、これら複数の制振部はそれぞれ異なる制振性能を有しているので、地震により構造物に振動が発生した場合、初期では、比較的小さい振幅でかつ周期が短い小さな振動であるので、この振動を複数の制振部のうちの一部の制振部で制振し、それ以降は振幅や周期が比較的大きい振動となるので、この振動を他の制振部で制振することができる。したがって、異なる振動に対して効果的に制振できる。
以下、図面を参照して本発明の制振構造の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図7は第1の実施の形態を示すものである。
図1は、本発明に係る制振構造を住宅等の建物に適用したものを示すものである。建物は、複数の直方体状の建物ユニットを上下左右に組み立てることによって構築されるものである。建物ユニット(構造物)1は、複数の柱2と、これらの柱2の上端同士を連結する上梁3と、柱2の下端同士を連結する下梁4とから、略直方体状に形成された骨組みを備えている。また、上下の梁3,4間には間柱5が設けられている。
前記建物ユニット1の対向する二つの部位間には、架設材6がブレースとして架設されている。すなわち、柱2の下端部には、ブラケット7が固定されており、間柱5の上端部にはブラケット8が固定されており、これらブラケット7,8間に架設材6が架設されている。なお、架設材6の上端部には、図2および図4に示すように、プレート9が設けられており、このプレート9を前記ブラケット8に連結することによって、架設材6の上端部が柱2の上端部に連結されている。
架設材6の軸方向に離間した2箇所には第1制振部10と第2制振部11とが設けられている。すなわち、架設材6の中央部には第1制振部10が設けられており、下端部には第2制振部11が設けられている。また、第1制振部10と第2制振部とは異なる制振性能を有しており、第1制振部10は、建物ユニット1に小さい地震力が作用した際に主に機能し、第2制振部11は、建物ユニット1に大きい地震力が作用した際に主に機能するようになっている。
前記架設材6は、同軸に配置された一対のロッド6a,6bとによって構成されており、該一対のロッド6a,6bの互いに対向する端部間には所定の隙間Sが設けられている。
また、前記第1制振部10は、一対のロッド6a,6bの端部どうしを連結するリンク機構12と、このリンク機構12に設けられて、一対のロッド6a,6bどうしが接離するような振動を制振する粘弾性体13とを備えている。
リンク機構12は以下のように構成されている。すなわち、図2に示すように、リンク機構12は、ロッド6a,6bを挟んで左右一対設けられており、該一対のリンク機構12,12は左右対称であるので、一方のリンク機構12のみを説明し、他方のリンク機構12の説明は省略する。
リンク機構12は、一対のリンク14,15とこれらリンク14,15を連結するリンク16,16とを備えている。
リンク14は、五角形板状に形成されたもので、ロッド6a,6b側を向く二つの辺部は、鈍角を形成しており、一方の辺部14aはストッパ部とされている。また、ロッド6aの側面にはブラケット17が立設されており、このブラケット17にリンク14の端部がピン19aによって回動自在に連結されている。
リンク15は、五角形板状に、かつ、リンク14と対称的に形成されている。リンク15の、ロッド6a,6b側を向く二つの辺部は、鈍角を形成しており、一方の辺部15aはストッパ部とされている。また、ロッド6bの側面にはブラケット18が立設されており、このブラケット18にリンク15の端部がピン19bによって回動自在に連結されている。
また、リンク14とリンク15とは、その厚さ方向に一部重なっており、この重なった部分において、ピン20がリンク14,15に挿通されおり、これによって、リンク14,15は重なった部分において回動自在に連結されている。このピン20に前記リンク16の一端部が回動自在に連結されており、リンク16の他端部は前記ピン19に回動自在に連結されている。リンク16はリンク14,15を挟むようにして一対設けられており、一方のリンク16はピン20とピン19aとを連結しており、他方のリンク16はピン20とピン19bとを連結している。
さらに、リンク14とリンク15とが重なった部分の端部、つまり、ロッド6a,6bから最も離れた端部には、前記粘弾性体13が配置されており、この粘弾性体13によって、一対のロッド6a,6bどうしが接離するような振動を制振するようになっている。
前記第2制振部11は以下のように構成されている。すなわち、図1、図2、図4に示すように、架設材6を構成するロッド6bの下端部には、一対のプレート22,22が互いに平行にかつロッド6bの下端から突出するようにして固定されている。プレート22,22の下端部の対向する面には、粘弾性体23,23が設けられている。
一方、前記柱2の下端部に設けられたブラケット7には、連結プレート24が連結されており、この連結プレート22の上端部は、前記粘弾性体23,23に挟み付けられた状態で、該粘弾性体23,23に固定されている。
そして、このような第2制振部11では、地震力によって、架設材6に圧縮や引張り力が加わったとき、プレート23,23と連結プレート24が粘弾性体23,23を介して相互に平行移動して粘弾性体23,23にせん断変形を加え、相対変位エネルギーを吸収することによって、制振するようになっている。
次に上記構成の制振構造の作用について図5〜図7を参照して説明する。
まず、図5に示す状態が地震が発生していない状態であり、第1制振部10の架設材6を構成する一対のロッド6a,6b間には所定の隙間Sが設けられている。また、この状態において、リンク機構12を構成する一対のリンク14,15のストッパ部14a,15aはロッド6a,6bの側面から離間している。さらに、リンク14,15によって挟持されている粘弾性体13には、変形が生じていない。
そして、地震によって建物に振動が発生した場合、架設材6を構成する一対のロッド6a,6bに圧縮や引張り力が作用して該ロッド6a,6bが接近離間するように振動する。振動初期では、比較的小さい振幅でかつ周期が短い小さな振動であるので、この振動を第1制振部10で制振するが、その際、ロッド6a,6bの振動によってこれらを連結するリンク機構12が以下のようにして動き、このリンク機構12に設けられた粘弾性体13によって、ロッド6a,6bの変位エネルギーを吸収し、これによって、ロッド6a,6bどうしが接離するような振動を制振する。
すなわち、ロッド6a,6bが互いに接離すると、それに伴って、ピン19a,19bが互いに接離する。ピン19a,19bには、リンク14,15が回動自在に連結されており、さらにリンク14,15はピン20によって回動自在に連結されているので、リンク14,15はピン20を支点として回動し、それらの頂部が交差しながら開閉する。リンク14,15の頂部には粘弾性体13がこれらリンク14,15に挟持されるようにして設けられているので、リンク14,15の頂部が互いに交差しながら開閉すると、これによって粘弾性体13にはねじれ変形が生じ、この粘弾性体13がリンク14,15の変位エネルギーを吸収することによって、リンク14,15が回動するような振動を制振し、これによってロッド6a,6bどうしが接離するような振動を制振する。
また、リンク機構12によって一対のロッド6a,6bが接近離間するように振動する際の振幅を増幅できるので、小さな変形、つまり小さな振動から効率的に制振できる。つまり、ピン20からピン19a,19bまでの距離より、ピン20から粘弾性体13までの距離の方が長いので、一対のロッド6a,6bが接近離間する距離より、リンク14,15がピン20を支点として回動し、それらの頂部が交差しながら開閉する距離の方が長くなる。したがって、一対のロッド6a,6bが接近離間するように振動する際の振幅を増幅できるので、小さな振動から効率的に制振できる。
また、前記架設材6を構成する一対のロッド6a,6bに圧縮や引張り力が作用して該ロッド6a,6bが上記のようにして接近離間するように振動した場合において、振動の幅が大きくなって、図6に示すように、ロッド6a,6bの端部どうしが当接したときは、ロッド6a,6bどうしのそれ以上の振動が防止され、この状態で前記リンク機構12もロックされる。そのとき、ピン19a,19bが最も接近することによって、ピン20がリンク16によってロッド6a,6bから離間するように移動し、これによって、リンク14,15の頂部がロッド6a,6bから図5に示した状態より離れる。
一方、ロッド6a,6bの振幅の幅が大きくなって、ロッド6a,6bの端部どうしが所定距離だけ離間したときは、ストッパ部14a,15aによってそれ以上の離間が防止される。すなわち、図7に示すように、ロッド6a,6bの端部どうしが離間すると、それに伴って、ピン19a,19bが離間することによって、ピン20がリンク16によってロッド6a,6bに接近するように移動するとともに、リンク14,15がピン20を支点として回動する。これによって、リンク14,15のストッパ部14a,15bが互いに接近するように、かつロッド6a,6bの側面側に向けて回動し、該側面に当接する。これによって、リンク14,15のそれ以上の回動が防止され、これによって、ロッド6a,6bのそれ以上の離間が防止される。つまり、振動の幅が大きくなって、ロッド6a,6bの端部どうしが所定距離だけ離間したときは、ストッパ部14a,15aによってそれ以上の離間が防止される。
したがって、それ以降の振幅や周期が比較的大きい振動の制振を第2制振部11へとスムーズに移行できる。
第2制振部11で制振する場合、図1および図4に示すように、架設材6が振動することによって、粘弾性体23が変形して、架設材の変位エネルギーを吸収して、振動を制振する。すなわち、地震力によって、架設材6に圧縮や引張り力が加わったとき、プレート23,23と連結プレート24が粘弾性体23,23を介して相互に平行移動して粘弾性体23,23にせん断変形を加え、相対変位エネルギーを吸収することによって、制振する。また、連結プレート24によって架設材6を容易に建物ユニット1に連結できるとともに、粘弾性体23,23を有効に効かせることができる。
(第2の実施の形態)
図8〜図11は本発明の第2の実施の形態を示すものである。
なお、本実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様の構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態でも、架設材6は同軸に配置された一対のロッド6a,6bによって構成されている。なお、本実施の形態において、第2制振部は、第1の実施の形態の第2制振部11と等しいのでその説明は省略する。
第1制振部31は、一対のリンク32,33を備えている。リンク32,33は上半分が互いに逆方向に湾曲した帯板状のものであり、その厚さ方向に所定の間隔をもって重ねられている。リンク32,33の一端部はロッド6bの上端部にピン34によって回動自在に連結されている。
また、リンク32,33の上端部には長穴32a,33aが形成されている。長穴32a,33aはロッド6a,6bの軸方向に対して傾斜して形成されている。また、長穴32a,33aの傾斜方向は互いに逆方向となっている。
一方、ロッド6aの下端部には、プレート35,36が外側に張り出すようにして設けられており、これらプレート35,36にはそれぞれピン35a,36aが立設されている。ピン35a,36aの直径と、前記長穴32a,33aの幅とはほぼ等しくなっており、長穴32a,33aにそれぞれピン35a,36aが長穴32a,32bの長さ方向に摺動自在に挿入されている。
また、リンク32,33は下方に延出しており、その部分には粘弾性体37が設けられている。すなわち、リンク32,33の最下端の互いに対向する面にはそれぞれ粘弾性体37が固定されており、これによって、粘弾性体37はリンク32,33の下端によって挟持されている。
そして、このような第1制振部31では、地震力によって、架設材6に圧縮や引張り力が加わったとき、リンク32,33がピン34を支点として回動して、粘弾性体37にねじれ(せん断)変形を加え、相対変位エネルギーを吸収することによって、制振するようになっている。
なお、図8には上記のような第1制振部31をロッド6a,6bの一方の側面側に配置した状態を示しているが、実際は、第1制振部31はロッド6a,6bの他方の側面側にも配置されている。
次に上記構成の制振構造の作用について図9〜図11を参照して説明する。
まず、図9に示す状態が地震が発生していない状態であり、第1制振部31の架設材6を構成する一対のロッド6a,6b間には所定の隙間Sが設けられている。また、この状態において、リンク32,33に形成されている長穴32a,33aの長さ方向中央部に、ピン35a,36aが位置している。さらに、リンク32,33によって挟持されている粘弾性体37には、変形が生じていない。
そして、地震によって建物に振動が発生した場合、架設材6を構成する一対のロッド6a,6bに圧縮や引張り力が作用して該ロッド6a,6bが接近離間するように振動する。振動初期では、比較的小さい振幅でかつ周期が短い小さな振動であるので、この振動を第1制振部31で制振するが、その際、ロッド6a,6bの振動によってこれらを連結するリンク32,33が以下のようにして動き、リンク32,33によって挟持されている粘弾性体37によって、ロッド6a,6bの変位エネルギーを吸収し、これによって、ロッド6a,6bどうしが接離するような振動を制振する。
すなわち、ロッド6a,6bが互いに接離すると、それに伴って、ロッド6aにプレート35,36を介して設けられたピン35a,36aが上下動するとともに、ロッド6bに設けられたピン34が上下動する。つまり、ピン35a,36aとピン34とが接近したり離間したりする。ピン35a,36aはリンク32,33の長穴32a,33aに摺動自在に挿入されており、ピン34はリンク32,33を回動自在に連結しているので、ピン35a,36aが長穴32a,33a内をその長さ方向に往復動し、これによって、リンク32,33はピン34を支点として左右に回動する。リンク32,33の下端には粘弾性体37がこれらリンク32,33に挟持されるようにして設けられているので、リンク32,33の下端が互いに交差しながら開閉すると、これによって粘弾性体37にはねじれ(せん断)変形が生じ、この粘弾性体37がリンク32,33の変位エネルギーを吸収することによって、リンク32,33が回動するような振動を制振し、これによってロッド6a,6bどうしが接離するような振動を制振する。
また、一対のリンク32,33によって一対のロッド6a,6bの変形(一対のロッドが接近離間するように振動する際の振幅)を増幅できるので、小さな変形、つまり小さな振動から効率的に制振できる。
さらに、リンク32,33、長穴32a,33a、ピン35a,36a、粘弾性体37という簡単な機構で第1制振部31を構成できる。
また、第1実施の形態の第1制振部10に比して、架設材6の径方向における張り出し量が小さいので、狭い部位でも設置できるという利点もある。
また、前記架設材6を構成する一対のロッド6a,6bに圧縮や引張り力が作用して該ロッド6a,6bが上記のようにして接近離間するように振動した場合において、振動の幅が大きくなって、図10に示すように、ロッド6a,6bの端部どうしが当接したときは、ロッド6a,6bどうしのそれ以上の振動が防止され、この状態で前記リンク32,33の振動もロックされる。そのとき、35a,36aが長穴32a,33aの一端部に当接する。
一方、ロッド6a,6bの振幅の幅が大きくなって、ロッド6a,6bの端部どうしが所定距離だけ離間したときは、以下のようにして、それ以上の離間が防止される。
すなわち、図11に示すように、ロッド6a,6bの端部どうしが離間すると、それに伴って、リンク32a,33aがピン34を支点として回動することによって、ピン35a,36aが長穴32a,33a内を移動して、該長穴32a,33aの他端部(上端部)に当接して、それ以上のピン35a,36aの移動を防止する。したがって、リンク32,33の回動も防止されるので、ロッド6a,6bのそれ以上の離間が防止される。つまり、振動の幅が大きくなって、ロッド6a,6bの端部どうしが所定距離だけ離間したときは、ピン35a,36aが長穴32a,33aの他端部に当接することで、ストッパとして機能し、それ以上の離間が防止される。したがって、それ以降の振幅や周期が比較的大きい振動の制振を第2制振部11へとスムーズに移行できる。
なお、上記2つの実施の形態の他に、図12に模式的に示すような制振構造としてもよい。
図12(a)は、筋違型を示すもので、例えば構造物40の柱41と梁42の交差部間に、架設材43aを架設し、この架設材43aの軸方向に離間した2箇所にそれぞれ制振部44,45を設けたものである。
図12(b)も筋違型を示すもので、構造物の柱41と梁42の2つの交差部と、これら交差部に対向する梁42の中央部との間に架設材43b,43bを架設し、該架設材43bの軸方向に離間した2箇所にそれぞれ制振部44,45を設けたものである。
図12(c)は、方杖型を示すもので、構造物40の柱41と梁42に斜めに補強材(架設材)43c,43cを架設し、該架設材43cの軸方向に離間した2箇所にそれぞれ制振部44,45を設けたものである。
図12(d)は、壁型を示すもので、構造物40の壁46と上下の梁42,42との間に、制振部44,45を設けたものである。
上記図12(a)〜(d)に示す制振構造において、制振部44と制振部45とは、異なる制振性能を有しており、地震発生初期では、比較的小さい振幅でかつ周期が小さな振動であるので、制振部44で制振し、それ以降は振幅や周期が比較的大きい振動となるので、この振動を制振部45によって制振するようになっている。
なお、上記のような制振構造においては、異なる制振性能を有する2つの制振部44,45を設けたが、異なる制振機能を有する3つ以上の制振部を設けてもよい。このようにすると、発生する地震に対してよりきめ細かく構造物を制振できる。
上記の実施の形態の制振構造において使用されている粘弾性体13,23,37は、主鎖にC−C結合を有する基材ゴム100重量部に対してシリカを100〜150重量部添加し、そのシリカに対してシラン化合物を10〜30重量%配合した高減衰ゴムによって形成されている。
以下に、粘弾性材料について説明する。
一般的な粘弾性材料は、振幅の増加に連れて剛性が増加し、抵抗力が大きくなる。振幅
が大きくなるにつれて剛性が大きくなる性質を持つ粘弾性体を用いると、建物の加速度応
答や各部応力の過大な上昇が生じる。そこで、振幅が増加しても剛性の増加が頭打ちにな
る性質を備えた粘弾性体を用いることが望ましい。特に、本発明では、建物に作用する振
動の振幅に比べて、粘弾性体を大きくせん断変形させるものであるから、歪依存性について上記の性質を備えたものを用いることによる効果は大きい。
また、交通振動などの環境振動から台風時の風揺れ、大地震に至るまでの幅広い振幅領域で機能する必要があるため、歪依存性が小さい粘弾性体を用いる。すなわち、小歪から大歪まで安定した振動エネルギ吸収能力を発揮するものを用いる。
具体的には、0.01≦γ≦3.5の領域で、Heq>0.20の安定したエネルギ吸収能力が必要とされる。このため大振幅領域において抵抗力が大きくならないように、γ>1.0の領域において、γの増加とともにKeq/(S/D)が減少することを特徴とする、例えば、0.45≦{Keq/(S/D)(γ=3.0)}/{Keq/(S/D)(γ=1.0)}<0.75の粘弾性体を用いるとよい。
なおここで、γはせん断歪み率であり、図14に示すように、粘弾性体のせん断変形量dを粘弾性体の高さtで除したものである。また、動的粘弾性試験における等価粘性減衰係数(等価減衰定数)(Heq)および等価せん断弾性率(Geq=Keq/(S/D))とは、粘弾性材料のせん断変形を生じさせる正弦波加振を行い、その際の履歴ループ(ヒステリシス曲線)を測定し、その結果に基づいて計算されるものである。図13に基づいて説明すると、Heqは下記の式(数1)、Keq/(S/D)は下記の式(数2)にて計算される数値である。
Heq=ΔW/2πW (数1)、
W:剪断変形の弾性エネルギ(図13において示される2つの三角形の面積。単位はkgf・cm)、
ΔW=剪断変形により吸収するエネルギの合計(図13において示されるヒステリシス曲線で囲まれた面積。単位はkgf・cm)、
Keq/(S/D)=F/U/(S/D) (数2)、
F:最大変位を与えるときの荷重(単位はkgf)、
Be:最大変位(単位はcm)、
S/D:試験サンプルの形状係数(サンプル剪断面積/サンプル剪断隙間。 単位はcm)
また、一般的な粘弾性材料は、振動周波数の増加に伴い、Geq(=Keq/(S/D))〔N/mm2〕が著しく増加する。例えば、一般的な粘弾性体では、20℃では、0.1Hzのときと2.0HzのときではGeqの値が2〜3倍に増加する。交通振動の卓越周波数は4Hz〜7Hzに分布し、地振動は0.1Hz〜20Hz程度に分布するので、これらの周波数に対して剛性や減衰性能の点で比較的安定した性質を備えた粘弾性体を用いることが望ましい。具体的には、より入力周波数分布領域が広範囲に及ぶ地震動に対応する必要がある。制振材が家屋に付与する減衰性能は、概ね制振材の有する剛性(ここでは等価せん断弾性率(Geq))と減衰定数(ここでは等価粘性減衰定数(等価減衰定数)Heq)との積で表現することができる。周波数依存性の評価は、一定の温度条件の下で、斯かる積の値がある周波数の時を基準として、上述した地振動の0.1Hz〜20Hzの範囲で±50%以内であればよい。
また、一般的に粘弾性体は、低温時に剛性が高くなり、高温時に剛性が低くなる。日本は一年を通じて気温の変化が大きく、−10℃〜40℃程度の温度範囲に対して剛性や減衰性能の点で比較的安定した性質を備えた粘弾性体を用いることが望ましい。
例えば、本発明に係る制振構造の使用環境が−10℃〜40℃であれば、20℃のGeq(等価せん断弾性率)を基準として、低温側は−10℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=−10℃)と、20℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=20℃)の比、Geq(t=−10℃)/Geq(t=20℃)≦2.2とし、高温側は、40℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=40℃)と、20℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=20℃)の比、Geq(t=40℃)/Geq(t=20℃)≧0.6とするとよい。
本実施の形態では、粘弾性体は、上述した歪依存性、周波数依存性、温度依存性を持たせるため、例えば、主鎖にC−C結合を有する基材ゴム100重量部に対してシリカを100〜150重量部添加し、そのシリカに対してシラン化合物を10〜30重量%配合した高減衰ゴムを用いる。その好適な粘弾性体の一例を挙げると、基材ゴム100重量部に対してシリカ135重量部を添加し、さらにそのシリカに対してシラン化合物を17重量%配合したものを挙げることができる。この粘弾性体によれば、上述した歪依存性、周波数依存性、温度依存性を持たせることができ、上述した制振構造の機能を十分に発揮させることができる。
特に、20℃での性能がHeq≧0.2、0.35≦Geq≦6.0(N/mm2)の範囲にあって、かつ、Geqの温度依存性が−10℃/20℃≦2.2、40℃/20℃≧0.6(ともに、周波数0.1Hz、せん断歪±100%)を実現でき、上記のように、制振部材の粘弾性体を大きくせん断変形させるようにした制振構造の機能を十分に発揮させることができる。
なお、シラン化合物は、下記の一般式で、
Figure 0004881017
〔式中、R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはアルコキシ基、またはハロゲン原子を示し、他は同一または異なって水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。〕で表されるシラン化合物とを含有するゴム組成物の加硫成形により形成される。また、基材ゴムとしては、主鎖にC−C結合を有する種々のゴムがいずれも使用可能である。具体的には天然ゴム(NR)の他、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種類以上を併用することもできる。
上記の基材ゴムに添加されるシリカとしては、ゴムの補強剤として使用される、親水性あるいは疎水性の種々のシリカが使用可能である。上記シリカの添加量は、基材ゴム100重量部に対して10〜150重量部に限定される。この理由は前述したとおりである。
前記一般式(1)で表されるシラン化合物において、R1〜R4に相当するアルコキシ基としては、Cn2n+1Oで表される種々の炭素数のものがあげられるが、とくに炭素数が1〜2であるメトキシ、エトキシが好ましいものとしてあげられる。またハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などがあげられる。
アルキル基としては、Cn2n+1で表される種々の炭素数のものがあげられるが、とくにその炭素数は1〜20程度であるのが好ましい。かかるアルキル基としては、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第2級ブチル、第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどがあげられる。
また、アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、o−テルフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどがあげられる。かかるシラン化合物の具体例として、これに限定されないがたとえば、n−ヘキシルトリメトキシシラン、トリエトキシフェニルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルジクロロシランなどがあげられる。
ゴム組成物には上記以外にもたとえば、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、シリカ以外の補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、粘着性付与剤その他、各種の添加剤を添加してもよい。上記のうち加硫剤としては、例えば、硫黄、有機含硫黄化合物、有機過酸化物などがあげられ、このうち有機含硫黄化合物としては、例えば、N,N´−ジチオビスモルホリンなどがあげられ、有機過酸化物としては、例えばペンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシドなどがあげられる。
また、加硫促進剤としては、たとえばテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム系加硫促進剤、ジブチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカーバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカーバミン酸テルルなどのジチオカーバミン酸類、2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのチアゾール類、トリメチルチオ尿素、N,N´−ジエチルチオ尿素などのチオウレア類などの有機促進剤や、あるいは消石灰、酸化マグネシウム、酸化チタン、リサージ(PbO)などの無機促進剤などがあげられる。
加硫促進助剤としては、たとえばステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸などの脂肪酸や、あるいは亜鉛華などの金属酸化物などがあげられる。加硫遅延剤としては、たとえばサリチル酸、無水フタル酸、安息香酸などの芳香族有機酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドキノン、N−ニトロソフェニル−β−ナフチルアミンなどのニトロソ化合物などがあげられる。
上記加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤および加硫遅延剤は、その合計の配合量が、基材ゴム100重量部に対して4〜15重量部程度であるのが好ましい。老化防止剤としては、たとえば2−メルカプトベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N´−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N´−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン類、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノールなどのフェノール類などがあげられる。
老化防止剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して1.5〜5重量部程度が好ましい。シリカ以外の補強剤としては主にカーボンブラックが使用される他、ケイ酸塩系のホワイトカーボン、亜鉛華、表面処理沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレーなどの無機補強剤や、あるいはクマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂(スチレン含有量の多いスチレン−ブタジエン共重合体)などの有機補強剤も使用できる。
また、充填剤としては、たとえば炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、珪藻土などがあげられる。上記シリカ以外の補強剤および/または充填剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して5〜50重量部程度が好ましい。軟化剤としては、たとえば脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸など)、綿実油、トール油、アスファルト物質、パラフィンワックスなどの、植物油系、鉱物油系、および合成系の各種軟化剤があげられる。
軟化剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して10〜100重量部程度が好ましい。可塑剤としては、たとえばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフェートなどの各種可塑剤があげられる。可塑剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して5〜20重量部程度が好ましい。
さらに、粘着性付与剤としては、たとえばクマロン・インデン樹脂、芳香族系樹脂、芳香族・脂肪族混合系樹脂、ロジン系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂などがあげられる。粘着性付与剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して5〜50重量部程度であるのが好ましい。
上記以外にも、ゴム組成物にはたとえば分散剤、溶剤などを適宜配合してもよい。ゴム組成物は、上記の各成分を、たとえば密閉式混練機などを用いて混練することで製造される。そして粘弾性体は、たとえば上記ゴム組成物をローラヘッド押出機などを用いてシート状に成形し、所定の形状を有するようにこのシートを打ち抜いた後、打ち抜いたシートを、所定の厚みを有するように複数枚、積層した状態で、所定の型内で加熱して加硫成形するなどして製造される。
以上のように、上記の実施の形態では、粘弾性体13,23,37が、主鎖にC−C結合を有する基材ゴム100重量部に対してシリカを100〜150重量部添加し、そのシリカに対してシラン化合物を10〜30重量%配合した高減衰ゴムであるので、粘弾性体22,30に適切な、歪依存性、周波数依存性、温度依存性を持たせることができるので、振動減衰機能つまり制振機能を十分に発揮させることができる。
本発明に係る制振構造の一例を示すもので、その側面図である。 同、第1制振部を示す側面図である。 同、第1制振部を示す正面図である。 同、第2制振部を架設材とともに示す正面図である。 同、振動が生じていない状態の第1制振部を示す側面図である。 同、ロッドどうしが当接して第1制振部がロックした状態を示す側面図である。 同、ロッドどうしが離間して第1制振部がロックした状態を示す側面図である。 本発明に係る制振構造の他の例を示すもので、その斜視図である。 同、側面図である。 同、ロッドどうしが当接して第1制振部がロックした状態を示す側面図である。 同、ロッドどうしが離間して第1制振部がロックした状態を示す側面図である。 本発明に係る制振構造の他の例を模式的に示した図である。 本発明に係る制振構造に使用される粘弾性体のせん断変形を生じさせる正弦波加振を行った際の履歴ループを示す図である。 粘弾性体のせん断ひずみ率γを説明するための図である。
符号の説明
1 建物ユニット(構造物)
6 架設材
6a,6b ロッド
10,31 第1制振部(制振部)
11 第2制振部(制振部)
12 リンク機構
13 粘弾性体
14a,14b ストッパ部
23 粘弾性体
24 連結プレート
32,33 リンク
32a,33a 長穴
34 ピン
35a,36a ピン
37 粘弾性体
40 構造物
44,45 制振部

Claims (6)

  1. 構造物に架設材が架設されており、
    この架設材の軸方向に離間した2箇所に第1制振部と第2制振部が設けられており、これら2つの制振部はそれぞれ異なる制振性能を有し、
    前記架設材は、同軸に配置された一対のロッドによって構成されており、
    前記第1制振部は、一対のロッドの端部どうしを連結するリンク機構と、このリンク機構に設けられて、一対のロッドどうしが接離するような振動を制振する粘弾性体とを備えており、
    前記リンク機構は一対のリンクを備え、
    一方の前記リンクの前記ロッドに近い端部が一方の前記ロッドに設けられたブラケットに回動自在に連結され、他方の前記リンクの前記ロッドに近い端部が他方の前記ロッドに設けられたブラケットに回動自在に連結され、
    前記一対のリンクはその厚さ方向に一部重なっており、この重なった部分が回動自在に連結され、
    前記一対のリンクの重なった部分の前記ロッドから遠い端部に、前記粘弾性体が前記一対のリンクに挟持されるようにして設けられていることを特徴とする制振構造。
  2. 請求項に記載の制振構造において、
    前記リンク機構は、前記一対のロッドの端部どうしが所定距離だけ離間した際に、それ以上の離間を防止するストッパ部を備えていることを特徴とする制振構造。
  3. 構造物に架設材が架設されており、
    この架設材の軸方向に離間した2箇所に第1制振部と第2制振部が設けられており、これら2つの制振部はそれぞれ異なる制振性能を有し、
    前記架設材は、同軸に配置された一対のロッドによって構成されており、
    前記第1制振部は、一対のロッドの端部どうしを連結するようにして配置された一対のリンクを備え、
    前記リンクの一端部は一方のロッドに回動自在に連結され、前記リンクの他端部には、前記ロッドの軸方向に対して傾斜する長穴が形成されており、この長穴に前記他方のロッドに設けられたピンが摺動自在に挿入されており、
    前記一対のリンクに、前記一対のロッドどうしが接離するような振動を制振する粘弾性体が挟持されていることを特徴とする制振構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の制振構造において、
    前記第2制振部は、前記架設材の端部に設けられた粘弾性体と、この粘弾性体に一端部が固定され、他端部が前記構造物の一方の部位に連結される連結プレートとを備えていることを特徴とする制振構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の制振構造において、
    前記第1制振部は、構造物に小さい地震力が作用した際に主に機能し、
    前記第2制振部は、構造物に大きい地震力が作用した際に主に機能することを特徴とする制振構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の制振構造において、
    前記粘弾性体は、主鎖にC−C結合を有する基材ゴム100重量部に対してシリカを100〜150重量部添加し、そのシリカに対してシラン化合物を10〜30重量%配合したものであることを特徴とする制振構造。
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